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米統計減速と米中対立懸念で総じて軟調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年8月5日 第1585号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米統計減速と米中対立懸念で総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて軟調な推移となった。米ISM製造業指数が弱めの内容だった中、週末発表された米雇用統計が弱めの内容だったこと、これに加えて米中の対立が激化する、との見方が強まったことが材料となった。

一方、非景気循環・非インフレ資産である農産品は総じて堅調。景気の減速懸念を受けてカナダ生産者の減産が示された、木材なども上昇した。

商品市場に大きな影響が出るとは考えにくいが、日米韓の3者外相会談が行われたが、特段の進捗はなかった。

【本日の価格見通し総括】

引き続き各国の政治動向が市場に影響を与える、神経質な展開が予想される。基本は景気が下り坂にある中で、イベントの内容によってはダウンサイドのリスクの方が大きい。

予定されているイベントでは、米ISM非製造業指数(市場予想55.5、前月55.1)に注目しているが、すでに金融緩和が確定的とみられる中でよほど良い内容でない限り、利下げ観測が後退することはないだろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

週末発表された米雇用統計は、雇用者数の増加という観点では強い内容ではなかった。前月の雇用者数が+19.4万人と速報から▲3.1万人と下方修正されたうえ、雇用者数の増加は+16.4万人と、好況を意味する+20万人を大きく下回った。

週平均労働時間も34.3時間(前週34.4時間)と残業時間が減る一方、平均賃金は+3.2%(+3.1%)と加速している。賃金上昇率のペースが緩慢であることから、FRBによる利下げ観測がさらに強まる可能性がある。

ある意味想定の範囲内の統計だったが、米国が中国に対する制裁強化を決定した直後の雇用統計だっただけに、景気の先行きを必要以上に強く意識させる内容だったといえる。

週末、もう1つ気になったニュースは日本と韓国の対立を仲裁するため米国と3者会談が行われたがほとんど両者が歩み寄ることがなく、物別れに終わったことだ。

文在寅政権になってから日本に対する感情的な政策色が非常に強まっており、日本との軍事同盟も破棄する勢いである。民族至上主義者でもあるため、北朝鮮に対しては考えられ得る最大限の配慮をしているが日本には全くその気配がみられない。

今回の文在寅政権の対応は

1.そもそも強硬な態度を取っていればいずれ日本が折れる(過去の経験則)2.来年の選挙を有利に運びたい3.経済状態が最悪であり、国民の不満が高まっており、その不満を日本に向けている(対外に不満の矛先を向かせる手法は、各国で普通にみられる政策手法)4.文在寅政権が一連の問題に関して非を認めた場合、国民の強い反発が予想される5.日本の韓国に対する「経済的必要度」の低下(直近1年の日本向の輸入シェアは5.1%。ただし、日本からの輸入シェアは9.7%と依然低くはない)

を総合的に勘案したものである。

しかし、北朝鮮をけん制する、という目的で日米韓の同盟が組まれている以上、日韓が軍事同盟を破棄した場合、半島主義者である文在寅大統領が一気に北朝鮮との統一を選択する可能性は、確度の低い可能性がゼロではないシナリオである。

そうなった場合の日本が置かれる地政学的なリスクは大きい。竹島や尖閣諸島周辺などの緊張が増すことは必須だ。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%(▲0.1%)に戻る楽観見通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向きとしている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。世界経済の悪化懸念を材料にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が再開されたが目立った進捗はない。仮に進捗があったとしても、通商協議の根本解決には複数年単位の時間が必要で、その間世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。ジョンソン首相は「何が何でも10月末に離脱」としており、首相就任後の発言もハードブレグジットを前提としており、その可能性はさらに高まった(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場は買戻しで水準を切り上げた後、高値圏でもみ合った。前日の急落の反動による買戻しで上昇後、米中対立の激化や米経済統計の鈍化を受けて実需面は弱気に作用したものの、これらの影響を緩和するためにFRBが利下げを行うのでは、との期待が高まったことでもみ合った。

【原油価格見通し】

原油価格は、総じて軟調に推移すると考える。米ISM製造業指数の鈍化が米国の景況感の減速を示唆しているほか、トランプ大統領の対中制裁強化が市場参加者のリスクテイク意欲を削ぐため。チャート的にもまだ下値を試してもおかしくない状況。

ただしFRBが金融緩和モードに舵を切っていることから、下値余地も限定されると考える。

世界の景気が下りのエスカレーターに乗っていることに変わりはなく、今後は結果的に金融政策の価格への影響が大きくなり、価格への影響が無視できなくなると予想。

イラン問題の終息は、イラン・米国とも自身から歩み寄って解決するとは考えにくく、第三者の仲介が必要と考えられる。恐らく欧州の仲介によって来年の米大統領選挙開始前までに問題が終息する、というのが「希望的観測を含めた」メインシナリオである。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。米国の対中制裁強化の影響で最大消費国である中国の景気減速の懸念が強まったことが背景。

石炭輸入(+鉄鉱石)の増加で上昇していたバルチック海運指数は下落を始めている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は下落基調を維持すると考える。ピークシーズンであり、需要がもう少し盛り上がってもおかしくないが、最大消費国である中国の6大電力会社の石炭在庫も高水準であり、国内生産も回復、石炭の港湾在庫も増加傾向を強めていることから。

また、エルニーニョの減少で欧州は記録的な猛暑となっているが、天然ガス(+LNG)在庫の水準は高く、天然ガス価格の下落とそれに伴う石炭需要の減少も価格を下押し。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される予定で、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が減少傾向を強めていることは国内需要が季節的に増加していることを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国とイランの関係はこの20年で最悪の状態。両国の国力を減ずる戦争のリスクは依然低いとみるが、現状では開戦の可能性も完全に否定できない状態。

・米朝首脳会談が電撃的に開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングよりもショートの増加が顕著であり、ネットは売り越し幅を拡大している。ハリケーンの影響が過ぎ去り、増産観測が強まったことが背景。

Brentはロング・ショートとも増加したが、ロング増加が上回った。世界的な金融緩和傾向の方がより強く評価された形。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが540,238枚(前週比 +2,298枚)、ショートが152,947枚(+12,858枚)、ネットロングは387,291枚(▲10,560枚)、Brentが344,378枚(前週比+21,603枚)、ショートが68,038枚(+1,582枚)、ネットロングは276,340枚(+20,021枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は総じて軟調な推移となった。米中対立の激化に伴う景気への懸念や、米統計が市場予想よりもやや弱い内容だったことが売り材料視された。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は下落余地を探る動きになると考える。米国の対中制裁第4弾発動を受けて、最大消費国である中国の景況感がさらに悪化するとの懸念が強まっていることから。また、英ハードブレグジット懸念も価格を下押ししよう。

また、中国製造業PMIの改善は大企業に限られており、中堅・中小企業の景況感はまだ回復しておらず、世界の景気が(主に循環的に)下りのエスカレーターに乗る中で需要見通しが減速、中期的にも価格は下値余地を探りやすい。

ただし中国製造業PMIは総合数値はさえないものの、新規受注/在庫レシオが小幅に上昇しており、中国国内の需給タイト化が意識されていること、中国政府による経済対策の効果や、米国の利下げ観測を受けて下値余地も限定されると考える。

再び持続的な上昇に転じるのは、中国の公共投資が顕在化する年後半か、インド需要が顕在化すると期待される2020年の春以降と見る。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは回復したものの閾値の50を下回り、中堅・中小企業の景況感は悪化している。ただし新規受注の増加と在庫の小幅な減少で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオが小幅に上昇しており、非鉄金属価格の上昇要因に。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石輸出再開の可能性(2022年に実際に行われれば上昇要因に)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・7月26日付のLMEポジションは、まちまちとなった。ショートの買戻しは銅と鉛が続いているが、それ以外は一巡した感がありショートが再び積み上がっている。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲43.1億ドル(前週▲51.5億ドル)と売り越し幅を縮小。売り越し額の減少率は16.2%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,089千トン(前週▲1,191千トン)と売り越し幅を縮小。亜鉛と鉛、錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの減少率は8.6%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは大幅続落、原料炭スワップ先物は横ばい、中国鉄鋼製品市場は大幅に下落した。

米国の中国に対する制裁強化方針を受けて先行きの景気懸念が強まっていることが背景。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米国の中国に対する制裁強化報道を受けて下値余地を探る動きになると考える。また、一時急上昇していたバルチック海運指数も低下、生産調整などの影響で減少した在庫の再積み増しにめどが立ったためと考えられ、今後、中国国内在庫が積み上がるとの見方が強まったことも、価格を下押ししている。

しかし、中国政府の経済対策の効果が顕在化しつつあることや、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産見通しといった供給面が引き続き意識されているため、下落余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは47.9(前月48.2)と悪化した。主に新規受注(国内向け)が減速したことによるもの。またバルチック海運指数の押し上げに寄与していた原材料在庫も水準が切り上がり、完成品在庫も増加基調にある。

ヴァーレの供給減少は継続しているが、需要面で鉄鋼製品・鉄鉱原料の需給が緩和する可能性が出てきた。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+44.6万トンの1,344.3万トン(過去5年平均1,025.4万トン)と例年を大きく上回っている。

中国の鉄鉱石港湾在庫は前週比180万トンの1億2,105万トン(過去5年平均1億1,897.6万トン)、在庫日数は+0.4日の25.1日(過去5年平均 30.1日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

絶対水準の増加は続いているが、まだ在庫日数ベースでは例年を大きく下回っている。ファンダメンタルズ面で鉄鉱石価格を下支えしよう。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格は小幅に下落した。中東情勢不安や米中対立の激化、米統計の減速を受けた実質金利の低下など、買い材料が目白押しだったが、1,450ドルラインがテクニカルな上値として意識された。

銀は金価格が高値圏で推移しているものの、再び金銀在庫レシオが増加に転じ、金銀レシオの上昇が肯定される環境になったこともあり、下げ幅を拡大した。

PGMは株価の急落を受けて下落した。米自動車販売が減速したことでそもそも需要面が弱いうえ、米中対立激化を受けた株価の下落が価格を下押しした。

【貴金属価格見通し】

金価格は再び上昇余地を探る動きになると考える。米中対立の激化を受けたリスク回避の動きに加え、世界的に製造業PMIが減速しており景気への懸念が強まっていることから。

イランと米国の対立が継続していることはもちろんのこと、イタリアの財政問題、ジョンソン首相誕生でハードブレグジットがほぼ規定路線となりつつあること、それを受けて再びスコットランドの独立話が持ち上がっていることなど、欧州不安が払しょくされていないことなどがあげられる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の高止まりが金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

銀が通貨としての価値を有していたころの、過去の水準に金銀レシオが戻ることは難しいと考える。

PGM価格は金銀価格が高値圏でもみ合うものの、足元は米中対立の激化や、世界的な自動車販売の減速を受けて水準を切下げる動きになると考える。ただし、パラジウムの供給懸念は根強く、下値余地も限られると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっているが、FRBは7月のFOMCで▲25bpの利下げを実施。今後は9月の会合での利下げ有無。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、米国は中国に対して追加制裁を発動、目先の買い材料となっている。また、この交渉は中国の知的財産権侵害や技術の強制移転などの解決が最終目標であり、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの緊張はイランによるスパイ処刑やミサイル発射実験など、再び高まっている。開戦の可能性がなくなったわけではなく、対立が継続する以上は安全資産需要を高める。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・英国のEU離脱がハードになる可能性があること、それに伴いスコットランドの独立話が再燃していること、それがスペインのカタルーニャ地方に波及する懸念があることは安全資産需要を高める。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少した。利下げ観測の強まりや、地政学的リスクの高まりが背景。

・プラチナはショートの減少が顕著。米金融緩和方針に伴う投機の買戻しが背景。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが312,214枚(前週比 +333枚)、ショートが57,826枚(▲2,805枚)、ネットロングは254,388枚(+3,138枚)、銀が111,282枚(+1,153枚)、ショートが46,985枚(▲8,383枚)、ネットロングは64,297枚(+9,536枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが46,584枚(前週比 ▲1,095枚)、ショートが20,816枚(▲5,973枚)、ネットロングは25,768枚(+4,878枚)、パラジウムが17,859枚(+370枚)、ショートが5,013枚(▲5枚)、ネットロングは12,846枚(+375枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は総じて堅調な推移となった。ドル安が進行したことや、米統計の減速、米中対立の激化などを材料に景気循環銘柄が売られ、非景気循環銘柄が物色される流れ。週末を控えたポジション調整ともいえる。

【穀物価格見通し】

穀物価格は米国と中国の対立が再び意識され、米国の輸出減少観測の強まりから軟調な推移になると考える。

しかし、基本的には北米の作況が不良であること(トウモロコシ、大豆とも、生育状況に遅れ、作況も過去5年の最低水準をはるかに下回る)や、欧州の気温上昇による不作への懸念、世界景気の先行き懸念から、非景気循環銘柄の需要が増加すると予想されることから下値も堅いと考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・7月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ138億7,500万Bu(前月136億8,000万Bu)大豆 38億4,500万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億2,100万Bu(19億300万Bu)

・7月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ20億100万Bu(前月16億7,500万Bu)大豆 7億9,500万Bu(10億4,500万Bu)小麦 10億Bu(10億7,200万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉は交渉再開で合意したが、覇権争いであり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロングが減少、ショートは増加で供給懸念は後退。大豆は米中貿易交渉の難航懸念で一転ロングが減少、ショートが増加。

小麦はトウモロコシが軟調な中、ロングを切下げ、ショートも他穀物と同様増加した。総じて供給懸念は以前よりも後退している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが433,096枚(前週比 ▲22,939枚)、ショートが191,437枚(+22,438枚)、ネットロングは241,659枚(▲45,377枚)、大豆はロングが137,762枚(▲6,970枚)、ショートが149,045枚(+8,433枚)、ネットロングは▲11,283枚(▲15,403枚)、小麦はロングが121,491枚(+3,449枚)、ショートが91,633枚(▲7,125枚)、ネットロングは29,858枚(+10,574枚)

◆本日のMRA's Eye


「小豆価格の高騰」

国内の小豆価格が上昇しており、過去15年ぶりの高値となっている(足元はやや調整)。価格上昇の背景は2018年の悪天候の影響で在庫が減少し、品薄感が強まっているためだ。

国産小豆の最大生産地区は北海道であり、2018年度の全国の作付け面積が23,700ヘクタールであるのに対して、北海道の作付け面積は19,100ヘクタールと全体の80.6%を占める。生産量に至っては全国生産が42,100トンであるのに対して39,200トンと全体の93.1%に上り、国内生産の大半は北海道の生産状況にほぼ左右されるといってよい。

不足分は海外から輸入するが、同年の輸入量は21,357トンであり、国内自給率(数量ベース)は66.3%と高い。

今年もエルニーニョ現象の影響で供給に影響が出る可能性は高く、当面小豆価格は高止まりするだろう。しかし海外産小豆の輸入増加により、徐々に国内需給は緩和するとすることが予想される。

この間、小豆価格の上昇リスクを回避するために、東京商品取引所での小豆取引が増加していると直感的には思うところであるが、実際にはほとんど取引が成立していない。

そもそも先物取引所での取引が減少傾向にあることが大きいが、少し前にパラジウムなどで見られていたように、「供給する現物がない場合」取引自体が成立しないことも要因として無視できない。

小豆も直近複数年で見てみた場合、取引量が増加しているのはむしろ価格変動が大きくない時であり、「万一の場合の価格リスクマネジメントの場」としては適切に機能できていないことを示唆している。

弊社は商品取引所の売買が成立するための重要な要件として、生産者と消費者が取引所の周辺に存在すること、あるいは生産したものの大半が輸出に回される、あるいは輸入したものの多くが輸出に回される体制が整っていることを挙げている。

簡単に言えば取引の流動性があり、現物の売り買いの値付けが常にできる状況にある必要があるということだ。その意味では日本においてはコメや小豆などはそれに該当する数少ない国産商品といえる。しかし現実はそのようになっていない。

一般に、先物取引所の取引量が増加しない要因としては、

1.そもそも先物取引所で値決めを行う必要がない(最終価格が安定している、何らかの価格統制が行われている)

2.先物取引所に上場されている価格と実際に購入している価格が一致しない(先物取引所の価格を参考に実際の取引価格が決定されるというケースも、結局その価格が100%一致するわけではなく、会計上の理由で利用が手控えられることもあるため、ここに分類される)

3.価格が変動するとして価格変動リスク回避のための手段を講じる体制が整っていない、といったことが考えられる。

小豆のケースは2.と3.の両要因と考えられるが、より影響が大きいのが3.だろう。結局、価格が変動した時に生産者・消費者ともどれぐらいの不利益が生じるか(価格リスクの測定)、それをどの程度値決めしておけばどの程度金銭的なリスクを回避できるか、といったシミュレーションを事前に行っていれば先物取引を活用する、という選択肢も取れたはずである。

ただ、一般農家や小規模な消費者が、通常業務をこなしながらそのシミュレーションや体制作りをすることは正直困難であるため、金融機関やコンサルティング会社などの外部アドバイザーのサポートを得ながら現状把握と体制づくりを進めていくことが推奨される。

取引の流動性が増していれば、今回のようなケースでも金銭面でのリスク(特に今回の場合は消費者側のリスク)は軽減できた可能性は低くないのではないか。

◆主要ニュース


・7月日本マネタリーベース 前年比+3.7%の518.1兆円(前月+4.0%の523.2兆円)

・6月ユーロ圏小売売上高 前月比+1.1%(前月▲0.6%)、前年比+2.6%(+1.3%)

・7月米雇用統計 非農業部門雇用者数 前月比+164千人
(前月改定193千人(速報比▲31千人))
 民間部門雇用者数 +148千人(+179千人)
 製造業雇用者数 +16千人(+12千人)

・7月米失業率 3.7%(前月 3.7%)、不完全雇用率 7.0%(7.2%)、労働参加率 63.0%(62.9%)
 時間当たり平均賃金 前月比+0.3%(+0.3%)、前年比+3.2%(+3.1%)
 週平均労働時間 34.3時間(34.4時間)

・6月米製造業耐久財受注改定 前月比+1.9%(速報比▲0.1%、前月改定▲2.3%)
 除く輸送機器+1.0%(▲0.2%、+0.5%)
 製造業新規受注資本財非国防除く航空+1.5%(▲0.4%、+0.3%)

・7月米ミシガン大学消費者マインド指数改定 98.4(速報比変わらず、前月98.2)
 現況指数 110.7(▲0.4、110.9)
 先行指数 90.5(+0.4、89.3)
 1年期待インフレ率 2.6%(±0.0%、2.7%)
 5年期待インフレ率 2.5%(▲0.1%、2.3%)

・日本政府、韓国向け輸出慣例の厳格化を閣議決定。韓国は猛反発。

・中国外務省 華春瑩報道官、「米国がこうした関税導入を実行するのであれば、中国は自国の中核的かつ根本的な利益を守るために必要な対抗措置を取らざるを得ない。われわれはいかなる最大限の圧力、威嚇や脅迫も受け入れない。原則的な問題については、われわれは一歩も譲歩しない。米国が錯覚から覚め、相互間の敬意と平等の精神に基づいた交渉の正しい道筋に戻るよう望んでいる。」

中国の王毅外相は、タイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連のイベントの合間に記者団に対して、2国間の対立を解決する上で、追加関税は「正しい方法ではない」との見方を示した。

・北朝鮮、ミサイル発射。9日間で3回発射。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数770(前週比▲6)、 ガスリグ 171(前週比+2)。

・Q219Chevron
 石油換算総生産量308万4,000バレル(前年282万6,000バレル)
 液体石油生産 186万3,000バレル(172万3,000バレル)
  米国 71万バレル(57万5,000バレル)
 天然ガス生産 7,327MCFD(6,616MCFD)
  米国 1,130MCFD(980MCFD)

 CAPEX 52億8,800万ドル(48億1,600万ドル)
 ※いずれも日量

・Q219ExxonMobil
 石油換算総生産量390万9,000バレル(前期398万1,000バレル、前年364万7,000バレル)

 液体石油生産 238万9,000バレル(221万2,000バレル、232万7,000バレル)
  米国 66万2,000バレル(60万バレル、54万3,000バレル)

 天然ガス生産 9,120MCF(9,924MCFD、8,613MCFD)
  米国 2,803MCFD(2,712MCFD、2,591MCFD)

 CAPEX 80億7,900万ドル(68億9,000万ドル、66億2,700万ドル)、上流部門投資 62億5,000万ドル(53億3,000万ドル、76億1,500万ドル) 

※いずれも日量。

・Q219Shell
 石油換算総生産量358万3,000バレル(前期375万2,000バレル、前年344万2,000バレル)
 液体石油生産159万バレル(137万バレル、223万バレル)
 天然ガス生産 4,456MCFD(4,143MCFD、4,243MCFD)

 CAPEX 86億9,200万ドル(76億2,560万ドル、89億6,580万ドル)
 ※いずれも日量

【メタル】
・MS、「鉄鉱石は需要の減少で90ドル程度まで下落の見込み。ブラジル産の鉄鉱石は中国に向かっているが7週間程度かかるためまだ到着していない。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.NYM WTI ( エネルギー )/ +3.17%/ +22.57%
2.CBT小麦 ( 穀物 )/ +3.15%/ ▲2.48%
3.DME Oman ( エネルギー )/ +2.64%/ +14.89%
4.ICE Brent ( エネルギー )/ +2.30%/ +15.04%
5.NYM灯油 ( エネルギー )/ +2.01%/ +12.46%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲7.44%/ +11.34%
69.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲5.24%/ +0.94%
68.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ ▲5.21%/ +50.56%
67.NYB綿花 ( その他農産品 )/ ▲4.69%/ ▲18.37%
66.TCM灯油 ( エネルギー )/ ▲4.13%/ +4.71%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,485.01(▲98.41)
S&P500 :2,932.05(▲21.51)
日経平均株価 :21,087.16(▲453.83)
ドル円 :106.59(▲0.75)
ユーロ円 :118.40(▲0.59)
米10年債利回り :1.85(▲0.05)
独10年債利回り :▲0.50(▲0.05)
日10年債利回り :▲0.16(▲0.03)
中国10年債利回り :3.09(▲0.05)
ビットコイン :10,399.38(▲12.59)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.48(+0.17)
エネルギー :33.98(+0.58)
ベースメタル :19.19(+0.27)
貴金属 :20.16(▲1.2)
穀物 :20.77(+0.72)
その他農畜産品 :28.08(+0.11)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :41.46(+1.79)
Brent :37.53(+0.6)
米天然ガス :45.91(+0.6)
米ガソリン :39.16(+0.64)
ICEガスオイル :24.93(+0.56)
LME銅 :15.83(+1.19)
LMEアルミニウム :10.65(▲0.07)
金 :17.41(▲0.52)
プラチナ :17.94(▲2.86)
トウモロコシ :25.23(+1.12)
大豆 :17.41(▲0.52)

【エネルギー】
WTI :55.66(+1.71)
Brent :61.89(+1.39)
Oman :61.48(+1.58)
米ガソリン :178.15(+3.16)
米灯油 :189.02(+3.73)
ICEガスオイル :578.00(▲8.25)
米天然ガス :2.12(▲0.08)
英天然ガス :32.72(▲0.74)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :61.89(+1.39)
SPO380cst :353.25(+6.20)
SPOケロシン :75.50(+0.07)
SPOガスオイル :75.60(+0.29)
ICE ガスオイル :77.58(▲1.11)
NYMEX灯油 :188.33(+1.00)

【貴金属】
金 :1440.83(▲4.35)
銀 :16.20(▲0.13)
プラチナ :844.90(▲9.12)
パラジウム :1409.28(▲21.38)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,793(▲110:24C)
亜鉛 :2,360(▲36:8C)
鉛 :1,962(▲24:11.5C)
アルミニウム :1,778(▲8:28.5C)
ニッケル :14,525(+210:5C)
錫 :17,320(+20:20C)
コバルト :25,662(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5722.00(▲143.00)
亜鉛 :2350.50(▲46.00)
鉛 :1953.00(▲28.50)
アルミニウム :1773.00(▲4.00)
ニッケル :14485.00(+35.00)
錫 :17105.00(▲240.00)
バルチック海運指数 :1,788.00(▲24.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :107.08(▲5.89)
NYMEX鉄鉱石 :106.51(▲5.51)
NYMEX原料炭スワップ先物 :156(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :4,057(▲7)
上海鉄筋中心限月 :3,805(▲73)
米鉄スクラップ :293(±0.0)

【農産物】
大豆 :850.25(+3.25)
シカゴ大豆ミール :292.40(▲0.80)
シカゴ大豆油 :28.19(+0.51)
マレーシア パーム油 :2013.00(▲2.00)
シカゴ とうもろこし :399.50(+6.75)
シカゴ小麦 :490.75(+15.00)
シンガポールゴム :149.60(▲1.80)
上海ゴム :10285.00(▲275.00)
砂糖 :12.02(▲0.10)
アラビカ :98.15(+0.90)
ロブスタ :1312.00(+5.00)
綿花 :58.94(▲2.90)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :76.28(▲0.53)
シカゴ生牛 :107.65(▲0.23)
シカゴ飼育牛 :139.63(▲1.60)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。