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景気への懸念から軒並み下落
  • MRA商品市場レポート for PRO

2018年11月21日 第1440号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「景気への懸念から軒並み下落」

昨日の商品価格はほとんどの商品が下落した。景気の先行きへの懸念が強まる中、多くの商品の需要見通しに下方修正圧力が掛かっていること、株が大幅に調整し、市場参加者のリスクテイク能力が低下したことが材料となった。

このコラムで繰り返し指摘しているように、世界の景気は循環的な減速局面にあり現在の価格下落は不自然ではない。ただ、景気の後退局面に見られる政治的な動きが、その下落幅を大きくしていることは無視できないと考える。

英国のEU離脱問題は全く片付いていない。新聞紙面が伝えるところではもう一度国民投票を行うべきでは、との声が強まっている。しかし、メイ首相はこれを否定しており、このままだとハードBrexitとなる可能性は否定できない。

仮に英国が無秩序にEUから離脱した場合、その影響が無視できないのがデリバティブ取引の影響だ。報道によればデリバティブの総取引額は、6,000兆円~8,000兆円とも言われている。

仮にこれが何らかの理由で不履行となった場合、世界的な影響は当然無視できない。

「いや、そのために大陸欧州に各金融機関は拠点を移しているから大丈夫」

という意見もある。しかし、英国のシティに主要な金融機関が拠点を置き、その上で機能していた仕組みであるため「何の練習もなく、いきなり英国がEUから離脱した場合」全く何も起きないか、というとそんなことはないだろう。

リーマンショックの被害が大きくなった最大の原因は、「どこにどれだけの影響が出るかよくわからない」ことから、市場参加者はとりあえず自身の取引を現金化する動きを強めざるを得なくなる。

今回は破綻、というわけではないが英国という国が、ある意味ユーロから独立するわけで、実際に調整がないまま離脱ということになれば、リーマンショックを上回るショックが発生するリスクは高い
と考える。

そんな中、日産のカルロス・ゴーン会長が有価証券虚偽表示などの罪に問われて逮捕された。

背景は不明だが、「先行きへの不安が強まる中でトップの不正をこのまま見過ごすと、来年以降の経営状況が厳しくなる」といった判断に景気の見通しが影響した可能性も否定できない。

景気が良く、企業の利益が潤沢である場合と、景気が減速して企業の利益が厳しくなってきた場合とでは、恐らく後者のほうが多くの問題が顕在化しやすいのではないか。

その意味では、こういったスキャンダルが今後増加する可能性は否定しない。

本日も引き続き政治的な動きに注目したいが、まず月末開催のG20に注目が集まる。景気の減速を受けて米中が、相互の制裁緩和に向けて何らかの合意に至るのではないか、との期待感が高まっている。

しかし、今回の制裁でまだ米国は目的(ハイテク分野の中国のポジション低下、技術の強制移転をギブアップ、知的財産権の保護、に中国が同意すること)を達成していないため、多少の緩和(追加関税の引き上げ見送りなど)はあり得るが、制裁が解除されることはないだろう。

本日は昨日の下げが大きかったことから、多くの商品に買戻しが入ると見ているが、景気の先行きが注目されているためそれ程大きな戻りにはならないのではないか。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

昨日の原油価格は大幅な下落となった。固有の材料があったわけではないが、景気の先行きへの懸念が強まる中で株価が調整、リスク回避のドル高と相まって大幅な下落となった。

12月のOPEC総会では、減産が決議される可能性が高い。ただ、価格下落もあってサウジやUAE以外の国々が減産合意を渋る可能性はあり、ロシアが協力できるかどうかがポイントになる。

しかし、ロシア政府の予算レートはウラル原油ベースで40ドル程度とみられ(現在60ドル程度)、歳入の減少につながる減産を現時点で積極的に支持するかどうかは不透明である。

しかし、報道で出ていたように▲140万バレルの減産を行えば、2019年の「前年比でみた場合の供給過剰感」は払しょくされることになり、これにイランに対する制裁が進捗すると、前年と比較した場合の需給はタイトになる。

この場合、価格には上昇圧力が掛かることになるが、景気拡大ペースの減速感が強まる中での原油価格上昇であり、その後の景気減速時の需要の減少を大きくさせ、下落幅が大きくなる可能性がある。

この状況で、引き続きムハンマド皇太子を取り巻く環境は悪化している。先日、ロイターが報じたところでは、CIAはムハンマド皇太子が殺害を指示したと断定したと報じている。

この報道が事実であれば、恐らく米国内の世論や議会としても、サウジアラビアに対して「咎めなし」というわけにはいかないだろう。禁輸措置は取れないが、恐らく武器売却停止ぐらいはやるのではないか。

問題は国際世論がそれを容認するのかどうか、ということだろう。今回、次の皇太子候補か?と思われたハリド王子も殺害に関与していた可能性が高く、このままだとナエフ前皇太子が復活する可能性もあり得る。

今後のサルマン国王の対応は今後の世界経済や原油価格動向を占う上で、無視できない、重要な材料になったといえるだろう。

今後のシナリオとしては、1.ムハンマド皇太子への王位継承を急ぎ、より独裁的な色彩が強まる、2.ムハンマド皇太子が更迭され、ほかの王子が王位を継承、従来通りの王族の合意制に体制が戻る、の大きく2つが考えられる。

1.の場合、周辺諸国との軋轢、とくにイランやトルコとの対立は深くなり中東情勢不安が原油価格を押し上げる構図がより強まると予想される。

2.の場合、ムハンマド皇太子の改革に対する期待を高めていた若年層が従来の体制に戻ることを嫌気して反発、国内が混乱する、といった展開が想定される。しかし、今のところ2.のシナリオの可能性が高まってきた。

しかし、需給面の材料を整理すると価格には下向きバイアスがかかりやすい。そもそも景気が循環的に減速する可能性が高い中で米国の利上げが持続する見通しである上、米国発の中国制裁、同盟国への保護主義政策の拡大が景気を下押しすることになる。

中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続することになるだろう。

先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよりも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

米国が中国と貿易で合意するとの報道があったが、選挙前のリップサービスであり、実際に合意するのは容易ではない。というのも一連の制裁で米国は中国から、まだ何も得ていないからだ。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめる、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった明確な成果があるまで継続するのではないか。

ただし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満が高まる可能性がある2019年末頃が、翌年に大統領選挙を控える「トランプ政権のリミット」と考えられ、制裁は継続しつつも来年春頃までに一部制裁が緩和されるのがメインシナリオだ。

なお、過去の可処分所得とエネルギー消費額の関係を分析してみると、WTIは107ドル程度までの上昇が許容できるため、まだ米政府には「ゆとり」があるともいえる(詳しくは2018年6月4日付
MRA's Eye「米国の石油製品購買力」を参照ください)。

トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そして、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。

イラン問題の今後の展開は複数考えられるが、今のところ180日は制裁の100%履行が延期された。

イランに対する制裁が解除されるのは、イランが明確に核放棄する場合に限られるとみられる。上下院を民主党が確保できなかったためだ。

仮に予定通り禁輸措置が行われるとすれば、サウジやUEAがこれを代替することになるだろう。しかしその場合、OPECスペアキャパシティは「ゼロ」の状態になり、微小な有事が発生しただけでも原油が100ドルを超える上昇になってもおかしくない。

仮に70ドル~80ドルの原油価格が続けば、景気の循環的な減速局面での原油価格高騰であるため、米国の増産とOPECの減産幅縮小と相まって、その後、大幅な価格下落がもたらされると予想する。

ただし、需要の減速が明確ではない上に上流部門投資が十分ではないことから、下落したとしてもWTIで50ドル、Brentで60ドルを割り込むのは難しくなったと考える。

北朝鮮問題はトランプ大統領からすればある意味「終わった材料(支持率上昇につながらない材料)」だった。

しかし、選挙の結果議会がねじれたため、大統領選に向けたアピール目的で北朝鮮と和平条約を結ぶ可能性はあり得る。この場合、地政学的リスクは後退するが、日本の防衛負担が増えると考えられるため、日本は国防を巡って議論が紛糾することが予想される。

ロシアとの距離を縮めているのは、イスラエルと敵対するイランを擁護しているロシアを懐柔することで、シリアからのイラン軍撤退を促す、という意図があるためと考えられる。

よってロシアとの関係改善は、ある程度中東情勢の緊張緩和に寄与すると期待される。原油の価格面では下押し材料となるだろう。

欧州はかつての最も親密な同盟地域だったが、民主主義の傾向が強く、リベラルな雰囲気が強いこの地区とトランプ大統領は反りが合わない。この地区との対立は貿易問題での対立を激化させ、需要面で価格にマイナスに作用すると予想される。

短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、11月13日付のWTIの投機筋ポジションは、ロングが前週比+6,883枚の561,445枚、ショートが+29,468枚の180,247枚、Brentはロングが▲32,302枚の304,917枚、ショートは+12,914枚の90,085枚となっている。

かねてから指摘されてきた、高水準に積み上がったロングの解消とショートの増加の動きが強まっている。

中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、2020年頃からはインドも人口ボーナス期に入り需要の増加が見込まれることから強気である。

なお、EVが普及して原油需要は2035年~2040年頃にピークを迎えるとの見方が市場のコンセンサスとなりつつあるが、リチウムやコバルトの供給問題や、EV普及のための財政負担を考えると、補助金のサポート無しでは成立しないEV化が、市場の期待通りに進むとは考え難い。

同様に、補助金のサポートが必要なバイオ燃料が化石燃料に取って代わるシナリオも想定し難い。

これに加えて、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加)なども期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると見られることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、減少に転じると判断するのは早計ではないだろうか。

実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃(2050年頃か)になると見る。

この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難い。

供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。

1.中東情勢不安の顕在化

2.PDVSA(ベネズエラ)の生産停止

3.上流部門投資の低迷(徐々に再開)

この中で顕在化の可能性が高まっているのが1.と2.だ。

1.については米国・サウジ・イスラエルvsロシア・イランの構図で考えると理解しやすい。トランプ政権がイランに対して強硬な態度を取っているのは、ユダヤ人ロビーとキリスト教福音派に配慮してのことであり、議会としてもロシアとの対決姿勢を強める構図となる。

そして、イラン産原油を一滴も買うな、という相当強硬な政策が採用されている。それが実際に可能とは思えないが、この結果、イランは核合意離脱並びにホルムズ海峡封鎖オプションを誇示せざるを得ず、それだけで価格は上昇するだろう。

また、イランからすればこれは従来からこの地域に存在する、シーア派とスンニ派の争いである。今までと違うのが、サウジアラビアがイスラエルと一時的に連携する可能性があることだ。ただ、米国のイスラエルへの大使館移転で、連携する可能性は低下している。

これにクルド人vsトルコ・イラン・シリア・イラク、といった対立軸も入ってくると本当に理解が困難になる。基本、目の前の敵の敵は見方の構図がその時発生している問題を理解する上での手助けとなる。

これに加えてムハンマド皇太子のスキャンダル、それに伴う欧米の制裁と報復が原油供給を著しく減じるシナリオも想定される。

さらに、東西分裂状態が続くリビアで原油生産が安定して増加する可能性が低いことも、供給不安を高めるだろう。

2.については5月の選挙でマドゥロ大統領が再選を果たし、国内の状況はさらに悪化している。

PDVSAの生産が完全に停止すれば恐らく原油価格は10ドル単位で上昇するとみるが、これが現在じわじわと顕在化している形。これはもはやメインシナリオとなっている(その後OPECの減産解除で大幅に下落する展開を予想)。

1.と2.の違いは、1.はホルムズ海峡の封鎖が意識されるため、供給途絶が長期にわたる可能性がある一方、2.が顕在化した場合湾岸諸国の増産が予想されるため、影響が一時的なものに止まる点である。

1.の場合、実際に封鎖が起きれば原油価格が100ドルを超えても何ら不思議はない。

金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。

1.米金融規制緩和

2.米国の金利上昇があまりに急であることを受け、FOMCが長期金利の上昇にブレーキをかける政策を採用する場合

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

2.はトランプ大統領が金融政策に介入を始めたため、俄かにその可能性が意識されている。そうでなくとも来年の春ごろまで利上げが継続されれば、そこから先は打ち止め(一旦様子見)となる可能性が高い。

下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材料となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの強まり

5.株価の調整

6.トランプ政権の保護主義政策推進

7.価格上昇に因る需要の減少(レーショニング)

8.トルコ問題の新興国への拡大による、新興国需要の減少

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさせるほどのものにはなっていない。

2.については原油高の進行に伴うインフレ懸念の高まりが顕在化していたが今のところ後退している。しかし、トランプ政権の関税強化が国内の物価を押し上げる可能性もあるため、このリスクが顕在化する可能性は以前よりも高い。

ただ、潜在成長率の低下もあってこれ以上長期金利は急騰しない、との見方もあり引き続き先行きはグレーだ。

4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下した。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。

中東についてはイランと米国は挑発の応酬となっている。しかし、石油製品価格の上昇が米国民からの支持率を押し下げる可能性があるため、ここにきてイランに対する米国のトーンは若干後退している。

しかし、イランは(国民向けのポーズもあってか)強気の姿勢を崩していないため、しばらく緊張状態は続くだろう。

イランと米国が欧州やロシアのとりなしで交渉のテーブルに着く、というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、中間選挙を受けて対外的なポイントを稼ぎたいトランプ政権が、イランに対して弱腰になると考え難いため、このシナリオの可能性は後退した。

5.は株価は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が高まれば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手仕舞い売りが加速する可能性がある。原油価格の上昇に伴う長期金利の上昇が、そのきっかけになる可能性はある。

6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないだろう。

7.は保護主義政策の拡大で世界的に景気の拡大ペースの鈍化が懸念されている中で原油価格が高騰していることは、消費者がこの価格高騰に耐えられない可能性が高まることを示唆している。顕在化の可能性が高いリスク要因となってきた。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。

1.北米の増産加速

2.OPECの出口戦略が意識される

3.イスラエルを中心とした中東情勢絵不安でサウジアラビアやイランなどの足並みが揃わず、OPECの結束が崩壊する場合


1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペースは鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まるまでの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、再び増産ペースが加速するのはQ418になってからだろう。

2.は、サウジとロシアがむしろ減産に舵を切る可能性が出てきたため、顕在化の可能性が後退した。

3.はイランに対する制裁の度合いによるが、今のところは崩壊までには至らないとみられる。

石炭価格はじりじりと水準を切り下げながら、高値圏での推移を続けている。中国の国内の生産が減少しているうえに北朝鮮の制裁が続いていることが影響している。価格の減速は、価格に対する説明力が高い、「中国の景況感の鈍化」が影響していると見る。

北朝鮮への制裁解除は当面ない見込みだが、中国が米国にゆさぶりをかける目的で解除する可能性もなくはない(この場合、さらに米国が中国に制裁を科す可能性がある上、米国と関税関連で共闘できると考えていた欧州や日本の協力が得られなくなるため、その可能性は低いが)。

また、12月にCOP24(第24回気候変動枠組条約締結国会議)が開催される。米国はこの枠組みから脱退を表明しており欧州諸国は米国の引き留めに必死だ。

この状況で中国は脱退しない方針を打ち出しており、「対米協調」を目的として積極的に石炭使用や鉱山向け融資を絞る可能性もあり得る。このリスクは小さくなく石炭供給懸念を通じて石炭価格を高止まりさせるとみている。

---≪LME非鉄金属≫---

LME非鉄金属価格は下落した。景気の先行き懸念に加え、英国のEU離脱の先行き不透明感などでドル高が進行していることなどが価格を下押しした。

今のところG20で米国が中国に対する制裁を緩和するのではとの期待が高まっているが、多少の緩和(追加関税の見送り)はあるだろうが、そう簡単に解除することはないとみる。

非鉄金属の最大消費国である中国の構造的な景気減速、米国の利上げ継続を受けた実質金利上昇、並びに新興国からの資金流出観測が強まっていること、米国の中国に対する追加制裁発動が外需を減速させ、非鉄金属価格を下押しすると予想される。

しかし、中国政府は景気を軟着陸させるために預金準備率を引き下げたり、公共投資などの財政政策に傾斜せざるを得なくなってきていることが需要を押し上げること、LME指定倉庫在庫の減少は継続しており、足元の需給はまだタイトと考えられることが価格を下支えすると考えられる。

以上から、非鉄金属価格は軟調ながらもしばらくは底堅い推移になるのではないか。

中国に対する米国の制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続することになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難い状況にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、工業金属価格にマイナスに作用すると見る。

足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米国がG20で中国に対する制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっているが、何かしらの緩和はあるかもしれないが、制裁自体は継続するだろう。

先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよりも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめる、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった明確な成果があるまで継続するのではないか。

しかし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満が高まる可能性があり、場合によると11月に開催されるG20での米中首脳会談で何らかの緩和措置が取られる可能性はある(あったとしても限定的で、制裁は継続すると考えられるが)。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益は、年初来ベースで前年比+14.7%の4兆9,713億元(1-8月期+16.2%の4兆4,249億元)、9月は+4.1%の5,455億元(+9.2%の5,197億元)と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加え、米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども継続する見込みであるため、非鉄金属需要にとってマイナスに作用することは避けえない。

また、中国の構造的な景気の減速、循環的な減速、保護主義政策に対抗するための人民元安誘導が資本流出を招き、その他の新興国にも影響が出ること、なども価格を下押ししよう。

トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そして、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。

なお、構造的に工業金属需要が増加し、価格が上昇するのはおそらく次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020年頃からになるとみているため、長期的には強気の見通しである。

短期的には投機筋の動向が重要になるが、11月9日付のLMEポジションを見るとニッケルと錫以外の金属はロング・ショートとも総じて減少、全ての金属のネットロングは減少しており、センチメントは弱気だ。

ただ、ショートの増加でロングが減少しているニッケルと錫、銅、鉛は先々の上昇圧力が高まっていることは意識しておきたい。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は148.6億ドル(前週180.6億ドル)と買い越し額が再び減少した。買い越し枚数もトン数換算ベースで4,570千トン(5,270千トン)と同様に減少している。

中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2020年頃からインドが人口ボーナス期に入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気のスタンスを崩していない。

なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算している。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。

現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になったことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略の意味を理解しているということだ。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかだ。

しかし、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。

一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえる。

この見通しの上昇リスクは需要面では、

1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認

2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台が使われる)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

3.トランプ政権のインフラ投資計画実施

などが考えられる。

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

市場はEVブームに沸いているが、コバルトの壁に加え、EV普及のための補助金負担は好景気時しか難しいこと、道路財源問題などを考えると市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていない

ここまでのニッケル価格の上昇はEVブームというよりは中国の住宅セクターの減速が明確でない事や、EVブームを材料にした投機買いの側面が強く、実際の需要に影響を及ぼすのは順調に行ったとして2020年頃以降になるのではないか。

3.はそもそも大きな政府を目指している民主党の理解が得られやすいため、メキシコとの壁は作らないと思うが一部実施される可能性は高まった。


供給面は個別性が強いが、以下が上昇リスク要因として挙げられる。

1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)

2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続

3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり

4.労使交渉動向

5.Rusalに対する制裁が長期化し供給懸念が強まる場合

5.はすでに顕在化してしまったリスクだが、特にアルミ・ニッケル・パラジウムへの影響が大きい。Rusalに対する制裁は米財務省が一部緩和する趣旨のコメントをしており、事前予想ほどの影響が出ない可能性が出てきた。

金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。

1.米金融規制緩和

2.米国の金利上昇があまりに急であることを受け、FOMCが長期金利の上昇にブレーキをかける政策を採用する場合

3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

2.はトランプ大統領が金融政策に介入を始めたため、俄かにその可能性が意識されているが、日銀の政策変更によってむしろ米長期金利に上昇圧力がかかっており、その影響は限定されている。

下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要因の軸となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けた、リスク回避の動きの強まり

5.長期金利の上昇

6.5.に付随するが株価の調整

7.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

8.トルコ危機や米利上げの影響を受けた新興国需要の減少

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさせるほどのものにはなっていない。

2.については原油高の進行に伴うインフレ懸念の高まりが顕在化していたが今のところ後退している。しかし、トランプ政権の関税強化が国内の物価を押し上げる可能性もあるため、このリスクが顕在化する可能性は以前よりも高い。

ただ、潜在成長率の低下もあってこれ以上長期金利は急騰しない、との見方もあり引き続き先行きはグレーだ。

4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下した。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。

中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。

欧州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、選挙結果を受けて、トランプ政権はイランに対してより強硬な姿勢を取ると予想されるため、この可能性は低下している。

懸念されるのは、CIAがムハンマド皇太子がカショギ氏殺害を指示したと結論付けた、と報じられていることだ。この通りであれば欧米が制裁をせざるを得なくなり、サウジアラビアが報復措置を取る可能性も排除できない。

6.は株式市場は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が高まれば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手仕舞い売りが加速する可能性がある。

7.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないだろう。

8.はトルコ危機を発端に新興国通貨安となり、米利上げ継続観測や中国に対する制裁による中国景気減速懸念を受け、新興国通貨安が加速していることはこれらの国の財政状況を悪化させ、インフラ投資などの減速を誘発するが、このリスクは顕在化しつつある状況。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪鉄鋼原料≫---

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は下落、原料炭スワップ先物は上昇、鉄鋼製品価格は下落した。

景気の先行きを懸念した株価の下落が鉄鋼製品先物にも影響、鉄鋼製品先物価格の下落が鉄鉱石価格を押し下げた。

鉄鉱石価格は一旦調整するが、高値圏を維持するものと考える。そもそも季節的に中国の生産が減少、輸入が増加する時期に当たること、米国の制裁はあるものの国内需要の刺激や冬場の鉄鋼生産抑制継続による鉄鋼製品価格の高止まりが、投機的な観点での鉄鉱石買いを誘うと考えられることが背景(詳しくは2018年10月31日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

ただし、インフラ投資バブルを誘発するほどの公共投資を中国が継続することは、国内の評価的にも、資金繰り的にも困難と考えられること、米国は選挙の結果に関わらず中国に対する制裁をさらに強化する方針であること、構造的な需要の減速の可能性の高さから、中期的に鉄鋼製品・鉄鉱石価格に下押し圧力がかかる、との見方に変更はない。

しかし、減産は冬の間続くため、政治的なイベントリスクの顕在化(Brexitなど)がなければ、下落は春になってからになるのではないか。

中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続することになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難い状況にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、工業金属価格にマイナスに作用すると見る。

足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米国がG20で中国に対する制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっているが、何かしらの緩和はあるかもしれないが、制裁自体は継続するだろう。

先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよりも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。

ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめる、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった明確な成果があるまで継続するのではないか。

しかし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満が高まる可能性があり、場合によると11月に開催されるG20での米中首脳会談で何らかの緩和措置が取られる可能性はある(あったとしても限定的で、制裁は継続すると考えられるが)。

そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益は、年初来ベースで前年比+14.7%の4兆9,713億元(1-8月期+16.2%の4兆4,249億元)、9月は+4.1%の5,455億元(+9.2%の5,197億元)と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加え、米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。

結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども継続する見込みであるため、工業金属需要にとってマイナスに作用することは避けえない。

今年の鉄鉱石価格の上昇は、鉄鋼製品価格の上昇によるものであり、さらに製鉄所の稼働率の上昇が実需を押し上げたことも影響している。

実際、中国最大の鉄鋼生産地区である河北省の高炉稼働率は昨年後半から急速に落ち込み60%まで低下、その後85%まで上昇したが直近の稼働率は73.5%と上昇している。ただしこの稼働率は過去5年の最低水準が82.2%だったことを考えると著しく低い。

鉄鋼製品価格の上昇が鉄鉱石価格を押し上げる構図が続いていたが、足元の両者の関係を見ると鉄鋼製品価格の変動と、鉄鉱石価格の関係性はほぼ無相関となっている。

鉄鋼製品価格の変動と、鉄鉱石の変動が連動しておらず各々の需給が価格を決定している可能性が高い。となれば、冬場に向けた国内生産の減速時期に突入していることから、季節的に鉄鉱石価格は高止まりするだろう。

直近の統計では、鉄鉱石在庫が前週比▲5万トンの1億4,060万トン、(過去5年平均1億455万トン)、在庫日数前週比変わらずの31.1日(過去5年平均27.2日)と、例年よりも高い水準を維持している。

鉄鋼製品価格につられて水準を切り上げていたが、やはり徐々に下押し圧力が掛かるのではないか。

鉄鋼製品価格の動向は国内の経済対策動向次第であるが、冬場で建設需要が減速すること、冬場の高炉の稼働低下から大きく値を動かさないものと予想される。

ただ、鉄鋼製品在庫が前週比▲58.3万トンの896.9万トン(過去5年平均1,024.4万トン)であり鉄鋼製品価格は例年よりも高い水準を維持しそうだ。

結果、鉄鋼製品・鉄鉱石スプレッドは鉄鉱石価格が下落する形で、拡大すると予想される。

長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2021年からインドが人口ボーナス期に入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気である。

なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算している。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。

現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になったことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略の意味を理解しているということだ。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかだ。

しかし、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。

一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえる。

上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。

1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認

2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合

3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すに
は内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セ
クターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

2.はそのプロジェクトの質の悪さから導入を見送る国が増えており、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリスクではなくなってきた。

3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているため、部分的に実施される可能性はある。

下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。

1.中国の住宅バブル崩壊

2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない場合

3.米利上げぺースの加速によるドル高で新興国からの資金流出が加速した場合

4.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が下落する場合

5.北朝鮮、中東情勢不安が世界的にリスク回避姿勢を強め、金融市場の混乱が実態経済に悪影響を及ぼす場合

6.世界的な株価の調整によるリスク回避の動きの強まり

7.米国の進める保護主義政策の拡大

8.トルコの政情不安が新興国通貨安(資本流出)を通じて、新興国需要の減速につながる場合

9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

10.ジャーナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太子が原油の輸出を停止して原油調達ができなくなる、原油価格が高騰する場合

4.の可能性は出てきたが、核放棄を行わない限り制裁は継続の方針である。しかし、米国が体制保証を認めた以上、今後は北朝鮮が国際社会に復帰する方向性に進む可能性が高い。

選挙結果を受けて対外的な政策成功をアピールしたいトランプ大統領が、電撃的に制裁を解除する可能性は以前よりも高まった。

ただし、首脳会談のスケジュールを見るに、年明け以降の解除の可能性が高いと考える(逆に言えば年内は解除はなしか)。

5.はリスクシナリオであるが、米朝首脳会談の結果を受け、目先の開戦リスクは後退した。しかし、交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。

中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。欧州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、というのが希望的観測を含めたメインシナリオだが、この通りになるかどうかは正直五分五分だろう。

懸念されるのはCIAがサウジアラビア ムハンマド皇太子がカショギ氏殺害を指示したと断定したと報じられたことだ。もし欧米がサウジアラビアに対して制裁、サウジが報復した場合、原油価格高騰が景気にマイナスに作用することになる。

7.は常識的な落としどころを探る動きになる、とみていたが結局、米中の貿易戦争は開戦となった(その他の地域に対する関税引き上げはこれとは別に存在)。

関税引き上げは消費税引き上げのような緊縮財政と同様の経済効果をもたらすため、景気には明らかにマイナスだ。今のところ、中間選挙を睨んだ対策であるため、目に見える効果が上がらない限りは解除はしないだろう。

結果、中国国内の鉄鋼製品価格を押し下げ鉄鉱石価格の押し下げ要因となるだろう。

9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

10.は鉄鉱石・鉄鋼原料に限った話ではない。原油供給が途絶すれば世界経済に与える影響は当然小さくない。そして、サウジアラビアはそのようなことをする国ではなかったはずだが、実務のトップが代われば方針も変わってしまうということなのだろう。そのリスクは意識しなければならない。

---≪貴金属≫---

金銀価格は下落した。原油下落に伴う実質金利上昇と、欧州不安などを材料にしたドル高の進行が価格を下押しした。

PGMは金銀価格の下落で下押しされたが、それ以上に株価が大きく調整したことで工業金属性の強いパラジウムの調整幅がプラチナを上回った。

金価格は再び上昇余地を探る動きになると考える。サウジアラビアのジャーナリスト殺害問題やイタリアの財政問題などのリスク、北朝鮮問題などに再び焦点が当たっていること、リスク回避で株に調整圧力が掛かり続けているため、「株安→債券高・金高」の流れになりやすいことも、価格を押し上げると考える。

また、米中間選挙の結果議会がねじれたため、国内でポイントを稼ぐことができないトランプ大統領が海外政策をより強硬なものにする可能性があることも、安全資産需要を高めると考える。

英国とEUが離脱条件で合意したと伝えられたが、EU離脱担当相が辞任するなど、英政権内が混乱してきた。今後、英議会、EU議会が承認する必要があるためまだ解決したわけではない。

なお、金価格は、地政学がフルに影響すれば1,400ドル程度までの上昇はあると考えていたが、現在の実質金利水準や、過去の実質金利からの乖離(いわゆるリスクプレミアム)を考えると、あと50ドル程度しかリスクプレミアム分の上昇余地はなさそうだ(詳しくは2018年10月18日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

ただし、米国の利上げが来年の春に終了し、原油価格も高止まりを続けるようであれば実質金利が低下し、ベース価格が上昇することになるため米金融政策、原油価格動向に価格が左右される環境にあることは変わりない。

なお、地政学的リスクの影響がないとすれば、実質金利で説明可能な水準である1,050ドル程度までの下落はあると考える。

銀は、Silver Instituteなどの分析では供給の減少と電気製品向けの需要増加で供給不足になっていると指摘されているが、それよりは金価格動向や貿易戦争の影響が強く意識され、対金で軟調な推移となっている。

今後についても金価格が軟調に推移することから水準を切り下げる動きになると考える。現在の金銀レシオは80に大きなチャートポイントが重なり、底堅い推移となりつつ過去最高水準を維持している。

足元、COMEXの金銀在庫レシオの金銀レシオに対する説明力が高いが、足元でも金銀在庫レシオは高い水準を維持している。記録的な水準まで積み上がった銀の取引所在庫の影響で、しばらくはこの80越えの水準を維持するだろう(詳しくは2018年10月19日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

金銀レシオが80である前提であれば、地政学的リスクがフルに影響して1,300ドルになった場合、リスクプレミアムがはげ落ちて1,150ドルまで下落した場合に対応する銀価格は、16.25ドル、14.4ドルとなる。

金銀レシオが鉱工業生産などから説明可能な、長期の平均的な水準である74程度であれば、17.6ドル、15.5ドルとなる。

短期的な価格動向を占う上で参考になる投機筋の売買動向は、11月13日時点で金のロングが▲725枚の168,416枚、ショートが+27,548枚の177,663枚、銀のロングが+1,501枚の74,618枚、ショートが+16,176枚の91,763枚となっている。

PGM価格は景気の先行きへの懸念が強まる中、下値余地を探る動きになると考える。ただし、金銀価格が上昇余地を試す可能性が出てきてるため、そのことが下落余地を限定させるだろう。

また、ディーゼル自動車比率の高い欧州景気の減速(プラチナ需要減速)、ガソリン自動車比率の高い米国景気の拡大継続(パラジウム需要加速)で、プラチナ・パラジウムレシオはしばらく低下を続けると予想される。

米国の10月の自動車販売は1,750万台(市場予想 1,705万台、前月1,740万台)と急回復しているが、これは米国が自動車関税を引き上げる可能性があるため駆け込み需要が顕在化しているためと考えられる。

10月の米消費者信頼感は137.9と引き続き高い水準を維持、6ヵ月以内に自動車を購入すると答えた人の比率も13.8と前月の13.7から小幅に上昇している。しかしこれは上述の通り、自動車関税引き上げ前の駆け込みと考えるべきだろう。

FRBの利上げも継続する見込みであり、自動車メーカーのディーラー向けのインセンティブ負担も重くなることが予想され、自動車関税引き上げが宣言通り実施されるのであれば、自動車販売は減速する可能性が高く、PGM価格を下押しすると予想される。

中国の10月の自動車販売(工場出荷台数)は前年比▲11.7%の238万台(前月▲11.55%の239万4,100台、前々月▲3.75%の210万3,400台、前々々月▲4.02%の188万9,100台)と4ヵ月連続でマイナス成長となり、同国の耐久財需要が減少していることが伺える。

弊社は需給面の見通しに関しWPICの見通しを参考にしているが、直近の見通しでは2018年のプラチナの需給は29万5,000オンスの供給過剰と、2017年の29万5,000オンスの供給過剰水準から横ばいの見通しとなっている。

自動車向けの触媒需要が前年比▲21万オンスとなるものの、南アフリカ(▲5万オンス)、ジンバブエ(▲2万オンス)、ロシア(▲4万オンス)などの影響で鉱山生産が▲15万5,000オンスとなることが相殺した。

この結果、地上在庫は249万5,000オンスに増加する見込みで、在庫日数は118.0日(+16.0日)と増加見込みであり、在庫の顕著な増加が価格上昇を抑制することになろう。

なお、南アフリカのPGM生産指数は9月時点で108.00(季節調整前)と過去5年平均を回復した。今の需要動向をみるとよりプラチナ需給が緩和し、パラジウムの供給は不十分で両者のスプレッドは、需給面からまた拡大する可能性が出ている。

11月13日現在、CFTCのプラチナポジションはロングが▲2,805枚の43,232枚、ショートが▲872枚の21,241枚、パラジウムはロングが▲121枚の17,495枚、ショート▲252枚4,115枚となっている。

---≪農産品≫---

シカゴ穀物市場は高安まちまち。トウモロコシと大豆の収穫の進捗遅れが材料になっているようだが、どちらかといえばゴールデン・クロスになっているトウモロコシと大豆はテクニカルに上昇圧力が掛かりやすく、かつ、景気循環銘柄が売られる中で非金利系・非景気循環銘柄である穀物に物色の手が伸びたためとみられる。

穀物価格は引き続き政治動向に振らされる形となるが、トランプ政権がG20で中国に対する制裁を緩和するのではとの観測や、エタノールの規制緩和によるトウモロコシのエタノール向け需要の増加観測、トウモロコシと大豆がテクニカルに買いが入りやすいこと景気循環銘柄から非循環銘柄へのシフト圧力から、上昇余地を探る動きになると考える。

トウモロコシの収穫率は90%(前週84%)と5年の最低水準と収穫には遅れが見られる。大豆の収穫率も91%(88%)とこちらも、同じ時期の過去5年の最低水準の進捗率である。

なお、冬小麦の作況は56%(54%)と過去5年平均を下回っている。収穫量は春小麦よりも冬小麦のほうが圧倒的に大きく、2018-2019穀物年度への影響が意識される。

ただ、「小麦は雑草」の格言通り世界のどこかで生産がされるため、最終的に供給は足りることになると考えるが、供給が足りて価格が下落するまでに価格が高騰するリスクは存在する。

11月の米需給報告では、トウモロコシの生産見通しが146億2,600万ブッシェル(市場予想147億2,907万ブッシェル、前月147億7,800万ブッシェル)、大豆が46億ブッシェル(46億7,643万ブッシェル、46億9,000万ブッシェル)、小麦が18億8,400万ブッシェル(前月18億8,400万ブッシェル)と、総じて「期待ほどの生産」にはならない見通しが示された。

一方で輸出見通しは、トウモロコシが24億5,000万ブッシェル(前月24億7,500万ブッシェル)、大豆が19億ブッシェル(20億6,000万ブッシェル)と減速が見込まれている。

11月13日付のCFTC投機筋ポジションは、トウモロコシのロングが▲14,141枚の404,310枚、ショートが▲793枚の287,318枚、大豆のロングが▲361枚の135,147枚、ショートが+7,584枚の177,105枚、小麦のロングが▲1,052枚の158,298枚、ショートが▲12,574枚の136,917枚となっている。

◆本日のMRA's Eye


「アルミ価格も軟調ながらも底堅く」

2018年のアルミ価格は中国政府による景気過熱鎮静化方針を受けて比較的安定して推移していたが、米国による露ルサルに対する制裁実施で同社のアルミニウムがLMEの受け渡し銘柄から除外されたため、他銘柄に乗り換える動きが需給とタイト化させ、アルミ価格は大きく水準を切り上げた。

しかしまた米国の保護主義政策の影響と中国の成長ペース鈍化観測を受けて水準を切り下げる動きとなっている。

アルミの生産コストは3割が電力コスト、3割がアルミナのコストである。そして大なり小なり、世界1位の生産シェア(55.0%)を有する中国の生産動向に左右されやすい。

中国は引き続き発電に石炭を用いているため、生産コストが石炭価格の影響を受けやすい。石炭価格は、1.環境規制強化で中国国内の生産が減少している、2.北朝鮮に対する制裁継続で国際需給がひっ迫している、3.世界的なダイベストメントの影響で石炭鉱山の開発への懸念が残る、といったことから高止まりしており、電力コスト面では価格がサポートされやすい。

主原料であるアルミナに関しては、夏場のAlcoaのスト、一部解除となったがNorsk HydroのブラジルAlnorteアルミナ精錬所(世界最大580万トン/年)の稼働状況が不安定で、環境面が理由であるため今後、完全な再稼働がいつになるかは不透明。

結果、アルミナ価格は対アルミ比でも割高に推移している。

これに加えて、世界の指定倉庫在庫が減少を継続している点も見逃せない。上海在庫は年初は異例な水準まで積み上がっていたが徐々に5年レンジに向けて水準を切り下げている。

LME指定倉庫在庫は景気回復に伴う需要増加で需給がタイト化したことが主因ではあるが、GSやJPモルガンなどが主導していた「ファイナンス取引」が、1.規制強化の流れ(ボルカー・ルール)、2.米金利上昇に伴う採算性の悪化、によってテーパリングが示唆された2013年頃から減少していることも、統計的な需給タイト化を意識させ、価格を底堅くしている。


LMEアルミ価格の上昇率と最大消費国である中国の住宅販売の前年比増加率との相関性が高く、住宅販売の伸び減速とともに上昇率が減速していることが分かる。

価格の上昇率に影響が出るのは概ね12ヵ月後であり、しばらく価格の上昇率は低迷の見込み。

回帰分析の誤差を考量して、アルミ価格上昇率の上振れ・下振れシナリオを策定したところ、2019年の標準価格は2,290ドル程度、下振れシナリオで2,050ドル程度であり、現在の水準はこの下振れシナリオ近辺だ。

米中貿易戦争や米保護主義政策、利上げによる新興国不安などが強く意識されているためと考えられる。

2019年以降は景気の下振れリスクが多いため、標準シナリオというよりは下振れシナリオで推移する可能性が高いと見る。

しかし、中国の構造的な需要の伸び減速と米国の制裁の影響を緩和する目的で、一時的に住宅セクターの規制を緩和する可能性もある。その場合、住宅販売が再び過熱してアルミ価格の上昇率を押し上げる可能性も無視できない。

米輸入関税の問題も、需要面でマイナスに作用する可能性が高い。少なくとも米国の消費者は「景気の伸びが減速する中で」各種コストが上昇することになる(カナダとメキシコに対するアルミの輸入関税も据え置かれた状態)。

米国の保護主義政策推進とそれに対する報復による景気への懸念、中国の構造的な経済成長ペースの鈍化などから需要面も価格にマイナスに作用するとみられる。結果、2019年のアルミ需給は▲50千トンの供給不足(前回見通し発表時▲180千トンの供給不足)と前回見通しから供給不足幅を大幅に縮小する見込み。

以上から、2019年のアルミ平均価格は2,019ドル/トン(前回見通し比▲56ドル/トン)と下方修正、2020年についても供給不足状態が続く見込みであり、インドの人口ボーナス期入りが意識されることから、2019年と比較して水準は上昇、2,175ドル/トンと従来予想を据え置いた。

上記見通しのリスクは、上昇リスクが中国のアルミ生産能力削減が予想を上回る、中国のバブル潰しが先送りされる場合、金融面では米金融正常化のペースが緩慢になる、米金融規制が緩和されるなど。

下落リスクは、米中貿易摩擦の激化、中国の景気抑制策の行き過ぎ、米長期金利上昇による景気への懸念並びにドル高進行、地政学的リスク(中東や欧州など)が顕在化してリスク回避姿勢が強まる場合、北朝鮮制裁解除で石炭価格が下落した場合などが考えられる。

◆主要ニュース


・10月日本貿易収支季節調整前 ▲4,493億円の赤字(前月1,313億円の黒字)
 輸出 前年比+8.2%の7兆2,434億円(▲1.3%の6兆6,920億円)
 輸入+19.9%の7兆6,927億円(+7.0%の7兆1,305億円)

 米国向け
 輸出 前年比+11.6%の1兆4,299億円(▲05%の1兆2,907億円)
 輸入+34.3%の8,566億円(+3.2%の7,043億円)

 欧州向け
 輸出+7.7%の8,113億円(▲4.4%の7,329億円)
 輸入+10.0%の8,843億円(+0.8%の7,561億円)

 アジア向け
 輸出+7.3%の3兆9,816億円(+0.9%の3兆7,377億円)
 輸入+17.2%の3兆7,577億円(+2.6%の3兆1,717億円)

 中国向け
 輸出+9.0%の1兆4,756億円(▲1.7%の1兆2,624億円)
 輸入+16.1%の1兆8,817億円(+4.2%の1兆6,332億円)

・10月日本コンビニエンスストア売上高 前年比▲1.5%(前月+3.5%)

・9月ユーロ圏経常収支季節調整済 169億ユーロの黒字(前月改定 243億ユーロの黒字)

・9月ユーロ圏建設業生産高 前月比+2.0%(前月改定▲0.6%)、前年比+4.6%(+2.2%)

・10月独生産者物価指数 前月比+0.3%(前月+0.5%)、前年比+3.3%(+3.2%)

・11月米NAHB住宅市場指数 60(前月改定 68)

・10月米住宅着工件数 前月比+1.5%の122.8万戸(前月改定▲5.5%の121.0万戸)

・10月米住宅建設許可件数 前月比▲0.6%の126.3万戸(前月改定+1.7%の127.0万戸)

・日産、カルロス・ゴーン会長、有価証券報告書の虚偽記載で逮捕。

・EU離脱、再投票を求める声が多数(世論調査)。メイ首相は否定的な見解。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想
 原油+2,861KB(前週+10,270KB)
 ガソリン▲444KB(▲1,411KB)
 ディスティレート▲2,665KB(▲3,589KB)
 稼働率+1.08%(+0.10%)

・API石油統計
 原油在庫▲1.55MB
 クッシング+0.40MB
 ガソリン+0.71MB
 ディスティレート▲1.83MB

・EU、イランの反体制派殺害計画を受けて制裁を検討。

・米CIA、カショギ氏殺害はムハンマド皇太子の指示によるものと結論。

【メタル】
・ハーバーインテリジェンス、「2019年のアルミ需給は7年ぶりに+72万トンの供給過剰に。2020年は+370万トンに供給過剰幅が拡大。」

・Barclays、「2019年末に銅価格は5,900ドルに。世界景気の減速で。」

・住友金属鉱山、インドネシアでニッケルの精錬所を建設へ。投資額は2,000億円、生産目標は4万トン/年。副産物のコバルトも生産の予定。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.欧州排出権 ( 排出権 )/ +2.80%/ +138.77%
2.TCMガソリン ( エネルギー )/ +1.00%/ ▲2.86%
3.CBT大豆 ( 穀物 )/ +0.83%/ ▲7.43%
4.TCM灯油 ( エネルギー )/ +0.68%/ +4.09%
5.LMEアルミ 3M ( ベースメタル )/ +0.54%/ ▲14.82%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲6.57%/ ▲6.68%
67.DME Oman ( エネルギー )/ ▲6.55%/ ▲2.72%
66.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲6.01%/ ▲11.70%
65.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲5.41%/ ▲16.79%
64.NYM灯油 ( エネルギー )/ ▲4.89%/ ▲4.39%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :24,451.54(▲565.90)
S&P500 :2,648.07(▲42.66)
日経平均株価 :21,583.12(▲238.04)
ドル円 :112.66(+0.11)
ユーロ円 :128.11(▲0.81)
米10年債利回り :3.05(▲0.01)
独10年債利回り :0.35(▲0.02)
日10年債利回り :0.10(+0.01)
中国10年債利回り :3.38(+0.01)
ビットコイン :4,258.59(▲526.95)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.19(+0.38)
エネルギー :41.95(+2.16)
ベースメタル :19.98(▲0.14)
貴金属 :17.22(+0)
穀物 :17.21(▲0.06)
その他農畜産品 :25.94(+0.15)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :34.29(+3.71)
Brent :36.57(+4.77)
米天然ガス :106.63(▲0.94)
米ガソリン :31.68(+2.95)
ICEガスオイル :28.18(+2.67)
LME銅 :18.01(▲1.28)
LMEアルミニウム :11.88(+0.25)
金 :18.91(+0.16)
プラチナ :15.55(+0.43)
トウモロコシ :14.15(▲0.03)
大豆 :18.91(+0.16)

【エネルギー】
WTI :53.35(▲3.41)
Brent :62.40(▲4.39)
Oman :62.24(▲4.36)
米ガソリン :149.72(▲8.57)
米灯油 :198.43(▲10.21)
ICEガスオイル :604.50(▲26.00)
米天然ガス :4.51(▲0.19)
英天然ガス :66.83(▲0.08)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :62.40(▲4.39)
SPO380cst :412.17(▲25.96)
SPOケロシン :80.11(▲4.30)
SPOガスオイル :77.91(▲4.55)
ICE ガスオイル :81.14(▲3.49)
NYMEX灯油 :197.46(▲4.33)

【貴金属】
金 :1221.48(▲2.69)
銀 :14.31(▲0.11)
プラチナ :841.88(▲11.62)
パラジウム :1143.50(▲21.51)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,240(▲5:22B)
亜鉛 :2,591(▲22:107B)
鉛 :1,996(▲21:26C)
アルミニウム :1,941(▲1:13.5C)
ニッケル :11,260(+20:70C)
錫 :19,585(+65:15B)
コバルト :55,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6173.00(▲82.00)
亜鉛 :2541.50(▲64.50)
鉛 :1959.00(▲31.50)
アルミニウム :1942.00(+10.50)
ニッケル :11085.00(▲105.00)
錫 :19370.00(▲310.00)
バルチック海運指数 :1,023.00(▲8.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :74.41(▲0.88)
NYMEX鉄鉱石 :74.88(▲0.42)
NYMEX原料炭スワップ先物 :222(+1.00)
上海鉄筋直近限月 :4,074(▲153)
上海鉄筋中心限月 :3,800(▲52)
米鉄スクラップ :402(±0.0)

【農産物】
大豆 :881.00(+7.25)
シカゴ大豆ミール :307.10(+1.60)
シカゴ大豆油 :27.34(+0.02)
マレーシア パーム油 :休場( - )
シカゴ とうもろこし :361.25(▲1.00)
シカゴ小麦 :500.75(+2.25)
シンガポールゴム :132.90(▲0.90)
上海ゴム :10950.00(▲205.00)
砂糖 :12.46(▲0.34)
アラビカ :110.65(▲1.70)
ロブスタ :1599.00(▲10.00)
綿花 :75.27(▲0.61)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :58.98(▲2.05)
シカゴ生牛 :115.70(▲0.45)
シカゴ飼育牛 :146.88(▲0.40)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。