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リスク回避姿勢の弱まりで景気循環系商品堅調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年1月7日 第1667号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「リスク回避姿勢の弱まりで景気循環系商品堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、原油を含むエネルギーセクターがやや軟調に推移し、その他の景気循環系銘柄が物色される流れとなった。

年明け、市場を震撼させた米国とイランの対立激化懸念に伴うリスク回避の動き&原油価格上昇に関し、イラン側がどのような対応をするか取り敢えず様子を見たい、戦争に繋がる選択肢はしないだろう、という期待感からリスク回避姿勢が弱まったため。

また、今月上旬に米中が通商面部分合意に関して署名する、との見方もやや市場参加者のリスクテイク意欲を回復させた。

【本日の価格見通し総括】

本日は引き続き、米国とイランの対立状況をにらみながらの展開が予想されるが、現時点でイランが直ちに報復に出るとは考え難く、恐る恐るリスクテイクの動きが強まり、景気循環銘柄が物色される流れになるだろう。

同時に安全資産の代表格である金は、原油価格が高止まりする中で物色されると予想する。

ただし、米国・イランの問題はどのように展開していくか全く予想がつかないため、結局、経済統計に立ち返る必要があると考える。

本日予定されている経済統計では、米ISM非製造業指数に注目している。

米ISM非製造業指数は米GDPの7割を占める個人消費の先行指標の1つであるが、市場予想は54.5(前月53.9)と改善が見込まれており、予想通りであれば景気循環系商品価格の上昇要因となる。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

年初は何と言っても米軍によるイランの攻撃の影響が、市場の楽観ムードに水を差す形となった(詳しくは昨日の号外並びに本日のMRA's Eye、明後日に掲載予定の原油価格見通しをご参照ください)。

現在、ゲタはイラン側に預けられており、出方によっては開戦のリスクの可能性は十分にあり得る状態となっている。しかし、イランがどのような決断をするかは不透明でありなんとも言えないというのが正直なところだ。

ただ、年初に発表された米ISM製造業指数が悪化、2009年来の最低水準となっており、米国の連続利下げがあったものの、米中対立の長期化の影響で製造業のマインドが戻っていないことが明らかになった。

この状況でサプライサイドが意識され、原油価格が上昇していることは各種コストの上昇を通じて企業の業績に悪影響を与えることになる。結果、景況感指数から乖離して上昇している株価の調整圧力が強まる可能性は高い。

しかし弊社はかねてから、Q120に「健全な価格調整がなければ、年後半の株価暴落リスクは高まる」と指摘しており、ある意味今回のイベントリスク顕在化は、良い調整の切っ掛けになったと考えている。

仮に戦争になった場合には世界経済への悪影響は不可避であり、この状況でも開戦は回避されるというのがメインシナリオであることを考えると、しばらく健全(不健全?)な株価の情勢が続くことは2020年の市場安定に寄与すると考えている。

ただもちろん開戦となって、リスクオフ姿勢が強まる展開も十分に考えられる。この場合、リスク回避で株は下落、円高も進行、原油価格も上昇し、日本への影響は全く小さくなく、むしろ非常に大きい。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.2%→+3.0%)ている。2020年も+3.4%(▲0.1%)に引き下げた。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっている。あったとしても後1回程度(▲25bp程度)の利下げに留まる(金融面の価格下支え期待の後退)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米イランの対立が激化し、戦闘状態に陥った場合リスク回避の動きが強まり、景気の下押し要因となる場合。

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護を中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

通商面のみならず、資本フローの規制や、人権問題への制裁なども加わっており、通商面で妥協があったとしてもその他の分野での制裁発動の可能性は高い。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫していることで、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、サウジアラビアがイランに対して報復攻撃を行うなどのリスク。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。EUは英国のEU離脱期限延長で合意し、英総選挙では保守党が圧勝した。目先は無秩序離脱の可能性が後退するため価格の上昇要因。ただし、2020年12月末の移行期間までに条件で合意できなければ、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・中国政府が「法律に基づき」過去のGDPの見直しを行うと発表しているが、この見直しによって統計が悪化する可能性は高く、景気循環銘柄価格の下落要因に。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は行ってこいでほぼ前日水準で引けた。米国とイランの対立激化への懸念から上昇してスタートしたが、イランの報復がどのような内容になるか見極めたい(というよりはどのような選択がされるか全くわからない)との姿勢が強まり、引けにかけて水準を切り下げる流れとなった。

【原油価格見通し】

原油価格は米国とイランの軍事的緊張が高まっていること、この状況でも米中が通商面で合意する方向であることから高値圏を維持すると考える。さらなる上昇があるとすれば、米国とイランの対立がさらに具体化すること、経済統計の改善などが必要になるだろう。

アナリストの中では「開戦したのと同じ」とのコメントを目にするが、実際に両国の主力部隊による攻撃が起きた訳ではないため、まだ開戦とみなすのは時期尚早だろう。ただし、両者の攻撃に対して、両者とも報復を示唆している。これは経済制裁というよりは武力行使を意味している可能性が高く、開戦のリスクは無視できなくなってきた。

今のところ、イラン側がボールを持っていると考えられるが、今後の報復の選択肢は以下が考えられる。しかし1.以外は武力衝突を示唆するものであり、イランもそうやすやすとカードを切れるわけではない。

1.イランの濃縮活動の再開(これはすでに実施)2.イラク・サウジアラビアにある米軍施設の攻撃3.米国に対するサイバー攻撃4.ホルムズ海峡の封鎖5.イエメンのフーシ派のテコ入れ6.イスラエルに対する攻撃(ヒズボラ使用)

希望的観測も含めれば、3月にOPECプラス総会が予定されていることから、欧州などの仲介で「米・イランの話し合いがもたれるかもしれない」といった期待を高め、フェードアウト、というのが実は一番あり得るシナリオかもしれない。

仮に開戦となれば、サイバー攻撃を除き、いずれもホルムズ海峡封鎖懸念が意識される。まずはサウジのアブカイク攻撃時の75ドルを目指し、そこを抜けるとオプションの建玉が積み上がっている、80ドル、85ドル、90ドル、100ドルが価格の目処として意識されることになろう。

ただし現実的には、米ISM製造業景況指数が悪化しており、まだ世界の景気に底入れ感が出ている訳ではないこと、各国の戦略備蓄放出の可能性、原油価格上昇が市場参加者のリスク回避姿勢を強めることから、上昇余地も限定されることになるだろう。

今回の中東情勢次第であるが、この状態が続けばOPECプラスの減産は3月を待たずに終了する可能性がある。仮にイランと米国の対立が鎮静化した場合、3月のOPECプラス臨時会合では、減産継続が議論されると予想される。

米中交渉は通商面で合意の見通しだが、香港やウイグル族の人権問題まで米国が対象を拡大して中国も報復、先行きが引き続き不透明。結局、部分的な合意には至るものの、長期的には米中いずれかがあきらめるまで継続するため、やはり景気循環銘柄価格の下落要因、と整理しておくべきだろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないだろう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。今のところ米政権は中間層への減税を検討しているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

なお、景気の減速に伴う価格下落(歳入確保のための増産)やサウジアラビアに対するドローン攻撃(テロの低コスト化・大規模化に伴う供給途絶)の影響で、供給側(特にOPECプラス)の動きが価格に与える影響は無視できなくなっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。中国の石炭輸入が減速していることや、暖冬傾向や供給増加観測で天然ガス価格が低迷していることが材料となっている。

【石炭価格見通し】

石炭価格はピークシーズン入りしていることから、上昇すると見るが、欧州地域の景況感悪化に伴う天然ガス価格の低迷、中国統計の減速、中国政府の石炭輸入制限(年間2億8,000万トン)を受けた輸入需要の減速を受けて低水準を維持する見込み。

バルチック海運指数は、予想通り下落している。中国政府が特に石炭に関して輸入量を2018年並みにする目標であることが影響している。

11月の中国の貿易統計では、石炭輸入は燃料炭・原料炭合計で2,078万トンと前月から減速、過去5年平均を下回った。

同時に10月の中国石炭生産が、同じ時期の過去5年の最高を上回る3,341万トンとなった。中国の国内供給は増加している状況であり、貿易市場は緩和する見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC総会では現状追認の▲50万バレルの追加減産が決定され、さらにサウジアラビアが▲40万バレルの自主減産を決定、原油価格の上昇要因に。

ただし、減産は3月末までであること、非OPEC(ブラジルやノルウェーなど)の増産見通しもあることから、OPEC減産の影響は限定される、というのが引き続きメインシナリオ。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。11月の貿易統計では、原油の輸入が4,574万トン(1,128万バレル/日)と過去最高を更新。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・米国とイランの軍事衝突が顕在化する場合。影響の度合いによるが、油田が破壊されたり、ホルムズ海峡が封鎖されたりなどの著しい供給途絶が発生する可能性がある。

トルコ軍のシリアへの侵攻により、イスラム国の兵士16,000人が域外に逃亡した。これにより中東地区の地政学的リスクが高まっている。

サウジアラビアのアブカイクへのドローン攻撃でテロが低価格化・大規模化することが分かったことは、中東の供給途絶リスクを従来よりも高めるものであり、従来以上に中東情勢は重要に。

・ブラジルのOPEC加盟。ブラジルの生産量は2018年で268万バレルであり、世界供給の2.8%に達するため、実際に加盟し、サウジアラビアの意向に沿う生産を行うならば、OPECの価格支配能力は若干の改善が見込まれる。

仮に期待通り来年の世界景気が夏頃にかけて底入れした場合、生産制限は顕著な価格上昇要因となり得るため、その点は注意。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングが増加、ショートが減少している。景気への楽観と減産への期待が強気のポジションテイクとさせている。

Brentはロングが増加、ショートも増加している。景気への楽観とOPECプラスの減産が3月で終了する見込みであることがショートを増加させた。

しかし、米国とイランの対立懸念が強まっており、主に供給側のリスクが意識されるため今週はショートの買戻しが加速すると予想される。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが626,848枚(前週比 +1,546枚)、ショートが71,991枚(▲3,234枚)、ネットロングは554,857枚(+4,780枚)、Brentが486,509枚(前週比+13,297枚)、ショートが75,979枚(+5,222枚)、ネットロングは410,530枚(+8,075枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇した。米国とイランの対立激化への懸念からリスク回避の売り圧力が強まっていたが、同問題はイランの対応待ちであり、どのようなことが起きるか全く想定できないため、一旦リスク回避の動きが弱まったことが材料となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は米国とイランの緊張の高まりにより、株式市場でリスクオフの流れが強まっていることから同様に投機的な売り圧力が強まると予想されること、中国の公共投資の影響が季節的に一巡していることから、軟調な推移になると予想する。

また、欧州PMIの悪化、米ISM製造業指数の悪化なども価格を下押ししよう。ただし最大消費国である中国の製造業PMIが閾値の50を上回っていることもあり、下げ余地も限定されると考える。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないと予想される。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めていることが、非鉄金属においても今後の大きなテーマとなると見られる。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的にはインドの構造的な需要増加や、環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想されるが、より短期的には、中国、欧州の景気がどこで底入れするのか、米国経済の後退がいつから始まるのかに依拠する。

今年の大統領選挙を睨んで米国がどのような対応をしてくるかが不透明であるが、こうした政策期待効果を除けば、底入れ感が出てくるのは来年の春~夏にかけてになると見ている。中期的には現状水準でのもみ合いが続こう。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか(従来見通しを変更)。

ニッケルは、1月から供給が停止されたが、中国の前倒し調達の影響でそれほど大きな問題にならないと予想される。しかし、実際にインドネシアの供給が止まれば、シェアはニッケル含有分ベースで25%であるため、原油に例えれば、サウジアラビアとロシアの供給が同時に停止するぐらいのインパクトがある話であり、やはり価格には上昇圧力が掛かりやすい。

米中通商合意が1月上旬に署名される見通しであること、2014年の規制開始後の動きを勘案にすると、輸出規制開始となる1月から価格が上昇し(価格がすでに大きく調整しており、割安感があることから上昇タイミングを前倒し)、来年7月頃(下期)からの下落が予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは回復し、閾値の50を維持。しかし、規模別でみた場合、中小企業の景況感はまだ50を上回っていない。価格へのプラスの影響は緩やかなものに止まろう。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-11月期中国工業生産は前年比+5.6%(1-10月期+5.6%)と横ばいだったが、11月は+6.2%(前月+4.7%)と改善(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-11月期中国固定資産投資は前年比+5.2%の53兆3,718億元(1-10月期+5.2%の51兆880億元)と横ばい、公的部門+6.9%(+7.4%)は減速したが民間部門は若干の改善が見られる(+4.4%→+4.5%)。ただし全体では横ばいであり、減速トレンドに大きな変化はない(ストック需要の減速=価格下落要因)。

・1-11月期中国不動産開発投資は前年比+10.2%の12兆1,265億元(1-10月期+10.3%の10兆9,603億元)と減速している。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・11月の銅地金・製品の輸入量は43万3,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も215万7,000トンとやはり過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・米・イラン対立による世界的なリスクオフ姿勢が強まり、非鉄金属市場でもリスク回避の動きが強まった場合(価格の下落要因)。

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、Valeの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

HydroのAlunorteアルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・12月27日付のLMEポジションはまちまちだった。年末を控えたポジション調整が主体だったと考えられる。

銅はロングが増加、ショートが減少。引き続き中国の公共投資が意識されている。亜鉛はロングが減少、ショートも減少しておりポジション調整の動き。

鉛は気温が例年よりも温暖であることから総じて売り圧力が強く、ネットロングは減少。ニッケルも年内の供給不安が後退していることからどちらかといえば弱気なポジション取りとなった。

アルミは年末に向けたポジション調整でネット売り越し幅を縮小。錫も同様だった。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は+15.6億ドル(前週+9.7億ドル)と買い越し幅を拡大した。買い越し額の増加率は+61.1%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで147千トン(前週▲79千トン)と買い越しに転じた。ネット買い越しの増加率は▲285.6%。

売り越しとなっている非鉄金属はアルミのみとなった。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物市場は休場。中国鉄鋼製品先物価格は小動きだった。

中国の247の鉄鋼ミルの稼働率が78.4%と先週の76.89%から上昇し、鉄鋼向け需要が増加しているとみられたことが価格を押し上げた。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、最大消費国である中国の公共投資に伴う需要増加や、冬場の鉄鋼製品生産規制から鉄鋼製品価格が高止まりしていること、豪州のサイクロン発生懸念による出荷の遅れ、Valeの販売調整観測で価格は底堅い推移になると考える。

米中が貿易交渉で部分合意、これ自体は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

イランと米国の開戦リスクが高まっているが、鉄鋼原料はその他の商品ほど思惑で価格が動き難く、直接的な影響がまだ顕在化していないことから影響は限定されると考える。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

原料炭も鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、同様に下値余地を探りやすくなっている。足元の価格は特に春以降、季節性を無視して水準を切り下げている。

価格の上昇があるとすれば、その他の景気循環系商品と同様、春~夏に掛けてになると見る。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは43.1(前月45.4)と再び減速した。新規受注の落ち込み(43.8→36.2)によるものであり、内外需とも不調である。これに伴い在庫水準も積み上がっており、需給ファンダメンタルズが緩和しつつあることを示唆している。価格には下押し要因に。

・1-11月期中国工業生産は前年比+5.6%(1-10月期+5.6%)と横ばいだったが、11月は+6.2%(前月+4.7%)と改善(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-11月期中国固定資産投資は前年比+5.2%の53兆3,718億元(1-10月期+5.2%の51兆880億元)と横ばい、公的部門+6.9%(+7.4%)は減速したが民間部門は若干の改善が見られる(+4.4%→+4.5%)。ただし全体では横ばいであり、減速トレンドに大きな変化はない(ストック需要の減速=価格下落要因)。

・1-11月期中国不動産開発投資は前年比+10.2%の12兆1,265億元(1-10月期+10.3%の10兆9,603億元)と減速している。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

11月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は457万5,000トンと過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入もほぼ季節性通り減少し、2,078万1,000トンとなった。予想通り輸入は減速している。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の11月の鉄鉱石の輸入量は前月からは減速したが9,290万トンと高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、7,804.8万トンに達しているため、冬場の鉄鋼製品生産規制がやはり実施される見込みであることを考えると、輸出市場における鉄鉱石需給は緩和する可能性が高い。

・中国の鉄鋼製品在庫水準のが低下していることは価格の上昇要因。鉄鋼製品在庫は前週比+25.8万トンの791.2万トン(過去5年平均865.11万トン)と例年を下回っている。

なお、11月の鉄鋼製品の輸出は457万5,000トンと過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲100万トンの1億2,975万トン(過去5年平均1億2,026万トン)、在庫日数は▲0.2日の29.8日(過去5年平均 32.4日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化している。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・Vale、Rio Tintoの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む金融市場の緩和を進めているほか、地方政府にも債券発行枠の前倒しを認めるなど、景気テコ入れのため公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は上昇後下落したが、前日比プラスで引けた。米国とイランの対立が激化し、原油価格が高騰して実質金利が低下していること、地政学的リスクを意識した安全資産需要が増加していることが材料となっている。

ただし、米・イランの対立の今後について様子を見たいとする向きが強まり、株価が戻る中で水準を切り下げたが前日比プラスで引けた。

PGMは金銀価格の上昇を受けて上昇していたが、金価格の下落を受けて水準を切り下げ、プラチナは前日比マイナスで引けた。パラジウムはほぼ一貫して水準を切り上げ、2,000ドルを越えて引けた。

【貴金属価格見通し】

金価格は中東情勢不安で実質金利が低下していることから、高値圏で推移すると考える。なお、実質金利と金価格の分析結果によれば、現在の安全資産としてのリスクプレミアムは220ドル程度であり、今回の価格上昇は原油価格の上昇に伴う実質金利低下の影響が大きい。

ただし、12月20日以降に中東情勢不安の高まりや、英国の2020年末の無秩序離脱の可能性を意識しつつ、プレミアムは30ドル程度上昇している。

このほか、ブラジル・アルゼンチンに対する関税引き上げなどの通商問題は解決しておらず、米中問題も完全に解決したわけではないこと、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡り、米中の対立が激化する可能性があることもリスクプレミアムの押し上げ材料である。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、実質金利を基にすれば、▲200ドル程度(地政学リスクプレミアム)金価格は下落することになる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は上昇していたが、再び下落に転じている。それでも現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられる。

PGM価格は金銀価格が高値圏で推移するとみられることから、同様に高値圏での推移になると予想する。世界の自動車販売減速に底入れの兆しが見えること、米中合意などが価格を下支えすると考えられる。

中国の自動車販売が17ヵ月連続のマイナスとなるなど、需給ファンダメンタルズ面は需要面の減速が懸念される状況。世界自動車販売も15ヵ月連続の前年比マイナス。しかしいずれも前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高まっている。

やや懸念されるのが、12月の米自動車販売は1,670万台(前月 1,709万台)と再び失速している点。今後、米国政府が宣言通り中間所得者層向けの減税が実施できるか、長期金利上昇を抑制できるかに注目が集まろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは米統計の悪化懸念がやや後退していることから、追加利下げの可能性が大きく後退している。仮に追加利下げがあったとしても来年1回程度とみられるため、下支え効果は限定。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・米・イラン開戦に伴う原油価格上昇による実質金利の低下、および安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、基本的に覇権争いであるためこの問題が簡単に片付くことはなく、安全資産需要を下支えする見込み。

米国は中国の知的財産権侵害や技術の強制移転などの解決と、それによって民間技術が軍事転用されないようにすることが最終目標であり、根本的な解決には相当な時間がかかる見込み(価格の下支え要因)。

・トルコ政府はシリアへの侵攻で発生した空白地帯に、シリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も(金銀価格の上昇要因)。

・英国のEU離脱はEUが離脱期限延長で合意、選挙でも保守党が勝利したため合意離脱の可能性が高まったことは、金価格の下落要因に(ただし、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金・銀共にロングが増加、ショートが減少しており積極的に強気のポジション取りとなっている。リスク回避姿勢の強まりが背景。

PGMはプラチナのロング増加が顕著、パラジウムは価格上昇もあってロングの解消圧力が強まっている。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが381,620枚(前週比 +17,310枚)、ショートが53,695枚(▲4,963枚)、ネットロングは327,925枚(+22,273枚)、銀が106,310枚(+5,280枚)、ショートが36,582枚(▲2,026枚)、ネットロングは69,728枚(+7,306枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが71,575枚(前週比 +4,527枚)、ショートが9,412枚(▲1,144枚)、ネットロングは62,163枚(+5,671枚)、パラジウムが15,264枚(▲412枚)、ショートが3,942枚(▲727枚)、ネットロングは11,322枚(+315枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物は高安まちまち。米・イランの対立によって世界の情勢が不安定化し、穀物輸送にも影響が出るとの見方が価格を下押しする一方、米中合意が輸出需要を増加させるとの見方が価格を押し上げたため。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は堅調な推移になると考える。米中が通商面で合意したことで、米国産穀物の輸出増加観測が強まること、アルゼンチンが穀物に輸出税を賦課すると決定したこと、英選挙結果を受けてユーロ高・ドル安が進行しやすいことが金融面で価格を押し上げるため。

米国とイランの対立が世界の海上輸送を減速させる、あるいはイランを中国が支持しているため、米国からの農産品購入を含む通商合意に影響を与えるのでは、との見方もあり市場では売り材料とされている。

しかし、景気循環銘柄が売られる流れになるならば、非景気循環銘柄が逃避先として物色される、というのが基本的な見方だ。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は冬小麦の作況が悪化していることが買い材料視されており、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、こちらには上昇圧力が掛かりやすい。

ただし「小麦は雑草」の格言通り、最終的には供給は間に合うと予想され、上昇余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・12月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億6,100万Bu(前月136億6,100万Bu)大豆 35億5,000万Bu(35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・12月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 19億1,000万Bu(市場予想18億6,119万Bu、前月19億1,000万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億7,381万Bu、4億7,500万Bu)小麦在庫 9億7,400万Bu(10億878万Bu、10億140万Bu)

・9月末の四半期在庫トウモロコシ 21億1,400万Bu(市場予想24億1,804万Bu)大豆 9億1,300万Bu(9億8,126万Bu)小麦 23億8,500万Bu(23億1,858万Bu)

(特殊要因)

・米中通商交渉は部分合意したと伝えられており、足元シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、長期化の可能性は高くシカゴ定期の下落要因に。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は収束したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に来年以降にかけて価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・投機のポジションは、トウモロコシのロング・ショートが増加、大豆はロング・ショートとも減少、特にショートの減少が顕著。小麦はロングが増加、ショートが減少している。米小麦在庫の水準の低さが影響しているとみられる。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが315,107枚(前週比 +10,577枚)、ショートが278,858枚(+962枚)、ネットロングは36,249枚(+9,615枚)、大豆はロングが132,134枚(▲9,559枚)、ショートが102,555枚(▲19,897枚)、ネットロングは29,579枚(+10,338枚)、小麦はロングが127,253枚(+3,786枚)、ショートが93,202枚(▲2,189枚)、ネットロングは34,051枚(+5,975枚)

◆本日のMRA's Eye


「2020年商品市場見通し」

2019年の商品市場は景気循環的には減速局面にあり、何もなければ相場は軟調に推移しておかしくない年であり、多くの政治イベントが顕在化したものの値幅という意味ではこの10年で見た場合、比較的狭いレンジで推移する年となった。

米中通商戦争が一旦落ち着きを見せていることから、2020年は恐らく循環的な景気底入れ期待が高まり、11月の米大統領選挙を控えて多くの商品価格上昇余地を試す展開になると予想される。その後、大統領選挙終了の「宴の後」に相場が調整するのがメインシナリオだ。

イベントリスクが顕在化しない、という前提で考えると世界景気の動向は、各国の製造業PMIを見るにまだ世界経済は底入れしていない。欧州の製造業PMIは引き続き閾値の50を下回っている。

最大経済国であるドイツが国内の自動車販売の低迷や最大貿易相手国である中国の減速が影響している。日本はアベノミクス効果が一巡、海外の減速と相まって不調のままだ。

米国の製造業PMIは閾値の50を上回っているが、もう1つの重要なマインド指標であるISM製造業指数は12月予想外に悪化し、2009年のリセッション以来の低水準となった。この状況を見るにまだ米国の景気先行きは不透明である。

しかし恐らく、4月以降は大統領選が本格化し、昨年クドロー米国家経済会議委員長が発言しているように夏頃に中所得者層を対象とする減税が行われる見込みであり、景気循環と関係なく米経済が過熱する可能性がある。

その後、大統領選が終了し、仮にトランプ大統領が勝利した場合、「これ以上の大盤振舞は不要」となり、リスク資産価格の下落要因になると見る。

民主党が勝利した場合、社会保障などに力を入れ、対中政策も強硬になることが予想されるため、こちらの場合でも景気に調整圧力が掛かる可能性が高いと考える。

個別セクターに目を移すと、今年はいきなり原油価格動向が不透明になってきた。いわゆる「中東有事」のリスクシナリオが顕在化する可能性が出てきたためだ。

イラク北部での米軍基地攻撃で米兵1名が死亡。誰の犯行かはわかっていないが米軍はこれをイラン側の犯行とみなし、年明けにイラン革命防衛隊のコッズ部隊を率いるソレイマニ司令官を殺害した。

コッズ部隊はイラン国外での特殊作戦に従事する米国で言えばCIAなどに相当する組織であり、その長官が殺害されたわけでイラン側からすれば「何もなかったこと」にすることは、国内世論を考えてもできる選択ではないだろう。今後の米政府、イラン ハメネイ師の反応次第であるが今のところイランは報復を宣言しており、「開戦」のリスクは小さくない。

この場合、原油価格はイランを包含する有事発生によりホルムズ海峡封鎖リスクを意識せざるを得ず、仮に開戦となればまずはアブカイク攻撃時に試した75ドルをトライし、90ドル程度まで上昇する可能性がある。

しかし、冒頭のコメント通り世界の景気はまだ底入れしていないことから、戦闘の程度にもよるが上昇余地や上昇期間は限定されると予想される。もちろん開戦が回避される可能性も十分にあり得る。

米議会は対イランで強硬姿勢であるが、トランプ大統領は通商面でディールをしたいものの、基本的に戦争は望んでいないためだ(原油セクターの見通しは次回のMRA's Eyeで詳細に解説の予定です)。

非鉄金属は中国動向に左右される。年末は中国の公共投資や、米中通商戦争一時停戦によって投機の買戻しが価格を押し上げたが、年初早々の米国のイラン司令官殺害を受けた有事発生を懸念して、軟調な推移となっている。

また発表された米ISM製造業景況観指数の悪化も価格を押し下げている。仮に米・イランが開戦となればリスク回避で株は売られることになり、非鉄金属市場でもリスク回避の売り圧力が強まることになるだろう。

中国の景気刺激のための公共投資は、鉄鋼製品需要の押し上げを通じて亜鉛などのメッキ需要、配電網整備のための電線向け需要が見込まれる銅、建材に用いられるアルミなどの需要を押し上げると期待されるが、鉄鋼製品ほどの需要押し上げとはなり難い。

結果、中国経済の動向に左右される形が継続すると見られるが、恐らく中国の追加的な景気刺激策が顕在化するのは3月の全人代が終了した後の4月移行になると予想される。

それ以上に2020年のテーマになりそうなのが、各国で発生している反政府デモなどの動きである。南米の優等生であるチリで大規模なデモが発生し、銅鉱石の輸出にも影響が出た。

足元、世界景気はまだ底入れしておらず、言葉を変えればこの数年で最も景況感が悪いタイミングであり、特に新興国や資源国では暴動が発生しやすい。

景気が完全に回復軌道に入らなくても原油のように非鉄金属価格が上昇するリスクは無視できない。そのリスクが強まるのは需要が循環的に回復する可能性が高い4月以降になるだろう。

貴金属は米国の利下げ観測の打ち止めと、米中合意からやや軟調な推移になると見られていたが、米・イラン情勢の緊張を受けた原油価格の高騰が実質金利を押し下げており、金銀とも年初から大幅な上昇となっている。

今後の金銀価格動向は、中東情勢をにらみながら神経質な推移になるだろう。中東情勢が鎮静化し、原油価格が下落すれば金銀価格も下落すると予想されるが、恐らく50ドル程度の下落に留まるだろう。なお、現在実質金利から乖離して上昇しているいわゆる「リスクプレミアム」は220ドル程度とみられ、仮に地政学的リスクがすべてなくなれば、金価格は1,300ドル前半まで水準を切り下げると予想される。

しかし、米中の今後が不透明であり、中東情勢も不安定で、ブレグジットも無秩序離脱の可能性が排除できないこと、といった目に見える地政学的リスクは多く、この220ドルのプレミアムが完全に剥落するのは難しいと考える。

PGMは供給不足と世界的な自動車販売の減速幅縮小でパラジウム価格が堅調に推移しているが、今後も高値圏を維持するだろう。

プラチナはまだ技術的にパラジウムの代用品になるとは考えにくいが、貴金属セクター全体が地政学的リスクやその他の要因で高値推移するため、相対的な割安感が強いことから循環物色で高値を維持すると予想される。

しかしこれも、中東情勢が鎮静化して原油価格が下落、実質金利が低下すればその限りではない。

農産品は米中合意が価格を押し上げると予想されていたが、年初の米・イランの対立激化に伴う原油価格上昇で水準を切り下げた。解釈とすると「原油価格の上昇による輸送コストの増加」で輸出需要が減速するとの整理だ。

しかし、実際には戦闘状態になると世界経済が混乱するため非景気循環系商品がディフェンシブに物色される可能性は高く、世界的に穀物余りではあるものの高値を維持すると予想される。

やや懸念は今年の4月以降にラニーニャ現象が発生する可能性があることだ。これは2009年~2010年にアラブの春が発生した時と状況が類似する。

食品価格の上昇は不安定な新興国経済にマイナスに作用し、現在各地で頻発している反政府デモの動きを加速させる可能性がある。そのリスクは十分注意する必要があるだろう。

◆主要ニュース


・12月日本製造業PMI改定 48.4(速報比▲0.4、前月改定 49.8)

・12月日本自動車販売 前年▲9.5%の226,951台(前月▲14.6%の238,844台)
 乗用車▲9.5%の194,765台(▲14.5%の205,814台)
 トラック▲9.6%の31,203台(▲14.6%の32,244台)
 バス▲19.4%の983台(▲23.2%の786台)

・12月中国製造業PMI 50.2(前月50.2)
 生産 53.2(52.6)
 新規受注 51.2(51.3)
 輸出新規受注 49.9(49.8)
 受注残 45.0(44.9)
 輸入 49.9(49.8)
 完成品在庫 45.6(46.4)
 原材料在庫 47.2(47.8)
 雇用 47.3(47.3)

・12月中国鉄鋼業PMI 43.1(前月45.4)
 生産 44.1(43.4)
 新規受注 36.2(43.8)
 輸出新規受注 35.6(43.8)
 完成品在庫 43.7(27.1)、原材料在庫 48.9(39.2)

・12月中国非製造業PMI 53.5(前月54.4)
 新規受注 50.4(51.3)
 新規輸出 47.8(48.8)
 受注残 44.5(44.6)
 在庫 47.2(47.4)
 雇用 48.3(49.0)

・12月中国財新製造業PMI 51.5(前月 51.8)

・12月中国財新サービス業PMI 52.6(前月53.2)、コンポジット 52.5(53.5)

・12月インドサービス業PMI 53.3(前月52.7)、コンポジット 53.7(52.7)

・12月独製造業PMI改定 43.7(速報比+0.3、前月改定 44.1)、ユーロ圏 46.3(+0.4、46.9)

・12月独失業者数 前月比▲34.6千人(前月+20.5千人)、失業保険申請率 5.0%(5.0%)

・12月独消費者物価指数改定 前月比+0.6%(前月▲0.8%)、前年比+1.5%(+1.2%)

・11月独小売売上高 前月比 +2.1%(前月▲1.3%)、前年比+2.8%(+1.4%)

・12月独サービス業PMI改定 52.9(速報比+0.9、51.7)、コンポジット 50.2(+0.8、49.4)

・12月ユーロ圏サービス業PMI 52.8(速報比+0.4、51.9)、コンポジット 50.9(+0.3、50.6)

・1月ユーロ圏センティックス投資家信頼感 7.6(前月0.7)

・11月ユーロ圏生産者物価指数 前月比+0.2%(前月±0.0%)、前年比 ▲1.4%(▲1.9%)

・12月米コンファレンスボード消費者信頼感指数 126.5(前月改定 126.8)
 現況指数 170.0(166.6)
 期待指数 97.4(100.3)
 6ヵ月以内自動車購入 12.9(12.5)
 住宅 6.0(4.7)

・米週間新規失業保険申請件数 222千件(前週224千件)、失業保険継続受給者数 1,728千人(1,723千人)

・12月米製造業PMI改定 52.4(速報比▲0.1、前月改定 52.6)

・12月米ISM製造業景況指数 47.2(前月48.1)
 仕入れ価格 51.7(46.7)
 生産 43.2(49.1)
 新規受注 46.8(47.2)
 受注残 43.3(43.0)
 在庫 46.5(45.5)
 顧客在庫 41.1(45.0)
 雇用 45.1(46.6)
 輸出 47.3(47.9)
 輸入 48.8(48.3)

・11月米建設支出 前月比 +0.6%(前月改定+0.1%)

・12月米自動車販売年率 1,670万台(前月 1,709万台)

・12月米サービス業PMI改定 52.8(速報比+0.6、51.6)、コンポジット 52.7(+0.5、52.0)

・米ボルトン前大統領補佐官、弾劾裁判出席に前向き。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油▲11.5MB(クッシング▲1.4MB)
 ガソリン+3.2MB
 ディスティレート+8.8MB
 稼働率+1.2

 原油・石油製品輸出 8,770KBD(前週比+111KBD)
 原油輸出 3,391KBD(▲21KBD)
 ガソリン輸出 812KBD(▲17KBD)
 ディスティレート輸出 1,212KBD(+158KBD)
 レジデュアル輸出 165KBD(±0KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,160KBD(▲69KBD)
 その他石油製品輸出 1,806KBD(+41KBD)。

・DOE天然ガス稼働在庫 3,193BCF(前週比▲57BCF)
 東部 771BCF(▲25BCF)
 中西部 905BCF(▲18BCF)
 山間部 173BCF(▲4BCF)
 太平洋地区251BCF(▲9BCF)
 南中央 1,093BCF(▲1BCF)

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数670(前週比▲7)、 ガスリグ 123(前週比▲2)。

・米トランプ大統領の指示で、イラン革命防衛隊の司令官殺害。イランは報復を宣言、手始めに核濃縮を再開。

・イラク議会、米軍の撤退を決議(法的拘束力なし)、これに対してトランプ大統領、「撤退するなら米軍基地の建設費用を払い戻せ」。

・レバノンでもソレイマニ司令官の追悼式。

・ロシア、ウクライナ経由のEUへのガス供給5年延長。

・12月OPEC原油生産、前月比▲5万バレルの2,950万バレル。ナイジェリアとイラクが減産順守(ロイター調べ)。

・トルコ エルドアン大統領、リビアのシラージュ暫定政権を支持するため、トルコ軍の派遣を開始。

【メタル】
・Goldman Sachs、「2020年は銅に強気。鉱石輸出が停止されるニッケルにも強気。アルミと亜鉛はマージンの水準の高さから亜鉛とアルミに弱気。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TCM原油 ( エネルギー )/ +6.35%/ +6.35%
2.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +6.17%/ +4.42%
3.ビットコイン ( その他 )/ +4.37%/ +6.00%
4.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ +3.16%/ +2.31%
5.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +2.84%/ +1.45%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲5.72%/ +0.35%
69.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲3.32%/ ▲5.82%
68.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲3.01%/ ▲1.51%
67.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲2.38%/ ▲0.16%
66.LIFFEココア ( その他農産品 )/ ▲2.19%/ ▲1.65%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :28,703.38(+68.50)
S&P500 :3,246.28(+11.43)
日経平均株価 :23,204.86(▲451.76)
ドル円 :108.39(+0.30)
ユーロ円 :121.35(+0.71)
米10年債利回り :1.81(+0.02)
独10年債利回り :▲0.29(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.02(▲0.01)
中国10年債利回り :3.13(▲0.01)
ビットコイン :7,587.56(+317.74)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :21.68(+0.67)
エネルギー :21.69(+0.09)
ベースメタル :16.40(▲0.09)
貴金属 :15.85(+0.66)
穀物 :16.60(+0.33)
その他農畜産品 :27.79(+1.39)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :15.50(+0.15)
Brent :21.28(+0.1)
米天然ガス :43.87(▲0.07)
米ガソリン :18.74(+0.05)
ICEガスオイル :18.44(+1.05)
LME銅 :11.41(+0.01)
LMEアルミニウム :12.18(+0.38)
金 :11.58(▲0.1)
プラチナ :22.10(+1.59)
トウモロコシ :24.65(▲0.21)
大豆 :11.58(▲0.1)

【エネルギー】
WTI :62.83(▲0.22)
Brent :68.47(▲0.13)
Oman :69.17(+0.37)
米ガソリン :174.32(▲0.56)
米灯油 :202.45(▲3.69)
ICEガスオイル :616.75(▲8.75)
米天然ガス :2.15(+0.02)
英天然ガス :31.18(▲1.89)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :68.47(▲0.13)
SPO380cst :312.64(+13.82)
SPOケロシン :79.82(▲0.48)
SPOガスオイル :80.15(▲1.10)
ICE ガスオイル :82.79(▲1.17)
NYMEX灯油 :201.65(▲1.41)

【貴金属】
金 :1565.74(+13.54)
銀 :18.15(+0.09)
プラチナ :963.44(▲18.56)
パラジウム :2032.15(+42.32)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,120(+15:22C)
亜鉛 :2,320(+49:15B)
鉛 :1,910(+7:10C)
アルミニウム :1,822(+28:31C)
ニッケル :13,830(+20:35C)
錫 :16,850(+50:25B)
コバルト :31,834(▲16)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6143.00(+5.50)
亜鉛 :2319.50(+9.50)
鉛 :1919.00(+4.00)
アルミニウム :1832.00(+13.00)
ニッケル :13810.00(+35.00)
錫 :16875.00(+105.00)
バルチック海運指数 :907.00(▲69.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :87.73(+0.41)
SGX鉄鉱石 :93.82(+0.46)
NYMEX鉄鉱石 :93.85(+0.44)
NYMEX原料炭スワップ先物 :休場( - )
上海鉄筋直近限月 :3,755(+8)
上海鉄筋中心限月 :3,549(▲3)
米鉄スクラップ :休場( - )

【農産物】
大豆 :932.75(+2.25)
シカゴ大豆ミール :297.70(+1.60)
シカゴ大豆油 :34.24(▲0.57)
マレーシア パーム油 :3036.00(▲74.00)
シカゴ とうもろこし :384.75(▲1.75)
シカゴ小麦 :550.00(▲4.50)
シンガポールゴム :166.00(+4.00)
上海ゴム :12675.00(+165.00)
砂糖 :13.73(+0.42)
アラビカ :122.15(▲4.20)
ロブスタ :1325.00(▲19.00)
綿花 :70.04(+0.84)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :68.63(+0.08)
シカゴ生牛 :127.28(+2.55)
シカゴ飼育牛 :147.43(+4.08)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。