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米中合意期待で景気循環銘柄上昇
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年12月5日 第1652号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中合意期待で景気循環銘柄上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、総じて非景気循環銘柄が売られ、景気循環銘柄が物色される流れとなった。米中が通商合意に近いとのブルームバーグの報道を受けて悲観論が急速に後退したことが背景。

また、英選挙を控えて与党が支持を伸ばしているとの報道、米統計の悪化を受けたユーロ高・ドル安も価格を押し上げた。

しかし、米ADP雇用統計や米ISM非製造業指数は市場予想を上回る減速となったことがファンダメンタルズ面で、米国が新疆ウイグル自治区の人権法案成立に向けて動いていることがマインド面で、景気循環銘柄価格上昇の足枷となった。

【本日の価格見通し総括】

本日は重要統計発表の中日に当たり、発表が予定されている経済統計はそれほど重要なものはない。そのため総じて昨日の流れを引き継いで、景気循環系商品が物色される流れになると考える。

ただし、昨日発表された米国の統計が弱い内容であることから、価格の上昇余地も限定され、結局レンジワークになると予想する。

本日の注目はOPEC会合だろう(詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照下さい)。市場予想は減産延長・減産順守と見るが、参加者の思惑は錯綜しており、どのような着地になるかは予断を許さない。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日発表された米国の統計は、決して良い内容とは言えなかった。雇用統計の前哨戦となるADP雇用統計は+6.7万人(市場予想 +13.5万人、前月 +12.5万人)と悪化。資源・工業・建設・製造業のすべてのサブカテゴリーで雇用者数が減少(▲1.8万人)、サービス業では+8.5万人と増加している。

サービス業が悪化し始めていることは、米ISM非製造業景況指数の減速(53.9、市場予想54.5、前月54.7)でも確認できる。しかし、ISM非製造業景況指数の内数を見てみると、雇用は55.5(前月53.7)と改善しており、新規受注も57.1(55.6)と良好。しかし、輸入の減速(48.5→45.0)が指数の低下に寄与したようだ。

このことは、まだ製造業の景況感悪化がサービス業まで波及していないことを示唆している。

しかしこのまま米国が中国に対する制裁を12月15日から強化した場合、サービス業の景況感が悪化する可能性は低くない。ということもあり、人権問題はあるものの米国側は中国との通商合意を急いでいるとみられる。来年のトウモロコシ・大豆の種注文を考えると、あまり長引かせるわけにはいかないのだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標の減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.2%→+3.0%)ている。2020年も+3.4%(▲0.1%)に引き下げた。

ただし2020年の回復はイランやトルコ、アルゼンチンなどの政治的に不安定な国の回復を想定しているため、先行き見通しも極めて不透明。

・FRBの利下げに打ち止め感が広がっている。あったとしても後1回程度(▲25bp程度)の利下げに留まる(金融面の価格下支え期待の後退)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q319の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.3%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商交渉は一進一退でどのような着地になるかよくわからないが、完全に解決(米国が、中国が軍事技術に転用し、安全保障上の脅威となる可能性があるため、最も重要と考えている技術の強制移転や知的財産権保護を中国が確約)するまでは景気循環銘柄価格の下落要因となりやすい。

通商面のみならず、資本フローの規制や、人権問題への制裁なども加わっており、通商面で妥協があったとしてもその他の分野での制裁発動の可能性は高い。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢が再度緊迫していることで、域内景気への悪影響への懸念(下落要因)。可能性は低いが、サウジアラビアがイランに対して報復攻撃を行うなどのリスク(原油は上昇要因、その他の景気循環銘柄には下落要因。ただしアラムコIPOを控えてその可能性はほとんどない)。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。EUは英国のEU離脱期限延長で合意したが、議会の構成が変わらなければ英議会で離脱案が否決される可能性がある。

これを解消するため、ジョンソン首相は解散総選挙を実施するが、選挙結果によっては再びEUと離脱を巡って混乱が生じる可能性。ハードブレグジットの可能性は排除すべきではない(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・中国政府が「法律に基づき」過去のGDPの見直しを行うと発表しているが、この見直しによって統計が悪化する可能性は高く、景気循環銘柄価格の下落要因に。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は大幅に上昇した。米国と中国が通商問題に関して合意に近づいているとの報道と、市場予想比弱い統計を受けたドル安の進行が価格を押し上げた。

また、米石油統計で原油在庫が予想を上回る減少となったこと、OPECでイラクが追加減産を主張する見込みと報じられたことも価格を押し上げた。

【原油価格見通し】

原油価格は、米中合意の可能性とOPEC会合での減産期待で市場参加者のマインドが強気に傾いているが、ファンダメンタルズ面を見ると、米雇用関連統計が減速、米ISM製造業・非製造業指数とも悪化しているため、結果的に軟調な推移になると予想する。

OPEC総会で減産に積極的なのは就任以降の実績が乏しく、サウジアラムコのIPOを控えているサウジアラビア程度であり、ロシアは減産継続で応分の協力はするものの恐らく減産拡大は見送られ、売り材料になるとみている。

現在の価格を維持するためには、最低でも多少なりとも減産幅を拡大する、減産枠の順守、3月以降も減産を継続するといった取り決めが必要条件となるのではないだろうか。

イラクは減産拡大を主張する見込みであるが、そもそも減産を順守していないためその効果は怪しいものである。

米中交渉は歩み寄りが見られていたが、香港やウイグル族の人権問題まで米国が対象を拡大して中国も報復、先行きが怪しくなってきた。結局、部分的な合意には至るものの、長期的には米中いずれかがあきらめるまで継続するため、やはり景気循環銘柄価格の下落要因、と整理しておくべきだろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めの方針のようだが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないだろう。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めているとみられ、エネルギーセクターにおいても今後の大きなテーマとなると予想される。

財政出動は使途にもよるが、エネルギー価格の押し上げ要因になるだろう。

実際、11月12日には米クドロー国家経済会議委員長が、「トランプ大統領から第2弾の減税の指示があった」と発言しており、2020年度予算に減税が盛り込まれる可能性が高まった。

米国は財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

なお、景気の減速に伴う価格下落(歳入確保のための増産)やサウジアラビアに対するドローン攻撃(テロの低コスト化・大規模化に伴う供給途絶)の影響で、供給側(特にOPECプラス)の動きが価格に与える影響は小さくなくなっている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落。特段材料がない中、ピークシーズン入りした需要の増加と天然ガス価格の上昇はあるも、中国の国内生産増加に伴う輸入の減少観測から価格はもみ合っている。

【石炭価格見通し】

石炭価格はピークシーズン入りしていることから、上昇すると見るが、欧州地域の景況感悪化に伴う天然ガス価格の低迷、中国統計の減速、中国政府の石炭輸入制限(年間2億8,000万トン)を受けた輸入需要の減速を受けて低水準を維持する見込み。

バルチック海運指数は、予想通り下落傾向が顕著になってきた。中国政府が特に石炭に関して輸入量を前年並みにする目標であることが影響している。

10月の中国の貿易統計では、石炭輸入は燃料炭・原料炭合計で2,569万トンと前月から減速。ただし、依然として過去5年の最高水準を上回っている。

同時に10月の中国石炭生産が、同じ時期の過去5年の最高を上回る3,249万トンとなった。中国の国内供給は増加している状況であり、貿易市場は緩和する見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・景気が減速する中でのOPECプラスの減産継続は、その効果が限定されはするものの一定の下支え効果をもたらす見込み。

しかし、現時点で減産に積極的なのは、IPOを控えてアラムコの評価額を上げたいと考えているサウジアラビア程度であり、最大のパートナーとなったロシアは減産継続では協力するだろうが、減産幅の拡大はないだろう。

むしろ価格が下落を始めた時に、歳入確保のために増産バイアスがかかることによる下落リスクを警戒したほうが良いかもしれない。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・世界2位の消費国である中国の輸入増加。10月の貿易統計では、原油の輸入が4,551.1万トン(1,086万バレル/日)と過去最高を更新。

今後、特に中東・欧州原油価格動向に中国の景気動向が与えるリスクはさらに増すことが予想される。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(世界の需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・競合燃料である天然ガス・LNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・サウジアラビアの石油施設の修復は完了したと報じられているが、実際は完了していないとの報道もあり、供給面は実態が把握される中で上昇リスクになる可能性。

なお、サウジアラビアがイランに対して報復を行う可能性は、アラムコのIPOを控えていることもあり、現時点ではほぼゼロに近いと見る。

また、今回のドローン攻撃でテロが低価格化・大規模化することが分かったことは、中東の供給途絶リスクを従来よりも高めるものであり、従来以上に中東情勢は重要に。

・ブラジルのOPEC加盟。ブラジルの生産量は2018年で268万バレルであり、世界供給の2.8%に達するため、実際に加盟し、サウジアラビアの意向に沿う生産を行うならば、OPECの価格支配能力は若干の改善が見込まれる。

仮に期待通り来年の世界景気が夏頃にかけて底入れした場合、生産制限は顕著な価格上昇要因となり得るため、その点は注意。

・イエメンでの内戦が一時停戦となったことは、地政学的なリスクを低減させ、原油価格の下落要因に。

・トルコ軍のシリアへの侵攻は、ロシアの仲介でとりあえず終了。域内に「緩衝地帯」を設けることで合意した。ロシアの支援を受けているアサド政権側もこれを飲まざるを得なくなった模様。

トルコはこの地域にシリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も。

・米朝交渉は目立った進捗がなく、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングが増加、ショートが減少した。Brentも同様。景気の先行きへの懸念が後退し始めたことや、クッシング在庫の減少傾向持続、OPECの減産継続への期待が材料視された。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが553,737枚(前週比 +12,317枚)、ショートが82,801枚(▲28,644枚)、ネットロングは470,936枚(+40,961枚)、Brentが413,977枚(前週比+32,082枚)、ショートが64,490枚(▲6,101枚)、ネットロングは349,487枚(+38,183枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格はアルミ、ニッケルが下落したが、その他の金属は上昇した。12月15日を控えて米中が通商面で合意するとの報道を受けて、中国の需要増加期待が高まったことが背景。

また、英国の総選挙で与党が優勢と伝えられたことや、米統計悪化によるドル安進行が価格を押し上げた。

非鉄金属の場合、最大消費国が中国であるため、米国の統計悪化の影響はエネルギーほど強くなく、通商合意の可能性の方が強く意識された形。しかし、米統計が悪化しているのは事実であり、上値も抑えられた。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、米中合意の可能性が意識されて投機の買戻しが入りやすい(特に銅とアルミ、錫)ものの、米ISM製造業・非製造業指数が悪化していること、通商面で合意が期待できても香港・新疆ウイグル自治区の人権法案を米国が可決する方向性であることが、米中の対立を意識させること、ブラジル・アルゼンチンに対する関税復活による通商面への懸念から、上値も重いと考える。

米中交渉は通商面で合意の可能性が出ているが、香港やウイグル族の人権問題まで米国が対象を拡大して中国も報復、先行きが引き続き不透明。結局、部分的な合意には至るものの、長期的には米中いずれかがあきらめるまで継続するため、やはり景気循環銘柄価格の下落要因、と整理しておくべきだろう。

FOMCは、一旦利下げを打ち止めの方針のようだが、仮に景気に減速感が強まれば速やかに利下げをする方針であり、下支え効果をもたらしつつも価格を大きく押し上げる材料にはならないと予想される。

仮に景気が後退した場合、金融政策の効果が限定される中で各国とも、より直接的に景気を刺激する財政出動を検討し始めていることが、非鉄金属においても今後の大きなテーマとなると見られる。

財政出動は使途にもよるが、非鉄金属価格の押し上げ要因となる見込み。

実際、11月12日には米クドロー国家経済会議委員長が、「トランプ大統領から第2弾の減税の指示があった」と発言しており、2020年度予算に減税が盛り込まれる可能性が高まった。財政にゆとりはないため減税も形式的なものになろうが、「選挙戦モード入り」で景気に必要以上のアクセルが踏まれる可能性が高まっている。

中長期的にはインドの構造的な需要増加や、環境面に配慮した「省エネ金属」需要が高まることから非鉄金属価格は上昇すると予想されるが、より短期的には、中国、欧州の景気がどこで底入れするのか、米国経済の後退がいつから始まるのかに依拠する。

来年の大統領選挙を睨んで米国がどのような対応をしてくるかが不透明であるが、こうした政策期待効果を除けば、底入れ感が出てくるのは来年の春~夏にかけてになると見ている。中期的には現状水準でのもみ合いが続こう。

再び非鉄金属が持続的な上昇に転じるのは、インド需要が顕在化すると期待される2020年の春以降と見る。

ニッケルに関しては、インドネシアの輸出規制は再び解除され、9社の輸出が認可された。これにより供給懸念が後退するため、景況感の悪化と相まってニッケル価格は下落余地を探る流れとなっている。

足元はチャートの節目である、14,000ドルの節目を割り込んだ。今後、目立ったチャートポイントがあるわけではないことから、13,000ドルを維持できるかが大きなポイントとなる。

来年1月以降は供給が停止されるが、前倒し輸出が加速したため、品薄感が意識されて価格が上昇するのは4月以降の可能性が高まった。というのも、今年9月までで2018年と同じ数量をすでに中国が輸入したためだ。

処理量に大きな変化がなければすでに3ヵ月分、余分に調達が済んでいることになる。ただし、実際にインドネシアの供給が止まれば、シェアはニッケル含有分ベースで25%であるため、原油に例えれば、サウジアラビアとロシアの供給が同時に停止するぐらいのインパクトがある話であり、やはり価格には上昇圧力が掛かりやすい。

2014年の規制開始後を参考にすると、輸出規制開始となる1月から価格が上昇し(価格がすでに大きく調整しており、割安感があることから上昇タイミングを前倒し)、来年7月頃(下期)からの下落が予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは回復し、閾値の50を上回った。しかし、規模別でみた場合大企業は閾値の50を上回っているが、中堅・中小企業の景況感はまだ50を上回っていない。価格へのプラスの影響は緩やかなものに止まろう。

在庫水準はほぼ変わっていないが、新規受注(主に国内)が回復しており、新規受注/完成品在庫レシオには上昇圧力が掛かっている。

・1-10月期中国工業生産は、前年比+5.6%(1-9月期+5.6%)、10月+4.7%(前月+5.8%)と月次ベースで急速に減速した(フロー需要の減少=価格下落要因)。

・1-10月期中国固定資産投資は、前年比+5.2%の51兆880億元(1-9月期+5.4%の46兆1,204億元)、公的セクター+7.4%(+7.3%)、民間セクター+4.4%(+4.7%)と規模の大きな民間セクターの減速が鮮明になっている(ストック需要の減速=価格下落要因)。

・1-10月期中国不動産開発投資は、前年比+10.3%の10兆9,603億元(1-9月期+10.5%の9兆8,008億元))と高い水準を維持してはいるが伸びは減速している。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・10月の銅地金・製品の輸入量は43万1,000トンと、同じ時期の過去5年の最高水準。また、銅鉱石の輸入も191万4,000トンとやはり過去5年の最高水準を上回った。公共投資(電線網整備)などの公的需要が需要を下支えしている模様。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は増加しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、Valeの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

HydroのAlunorteアルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石禁輸措置再開(銅とボーキサイトは2022年から実施の予定)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展し、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・11月29日付のLMEポジションは銅・錫以外の非鉄金属でロングポジションが減少、銅に関してはショートも減少して相場水準を切り上げた。

銅は公共投資の増加期待とチリの暴動による供給減少が意識されているとみられる。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲29.4億ドル(前週▲31.8億ドル)と売り越し幅を小幅に縮小した。売り越し額の減少率は▲7.5%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲791千トン(▲806千トン)と売り越し幅を小幅に縮小した。ネット売り越しの減少率は▲1.8%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、原料炭スワップ先物は小幅上昇、中国鉄鋼製品先物価格は直近限月が変わらず、中心限月は小幅に下落。

米中が合意に近いとのブルームバーグの報道や、ブラジルの鉄鉱石輸出が11月は▲19.8%の2,725万トンになったことが、鉄鉱石価格の上昇要因となった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、最大消費国である中国の公共投資に伴う需要増加や、冬場の鉄鋼製品生産規制から鉄鋼製品価格も上昇が予想されること、Valeの販売調整観測で価格は底堅い推移になると考える。

目先、米中合意が近いとされておりこれ自体は景況感の改善で鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格の上昇要因となるが、実際に合意するまでは価格の下押し要因であり、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡る対立を見るに、まだ両国関係は鉄鉱石価格の波乱要因になると見る。

また、冬場の鉄鉱石価格は季節的には強含みやすいものの、冬場の鉄鋼製品生産規制により鉄鋼向け需要が減速するため(短期的には鉄鋼製品価格の上昇で、鉄鉱石価格の上昇要因となる)、今年はやや軟調な推移になると予想される。

原料炭も鉄鋼需要の伸びが欧州・中国を中心に減速していることから、同様に下値余地を探りやすくなっている。回復があるとすれば、その他の景気循環系商品と同様、春~夏にかけてになるのではないか。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは45.4(前月41.3)と回復。新規受注の回復(31.6→43.8)が大きく影響した。輸出向け新規受注の回復が緩慢(35.8→40.1)であることから、恐らく、政府主導のインフラ向けの投資需要が新規受注を支えていると考えられる。

需要回復で完成品在庫は減少(36.8→27.1)、原材料在庫は増加しているため(37.9→39.2)、製品とのスプレッドは拡大する可能性がある。結果、鉄鋼原料価格はファンダメンタルズ面で強含み推移しよう。

・1-10月期中国工業生産は、前年比+5.6%(1-9月期+5.6%)、10月+4.7%(前月+5.8%)と月次ベースで急速に減速した(フロー需要の減少=価格下落要因)。

・1-10月期中国固定資産投資は、前年比+5.2%の51兆880億元(1-9月期+5.4%の46兆1,204億元)、公的セクター+7.4%(+7.3%)、民間セクター+4.4%(+4.7%)と規模の大きな民間セクターの減速が鮮明になっている(ストック需要の減速=価格下落要因)。

・1-10月期中国不動産開発投資は、前年比+10.3%の10兆9,603億元(1-9月期+10.5%の9兆8,008億元))と高い水準を維持してはいるが伸びは減速している。

中国政府は景気刺激に住宅セクターを用いない、と発言しているためさらに伸びが加速するとは考え難い。

10月の中国の貿易統計では、鉄鋼製品の輸出は478万2,000トンと過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

また、燃料炭・原料炭の内訳が出ていないが、石炭輸入もほぼ季節性通り減少し、2,569万トンとなった。ただし、以前として過去5年の最高水準を上回っている。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られるため、11月以降の石炭輸入は減少すると予想される。

・中国の10月の鉄鉱石の輸入量は前月からは減速したが9,290万トンと高い水準を維持した。一方で、今年の鉄鉱石生産は3月以降漸増しており、7,804.8万トンに達しているため、冬場の鉄鋼製品生産規制がやはり実施される見込みであることを考えると、輸出市場における鉄鉱石需給は緩和する可能性が高い。

石炭輸入は燃料炭・原料炭合計で季節性通り減少し、2,569万トンとなった。ただし、以前として過去5年の最高水準を上回っている。

今後に関しては輸入規制が導入されると見られる、国内生産も10月時点で3億2,487万トンと過去5年の最高水準を大きく上回っている。このことから、11月以降の石炭輸入は減少すると予想される。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲67.6万トンの832万トン(過去5年平均895.7万トン)と例年を下回っている。

なお、10月の鉄鋼製品の輸出は478万2,000トンと過去5年の最低水準を下回り、輸出需要が停滞していることを示唆。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比▲85万トンの1億2,950万トン(過去5年平均1億1,749万トン)、在庫日数は▲0.2日の27.9日(過去5年平均 29.0日)と再び在庫日数ベースは過去5年平均を下回り、鉄鉱石の需給ファンダメンタルズはタイト化している。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針(5年で約160兆円)を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・Vale、Rio Tintoの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む金融市場の緩和を進めているほか、地方政府にも債券発行枠の前倒しを認めるなど、景気テコ入れのため公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

(投機・投資要因)

・特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は金が下落、銀が大幅に下落した。米中が合意に近いとの報道を受けて、急速にリスク回避の動きが弱まったことが背景。また、長期金利が上昇して実質金利が上昇したことも価格を押し下げた。

PGMは金銀と貴金属としての色彩が強くなっているプラチナは、ほぼ金銀と同じ値動きとなり下落。景況感の改善期待でパラジウムは上昇した。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中協議の進捗期待が高まっていることから、再び下落余地を試す動きになると考える。

しかし、米経済統計の悪化傾向が再び強まっていること、ブラジル・アルゼンチンに対する関税引き上げなどの通商問題は解決しておらず、何より米中交渉もまだ妥決していないこと、香港・新疆ウイグル自治区の人権問題を巡り、米中の対立が激化する可能性があることが一定の安全資産需要を喚起すること、同時に低金利政策の継続も間違いがなく、下値余地も限定され、結果高値圏でのもみ合いとなるだろう。

米中交渉は歩み寄りが見られているが、香港やウイグル族の人権問題まで米国が対象を拡大したため、先行きが怪しくなってきた。結局、部分的な合意には至るものの、長期的には米中いずれかがあきらめるまで継続するため、やはり金銀価格の上昇要因、と整理しておくべきだろう。

仮に地政学的リスクが解消した場合、実質金利を基にすれば、▲200ドル程度(地政学リスクプレミアム)金価格は下落することになる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)が大幅に低下しており、徐々に銀価格の上昇を肯定しやすい状況になっている。金の在庫増加と銀の在庫減少が同時に起きている。

それでも現在の金銀レシオは在庫レシオで見た場合やや高すぎで、金銀在庫レシオから類推される金銀レシオは、80倍程度が適切と考えられる。

PGM価格は金銀価格が高値圏で推移するとみられることから、同様に高値圏での推移になると予想する。ただし、世界の自動車販売の前年比減速が底入れした感じが出てきていることから対金銀で割高に推移すると考える。

中国の自動車販売が15ヵ月連続のマイナスとなるなど、需給ファンダメンタルズ面は需要面の減速が懸念される状況。世界自動車販売も13ヵ月連続の前年比マイナス。

しかしいずれも前年比マイナス幅が徐々に縮小し始めていること、11月の米自動車販売は1,709万台(前月 1,655万台)と回復しており、需要面でも価格が押し上げられる可能性は高まっている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっているが、FRBは10月のFOMCで▲25bpの利下げを実施。当面利下げは行われない見込み。さらなる追加利下げはあっても来年1回程度とみられるため、下支え効果は限定か。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト観測(プラチナがパラジウムを代替するにはまだ時間を要する)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

パラジウムはニッケルやプラチナ鉱山からの副産物としての生産が大半(80%)であり、プラチナ価格が低迷する中では増産されにくい、

(特殊要因)

・米中通商交渉が一部進捗しているが、基本的に覇権争いであるためこの問題が簡単に片付くことはなく、安全資産需要を下支えする見込み。

米国は中国の知的財産権侵害や技術の強制移転などの解決と、それによって民間技術が軍事転用されないようにすることが最終目標であり、根本的な解決には相当な時間がかかる見込み(価格の下支え要因)。

・サウジアラビアがイランに対して報復を行う可能性は、アラムコのIPOを控えていることもあり、現時点ではほぼゼロに近いと見る(金銀価格の下落要因)。

・トルコ軍のシリアへの侵攻は、ロシアの仲介でとりあえず終了。域内に「緩衝地帯」を設けることで合意した。ロシアの支援を受けているアサド政権側もこれを飲まざるを得なくなった模様。

トルコはこの地域にシリア難民数百万人を送り込み、さらにこの地域を管理する方針であり、民族間の対立が強まる可能性も(金銀価格の上昇要因)。

・英国のEU離脱はEUが離脱期限延長で合意したが、選挙の結果によっては英議会で否決される可能性はあり、金価格の上昇要因に(無秩序離脱の可能性はまだなくなっていない)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少しており強気相場入りしていた。しかし、米統計改善で、米追加利下げの可能性が低下していることから、来週以降はこれらのポジションの巻き戻しが入ると予想される。

プラチナはロングショートとも減少しているが、ショートの減少幅が大きい。パラジウムはロングに手仕舞い売りが入り、ショートも積み上がっている情況。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが325,286枚(前週比 ▲12,010枚)、ショートが53,652枚(+2,215枚)、ネットロングは271,634枚(▲14,225枚)、銀が90,895枚(+997枚)、ショートが38,385枚(▲6,797枚)、ネットロングは52,510枚(+7,794枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが55,843枚(前週比 +510枚)、ショートが10,774枚(▲2,474枚)、ネットロングは45,069枚(+2,984枚)、パラジウムが17,261枚(+803枚)、ショートが5,176枚(▲415枚)、ネットロングは12,085枚(+1,218枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物はまちまちとなった。トウモロコシは米石油統計で石油製品在庫が増加、これを受けてエタノール価格も引けにかけて下落したことが売り材料となった。

大豆は米中合意への期待から上昇、小麦はドル安の進行と在庫水準の低さから買いが入った。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は高安まちまちになると考える。

米トウモロコシ・大豆の受け渡し可能在庫は過去5年の最高水準を上回っており、供給に懸念は少なく、価格には下押し圧力が掛かりやすい地合い。

小麦は冬小麦の作況が悪化していることが買い材料視されており、シカゴの小麦在庫は過去5年の最低水準を下回っていることから、こちらには上昇圧力が掛かりやすい。

しかし、米中交渉の行方が穀物価格に大きな影響を与えることは間違いがなく、今後の進捗を見極める必要がある。ただ今のところは来年の選挙を控えて、一旦合意に至ると考えられ、2020年は価格の押し上げ材料になると予想される。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産見通し上方修正による需給緩和観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・11月の米需給報告の生産見通しトウモロコシ136億6,100万Bu(市場予想136億399万Bu、前月137億7,790万Bu)大豆 35億5,000万Bu(35億1,276万Bu、35億5,000万Bu)小麦 19億2,000万Bu(19億6,200万Bu)

・10月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ 19億1,000万Bu(市場予想17億9,989万Bu、前月19億2,900万Bu)大豆 4億7,500万Bu(4億3,189万Bu、4億6,000万Bu)小麦在庫 10億1,400万Bu(10億3,007万Bu、10億4,300万Bu)

・9月末の四半期在庫トウモロコシ 21億1,400万Bu(市場予想24億1,804万Bu)大豆 9億1,300万Bu(9億8,126万Bu)小麦 23億8,500万Bu(23億1,858万Bu)

(特殊要因)

・米中通商交渉は一部合意が近い、と伝えられており足元シカゴ穀物の買い材料となる。しかし、問題の本質は両国の軍事を巡る覇権争いであり、長期化の可能性は高くシカゴ定期の下落要因に。

・エルニーニョ現象は収束したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に来年以降にかけて価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

・トランプ政権が製油業者に対する再生可能燃料基準(バイオ燃料の混合を義務付け)の適用を31の製油業者に対して免除していたが、これを撤廃するよう指示したと伝えられたことは、国内向けのエタノール・バイオディーゼル向け需要増加観測を強め、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロング、ショートとも増加したがロングの増加が大きく、ネットロングは積み上がり。小麦も同様。

大豆は米中協議への懸念から需給バランスが緩和する可能性が意識されている。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが273,598枚(前週比 ▲45,667枚)、ショートが311,060枚(▲34,699枚)、ネットロングは▲37,462枚(▲10,968枚)、大豆はロングが154,434枚(▲7,984枚)、ショートが140,567枚(+38,063枚)、ネットロングは13,867枚(▲46,047枚)、小麦はロングが101,419枚(▲5,310枚)、ショートが80,981枚(▲12,369枚)、ネットロングは20,438枚(+7,059枚)

◆本日のMRA's Eye


「OPEC・OPECプラス会合見通し」

今週のOPEC総会、OPECプラス総会では、恐らく減産枠の遵守徹底と、減産期間の延長が決定されると予想される。場合によると小幅な減産はあるかもしれないが、いくつかの理由で今回の総会での決定が原油価格にプラスに作用するかどうかは微妙だ。

世界の原油生産はEnergy Intelligence社の調査ベースでは2018年10月にピークを打ち減少していた。しかし、今年7月以降、再び増加に転じている。

主に、ブラジル(10月生産量、6月末比+45万3,000バレルの301万バレル)、ノルウェー(+42万8,000バレルの147万6,000バレル、ただしストライキからの回復の影響が大きい)、ガイアナなどの増産がOPECの減産効果を相殺、結果的に2018年10月時点とほぼ同じ水準の生産量となっている。

なお、この間米国はほとんど増産していない。原油生産者に対して株主が、「収益性のある油田のみ稼働させるよう」圧力を掛けていることが、価格の低迷と相まって増産に歯止めをかけているようだ。

ただし、Permian地区からメキシコ湾への原油輸送に関し、パイプラインのキャパシティ問題があったが、2019年夏にCactus(67万バレル)、Epic Crude Pipeline(90万バレル)が完成・稼働しており、今年の年末にはGray Oak(80万バレル)が稼働する予定であり、米国の増産の足かせとなっていた輸送能力問題が改善する見込みであることを考えると、多少なりとも増産バイアスが強まるものと予想される。

また、OPEC全体では生産枠を遵守できているものの、イラクやナイジェリアは減産目標を達成しておらず、ロシアも同様。

結局今回のOPEC総会では、こうした抜け駆け増産をしている国に生産枠の遵守を促す程度しかできないと考えられ、足元の価格に対する押上げ効果は期待できないが、減産期間の延長で妥結せざるを得ないのではないだろうか。

なお、IPOを控えるサウジアラビアが、率先して減産を行う可能性もあるが、売り上げ減少に繋がる減産(株価の評価低下に繋がる)がプラスに評価されない可能性があるため、やったとしても限定的な減産に留まるだろう。

しかしそのような決断をしたとしても、上述の通り、非OPECの増産もあってその影響は限定される可能性が高い。

原油価格を決めるのは主に景況感(需要)であることは自明だが、最大消費国である米国のISM製造業指数は悪化しており、企業の景況感は改善していない。

米ISM非製造業指数も53.9(前月54.7)と再び減速の兆しがみられており、減産したとしても顕著に価格を押し上げることはないと見られる。仮に減産しても価格が上がらなかった場合、2014年のOPECショックの時のように、産油国が増産に舵を切る可能性は否定できず。

なお、来年4~6月に景気が底入れし(メインシナリオ)た場合、減産期間が延長されていると価格が夏場にかけて大きく上昇する可能性があることは指摘しておきたい。

◆主要ニュース


・11月日本サービス業PMI改定 50.3(速報比▲0.1、前月改定49.7)、コンポジット 49.8(▲0.1、49.1)

・11月中国財新サービス業PMI 53.2(前月 52.0)、コンポジット 53.5(51.1)

・11月インドサービス業PMI 52.7(前月49.2)、コンポジット 52.7(49.6)

・11月独サービス業PMI改定 51.7(速報比+0.4、前月改定 51.6)、コンポジット 51.9(+0.7、48.9)

・11月ユーロ圏サービス業PMI改定 51.9(速報比+0.4、前月改定52.2)、コンポジット 50.6(+0.3、50.6)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲9.2%(前週+1.5%)
 購入指数+0.9%(▲1.2%)
 借換指数▲15.6%(+4.2%)
 固定金利30年 3.97%(3.97%)、15年 3.37%(3.38%)

・11月米ADP雇用統計 前月比+67千人(前月改定+121千人)

・11月米サービス業PMI改定 51.6(速報比変わらず、50.6)、コンポジット 52.0(51.9.50.9)

・11月米ISM非製造業景況指数 53.9(前月54.7)
 新規受注 58.5(55.6)
 受注残 48.5(48.5)
 在庫増減 50.5(50.5)
 在庫景況感 58.5(57.0)
 雇用 55.5(53.7)

・中国証券報、「Q120に預金準備率引き下げの可能性。」

・米下院、ウイグル人権方案を可決。中国は報復を示唆。

・中国王毅外相、「最大の脅威は国際秩序を破壊する一方主義と、国際関係規則に挑戦する覇権主義だ。中韓で連携を強化し、地域の平和に積極的に役割を果たそう。米国がアジア太平洋地域への中距離ミサイルの配備にこだわるなら、中国の玄関先での挑発で絶対に座視しない。」

・北朝鮮、「米国が軍事力を行使するならば即座に同様の対応。」

・米下院、「トランプ大統領は自らの政治的利益のためにウクライナに圧力を掛けるなど、不正行為があった。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計
 原油▲4.9MB(クッシング▲0.3MB)
 ガソリン+3.4MB
 ディスティレート+3.1MB
 稼働率+2.6%

 原油・石油製品輸出 8,309KBD(前週比+347KBD)
 原油輸出 3,069KBD(+191KBD)
 ガソリン輸出 878KBD(▲34KBD)
 ディスティレート輸出 1,145KBD(+110KBD)
 レジデュアル輸出 166KBD(+13KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,156KBD(▲52KBD)
 その他石油製品輸出 1,672KBD(+89KBD)。

・イラク ガドバン石油相、減産を提案。

・サウジアラビア サルマン国王、カタールのタミム首長を湾岸協力会議首脳会議(GCC)に招待。

・来日中のイラン アラグチ外務次官、「自衛隊の中東派遣が平和貢献するとは思えない。」

【メタル】
・Glencore、「銅の需要は非常に大きくはないが回復しつつある。需要が弱かったが鉱山生産の減少で在庫は減少している。今年銅は小幅な供給不足、2020年は需要が持ち直し始める見込み。」

・Vale、ニューカレドニアのニッケルオペレーションを売却へ。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.NYM WTI ( エネルギー )/ +4.15%/ +28.67%
2.ICE Brent ( エネルギー )/ +3.58%/ +17.10%
3.DME Oman ( エネルギー )/ +3.28%/ +19.04%
4.欧州排出権 ( 排出権 )/ +3.08%/ +0.04%
5.NYM RBOB ( エネルギー )/ +2.64%/ +21.19%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.CME牛乳 ( 畜産品 )/ ▲5.10%/ +40.06%
69.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲3.23%/ ▲10.56%
68.SHFニッケル ( ベースメタル )/ ▲2.35%/ +20.91%
67.銀 ( 貴金属 )/ ▲1.85%/ +8.78%
66.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲1.83%/ +18.41%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :27,679.63(+176.82)
S&P500 :3,116.10(+22.90)
日経平均株価 :23,135.23(▲244.58)
ドル円 :108.88(+0.25)
ユーロ円 :120.63(+0.24)
米10年債利回り :1.77(+0.06)
独10年債利回り :▲0.32(+0.03)
日10年債利回り :▲0.04(▲0.02)
中国10年債利回り :3.19(▲0.00)
ビットコイン :7,471.04(+141.19)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :21.26(+0.74)
エネルギー :29.03(+1.86)
ベースメタル :15.94(+0.19)
貴金属 :17.32(+0.32)
穀物 :15.90(+0.21)
その他農畜産品 :23.63(+0.85)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :34.02(+3.19)
Brent :26.02(+2.77)
米天然ガス :47.88(+2.77)
米ガソリン :32.41(+1.62)
ICEガスオイル :19.90(+1.49)
LME銅 :10.54(▲0.21)
LMEアルミニウム :14.09(+1.31)
金 :12.58(+0.61)
プラチナ :21.00(+0.49)
トウモロコシ :15.09(+0.2)
大豆 :12.58(+0.61)

【エネルギー】
WTI :58.43(+2.33)
Brent :63.00(+2.18)
Oman :63.70(+2.02)
米ガソリン :160.42(+4.13)
米灯油 :192.29(+4.30)
ICEガスオイル :579.00(+9.00)
米天然ガス :2.40(▲0.04)
英天然ガス :41.03(▲0.14)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :63.00(+2.18)
SPO380cst :231.52(+6.98)
SPOケロシン :75.70(+1.63)
SPOガスオイル :75.12(+1.58)
ICE ガスオイル :77.72(+1.21)
NYMEX灯油 :192.44(+1.99)

【貴金属】
金 :1475.21(▲2.40)
銀 :16.86(▲0.32)
プラチナ :896.91(▲12.87)
パラジウム :1871.24(+13.41)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,850(+15:27C)
亜鉛 :2,242(+32:14.5B)
鉛 :1,917(+18:17C)
アルミニウム :1,764(▲25:7.5B)
ニッケル :13,285(▲365:35C)
錫 :16,850(+125:0B)
コバルト :35,358(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5875.00(+60.00)
亜鉛 :2253.00(+39.50)
鉛 :1913.50(+16.50)
アルミニウム :1758.50(▲9.50)
ニッケル :13140.00(▲220.00)
錫 :16730.00(+40.00)
バルチック海運指数 :1,606.00(+38.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :88.33(+0.78)
NYMEX鉄鉱石 :88.27(+0.62)
NYMEX原料炭スワップ先物 :141.5(+0.50)
上海鉄筋直近限月 :3,760(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,608(▲11)
米鉄スクラップ :休場( - )

【農産物】
大豆 :878.00(+7.00)
シカゴ大豆ミール :294.60(+2.10)
シカゴ大豆油 :30.27(+0.28)
マレーシア パーム油 :2673.00(+27.00)
シカゴ とうもろこし :368.75(▲3.25)
シカゴ小麦 :535.00(+4.50)
シンガポールゴム :160.30(+0.90)
上海ゴム :12460.00(+60.00)
砂糖 :13.06(+0.20)
アラビカ :120.60(▲2.25)
ロブスタ :1347.00(▲45.00)
綿花 :63.17(+0.07)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :61.88(▲0.63)
シカゴ生牛 :119.45(▲1.10)
シカゴ飼育牛 :140.88(▲1.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。