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FOMCを控えて様子見気分強い
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年7月30日 第1581号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「FOMCを控えて様子見気分強い」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は高安まちまちとなった。目立った経済統計の発表がない中、本日から始まる米FOMCを控えて様子見気分が強まったため。

ただし、英国のハードブレグジットへの懸念が強まっておりドルがリスク回避で物色されていることは、総じて商品価格の重石となっている。

【本日の価格見通し総括】

本日もFOMCを控えて様子見気分が強まるものと考える。恐らく▲25bpの利下げになるだろうが、より重要なのは今後の見通しであるため、FOMC後のパウエル議長の記者会見が注目されることになるだろう。

そのほか、米中通商交渉が上海で本日から始まるが、この交渉内容についても注目が集まることになるだろう。一時的な合意はあるかもしれないが、完全な合意にはならない見込み。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

韓国がRCEP会合で日本の輸出優遇措置終了に関して、不当であると各国に理解を求めたようだが、日本政府が主張するように二国間の問題を議論する場としては適切ではなく、取り合われなかったようだ。

文在寅政権になってからというもの、親北朝鮮・反日本の色が鮮明となっている。半島主義者である文在寅大統領の理念通りの政策が進んでいるわけだが、それに伴い同国の景気は悪化している。

そして景気が減速しているため、国民の目をほかに向けたい、来年の総選挙を控えて反日姿勢を強めておきたい、という意向がより強まっている。

以前、このコラムでもコメントしたが文在寅大統領の任期が終了する、ないしは辞任しない限り継続することになるだろう。

そんな中、北朝鮮が韓国に対して日本との軍事同盟を破棄しろと要求してきた。米国との関係を考えるとこれを韓国政府が飲むとは考えられないが、文在寅大統領が北朝鮮との統合を強く意識して、これを飲むようなことがあれば、北アジアのパワーバランスは大きく変化することになる。

「そんなことはしないだろう」ということを、韓国政府は次々と実施してきていることを勘案するとこのシナリオも全くない話ではない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%に戻る楽観見通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向きとしている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。米中協議の不透明感を背景にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が再開で決定したが、通商協議そのものが合意をしたわけではなく、制裁は継続しており世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、強硬離脱派のジョンソン首相誕生で、その可能性はさらに高まった(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場は引けにかけて上昇した。米トランプ大統領が再び利下げを強くFRBに迫ったことや、米ポンペオ国務長官のイラン訪問案をイラン ザリフ外相が拒否、両国の緊張が続いていることが価格を押し上げた。

【原油価格見通し】

原油価格はもみ合うものと考える。世界の景気は減速方向にあり、これが需要の減速観測を強めて価格を下押しする一方、中東情勢不安が継続し、供給面が価格を押し上げるため。

結果的に金融政策の価格への影響が大きくなっており、今後は欧米の金融政策格差の価格への影響が無視できなくなると予想。

テクニカルには一目均衡表の雲を下抜けしかかっていると指摘したが、Brentは雲を下抜けした。チャート的には来月の中頃まで頭の重い推移になりやすい。

イラン問題の終息は、イラン・米国とも自身から歩み寄って解決するとは考えにくく、第三者の仲介が必要と考えられる。恐らく欧州の仲介によって来年の米大統領選挙開始前までに問題が終息する、というのが「希望的観測を含めた」メインシナリオである。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。天然ガス価格の下落が続いており、ピークシーズンであるにも関わらず水準を切下げる動きが継続している。

【石炭価格見通し】

石炭価格は欧州の気温上昇と、北半球の夏場を控えて上昇するとみているものの、中国の電力会社の石炭在庫が記録的な高水準となっていること、欧州市場でのよりクリーンなエネルギーへのシフト、景気減速による電力需要の後退、中国の景況感の悪化を受け、上昇余地も限定されると考える。

中国の6大電力会社の石炭在庫は、同じ時期の過去5年レンジを大きく上抜けしており、国内需給は緩和している可能性が高い。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される予定で、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が減少傾向を強めていることは国内需要が季節的に増加していることを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国とイランの関係はこの20年で最悪の状態。両国の国力を減ずる戦争のリスクは依然低いとみるが、現状では開戦の可能性も完全に否定できない状態。

・米朝首脳会談が電撃的に開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングが増加。欧米中央銀行の金融緩和姿勢の強化で景気への楽観的な見方が広がっていることが背景。WTIはショートが増加、Brentはイラン情勢の悪化で減少している。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが537,940枚(前週比 ▲7,544枚)、ショートが140,089枚(+18,367枚)、ネットロングは397,851枚(▲25,911枚)、Brentが322,775枚(前週比▲18,445枚)、ショートが66,456枚(+5,656枚)、ネットロングは256,319枚(▲24,101枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は高安まちまちとなった。FOMCを直前に控えているほか、目立った新規手がかり材料に乏しいことから。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は一旦下値余地を探る動きになると考える。世界の景気が(主に循環的に)下りのエスカレーターに乗る中で需要見通しが減速していることが価格を下押しする一方、米統計の改善を受けた予防的利下げ観測後退が実質金利の上昇や、ドル高を促すため。

ただし、中国政府は金融緩和や財政出動による景気下支えを模索しており、米国も利下げは行う見通しであることから下値余地も限定されると考える。

原油などと同様であるが、今後はより、金融政策動向が価格に与える影響が強まることになるだろう。足元の価格上昇は金融相場入りが意識される中で、投機の買戻しが進んでいるためと考えられる。

再び持続的な上昇に転じるのは、中国の公共投資が顕在化する年後半か、インド需要が顕在化すると期待される2020年の春以降と見る。

なお、ニッケルに関してはインドネシアの未処理鉱石輸出制限再開の可能性が高まっており、その政策動向次第だが実行されるのであれば(2022年以降)16,000ドルを目指す動きになるだろう。

足元、2012年の時と同じで、過剰な供給懸念が後退し(まだ規制が始まっていない)たことから下値余地を探る動きになっている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは低調で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオとも低下、需給環境が緩和していることを示唆。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石輸出再開の可能性(実際に行われれば上昇要因に)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・7月19日付のLMEポジションは、アルミと錫のロングが減少したがそのほかは経済対策の期待などからロングが増加している。

特筆すべきは以前から指摘してきたショートが大きく減少していること。これにより亜鉛・鉛・錫がネットロングに転じている。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲51.5億ドル(前週▲67.1億ドル)と売り越し幅を縮小。売り越し額の減少率は23.2%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,191千トン(前週▲1,561千トン)と売り越し幅を縮小。亜鉛と鉛、錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの減少率は23.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は小幅下落、原料炭スワップ先物は変わらず、中国鉄鋼製品市場は小幅に下落した。

中国政府が冬期の鉄鋼生産の制限を例年よりも緩和するのでは、との見方が鉄鋼製品価格を押し下げた。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の経済対策の効果が顕在化しつつあることや、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産見通しといった供給面が意識されて高止まりすると考える。

ただし、米中通商協議は引き続き難航しており、鉄鋼製品在庫も季節性を無視して増加していることから、結果的に鉄鉱石需要の減速につながり価格面の下振れリスクも存在する状況。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは48.2(前月50.0)と減速。新規受注が国内外とも低迷しており(新規受注 47.9(46.7)、輸出新規受注 40.7(45.9))、生産も49.1(56.0)閾値の50を下回った。

ただし、在庫は完成品が39.3(38.3)、原材料在庫が43.5(45.1)と低水準であることは事実であり、需要顕在化時(中国の公共投資など)に鉄鋼製品価格が急騰する可能性も。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+40.8万トンの1,299.7万トン(過去5年平均1,031.6万トン)と例年を大きく上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比+90万トンの1億1,925万トン(過去5年平均1億1,917.6万トン)、在庫日数は+0.2日の24.7日(過去5年平均 30.1日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格は堅調な推移となった。米中対立が継続していることや、イラン問題を背景に中東情勢が悪化していること、英国のハードブレグジットへの懸念が価格を押し上げた。

PGMは金銀価格が堅調に推移したことや、トランプ大統領の大幅緩和要求コメントに反応した。

【貴金属価格見通し】

金価格は総じて堅調な推移になると考える。世界的な金融緩和観測に加えて、地政学的リスク・信用リスクを背景に安全資産需要が後退していないことから。

米中通商交渉は再開したものの、安全資産需要を促す材料は多い。

イランと米国の対立が継続していることはもちろんのこと、イタリアの財政問題、英国のEU離脱がハードになる可能性がジョンソン首相誕生で高まったこと、それを受けて再びスコットランドの独立話が持ち上がっていることなど、欧州不安が払しょくされていないことなどがあげられる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

銀が通貨としての側面を持っていた頃の金銀レシオに戻る可能性は低下している。ただし、足元金銀在庫レシオが低下しているため、銀は修正的に上昇する可能性が出てきた。

PGM価格は金銀価格が高値圏でもみ合うことから同様にもみ合うと考える。ただし、供給面の影響で需給がタイトなパラジウムは引き続き堅調な推移になると予想する。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっており、7月のFOMCでの▲25bpの利下げは織り込んだ(金ベースで25ドル程度の上昇要因)。

しかし、逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は一旦追加関税引き上げなどが先送りになったが、基本的に難航している。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの緊張はイランによるスパイ処刑やミサイル発射実験など、再び高まっている。開戦の可能性がなくなったわけではなく、対立が継続する以上は安全資産需要を高める。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・英国のEU離脱がハードになる可能性があること、それに伴いスコットランドの独立話が再燃していること、それがスペインのカタルーニャ地方に波及する懸念があることは安全資産需要を高める。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少した。利下げ観測の強まりが背景。ただし過剰な利下げ期待が後退したことからこれらのポジションの巻き戻しが予想される。

・プラチナのポジションはロングが増加、ショートが減少。パラジウムはロング・ショートとも減少。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが311,881枚(前週比 +2,346枚)、ショートが60,631枚(▲3,403枚)、ネットロングは251,250枚(+5,749枚)、銀が110,129枚(+9,680枚)、ショートが55,368枚(▲7,656枚)、ネットロングは54,761枚(+17,336枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが47,679枚(前週比 +2,306枚)、ショートが26,789枚(▲2,992枚)、ネットロングは20,890枚(+5,298枚)、パラジウムが17,489枚(▲173枚)、ショートが5,018枚(▲209枚)、ネットロングは12,471枚(+36枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は買戻しが入った。米中交渉開始を控えて、前日売られたこともありポジション調整の買戻しが入ったためとみられる。

【穀物価格見通し】

穀物価格は当面、天候状況が価格を左右する展開となり、神経質な推移が続くと予想するが、生産地の状況改善期待で下落しやすい地合い。

しかし、基本的には北米の作付け状況が不良であること(トウモロコシ、大豆とも、生育状況に遅れ、作況も過去5年の最低水準をはるかに下回る)や、欧州の気温上昇による不作への懸念、FRBの利下げ期待の高まりがドル安を進行させることから、総じて下値は堅かろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・7月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ138億7,500万Bu(前月136億8,000万Bu)大豆 38億4,500万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億2,100万Bu(19億300万Bu)

・7月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ20億100万Bu(前月16億7,500万Bu)大豆 7億9,500万Bu(10億4,500万Bu)小麦 10億Bu(10億7,200万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉は交渉再開で合意したが、覇権争いであり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロングが減少、ショートは増加で供給懸念は後退。大豆は米中貿易交渉の進捗期待でロングが増加、ショートも増加。

小麦はトウモロコシが軟調な中、ロングを切下げ、ショートも他穀物と同様増加した。総じて供給懸念は以前よりも後退している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが456,035枚(前週比 ▲12,990枚)、ショートが168,999枚(+18,195枚)、ネットロングは287,036枚(▲31,185枚)、大豆はロングが144,732枚(+3,824枚)、ショートが140,612枚(+4,888枚)、ネットロングは4,120枚(▲1,064枚)、小麦はロングが118,042枚(▲2,641枚)、ショートが98,758枚(+6,044枚)、ネットロングは19,284枚(▲8,685枚)

◆本日のMRA's Eye


「原油価格は年後半にかけて上昇~ただし上値は重い」

原油価格は60ドルを挟んで一進一退となっている。景気の動向を勘案すれば、足元価格が下落してもおかしくはなく、原油価格が上昇に転じるのは年後半になってからと考えられる。

それまでは、特段の大きな地政学的イベントリスクが発生・顕在化することがなければ、中央銀行の金融政策動向や、チャートのテクニカル要因などが価格に与える影響の方が大きくなる可能性が高いと予想される。

テクニカル面では何回か個別のコラムでも指摘しているが、トレーダーの間でも一目均衡表が価格動向分析に用いられることが多い。チャート的には一目均衡票の雲は厚く、8月いっぱいはBrentで67ドル、WTIは59ドル程度が上値として意識されるだろう。

では今後についてはどうか。OPECプラスの減産は来年の3月まで継続する見込みであり、米国や中国の経済対策実施が見込まれることなどから原油需給は前年比ベースでタイト化する見込みである。

過去の価格推移を見るに、前年同月と比較した時の需給バランスのタイト感が原油価格に対する需給バランスの前年比変化の説明力は高く、今まで通りであれば年後半にかけて価格は水準を切り上げる展開になると予想される。

ただし、OECD在庫見通しは年末に向けて在庫水準は増加する見込みであり、カレンダーベースで見ても過去5年平均を上回る水準まで増加すると予想されていることから、上昇したとしても上値は重いと予想される。

一方、OPECのスペアキャパシティ率は、イランからの原油が供給できない状況にあることや、ベネズエラの減産、リビアの混迷などの影響から大きく低下しており、この15年でも最低水準に近い。

仮に経済対策の効果や、インドなどの構造的な需要増加が顕在化した場合、中東有事が発生した場合の供給途絶リスクは高く、その場合には景気の状況に関係なく原油価格が大きく上昇する可能性が高い。

ただし、イランを含んだ場合のスペアキャパシティは大きく、仮に制裁が解除された場合や、中国と米国の通商戦争が激化した場合、利下げが打ち止めとなった場合などの下落リスクは小さくないとみている。

◆主要ニュース


・6月日本小売業販売額指数 前年比+0.5%(前月+1.3%)、前月比±0.0%(+0.4%)

・7月ダラス連銀製造業活動 ▲6.3(前月▲12.1)
 生産 9.3(8.9)
 新規受注 5.5(3.7)
 受注残 ▲2.8(3.4)
 完成品在庫 ▲10.6(▲6.1)
 雇用 16.0(8.8)

・米トランプ大統領、「小幅な利下げでは十分ではない。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・イラン ザリフ外相、「ポンペオ長官がテヘラン往訪を提案していたが、誠意があるとは思えない。」

【メタル】
・特になし。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ +2.01%/ ▲8.96%
2.プラチナ ( 貴金属 )/ +1.83%/ +10.74%
3.パラジウム ( 貴金属 )/ +1.56%/ +23.36%
4.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ +1.52%/ +34.81%
5.CBT小麦 ( 穀物 )/ +1.51%/ +0.05%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TGE小豆 ( 穀物 )/ ▲14.53%/ +15.64%
69.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲3.89%/ +9.70%
68.ビットコイン ( その他 )/ ▲3.68%/ +157.81%
67.ニューキャッスル炭 ( エネルギー )/ ▲3.57%/ ▲29.84%
66.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲2.31%/ +38.46%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :27,221.35(+28.90)
S&P500 :3,020.98(▲4.88)
日経平均株価 :21,616.80(▲41.35)
ドル円 :108.79(+0.11)
ユーロ円 :121.24(+0.30)
米10年債利回り :2.05(▲0.02)
独10年債利回り :▲0.39(▲0.02)
日10年債利回り :▲0.14(+0.01)
中国10年債利回り :3.17(+0.01)
ビットコイン :9,472.5(▲361.73)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.67(▲0.3)
エネルギー :29.73(▲0.33)
ベースメタル :20.75(+0.16)
貴金属 :18.24(▲0.19)
穀物 :21.31(▲1.17)
その他農畜産品 :30.03(▲0.14)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :31.98(+0.16)
Brent :30.22(▲0.82)
米天然ガス :41.92(+0.34)
米ガソリン :27.92(+0.01)
ICEガスオイル :23.15(+0.02)
LME銅 :15.50(▲0.09)
LMEアルミニウム :11.40(▲0.01)
金 :17.21(▲0.69)
プラチナ :19.90(+0.77)
トウモロコシ :28.44(▲4.13)
大豆 :17.21(▲0.69)

【エネルギー】
WTI :56.87(+0.67)
Brent :63.78(+0.32)
Oman :64.20(+0.20)
米ガソリン :186.34(▲1.10)
米灯油 :191.06(+0.62)
ICEガスオイル :588.00(+4.00)
米天然ガス :2.14(▲0.03)
英天然ガス :27.45(▲0.07)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :63.78(+0.32)
SPO380cst :403.47(+3.39)
SPOケロシン :78.40(+0.54)
SPOガスオイル :78.28(+0.59)
ICE ガスオイル :78.93(+0.54)
NYMEX灯油 :192.38(+0.41)

【貴金属】
金 :1426.62(+7.72)
銀 :16.46(+0.06)
プラチナ :881.09(+15.83)
パラジウム :1556.50(+23.91)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,973(+7:23C)
亜鉛 :2,460(+40:12B)
鉛 :2,035(▲40:5C)
アルミニウム :1,799(▲6:24.5C)
ニッケル :14,050(▲75:60C)
錫 :17,555(▲230:0B)
コバルト :25,674(▲17)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6015.00(+49.00)
亜鉛 :2460.00(+19.00)
鉛 :2056.50(▲18.50)
アルミニウム :1814.50(+8.00)
ニッケル :14350.00(+215.00)
錫 :17590.00(▲65.00)
バルチック海運指数 :1,937.00(▲10.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :119.82(▲0.34)
NYMEX鉄鉱石 :120.02(▲0.09)
NYMEX原料炭スワップ先物 :183(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :4,069(▲16)
上海鉄筋中心限月 :3,907(▲43)
米鉄スクラップ :287(▲4.00)

【農産物】
大豆 :885.75(+2.50)
シカゴ大豆ミール :304.20(+1.10)
シカゴ大豆油 :28.43(▲0.04)
マレーシア パーム油 :2008.00(+12.00)
シカゴ とうもろこし :417.00(+2.50)
シカゴ小麦 :503.50(+7.50)
シンガポールゴム :162.90(▲6.60)
上海ゴム :10550.00(▲130.00)
砂糖 :12.07(+0.05)
アラビカ :101.15(+1.40)
ロブスタ :1371.00(+27.00)
綿花 :63.77(▲0.47)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :84.43(▲2.00)
シカゴ生牛 :108.65(±0.0)
シカゴ飼育牛 :142.30(▲1.43)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。