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来年の相場展望
  • MRA外国為替レポート

2019年12月23日号

◆先週の市場総括


先週は米中通商交渉の第一段階合意を受けて安心感が広がるなか始まった。しかし合意は織り込み済みで相場への影響はさほど大きくなかった。米国株は堅調、じり高で史上最高値を更新。米10年債利回りはやや上昇して1.9%台へ。

ドル円相場は109円台半ばを中心にもみ合いとなったが、どちらかというと上値重く、109円台前半で滞留する時間帯が多かった。週末にかけては利食い売りに押されて109円20銭に下落する場面もあったが引けは109円50銭。

イギリス総選挙で保守党が勝利したものの、移行期間の延長を認めない方針を打ち出したことから混乱の可能性を嫌気してポンドは前週の上昇をすべて吐き出した。

総じてクリスマス休暇を前にポジション調整が優勢となった。日経平均は24,000円の大台に乗せたところで年末を見越して利食いが優勢となり上値の重い展開。23,800円台で引け。

月曜日の東京市場は米中第一段階通商合意を好感してリスク選好が強まったなかで始まった。ドル円相場は109円30銭台で始まり堅調。40銭~50銭でのもみ合いに。ユーロ円相場は121円60銭で始まり夕刻には90銭を中心に上下した。

日経平均は前週末比小幅安の23,950円で始まったが24,000円台を回復。もっともその後は利食い売りが先行して23,950円で引けた。

海外市場でもリスク選好は続き株高・金利上昇。米国株指数は史上最高値を更新。米10年債利回りは1.88%、2年債利回りは1.64%に上昇した。ドル円相場は小幅続伸して109円60銭近辺でもみ合い。ユーロ円相場は122円10銭~20銭。ユーロは対ドルで堅調となり1.1140~50。

中国で発表された11月の重要指標はしっかり。小売売上高は前年同月比+8.0%(前月は+7.2%)、工業生産は同+6.2%(同+4.7%)、ただ都市部固定資産投資は+5.2%と前月と伸びは変わらず低迷が続いた。

米国のPMI製造業景況感指数(12月)は52.5と前月52.6から小幅悪化。NY連銀製造業景気指数(12月)は3.5と前月2.9から改善したものの予想4.0には届かなかった。ユーロ圏の製造業PMIは45.9と前月46.9から悪化した。

火曜日の東京市場のドル円相場は109円50銭~60銭近辺で小動きもみ合い。ユーロ円相場も122円ちょうど~10銭。ユーロドル相場も1.1140~50で上下した。

日経平均は米国株やドル円相場が堅調だったことから24,100円で高寄り。24,000円に下落したものの底固くじり高となり24,070円近辺で引けた。

海外市場では米国株が小幅高ながら史上最高値を更新。米長期金利は10年債利回りが1.89%に小幅上昇。為替市場ではユーロが上下。ユーロドル相場は1.1170に上昇した後1.1150に下落。ユーロ円相場は122円40銭台に上昇した後122円10銭に下落。ドル円相場は109円50銭近辺でもみ合い引けた。

発表された米国の住宅着工件数(11月)は1,365千戸と前月1,323千戸から増加してしっかり。鉱工業生産(11月)は前月比+1.1%、設備稼働率は77.3%と前月76.7%から上昇した。

水曜日の東京市場のドル円相場は109円50銭で始まり40銭台で小動きもみ合い。ユーロ円相場は122円10銭で始まり121円80銭~90銭に下落してもみ合いとなった。ユーロドル相場は1.1150から1.1130~40での上下に。

日経平均は24,000円台で始まりじり安となり引けは23,930円近辺。米国株は動きが鈍いながら引き続き堅調で小幅高。

米10年債利回りの上昇傾向は続き1.93%に。一方2年債利回りは横ばいで1.63%にとどまり2年債と10年債の利回り格差は0.3%に拡大した。

ドル円相場は109円60銭近辺で小動きもみ合い引け。ユーロ円相場は121円80銭、ユーロドル相場は1.1120近辺でもみ合い。

ドイツIFO景況感指数(12月)は96.3と前月95.0から上昇し予想95.5を上回った。IFOは、ドイツ経済は来年に向けて良好とコメント。NY連銀総裁は、これまでの利下げで景気を押し上げる環境は整ったとして金利据え置きは妥当との見方を示した。

木曜日の東京市場のドル円相場は109円60銭近辺でもみ合い。ユーロ円相場は121円80銭で始まり121円90銭~122円ちょうどに上昇。ユーロが堅調で対ドルで1.1130近辺に上昇して上下した。

日経平均は23,900円で小幅安寄り、その後は23,800円台後半でもみ合い引けは23,880円近辺。この間の上昇で24,000円の大台を前に利食い売り先行。

この日、日銀は金融政策決定会合の2日目を終えて政策変更なし。黒田総裁の会見とともに市場の反応はとくになかった。

海外市場ではクロス円相場を中心に円高の動き。ユーロ円相場は121円50銭に下落。ポンドは週明けに146円台から143円台に下落していたが続落して142円台前半へ。対ドルでも1.30へと選挙直後の上昇をすべて吐き出した。

ユーロは対ドルで1.1120台へ下落。ドル円相場は109円20銭に下落した後、持ち直して109円30銭台で引けた。

発表されたフィラデルフィア連銀製造業景気指数(12月)は0.3と前月の10.4から大幅に悪化。中古住宅販売(11月)も季節調整済み年率換算535万戸と前月の546万戸から減速。ただ手頃な価格の住宅供給が少なかった影響も指摘されていた。

トランプ大統領に対する弾劾訴追が下院で可決されたが市場は反応薄。米国株は堅調。ナスダックは7営業日続伸。3指数とも上昇して史上最高値を更新した。米10年債利回りは高下。1.91%から一時1.95%に上昇、その後1.90%に低下して引けは1.92%。2年債利回りは1.63%。

金曜日の東京市場のドル円相場は109円30銭~40銭で方向感なくもみ合い小動き。ユーロ円相場は121円50銭近辺、ユーロドル相場は1.1120近辺で、それぞれ小動き横ばいとなった。

日経平均は前日引値水準で寄り付いた後、23,700円台半ばに下落。ただその後は持ち直し23,800円台半ば中心に上下し引けは23,820円。

海外市場ではユーロが下落。ドルは堅調。ユーロドル相場は1.1070へ、ユーロ円相場は121円20銭~30銭に下落してもみ合い引けた。ドル円相場は109円50銭近辺に戻してもみ合い週末の取引を終えた。

米国株は大幅高で寄付き、その後は押し戻されたが史上最高値を更新して週間では高値引けとなった。米長期金利は前日比横ばい。10年債利回りは1.92%。2年債利回りは1.63%。

発表された米国の個人所得・消費支出(11月)は良好。所得は前月比+0.5%と高い伸び。消費支出は同+0.4%、物価上昇率を差し引いた実質でも+0.3%と前月から伸びは加速。消費、クリスマス商戦の堅調を示唆した。トランプ大統領は習近平主席と通商問題に関して電話協議を行った。

◆今週の3つの注目ポイント


1.新年の見通しコンセンサス

今週の海外市場はクリスマス休暇入りとなり週末まで動きが鈍いとみられる。休暇明けには実質的に新年入りとなり、すでに来年の見通し、投資戦略が様々な金融機関から開示されつつある。

コンセンサスが出揃い、全体として強気の見通しとなるか、波乱や調整を見込む見通しとなるか。新年の取引開始は年間の見通しに左右されることが多く、見通しが強気・弱気、リスク選好・リスク回避、どちらに収斂するかは重要。

今のところ来年の見通しについて明るい見方が多くなるとみられるが、米国株が史上最高値を更新しているなか、どれほど強気の見通しが維持できるか。

2.米国ほか海外の経済指標

新年の見通し、とくに明るい見通しを支える数字が確認できるか。年初早々の相場を左右するので重要だ。

火曜日(24日) 新築住宅販売(11月)、耐久財受注(11月)、リッチモンド連銀製造業指数(12月)

月曜日 シカゴ購買部協会景気指数(12月)、ダラス連銀製造業活動指数(12月)

火曜日(31日) 中国のPMI景況感指数(12月)、消費者信頼感指数(12月)

木曜日(1月2日) 中国の財新・製造業PMI(12月)、欧州の製造業PMI景況感指数(12月)

金曜日 米国のISM製造業景気指数(12月、予想49.0、前月48.1)、FOMC議事録(12月開催分)

3.ポジション調整・リスク回避の有無

年末年初のポジション調整・リスク回避が生じるか。流動性が低下(市場参加者が減少)したなか、荒れ相場となるリスクは例年同様気がかりなところ。米国株は今年史上最高値を更新してきたが、年末年初に利食い売り、利益確定から想定外の調整が生じることはないか。

円に関しては、シカゴ通貨先物の円売りポジションが徐々に積み上がっており、今年の年初のような急激な円買い戻しが生じないか。

◆今週のMRA's Eye


来年の相場展望

今年は、米中通商交渉の第一段階合意、製造業の景況感底打ち期待、米国株が史上最高値を更新、など明るいムードのなか、クリスマス休暇、年末年始を迎えようとしている。

振り返れば、今年の年初は波乱のなかでスタートした。新年1月3日には、トルコリラの対円相場、その他クロス円相場を中心に、急激な円高が生じた。

欧米市場がなお新年の取引開始前、日本は休場、アジア市場が開く前の早朝、市場参加者がほとんどいないなかで、機械的・強制的な損切り・円買い戻しが円高を生じ、それがさらに損切りを誘発するというかたちで相乗的に急速な円高をもたらした。ドル円相場は一時104円台に下落。新年早々の株価は大きく下落して始まった。

今年は米中通商摩擦が悪化するとの見方が広がり、製造業の景況感が悪化の一途をたどった。FRBは利上げをストップし利下げに転じた。市場では景気後退懸念が広がり、本格的な利下げ局面入りを織り込んだ。

米長期金利は低下の一途をたどった。昨年11月初に3%台にあった10年債利回りは右肩下がりで8月には1.4%台に低下。利回りは半分に。ドル円相場は年初の急落の後、5月には112円台に戻していたが、さすがに景況感の悪化、米長期金利の低下に抗しきれず、8月には再び105円を割り込んだ。

9月以降はようやく米中通商摩擦が改善に向かうとの期待感が徐々に醸成され、底固い展開となった。昨年末にかけての楽観的なムードが年初から急速に悪化して、リスク回避の1年に。それがようやく終焉を迎えて、明るいムードのなかでクリスマス休暇、年末を迎えようとしている。

来年の見通しは、悲観的なムードからの脱却、楽観的なムードの回復基調のまま、まずは明るい見方で始まりそうだ。

この年末にかけて楽観的になっていることが、逆に暗転リスクを生じているとの見方もあるが、まだ市場心理の改善としては「若い」状態だ。

秋にようやく最悪な状況を脱したばかりで、楽観的な見方は成熟していない。ここが昨年末とは異なるところ。市場心理は慢心した状態にはなく、なお不安感や不透明感も漂っている。

肝心の景気動向もピークにあるわけではなく、逆にボトムアウトを探る状況だ。米国のISM製造業景気指数は50を割り込むまで悪化し、ようやく底打ちの気配をみせている段階。ここからさらに悪化すれば本格的な景気後退局面入りとなるが踏みとどまりつつある。

何よりも雇用・消費は堅調で、ここが崩れないうちは懸念する状況ではない。FRBは今年3回の利下げを実施。予防的な利下げで、政策金利の水準はインフレ率を下回った。

実質金利はゼロないしマイナスで十分に景気刺激的だ。さらに成長資金の供給として、債券購入を再開している。グローバルにも金融緩和が相次いだ。

欧州ではECBがマイナス金利を深掘り。資金供給を開始する見込み。

中国は景気対策に躍起になっている。金融政策は選択的に緩和。地方政府には財政投資の促進を命じている。

企業部門の景況感が、米中通商摩擦の改善傾向、実質的な効果がタイムラグをもって顕在化すること、サイクル的な持ち直し局面入りとあいまって、大底から明確に脱する姿がメインシナリオとなりつつある。

金融政策・財政政策による景気下支え、製造業部門のサイクル的な持ち直し、ITサイクルの回復局面入り、米中通商摩擦の改善、などから、市場環境・モメンタムは今年の年初に比べて良好。むしろ正反対になっていると考えられる。

今年の年初のリスク回避に対し、来年の年初はリスク選好がコンセンサスとなって始まるのではないか。米国の大統領選挙はトランプ政権に景気・市場配慮を一段と強いることとなるだろう。

すでに中間所得層への減税を打ち出し、来年半ばまでに実現する、としている。富裕層ではなく中間層への対策だけに、議論が始まれば野党・民主党も反対することは難しいのではないか。

問題は大統領選挙の後だろう。政策効果で景気好転が続くのか、息切れがみえ始めるのか。

市場の動向で気になるのは株価動向だ。米国株はすでに史上最高値を更新する状況が続いている。今年は長期金利の低下が株価上昇に寄与した面もある。長期金利の低下が株価の割安感を強める、割高感を生じない方向に働いた。

PER(株価/1株利益)の上昇=株式益回りの低下(1株利益/株価)の低下を許容した。しかし、利下げが打ち止めとなり、景気持ち直し期待から長期金利が底打ち・上昇に転ずれば、株価にとっては逆風となる。

大幅な長期金利上昇は想定しにくいが、少なくとも株価上昇は企業業績の伸び頼みとなり、増益率の範囲内での株価上昇にとどまるだろう。株価をリスク選好度合いのメルクマールとすれば、マイルドなリスク選好にとどまりそうだ。

ドル円相場は、マイルドながらもリスク選好が維持されるなら底固く、あるいは緩やかな上昇傾向となる可能性が高い。米長期金利が緩やかに上昇するにつれて、110円を中心としたレンジへと、今年のレンジからややドル高円安方向にシフトするのではないか。

投機的な円売りは徐々に積み上がっており、イベントリスクは円買い戻し・円高だが、シカゴ通貨先物でみる限り、円売りはピーク、昨年末の半分程度に止まっている。

年末年初にポジション調整が生じたとしても、今年の年初のような円急騰とはならないだろう。

また市場参加者も同じような轍を踏まないと思われる。今年でさえ、105円割れは一時的に留まりすぐに持ち直した。

景況感・方向感は年初よりも良好であり、押し目でのドル買い円売りは旺盛で、調整は小幅にとどまりそうだ。2021年を展望した場合、そのままリスク選好で行けるのかどうかはまだ不明だ。

もちろん米中通商交渉が第二段階以降で頓挫するリスクもある。夏から秋、さらには年末にかけて、こうしたシナリオは再点検を要するだろう。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :109.44(+0.07)
ユーロ :121.35(▲0.32)
英ポンド :142.249(▲0.03)
豪ドル :75.514(+0.21)
カナダドル :83.239(▲0.09)
スイスフラン :111.362(▲0.41)
ブラジルレアル :26.6898(▲0.20)
中国人民元 :15.612(+0.02)
韓国ウォン(日本円=100) :9.442(+0.04)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1079(▲0.004)
英ポンド :1.2999(▲0.001)
豪ドル :0.69(+0.001)
カナダドル :1.3161(+0.004)
スイスフラン :0.9828(+0.004)
ブラジルレアル :4.0972(+0.032)
中国人民元 :7.0065(▲0.004)
韓国ウォン :1160.35(▲5.33)

【主要国政策金利】
米国 :1.75
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.92(▲0.00)
米2年債 :1.63(+0.00)
日本10年債利回り :0.01(+0.01)
日本2年債利回り :0.01(+0.01)
独10年債利回り :▲0.25(▲0.02)
独2年債利回り :▲0.63(▲0.00)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :28,455.09(+78.13)
NASDAQ :8,924.96(+37.74)
S&P500 :3,221.22(+15.85)
日経平均株価 :23,816.63(▲48.22)
ドイツ DAX :13,318.90(+106.94)
インド センセックス :41,681.54(+7.62)
中国上海総合 :3,004.94(▲12.13)
ブラジル ボベスパ :115,121.10(▲10.20)
英国FT250 :21,674.30(+8.16)
ビットコイン :7198.73(+41.68)

【主要商品価格】
WTI :60.44(▲0.78)
Brent :66.14(▲0.40)
米ガソリン :170.58(▲0.10)
米灯油 :202.18(▲0.77)

金 :1481.64(+2.84)
銀 :17.20(+0.13)
プラチナ :910.93(▲23.65)
パラジウム :1856.57(▲81.61)
銅 :6186.00(+1:30.5C)
アルミニウム :1803.00(+15:32.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :928.25(+3.75)
シカゴ とうもろこし :387.75(+1.25)
シカゴ小麦 :542.25(▲3.00)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。