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休暇シーズン入り~利益確定と米中問題が相場変動を高めるか
  • MRA外国為替レポート

2019年11月25日号

◆先週の市場総括


先週は引き続き米中通商交渉の行方が市場心理を左右した。第一段階の合意に関する情報・発言は錯綜。ただ前週までの期待感がやや後退、リスク選好が弱まるなか株価は調整した。

米議会が香港人権法案を可決したことで中国の反発が懸念された。ただトランプ大統領は成立に必要な署名をするかどうか態度を明らかにしていない。

ドル円相場は上値の重い展開108円80銭で始まり週を通じて108円台後半の狭いレンジでもみ合いとなった。週末の引けは108円60銭台。ユーロ円相場は120円を挟んで上下したが、どちらかといえば上値重く、週末は119円70銭で引け。

米国の経済指標は比較的良好。米国株は週央にかけて調整したが、底固く、週末にはやや盛り返した。米長期金利10年債利回りは1.8%からやや低下したが1.7%台で上下して低下一服。

日経平均は軟調。このところの上昇の反動で利食い先行の展開。米国株の調整、ドル高円安の一服が重石となった。23,300円近辺で始まり一時22,700円に下落したが、週末には持ち直して23,100円で引け。

月曜日の東京市場のドル円相場は108円80銭で始まり小動きながらも底固く、海外市場にかけては109円に乗せた。

ユーロ円相場は120円20銭で始まりじり高。同じく120円60銭に上昇してもみ合いとなった。ユーロドル相場は方向感なく1.1060中心にもみ合い。

日経平均は23,300円割れで寄付きたがその後は堅調。後場も底固く引けは23,400円。香港情勢はさらに悪化したが米中合意への期待感がなお支えとなった。

しかし海外市場に入ると円高に。トランプ大統領が関税撤廃に否定的となっていることから中国が合意に悲観的になっている、と報じられたことがきっかけ。ドル円相場は108円50銭へ、ユーロ円相場は120円20銭に下落。ただその後はやや持ち直して引けた。

週末の米中電話協議は建設的だったとの報や、米商務省がファーウェイに対する輸出禁止を延長するなど、ポジティブな情報もあり強弱錯綜。米国株は小幅高。一方、米長期金利は小幅低下して10年債利回りは1.81%、2年債利回りは1.60%。

火曜日の東京市場のドル円相場は108円60銭台で始まりもみ合い。夕方にかけては80銭に上昇した。ユーロ円相場は120円30銭台で始まり一時120円ちょうどに下落したが30銭中心にもみ合い、海外市場にかけてはじり高となり120円50銭手前まで上昇した。

日経平均は23,350円で小幅安寄り。米中通商合意への期待がやや後退するなか、このところの上昇の反動で上値の重い展開。一時23,400円に上昇する場面もあったが後場はじり安となり引けは23,300円割れ。

ドル円相場は米国市場にかけてやや押されて108円50銭中心に上下してそのまま引け。ユーロ円相場もやや円高に振れ120円30銭近辺でもみ合い。ユーロドル相場は終始動意に欠け1.1070~80で小動き横ばい。

米国株はまちまちの値動き。NYダウは一部小売決算が悪くマイナス、ナスダックはプラス。米長期金利はさらに小幅低下。10年債利回りは1.78%、2年債利回りはほぼ変わらず1.60%。米中交渉への期待の後退が背景。

トランプ大統領は、合意できなければ関税を引き上げるだけ、と述べた。NY連銀総裁は、米経済は良好、金利水準は適切、3回の利下げは効果的、当面様子見が好ましい、と語った。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円50銭近辺で始まり40銭~50銭の狭いレンジで小動き。ユーロ円相場も120円20銭で始まり、120円ちょうど~20銭でもみ合い。

ただ海外市場にかけてユーロがやや軟調。ユーロドル相場が1.1070台から1.1050台へややじり安となったことからユーロ円相場は一時120円割れ。

日経平均は23,200円割れで安寄り。一時300円をつけたが23,100円近辺でもみ合いそのまま引けた。海外市場では米国株が下落。今月に入り初めて3指数ともに下落となった。

米議会が香港人権民主主義法案を可決。上院・下院双方からトランプ大統領へ送付されることとなった。トランプ大統領が署名すれば成立するが、中国は成立なら対抗措置をとるとしており、米中合意への悪影響が懸念された。

また合意が来年にずれ込み、12月15日の関税発動も、との報道も嫌気された。

NYダウは一時250ドル安。その後持ち直して120ドル安程度に。

小売決算は良好で年末商戦への期待は維持された。米長期金利はさらに低下。10年債利回りは1.73%、2年債利回りは1.58%。ドル円相場は海外市場で108円70銭台に上昇していたが株安・金利低下を受けて40銭台に下落。その後は108円60銭に戻して引け。

ユーロ円相場は120円割れから120円30銭台に戻したが120円ちょうど~20銭で上下して引け。ユーロドル相場は1.1070。

公表されたFOMC議事録(10月会合)が公表され、大半の参加者が10月の利下げで十分、今後は当面様子見とすることを支持したことが明らかとなった。

木曜日の東京市場のドル円相場は108円60銭で始まり、昼前には30銭に下落していたが60銭に反発。海外市場にかけても60銭中心に狭い範囲で上下した。

ユーロ円相場は120円20銭から120円割れに下落していたが、ドル円相場と同様に反発して120円20銭台。昼前に中国・劉鶴副首相が、第一段階の合意に慎重ながらも楽観と述べたことが報じられたことでこのところの悲観的な見方が後退した。

日経平均は23,100円割れで始まり、大台の23,000円を割ると利益確定売りが嵩んで下げが加速。一時22,700円台に下げた。しかし昼前の情報に反転。結局23,000円の大台を回復して引けた。

下値では日銀によるETF購入の思惑も支えとなった。米国株は下落。米中第一段階合意が年内不透明になったことが引き続き弱気材料。一方で12月15日の関税発動は見送られるとの見方は支え。米政府はファーウェイ社に対する禁輸を一部緩和した。

ユーロ円相場は海外市場で120円50銭に上昇したが、押されて120円10銭~20銭でもみ合い引け。ユーロドル相場は1.1090に強含んだ後はじり安となり1.1060で引けた。

フィラデルフィア連銀製造業景気指数(11月)は10.4と予想7.2を上回り前月5.6から改善した。

中古住宅販売(10月)は季節調整済み年率換算で546万戸と予想をやや下回ったが前月538万戸から増加した。金利低下と雇用拡大が寄与。一方、OECDは成長率見通しをわずかながら下方修正した。

米長期金利はようやく反発。10年債利回りは1.77%、2年債利回りは1.61%。

金曜日の東京市場のドル円相場は108円60銭~70銭でもみ合い小動き。ユーロ円相場も120円20銭近辺で動意に欠ける展開。ユーロドル相場は1.1060~70。

米中交渉を巡っては、朝方、中国劉鶴副首相がライトハイザーUSTR代表に月内の訪中を要請、と伝えられたが、合意内容や進展については新たな具体的情報はなく値動きは乏しかった。

日経平均は23,000円近辺で寄付き堅調。午前中に23,200円に上昇した。ただ上昇力も限定的で後場はじり安となり引けは23,100円。

海外市場のドル円相場は引き続き108円60銭~70銭で小動きのまま取引を終えた。ユーロは下落。ユーロドル相場は1.1020へ、ユーロ円相場は120円を割り込み119円70銭。

米長期金利は横ばい。10年債利回りは1.77%。米国株は主要3指数がそろって反発、上昇した。発表された米国のPMI景況感指数(11月)は製造業が52.2と予想50.7を上回り前月51.3から改善。サービス業も50.6から51.6へ。

またミシガン大学消費者マインド指数(11月)の確報も96.8に速報95.7から改善した。トランプ大統領は、中国との合意は非常に近い、と述べ、同時に、香港問題が状況を複雑にしている、とした。香港人権法案への署名については明らかにしなかった。

◆今週の3つの注目ポイント


木曜日は感謝祭で米国市場が休場。金曜日も取引閑散と見込まれる。

1.ベージュブック(地区連銀経済報告)

水曜日にベージュブックが公表される(日本時間木曜日未明4:00)。12月のFOMCでの議論の基礎となる。

景気動向が定性的にどのように判断されているか。製造業ないし企業部門全体に持ち直しの気配がみられるのか。米経済を支える雇用および個人消費に陰りはみられないか。

金融政策は当面様子見スタンスが明らかになっているが、景気下方リスクがどの程度緩和するのか、あるいはそのままか。

2.米国の経済指標

このところ米国の経済指標には明るい数字も散見される。引き続き景気の底固さを示すか。

火曜日 ケースシラー住宅価格指数(9月)、リッチモンド連銀製造業指数(11月)、新築住宅販売(10月)、消費者信頼感指数(11月)

水曜日 GDP(7-9月期改定値)、耐久財受注(10月)、シカゴ購買部協会景気指数(11月)、個人所得・消費支出(10月)

3.米中通商交渉の進展・内容

依然として交渉の進展、第一段階の合意の可否ないし内容は明らかになっていない。市場は米中双方からの発言、前向きか、楽観的か悲観的か、などあいまいな情報に左右されている。

米議会が香港人権法案を可決してトランプ大統領に送付したことで悲観的な見方も強まった。

トランプ大統領は署名するかどうか明らかにしていないが、中国との合意を重視して署名を見送るか。今週態度が明らかになるか。

また月内に閣僚級協議を実施するとの報道もあるが実現するか。12月15日の対中関税発動は結果的に回避されるのか。

◆今週のMRA's Eye


休暇シーズン入り~利益確定と米中問題が相場変動を高めるか

毎年11月の第4木曜日は感謝祭。米国市場は休場となり、翌日金曜日はクリスマス商戦のスタート、ブラックフライデーだ。どの小売業者も年間最大の売り上げを記録し大幅な「黒字」となる書き入れ時ということだ。

今年のクリスマス商戦は、消費者マインド指数が高止まりし、雇用・所得環境も良好なことから好調が期待される。米国景気を支える屋台骨は安泰ということになりそうだ。

一方、市場はこの感謝祭からクリスマスに向けて休暇ムードとなる。短期的には今週木曜日が休場となり、翌金曜日も谷間となるとともにブラックフライデー、買い物に忙しく実質的に休場状態となり動きは鈍いだろう。

そして11月末は多くのファンドが決算を迎える。すでに今年のパフォーマンスは雌雄を決したとみられ、月内は大きな動きは出ないか。

米国企業は全般に12月末が本決算。機関投資家も同様に12月末が総決算となる。ここから年末までどう動くか。今年十分に稼いだ投資家、ないし収益目標を達成した金融機関のプレーヤーは、12月に入れば早々と休暇を取得するのが常だ。

あるいはこれから手仕舞いや利益確定の動きが出るか。市場参加者の数は次第に減少しクリスマス期間は休場もあり取引閑散となる。一方で流動性が低下することで値動きが荒くなることもある。

手仕舞いや利益確定は、手元の運用事情、懐具合を反映して行われ、必ずしも相場感に基づかない動きとなりやすい。

相場に強気でも売る、弱気でも買い戻す。大きくみれば、この1年間どのようなスタンスで取引をしてきたか、による。その反対方向の取引となる。

個々の懐具合によるため、売買の方向が一定ではなく、また読みにくく、複雑な動きとなりやすい。このところ相場は落ち着いており、予想変動率は低位安定しているが、跳ね上がる可能性もある。取引閑散がそれを誘引する可能性もあろう。

今年の場合は特殊事情もある。折しも米中通商交渉第一段階合意がなるのか、ならないのか。内容はどうか。今後の段階的関税引き下げが盛り込まれるのか、そこまでのコミットはないのか。それ以前の問題として対中追加関税の発動は見送られるのか。

そこが決しない限り、利益確定などはまだできずにいる可能性がある。仮に合意がなるとして、その前に利益確定、株式であれば売却、為替であれば円買いに動けば、後から事情説明に苦慮することになるだろう。

結果が出てから動くのでも遅くはない、となる可能性が高い。そうなると、未だ合意について明確にならない現状で様々に錯綜する情報により売買がされ相場が上下する動きは「鍔迫り合い」程度に過ぎない。

大きく動くとすれば、休暇シーズン入りしてクリスマス休暇前のこの期間になる。

今年は年初からリスクオフトレード、リスク回避をテーマにしたトレードが主流だった。これが夏場からはリスクオントレード、リスク選好の回復をテーマにしたトレードに変化してきた。

利食いをするなら短期的にリスクオントレードの調整、株には利食い売りが生じ円には買い戻しが生じることとなりやすい。

一方で中期的な流れ、リスクオフからリスクオンへ、景気後退懸念から景気持ち直し期待へ、本格的に変化するのであれば、根っこのポジションがさらに強気に変化する可能性がある。

米中交渉の第一段階合意とともに来年の見通しがポジティブとなるなら、短期的な利食い、リスクオンの手仕舞いが生じるとともに、その受け手として長いポジションのリスクオンの仕込みが生じることとなりそうだ。

合意となれば米国株は複雑な動きのなかで堅調のまま年末となる。逆に見送りとなれば想定外のショックによる利益確定先行で大きく下落して年末を迎えることとなる。円買い戻しから円ロングも増加するリスクもある。

メインシナリオは合意がなり、短期的にはリスクオンの手仕舞いが入りつつも、トレンド転換が支えとなって、全体としてはリスクオンの強化に沿った動きとなる、というもの。

この場合はドル円相場のボラティリティはやや上昇しつつも、さほど大きな荒れ相場とはならずに堅調、底固く推移することになる。

リスクシナリオとして、合意見送り、となれば株価大幅下落、円買い戻し、からドル円相場は107円割れを試すこととなる。ただその確率は米中双方の国内経済・政治情勢からみれば低く、2割程度だろう。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :108.66(+0.03)
ユーロ :119.84(▲0.31)
英ポンド :139.41(▲0.87)
豪ドル :73.723(▲0.00)
カナダドル :81.678(▲0.09)
スイスフラン :108.912(▲0.47)
ブラジルレアル :25.8947(▲0.00)
中国人民元 :15.432(▲0.02)
韓国ウォン(日本円=100) :9.204(▲0.03)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1021(▲0.004)
英ポンド :1.2834(▲0.008)
豪ドル :0.6786(▲0.000)
カナダドル :1.3302(+0.002)
スイスフラン :0.9976(+0.005)
ブラジルレアル :4.1952(▲0.000)
中国人民元 :7.0391(+0.007)
韓国ウォン :1179.07(+0.99)

【主要国政策金利】
米国 :1.75
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.77(▲0.00)
米2年債 :1.63(+0.02)
日本10年債利回り :▲0.07(+0.03)
日本2年債利回り :▲0.07(+0.01)
独10年債利回り :▲0.36(▲0.03)
独2年債利回り :▲0.64(▲0.01)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :27,875.62(+109.33)
NASDAQ :8,519.89(+13.67)
S&P500 :3,110.29(+6.75)
日経平均株価 :23,112.88(+74.30)
ドイツ DAX :13,163.88(+26.18)
インド センセックス :40,359.41(▲215.76)
中国上海総合 :2,885.29(▲18.35)
ブラジル ボベスパ :108,692.30(+1,195.60)
英国FT250 :20,485.81(+115.95)
ビットコイン :7343.85(▲254.85)

【主要商品価格】
WTI :57.77(▲0.81)
Brent :63.39(▲0.58)
米ガソリン :167.43(▲3.01)
米灯油 :192.94(▲1.53)

金 :1461.93(▲2.48)
銀 :17.02(▲0.08)
プラチナ :891.65(▲23.76)
パラジウム :1777.01(+14.88)
銅 :5851.00(+21:17C)
アルミニウム :1738.50(+3:11.5B)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :897.00(▲4.00)
シカゴ とうもろこし :368.75(+0.25)
シカゴ小麦 :515.25(+6.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。