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世界株安・リスク回避は一服か ~ただし中国・欧州に留意
  • MRA外国為替レポート

2018年10月15日号

◆先週の市場総括


先週のドル円相場はほぼ一貫して軟調、リスク回避が強まるなか円高が進んだ。

月曜日は日本が祝日のなか113円後半で始まりすぐに113円割れ。中国が追加金融緩和に動き中国株安・人民元安、さらにイタリア財政不安、欧州発リスク回避からユーロ円相場主導で円高に。

その後前週から想定外に上昇していた米長期金利がさらに上昇する気配をみせると米国株が急落。グローバルに株安が広がるなか、ポジション調整の動きからドル安・円高となった。

ドル円相場は一時111円台に下落。ただ週末には株安が一服し112円近辺で底固い値動きとなった。

ただ欧州ではイギリスのEU離脱問題への懸念が根強くユーロが対ドルで反落。ユーロ円相場がドル円相場の上値を抑えた。

米長期金利10年債利回りは前週からさらに3.2%台後半に上昇して株価下落のきっかけとなったが、株価が急落するなかでは上昇一服。3.1%台で上下動となった。

米国株は長期金利の上昇に加え、底流にある米中貿易摩擦による懸念、株価上昇行き過ぎ感などから週央に急落したが週末には一旦下げ止まり。米中首脳会談が実施される予定との報道もやや安心感となった。

日経平均は米国株の急落、ドル円相場の下落、など外部条件の悪化から大幅に下落。ただ週末には下げ止まり、22,500円近辺でもみ合い引けた。

月曜日の東京市場は祝日で休場。アジア時間のドル円相場は113円80銭中心に上下。ユーロ円相場は131円近辺でもみ合い。

中国人民銀行は7日日曜日に預金準備率の引き下げを発表。景気減速や固定資産投資の伸び鈍化に対応する姿勢を示した。ただこれを受けて月曜日のアジア市場では人民元が下落。中国・上海株総合指数は大幅安となった。

海外市場は米国債券市場が休場。欧州市場に入るとユーロ円相場が131円から130円割れ129円50銭まで大幅安。ドル円相場も113円割れとなった。

イタリアとEUが財政赤字巡り対立を激化させ、イタリア国債、欧州株が下落し、欧州発リスク回避が強まった。ユーロドル相場も1.15台前半から1.14台半ばに下落。ただ終盤にかけてユーロは下げ止まり、ドル円相場も113円10銭~20銭に戻して引けた。米国株は小幅高。

火曜日の東京市場のドル円相場は113円ちょうど~20銭で上下。連休明けの日経平均は23,500円で大幅安寄りした後はそのまま上下動となり引け。この日人民元・中国株は下げ止まった。

海外市場のドル円相場は113円台に踏みとどまり上下。引けは113円ちょうど近辺。

一方、ユーロは欧州市場に入って再び軟調。ユーロ円相場は129円50銭に下落。ただイタリア財政懸念による市場の動きはやや一服しイタリア国債利回りが低下。安心感からユーロは持ち直しユーロ円相場は130円手前、ユーロドル相場は1.15手前まで戻した。

米10年債利回りは一時3.26%に上昇したが引けにかけて買われて3.20%。米国株はもみ合い横ばいだった。

水曜日の東京市場のドル円相場は113円ちょうど近辺でもみ合い、夕方にかけて113円20銭にやや上昇。ユーロも小動き。ユーロドル相場は1.1510中心にもみ合い、ユーロ円相場は130円中心に上下。日経平均も23,500円中心にもみ合い小動きだった。

しかし海外市場に入ると米国株が急落、大幅安。下げ幅は3%に達した。米国株急落の背景は長期金利の上昇がきっかけとされるが、底流にはこのところの株高行き過ぎ感や米中摩擦への懸念、企業業績への影響への懸念なども複合的に影響し、利益確定売りを次から次へと誘発したとみられる。

為替市場では円が全面高。ドルも売られる展開。ドル円相場は112円20銭近辺に下落。ユーロドル相場は1.1540へとユーロ高ドル安が進んだ。ユーロ円相場は円全面高のなか129円20銭台に下落した。

米長期金利は株価急落、リスク回避から低下。2年債利回りは2.90%に上昇していたが2.84%に。10年債利回りは3.24%から3.16%に低下した。

木曜日の東京市場のドル円相場は112円20銭で始まり朝方一時112円ちょうど近辺に下落。ただその後は112円20銭を中心に上下動。ユーロは対ドル、対円、ともにしっかり。

日経平均は寄付きから大幅安となり一時1,000円を超える下落。ただ引けにかけては下げ止まり22,600円近辺で取引を終えた。海外市場に入るとドル円相場は112円50銭近辺まで持ち直したが米国株が続落するなか111円80銭台に下落した。

ドルは対ユーロでも下落し、ユーロドル相場は1.16へとユーロ高ドル安が進んだ。米国株は上値重く大きく上下動して不安定な値動き。結局は続落となり安値引けとなった。

米長期金利10年債利回りも上下動。株安でリスク回避基調のなか金利は低下気味で3.18%~3.12%を上下して引けは3.15%。

発表された米国の消費者物価指数(9月)は前年同月比+2.3%と予想+2.4%を下回った。コア指数も+2.2%と前月と変わらず、予想+2.3%を下回りインフレ率の安定を示した。

この日はアジア通貨が堅調。11月のG20 で米中首脳会談が実施される可能性や、米国財務省による為替報告で中国が為替操作国に認定されない見通しとの報道がやや安心感をもたらした。

金曜日の東京市場のドル円相場は112円10銭で始まり底固い値動き。日経平均は22,400円割れで寄り付きも下げ止まり、22,500円近辺でもみ合いそのまま引け。米長期金利はアジア時間に小幅上昇した。

発表された中国の貿易収支(9月)は輸出が前年同月比+14.5%と予想を大きく上回る伸びを示し、中国経済に対する懸念を抑制した。

海外市場に入るとユーロが下落。ドラギ総裁は、ただでさえイギリスのEU離脱はユーロ圏全体の金融安定にリスクであり、まして交渉決裂での離脱は大きな下振れリスクとなる、と述べた。

来週のEUサミットを前に不安感が広がりユーロは反落。ユーロドル相場は1.16から1.1550へ、ユーロ円相場は130円50銭近辺に上昇していたが129円50銭近辺に下落。ドル円相場もつれて112円割れに。

ただこの日は米国株が反発。終盤にかけて上昇して引け。ドル円相場は112円20銭近辺に持ち直して週末NYの取引を終えた。ユーロは引け味の悪いまま。

米長期金利10年債利回りは3.15%を中心に上下して引けは3.16%。ムニューシン米財務長官は中国人民銀行と対話し、中国が一段の人民元下落が同国の利益にならないことを明言した、と述べた。

◆今週の3つの注目ポイント


1.FOMC議事録

今週水曜日にFOMC議事録(9月25日・26日開催分)が公表される。この会合では0.25%の利上げが実施され、また委員による景気・物価・金利予測が公表された。

パウエル議長は米国経済に対して極めて強気の見方を示し、また利上げに慎重なメンバーも12月の利上げを認めることとなった。

長期金利上昇のきっかけはFRBの当局者の強気の見方が影響しているとされるが、あらためて長期金利上昇基調を強めるか。あるいは漸進的かつ慎重な利上げスタンスが確認されて長期金利の急騰を抑えるか。

2.米国の経済指標

ファンダメンタルズの強さがあらためて確認され、株価底打ちを確実にすることができるか。

月曜日 小売売上高(9月、前月比、予想+0.7%、前月+0.1%)、NY連銀製造業景気指数(10月、予想20.5、前月19.0)

火曜日 鉱工業生産(9月、前月比、予想+0.3%、前月+0.4%)、設備稼働率(予想78.2%、前月78.1%)

水曜日 住宅着工(9月、季節調整済み年率換算、予想1,218千戸、前月1,282千戸)

木曜日 景気先行指数(9月)、フィラデルフィア連銀景況指数(10月)

金曜日 中古住宅販売(9月)

3.中国の経済指標

株価下落の一員は米中貿易摩擦、中国経済に対する不安感もあったとみられる。中国の主要経済指標が安心感をもたらすか、あらためて不安感を強めることになるか。

火曜日 消費者物価指数(9月、前年同月比、予想+2.5%、前月+2.3%)、生産者物価指数(同、予想+3.5%、前月+4.1%)

金曜日 GDP(7-9月期、前年同期比、予想+6.6%、前期+6.7%)、小売売上高(9月、年初来累計・前年同月比、予想+9.3%、前月+9.3%)、工業生産(同、予想+6.4%、前月+6.5%)、都市部固定資産投資(同、予想+5.4%、前月+5.3%)

◆今週のMRA's Eye


世界株安・リスク回避は一服か ~ただし中国・欧州に留意

先週、米国株が急落し株安はグローバルに広がった。週末には株価は下げ止まりの気配をみせているが、結局のところ今回の株価急落の要因は何だったのか、特定することは難しい。

米中貿易摩擦への懸念、中国経済に対する先行き懸念、米国の企業業績への懸念、欧州でのイタリア財政問題やイギリス離脱問題、など市場が漠たる不安感が広がっていた。

そうした状況で、長期金利の想定外の上昇が、とくに一本調子の上昇を続けやや割高ともみられていた米国株に対する恐怖心、高所恐怖症を顕在化させた可能性がある。

長期金利の上昇幅はそれほど大きくなかったが、5月中旬の3.11%を超えたことで、あたかも、らくだの背中を折った1本の藁、の例え話のように、大きな動きを生じるきっかけとなったのではないか。

またヘッジファンドが11月末に決算を迎えることから、その影響もあったかもしれない。ファンド解約には決算期末の45日前に解約を申し出る必要があり、10月半ばはタイムリミットとなる。

ただファンダメンタルズは不変。足元の米国景気は好調を維持している。長期金利が上昇したことも、景気物価に対して極めて強気なFRBの見方、パウエル議長の強気発言がきっかけになった部分もあろう。

FOMCのメンバーの予測によれば、インフレ率は今後も安定して推移し、利上げは次第にペースダウンする見通しとなっている。長期金利が大きく上昇するタイミングではないとの見方が多かっただけに、市場に狼狽をもたらしたのかもしれない。

あえていえば、快走を続ける米国経済および世界経済は、さすがに今後減速する見通しという点が株価に強気になれない材料か。

金融政策は緩和的な状態から徐々に正常化に向かっており、金融政策の企業業績への支援は次第に後退する。米国株の上値が次第に重くなってもおかしくない。

日本株は割高ではなく、米国株の急落に連れ安となる理由は本来ない。一時的に米国株安やリスク回避によるドル安円高に押されても、割安感から底固いだろう。

ただ金利上昇は大きくなく、米国経済もソフトランディングとのシナリオにたてば、本格的な下落局面入りとなる条件は現時点では整っていない。足元で企業業績の伸びは続いている。

株価下落はバリュエーション調整、ポジション調整によって下落するのは致し方ないところだが、一時的な動きにとどまるだろう。すでに調整が始まり1週間が経過していることから週末の下げ止まりが、目先、底固めとなる可能性がある。

当面は米国で9月期の決算発表シーズン入りとなり、日本でも半期決算の発表となる。これらが企業業績に対する不安を払拭し、株価の底固め、反発のきっかけとなるか。米国の小売売上高や鉱工業生産、景況感指数などが、安心感をもたらすか。

これらは株価を下押しする材料とはなりにくく、反発の機会をどれだけ提供できるか、という材料だ。

一方、米国の長期金利は株価下落・リスク回避によって上昇に歯止めがかかっているが、その安定傾向が続くかどうか。再び上昇基調を強めて株価抑制要因とならないか。

米国外に目を転じれば、中国の経済指標や中国株・人民元の動向も、リスク回避に歯止めをかけるか、不安感を拡大するか、留意を要する。

先週発表された中国の貿易収支では輸出は予想外に堅調で一定の安心感をもたらした。金曜日のGDPや小売売上高、工業生産、固定資産投資が、中国経済の安定を示せば、市場のリスク回避にさらに歯止めがかかるだろう。

一方で、欧州発リスク回避には引き続き留意が必要だ。来週はEUサミットが開催される。財政政策を巡るイタリアとEUの対立や、EU離脱条件を巡るイギリスとEUの対立が意識されるようだと、市場のテーマが欧州発リスク回避に移行する可能性がある。先週末にはそうした動きが垣間見られたことから、今週は要注意だ。

為替市場においては、ドル円相場は株式市場が次第に落ち着きを取り戻すにつれて112円近辺での攻防、底固めとなるのではないか。

ただシカゴ通貨先物のポジションが10月9日時点の最新の数字ではなお円売りが大きく積み上がっていることから、その後に買戻しが進んだとみられるものの、ポジション調整による円買戻し余力を残している可能性もあり留意を要する。

一方、ユーロのポジションは中立から売り越しに向かう動きがみられる。新たなテーマとして欧州発リスク回避がユーロ売り円買いをもたらした場合、ドルも堅調となるものの、ドル円相場の上値を抑える要因となりうる。

ただその場合でも111円での攻防ではなく、112円を巡る攻防、というレベルではないか。ドル円相場は引き続き底固いものの年末のレベルは114円台を回復できるか微妙となってきた。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :112.21(+0.05)
ユーロ :129.69(▲0.35)
英ポンド :147.599(▲0.79)
豪ドル :79.812(▲0.09)
カナダドル :86.145(+0.07)
スイスフラン :113.007(▲0.35)
ブラジルレアル :29.6769(+0.01)
中国人民元 :16.195(▲0.09)
韓国ウォン(日本円=100) :9.918(+0.04)

【対ドルレート】
ユーロ :1.156(▲0.003)
英ポンド :1.3153(▲0.008)
豪ドル :0.7114(▲0.001)
カナダドル :1.3024(▲0.001)
スイスフラン :0.9929(+0.004)
ブラジルレアル :休場( - )
中国人民元 :6.922(+0.032)
韓国ウォン :1131.27(▲13.04)

【主要国政策金利】
米国 :2.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :3.16(+0.01)
米2年債 :2.85(+0.00)
日本10年債利回り :0.15(+0.00)
日本2年債利回り :0.15(+0.00)
独10年債利回り :0.50(▲0.02)
独2年債利回り :▲0.56(▲0.02)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :25,339.99(+287.16)
NASDAQ  :7,496.89(+167.83)
S&P500 :2,767.03(+38.66)
日経平均株価 :22,694.66(+103.80)
ドイツ DAX :11,523.81(▲15.54)
インド センセックス :34,733.58(+732.43)
中国上海総合 :2,606.91(+23.46)
ブラジル ボベスパ :休場( - )
英国FT250 :18,973.45(+145.70)
ビットコイン :6212.32(+7.99)

【主要商品価格】
WTI :71.56(+0.59)
Brent :80.59(+0.33)
米ガソリン :194.58(+1.31)
米灯油 :232.76(▲0.46)

金 :1217.84(▲6.25)
銀 :14.60(+0.01)
プラチナ :838.18(▲2.76)
パラジウム :1067.59(▲12.23)
銅 :6304.00(+164:21B)
アルミニウム :2048.00(+20:3C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セト
ル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :867.50(+9.25)
シカゴ とうもろこし :373.75(+4.50)
シカゴ小麦 :517.25(+9.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。

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