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FOMCと経済指標~市場の心理をさらに改善するか
  • MRA外国為替レポート

2019年10月28日号

◆先週の市場総括


先週のドル円相場は108円40銭で始まりその後は50銭を中心に方向感なく上下。市場全体は米中通商交渉部分合意とイギリスとEUの離脱合意を好感した前週の流れを受け継いだものの、さらなるプラス材料はなし。米中交渉の行方・進展を見守る段階に。

株式市場では佳境に入る決算発表を睨んだ動き。米企業の決算はまちまちで芳しくはなかったが、全体としては予想ほどには悪くなく、米国株は個別企業の決算に反応しつつも底固い値動きに。

日経平均は米国株やドル円相場の安定から一段高、年初来高値を連日更新し週末は22,800円の高値引け。

為替市場では前週からクロス円相場、とくにポンド円相場やユーロ円相場の動向が中心。欧州通貨はイギリスが秩序なき離脱を回避する可能性が高まったことで上昇したものの、先週は伸び悩み。さらにイギリス議会の対応が不透明なことからポンド、ユーロが反落。

その結果、リスク選好・円安を主因とするドル円相場の上昇も一服となった。ただ米中通商交渉に進展がみられたことから週末の米国株は堅調。ドル円相場は108円70銭で引けた。ユーロ円相場は120円40銭。

月曜日の東京市場は108円40銭で始まり30銭に下落したものの夕刻には108円60銭に反発。ユーロ円相場は121円ちょうど近辺で始まり80銭に下落したが反発して121円40銭に上昇した。

ドル円相場はユーロ円相場の動きにつれた展開。ユーロドル相場は1.1160近辺でもみ合い、その後は1.1170台に上昇した。

日経平均は22,550円で小幅高寄り。底固い値動きながら600円には届かず、引けは22,550円近辺。

海外市場ではポンド、ユーロが反落。イギリス下院・バーコウ議長はEUと合意した離脱協定案の採決を求める政府の動議を却下し、やや不透明感が高まった。

ユーロ円相場は121円ちょうど~10銭へ。ユーロドル相場は1.1150中心にもみ合い引けた。

米国株は小幅高。米中交渉が進展しているとの報が支え。米長期金利は小幅上昇。10年債利回りは1.80%に。2年債利回りは1.62%。

火曜日の東京市場は祝日のため休場。アジア時間のドル円相場は108円60銭で始まり一時70銭に上昇したが上値重く、海外市場にかけて50銭~60銭で上下し引けは108円50銭。

米長期金利がアジア時間に小幅低下。米10年債利回りは1.77%。リスク選好がやや後退。

ユーロ円相場はアジア時間に121円10銭で始まり夕刻には120円80銭に下落。その後海外市場では121円に戻す場面もあったが引けは120円70銭。

ユーロドル相場はアジア時間に1.1150で始まりユーロの上値重く、1.1130~50を上下して引けは1.1120~30。米国株は反落、小幅安。

米大手企業の決算はまちまち。米10年債利回りは一時1.80%目前に反発したが押し戻され1.76%。2年債利回りは1.60%。

イギリス議会下院はEUとの合意案のスピード審議を求める動議を否決。10月末の離脱が困難となった。不透明感が増したことでポンドとユーロが下落。米長期金利を押し下げた。

この日発表されたリッチモンド連銀製造業指数(10月)は+8と前月の▲9から改善して予想外のプラスとなった。中古住宅販売(9月)は季節調整済み年率換算で538万戸と前月549万戸から減少。

水曜日の東京市場のドル円相場は108円50銭で始まり下落。30銭~40銭でもみ合い。ユーロ円相場は120円70銭で始まり40銭に下落、50銭中心に上下した。円が反発し対ドル、対ユーロでやや円高に。ユーロドル相場は1.1120~30で方向感なく上下。

一方、日経平均はしっかり。22,600円台で寄り付き、その後は22,500円に下落したものの後場は600円台を回復。引けは22,600円台前半。

3営業日連続で年初来高値を更新した。底固い米国株と108円台で安定したドル円相場が支え。

海外市場では米国株は反発、小幅高。引き続き決算にらみの値動き。決算内容はさほど良くないが、全体としては悪い予想ほどには悪くないとの受け止め。

米長期金利は概ね横ばいで10年債利回りは1.77%。

米国はトルコに対する経済制裁を解除。トルコがシリア攻撃を見合わせたことに対応。為替市場では円がじり安。ドル円相場は上昇して108円60銭~70銭でもみ合い。ユーロ円相場も121円ちょうど近辺に上昇してもみ合い。ユーロドル相場は1.1130~40でもみ合い。

木曜日の東京市場のドル円相場は108円70銭で始まりその後は60銭近辺で小動き。ユーロ円相場は121円ちょうど近辺で小動きもみ合い。

ただ午後から海外市場にかけてはポンド、ユーロが乱高下しつつ下落した。

ユーロ円相場は一時121円40銭に上昇したが海外市場にかけて121円割れ。ユーロドル相場は1.1130台から60に上昇したが20に反落。ドル円相場は連れて108円70銭にやや強含んだが海外市場にかけては押し戻された。

イギリス・ジョンソン首相は12月に総選挙を実施する意向を示しつつ議論の進展を促した。

日経平均は22,700円台後半で寄り付きもみ合い、小動き。引けは22,750円。4営業日続伸となった。

海外市場では欧州通貨が軟調。ユーロドル相場は1.11近辺に下落してもみ合い。ユーロ円相場は120円50銭に下落して引けは60銭。一方ドル円相場は安定した値動きで、一時108円50銭に下落したものの108円60銭近辺でもみ合い、小動きで引けた。

米国株はまちまちの値動き。NYダウは小幅反落、S&P500は小幅続伸、ナスダックは上昇。決算に個別に反応するなかテクノロジー株が堅調だった。

米長期金利は概ね横ばい。10年債利回りは1.77%、2年債利回りは1.58%。

警戒されたペンス副大統領の演説では、中国との分断・対立を望まない、と言及され、想定よりハト派と受け止められた。

ECB理事会では政策は据え置き。市場の反応は鈍かった。発表された米国の製造業PMI景況感指数(10月)は前月51.1から小幅悪化の予想に対し小幅改善の51.5だった。

金曜日の東京市場のドル円相場は108円60銭~70銭で始まりその後は小動き横ばい。ユーロ円相場は120円60銭近辺、ユーロドル相場は1.11ちょうど近辺でもみ合い。夕刻にかけてはユーロがやや強含んだ。ユーロ円相場は120円70銭~80銭。

日経平均は寄付きで22,800円台に乗せしっかりも、その後は22,750円中心にもみ合い。ただ堅調な地合いは変わらず、引けは22,800円ちょうど近辺。週を通じて高値引けとなった。

日本企業の決算発表も始まったが、弱い数字は織り込み済みでむしろしっかり。

海外市場では欧州通貨が下落。イギリスの離脱問題への楽観が後退する流れが続いた。ユーロドル相場は1.1080へ、ユーロ円相場は120円40銭へ下落。

一方ドル円相場は堅調。一時108円50銭台に下落したが70銭台に反発。そのまま108円70銭近辺で週末の取引を終えた。

米USTRが声明を発表し、米中閣僚級が電話で協議、通商交渉がさらに進展している、とした。第一段階の一部事項で仕上げ作業に入っている模様。

11月にチリで開催されるAPEC首脳会議の際に見込まれる米中首脳会談で署名を目指すとの見方が大勢。リスク選好が強まるなか米国株は上昇。NYダウは前日比+150ドル。米長期金利も上昇。2年債利回りは1.62%、10年債利回りは1.80%。

◆今週の3つの注目ポイント


1.FOMC、パウエル議長会見

今週は29日火曜日・30日水曜日の2日間にわたりFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。結果は日本時間1日木曜日未明3:00に公表される。今回の会合では0.25%の追加利下げが予想されている。

予防的利下げも3回目となり、また米中通商交渉にやや進展の兆しもあるなか、雇用情勢は引き続き堅調。そのため今後はしばらく様子見姿勢を強めるのではないか、との見方が強まっている。

そのあたりパウエル議長が会見で何らかの示唆をするか。次回12月の据え置き観測が強まるか。

2.米国の経済指標

今週は重要な経済指標が相次ぐ。引き続き雇用・所得・消費が堅調を維持できるか、企業の景況感に改善の兆しがみられるか、なおも悪化するか、好転・悪化どちらの傾向が強まるかが見極めどころ。

月曜日 シカゴ連銀景気指数(9月)

火曜日 消費者信頼感指数(10月、予想127.0、前月125.1)、ケースシラー住宅価格指数(8月、前年同月比、前月+2.0%)

水曜日 ADP雇用報告(10月、雇用者数増減・前月比、予想+132千人、前月+135千人)、GDP(7-9月期、速報、前期比年率、予想+1.6%、前期+2.0%)

木曜日 個人所得・消費支出(9月、前月比、予想+0.3%・+0.3%、前月+0.4%、+0.1%)、シカゴ購買部協会景気指数(10月、予想47.6、前月47.1)

金曜日 ISM製造業景気指数(10月、予想48.4、前月47.8)、雇用統計(10月、非農業部門雇用者数・前月比、予想+105千人、前月+136千人、失業率、予想3.6%、前月3.5%、平均時給・前年同月比、予想+3.0%、前月+2.9%)

3.日銀金融政策決定会合

水曜日・木曜日の2日間にわたり日銀金融政策決定会合が開催され、政策および展望レポートが公表される。2日目はFOMCの結果が公表された直後となる。

前回は景気下振れリスクを強め、追加緩和に前向きな姿勢を示したが、何らかの対応が示されるか。ドル円相場が安定、株価が堅調に推移するなか、「貴重な一手」は引き続き温存する可能性は高いとみられる。黒田総裁は会見でいかなる姿勢を示すか。

このほか、木曜日に中国でPMI景況感指数(10月)が発表となる。引き続き景況感の悪化を示すか。歯止めがかかるか。また引き続き企業決算に対する株価の反応も気になるところ。

◆今週のMRA's Eye


FOMCと経済指標~市場の心理をさらに改善するか

市場のリスク選好が回復基調にあるなか今週は材料が目白押し。リスク選好がさらに強まるかどうか、FOMCと米国の重要経済指標が焦点になる。

FOMCでは0.25%の追加利下げの実施が予想されている。実施されれば一連の「予防的利下げ」の3回目。合計0.75%の利下げとなり、FF金利の誘導目標水準は1.50%~1.75%となる。

引き続きFRB内の意見は利下げ積極派、利下げに慎重な考え方、に割れており、そうしたなかで進めてきた利下げもいよいよ一服となる可能性が高い。

足元の景気判断については、雇用・消費動向はなお堅調に推移しており、全体として米国経済は良好に推移しているとの見方。

連続した利下げは、米中通商交渉など不透明感や海外経済の悪化によるダウンサイドリスクの高まりに対応したもの。インフレ圧力が高まっていないことも要因。

そうしたなか、米中通商交渉は部分合意がみえてきた。さらなる関税引き上げによる悪影響は回避されそうな情勢。またFF金利の水準は、今回利下げを実施すれば、インフレ率と同水準ないしそれを下回るかたちとなる。

インフレ率を差し引いた実質政策金利はゼロないしマイナスとなる。さらなる政策金利の引き下げは明らかに緩和サイドに傾く。

9月の米国の消費者物価指数は、前年同月比で+1.7%。エネルギーと食料品を除くコア指数では+2.4%。個人消費支出のデフレーターでは+1.4%。そのコア指数では+1.8%。

景気動向がさほど弱くないなか、さまざまな物価指標との対比でも、これ以上は「予防的」という範疇を超える。そろそろ利下げを休止しても良いのではないか、との意見は強まるだろう。

パウエル議長が会見で、どれほど予防的利下げの打ち止め感を出すのかが注目される。

利下げ実施、景気堅調を背景とする利下げ打ち止め感、米中通商交渉の進展による不透明感後退の流れ、となれば、材料出尽くしでリスク選好が後退、ということにはならないだろう。

ポジティブな反応の上乗せ、株価押し上げは難しいとしても、政策金利が低下したことは事実であり、失望売りや大幅な調整は生じないのではないか。

焦点は、では実際に景気動向はどうなのか、とくに不振が続いている製造業は持ち直すのか、逆に企業の景況感の悪化が雇用に悪影響を及ぼし始めないのか、という点に。

その意味では週末のISM製造業景気指数や雇用統計は重要だ。利下げ実施とこれら経済指標が良好な数字を示せば、一段のリスク選好回復も生じうる。

先月のISM製造業景気指数は事前の予想は前月からの改善、景況感の分かれ目である50を回復するとの中心予想だったが、それに反してさらに悪化して47.8となった。

今回の予想は小幅持ち直しの48.4。50に届かないながら小幅持ち直しという微妙な予想だ。

なおも悪化するようなら市場の不安感は増し、再び疑心暗鬼となりリスク選好は水を差される。一方、予想通りわずかながらも改善するなら希望を見出すだろう。

景況感が改善するなかでも利下げが実施された、ということになり、ポジティブな反応となりやすい。

さらに雇用統計が強い数字となればなおさらだ。利上げを実施していた局面では、インフレリスクに目が行くことで、注目されていたのは平均時給の上昇率だった。

しかし企業の景況感が悪化するなか予防的利下げが続く局面では、注目は雇用者数や失業率に移った。失業率が歴史的低水準である3.5%にあるなか、雇用者数の増加幅は100千人でも問題はない。

利下げ様子見姿勢がみえてくれば、次第に注目は平均時給の上昇率、インフレリスクに回帰する可能性もある。市場とくに株価にとって好ましいのは、雇用者数の増加がしっかり、賃金の上昇率は抑制されている、という状態だ。

米中交渉の進展による不透明感、景気悪化リスクの後退。利下げの実施。回復の兆しをみせる製造業の景況感。堅調な労働市場。雇用者数の増加と賃金のほどよい上昇。

この組み合わせがベストシナリオであり、ある程度これに近い状況であれば利下げ打ち止め・様子見となっても市場は納得するだろう。リスク選好姿勢を緩めないとみられる。

株価は堅調、米長期金利は利下げによる下方圧力を受けながらも上昇する可能性もある。景気動向を示唆するというイールドカーブの形状は立った状態、長短金利差は拡大することになる。

この場合、ドル円相場は堅調に推移するだろう。109円台を試す動きもありそうだ。

一方、製造業の景況感がなおも悪化を続け、雇用者数の増加が予想以上に少ない、となれば、本格的な利下げ局面入りを期待する見方が強まる。

米中交渉の進展が支えとなるが、株式市場ではひとまず利食い売り、ドル円相場は上値の重い展開となる。ただし、107円台での底固さまでは失われないとみられる。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :108.67(+0.06)
ユーロ :120.41(▲0.21)
英ポンド :139.379(▲0.22)
豪ドル :74.143(+0.09)
カナダドル :83.229(+0.14)
スイスフラン :109.253(▲0.21)
ブラジルレアル :27.1215(+0.26)
中国人民元 :15.383(+0.02)
韓国ウォン(日本円=100) :9.274(+0.03)

【対ドルレート】
ユーロ :1.108(▲0.002)
英ポンド :1.2827(▲0.002)
豪ドル :0.6823(+0.000)
カナダドル :1.3058(▲0.001)
スイスフラン :0.9947(+0.003)
ブラジルレアル :4.0054(▲0.037)
中国人民元 :7.0654(▲0.004)
韓国ウォン :1172.97(▲0.13)

【主要国政策金利】
米国 :2.00
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.79(+0.03)
米2年債 :1.62(+0.04)
日本10年債利回り :▲0.14(+0.00)
日本2年債利回り :▲0.14(+0.01)
独10年債利回り :▲0.36(+0.04)
独2年債利回り :▲0.65(+0.01)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :26,958.06(+152.53)
NASDAQ :8,243.12(+57.32)
S&P500 :3,022.55(+12.26)
日経平均株価 :22,799.81(+49.21)
ドイツ DAX :12,894.51(+22.41)
インド センセックス :39,058.06(+37.67)
中国上海総合 :2,954.93(+14.01)
ブラジル ボベスパ :107,363.80(+377.70)
英国FT250 :20,103.51(▲48.64)
ビットコイン :8574.4(+1117.81)

【主要商品価格】
WTI :56.66(+0.43)
Brent :62.02(+0.35)
米ガソリン :167.30(+0.98)
米灯油 :197.96(▲0.67)

金 :1504.63(+0.65)
銀 :18.04(+0.23)
プラチナ :925.80(+2.80)
パラジウム :1765.86(▲10.60)
銅 :5887.00(±0.0:19.5C)
アルミニウム :1720.00(▲4:9.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :920.25(▲13.00)
シカゴ とうもろこし :386.75(±0.0)
シカゴ小麦 :517.75(+1.75)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。