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X'masを控えて様子見気分強く高安まちまち
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年12月24日 第1664号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「X'masを控えて様子見気分強く高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は高安まちまち。クリスマス休暇を直前に控えて、目立った手がかり材料に乏しい中、何方かといえばポジション調整的な取引が主体だったためと考えられる。

ただし、米中が通商面で部分合意したことに関する楽観は、ある程度一巡している印象が強く、第二第三の合意に早期に至るとも考え難いことから、そろそろ景気循環系商品価格の上値は重くなると予想される。

【本日の価格見通し総括】

本日は欧米主要市場がクリスマス休暇を直前に控えて動意薄く、結局もみ合うものと予想される。本日予定されている経済統計で目立ったものはない。

本日は中国成都で予定されている日中韓首脳会談のために安倍首相が訪中、1年3ヵ月ぶりに日韓首脳会談が行われる見込み。関係改善が最優先であり、それほど突っ込んだ話にはならないのではないか。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日は日中首脳会談が開催された。両国とも来年の習近平国家主席の国賓来日に向けて、友好ムードを演出する内容となった。

もちろん懸案である東シナ海の問題や人権問題などにも触れたが、「さらっと」流された感じであり、大きく踏み込むことはなかった。中国側からすれば、米中の対立を受けて日本を自陣にどれだけ取り込めるか、ということがポイントでありこのタイミングで何かしら強硬な手段に出てくるメリットはない。

日本は米国の同盟国であるが、隣国である中国とも一定の友好関係を結ばねば地政学的・経済的なリスクを低減させることができない。

しかし、米中が対立している今、習近平の国賓来日に米国が反発する可能性はある。また香港・ウイグル人自治区の人権問題が解決しない中、同氏を国賓として国に迎えることへの国民の反発も小さくない。本件、簡単に着地できない可能性があることは、意識しておいた方が良い。

昨日の米新築住宅販売は、前月比+1.3%の71.9万戸(市場予想▲0.1%の73.2万戸、前月▲2.7%の71万戸)と市場予想を上回る改善となった。これは、米国の長期金利の低下による、住宅市場環境が改善していることを確認する内容だった。

米国の住宅市場は昨年11月が底だったが、米利上げの打ち止め、米トランプ大統領の圧力による金融緩和によって徐々に回復している。しかし、米長期金利は今年の8月に底入れしており、足元は上昇基調にある。

現在の金利水準が維持されるのであれば、過去のデータを見るに住宅セクターの伸びは堅調さを維持すると予想される。今後、住宅市場が改善基調を続けるか否かは長期金利動向に因るだろう。まずは10年長期金利で2%を上回るかどうかが分水嶺となる。

この水準を超えるとまず仮契約件数がマイナスに転じ、その後中古住宅販売がマイナスに転じ、最後に新築住宅販売が減速することが多い。

ただし、まだ趨勢として米景気の減速は続く可能性が高いことを考えると直ちにFRBが利上げに転じるとは考え難く、減速感が強まりつつも景気は底堅く推移することになるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.2%→+3.0%)ている。2020年も+3.4%(▲0.1%)に引き下げた。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっている。あったとしても後1回程度(▲25bp程度)の利下げに留まる(金融面の価格下支え期待の後退)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護を中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

通商面のみならず、資本フローの規制や、人権問題への制裁なども加わっており、通商面で妥協があったとしてもその他の分野での制裁発動の可能性は高い。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫していることで、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、サウジアラビアがイランに対して報復攻撃を行うなどのリスク。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。EUは英国のEU離脱期限延長で合意し、英総選挙では保守党が圧勝した。目先は無秩序離脱の可能性が後退するため価格の上昇要因。ただし、2020年12月末の移行期間までに条件で合意できなければ、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・中国政府が「法律に基づき」過去のGDPの見直しを行うと発表しているが、この見直しによって統計が悪化する可能性は高く、景気循環銘柄価格の下落要因に。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は上昇した。中国が米国製品に対する関税を1月から引き下げると発表したことで、交易量の減速に歯止めが掛かるとの見方が強まったことが、原油価格の上昇要因となった。

OPECプラスが来年3月で減産幅を縮小する可能性を示唆したが、ほとんど材料視されなかった。

【原油価格見通し】

原油価格は米中が通商面で合意したことが市場参加者の楽観を誘っており、堅調な推移になると考える。また、チャート上の重要な節目である200日移動平均線を上回っていることから、テクニカルにも上昇しやすい。

しかし、英国ではジョンソン首相が移行期間の延長はしないと強調していることでハードブレグジットへの懸念が強まっており、再び地政学的なリスクが懸念されている状況。

OPECプラスは現状追認の▲50万バレルの追加減産を決定、さらにサウジアラビアが▲40万バレルの減産を決定した。これは市場の予想を上回るものであり、価格の上昇要因となる。この減産の持つ意味は小さくない。

これはサウジアラムコのIPOを円滑に進めるためということが最大の理由と考えられるが、サウジアラビアの設備修復が完全に終了していない可能性もあり得るためだ。

仮に設備修復が完全に終了していない場合、景気が回復して需要が戻る局面でOPECの余剰生産能力が不足し、価格が急騰する可能性があることを示唆している。特に米国が「採算性のある油田のみ稼働させる」方針に傾斜しつつあることを考えると、来年の初夏以降、このシナリオの可能性は今後、十分に注意して検証していく必要があるだろう。

ただし、今のところ追加減産は3月末までではあるが、非OPEC(ブラジルやノルウェーなど)の増産見通しもあることから、OPEC減産の影響は限定される、というのが引き続きメインシナリオだ。

米中交渉は通商面で合意したと伝えられ、関税も一部引き下げられたが、香港やウイグル族の人権問題まで米国が対象を拡大して中国も報復、先行きが引き続き不透明。結局、部分的な合意には至るものの、長期的には米中いずれかがあきらめるまで継続するため、やはり景気循環銘柄価格の下落要因、と整理しておくべきだろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないだろう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。今のところ米政権は中間層への減税を検討しているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

なお、景気の減速に伴う価格下落(歳入確保のための増産)やサウジアラビアに対するドローン攻撃(テロの低コスト化・大規模化に伴う供給途絶)の影響で、供給側(特にOPECプラス)の動きが価格に与える影響は小さくなくなっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落。特段材料がない中、ピークシーズン入りした需要の増加と天然ガス価格の上昇はあるも、中国の国内生産増加に伴う輸入の減少観測から価格はもみ合っている。

【石炭価格見通し】

石炭価格はピークシーズン入りしていることから、上昇すると見るが、欧州地域の景況感悪化に伴う天然ガス価格の低迷、中国統計の減速、中国政府の石炭輸入制限(年間2億8,000万トン)を受けた輸入需要の減速を受けて低水準を維持する見込み。

バルチック海運指数は、予想通り下落傾向が顕著になってきた。中国政府が特に石炭に関して輸入量を前年並みにする目標であることが影響している。

11月の中国の貿易統計では、石炭輸入は燃料炭・原料炭合計で2,078万トンと前月から減速、過去5年平均を下回った。

同時に10月の中国石炭生産が、同じ時期の過去5年の最高を上回る3,341万トンとなった。中国の国内供給は増加している状況であり、貿易市場は緩和する見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC総会では現状追認の▲50万バレルの追加減産が決定され、さらにサウジアラビアが▲40万バレルの自主減産を決定、原油価格の上昇要因に。

ただし、減産は3月末までであること、非OPEC(ブラジルやノルウェーなど)の増産見通しもあることから、OPEC減産の影響は限定される、というのが引き続きメインシナリオ。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。11月の貿易統計では、原油の輸入が4,574万トン(1,128万バレル/日)と過去最高を更新。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・サウジアラビアの石油施設の修復は完了したと報じられているが、実際は完了していないとの報道もあり、供給面は実態が把握される中で上昇リスクになる可能性。

今回のドローン攻撃でテロが低価格化・大規模化することが分かったことは、中東の供給途絶リスクを従来よりも高めるものであり、従来以上に中東情勢は重要に。

・ブラジルのOPEC加盟。ブラジルの生産量は2018年で268万バレルであり、世界供給の2.8%に達するため、実際に加盟し、サウジアラビアの意向に沿う生産を行うならば、OPECの価格支配能力は若干の改善が見込まれる。

仮に期待通り来年の世界景気が夏頃にかけて底入れした場合、生産制限は顕著な価格上昇要因となり得るため、その点は注意。

・トルコ軍のシリアへの侵攻は、ロシアの仲介でとりあえず終了。域内に「緩衝地帯」を設けることで合意した。ロシアの支援を受けているアサド政権側もこれを飲まざるを得なくなった模様。

トルコはこの地域にシリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTI、Brentともロングが増加、ショートが減少している。景気への楽観と減産への期待が強気のポジションテイクとさせ得ているようだ。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが612,113枚(前週比 +34,897枚)、ショートが75,736枚(▲5,941枚)、ネットロングは536,377枚(+40,838枚)、Brentが461,941枚(前週比+23,498枚)、ショートが63,581枚(▲1,019枚)、ネットロングは398,360枚(+24,517枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は銅とアルミを除き、総じて軟調な推移となった。中国が関税を1月から引き下げるとの報道はあったものの、年末を控えて調整的な売り圧力が強まったため。

結局、米中対立が一旦終了、エネルギーの最大消費国である米経済へのプラスの影響が期待が持たれているが、非鉄金属の最大消費国である中国は、構造的な需要の伸び鈍化は避けえないため、それほど大きなプラスになると判断されていないようだ。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は米中対立の緩和によるマインドの改善、中国工業生産の改善(前年比+4.7%→+6.2%)が価格を押し上げるものの、欧州製造業PMIが再び悪化したことや、英ジョンソン首相の移行期間の延長はしない発言を受けて完全に景気見通しに楽観的にはなり難く、頭重い推移になると考える。

米中は通商面で一部合意したものの、香港・新疆ウイグル自治区の人権法案を米国が可決する方向性であることが米中の対立を意識させること、ブラジル・アルゼンチンに対する関税復活による通商面への懸念もあり、このことも上昇余地を限定しよう。

米中交渉は長期的には米中いずれかがあきらめるまで継続するため、やはり景気循環銘柄価格の下落要因、と整理しておくべきである。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないと予想される。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めていることが、非鉄金属においても今後の大きなテーマとなると見られる。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的にはインドの構造的な需要増加や、環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想されるが、より短期的には、中国、欧州の景気がどこで底入れするのか、米国経済の後退がいつから始まるのかに依拠する。

来年の大統領選挙を睨んで米国がどのような対応をしてくるかが不透明であるが、こうした政策期待効果を除けば、底入れ感が出てくるのは来年の春~夏にかけてになると見ている。中期的には現状水準でのもみ合いが続こう。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インド需要が顕在化すると期待される2020年の春以降と見る。

ニッケルは、来年1月以降に供給が停止されるが、前倒し輸出が加速、中国は今年9月までで2018年と同じ数量をすでに中国が輸入したようである。

処理量に大きな変化がなければすでに3ヵ月分、余分に調達が済んでいることになる。しかし、実際にインドネシアの供給が止まれば、シェアはニッケル含有分ベースで25%であるため、原油に例えれば、サウジアラビアとロシアの供給が同時に停止するぐらいのインパクトがある話であり、やはり価格には上昇圧力が掛かりやすい。

米中通商合意が1月上旬に署名される見通しであることを勘案すると、2014年の規制開始後を参考にすると、輸出規制開始となる1月から価格が上昇し(価格がすでに大きく調整しており、割安感があることから上昇タイミングを前倒し)、来年7月頃(下期)からの下落が予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは回復し、閾値の50を上回った。しかし、規模別でみた場合大企業は閾値の50を上回っているが、中堅・中小企業の景況感はまだ50を上回っていない。価格へのプラスの影響は緩やかなものに止まろう。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が回復しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-11月期中国工業生産は前年比+5.6%(1-10月期+5.6%)と横ばいだったが、11月は+6.2%(前月+4.7%)と改善(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-11月期中国固定資産投資は前年比+5.2%の53兆3,718億元(1-10月期+5.2%の51兆880億元)と横ばい、公的部門+6.9%(+7.4%)は減速したが民間部門は若干の改善が見られる(+4.4%→+4.5%)。ただし全体では横ばいであり、減速トレンドに大きな変化はない(ストック需要の減速=価格下落要因)。

・1-11月期中国不動産開発投資は前年比+10.2%の12兆1,265億元(1-10月期+10.3%の10兆9,603億元)と減速している。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・11月の銅地金・製品の輸入量は43万3,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も215万7,000トンとやはり過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、Valeの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

HydroのAlunorteアルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展し、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・12月13日付のLMEポジションは銅、アルミ、錫がロング増加・ショート減少という強気のポジション取りとなったが、亜鉛、鉛、ニッケルに関してはロングが減少し、ショートも増加し弱気のポジション取りとなった。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲12.1億ドル(前週▲29.6億ドル)と売り越し幅を縮小した。売り越し額の減少率は▲59.1%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲590千トン(前週▲939千トン)と売り越し幅を縮小した。ネット売り越しの減少率は▲37.2%。

一連の買戻しで、CME銅とアルミ以外は買い越しに転じている。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅下落、原料炭スワップ先物は横ばい、中国鉄鋼製品先物価格は小幅に上昇した。

目立った手掛かり材料に乏しいが、鉄鋼製品・鉄鉱石在庫の減少や米中合意による景気への楽観、中国政府のインフラ投資期待などが価格を高止まりさせている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、最大消費国である中国の公共投資に伴う需要増加や、冬場の鉄鋼製品生産規制から鉄鋼製品価格が高止まりしていること、Valeの販売調整観測で価格は底堅い推移になると考える。

米中が貿易交渉で部分合意、これ自体は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

原料炭も鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、同様に下値余地を探りやすくなっている。足元の価格は特に春以降、季節性を無視して水準を切り下げている。

価格の上昇があるとすれば、その他の景気循環系商品と同様、春~夏に掛けてになると見る。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは45.4(前月41.3)と回復。新規受注の回復(31.6→43.8)が大きく影響した。輸出向け新規受注の回復が緩慢(35.8→40.1)であることから、恐らく、政府主導のインフラ向けの投資需要が新規受注を支えていると考えられる。

需要回復で完成品在庫は減少(36.8→27.1)、原材料在庫は増加しているため(37.9→39.2)、製品とのスプレッドは拡大する可能性がある。結果、鉄鋼原料価格はファンダメンタルズ面で強含み推移しよう。

・1-11月期中国工業生産は前年比+5.6%(1-10月期+5.6%)と横ばいだったが、11月は+6.2%(前月+4.7%)と改善(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-11月期中国固定資産投資は前年比+5.2%の53兆3,718億元(1-10月期+5.2%の51兆880億元)と横ばい、公的部門+6.9%(+7.4%)は減速したが民間部門は若干の改善が見られる(+4.4%→+4.5%)。ただし全体では横ばいであり、減速トレンドに大きな変化はない(ストック需要の減速=価格下落要因)。

・1-11月期中国不動産開発投資は前年比+10.2%の12兆1,265億元(1-10月期+10.3%の10兆9,603億元)と減速している。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

11月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は457万5,000トンと過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入もほぼ季節性通り減少し、2,078万1,000トンとなった。予想通り輸入は減速している。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の11月の鉄鉱石の輸入量は前月からは減速したが9,290万トンと高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、7,804.8万トンに達しているため、冬場の鉄鋼製品生産規制がやはり実施される見込みであることを考えると、輸出市場における鉄鉱石需給は緩和する可能性が高い。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲10.3万トンの765.5万トン(過去5年平均857.1万トン)と例年を下回っている。

なお、11月の鉄鋼製品の輸出は457万5,000トンと過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+160万トンの1億2,920万トン(過去5年平均1億1,809万トン)、在庫日数は+0.4日の29.7日(過去5年平均 31.9日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化している。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・Vale、Rio Tintoの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む金融市場の緩和を進めているほか、地方政府にも債券発行枠の前倒しを認めるなど、景気テコ入れのため公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は堅調な推移となった。実質金利が上昇、米中合意への期待がたかまっているため基本的には価格に下押し圧力が掛かりやすいが、一昨日、50日移動平均線を回復したことで材料薄の中、テクニカルに買いが入りやすかったことが価格を押し上げた。

銀はより顕著に上昇し、100日移動平均線のレジスタンスを上抜けできなかったが、この水準まで大きく上昇した。

PGMはプラチナが昨日の下落で主要なサポートラインを下抜けしなかったこと、金価格の上昇、米株の上昇を受けて大きく水準を切り上げた。パラジウムもテクニカルな買いに支えられて堅調。

【貴金属価格見通し】

金価格はFOMCが低金利政策を継続する見通しであることが価格を下支えするが、米中交渉の進捗が価格を下押しすると考えられ、安全資産需要の減速から一旦下値余地を探ることになると予想する。

ただし、ブラジル・アルゼンチンに対する関税引き上げなどの通商問題は解決しておらず、米中問題も完全に解決したわけではないこと、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡り、米中の対立が激化する可能性があること、英ジョンソン首相はEU離脱の移行期間延長を阻止する意向を示していることが、一定の安全資産需要を喚起すること、同時に低金利政策の継続も間違いがなく、結局、高値圏でのもみ合いとなるだろう。

仮に地政学的リスクが解消した場合、実質金利を基にすれば、▲200ドル程度(地政学リスクプレミアム)金価格は下落することになる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)が大幅に低下したが、再び上昇基調となっている。

そうだとしても現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられる。

PGM価格は金銀価格が高値圏で推移するとみられることから、同様に高値圏での推移になると予想する。世界の自動車販売減速に底入れの兆しが見えること、米中合意などが価格を下支えすると考えられる。中国の自動車販売が15ヵ月連続のマイナスとなるなど、需給ファンダメンタルズ面は需要面の減速が懸念される状況。世界自動車販売も13ヵ月連続の前年比マイナス。

しかしいずれも前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていること、11月の米自動車販売は1,709万台(前月 1,655万台)と回復しており、需要面でも価格が押し上げられる可能性は高まっている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは米統計の悪化懸念がやや後退していることから、追加利下げの可能性が大きく後退している。仮に追加利下げがあったとしても来年1回程度とみられるため、下支え効果は限定。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・米中通商交渉が部分合意したが、基本的に覇権争いであるためこの問題が簡単に片付くことはなく、安全資産需要を下支えする見込み。

米国は中国の知的財産権侵害や技術の強制移転などの解決と、それによって民間技術が軍事転用されないようにすることが最終目標であり、根本的な解決には相当な時間がかかる見込み(価格の下支え要因)。

・トルコ政府はシリアへの侵攻で発生した空白地帯に、シリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も(金銀価格の上昇要因)。

・英国のEU離脱はEUが離脱期限延長で合意、選挙でも保守党が勝利したため合意離脱の可能性が高まったことは、金価格の下落要因に(ただし、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金・銀共にロングが増加、ショートが減少しており積極的に強気のポジション取りとなっている。

PGMはプラチナのロング増加が顕著、パラジウムは価格上昇もあってロングの解消圧力が強まった。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが344,493枚(前週比 +15,324枚)、ショートが58,218枚(▲31枚)、ネットロングは286,275枚(+15,355枚)、銀が88,215枚(+2,598枚)、ショートが42,434枚(▲2,441枚)、ネットロングは45,781枚(+5,039枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが65,173枚(前週比 +4,927枚)、ショートが10,897枚(+228枚)、ネットロングは54,276枚(+4,699枚)、パラジウムが18,320枚(▲136枚)、ショートが5,316枚(▲633枚)、ネットロングは13,004枚(+497枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物はまちまち。トウモロコシと大豆は米中合意への期待から、小麦はテクニカルな売りに押された。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は堅調な推移になると考える。米中が通商面で合意したことで、米国産穀物の輸出増加観測が強まること、アルゼンチンが穀物に輸出税を賦課すると決定したこと、英選挙結果を受けてユーロ高・ドル安が進行しやすいことが金融面で価格を押し上げるため。

米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は冬小麦の作況が悪化していることが買い材料視されており、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を下回っていることから、こちらには上昇圧力が掛かりやすい。

ただし「小麦は雑草」の格言通り、最終的には供給は間に合うと予想され、上昇余地も限定されよう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・12月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億6,100万Bu(前月136億6,100万Bu)大豆 35億5,000万Bu(35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・12月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 19億1,000万Bu(市場予想18億6,119万Bu、前月19億1,000万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億7,381万Bu、4億7,500万Bu)小麦在庫 9億7,400万Bu(10億878万Bu、10億140万Bu)

・9月末の四半期在庫トウモロコシ 21億1,400万Bu(市場予想24億1,804万Bu)大豆 9億1,300万Bu(9億8,126万Bu)小麦 23億8,500万Bu(23億1,858万Bu)

(特殊要因)

・米中通商交渉は部分合意したと伝えられており、足元シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、長期化の可能性は高くシカゴ定期の下落要因に。

・エルニーニョ現象は収束したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に来年以降にかけて価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・投機のポジションは、トウモロコシのロングが増加、ショートが減少、大豆はロングが減少、ショートがより大きく減少、小麦はロングの増加が顕著だった。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが305,060枚(前週比 +7,215枚)、ショートが302,392枚(▲13,274枚)、ネットロングは2,668枚(+20,489枚)、大豆はロングが148,264枚(▲2,537枚)、ショートが165,259枚(▲29,039枚)、ネットロングは▲16,995枚(+26,502枚)、小麦はロングが130,087枚(+16,619枚)、ショートが89,968枚(+737枚)、ネットロングは40,119枚(+15,882枚)

◆本日のMRA's Eye


「2020年鉄鋼原料価格見通し」

世界の粗鋼生産は最大生産国である中国の生産が、鉄鋼製品価格の上昇を受けて増加していたため、全体でも前年比プラス成長を維持してきた。

しかし、米国や欧州、日本の粗鋼生産の伸びは明確に減速を始めており、環境規制の強化などの影響で中国の増産ペースにも陰りが見える。この結果、中国の鉄鋼製品中国の鉄鋼製品在庫の水準は例年を下回り、足元の鉄鋼製品需給はタイト化している。

中国鉄鋼業PMIのサブ指数から算出した「鉄鋼業新規受注・在庫レシオ」は低下基調にあったが、ここにきて急速に水準を切り上げた。特に完成品在庫レシオの上昇が顕著であり、1.新規受注の増加と在庫水準の低下によるもの。

特に新規受注は31.6→43.8、輸出受注が35.8→40.1となっていることから「国内向けの需要」回復が顕著。製造業の業績が良くないことを考えると、主に政府主導のインフラ投資などの需要が増加していることを示唆している。

これは景気刺激のための公共投資が加速するとの弊社の当初の見通しが、適切であったことを示すものだ。

一方、鉄鉱石の港湾在庫日数はValeの尾鉱ダム事故に伴う生産減少の影響で需給がタイト化、最大貿易相手国である豪州に対する輸入制限(5G問題を巡る米中対立の余波)などの影響もあって水準を大きく切り下げていたが、ここにきて上昇に転じている。

しかし、中国政府は冬場の鉄鋼生産規制を緩和する見込みであり、公的需要の積み増し観測もあって鉄鉱石需要も底堅く推移すると予想される。

なお、Valeの生産は2,000万トンは年内に再稼働見込みであり、残りの3,000万トンに関しても2-3年で復旧見込みとされており、年末から年始にかけて回復する見込みであり、S11Dプロジェクトの生産も2020年に9,000万トンに達すると見られており、供給面の懸念は払しょくされる見込み。

鉄鉱石先物はValeの尾鉱ダム事故発生の前から積極的に、建玉の増加を伴いながら上昇している。これは先物期間構造がバックワーデーションであることからも分かるように、ファンダメンタルズを意識した投機の買いが積み上がっていることによるもので、解消時には急落の可能性もあり得る。

以上から、2020年の鉄鉱石価格は、景気減速と生産回復に伴う需給緩和から下値探りの展開となり、77.50ドル/トン(前回見通し比▲7.50ドル/トン)と水準を引き下げた。

2021年にかけては循環的な景気の回復、インドの構造的な需要の増加を鉄鉱石生産者の稼働再開が相殺しきれず、2020年比では▲10ドル/トンの67.50ドル/トン(▲5.00ドル/トン)を予想。

世界最大の鉄鋼製品生産国である中国の原料炭生産量は増加し、過去5年の最高水準で推移していると見られる。また原料炭輸入も、2019年の輸入数量規制前の駆け込み需要で急速に増加しており、結果的に原料炭価格は大きく下落している。

昨年同様、原料炭輸入はQ419~Q120にかけて低迷すると予想されること、それに合わせて建玉が積み上がっている先物の売り圧力が強まる可能性があること、中国の鉄鋼需要が低迷する可能性が高いことを考えると、原料炭価格も低水準での推移になると予想。

2020年の原料炭平均価格は143.75ドル/トン(前回予想比▲38.75ドル/トン)、2021年は162.50ドル/トン(▲16.25ドル/トン)と引き下げた。

米国の大統領選挙をにらみ、米中の相互制裁が一時的に弱まる可能性はあり、その場合、価格には上昇圧力に。

欧州を中心に石炭を環境面から回避する動きが強まっていることから供給面の抑制は継続する見込みであり、価格を下支え(なお、環境面からガスや水素を還元剤に用いるにはまだ時間を要する見込み)。

(上記価格見通しは11月初時点の水準であり、1月の四半期価格見通し改定時に、現在の水準を勘案して変更される可能性があります。)

◆主要ニュース


・10月日本全産業活動指数 前月比▲4.3%(前月+1.9%)

・10月日本景気動向指数改定 先行指数 91.6(速報比▲0.2、前月改定 91.8)、景気一致指数 95.3(+0.5、101.1)

・11月独生産者物価指数 前月比+0.5%(前月▲0.1%)、前年比▲2.1%(▲3.5%)

・11月米製造業耐久財受注速報 前月比▲2.0%(前月改定+0.2%)
 除く輸送機器±0.0%(▲0.3%)
 製造業新規受注資本財非国防除く航空+0.1%(+1.1%)

・11月米新築住宅販売件数 前月比+1.3%の71.9万戸(前月改定▲2.7%の71.0万戸)

・中国、冷凍豚肉など859品目の米国製品の値下げを1月1日から実施。7月からはIT関連製品の輸入関税も引き下げへ。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数685(前週比+18)、 ガスリグ 125(前週比▲4)。

・クウェートとサウジアラビア、4年間停止している中立地帯(生産量50万バレル/日)の生産再開について、年内に合意の可能性。

・ロシアとウクライナ、ウクライナを通じて欧州に天然ガスを供給する契約を5年間延長することで合意。

・ロシア ノバクエネルギー相、「来年3月に減産規模を縮小する可能性。」

・サウジアラビア、カショギ氏殺害で5人が死刑判決。

【メタル】
・中国道精錬業者、今週、生産量の削減について議論。

・丸紅、2020年のアルミ需給は18万トンの供給過剰(2019年▲46万7,000トンの供給不足)を予想。中国の需要が▲1.2%の3,535万8,000トンと1990年の統計開始以降初めて減少する見込みであるため。

・住友金属鉱山、2020年のニッケルは▲1万7,000トンの供給不足(2019年▲3万1,000トンの供給不足)を予想。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.プラチナ ( 貴金属 )/ +2.81%/ +17.70%
2.ビットコイン ( その他 )/ +1.58%/ +99.02%
3.銀 ( 貴金属 )/ +1.32%/ +12.46%
4.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +1.30%/ +28.32%
5.パラジウム ( 貴金属 )/ +1.19%/ +48.89%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲7.87%/ ▲44.00%
69.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲5.11%/ ▲24.86%
68.TGE小豆 ( 穀物 )/ ▲4.69%/ +17.55%
67.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲4.13%/ +23.02%
66.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲3.36%/ ▲13.94%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :28,551.53(+96.44)
S&P500 :3,224.01(+2.79)
日経平均株価 :23,821.11(+4.48)
ドル円 :109.41(▲0.03)
ユーロ円 :121.35(+0.10)
米10年債利回り :1.93(+0.01)
独10年債利回り :▲0.24(+0.01)
日10年債利回り :0.02(+0.00)
中国10年債利回り :3.16(▲0.03)
ビットコイン :7,312.29(+113.56)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :21.49(▲0.07)
エネルギー :27.33(▲0.25)
ベースメタル :16.91(+0.06)
貴金属 :16.80(+0.57)
穀物 :17.34(▲0.03)
その他農畜産品 :24.06(▲0.23)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :26.81(▲0.61)
Brent :20.95(+0.04)
米天然ガス :56.81(▲0.12)
米ガソリン :26.94(▲0.8)
ICEガスオイル :19.42(+0.01)
LME銅 :11.26(▲0.05)
LMEアルミニウム :11.24(▲0.01)
金 :11.24(▲0.11)
プラチナ :22.34(+2.04)
トウモロコシ :26.37(▲0.01)
大豆 :11.24(▲0.11)

【エネルギー】
WTI :60.67(+0.23)
Brent :66.56(+0.42)
Oman :66.90(+0.07)
米ガソリン :171.17(+0.59)
米灯油 :202.70(+0.52)
ICEガスオイル :614.00(+0.50)
米天然ガス :2.21(▲0.12)
英天然ガス :34.20(▲2.92)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :66.56(+0.42)
SPO380cst :281.36(▲4.36)
SPOケロシン :79.97(+0.33)
SPOガスオイル :79.82(+0.38)
ICE ガスオイル :82.42(+0.07)
NYMEX灯油 :202.67(+0.32)

【貴金属】
金 :1485.38(+7.16)
銀 :17.43(+0.23)
プラチナ :936.50(+25.57)
パラジウム :1878.61(+22.04)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,171(▲15:18C)
亜鉛 :2,306(▲34:2B)
鉛 :1,918(▲10:13C)
アルミニウム :1,802(▲1:30.5C)
ニッケル :14,455(+180:60C)
錫 :17,350(+100:25B)
コバルト :32,410(▲16)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6179.00(+4.00)
亜鉛 :2285.00(▲63.00)
鉛 :1918.50(▲17.00)
アルミニウム :1807.50(+6.50)
ニッケル :14370.00(▲120.00)
錫 :17245.00(▲40.00)
バルチック海運指数 :1,123.00(▲28.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :91.52(▲0.06)
NYMEX鉄鉱石 :91.72(▲0.02)
NYMEX原料炭スワップ先物 :137(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,739(+17)
上海鉄筋中心限月 :3,534(+19)
米鉄スクラップ :休場( - )

【農産物】
大豆 :934.00(+5.75)
シカゴ大豆ミール :301.40(+3.50)
シカゴ大豆油 :33.78(▲0.01)
マレーシア パーム油 :2901.00(+4.00)
シカゴ とうもろこし :388.75(+1.00)
シカゴ小麦 :539.50(▲2.75)
シンガポールゴム :164.10(▲1.80)
上海ゴム :12465.00(▲35.00)
砂糖 :13.45(▲0.09)
アラビカ :125.30(▲5.40)
ロブスタ :1296.00(▲45.00)
綿花 :68.61(+0.65)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :70.25(▲0.43)
シカゴ生牛 :122.40(+0.18)
シカゴ飼育牛 :143.53(▲0.75)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。