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クリスマス休暇前のポジション整理は
  • MRA外国為替レポート

2019年12月16日号

◆先週の市場総括


先週前半はFOMC、ECB理事会、イギリス総選挙、米中通商交渉の行方、など重要イベントを前に小動きに終始。ドル円相場は108円60銭で始まり、50銭~80銭の極めて狭いレンジに留まった。

水曜日・木曜日の両日に開催されたFOMCでは、予想通り政策は据え置きとなり、メンバーの予想は来年を通じて金利据え置き見通しで収斂した。

ECBでも政策は据え置き。景気見通しはやや楽観的な見方が示された。ただユーロは週初から堅調。ユーロドル相場は1.10台後半から1.11台前半に上昇。

その後木曜日にはトランプ大統領が、米中交渉の第一段階合意が近い、とコメント。また米中両国が基本合意し大統領の署名を待つのみ、との報道も。これを受けてリスク選好が強まり米国株は大きく上昇。米長期金利10年債利回りは1.7%台から1.9%へ上昇した。

為替市場では円が全面安。ドル円相場は109円30銭台に、ユーロ円相場は121円台後半に上昇した。

さらに日本時間金曜日朝方、木曜日に実施されたイギリス総選挙で与党保守党が過半数を確保して大勝と報じられるとリスク選好がさらに強まりポンド高、ユーロ高、円安。日経平均は600円近く上昇して24,000円の大台を回復した。

ユーロ円相場は一時122円台半ばまで上昇。ドル円相場も連れて109円60銭~70銭をつけた。ただその後はポンド、ユーロの上昇は一服。米中合意の具体的内容が明らかになると円安も一服。円が反発。ドル円相場は109円30銭、ユーロ円相場は121円60銭で週末の取引を終えた。米国株は金曜日には上昇一服。米10年債利回りは1.82%に低下して引け。

月曜日の東京市場のドル円相場は108円60銭近辺で小動き。ユーロドル相場は1.1060、ユーロ円相場は120円10銭近辺でそれぞれ動意にかける展開となった。日経平均は23,500円台で高寄りしたものの400円割れ、その後は23,400円台前半でもみ合い引けた。

海外市場に入っても週後半のイベントを前に市場全体が小動き。米国株は小幅安。米10年債利回りは1.83%。ドル円相場は108円60銭、ユーロ円相場は120円20銭近辺、ユーロドル相場も1.1060とほとんどアジア時間と変わらぬ水準で引けた。

火曜日の東京市場のドル円相場は引き続き108円60銭近辺で小動き。ユーロ円相場も120円20銭~30銭、ユーロドル相場も1.1060~70でもみ合いに終始した。日経平均は23,400円割れ小幅安で始まりもみ合い。その後は23,400円台前半でもみ合い引けた。

海外市場ではユーロが堅調。発表されたドイツZEW景況感指数(12月)期待指数が10.8と予想3.5を上回り前月の▲2.1から大幅に改善。これを受けてユーロドル相場が1.11ちょうどに、ユーロ円相場が120円70銭に上昇した。

ドル円相場はややしっかりで108円70銭~80銭でもみ合い。米国株は連日の小動き、小幅安。重要イベント前に様子見となった。米10年債利回りもほぼ変わらず1.84%。

米中が12月15日に予定している第4弾対中関税の発動を延期する方向で検討中と報じられたが新味なく、一方で米国は関税の削減には難色と報じられた。この日はFOMCの1日目が開催された。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円70銭~80銭で小動きもみ合い。ユーロ円相場も120円60銭近辺、ユーロドル相場も1.1090近辺で小動き。その後夕方にかけてはユーロがやや軟調。

日経平均は23,400円台前半で始まり350円に下落。その後は23,300円台後半でもみ合い引けた。アジア市場でも引き続き様子見。

海外市場でもとりあえずFOMCの結果待ち。結果は日本時間木曜日の未明4時に公表された。金融政策は予想通り据え置き。今回は全員賛成。メンバーの予測では、政策金利見通しが来年を通じて据え置きでほぼ予想がそろった。

2020年末までに1回の利上げ予測が4名、現状で据え置きが13名。さらにその先の金利見通しはやや下方修正。前回9月の予測からともに0.25%下方修正されて、2021年に1回、22年に1回の利上げ見通しのペースが下方修正された。

パウエル議長も引き続き将来の利上げには慎重な姿勢。これを受けて米長期金利はやや低下。10年債利回りは1.79%、2年債利回りは1.61%に。ドルはやや軟調。

ユーロドル相場は1.1130~40にユーロ高ドル安。ドル円相場もやや下落して一時108円50割れ。ユーロ円相場は堅調で120円80銭~90銭に上昇した。米国株はもみ合い小動き、ほぼ前日と同水準。

この日発表された米国の消費者物価指数(11月)は前年同月比+2.1%と前月+1.8%から加速。コア指数の上昇率は前月と同じ+2.3%だった。

木曜日の東京市場のドル円相場は108円50銭台から60銭台で推移。ユーロ円相場は120円80銭台からややしっかりで120円90銭~121円ちょうどでもみ合い。ユーロドル相場は1.1130~40で上下した。

日経平均は23,400円台前半で小幅高寄り。一時400円を割る場面もあったが、23,450円中心にもみ合い引けた。海外市場に入ると米中交渉を巡る情報でリスク選好が強まった。

米国時間朝方にトランプ大統領が、米中交渉の合意が近い、とコメント。またブルームバーグ社が、米中両国が第一段階の基本合意しトランプ大統領の署名を待つのみ、と報じた。

米国株は寄付きから大幅高。米長期金利は大幅上昇。10年債利回りは1.9%に、2年債利回りは1.66%に。為替市場では円が全面安。ドル円相場は109円30銭台に、ユーロ円相場は121円60銭台に大きく上昇して取引を終えた。

この日開かれたECB理事会では、ラガルド新総裁がユーロ圏景気見通しに楽観的な見方を示した。またイギリスでは総選挙が実施され結果待ちに。

金曜日の東京市場では朝方にイギリス総選挙の結果が報じられ、与党保守党が過半数を押さえて圧勝となった。EUとの合意に基づく1月末のEU離脱が確実に。不透明感解消によりポンド、ユーロが大きく上昇。ポンドは対ドルで1.30台後半から1.35へ、対円では143円近辺から147円台後半へ急騰。ユーロも対ドルで1.1130から1.12へ、対円で121円60銭近辺から122円台半ばへ。

米10年債利回りはアジア時間に1.95%に上昇。ドル円相場は夕刻には109円60銭~70銭に上昇した。

日経平均は米中合意やイギリス総選挙での保守党勝利による不透明感解消、米国株の大幅高やドル高円安を受けて23,900円近辺で大幅高寄り。その後は24,000円の大台を回復してもみ合いとなりそのまま24,000円ちょうど近辺で引けた。

なお発表された日銀短観では大企業、中小企業ともに製造業の景況感が現状判断・先行き判断ともに予想を下回り前回調査から悪化した。その後海外市場に入るとアジア時間までの動きは一服。重要イベントの結果が出揃い材料出尽くし、終盤には利食い売りが優勢となった。

円は巻き戻して円が全面高の動きに。ポンド円相場は145円台後半まで反落してもみ合い。ポンドは対ドルでも1.35から1.33ちょうど~1.3350に下落。ユーロ円相場は121円50銭~60銭に1円ほど下落してもみ合いに。ユーロは対ドルで日本時間夕刻には1.1170~80でのもみ合いとなっていたが、1.1110~20へ反落した。

ドル円相場は109円20銭まで反落して引けは109円30銭近辺。米長期金利は低下。米10年債利回りは1.82%へ、2年債利回りは1.61%へ低下した。米国株は上下動しつつ前日比横ばいで引けた。

明らかになった米中第一段階通商合意では、中国が米国産農畜産物の購入を拡大、米国は15日に予定していた1,600億ドルの追加関税の発動を見送り。さらに中国の輸入拡大により、既存の1,200億ドルに課している15%の関税を半減して7.5%に。ただし2,500億ドルに対する25%の関税は維持するとした。

ライトハイザーUSTR代表によれば、1月初に劉鶴副首相とともに86ページに及ぶ合意文書にワシントンで署名するという。トランプ大統領はさらに第二段階の合意交渉を早期にスタートすると表明した。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

米中通商交渉は第一段階の合意に達した。今後は米国景気の堅調さ、とくに企業部門の景況感に好転の兆しがみえるかどうかに一段と注目が集まろう。

月曜日 PMI景況感指数(12月、製造業、予想52.6、前月52.6、サービス業、予想52.0、前月51.6)、NY連銀製造業景況指数(12月、予想4.0、前月2.9)

火曜日 住宅着工件数(11月、季節調整済み年率換算、予想1,340千戸、前月1,314千戸)、建築許可件数(同、予想1,410千戸、前月1,461千戸)、鉱工業生産(11月、前月比、予想+0.8%、前月▲0.8%)、設備稼働率(同、予想77.2%、前月76.7%)

木曜日 フィラデルフィア連銀製造業景気指数(12月、予想8.5、前月10.4)、中古住宅販売(11月、季節調整済み年率換算、予想545万戸、前月546万戸)

金曜日 GDP(7-9月期)確報、個人所得・消費支出(11月、前月比、予想+0.3%・+0.5%、前月+0.0%・+0.3%)、ミシガン大学消費者信頼感指数(12月、予想97.0、前月99.2)

2.中国の経済指標

経済指標をみる限り、中国景気の減速にはここまでのところ歯止めがかかっていない。米中合意の効果はすぐには表れないが、政府の景気対策の効果で好転はみられるのか。

月曜日に重要指標が発表になる。市場のリスク選好を後押しするか。小売売上高(11月、前年同月比、予想+7.6%、前月+7.2%)、工業生産(同、予想+5.0%、前月+4.7%)、都市部固定資産投資(同、予想+5.2%、前月+5.2%)、が発表になる。ほかに、住宅価格、失業率も公表される。

3.欧州の経済指標

欧州景気に対する見方はこのところ好転している。ラガルドECB総裁は先週の理事会後の会見で楽観的なコメントを述べた。指標がそれを裏付けるか。

月曜日にユーロ圏PMI景況感指数(12月、製造業、予想47.0、前月46.9)、ドイツ(同、予想44.5、前月44.1)、水曜日にユーロ圏消費者物価指数(11月、前年同月比、コア、予想+1.3%、前月+1.1%)、ドイツIFO景況感指数(12月、予想95.5、前月95.0)、が公表される。

このほか、水曜日・木曜日の2日間にわたり、日銀が金融政策決定会合を開催する。日銀短観が製造業の景況感悪化を示すなか、緩和にバイアスがかかった状況は続くとみられるが、米中交渉の進展、ドル高円安、株高、などを踏まえれば静観とみられる。

◆今週のMRA's Eye


クリスマス休暇前のポジション整理は

先週は今年の大きな不透明要因がふたつ解消した。イギリス総選挙で与党保守党が圧勝し、来年1月末にEUとの合意に基づくEU離脱が確実となった。選挙結果を受けてポンドとユーロは急騰。また米中通商交渉は第一段階の合意に至り、12月15日に予定されていた追加関税の発動は回避。さらに既存の関税の一部が少額ではあるが撤回されることとなった。

米国株は大幅高。円は全面安となった。内容はともかく、不透明要因が緩和したことそのものが、リスク回避を緩和させ、投資家心理を改善させた。ただポンド高・株高・円安いずれも週末には一服している。

イギリスのEU離脱に関しては、不透明要因が解消、合意なき離脱が回避され混乱が回避されたという点で金融市場にとってプラス要因。リスク回避の後退要因だ。ただイギリス経済にとってプラスか、といえばそうではない。

日本企業の動きをみても、着実にイギリスでのオペレーションを縮小する動きが続いている。ポンド高・ユーロ高に反応したが、これはそれまで合意なき離脱の可能性を材料にポンド売りを進めてきたことの反動に過ぎない可能性がある。

選挙前、EUとの離脱案合意や保守党の優勢が伝えられるとともにポンドは大きく反発上昇してきた。ただイギリスの世論調査はあてにならない。そのためになおポンド売りが残存していた可能性がある。

それが選挙結果を受けて一気に解消し、あるいはその流れに乗じたポンド買いが生じた可能性がある。ポンド円相場は一気に147円台に高騰したが、イギリス経済にポジティブ、ポンド上昇に積極的に賭ける理由はない。ポンドドル相場も同様。ポンドは対ドルで一気に1.35に上昇したが、これが1.40を目指すのかというと、ファンダメンタルズ格差を考えれば限界がある。

同様に、連れて1.12まで上昇したユーロドル相場も、さらに1.14~1.15を目指すのかといえば疑問だろう。

米国経済の相対的な堅調、米長期金利の反発・上昇は、ドル堅調を支えるとみられる。クリスマス休暇を前にしてポンドがらみのポジションが一気に解消したと考えられ、ここからのポンドさらにはユーロの上がり目は少ないとみた方が良いのではないか。

ユーロ円相場は122円台半ばまで上昇したが、ここからユーロ主導での上昇は難しそうだ。円がさらに全面安となるかどうか。欧州の要因ではなく、グローバルなリスク選好の強化がなるかどうか次第だ。クリスマス休暇前にそうした新たな機運はなかなか盛り上がりにくいのではないか。

一方の米中通商交渉の進展、第一段階の合意はどのように受け止めるべきか。結果を受けて米国株は大きく上昇、円安ドル高が進んだ。ただこちらも事前の市場予想で、いずれ何らかの合意には至り、少なくとも12月15日の追加関税発動は回避されるだろう、とみられていた。

不透明要因の解消という点ではポジティブで株高・円安に振れる理由はある。ただそこは織り込み済みの範囲内だろう。

一時的な反応にとどまる要素で継続的な株高・円安となる要因ではない。一方、既存の関税の一部削減はポジティブ要因だ。さらに第二段階の合意に向けて早期に交渉を開始するという方向感も歓迎すべきだろう。ここは市場の想定を上回っている。

ただ今回提示された削減幅は小さく、第二段階の合意がなるかどうかという新たな不透明要因をかかえたことも事実。一歩前進してあらたな不透明要因をかかえたことになる。短期的には、株高・円安にかけたポジションが一部解消。利食いにより円高に振れる可能性もある。

米中通商交渉がイギリスのEU離脱と異なることは、不透明要因の解消とともに実際にポジティブな効果が期待できること。したがって材料出尽くしとはならない。

クリスマス休暇前という短期間では、ポジション調整が生じやや円高に振れる可能性があるが、来年を展望して中期的な戦略を考えるなら、リスク選好に傾かざるをえないだろう。したがって円高も極めて限定的・一時的となるのではないか。

そうしたポジティブな期待感は経済指標で証明されるしかない。米中合意の好影響が顕在化するにはなおかなりの時間がかかるだろう。ただ足元の経済指標が堅調に推移すれば、そうした因果関係はともかく市場は良いほうに解釈する。

米国の経済指標、中国の経済指標は、ここから重要性を増してくる。中国の経済指標が仮に政府の景気対策で好転したとしても、米中合意の好影響を深読みする可能性もある。

短期的には経済指標が弱ければ利食い先行でクリスマス休暇前に調整を迎えよう。指標が強ければ、米中合意の市場心理改善とあいまって調整は限定的となり、長期ポジションの構築が下支えするだろう。

トランプ大統領としては、素晴らしいクリスマス、希望に満ちた新年、を演出することが主眼のはずだ。そうであればリスクはなおポジティブサイドということになる。そうした見方が共有されるならクリスマス休暇前のポジション調整は限定的ということになる。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :109.38(+0.07)
ユーロ :121.56(▲0.12)
英ポンド :145.908(+2.03)
豪ドル :75.189(▲0.33)
カナダドル :83.076(+0.17)
スイスフラン :111.157(+0.19)
ブラジルレアル :26.612(▲0.11)
中国人民元 :15.672(+0.10)
韓国ウォン(日本円=100) :9.294(▲0.04)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1121(▲0.001)
英ポンド :1.3331(+0.017)
豪ドル :0.6876(▲0.003)
カナダドル :1.3166(▲0.002)
スイスフラン :0.9842(▲0.001)
ブラジルレアル :4.1079(+0.018)
中国人民元 :6.9852(▲0.019)
韓国ウォン :1171.9(▲14.86)

【主要国政策金利】
米国 :1.75
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.82(▲0.07)
米2年債 :1.60(▲0.05)
日本10年債利回り :▲0.02(▲0.01)
日本2年債利回り :▲0.02(+0.00)
独10年債利回り :▲0.29(▲0.02)
独2年債利回り :▲0.62(+0.01)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :28,135.38(+3.33)
NASDAQ :8,734.88(+17.56)
S&P500 :3,168.80(+0.23)
日経平均株価 :24,023.10(+598.29)
ドイツ DAX :13,282.72(+61.08)
インド センセックス :41,009.71(+428.00)
中国上海総合 :2,967.68(+51.98)
ブラジル ボベスパ :112,564.90(+365.20)
英国FT250 :21,507.79(+714.76)
ビットコイン :7240.62(+40.00)

【主要商品価格】
WTI :60.07(+0.89)
Brent :65.22(+1.02)
米ガソリン :166.32(+3.49)
米灯油 :198.64(+3.56)

金 :1476.33(+6.53)
銀 :16.93(+0.00)
プラチナ :928.73(▲16.11)
パラジウム :1932.59(▲8.08)
銅 :6177.00(+58:23C)
アルミニウム :1774.50(+8:11C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :907.50(+9.25)
シカゴ とうもろこし :366.25(▲0.75)
シカゴ小麦 :539.25(±0.0)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。