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米統計改善とドル高進行で高安まちまち
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年7月31日 第1582号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米統計改善とドル高進行で高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は米統計改善を受けてエネルギー価格が上昇したが、その他はドル高の進行や、米中通商交渉の難航懸念を受けて水準を切下げる商品が目立った。

昨日発表された米経済統計は、正直米国が利下げを行う必要があることを示すものはなかった。特に景況感の判断材料として非常に説明力の高い、コンファレンスボード景況感指数が大幅に改善、米国の景況感が短期的に改善していることを示す内容。

欧州景気が減速し、ハードブレグジットが意識される中でドル指数に上昇圧力がかかっている。

【本日の価格見通し総括】

本日の最大の注目はやはりFOMCだが、市場は▲25bpの利下げをほぼ織り込んだ。今後の焦点は9月の利下げもあるのか、9月末終了としているバランスシートの縮小を、前倒しで終了するのか、といったといった点に焦点が当たる。

ただ、昨日の統計を見るにパウエル議長は慎重な発言に終始すると考えられるため、今回のFOMCを受けて目先の材料出尽くしとなり、インフレ系資産価格には下押し圧力がかかるのではないか。

その他、米中の閣僚級会合が本日上海で開催されるが、米国が中国の華為技術への制裁解除要求を呑むとは考え難く、交渉は難航が予想され、リスク資産価格の下落要因に。

予定されている経済統計ではシカゴ購買部協会指数(市場予想51.0、前月49.7)、雇用統計の前哨戦であるADP雇用統計(+15万人、+10.2万人)に注目しているが、雇用関連、マインド関連統計は改善が予想される。

これに対して中国の製造業PMIは49.6(前月49.4)と前月から改善が見込まれている。足元のバルチック海運指数の上昇で50以上に回復する可能性はあるものの、鉄鉱石や石炭の在庫減少によるテクニカルな上昇の可能性が高く、さほど力強い回復にはならないのではないか。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

現在、FOMC初日、米中通商交渉が事前の食事会で2日目が本番であるため、市場は様子見気分が強まっている。

その中でも各国の首脳、特に米国の大統領と英国の首相は舌が滑らかだ。今年の懸念すべき最大リスクの1つとして弊社が挙げていた、英国のハードブレグジットが現実のものとなりつつある。

就任後の演説では、「もし」でも「でも」もなく、10月31日に必ずEUを離脱する。英国がEUを離脱する際に、北アイルランドを事実上EUに残留させるバックストップ案も受け入れない。

自分はハードブレグジットを望まないが、もしそうなったとすればそれは英国(私)のせいではなく、EUのせいだ。と、威勢がいい。

また、スコットランド行政府のスタージョン首相とも面談をしたが、スタージョン首相は、「ジョンソン首相はハードブレグジットを志向している」とし、高い確率で英国がハードブレグジットを選択する見込みである。

そうなった場合、行政や国の決定は英国に戻ることになるのだろうが、短期的に見ても市場が混乱する可能性は高いだろう。市場が混乱すれば金融緩和やその他の措置が取られ、数ヵ月後に落ち着くのだろうが、少なくとも英国がEUを離脱することによる景気減速、それに伴うポンド・ユーロの対ドル安(ドル高)がさらに景気循環銘柄を下押しすることになるだろう。

10月31日に何が何でも、といっているのでそれが起きるとすれば11月初旬。企業が来年度の予算策定を始めるタイミングと重なる。2020年の予算策定は非常に難しいものになると予想される。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%に戻る楽観見通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向きとしている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。米中協議の不透明感を背景にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が再開で決定したが、通商協議そのものが合意をしたわけではなく、制裁は継続しており世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、強硬離脱派のジョンソン首相誕生で、その可能性はさらに高まった(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場は上昇した。米国時間に発表された経済統計が改善傾向を示したことに加え、トランプ大統領が大幅な利下げを再び要求したことで実質金利が低下したことが価格を押し上げた。

【原油価格見通し】

原油価格は堅調な推移になると考える。世界最大の消費国である米国の景気に目立った減速の傾向がみられない中、さらに予防的に利下げが行われる見通しであることで、実需面・金融面で価格が押し上げられるため。

ただし、欧州や中国は景況感の悪化が続いているため、BrentやDubaiは頭重い推移となり、Brent/WTIスプレッドには縮小圧力がかかるとみている。

ただし、世界の景気が下りのエスカレーターに乗っていることに変わりはなく、今後は結果的に金融政策の価格への影響が大きくなり、価格への影響が無視できなくなると予想。

イラン問題の終息は、イラン・米国とも自身から歩み寄って解決するとは考えにくく、第三者の仲介が必要と考えられる。恐らく欧州の仲介によって来年の米大統領選挙開始前までに問題が終息する、というのが「希望的観測を含めた」メインシナリオである。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は大幅に下落した。中国の6月の石炭生産が3億3,335万トンと過去最高まで増加したことを受け、輸入需要が減速するとの見方が強まっていることが背景。

石炭輸入(+鉄鉱石)の増加で上昇していたバルチック海運指数は下落を始めている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は下落基調を維持すると考える。ピークシーズンであり、需要がもう少し盛り上がってもおかしくないが、最大消費国である中国の6大電力会社の石炭在庫も高水準であり、国内生産も回復、石炭の港湾在庫も増加傾向を強めていることから。

また、エルニーニョの減少で欧州は記録的な猛暑となっているが、天然ガス(+LNG)在庫の水準は高く、天然ガス価格の下落とそれに伴う石炭需要の減少も価格を下押し。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される予定で、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が減少傾向を強めていることは国内需要が季節的に増加していることを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国とイランの関係はこの20年で最悪の状態。両国の国力を減ずる戦争のリスクは依然低いとみるが、現状では開戦の可能性も完全に否定できない状態。

・米朝首脳会談が電撃的に開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングが増加。欧米中央銀行の金融緩和姿勢の強化で景気への楽観的な見方が広がっていることが背景。WTIはショートが増加、Brentはイラン情勢の悪化で減少している。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが537,940枚(前週比 ▲7,544枚)、ショートが140,089枚(+18,367枚)、ネットロングは397,851枚(▲25,911枚)、Brentが322,775枚(前週比▲18,445枚)、ショートが66,456枚(+5,656枚)、ネットロングは256,319枚(▲24,101枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は総じて軟調な推移となった。中国の工業セクター利益の減速や、トランプ大統領が中国の通商交渉に対する対応に不満を表明したこと、米統計の改善や英国のハードブレグジットへの懸念が強まっていることがドル指数を押し上げたことが、価格を下押しした。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は一旦下値余地を探る動きになると考える。世界の景気が(主に循環的に)下りのエスカレーターに乗る中で需要見通しが減速していることが価格を下押しする一方、英国のハードブレグジットへの懸念が強まっていることや、過剰な米利下げ観測が後退していることが、ドル高を促すため。

中国政府は金融緩和や財政出動による景気下支えを模索しており、米国も利下げは行う見通しであることから下値余地も限定されると考える。

原油などと同様であるが、今後はより、金融政策動向が価格に与える影響が強まることになるだろう。足元の価格上昇は金融相場入りが意識される中で、投機の買戻しが進んでいるためと考えられる。

再び持続的な上昇に転じるのは、中国の公共投資が顕在化する年後半か、インド需要が顕在化すると期待される2020年の春以降と見る。

なお、ニッケルに関してはインドネシアの未処理鉱石輸出制限再開の可能性が高まっており、その政策動向次第だが実行されるのであれば(2022年以降)16,000ドルを目指す動きになるだろう。

ただし2012年の時と同じで、過剰な供給懸念が後退(まだ規制が始まっていない)したことから下値余地を探る動きになっている。結局は景気動向(需要動向)が価格を左右すると見ている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは低調で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオとも低下、需給環境が緩和していることを示唆。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石輸出再開の可能性(実際に行われれば上昇要因に)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・7月26日付のLMEポジションは、まちまちとなった。ショートの買戻しは銅と鉛が続いているが、それ以外は一巡した感がありショートが再び積み上がっている。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲43.1億ドル(前週▲51.5億ドル)と売り越し幅を縮小。売り越し額の減少率は16.2%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,089千トン(前週▲1,191千トン)と売り越し幅を縮小。亜鉛と鉛、錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの減少率は8.6%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は上昇、原料炭スワップ先物は変わらず、中国鉄鋼製品市場は小幅に下落した。

特段目立った材料がない中、鉄鉱石価格・鉄鋼製品価格とも高い水準を維持している。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の経済対策の効果が顕在化しつつあることや、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産見通しといった供給面が意識されて高止まりすると考える。

ただし、米中通商協議は引き続き難航しており、鉄鋼製品在庫も季節性を無視して増加していることから、結果的に鉄鉱石需要の減速につながり価格面の下振れリスクも存在する状況。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは48.2(前月50.0)と減速。新規受注が国内外とも低迷しており(新規受注 47.9(46.7)、輸出新規受注 40.7(45.9))、生産も49.1(56.0)閾値の50を下回った。

ただし、在庫は完成品が39.3(38.3)、原材料在庫が43.5(45.1)と低水準であることは事実であり、需要顕在化時(中国の公共投資など)に鉄鋼製品価格が急騰する可能性も。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+40.8万トンの1,299.7万トン(過去5年平均1,031.6万トン)と例年を大きく上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比+90万トンの1億1,925万トン(過去5年平均1億1,917.6万トン)、在庫日数は+0.2日の24.7日(過去5年平均 30.1日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格は堅調な推移となった。トランプ大統領が再びFRBに対して大幅な利下げを要求したことや、中国の通商協議を巡る対応に不満を表明したことが買いを誘った。

PGMは金銀価格が堅調に推移したものの、株価が下落したことを受けて水準を切下げた。

【貴金属価格見通し】

金価格は総じて堅調な推移になると考える。世界的な金融緩和観測に加えて、地政学的リスク・信用リスクを背景に安全資産需要が後退していないことから。

米中通商交渉は再開したものの、安全資産需要を促す材料は多い。

イランと米国の対立が継続していることはもちろんのこと、イタリアの財政問題、ジョンソン首相誕生でハードブレグジットがほぼ規定路線となりつつあること、それを受けて再びスコットランドの独立話が持ち上がっていることなど、欧州不安が払しょくされていないことなどがあげられる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

銀が通貨としての側面を持っていた頃の金銀レシオに戻る可能性は低下している。ただし、足元金銀在庫レシオが低下しているため、銀は修正的に上昇する可能性が出てきた。

PGM価格は金銀価格が高値圏でもみ合うことから同様にもみ合うと考える。ただし、供給面の影響で需給がタイトなパラジウムは引き続き堅調な推移になると予想する。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっており、7月のFOMCでの▲25bpの利下げは織り込んだ(金ベースで25ドル程度の上昇要因)。

しかし、逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は一旦追加関税引き上げなどが先送りになったが、基本的に難航している。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの緊張はイランによるスパイ処刑やミサイル発射実験など、再び高まっている。開戦の可能性がなくなったわけではなく、対立が継続する以上は安全資産需要を高める。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・英国のEU離脱がハードになる可能性があること、それに伴いスコットランドの独立話が再燃していること、それがスペインのカタルーニャ地方に波及する懸念があることは安全資産需要を高める。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少した。利下げ観測の強まりが背景。ただし過剰な利下げ期待が後退したことからこれらのポジションの巻き戻しが予想される。

・プラチナのポジションはロングが増加、ショートが減少。パラジウムはロング・ショートとも減少。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが311,881枚(前週比 +2,346枚)、ショートが60,631枚(▲3,403枚)、ネットロングは251,250枚(+5,749枚)、銀が110,129枚(+9,680枚)、ショートが55,368枚(▲7,656枚)、ネットロングは54,761枚(+17,336枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが47,679枚(前週比 +2,306枚)、ショートが26,789枚(▲2,992枚)、ネットロングは20,890枚(+5,298枚)、パラジウムが17,489枚(▲173枚)、ショートが5,018枚(▲209枚)、ネットロングは12,471枚(+36枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は下落した。米統計改善を受けたドル高進行や、トランプ大統領が中国の通商交渉に対する対応に不満を示したこと(約束したはずの農産品を輸入しない、との主張)で、今回も交渉がうまくいかないのでは、との見方が広がったことが材料。

【穀物価格見通し】

穀物価格は当面、天候状況が価格を左右する展開となり、神経質な推移が続くと予想するが、生産地の状況改善期待で下落しやすい地合い。

しかし、基本的には北米の作付け状況が不良であること(トウモロコシ、大豆とも、生育状況に遅れ、作況も過去5年の最低水準をはるかに下回る)や、欧州の気温上昇による不作への懸念、FRBの利下げ期待の高まりがドル安を進行させることから、総じて下値は堅かろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・7月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ138億7,500万Bu(前月136億8,000万Bu)大豆 38億4,500万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億2,100万Bu(19億300万Bu)

・7月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ20億100万Bu(前月16億7,500万Bu)大豆 7億9,500万Bu(10億4,500万Bu)小麦 10億Bu(10億7,200万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉は交渉再開で合意したが、覇権争いであり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロングが減少、ショートは増加で供給懸念は後退。大豆は米中貿易交渉の進捗期待でロングが増加、ショートも増加。

小麦はトウモロコシが軟調な中、ロングを切下げ、ショートも他穀物と同様増加した。総じて供給懸念は以前よりも後退している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが456,035枚(前週比 ▲12,990枚)、ショートが168,999枚(+18,195枚)、ネットロングは287,036枚(▲31,185枚)、大豆はロングが144,732枚(+3,824枚)、ショートが140,612枚(+4,888枚)、ネットロングは4,120枚(▲1,064枚)、小麦はロングが118,042枚(▲2,641枚)、ショートが98,758枚(+6,044枚)、ネットロングは19,284枚(▲8,685枚)

◆主要ニュース


・6月日本失業率 2.3%(前月2.4%)
 有効求人倍率 1.61倍(1.62倍)

・6月日本鉱工業生産速報  前月比▲3.6%(前月改定+2.0%)、前年比▲4.1%(▲2.1%)
 出荷▲3.3%(+1.8%)、▲4.2%(▲1.8%)
 在庫+0.3%(+0.5%)、+2.9%(+1.5%)

・8月独GfK消費者信頼感調査 9.7(前月 9.8)

・7月ユーロ圏鉱工業景況感・消費者信頼感指数 102.7(103.3)
 鉱工業景況感:構成比率40% ▲7.4(▲5.6)
 サービス景況感 10.6(11.0)

・7月独消費者物価指数速報 前月比+0.4%(前月改定+0.4%)、前年比+1.1%(+1.5%)

・6月米個人所得 前月比 +0.4%(前月+0.4%)
 個人支出+0.3%(+0.4%)
 実質支出+0.2%(+0.2%)
 PCEデフレータ 前月比+0.1%(+0.1%)、前年比+1.4%(+1.4%
 コアデフレータ 前月比+0.2%(+0.2%)、前年比+1.6%(+1.5%
 貯蓄率 8.1%(8.0%)

・5月米S&Pコアロジック住宅主要20都市価格指数 前月比+0.14%(前月改定+0.03%)、前年比+2.39%(+2.54%)

・6月米中古住宅販売仮契約 前月比+2.8%(前月+1.1%)

・7月米コンファレンスボード消費者信頼感指数 135.7(前月改定 124.3)
 現況指数 170.9(164.3)
 期待指数 112.2(97.6)
 6ヵ月以内自動車購入 12.3(11.3)、住宅 7.3(6.2)

・日銀当座預金残高の預金金利 ▲0.1%(前回 ▲0.1%)、10年債金利の誘導目標 ±0.0%(±0.0%)

・日銀黒田総裁、「金融緩和に向けて前よりも前向きになった。」

・JPXとTOCOMは来春の経営統合で合意。TOBを実施。1株あたり487円。

・米国と北朝鮮の実務者協議、間もなく再開へ(米当局者)。

・スコットランドスタージョン行政府首相、「ジョンソン首相はハードブレグジットを追求している。」

・米トランプ大統領、「中国は米国の農産品を今すぐ買い始めるはずだったが、予兆がない。中国はいつも自分たちの利益のために最
後に取引を変えてくる。中国は非常にひどいことをしている。中国は2020年の大統領選挙をにらんでいるようだが、私が勝ったら、彼らが手に入れるディールは現在交渉中のものよりもはるかに厳しいものになるか、もしくは何のディールもないかだろう。」

・米トランプ大統領、「大きな利下げを望んでいる。」

・北朝鮮、飛翔体を複数発射。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・イラン、米制裁の影響を緩和する目的で仮想通貨を正式に承認。

・ロシアとイラン、共同軍事演習を実施へ。

・イラク、バスラに新しい海軍基地設立へ。

・Q219BP
 石油換算総生産量262万5,000バレル(前期265万6,000バレル、前年246万5,000バレル)
 液体石油生産 130万1,000バレル(129万9,000バレル、121万7,000バレル)
 天然ガス生産 7,680MCFD(7,872MCFD、7,242MCFD)
 ※いずれも日量。
 CAPEX 36億8,600万ドル(56億3,500万ドル、38億2,500万ドル)

・API石油統計
 原油在庫▲6.02MB
 クッシング▲1.449MB
 ガソリン▲3.135MB
 ディスティレート▲0.89MB

・DOE米在庫統計市場予想
 原油▲2,739KB(前週▲10,835KB)
 ガソリン▲1,481KB(▲226KB)
 ディスティレート+770B(+613KB)
 稼働率+0.74%(▲1.30%)

【メタル】
・中国ベースメタル貿易統計(6月)、単位:千トン、錫:トン

 精錬銅輸入 249.1(前月比 UC, 前年比 ▲61.1)
 銅精鉱 1,470.0(前月比 ▲373.0, 前年比 ▲286.5)
 銅スクラップ 174.8(前月比 +0.6, 前年比 ▲29.6)
 精錬銅輸出 30.2(前月比 UC, 前年比 +8.1)

 精錬亜鉛輸入 66.3(前月比 ▲19.1, 前年比 +21.3)
 精錬亜鉛輸出 8.7(前月比 +7.7, 前年比 +5.7)

 精錬鉛輸入 20.1(前月比 +5.4, 前年比 +2.4)
 精錬鉛輸出 0.2(前月比 +0.1, 前年比 ▲1.8)

 ニッケル輸入 19.2(前月比 +0.1, 前年比 +1.5)
 ニッケル輸出 1.8(前月比 +1.3, 前年比 +1.0)

 錫輸入 259.0(前月比 +93.0, 前年比 ▲17.0)
 錫輸出 385.0(前月比 ▲84.0, 前年比 ▲185.0)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME木材 ( その他農産品 )/ +4.05%/ +5.08%
2.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ +3.61%/ +9.46%
3.NYM WTI ( エネルギー )/ +2.34%/ +28.17%
4.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +2.22%/ +17.43%
5.NYM灯油 ( エネルギー )/ +2.09%/ +16.05%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ニューキャッスル炭 ( エネルギー )/ ▲2.72%/ ▲31.75%
69.LME鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲2.72%/ ▲0.50%
68.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲2.52%/ +34.97%
67.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲2.50%/ +20.09%
66.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲1.83%/ +12.70%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :27,198.02(▲23.33)
S&P500 :3,013.18(▲7.79)
日経平均株価 :21,709.31(+92.51)
ドル円 :108.61(▲0.17)
ユーロ円 :121.15(▲0.08)
米10年債利回り :2.06(▲0.01)
独10年債利回り :▲0.40(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.15(▲0.01)
中国10年債利回り :3.17(▲0.00)
ビットコイン :9,572.61(+56.00)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :24.68(▲0.98)
エネルギー :29.47(▲0.22)
ベースメタル :19.41(▲1.34)
貴金属 :18.04(▲0.14)
穀物 :20.74(▲0.57)
その他農畜産品 :28.46(▲1.57)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :32.76(+0.94)
Brent :26.77(▲3.39)
米天然ガス :42.67(+0.76)
米ガソリン :28.78(+0.82)
ICEガスオイル :22.83(▲0.24)
LME銅 :14.53(▲0.97)
LMEアルミニウム :10.44(▲0.96)
金 :16.50(▲0.72)
プラチナ :20.33(+0.49)
トウモロコシ :27.98(▲0.46)
大豆 :16.50(▲0.72)

【エネルギー】
WTI :58.20(+1.33)
Brent :64.90(+1.19)
Oman :64.50(+0.30)
米ガソリン :189.70(+3.36)
米灯油 :195.06(+4.00)
ICEガスオイル :599.75(+13.00)
米天然ガス :2.14(▲0.00)
英天然ガス :27.93(+0.48)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :64.90(+1.19)
SPO380cst :413.50(+10.03)
SPOケロシン :79.95(+1.55)
SPOガスオイル :79.66(+1.38)
ICE ガスオイル :80.50(+1.74)
NYMEX灯油 :195.99(+1.66)

【貴金属】
金 :1430.79(+3.99)
銀 :16.57(+0.11)
プラチナ :871.31(▲9.36)
パラジウム :1515.23(▲38.80)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,967(▲6:24C)
亜鉛 :2,459(▲1:15B)
鉛 :2,010(▲25:7C)
アルミニウム :1,807(+8:25C)
ニッケル :14,260(+210:55C)
錫 :17,575(+20:0B)
コバルト :25,670(▲4)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5938.00(▲77.00)
亜鉛 :2443.50(▲16.50)
鉛 :2000.50(▲56.00)
アルミニウム :1803.50(▲11.00)
ニッケル :14305.00(▲45.00)
錫 :17480.00(▲110.00)
バルチック海運指数 :1,922.00(▲15.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :120.11(+0.29)
NYMEX鉄鉱石 :120.09(+0.07)
NYMEX原料炭スワップ先物 :183(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :4,063(▲6)
上海鉄筋中心限月 :3,895(▲12)
米鉄スクラップ :292(+5.00)

【農産物】
大豆 :878.75(▲7.00)
シカゴ大豆ミール :300.30(▲3.90)
シカゴ大豆油 :28.31(▲0.12)
マレーシア パーム油 :休場( - )
シカゴ とうもろこし :411.25(▲5.75)
シカゴ小麦 :497.25(▲6.25)
シンガポールゴム :160.00(▲2.90)
上海ゴム :10565.00(+15.00)
砂糖 :12.15(+0.08)
アラビカ :99.50(▲1.65)
ロブスタ :1354.00(▲17.00)
綿花 :62.87(▲0.90)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :82.30(▲2.13)
シカゴ生牛 :108.10(▲0.55)
シカゴ飼育牛 :143.10(+0.80)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。