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伊政局不安後退と米中協議進捗観測で堅調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年8月30日 第1596号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「伊政局不安後退と米中協議進捗観測で堅調」

【昨日の市場動向総括】

【本日の価格見通し総括】

本日の商品市場は3連休を控えたポジション調整に伴う買戻しで堅調な推移になると考える。

予定されている統計としては、米個人所得(市場予想前月比+0.3%、前月+0.4%)、個人消費(+0.5%、+0.3%)に注目しているが、恐らく米国の個人消費は好調が維持されるとみられ、広く景気循環銘柄の上昇要因となるだろう。

ISM製造業指数、GDPの先行指標であるシカゴPMIは47.5(前月44.4)と改善見込みであるが、50の閾値を下回る状態が継続することから、積極的な買い材料にはならないと考える。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

ここにきて日銀のマイナス金利や量的緩和が効果がない、という指摘が海外から出るようになってきた。はじめはその効果もあるのでは...という指摘もあったが、黒田日銀になってから金融政策が景気に明確なプラスをもたらした感じではない。

また、基本的に財政政策と金融政策は結局のところ将来の需要の前借りであるため、長期的にその効果は「中立」である。このツケは必ず将来払わなければならないわけで、記録的な好景気だったこの5年の間に米国が行ったような金融緩和解除が行えなかったのは残念だった。

恐らくこれから世界景気は循環的な減速局面にあるが、その前に米国が政権の意向を受けて金融緩和に舵を切る可能性が高い。この中で特に日本の製造業に影響が大きい円高が進む見込みだ。

2019年下期の製造業の為替想定レートは109.34円だ。現在の水準から4円近く円安である。ただし年末に向けてさらに円高が進む可能性は高い。

そんな中、GPIFで外国債券を購入して円安を進行させよう、という動きがあると日経新聞が指摘している。そもそも安倍政権になってからGPIFは株の投資比率を引き上げている。

どこの国でもそうであるが、株価と支持率が連動することが多い。しかしもし今回、GPIFで外債投資を行った場合、金融政策などと同様に、入り口ばかりでなく、出口も考えなければならない。出口に向かう時に損失が発生する可能性は否定できない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向きとしている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商交渉は、相互が制裁強化を決定、さらに関係が悪化した。今後仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は英議会の休会を決定、ハードブレグジットはほぼメインシナリオに。また、EUにブレグジットの影響が波及するリスク(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場は上昇した。中国が米国の報復関税(第5弾)に対する報復を検討しておらず、9月の閣僚級会合の調整を進めているといった趣旨の発言をしたことや、イタリアの政局不安の後退から、リスクテイクの動きが強まったこと、ハリケーン「ドリアン」の影響による生産減少観測が背景。

【原油価格見通し】

原油価格は、景気減速懸念が強まっていることが実需面で価格を下押しするものの、各国の経済対策や金融緩和観測が価格を下支えすると考えられるため、現状水準でのもみ合いになると考える。

市場の注目は世界的な金融緩和動向に移っており、相場は金融相場に差し掛かっていると見ている。今後は結果的に金融政策の価格への影響が大きくなり、価格への影響が無視できなくなると予想。

イラン問題の終息は、イラン・米国とも自身から歩み寄って解決するとは考えにくく、第三者の仲介が必要と考えられる。

ある意味予想通りだが、仏マクロン大統領が米・イランの橋渡しに意欲を見せている。そもそもトランプ大統領はイラン攻撃に反対とみられ、一部報道は安倍首相にも仲介を打診したとも報じている。時機を見て両国の会談が開催されることになるだろう。

イラン問題の終息は供給懸念を後退させ、価格の下落要因となるが現状それほど供給リスクが織り込まれているわけではないため、むしろ同問題解決が域内景気の安定につながると判断され、価格の上昇要因となるとみている。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は再び下落した。最大消費国である中国の景況感の減速や、スポットLNG価格が引き続き低迷していることから低水準での推移が続いている。

【石炭価格見通し】

石炭価格はピークシーズンの終了と天然ガス価格の下落で軟調地合いを維持するものの、中国政府が下期の石炭輸入を控える方針とみられることから駆け込み需要が予想され、底堅い推移になると考える。

足元、バルチック海運指数が再び上昇しているが、これは石炭輸入の制限前の駆け込み需要が顕在化しているためと考えられる。

しかし、昨年と同様輸入が制限される見通しであることから上昇余地も限定されると考える。

7月の中国石炭生産が同じ時期の過去5年の最高となる3,289万トンに達し、中国の国内供給も増加、中国政府は年間の石炭輸入量を2億8,000万トンに制限する目標を掲げている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される予定で、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が増加に転じていることは、冬場の在庫減少を取り戻すための在庫積み増しの動きが強まっているためと考えられる(石炭)。

・競合燃料であるLNG価格が供給過剰で低迷していることは、石炭価格の下落要因に。

(特殊要因)

・米国とイランの関係はこの20年で最悪の状態。両国の国力を減ずる戦争のリスクは依然低いとみるが、現状では開戦の可能性も完全に否定できない状態。

・米朝首脳会談が開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショートとも減少したが、ショートの方が減少している。景気の先行き懸念と価格下落に伴う生産減少観測の高まりが影響したとみられる。

Brentはロング・ショートとも減少したが、欧州景気の先行き不安でロングの解消圧力の方が強かった。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが528,969枚(前週比 ▲18,071枚)、ショートが114,334枚(▲50,562枚)、ネットロングは414,635枚(+32,491枚)、Brentが297,119枚(前週比▲11,937枚)、ショートが76,920枚(▲5,369枚)、ネットロングは220,199枚(▲6,568枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は堅調な推移となった。中国が米国に対する関税引き上げの詳細を発表した一方、9月の閣僚級会合開催に向けて調整が行われていることが明らかになったことや、イタリアの政局不安が後退したことを受け、米市場3連休を控えて投機の買戻しが入ったためと考えられる。

個別要因としては、2022年からと予定されていたインドネシアのニッケル未処理鉱石輸出規制が前倒しされ、今年から実施される、との報道を受け、ニッケルが見直し買いで大きく上昇している。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、米中の交渉進捗期待や欧州不安の後退で一時的に投機の買戻しが入って上昇余地を探る動きになると考える。

しかし、最大消費国である中国のみならず、欧州、米国の経済統計は悪化しており、中期的な見通しが弱気であることに変わりはない。

また、中国製造業PMIの改善は大企業に限られており、中堅・中小企業の景況感はまだ回復しておらず、世界の景気が(主に循環的に)下りのエスカレーターに乗る中で需要見通しが減速、経済対策期待はあるものの、対策の効果が永続的ではないと予想されることから、中期的にも価格は下値余地を探りやすい。

10月末の英国のEU離脱も無秩序なものになる可能性が高いことも、一時的に価格を押し下げよう。

再び持続的な上昇に転じるのは、中国の公共投資が顕在化する年後半か、インド需要が顕在化すると期待される2020年の春以降と見る。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは回復したものの閾値の50を下回り、中堅・中小企業の景況感は悪化している。ただし新規受注の増加と在庫の小幅な減少で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオが小幅に上昇しており、非鉄金属価格の上昇要因に。

・1-7月期の中国工業生産は前年比+5.8%(1-6月期+6.0%)、7月+4.8%(前月+6.3%)と減速(フロー需要の減速=価格下落要因)。

・1-7月期の中国固定資産投資は前年比+5.7%の34兆8,892億元(1-6月期+5.8%の29兆9,100億元)、公的 +7.1%(+6.9%)、民間 +5.4%(+5.7%)とやはり減速。民間セクターの減速の影響は大きい(ストック需要の減速=価格下落要因)

・1-7月期中国不動産開発投資は前年比+10.6%の7兆2,843億元(1-6月期+10.9%の6兆1,609億元)と高い水準を維持してはいるが、やはり減速傾向が強く、特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府が地方政府に債券発行枠の増枠を促し、シャドーバンキングを含むアンダーグラウンドな資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石輸出再開の可能性(2022年とされていたが、2019年中に実施されるとの報道も)。

・インドとパキスタンの対立が武力衝突に発展し、インドが人口ボーナス期の成長メリットを生かせない場合(下落要因)

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・8月16日付のLMEポジションは、まちまち。銅はロング・ショートとも減少したが、ロングの調整幅が大きくネット売り越し幅を拡大。

亜鉛はロング・ショートとも減少したがショートの減少が大きく、ネット買い越し幅を拡大した。

アルミはロング・ショートとも減少したが、ロングの積み増し圧力が強く、ネットロングは増加。

ニッケル・鉛はロングが増加、ショートが減少しやや強気のポジション取りに。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲73.4億ドル(前週▲79.4億ドル)と売り越し幅を小幅に縮小。売り越し額の減少率は▲1.2%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,980千トン(前週▲2,073千トン)と売り越し幅を小幅に縮小した。鉛、錫、ニッケルはネット買い越しに復帰した。ネット売り越しの減少率は▲4.5%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅続落、原料炭スワップ先物は横ばい、中国鉄鋼製品市場は小幅に上昇した。

米中交渉進捗期待や、中国の経済対策への期待が価格を下支えしているものの、基本的な景気の見通しは弱気であり方向感に欠ける展開となった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国の需要減速観測が強まる中で下押し圧力がかかりやすい状況が続くが、バルチック海運指数を見るに、一時的とみられるものの、鉄鋼原料の在庫積み増しの動きが見られるため底堅い推移になると予想する。

ただし中国の景気は減速しており、経済対策への期待はあるものの中期的には価格は下押しされると予想する。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは47.9(前月48.2)と悪化した。主に新規受注(国内向け)が減速したことによるもの。またバルチック海運指数の押し上げに寄与していた原材料在庫も水準が切り上がり、完成品在庫も増加基調にある。

ヴァーレの供給減少は継続しているが、需要面で鉄鋼製品・鉄鉱原料の需給が緩和する可能性が出てきた。

・1-7月期の中国工業生産は前年比+5.8%(1-6月期+6.0%)、7月+4.8%(前月+6.3%)と減速(フロー需要の減速=価格下落要因)。

・1-7月期の中国固定資産投資は前年比+5.7%の34兆8,892億元(1-6月期+5.8%の29兆9,100億元)、公的 +7.1%(+6.9%)、民間 +5.4%(+5.7%)とやはり減速。民間セクターの減速の影響は大きい(ストック需要の減速=価格下落要因)

・1-7月期中国不動産開発投資は前年比+10.6%の7兆2,843億元(1-6月期+10.9%の6兆1,609億元)と高い水準を維持してはいるが、やはり減速傾向が強く、特に建材であるアルミや配電に用いられる銅の下落要因に。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲17万トンの1,325.8万トン(過去5年平均1,019.5万トン)と例年を大きく上回っている。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比+150万トンの1億2,465万トン(過去5年平均1億1,607万トン)、在庫日数は+0.3日の26.3日(過去5年平均 29.7日)と在庫日数ベースでは例年の水準を下回った状態が続いている。

絶対水準の増加は続いているが、まだ在庫日数ベースでは例年を大きく下回っている。ファンダメンタルズ面で鉄鉱石価格を下支えしよう。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金価格は下落した。イタリアの政局不安の後退で安全資産需要が減少したこと、長期金利が上昇して実質金利が上昇したことが材料となった。

PGMは上昇。金銀価格の下落はあったが、米中の閣僚級協議への期待や、米GDPがほぼ想定通りの内容だったことから過剰な懸念が後退したことが背景。特にプラチナの投機の買戻しが顕著で、プラチナ・パラジウムレシオは上昇している。

【貴金属価格見通し】

金価格は高値圏での推移になると考える。世界景気の先行き懸念の強まりから長期金利が低い水準で推移し、期待インフレ率を上回る低下となっているため実質金利が低下していることが背景。

また、北朝鮮のミサイル発射頻発や日韓の対立激化、英国のハードブレグジット懸念といった欧州のリスク、米中対立の継続、香港デモの拡大を受けたリスク回避の動きは継続するとみられるため。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)が急速に低下しており、金銀レシオの低下を肯定する状況になっていることから、対金でさらに上昇すると予想される。

ただし、銀が通貨としての価値を有していたころの、過去の水準に金銀レシオが戻ることは難しいと考える。

PGM価格は金銀価格が高値圏でもみ合うことが基準価格を高止まりさせるが、景気の先行き懸念とそれを受けた経済対策期待で株価が乱高下するとみられるため、神経質な推移になると予想する。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっているが、FRBは7月のFOMCで▲25bpの利下げを実施。今後は9月の会合での利下げ有無とその規模(▲50bpの可能性も?)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、米中は相互に追加制裁発動を決定、目先の買い材料となっている。この交渉自体は中国の知的財産権侵害や技術の強制移転などの解決が最終目標であり、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの緊張は若干の緩和が見られている。そもそもトランプ大統領が戦争には後ろ向きであり、議会が休会であることもあって融和姿勢が強まっている。

ただし米議会はイランに対しては強硬姿勢を維持しており、収束するのは来年の大統領・議会選挙年にずれ込むと予想される。

・イタリアの財政不安。

・英国のEU離脱がハードになる可能性があること、それに伴いスコットランドの独立話が再燃していること、それがスペインのカタルーニャ地方に波及する懸念があることは安全資産需要を高める。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金はロングが増加、ショートが減少、再び明確にリスク回避に伴うポジションテイクが加速している。銀はロングが減少、ショートが減少、ネットロングは増加している。

・プラチナはロングが減少、ショートが増加、パラジウムはロング・ショートとも減少している。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが352,294枚(前週比 +6,071枚)、ショートが52,301枚(▲3,832枚)、ネットロングは299,993枚(+9,903枚)、銀が95,987枚(▲1,533枚)、ショートが49,273枚(▲8,978枚)、ネットロングは46,714枚(+7,445枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが45,654枚(前週比 ▲451枚)、ショートが26,039枚(+1,610枚)、ネットロングは19,615枚(▲2,061枚)、パラジウムが13,732枚(▲63枚)、ショートが3,908枚(▲716枚)、ネットロングは9,824枚(+653枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場はまちまち。大豆は中国による対米関税引き上げが報じられたが、同時に閣僚級協議進展期待が価格を押し上げた。トウモロコシ・小麦はドル高の進行を受けて水準を切り下げた。

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は現状水準でもみ合い推移すると考える。米国の作柄は全く良くないものの、当初見通しよりも生産見通しが上方修正されていることや、中国の米国に対する農産品禁輸措置によって需給緩和観測が強まるため。

米国の不作の影響は期末在庫の水準低下を促し、来年以降に起きる可能性が指摘されているラニーニャ発生時にその水準の低さが意識されることになるとみている(長期的には上昇の入り口か)。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産見通し上方修正による需給緩和観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・8月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ139億100万Bu(前月138億7,500万Bu)大豆 36億8,000万Bu(38億4,500万Bu)小麦 19億8,000万Bu(19億2,100万Bu)

・8月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ21億8,100万Bu(20億100万Bu)大豆 7億5,500万Bu(7億9,500万Bu)小麦 10億1,400万Bu(10億Bu)

(特殊要因)

・米中通商交渉は再び難航しており相互制裁強化となっている。この問題は覇権争いが根幹にあり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・エルニーニョ現象は収束したとみられるが、より北米の穀物生産に影響を与えるラニーニャ現象の発生の懸念は排除できず、特に来年以降にかけて価格が上昇する可能性があり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロング・ショートとも増加したが、需給緩和観測が強まっているためショートが積み上がっている。大豆も同様。

小麦はロングが減少、ショートが増加し弱気なポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが415,713枚(前週比 +688枚)、ショートが321,629枚(+68,243枚)、ネットロングは94,084枚(▲67,555枚)、大豆はロングが153,047枚(+1,327枚)、ショートが174,787枚(+5,420枚)、ネットロングは▲21,740枚(▲4,093枚)、小麦はロングが112,957枚(▲5,449枚)、ショートが105,200枚(+3,109枚)、ネットロングは7,757枚(▲8,558枚)

◆主要ニュース


・8月日本消費者態度指数 37.1(前月37.8)

・8月独失業者数 前月比+4.0千人(前月+1.0千人)、失業保険申請率 5.0%(5.0%)

・8月ユーロ圏鉱工業景況感・消費者信頼感指数 103.1(102.7)
 鉱工業景況感:構成比率40% ▲5.9(▲7.3)
 サービス景況感 9.3(10.6)

・8月ユーロ圏消費者信頼感改定 ▲7.1(速報比変わらず、前月改定 ▲6.6)

・Q219米GDP改定 前期比年率 +2.0%(速報比▲0.1%、前期確定+3.1%)
 個人消費+4.7%(+0.4%、+1.1%)
 総民間国内投資▲6.1%(▲0.6%、+6.2%)
 設備投資▲0.6%(±0.0%、+4.4%)
 輸出▲5.8%(▲0.6%、+4.1%)
 輸入+0.1%(±0.0%、▲1.5%)
 政府支出+4.5%(▲0.5%、+2.9%)
 GDPデフレータ+2.4%(±0.0%、+1.1%)
 コアPCE +1.7%(▲0.1%、+1.1%)

・米週間新規失業保険申請件数 215件(前週211千件)、失業保険継続受給者数 1,698千人(1,676千人)

・7月米中古住宅販売仮契約 前月比▲2.5%(前月+2.8%)、前年比+1.7%(▲0.6%)

・米ムニューシン財務長官、「米国は当面為替介入の意向はない。」

・サンフランシスコ連銀デイリー総裁(投票権なし・中間派)、「米経済は成長しているが、不確実性が高い。米金融当局は職務遂行に必要な手段を有する。政策当局者として政治問題は考慮に入れない。」

・ECBラガルド次期総裁、「ECB、まだ金利の下限を付けていない。低金利は市中銀行に影響する。ECBには幅広い手段がある。行動の準備が必要。」

・ECBクノット政策委員、「ユーロ圏経済はQEを正当化できるほど弱くはない。」

・安倍首相、TICADで、「アフリカは強大な経済圏になる。企業進出を支援する。」

・中国政府、自動車に対して50%、大豆に関しては30%の関税を課す方針。9月の米中閣僚級協議は開催に前向き。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 2,857BCF(前週比+60BCF)
 東部 682BCF(+22BCF)
 中西部 790BCF(+30BCF)
 山間部 173BCF(+5BCF)
 太平洋地区278BCF(+4BCF)
 南中央 934BCF(▲1BCF)

・DJ、「サウジアラムコ、IPOを2回に分けて実施する計画を検討。」

・ハリケーン「ドリアン」、カテゴリー4のハリケーンとなり、フロリダ半島に上陸の可能性。

・イエメン、サウジアラビアが支援する暫定千件と、UAEが支援する南部評定議会(STC)が戦闘状態に入る。米ポンペオ国務長官は、両者に対立解消を求める。

・イラン ザリフ外相、「米国が対話を望むならまず核合意を順守し、経済テロを止める必要がある。」

・イスラエル、ガザ地区のハマス拠点を空爆。

・米グリーンブラット外交交渉特別代表、「イスラエルとパレスチナの和平案は9月17日の総選挙前に公表しない。」

【メタル】
・特になし。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +4.52%/ ▲50.76%
2.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ +2.37%/ +14.38%
3.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +2.25%/ ▲16.46%
4.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +2.20%/ +6.44%
5.CBTもみ米 ( 穀物 )/ +1.99%/ +14.51%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ICEココア ( その他農産品 )/ ▲3.37%/ ▲12.09%
69.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲2.44%/ ▲9.77%
68.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲2.11%/ ▲13.68%
67.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲2.05%/ +7.53%
66.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲1.58%/ +12.27%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,362.25(+326.15)
S&P500 :2,924.58(+36.64)
日経平均株価 :20,460.93(▲18.49)
ドル円 :106.52(+0.40)
ユーロ円 :117.78(+0.22)
米10年債利回り :1.49(+0.02)
独10年債利回り :▲0.69(+0.02)
日10年債利回り :▲0.29(▲0.01)
中国10年債利回り :3.03(▲0.02)
ビットコイン :9,526.03(▲143.42)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :24.73(▲1.29)
エネルギー :30.33(▲5.8)
ベースメタル :17.62(+0.16)
貴金属 :18.76(▲2.67)
穀物 :22.98(▲0.37)
その他農畜産品 :27.84(+0.01)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :38.68(▲9.96)
Brent :35.61(▲8.62)
米天然ガス :31.48(▲3.61)
米ガソリン :35.56(▲10.22)
ICEガスオイル :31.37(▲1.05)
LME銅 :13.48(+1.04)
LMEアルミニウム :9.11(+0.13)
金 :16.06(▲1.48)
プラチナ :18.80(▲0.14)
トウモロコシ :34.67(▲0.36)
大豆 :16.06(▲1.48)

【エネルギー】
WTI :56.60(+0.82)
Brent :61.00(+0.51)
Oman :59.98(+0.21)
米ガソリン :168.47(+0.23)
米灯油 :186.34(+1.24)
ICEガスオイル :573.50(+4.00)
米天然ガス :2.29(+0.04)
英天然ガス :30.07(+1.30)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :61.00(+0.51)
SPO380cst :337.03(+0.52)
SPOケロシン :75.40(+0.45)
SPOガスオイル :75.05(+0.52)
ICE ガスオイル :76.98(+0.54)
NYMEX灯油 :186.95(+0.50)

【貴金属】
金 :1527.63(▲11.38)
銀 :18.27(▲0.09)
プラチナ :917.10(+15.23)
パラジウム :1475.60(+1.84)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,739(+65:16.5C)
亜鉛 :2,275(+16:10B)
鉛 :2,064(▲22:2.5C)
アルミニウム :1,743(▲16:29C)
ニッケル :16,275(+340:70B)
錫 :15,760(▲95:50C)
コバルト :32,235(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5706.50(+4.00)
亜鉛 :2255.50(▲11.00)
鉛 :2054.00(▲12.00)
アルミニウム :1754.00(+5.00)
ニッケル :16410.00(+115.00)
錫 :15780.00(±0.0)
バルチック海運指数 :2,267.00(+54.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :90.79(▲0.02)
NYMEX鉄鉱石 :91.16(▲0.47)
NYMEX原料炭スワップ先物 :154(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,632(+3)
上海鉄筋中心限月 :3,304(+18)
米鉄スクラップ :休場( - )

【農産物】
大豆 :856.25(+3.50)
シカゴ大豆ミール :292.00(▲2.00)
シカゴ大豆油 :28.37(+0.26)
マレーシア パーム油 :2155.00(▲45.00)
シカゴ とうもろこし :359.75(▲3.00)
シカゴ小麦 :469.75(▲2.50)
シンガポールゴム :148.20(+1.60)
上海ゴム :10575.00(▲5.00)
砂糖 :11.21(▲0.16)
アラビカ :91.90(▲2.30)
ロブスタ :1300.00(▲28.00)
綿花 :58.88(+0.53)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :64.90(+1.40)
シカゴ生牛 :105.65(+0.58)
シカゴ飼育牛 :138.75(±0.0)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。