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IMF見通し下方修正とパンデミック懸念で総じて軟調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2020年1月22日 第1674号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「IMF見通し下方修正とパンデミック懸念で総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はソフトコモディティやその他の農産品や債券などの安全資産が物色された。

IMFの景気見通しが下方修正されたことや、中国武漢で発症した新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、経済活動が鈍化するとの見方が強まっていることが景気循環系商品や、非景気循環系商品でも感染地域が輸出入の対象地区になっている商品価格の下押し要因となっている(パンデミックの商品価格への影響に関しては本日のMRA's Eyeをご参照下さい)。

独ZEW景況感指数は改善したが、上記を理由にほぼ材料視されなかった。

【本日の価格見通し総括】

本日も景気循環系商品が売られ、非景気循環系商品が物色される流れになると予想する。IMFの景気見通しの下方修正が景気の先行き懸念を強める一方、新型コロナウイルスの感染拡大懸念が経済滑動を鈍化させる、との見方が強まっていることから。

本日、ジュネーブで新型肺炎を巡るWHOの緊急会合が開催されるが、目立った対策が打ち出される訳ではない。

なお、予定されている統計では米国の住宅市場動向の先行指標である米中古住宅販売に注目している。市場予想は前月+1.5%の543万戸(前月▲1.7%の535万戸)と改善見込みであり、建材需要の増加観測を強め特に工業金属価格の上昇要因となるだろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

一昨日、IMFの世界経済見通しが発表された。IMF経済見通しは世界の商品市場参加者が注目している指標であり、需要動向を占う上での手がかりとなる。

自社でリサーチ部門を持たないファンドが需要を占う上での重要指標である、実質GDPの見通しが示されるほか、「ほとんどの市場参加者が手がかりとしている」というデファクトがあるため、指標性が高い。

世界のGDP見通しは2019年が2.9%(前回予想比▲0.1%)、2020年が3.3%(▲0.1%)、2021年についても3.4%(▲0.1%)となった。実質GDPの下方修正は、需要の伸び減速を通じて景気循環系商品価格の下落要因となる。

見通し下方修正の背景は、米欧の景気見通し下方修正に加え、インドや中東などの新興国見通しが下方修正されたことによる。

特に、ポスト中国の期待が高いインドの景気見通しが2020年が5.8%(▲1.2%)、2021年が6.5%(▲0.9%)と大幅に下方修正された影響が大きい。

インドの見通し下方修正は、銀行・ノンバンクセクターの不良債権の積み上がりによる与信タイト化、モディ首相のヒンズー教至上主義政策による民族・宗教差別に対する反政府行動の拡大が要因。二期目のモディ政権は、経済対策の運営手腕を問われることになろう。

なお、米中合意やブレグジットの進捗で政治による景気の下振れリスクは一定程度減少したが、これらに関しても解決したわけではなく、まだ俎上に乗っている材料であり、リスクは下向きと指摘された。

2020年、2021年に向けて景気は回復が見込まれているが、回復ペースが緩やかであるため、景気循環系商品価格の上昇ペースは想定よりも緩やかになるのではないか。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2020年の経済見通しを引き下げ(+3.4%→+3.3%)ている。2021年も3.4%(▲0.1%))に引き下げた。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっている。あったとしても後1回程度(▲25bp程度)の利下げに留まる(金融面の価格下支え期待の後退)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商交渉は部分合意。しかし関税が撤廃されたわけではなく、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護、国有企業への補助金撤廃などを中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

通商面のみならず、資本フローの規制や、人権問題への制裁なども加わっており、通商面で妥協があったとしてもその他の分野での制裁発動の可能性は高い。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫化し、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、イランと米国の散発的な衝突は続き、軍事衝突懸念が再びつよまる可能性があることは排除できず。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。EUは英国のEU離脱期限延長で合意し、英総選挙では保守党が圧勝した。目先は無秩序離脱の可能性が後退するため価格の上昇要因。ただし、2020年12月末の移行期間までに条件で合意できなければ、ハードブレグジットの可能性も。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・中国政府が「法律に基づき」過去のGDPの見直しを行うと発表しているが、この見直しによって統計が悪化する可能性は高く、景気循環銘柄価格の下落要因に。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は下落した。IMFの景気見通し下方修正が地合いを軟調にする中で、中国の武漢で発生した新型コロナウイルスの感染が拡大しており、経済活動の停滞につながるとの懸念が強まったことや、それに伴う株安がリスク資産価格を押し下げる流れに押された形。

しかし、イラクやリビアの油田生産の停止の影響もあってBrent、WTIとも200日移動平均線を維持しており、底堅い印象。

【原油価格見通し】

原油価格はIMFの景気見通し下方修正に伴う需要の伸び見通し下方修正の可能性や、感染拡大が懸念されるコロナウイルスの影響がやや過剰に市場で意識されていることなどから、下押し圧力が強まる展開が予想される。

しかし、テクニカルなサポートラインを維持しており、リビアやイラクの原油生産減少の影響で下値も堅いと考える。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

関税の追加引き上げが見送られ、一部関税が引き下げられたことから、フロー需要の増加につながると見られる。ただこれも毎月の統計や実績を見ながら判断する、ということにならざるを得ない。

エネルギーに関しては原油やLNG、石化素材が合意に含まれるが、仮に履行されればWTIや米天然ガスの上昇要因となり、Brent、ドバイ、JKMの対北米原燃料プレミアムの縮小圧力が強まることになると予想される。

3月のOPECプラス会合での減産延長については、今のところ減産規模が縮小されるないしは減産が終了する可能性が高い。原油価格は一時的に4月以降、下値余地を試すことになるだろう。

米・イランの対立は一旦鎮静化した。ただし、米国人が1人死んでもそれはレッドラインと設定した可能性が高いうえ、局地的な攻撃は現在も続いていることから、偶発的な事故が大規模な軍事行動につながる可能性は排除できず、今回と同様のイベントリスク顕在化で価格が上昇するリスクはあると見ている。

なお、ウクライナ機の誤射・撃墜をイラン政府が正式に認めた。ただし、搭乗者の大半はイラン人であり、イラン国内で指導部への反発が強まる可能性がある(すでに強まっている)。

この場合、「米国がデモを煽っている」という名目のもと、国民の不満をそらすために米軍基地が再び攻撃にさらされる可能性がある。それでも米軍との衝突にならないような攻撃になると見るが、今回のウクライナ機撃墜のように「誤って」米国人を殺害してしまう可能性もあり、今回の件は地政学的リスクを高めるものといえる。

トルコは当事者不在の中、恒久停戦に向けて協力するという共同声明が発表された。実質的に「何もできない」ということである。リビアでは、トルコはシラージュ暫定政権側(国際的にも支持)を支持しているが、ロシアやサウジアラビアは世俗派のリビア国民軍を支持している。

トルコが暫定政権側を支持する理由は、イスラエルやギリシャが欧州向けに進めているガスパイプラインを遮断すること。これまではトルコを通じて欧州に輸出されていたが、地中海ガスパイプラインが通ればトルコの権益や影響力が低下するためだ。

大規模戦争にはならないとみるが、リビアの停戦は非常に困難とみられる。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないだろう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になると考える。今のところ米政権は中間層への減税を検討しているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。IMFの景気見通し下方修正や、中国で拡大しているコロナウイルスの影響で、中国の国内経済活動が鈍化するとの見方が強まったことが材料となった。

【石炭価格見通し】

石炭価格はIMFの経済見通し下方修正や、市場がやや過剰に反応しているように見えるが、コロナウイルスの影響による経済活動の鈍化懸念が価格を下押しすると考える。

しかし、ピークシーズン入りしていること、中国の輸入再開観測を受けて総じて底堅い推移になると予想される。

一方でドイツが脱石炭火力推進で、大規模な補償を伴う法案を可決、2038年までに石炭火力発電所撤廃の方針が強まることから、アジア太平洋地区の石炭需給は構造的な緩和圧力が強まることが予想される。

ただし長期的には同様の環境規制の強化が石炭供給を減じるため、価格の押し上げ要因となる。欧州の脱炭素の動きは非常にトリッキーだ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・OPEC総会では現状追認の▲50万バレルの追加減産が決定され、さらにサウジアラビアが▲40万バレルの自主減産を決定、原油価格の上昇要因に。

ただし、減産は3月末までであること、非OPEC(ブラジルやノルウェーなど)の増産見通しもあることから、OPEC減産の影響は限定される、というのが引き続きメインシナリオ。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。12月の貿易統計では、原油の輸入が4,548万トン(前月4,574万トン)と高い水準を維持。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・米国とイランの軍事衝突リスクは回避されたが、「レッドゾーン」の水準が低く設定されたこともあり、偶発的な衝突が軍事力行使の懸念を強め、価格が上昇するリスクは残存している。

また、トルコ軍のシリアへの侵攻により、イスラム国の兵士が域外に逃亡(イラクなど)、このほかリビアにも派兵するなど中東・北アフリカの地政学的リスクが高いことは要注意。

サウジアラビアのアブカイクへのドローン攻撃でテロが低価格化・大規模化することが分かったことは、中東の供給途絶リスクを従来よりも高めるものであり、従来以上に中東情勢は重要に。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTI、Brentともはロングが減少、ショートが増加した。イラン情勢の鎮静化を受けて積み上がったロングが解消され、ショートも増加した。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが610,444枚(前週比 ▲28,565枚)、ショートが80,132枚(+8,395枚)、ネットロングは530,312枚(▲36,960枚)、Brentが494,942枚(前週比▲4,587枚)、ショートが68,780枚(▲4,986枚)、ネットロングは426,162枚(+399枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は総じて軟調な推移となった。IMFの景気見通しが下方修正されたことや、武漢で発生した新型コロナウイルスの感染が中国の経済活動を鈍化させる、との見方を強めていることが背景。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格はIMF経済見通しの下方修正や、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中国の経済活動鈍化観測を受けて、軟調地合いになると考える。

しかし、最大消費国である中国は景気テコ入れのための預金準備率引き下げや、3月の全人代以降の公共投資拡充などの対策期待、季節的に2月から3月にかけては中国の在庫積み増し時期であることから、下値余地も限定されると考える。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらしたが、数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は下向きリスクとなる可能性がある。

関税の追加引き上げが見送られ、一部関税が引き下げられたことから、フロー需要の増加につながると見られる。ただこれも毎月の統計や実績を見ながら判断する、ということにならざるを得ない。

金属に関しては非鉄金属に関しては米国向けの製品輸出需要の増加、という形で影響が出ると見られるが、この影響も様子を見ながらにならざるを得ない。

中国が輸入を増加させる対象にレアアースが含まれているようだが、最大生産国である中国が輸入を増加させる、というのは難しかろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めとなったが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないと予想される。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めていることが、非鉄金属においても今後の大きなテーマとなると見られる。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。今のところ米政権は中間層への減税を考えているようだ。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的にはインドの構造的な需要増加や、環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想されるが、より短期的には、中国、欧州の景気がどこで底入れするのか、米国経済の後退がいつから始まるのかに依拠する。

今年の大統領選挙を睨んで米国がどのような対応をしてくるかが不透明であるが、こうした政策期待効果を除けば、底入れ感が出てくるのは来年の春~夏にかけてになると見ている。中期的には現状水準でのもみ合いが続こう。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インドの構造的な需要が顕在化するタイミングになるだろうが、中国が1994年に人口ボーナス期入りし、非鉄金属価格が上昇を始めたのが2000年頃からであることを考えると、2023~2024年頃になるのではないか(従来見通しを変更)。

ニッケルは、1月からインドネシアの輸出が停止されたが、中国の前倒し調達の影響でそれほど大きな問題にならないと予想され、むしろ軟調jに推移している。しかし、インドネシアの供給が止まれば、シェアはニッケル含有分ベースで25%であるため、原油に例えれば、サウジアラビアとロシアの供給が同時に停止するぐらいのインパクトがある話であり、やはり価格には上昇圧力が掛かりやすい。

2014年の規制開始後の動きを勘案にすると、輸出規制開始となる1月から価格が上昇し(価格がすでに大きく調整しており、割安感があることから上昇タイミングを前倒し)、来年7月頃(下期)からの下落が予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは回復し、閾値の50を維持。しかし、規模別でみた場合、中小企業の景況感はまだ50を上回っていない。価格へのプラスの影響は緩やかなものに止まろう。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が堅調に推移しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているため伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・12月の銅地金・製品の輸入量は52万7,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も192万8,000トンと、過去最高となった前月は下回ったものの、同じ時期の過去5年の最高水準を大きく上回っている。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしているとみられ、中国の取引所在庫は過去5年平均を下回っている。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・米国が中国に対する人権問題(香港・新疆ウイグル自治区問題)を強めた場合、再び通商問題が議題に上がる場合(価格の下落要因)。

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、Valeの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

HydroのAlunorteアルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展、インドの人種差別問題が反政府行動に繋がり、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・1月17日付のLMEロング・ショートポジションの動向は、錫のロングが減少したがその他は増加した。

中国の経済対策に伴う工業生産の回復などが材料となり、過度な悲観が弱まったため。アルミやニッケル、錫はショートも減少しており全体として強気なポジション取りに。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は+15.7億ドル(前週+5.5億ドル)と買い越し幅を拡大した。買い越し額の増加率は+185.3%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで+201千トン(前週▲32千トン)と買い越しに転じた。そもそも取り扱い数量の多いアルミが売り越し幅を縮小させたことが背景。ネット売り越しの減少率は▲731.2%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅下落、原料炭スワップ先物は小幅安、中国鉄鋼製品先物価格は小幅下落となった。

IMFの経済見通し下方修正や、武漢で発生した新型コロナウイルスの感染が中国の経済滑動を鈍化させる、との見方が強まったことで先物主導の下げとなった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、IMFの経済見通し下方修正や、武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の鈍化懸念からやや軟調に推移すると考える。

しかし、最大消費国である中国の公共投資に伴う需要増加や、冬場の鉄鋼製品生産規制から鉄鋼製品価格が高止まりしていること、豪州の供給懸念、季節的な在庫積み増しの時期に当たることから下値余地も限定されるだろう。

米中が貿易交渉で部分合意、これ自体は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年は例年よりは低い水準での推移になるのではないか。

なお、2020年はValeの生産本格再開の可能性が高いこと、景気の底入れは夏以降であると予想されることから、鉄鉱石価格の見通しはやや弱気である。

原料炭は鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、下値余地を探りやすくなっている。しかし、世界的な石炭生産制限の流れを受けて鉄鉱石とは異なり、原料炭の価格短期~中期見通しはやや強気である。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは43.1(前月45.4)と再び減速した。新規受注の落ち込み(43.8→36.2)によるものであり、内外需とも不調である。これに伴い在庫水準も積み上がっており、需給ファンダメンタルズが緩和しつつあることを示唆している。価格には下押し要因に。

・1-12月期中国工業生産は前年比+5.7%(1-11月期+5.6%)と小幅な改善となったが、12月単月では+6.9%(前月+6.2%)と伸びが加速(フロー需要の増加=価格上昇要因)。

・1-12月期中国固定資産投資 前年比+5.4%の55兆1,478億元(1-11月期+5.2%の53兆3,718億元)と減速、公的+部門は6.8%(+6.9%)と減速したが、民間部門は+4.7%(+4.5%)とやや持ち直し(ストック需要の改善=価格上昇要因)。

・1-12月期中国不動産開発投資 前年比+9.9%の13兆2,194億元(1-11月期+10.2%の12兆1,265億元)と減速傾向が顕著に。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

12月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入は急速に減速し、277.2万トン(前月2,078.1万トン)となった。「新たなアノマリー」となった中国の季節的な輸入減少である。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、石炭の国内生産も11月時点で3億3,406万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、今後も輸入は減少すると予想される。

・中国の12月の鉄鉱石の輸入量は加速し、1億130万トン(前月9,065万トン)と高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、11月は7,924.5万トンに達している。

しかし、中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲55万トンの1億2,735万トン(過去5年平均1億2,184万トン)、在庫日数は▲0.1日の29.3日(過去5年平均 32.9日)と在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化しているため、鉄鉱石の輸入需要は堅調に推移すると見られる。

・中国の鉄鋼製品在庫水準は前週比+130.4万トンの1,019.4万トン(過去5年平均962万トン)と例年を上回った。新規受注の減速があるため、徐々に鉄鋼製品受給は緩和するとみられる。

なお、12月の鉄鋼製品の輸出は468万トン(前月458万トン)と過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む金融市場の緩和を進めているほか、地方政府にも債券発行枠の前倒しを認めるなど、景気テコ入れのため公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は高値圏を維持。株安を受けた利益確定の動きや、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、安全資産需要の高まりといった強弱材料が混在したため。

PGMはパンデミックへの懸念からプラチナ、パラジウムとも下落。特に価格上昇が顕著だったパラジウムは大幅な下落となった。

【貴金属価格見通し】

金価格はパンデミックへの懸念から株安圧力が掛かるため、その利益確定の売り圧力が強まること、その一方で債券高・実質金利低下圧力も強まることが買い材料となるため、高値圏での推移を継続すると考える。

仮に地政学的リスクが完全に解消した場合、リスクプレミアムがはげ落ちる形で金価格は下落することになる。実力ベースでは金価格は1,300ドル程度だろう。

ただし、中東情勢不安が継続しているほか、英国のブレグジットを巡ってもまだ混乱リスクが拭えないことから一定の安全資産需要も期待されるため、高値圏を維持するものとみられる。

なお、米中合意は市場に一定の安心感をもたらし、金銀価格の下落要因となっている。しかし数ヵ月にわたって材料とされてきたこと、第二弾合意が困難とみられること、中国が米国の要求通り合意を履行するかどうか不明なこと、中国の人権問題が俎上に載せられる可能性があること、などからむしろ今後は上昇リスクとなる可能性がある。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)は上昇していたが、再び下落に転じている。それでも現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられる。

PGM価格は金銀価格が高値圏を維持する見込みであることから同様に高値を維持すると考えるが、ここにきて新型コロナウイルスの感染拡大が経済活動に悪影響を及ぼす、との見方が強まっており、金銀に比べて景気循環系商品としての色彩が強いことから、しばらく下値余地を探る動きになると考える。

パラジウムは供給懸念が強く意識されているためここまで急騰したが、昨日のように一旦手仕舞売りが入ると考えるが下げ幅は限定され、再び上昇余地を試すことになると予想される。

なお、投機の買いが押し上げているというよりも実際に顕著な供給不足によって上昇しているものであり、「どこまで上昇するのか」「調整した時のめどはどこか」といったことは正直不明である。

中国・世界の自動車販売は前年比マイナスが続いているが、徐々に前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていることから、需要面で価格を押し上げる可能性は高い。

やや懸念されるのが、12月の米自動車販売は1,670万台(前月 1,709万台)と再び失速している点。今後、米国政府が宣言通り中間所得者層向けの減税が実施できるか、長期金利上昇を抑制できるかに注目が集まろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBは米統計の悪化懸念がやや後退していることから、追加利下げの可能性が大きく後退している。仮に追加利下げがあったとしても来年1回程度とみられるため、下支え効果は限定。

ECBに関しては緩和余地がないため、今後は財政出動に向け、各国政府に働きかけを強めることになるだろう(これは中央銀行の権限外であるが)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・中東・北アフリカ有事発生に伴う安全資産需要の高まり(上昇要因)。

・米中通商交渉が部分合意したが、基本的に覇権争いであるためこの問題が簡単に片付くことはなく、安全資産需要を下支えする見込み。

米国は中国の知的財産権侵害や技術の強制移転などの解決と、それによって民間技術が軍事転用されないようにすることが最終目標であり、根本的な解決には相当な時間がかかる見込み(価格の下支え要因)。

・トルコ政府はシリアへの侵攻で発生した空白地帯に、シリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も(金銀価格の上昇要因)。

・英議会は1月末のEU離脱案を可決、安全資産需要の後退で金価格の下落要因に(ただし、移行期間中の合意は容易ではなく、無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金はロング・ショートともに減少したが、イラン問題の解消を受けてロング解消圧力の方が強かった。

逆に銀はロング・ショートとも増加しており、ロング増加幅の方が大きい。このことは割安感が対金で根強いため再物色されているとみられる。

プラチナはロングが増加、パラジウムの上昇に連れる形。パラジウムはロング・ショートとも増加したが割高感が強いことからショートの増加が多かった。今週末の上昇はこのショートの踏み上げがあったためとみられる。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが376,809枚(前週比 ▲6,671枚)、ショートが57,574枚(▲3,615枚)、ネットロングは319,235枚(▲3,056枚)、銀が110,762枚(+1,538枚)、ショートが43,389枚(+1,418枚)、ネットロングは67,373枚(+120枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが76,467枚(前週比 +2,883枚)、ショートが11,942枚(+639枚)、ネットロングは64,525枚(+2,244枚)、パラジウムが16,608枚(+362枚)、ショートが5,268枚(+599枚)、ネットロングは11,340枚(▲237枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物は高安まちまち。小麦はアルジェリアやトルコ、エジプトなどの輸入需要の増かや、欧州の降雨による作付けの遅れが材料視された。

大豆は米中が合意したものの今後の輸出増加の進捗を見極めたいとの見方や、パンデミックへの懸念が荷動きを鈍化させるとの見方が価格を下押しした。

なお、米国の主要農産品の週間輸出検証高はトウモロコシが345.859(▲137.70千トン)、大豆が1199.136(+49.73千トン)、小麦が435.129(▲125.85千トン)となった。

統計を素直に読めば、トウモロコシ・小麦の下押し圧力、大豆の上昇圧力となるが、昨日は余り材料視されていない。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は方向感が出難い地合いであり、現状水準で非常に神経質な推移になると予想される。米中が通商面で合意したことは米国産穀物輸出の増加要因となるが、輸入を増加させるかは需要次第と発言するなど、中国側が一定のコミットをしていないことが価格を下押しするため。

結局のところ、この合意を受けて実際の中国の輸入がどうなるか、を見極めながらでしか判断できない。

また、新型コロナウイルスの感染拡大懸念が荷動きを鈍化させるのでは、との見方の強まりは価格を下押ししよう。

ファンダメンタルズ面では、米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は冬小麦の作況が悪化していることが買い材料視されており、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を引き続き下回っていることから、こちらには上昇圧力が掛かりやすい。

ただし「小麦は雑草」の格言通り、最終的には供給は間に合うと予想され、上昇余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・1月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億9.200万Bu(市場予想135億207万Bu、前月136億6,100万Bu)大豆 35億5,800万Bu(35億1,307万Bu、35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億2,000万Bu)

・1月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 18億9,200万Bu(市場予想17億7,641万Bu、前月19億1,000万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億3,100万Bu、4億7,500万Bu)小麦 9億6,500万Bu(9億7,046万Bu、9億7,400万Bu)

・12月末の四半期在庫トウモロコシ 113億8,900万Bu(市場予想114億7,171万Bu、前月22億2,100万Bu)大豆 35億5,200万Bu(31億9,033万Bu、9億900万Bu)小麦 183億4,000万Bu(190億300万Bu、23億4,600万Bu)

(特殊要因)

・米中通商交渉は部分合意したと伝えられており、足元シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、長期化の可能性は高くシカゴ定期の下落要因に。

・米・イランの対立激化により、穀物輸送に影響が出る場合(下落要因)。ただし非景気循環銘柄需要が高まり最終的には上昇要因に。

・エルニーニョ現象は終息したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に来年以降にかけて価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・投機のポジションは、トウモロコシのロング・ショートが増加、大豆は米中合意でロングが増加、ショートが減少、小麦は需要が旺盛でロングが増加している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが331,721枚(前週比 +18,043枚)、ショートが295,806枚(+22,359枚)、ネットロングは35,915枚(▲4,316枚)、大豆はロングが130,806枚(+2,933枚)、ショートが96,145枚(▲3,277枚)、ネットロングは34,661枚(+6,210枚)、小麦はロングが146,061枚(+10,308枚)、ショートが107,856枚(+6,429枚)、ネットロングは38,205枚(+3,879枚)

◆本日のMRA's Eye


「パンデミックリスク」

中国武漢で発生した新型肺炎は広がりを見せており、中国保険当局幹部がヒトからヒトに感染していることを明らかにしており、更に感染範囲を拡大する可能性が出てきた。

1月24日から始まる中国正月以降、数百万人規模の中国人が中国大陸内及び周辺諸国、欧米に移動することが見込まれており、世界的に感染が拡大する可能性も決して無視できない状況にある。

今のところ判明しているのは、今まで人体に感染したことがない新型のウィルスであり、ヒトからヒトに感染すること、感染すると風邪や肺炎に類似した症状が発生する。

死亡例はそれほど多くなく、致死率は感染者が増えるごとに低下している。今のところ高齢者や、糖尿病、心疾患などの他の病気にり患しているケースであり、過去のSRAS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)と比べて致死率は高くないと見られる。

なお、2003年の重症性呼吸器症候群(SARS)の場合は、WHOの報告では8,096人が感染し、34ヵ国で774人が死亡したとされている(致死率9.6%)。MERSは34.4%と非常に高い致死率であった。

2009年に発生したパンデミックインフルエンザは、豚由来のインフルエンザウィルスが人に感染し世界中に拡散。致死率は季節や地域によって異なるが、SARSほどの高さではなかった。

致死率や感染スピード、両面から見た場合過去の例ほど深刻な状況にはならないと期待されるが、油断は禁物である。SARSの時には中国政府が事実を隠蔽し、世界中から批判を浴びたため、さすがに今回はそのようなことはないと考えられるが、中国政府の隠蔽体質を考えると、全て鵜呑みにするべきではないだろう。

当然、このウィルスのワクチンは製造されておらず、手洗い・うがい・感染者の隔離といった方法で封じ込めを図るほかない。

2003年SARS発生時、中国の個人消費や工業生産はヒトやモノの移動が鈍化したために落ち込んでおり、固定資産投資に関しても減速が確認されている。

今回の感染防止の水際対策が奏功しなければ、同じように景気の下押し要因となり得るため、株価の下落や消費の減速を通じて商品価格にもマイナスに作用する可能性が高い。

ただ、過去のパンデミックの例を見ると、各国の封じ込め策がそれなりに奏功して数ヵ月で終息しており、今回の感染力や致死率の低さを考えるとやはり同様に数ヵ月で終息すると見てよいのではないか。

しかし、中国正月期間中の拡散度合い、ヒトからヒトへの感染が限定的ではあるが確認されていることから、その間にミューテーションによる感染能力上昇のリスクも排除できず、やはり完全終息までは景気の下押し要因になると考えておいた方が良いだろう。

◆主要ニュース


・11月日本鉱工業生産改定  前月比▲1.0%(速報比▲0.1%、前月改定▲4.5%)、前年比▲8.2%(▲0.1%、▲7.7%)
 出荷▲1.7%(±0.0%、▲4.5%%)、▲7.7%(±0.0%、▲7.3%)
 在庫▲0.9%(+0.2%、+1.3%)、+1.6%(+0.1%、+2.6%)

・11月日本設備稼働率 前月比▲0.3%(前月▲4.5%)

・12月日本コンビニエンスストア売上高 前年比▲0.3%(前月+1.0%)

・12月独生産者物価指数 前月比+0.1%(前月±0.0%)、前年比▲0.3%(+1.0%)

・1月ZEW独景況感調査期待指数 ▲9.5(前月▲19.9)
 現況指数 26.7(10.7)
 ユーロ圏期待指数 25.6(11.2)

・日銀当座預金残高の預金金利 ▲0.1%(前回 ▲0.1%)
 10年債金利の誘導目標 ±0.0%(±0.0%)

・米トランプ大統領、「米欧の合意は全員が成立させたいと考えているようなものになる。」

・新型コロナウイルス感染者、米国でも。

・IMF、2020年世界経済見通しを3.3%(従来見通し比▲0.1%)に引き下げ。

・中国政府、国有企業の商品デリバティブ規制強化。中国石油化工が2018年にデリバティブで6億8,000万ドルの損失を出してきたことを受けて調査が行われていた。ヘッジ取引は80%を上限に(従来は90%)

・日銀、ナナダ中銀、英中銀、ECBとデジタル通貨の共同研究を開始。

・中国発展改革委員会寧吉?副主任、「米中第二弾合意の日程は決まっていない。」

・米ムニューシン財務長官、「米中第二弾合意で必ずしも制裁関税がすべて撤廃されることにはならない。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・リビア和平協議、恒久的な停戦に向けて協力を強化することで合意。暫定政権側とリビア国民軍の代表者は欠席。

・リビア最大のシャララ油田、武装勢力がパイプラインを閉鎖。生産量は7万2,000バレルに制限。

・イラク、アーダブ油田(7万バレル)が生産停止、パドラ油田(5万バレル)も閉鎖の恐れ。反政府の抗議行動激化で。

・イラン ハムゼ議員、「トランプ大統領を殺害したものに300万ドルの懸賞金を出す。」

【メタル】
・GS、「パラジウムは3,000ドルを付けたのち、下落する可能性。アルミの2019年の平均価格は1,600ドル、50万トンの供給過剰で。」

・ICSG、1-10月鉱山キャパシティ 20,632千トン(前年20,542千トン)
 鉱山生産16,895千トン(16,945千トン)
 鉱山稼働率 81.9%(82.5%)
 プライマリ精錬銅生産 16,469千トン(16,589千トン)
 セカンダリ精錬銅生産 3,425千トン(3,368千トン)
 精錬所キャパシティ 23,920千トン(23,164千トン)
 精錬所稼働率 83.2%(86.2%)
 供給合計 19,894千トン(19,957千トン)
 需要 20,333千トン(20,302千トン)
 ▲439千トンの供給不足(▲345千トンの供給不足)

・鉱山生産は▲0.3%、精鉱生産は変わらず(チリの生産が鉱石の品位低下で▲0.2%となり、インドネシアの生産が2つの主要鉱山の生産減少で前年比▲47%となったことを、豪州、中国、メキシコ、ペルー、米国などの増産が相殺)、SX-EWは▲1.05%

・精錬銅生産は▲0.3%。プライマリ生産は▲0.7%、スクラップは+1.7%。チリの精錬所の一時的な稼働停止、インドのTuticorin精錬所の停止、電力供給制限でザンビアの生産が減少したこと、ドイツ・日本・ペルー・米国の定修による減産の影響。これらの減産を中国の生産増加が相殺。

・精錬銅需要は+0.2%の増加。中国の顕在需要が精錬同生産の増加で+2.2%となったことが影響。中国外では▲2%の減少。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGE小豆 ( 穀物 )/ +3.51%/ +9.71%
2.CBT小麦 ( 穀物 )/ +1.93%/ +4.07%
3.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ +1.30%/ ▲2.66%
4.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ +1.24%/ ▲3.55%
5.LIFFEココア ( その他農産品 )/ +1.20%/ +11.43%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲4.69%/ ▲12.79%
69.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲4.43%/ ▲0.71%
68.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲3.87%/ +23.44%
67.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲3.83%/ ▲5.13%
66.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲2.97%/ +0.30%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :29,196.04(▲152.06)
S&P500 :3,320.79(▲8.83)
日経平均株価 :23,864.56(▲218.95)
ドル円 :109.87(▲0.31)
ユーロ円 :121.76(▲0.49)
米10年債利回り :1.77(▲0.05)
独10年債利回り :▲0.25(▲0.03)
日10年債利回り :0.01(▲0.01)
中国10年債利回り :3.04(▲0.02)
ビットコイン :8,721.88(+50.20)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :21.59(+0.56)
エネルギー :23.71(+1.06)
ベースメタル :17.93(+0.26)
貴金属 :21.31(+2.8)
穀物 :14.85(+0.39)
その他農畜産品 :25.23(▲0.1)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :24.32(▲0.13)
Brent :26.34(+0.18)
米天然ガス :31.95(+4.64)
米ガソリン :23.13(▲0.66)
ICEガスオイル :19.24(+0.8)
LME銅 :10.63(+1.2)
LMEアルミニウム :12.07(▲0.05)
金 :10.66(+1.32)
プラチナ :22.83(+1.48)
トウモロコシ :19.31(+0.07)
大豆 :10.66(+1.32)

【エネルギー】
WTI :58.34(▲0.20)
Brent :64.50(▲0.70)
Oman :64.95(▲0.73)
米ガソリン :163.72(▲0.34)
米灯油 :182.71(▲3.21)
ICEガスオイル :566.00(▲10.75)
米天然ガス :1.91(▲0.09)
英天然ガス :27.85(+0.50)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :64.50(▲0.70)
SPO380cst :309.47(▲3.83)
SPOケロシン :79.82(▲0.48)
SPOガスオイル :74.21(▲1.53)
ICE ガスオイル :75.97(▲1.44)
NYMEX灯油 :201.65(▲1.96)

【貴金属】
金 :1558.17(▲2.60)
銀 :17.79(▲0.29)
プラチナ :1000.92(▲19.11)
パラジウム :2401.69(▲143.31)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,186(▲85:27.5C)
亜鉛 :2,433(▲8:22.5B)
鉛 :1,965(▲25:13C)
アルミニウム :1,818(+4:7.5C)
ニッケル :13,840(▲80:90C)
錫 :17,680(▲145:5C)
コバルト :31,925(▲4)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6145.50(▲117.50)
亜鉛 :2452.50(+13.50)
鉛 :1960.50(▲3.00)
アルミニウム :1827.00(+10.00)
ニッケル :13670.00(▲345.00)
錫 :17595.00(▲250.00)
バルチック海運指数 :729.00(▲25.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :89.3(▲0.41)
SGX鉄鉱石 :94.98(▲0.06)
NYMEX鉄鉱石 :94.8(▲0.01)
NYMEX原料炭スワップ先物 :149.02(▲0.13)
上海鉄筋直近限月 :3,685(▲14)
上海鉄筋中心限月 :3,574(▲28)
米鉄スクラップ :休場( - )

【農産物】
大豆 :916.00(▲13.75)
シカゴ大豆ミール :299.10(▲1.50)
シカゴ大豆油 :32.75(▲0.60)
マレーシア パーム油 :2960.00(▲13.00)
シカゴ とうもろこし :387.50(▲1.75)
シカゴ小麦 :581.50(+11.00)
シンガポールゴム :166.80(▲2.90)
上海ゴム :12520.00(▲335.00)
砂糖 :14.55(+0.10)
アラビカ :111.05(▲1.10)
ロブスタ :1306.00(+30.00)
綿花 :69.24(▲2.01)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :67.35(▲0.33)
シカゴ生牛 :126.38(+0.03)
シカゴ飼育牛 :145.08(▲0.28)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。