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為替レート-その2
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第382号

商品価格動向を占う上で最も重要な指標の1つが「為替レート」です。殆どの商品がドルで取引されているため、ドルの動向が非常に重要になります。今日のビジネスへのヒントでは為替の影響について実需家と投機家の2種類の行動を例にして2回に分けて解説したいと思います。本日は投機家の動きです。

投機筋も大きく2つに分けられます。CTA等の短期の売買を行う投資家と、比較的期間の長い投資を行う投資家の2種類です。期間の短い投資を行う投資家は、「安い時に買って、高い時に売る」取引を行います。つまり、「生産者であり、消費者でもある」と言えるでしょう。そのため、ドル安が進行すれば消費者と同様に購入し、ドル高が進行すれば売却するといった具合です(もちろんこのときの他の要因でドルベースの価格が変動すれば必ずしも為替が変動したタイミングでこの取引を行うわけではありません)。

次に期間の長い投資を行う投資家ですが、通常期間の長い投資を行う投資家は商品インデックス等を通じて商品市場に参入します。この時にどのインデックスを用いるのかにもよりますが、多くのインデックスは商品の銘柄毎に投資比率を固定しているものが多いようです。仮に株に50%、商品に50%の投資を行うファンドに投資が行われたと仮定しましょう。もし、株価が上昇して株の時価が60%になった場合、このファンドは株に最大50%しか投資できませんから、投資比率が50%になるように株を売って商品を購入する必要が出てきます。次に、自国株(自国通貨建)に50%、商品(ドル建)に50%を投資する方針のファンドがあったと仮定します(商品はドル建て投資)。この場合、株価とドルベースの商品価格が変動せず、為替だけがドル安になったとしましょう。このときの自国通貨ベースの商品への投資比率は低下することになります。そのため、投資比率を一定にするために商品を買い増ししなければなりません。このようにして商品価格にプラスの影響を与えることになります(逆の場合にはマイナスの影響を与える)。

実際はこれ程単純な構造にはなっていません。しかし、概ねこのような仕組みで為替の変動が商品価格に影響を与えていると考えられます。

為替で商品価格の動きの全てが説明できるわけではなく、その時その時の価格変動要因の中で為替が与えている影響がどれぐらいかを判断する必要があるのは言うまでもありません。