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【号外】米・イランの緊張
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年1月6日 号外

◆本日のMRA's Eye


「米・イランの緊張」

2019年12月27日、イラクキルクークのイラク軍基地を武装勢力がロケット弾で攻撃、米兵1名が死亡した。米国はこの攻撃を「カタイブ・ヒズボラ」の犯行として非難。

カタイブ・ヒズボラはイラン革命防衛隊「コッズ部隊」が支援していると考えられており、この攻撃に対して米国は2020年1月3日、無人攻撃機でバグダッド国際空港を空爆、コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官と、親イラン民兵組織「人民動員隊(PMF)」の、アブ・マフディ・ムハンディス副司令官を殺害した。

米国側からすれば、実質的にイランの影響力が増しているイラクにおいて、その戦略を実質的に練っていると考えられるソレイマニ司令官を殺害するのは選択肢の1つであった。

コッズ部隊は対外特殊活動を担当し、米国におけるCIAと同格の軍事組織であり、今回の殺害は単なるテロリストの排除という位置づけではない。しかしそのことは、イラン側としてもこの状況を看過できないことを示唆している。

既にイランは米国に対して報復を宣言、「開戦状態にある」とも発言しており、額面通り受け止めるなら、高い確率でイランは米国に報復することになるだろう。

しかし、メンツの問題もあってイランは何らかの制裁を選択することになるだろう。イランが取れる報復行為としては、1.イランの濃縮活動の再開(これはすでに実施へ)、2.イラクにある米軍基地の攻撃、3.同盟国であるサウジアラビアにある米軍施設の攻撃、4.米国に対するサイバー攻撃、5.ホルムズ海峡の封鎖、6.イエメンのフーシ派のテコ入れ、7.イスラエルに対する攻撃(ヒズボラ使用)、が考えられる。

しかし、1.以外はほぼ「開戦」を意味する行為であり、実施にはさすがに慎重になるものと考えられる。

仮に1.以外が選択された場合、米国はイランに対して報復すると宣言している。報道通りであればイランの重要施設52ヵ所を攻撃するとしており、もしそうなればこれに対しても反撃してくるだろう。

常に戦争は最終的な選択肢であり、経済的に世界的に困窮しているこの状況で開戦を選択するとは考え難いが、米トランプ大統領の選択が適切だったとは言い難く、そのリスクはゼロではないと認識する必要がある。

原油価格への影響は開戦後の戦闘状況によるが、需給バランス分析で価格の上値を推定するのはほぼ不可能だ。そのため、まずはアブカイク攻撃時点の75ドルを目指すことになる。

次はオプション建玉が積み上がっている75ドル、80ドルが「壁」となる。ここを抜けると90ドルが視野に入り、その次は飛んで100ドルだ。

しかし、米・イランの対立が沈静化すれば、年初に発表された米ISM製造業指数の悪化もあり、Brentは60ドル台前半に下落するものと予想される。