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予想比強い米GDPとドル高で高安まちまち
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年7月29日 第1580号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「予想比強い米GDPとドル高で高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は米GDPが市場予想を上回る内容だったことを材料に、米国が最大消費国であるエネルギーなどが上昇したが、同時にドル高も進行したため、ベースメタルなどの銘柄は売られる流れとなった。

【本日の価格見通し総括】

週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しく、方向感に欠ける展開になるだろう。

しかし、今週は大きなイベントと統計発表が予定されている。メインイベントはFOMCだろう。市場は▲25bp程度の利下げを織り込んでいるが、ポイントは今後の利下げ見通しが年末に向けて後何回か、ということ。

恐らく現実的には足元の統計がそれほど悪くなく、個人消費関連統計は悪くないことを考えるとやれたとしても2回程度だろう。

また、景気の先行きを占う上で重要な米製造業ISM指数(市場予想52.0、前月51.7)、米雇用統計(+16.9万人、+22.4万人)、平均時給(市場予想 前月比+0.2%、前月+0.2%。前年比+3.1%、+3.1%)に注目している。

マインド指標の改善と雇用関連指標の好調継続で、追加利下げ観測が後退する可能性が高い。

これに対して中国製造業PMI(49.6、49.4)、ユーロ圏GDP(市場予想 前期比+0.2%、前期+0.4%。前年比+1.0%、+1.2%)と欧州と中国の景況感は低迷すると予想される。

結果、ドル高が進行し利下げ期待はあるものの、総じて上値も重かろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

金曜日に発表された米GDPは市場予想の前期比年率+1.8%を上回り+2.1%となったしかし、前期の+3.1%からは成長が鈍化しており、循環的な景気減速に中国との通商戦争が影響していることが明らかとなった。

しかし、個別にみると個人消費は+4.3%(市場予想+4.0%、前期+1.1%)と改善しており、GDP価格指数も+2.4%(+2.0%、+1.1%)と上昇、少なくともまだ米国の消費は健全と見られ、このタイミングでやはり利下げを行う必要性があるとは思えない。

しかし、トランプ大統領の圧力を受けてFRBパウエル議長は利下げに前向きになっており、市場も2~3回の利下げを期待している状況。

本来であれば循環的に景気回復が期待される2021年は、来年の大統領選挙を意識した金融・財政の大判振る舞いで2020年が想定以上に好調となり、その反動で景気が減速する可能性を意識すべき年になるリスクがあると見ている。

しかし、英国ではEU強硬離脱派のジョンソン氏が首相になり、「何が何でも10月末に離脱する」と発言、こういった無茶な政策が遂行される可能性があることを考えると、確かに「予防的な利下げ」は否定できないかもしれない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.3%→+3.2%)ている。2020年は+3.5%に戻る楽観見通しであるが、米中交渉の決裂懸念など、引き続きリスクは下向きとしている。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。米中協議の不透明感を背景にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が再開で決定したが、通商協議そのものが合意をしたわけではなく、制裁は継続しており世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、強硬離脱派のジョンソン首相誕生で、その可能性はさらに高まった(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場はもみ合った結果、前日比プラスで引けた。最大消費国である米国のGDP速報が市場予想を上回ったことで、需要の減速観測が後退したことや、イランの中距離ミサイル発射報道が材料。ただし統計改善を受けたドルの断続的な上昇で、上値は抑えられた。

【原油価格見通し】

原油価格はもみ合うものと考える。世界の景気は減速方向にあり、これが需要の減速観測を強めて価格を下押しする一方、中東情勢不安が継続し、供給面が価格を押し上げるため。

結果的に金融政策の価格への影響が大きくなっており、今後は欧米の金融政策格差の価格への影響が無視できなくなると予想。

テクニカルには一目均衡表の雲を下抜けしかかっていると指摘したが、Brentは雲を下抜けした。チャート的には来月の中頃まで頭の重い推移になりやすい。

イラン問題の終息は、イラン・米国とも自身から歩み寄って解決するとは考えにくく、第三者の仲介が必要と考えられる。恐らく欧州の仲介によって来年の米大統領選挙開始前までに問題が終息する、というのが「希望的観測を含めた」メインシナリオである。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。新規材料に乏しい中、LNG余剰やエルニーニョ現象の影響でアジア地域の気温が例年を下回っていることが価格を下押ししている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は欧州の気温上昇と、北半球の夏場を控えて上昇するとみているものの、アジア太平洋地区は気温が低下していることや、中国の電力会社の石炭在庫が記録的な高水準となっていること、欧州市場でのよりクリーンなエネルギーへのシフト、景気減速による電力需要の後退、中国の景況感の悪化を受け、上昇余地も限定されると考える。

中国の6大電力会社の石炭在庫は、同じ時期の過去5年レンジを大きく上抜けしており、国内需給は緩和している可能性が高い。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される予定で、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が減少傾向を強めていることは国内需要が季節的に増加していることを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国とイランの関係はこの20年で最悪の状態。両国の国力を減ずる戦争のリスクは依然低いとみるが、現状では開戦の可能性も完全に否定できない状態。

・米朝首脳会談が電撃的に開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングが増加。欧米中央銀行の金融緩和姿勢の強化で景気への楽観的な見方が広がっていることが背景。WTIはショートが増加、Brentはイラン情勢の悪化で減少している。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが537,940枚(前週比 ▲7,544枚)、ショートが140,089枚(+18,367枚)、ネットロングは397,851枚(▲25,911枚)、Brentが322,775枚(前週比▲18,445枚)、ショートが66,456枚(+5,656枚)、ネットロングは256,319枚(▲24,101枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格はニッケルとNASAACを除き下落した。米GDPが市場予想を上回ったが、それ以上に米統計を受けた緩和観測の後退、並びにドル高進行が影響を受けた(米国は非鉄金属の最大消費国ではないため、ドル高は中国の統計改善が伴わなければ、売り材料となりやすい)。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は一旦下値余地を探る動きになると考える。世界の景気が(主に循環的に)下りのエスカレーターに乗る中で需要見通しが減速していることが価格を下押しする一方、米統計の改善を受けた予防的利下げ観測後退が実質金利の上昇や、ドル高を促すため。

ただし、中国政府は金融緩和や財政出動による景気下支えを模索しており、米国も利下げは行う見通しであることから下値余地も限定されると考える。

原油などと同様であるが、今後はより、金融政策動向が価格に与える影響が強まることになるだろう。足元の価格上昇は金融相場入りが意識される中で、投機の買戻しが進んでいるためと考えられる。

再び持続的な上昇に転じるのは、中国の公共投資が顕在化する年後半か、インド需要が顕在化すると期待される2020年の春以降と見る。

なお、ニッケルに関してはインドネシアの未処理鉱石輸出制限再開の可能性が高まっており、その政策動向次第だが実行されるのであれば(2022年以降)16,000ドルを目指す動きになるだろう。

足元、2012年の時と同じで、過剰な供給懸念が後退し(まだ規制が始まっていない)たことから下値余地を探る動きになっている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは低調で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオとも低下、需給環境が緩和していることを示唆。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石輸出再開の可能性(実際に行われれば上昇要因に)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・7月19日付のLMEポジションは、アルミと錫のロングが減少したがそのほかは経済対策の期待などからロングが増加している。

特筆すべきは以前から指摘してきたショートが大きく減少していること。これにより亜鉛・鉛・錫がネットロングに転じている。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲51.5億ドル(前週▲67.1億ドル)と売り越し幅を縮小。売り越し額の減少率は23.2%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,191千トン(前週▲1,561千トン)と売り越し幅を縮小。亜鉛と鉛、錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの減少率は23.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は堅調、原料炭スワップ先物は変わらず、中国鉄鋼製品市場は小幅に上昇した。

中国政府の冬期の鉄鋼生産の制限が例年よりも緩和されるのでは、とのうわさが鉄鋼製品価格を押し上げ、鉄鉱石価格も押し上げた。

【鉄鋼原料価格見通し】鉄鉱石価格は、中国政府の経済対策の効果が顕在化しつつあることや、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産

見通しといった供給面が意識されて高止まりすると考える。

ただし、米中通商協議は引き続き難航しており、鉄鋼製品在庫も季節性を無視して増加していることから、結果的に鉄鉱石需要の減速につながり価格面の下振れリスクも存在する状況。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは48.2(前月50.0)と減速。新規受注が国内外とも低迷しており(新規受注 47.9(46.7)、輸出新規受注 40.7(45.9))、生産も49.1(56.0)閾値の50を下回った。

ただし、在庫は完成品が39.3(38.3)、原材料在庫が43.5(45.1)と低水準であることは事実であり、需要顕在化時(中国の公共投資など)に鉄鋼製品価格が急騰する可能性も。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+40.8万トンの1,299.7万トン(過去5年平均1,031.6万トン)と例年を大きく上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比+90万トンの1億1,925万トン(過去5年平均1億1,917.6万トン)、在庫日数は+0.2日の24.7日(過去5年平均 30.1日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格はもみ合った。米GDPが市場予想を上回ったことによる、実質金利の上昇やそれに伴うドル高進行はあったものの、イランの中距離ミサイル発射報道を受けて安全資産需要が高まったため。

PGMは金銀価格が堅調に推移したため同様にもみ合った。

【貴金属価格見通し】

金価格は総じて堅調な推移になると考える。世界的な金融緩和観測に加えて、地政学的リスク・信用リスクを背景に安全資産需要が後退していないことから。

米中通商交渉は再開したものの、安全資産需要を促す材料は多い。

イランと米国の対立が継続していることはもちろんのこと、イタリアの財政問題、英国のEU離脱がハードになる可能性がジョンソン首相誕生で高まったこと、それを受けて再びスコットランドの独立話が持ち上がっていることなど、欧州不安が払しょくされていないことなどがあげられる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

銀が通貨としての側面を持っていた頃の金銀レシオに戻る可能性は低下している。ただし、足元金銀在庫レシオが低下しているため、銀は修正的に上昇する可能性が出てきた。

PGM価格は金銀価格が高値圏でもみ合うことから同様にもみ合うと考える。ただし、供給面の影響で需給がタイトなパラジウムは引き続き堅調な推移になると予想する。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっており、7月のFOMCでの▲25bpの利下げは織り込んだ(金ベースで25ドル程度の上昇要因)。

しかし、逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は一旦追加関税引き上げなどが先送りになったが、基本的に難航している。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの緊張はイランによるスパイ処刑やミサイル発射実験など、再び高まっている。開戦の可能性がなくなったわけではなく、対立が継続する以上は安全資産需要を高める。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・英国のEU離脱がハードになる可能性があること、それに伴いスコットランドの独立話が再燃していること、それがスペインのカタルーニャ地方に波及する懸念があることは安全資産需要を高める。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少した。利下げ観測の強まりが背景。ただし過剰な利下げ期待が後退したことからこれらのポジションの巻き戻しが予想される。

・プラチナのポジションはロングが増加、ショートが減少。パラジウムはロング・ショートとも減少。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが311,881枚(前週比 +2,346枚)、ショートが60,631枚(▲3,403枚)、ネットロングは251,250枚(+5,749枚)、銀が110,129枚(+9,680枚)、ショートが55,368枚(▲7,656枚)、ネットロングは54,761枚(+17,336枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが47,679枚(前週比 +2,306枚)、ショートが26,789枚(▲2,992枚)、ネットロングは20,890枚(+5,298枚)、パラジウムが17,489枚(▲173枚)、ショートが5,018枚(▲209枚)、ネットロングは12,471枚(+36枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は総じて軟調な推移となった。米GDPが市場予想を上回る内容だったことを受けて長期金利が上昇、ドル指数が断続的に上昇する中で非景気循環銘柄である穀物には下押し圧力がかかる展開となった。

【穀物価格見通し】

穀物価格は当面、天候状況が価格を左右する展開となり、神経質な推移が続くと予想するが、生産地の状況改善期待で下落しやすい地合い。

しかし、基本的には北米の作付け状況が不良であること(トウモロコシ、大豆とも、生育状況に遅れ、作況も過去5年の最低水準をはるかに下回る)や、欧州の気温上昇による不作への懸念、FRBの利下げ期待の高まりがドル安を進行させることから、総じて下値は堅かろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・7月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ138億7,500万Bu(前月136億8,000万Bu)大豆 38億4,500万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億2,100万Bu(19億300万Bu)

・7月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ20億100万Bu(前月16億7,500万Bu)大豆 7億9,500万Bu(10億4,500万Bu)小麦 10億Bu(10億7,200万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉は交渉再開で合意したが、覇権争いであり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロングが減少、ショートは増加で供給懸念は後退。大豆は米中貿易交渉の進捗期待でロングが増加、ショートも増加。

小麦はトウモロコシが軟調な中、ロングを切下げ、ショートも他穀物と同様増加した。総じて供給懸念は以前よりも後退している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが456,035枚(前週比 ▲12,990枚)、ショートが168,999枚(+18,195枚)、ネットロングは287,036枚(▲31,185枚)、大豆はロングが144,732枚(+3,824枚)、ショートが140,612枚(+4,888枚)、ネットロングは4,120枚(▲1,064枚)、小麦はロングが118,042枚(▲2,641枚)、ショートが98,758枚(+6,044枚)、ネットロングは19,284枚(▲8,685枚)

◆本日のMRA's Eye


「バルチック海運指数の急騰」

バルチック海運指数(ドライ)が急上昇している。バルチック海運指数に関しては、2019年1月29日付MRA's Eye「バルチック海運指数の減速~中国の鉄鋼・石炭需要は減速か」で解説した時は過去1年の最低水準まで下落していたが、3月以降に切り返し、急騰している。

ドライバルカーの輸送貨物の内訳は、2017年実績で鉄鉱石が15億トン、石炭が12億トン、穀物が5億トン、その他が19億トンとなっており、総じて「鉄鋼原料」の値動きが価格を左右していることは前回コラムで解説した通りだ。

バルチック海運指数は、ケープサイズ(40%)、パナマックス(30%)、スーパーマックス(30%)のタイムチャーター料を加重平均したもので、1985年を1000として指数化したものが公表されている。

ケープサイズのチャーター料は、SSYフューチャー提示の1ヵ月先物価格ベースで26,100ドル(原稿執筆時)と、直近1年で最低水準となった3月6日の5,600ドルから実に366%も上昇している。パナマックスは14,900ドル、直近1年の最低水準である6,250ドル(1月29日)から138%の上昇となっている。

ケープサイズは主に鉄鉱石と原料炭、パナマックスは鉄鉱石、原料炭、燃料炭、穀物、ハンディマックスは燃料炭、穀物、セメントなどを輸送する。

その結果、鉄鉱石・石炭の最大輸入国である中国の輸出入動向が指数に大きな影響を与えていることは間違いがない。量的には鉄鉱石の数量が多いが、前年で見た時の数量の変化が大きいのが石炭であり、バルチック海運指数と輸入数量の連動性は高い。

恐らく今回の価格上昇は、石炭輸入の増加が要因だったと考えられる。実際、中国の鉄鉱石の輸入量はほぼ過去5年平均程度であるが、原料炭・燃料炭の輸入量は2月を底に急回復し、過去5年平均を上回っている。バルチック海運指数への影響が大きいのはケープサイズであり、その場合は鉄鋼原料輸送需要が増加していることを意味するが、最大消費国である中国の鉄鉱石輸入は減速しており、むしろ原料炭や燃料炭などの石炭の輸入が増加した影響の方が高いと考えられる。

中国の石炭輸入の増加は、中国の国内石炭在庫が減産や冬場の輸入規制などで低下しているため、今年は冷夏ではあるが夏場に向けて在庫積み増しの動きがみられたこと、年後半に顕在化すると予想される経済対策の効果などを期待した輸入の増加、石炭価格の下落による価格メリットの顕在化が背景にあるものと考えられる。

なお、米国の関税引き上げ前の駆け込み需要の増加を指摘する向きもあるが、上述の通り鉄鉱石や石炭の比率が高いことから、恐らくその影響はそれほど大きくないだろう。

では今後はどうなるか。恐らくバルチック海運指数は低下すると見ている。ベースとなる中国景気の減速は続いている上、主要輸送品である鉄鉱石については鉄鋼製品在庫の水準が高まっていることから今後、輸入が加速する可能性はそれほど高くないこと、恐らく今回の石炭輸入の増加が上述の通りテクニカルな要因によるものであると予想されることが背景。

もちろん、6月の中国の鉱工業生産や固定資産投資に見られるように、経済政策の影響で中国の製造業活動が戻ってきている可能性も否定できず、「先行指標」であるバルチック海運指数がPMIの改善に先立って上昇している可能性も否定しない。

過去データを元に感応度分析を行うと、バルチック海運指数の1ポイントの上昇で中国の製造業PMIは0.001ポイント上昇する。もしそうなると7月の中国の製造業PMIは51.6まで上昇する可能性があり、一気に「景気後退局面」から脱却することも考えられる。

仮にそうなったとしても一時的な改善と弊社は考えているが、一時的な統計の改善とそれに伴う鉱物資源価格の上昇リスクは、短・中期的には考えておくべきリスクシナリオである。実際に7月の製造業PMIがどうなるか、注視していきたい。

◆主要ニュース


・7月東京消費者物価指数 前年比+0.9%(前月+1.1%)
 除く生鮮+0.9%(+0.9%)
 除く生鮮エネルギー+0.8%(+0.8%)

・6月独輸入物価指数 前月比▲1.4%(前月▲0.1%)、前年比▲2.0%(▲0.2%)

・Q219米GDP速報 前期比年率 +2.1%(前期確定+3.1%)
 個人消費+4.3%(+1.1%)
 総民間国内投資▲5.5%(+6.2%)
 設備投資▲0.6%(+4.4%)
 輸出▲5.2%(+4.1%)、輸入+0.1%(▲1.5%)
 政府支出+5.0%(+2.9%)
 GDPデフレータ+2.4%(+1.1%)
 コアPCE +1.8%(+1.1%)

・1-6月期中国工業セクター利益 前年比▲2.4%の2兆9,840億元(1-5月期▲2.3%の2兆3,790億元)
 6月▲3.1%の6,019億元(前月+1.1%の5,656億元)

・トルコ エルドアン大統領、「▲4.25%の利下げでも不十分。」

・米トランプ大統領、「北朝鮮のミサイル発射は米国への警告ではない。」

・米トランプ大統領、中国・韓国の途上国優遇を見直すことをUSTRに対しWTOに働きかけるよう指示。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数776(前週比▲3)、 ガスリグ 169(前週比▲5)。

・イラン 中距離弾道ミサイルを試射。

【メタル】
・Q219Rusal
 アルミ生産 前期比+1.0%の928千トン(前期▲0.3%の928千トン)
 販売 +20.8%の1,082千トン(▲7.2%の896千トン)
 アルミナ生産 ▲0.7%の1,918千トン(+2.1%の1,932千トン)
 ボーキサイト生産 +10.7%の4,242千トン(+29.4%の3,831千トン)

・ニッケル鉱石中国港湾在庫 1,341万トン(ニッケル含有量ベースでは前週比▲900トンの112,000トン)。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ +5.77%/ +5.65%
2.TCMガソリン ( エネルギー )/ +1.44%/ +18.48%
3.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ +1.36%/ ▲10.76%
4.S&P500 ( 株式 )/ +0.78%/ +20.75%
5.SHF鉛 ( ベースメタル )/ +0.75%/ ▲9.49%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.03%/ ▲25.99%
69.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲2.52%/ +14.27%
68.ICEココア ( その他農産品 )/ ▲1.85%/ ▲1.12%
67.SHFニッケル ( ベースメタル )/ ▲1.82%/ +24.99%
66.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲1.80%/ +14.14%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :27,190.49(+49.51)
S&P500 :3,027.10(+23.43)
日経平均株価 :21,658.15(▲98.40)
ドル円 :108.71(+0.08)
ユーロ円 :120.93(▲0.16)
米10年債利回り :2.07(▲0.01)
独10年債利回り :▲0.38(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.15(+0.00)
中国10年債利回り :3.17(+0.01)
ビットコイン :9,868.8(▲5.25)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.97(▲0.19)
エネルギー :30.04(▲0.04)
ベースメタル :20.59(+0.12)
貴金属 :18.45(▲0.43)
穀物 :22.48(▲0.08)
その他農畜産品 :30.16(▲0.38)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :31.81(+0.03)
Brent :31.02(▲0.01)
米天然ガス :41.58(▲0.04)
米ガソリン :27.92(▲0.24)
ICEガスオイル :23.09(+0.06)
LME銅 :15.59(+0.48)
LMEアルミニウム :11.41(+0.45)
金 :17.91(▲0.17)
プラチナ :19.15(▲1.63)
トウモロコシ :32.57(+0.05)
大豆 :17.91(▲0.17)

【エネルギー】
WTI :56.15(+0.13)
Brent :63.34(▲0.05)
Oman :63.93(+0.03)
米ガソリン :187.93(▲0.10)
米灯油 :190.62(▲0.81)
ICEガスオイル :584.75(▲3.50)
米天然ガス :2.18(▲0.07)
英天然ガス :27.52(▲0.15)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :63.34(▲0.05)
SPO380cst :400.46(+5.66)
SPOケロシン :77.89(+0.02)
SPOガスオイル :77.72(▲0.05)
ICE ガスオイル :78.49(▲0.47)
NYMEX灯油 :191.41(▲0.36)

【貴金属】
金 :1416.81(+2.23)
銀 :16.35(▲0.06)
プラチナ :864.55(▲2.49)
パラジウム :1531.48(+0.09)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,966(▲69:21C)
亜鉛 :2,421(▲24:2.5B)
鉛 :2,075(▲37:0.5B)
アルミニウム :1,805(▲21:26.5C)
ニッケル :14,125(+85:65C)
錫 :17,785(+25:45B)
コバルト :25,691(▲2,000)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5966.00(▲19.50)
亜鉛 :2441.00(+14.00)
鉛 :2075.00(▲22.00)
アルミニウム :1806.50(▲20.00)
ニッケル :14135.00(+105.00)
錫 :17655.00(▲145.00)
バルチック海運指数 :1,947.00(▲67.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :120.16(+0.48)
NYMEX鉄鉱石 :120.11(+0.02)
NYMEX原料炭スワップ先物 :183(▲0.50)
上海鉄筋直近限月 :4,085(+22)
上海鉄筋中心限月 :3,950(+32)
米鉄スクラップ :休場( - )

【農産物】
大豆 :883.25(+0.75)
シカゴ大豆ミール :303.10(▲0.80)
シカゴ大豆油 :28.47(+0.20)
マレーシア パーム油 :1996.00(+11.00)
シカゴ とうもろこし :414.50(▲4.00)
シカゴ小麦 :496.00(▲3.50)
シンガポールゴム :169.50(▲3.10)
上海ゴム :10680.00(▲55.00)
砂糖 :12.02(+0.02)
アラビカ :99.75(▲0.90)
ロブスタ :1344.00(+18.00)
綿花 :64.24(+0.43)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :86.43(+0.48)
シカゴ生牛 :108.65(±0.0)
シカゴ飼育牛 :143.73(+0.93)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容f赦ください。