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過剰緩和観測後退も多くが前日比プラス
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年7月22日 第1576号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「過剰緩和観測後退も多くが前日比プラス」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は結果的に前日比プラスで引けた商品が多かった。米利下げ観測の後退を受けてドル高が断続的に進行したため、引けにかけて水準を切り下げた。

そもそも利下げ期待で非鉄金属には買戻しが入り、イランと米国の緊張で原油価格が上昇していた。

通常商品価格は需給バランスが価格の重要な決定要素となるが、徐々に金融政策が価格に対する影響が大きい、金融相場にシフトしていくと予想される。

【本日の価格見通し総括】

週明け月曜日は目立った固有の材料がなく、FOMCを控えて米連銀総裁の講演もないため、しばらくは方向感が出難い展開になるだろう。

足元、金融政策動向が商品価格に与える影響が大きくなっているため、今週予定されているECB政策会合とその後のドラギ総裁の発言に注目している。

ECB政策メンバーは、「欧州の景気は悪化・後退している」ことで一致しており、今回ないしは次回の政策会合で金融緩和方針が示されるとみられている。ECBの緩和は景気循環系商品価格の上昇要因となるが、同時にドル高が進行するため、その影響を緩和するだろう。

また今週は23日にIMF世界経済見通しが示される。直近のIMFのGDP見通しは3.3%と、前年の3.6%から下方修正されている。さらにこれが引き下げられるかどうか。

引き下げられた場合、景気循環系商品の需要減速観測が強まるため、価格の押し下げ要因となる。

同じ23日に英保守党の党首選の結果が発表されるが、恐らくジョンソン氏で確定だろう。この場合ハードブレグジットへの懸念が強まるため、IMFの見通しと相まって週の中頃にかけて水準を切下げるのではないか。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

金曜日は朝方に、NY連銀が、ウィリアムズ総裁の発言は学術的なものであり金融政策の方向性を示したものではない、と異例の否定会見を行った。

各国中央銀行は政府の意向を強く意識しているように見え、米国は足元不要とも思える利下げを行う可能性が高い。予防的な利下げで▲50bpも誘導目標を引き下げるとは明らかにやりすぎだろう。そのように考えるとやはり7月は▲25bpの利下げに留まると感がえられる。

市場も7月FOMCで▲25bpの利下げを再度織り込んだ形となったが、今後はその幅ではなく、今後の方向性である。仮に▲50bpの利下げがあれば恐らく年内は打ち止めとなる。

▲25bpであれば、年末にかけて後1回なのか、さらにもう1回行われるのかに焦点が当たることになる。いずれにしても景気のバイアスは下向きであり、株価の急落につながる長期金利の上昇は抑制された状態が続くことになる。

多くのリスク資産が下りのエスカレーターに乗った状態であり、価格を切下げるというのが基本的な見方であるが、金融緩和観測がそのペースを鈍化させるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。米中協議の不透明感を背景にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q219の中国GDPは前年比+6.2%、前期+6.4%と1992年の統計発表以来の低水準となり、減速懸念が再び意識されている)。

※一方、鉱工業生産や固定資産投資などは政府の対策の影響が徐々に顕在化している形。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が再開で決定したが、通商協議そのものが合意をしたわけではなく、制裁は継続しており世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相の後任が強硬派のジョンソン前外相である可能性が高く、ハードブレグジットの可能性が高まっている(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

・日韓対立によるハイテク分野の市場混乱や、極東地区の地政学的リスクの高まり(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場はもみ合った結果、前日比プラスで引けた。ニューヨーク連銀が日本時間の早朝、ウィリアムズ総裁の発言を修正、利下げ観測が大幅に後退したことで長期金利が上昇、ドル高が進行したことが価格の下押し要因となったが、イランが英国のタンカーを拿捕したとの報道や、米軍のサウジアラビア駐留再開を受けた供給不安の高まりが価格を押し上げた。

【原油価格見通し】

原油価格はもみ合うものと考える。イランを巡る情勢は報道だけを見るに非常に悪化しており、ここまで加熱すると「どう落としてよいかもうよく分からない」状態にある一方、米中交渉が難航していることや中東情勢不安を背景とする景気への懸念の影響が大きく、価格を下押しするため。

テクニカルには一目均衡表の雲を下抜けしかかっていると指摘したが、昨日の下落でWTI・Brentとも雲を下抜けした。チャート的には来月の中頃まで頭の重い推移になりやすい。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に上昇した。特段個別の材料はなかったが、LNG余剰やエルニーニョ現象の影響でアジア地域の気温が低下していることが背景で軟調な推移が続いている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は欧州の気温上昇と、北半球の夏場を控えて上昇するとみているものの、アジア太平洋地区は気温が低下していることや、中国の電力会社の石炭在庫が記録的な高水準となっていること、欧州市場でのよりクリーンなエネルギーへのシフト、景気減速による電力需要の後退、中国の景況感の悪化を受け、上昇余地も限定されると考える。

中国の6大電力会社の石炭在庫は、同じ時期の過去5年レンジを大きく上抜けしており、国内需給は緩和している可能性が高い。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が減少傾向を強めていることは国内需要が季節的に増加していることを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国とイランの関係はこの20年で最悪の状態。両国の国力を減ずる戦争のリスクは依然低いとみるが、現状では開戦の可能性も完全に否定できない状態。

・米朝首脳会談が電撃的に開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングが増加。欧米中央銀行の金融緩和姿勢の強化で景気への楽観的な見方が広がっていることが背景。WTIはショートが増加、Brentはイラン情勢の悪化で減少している。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが545,484枚(前週比 +39,788枚)、ショートが121,722枚(+6,175枚)、ネットロングは423,762枚(+33,613枚)、Brentが341,220枚(前週比+22,202枚)、ショートが60,800枚(▲14,075枚)、ネットロングは280,420枚(+36,277枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇後下落した。中国の経済統計の一時的な改善を受けてショートの買戻しが加速したが、NY連銀がウィリアムズ総裁の発言を否定、利下げ観測が後退したことでドル高が進行、引けにかけて水準を切下げた。

インドネシアの輸出規制強化観測を材料に上昇していたニッケルは、15,000ドルの節目で跳ね返され、週末を控えて水準を切下げた。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は上昇余地を探る動きになると考える。中国の経済対策の効果が顕在化し始めているとみられること、FRBパウエル議長が利下げの可能性を比較的強く市場に印象付けたことから、投機の買戻しが入ると考えられるため。

ただし、この上昇はテクニカルな買戻しであり、景気は減速局面にあること、米中通商協議は長期化するとの見方が大勢を占めていることから上値も限られ、秋口に下値余地を探るとの見方に変更はない。

再び持続的な上昇に転じるのは、中国の公共投資が顕在化する年後半か、インド需要が顕在化すると期待される2020年の春以降と見る。

なお、ニッケルに関してはインドネシアの未処理鉱石輸出制限再開の可能性が高まっており、その政策動向次第だが実行されるのであれば16,000ドルを目指す動きになるだろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは低調で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオとも低下、需給環境が緩和していることを示唆。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

インドネシアのニッケル未処理鉱石輸出再開の可能性(実際に行われれば上昇要因に)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・7月12日付のLMEポジションは、利下げ観測でロングが増加、ショートの買戻しも進んだ。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲67.1億ドル(前週▲67.4億ドル)と売り越し幅を小幅縮小。売り越し額の減少率は+0.5%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,561千トン(前週▲1,702千トン)と売り越し幅を縮小。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの減少率は▲8.3%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は小幅上昇、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品市場は小幅安。

中国の粗鋼生産が過去5年レンジを大きく上回る増産となっていることにより、鉄鉱石価格の高止まりと鉄鋼製品の下落が継続している。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の経済対策の効果が顕在化しつつあることや、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産見通しといった供給面が意識されて高止まりすると考える。

ただし、米中通商協議は引き続き難航しており、価格面の下振れリスク要因との整理。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは48.2(前月50.0)と減速。新規受注が国内外とも低迷しており(新規受注 47.9(46.7)、輸出新規受注 40.7(45.9))、生産も49.1(56.0)閾値の50を下回った。

ただし、在庫は完成品が39.3(38.3)、原材料在庫が43.5(45.1)と低水準であることは事実であり、需要顕在化時(中国の公共投資など)に鉄鋼製品価格が急騰する可能性も。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+31.5万トンの1,258.9万トン(過去5年平均1,039.9万トン)と例年を大きく上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比+300万トンの1億1,835万トン(過去5年平均1億1,948.6万トン)、在庫日数は+0.6日の24.5日(過去5年平均 30.2日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格は下落した。NY連銀総裁発言を、NY連銀が否定したことで▲50bpの利下げ観測が後退、ドル高が進行したことや実質金利が米国時間の後半にかけて上昇したことが材料となった。

ただし、イラン革命防衛隊が英タンカーを拿捕したといった報道を受け、中東情勢の悪化懸念が価格を下支えした。

PGMは金銀価格の下落と株価の下落を受けて水準を切下げた。

【貴金属価格見通し】

金価格は高値圏でもみ合うものと考える。米国の過剰な利下げ観測が後退したがこれは週末で織り込み済みであるが、緩和姿勢は維持されていること、米中交渉への楽観が後退したことや、緩和するとの期待があったイランと米国の関係が再び悪化していることが材料。

足元、中東関連のニュース、米FOMCの動向をにらみ非常に神経質な推移となっている。

イタリアの財政問題や英国のEU離脱がハードになる可能性が高いこと、それを受けて再びスコットランドの独立話が持ち上がっていることなど、欧州不安が払しょくされていないことから一定の安全資産需要は継続するため、総じて堅調な推移になるだろう。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

銀が通貨としての側面を持っていた頃の金銀レシオに戻る可能性は低下している。ただし、足元金銀在庫レシオが低下しているため、銀は修正的に上昇する可能性が出てきた。

PGM価格は金銀価格が高値圏でもみ合うことから同様にもみ合うと考える。ただし、供給面の影響で需給がタイトなパラジウムは引き続き堅調な推移になると予想する。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっており、7月のFOMCでの▲25bpの利下げは織り込んだ(金ベースで25ドル程度の上昇要因)。

しかし、逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は一旦追加関税引き上げなどが先送りになったが、基本的に難航している。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの緊張は一時的に低下している。しかし、開戦の可能性がなくなったわけではなく、対立が継続する以上は安全資産需要を高める。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・英国のEU離脱がハードになる可能性があること、それに伴いスコットランドの独立話が再燃していること、それがスペインのカタルーニャ地方に波及する懸念があることは安全資産需要を高める。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少した。利下げ観測の強まりが背景。ただし過剰な利下げ期待が後退したことからこれらのポジションの巻き戻しが予想される。

・プラチナのポジションはロングが増加、ショートが減少。パラジウムはロングが減少、ショートが増加。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが309,535枚(前週比 +3,430枚)、ショートが64,034枚(+2,692枚)、ネットロングは245,501枚(+738枚)、銀が100,449枚(+4,369枚)、ショートが63,024枚(▲7,905枚)、ネットロングは37,425枚(+12,274枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが45,373枚(前週比 +207枚)、ショートが29,781枚(▲8,692枚)、ネットロングは15,592枚(+8,899枚)、パラジウムが17,662枚(▲386枚)、ショートが5,227枚(+75枚)、ネットロングは12,435枚(▲461枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は上昇した。米国の生産地の気温上昇が材料となったが、それ以上に米利下げへの過剰な期待が後退する中で、景気循環銘柄売り戻される一方で、非インフレ系・非景気循環銘柄である穀物が物色された。

【穀物価格見通し】

穀物価格は当面、天候状況が価格を左右する展開となり、神経質な推移が続くと予想するが、生産地の状況改善で下落しやすい地合い。

しかし、基本的には北米の作付け状況が不良であること(トウモロコシ、大豆とも、生育状況に遅れ、作況も過去5年の最低水準をはるかに下回る)や、欧州の気温上昇による不作への懸念、FRBの利下げ期待の高まりがドル安を進行させることから、総じて下値は堅かろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・7月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ138億7,500万Bu(前月136億8,000万Bu)大豆 38億4,500万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億2,100万Bu(19億300万Bu)

・7月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ20億100万Bu(前月16億7,500万Bu)大豆 7億9,500万Bu(10億4,500万Bu)小麦 10億Bu(10億7,200万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉は交渉再開で合意したが、覇権争いであり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロングが減少、ショートも減少でネット買い越し幅を拡大。大豆はロング増加、ショートはトウモロコシと同様減少している。小麦はロングが減少し、買い越し幅を縮小した。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが469,025枚(前週比 ▲532枚)、ショートが150,804枚(▲15,547枚)、ネットロングは318,221枚(+15,015枚)、大豆はロングが140,908枚(+2,230枚)、ショートが135,724枚(▲4,192枚)、ネットロングは5,184枚(+6,422枚)、小麦はロングが120,683枚(▲6,013枚)、ショートが92,714枚(+98枚)、ネットロングは27,969枚(▲6,111枚)

◆本日のMRA's Eye


「バルクコモディティ価格見通し」

世界の粗鋼生産は中国の環境規制強化に伴う製鉄所の稼働停止命令などを受けて供給が減少、中国政府の景気刺激策の期待もあって需給がひっ迫、鉄鋼製品価格が記録的な高値で取引される中、生産水準を大きく切り上げてきた。

しかしここにきて、中国の構造的な景気減速、循環的な景気減速に米国の中国に対する制裁強化が加わり、新規受注の減少と在庫水準の増加が起き、鉄鋼製品価格には下押し圧力がかかり始めている。

鉄鋼業新規受注/在庫レシオは年初こそ上昇したものの、直近の統計では減速が確認されている。中国政府は景気への影響が大きい住宅セクターのテコ入れや、景気下支えのための公共投資を実施すると見られるが、通常それがみられるのは年後半であるため、しばらくは価格に下押し圧力がかかる展開に。

鉄鋼製品先物(棒鋼先物)価格の期間構造は、期近がコンタンゴとなっており、需給緩和観測が強まっている状況。

鉄鋼製品価格の上昇に伴う粗鋼生産増加(需要増加要因)に加え、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による減産、中国政府の環境面に配慮した減産の継続を受けて鉄鉱石価格は100ドルを超える展開となっている。

鉄鉱石の港湾在庫の在庫日数は過去5年平均を下回り、需給のタイト化観測が強まっている。

ヴァーレのブルクツ(3,000万トン)は裁判所の判断で再び稼働停止となり、フェジャオ・ファブリカ・ヴァルジェムグランデ(4,000万トン)、チンボベパ(1,280万トン)、アレグリア(1,000万トン)は依然、稼働停止の状態にあり供給懸念は払しょくされていない。ヴァーレは4億トンの生産回復に2~3年を要するとしている。

結果、低品位鉱石にも買いの手が伸びており、下値は堅い。しかし、鉄鉱石先物の期間構造は、期近の需給が緩和を始めていることを示唆。

2019年の鉄鉱石価格は、環境問題を受けた生産者の減産が継続することから、96.69ドル(前回見通し比+16.75ドル)と水準を大幅に引き上げた。

2020年にかけては循環的な景気の回復、インドの構造的な需要の増加を鉄鉱石生産者の稼働再開が相殺、2020年の予想価格は、2019年比では低い85.00ドル(+15.00ドル)を予想。

世界最大の鉄鋼製品生産国である中国の原料炭生産量は、過剰生産能力削減が図られた昨年を上回り、過去5年平均程度の推移となっている。原料炭輸入も増加、期間構造もバックワーデーションを維持しており、需給のタイトな状況は続く。

還元剤としてのコークス・原料炭需要は、天然ガスや水素などへの転換にまだ相当の時間を有すると考えられ、今後も高い水準で推移すると考えられる。

石炭鉱山の開発に関する融資が環境面から絞られる動きが欧州を中心に広がっており、供給面の抑制状態は継続。ただし米中通商問題は長期化の見込みであり、中国景気の減速と相まって需要の伸びが鈍化することが上昇を抑制。

2019年の原料炭平均価格は193.09ドル(前回予想比+3.00ドル)、2020年は182.50ドル(▲5.00ドル)と若干引き下げた。

◆主要ニュース


・6月日本全国消費者物価指数 前年比+0.7%(前月+0.7%)
 除く生鮮+0.6%(+0.8%)
 除く生鮮エネルギー+0.5%(+0.5%)

・5月日本全産業活動指数 前月比+0.3%(前月+0.8%)

・6月独生産者物価指数 前月比▲0.4%(前月▲0.1%)、前年比+1.2%(+1.9%)

・5月ユーロ圏経常収支季節調整済 297億ユーロの黒字(前月改定 224億ユーロの黒字)

・7月米ミシガン大学消費者マインド指数速報 98.4(前月98.2)
 現況指数 111.1(110.9)
 先行指数 90.1(89.3)
 1年期待インフレ率 2.6%(2.7%)
 5年期待インフレ率 2.6%(2.3%)

・日銀黒田総裁、「MMTには全く賛成できない。日本経済はもはやデフレではない。」

・セントルイス連銀ブラード総裁(投票権あり・ハト派)、「次回会合で25bpの利下げを支持。」

・ボストン連銀ローゼングレン総裁(投票権あり・タカ派)、「利下げが必要だとは思わない。経済はかなり良好だ。」

・NY連銀、「ウィリアムズ総裁の発言は学術的なものであり、政策行動の可能性に関するものではない。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数779(前週比▲5)、 ガスリグ 174(前週比+2)。

・イラン革命防衛隊、英タンカーを拿捕。

・ロシア国営ロステクノロジーチェメゾフ社長、「トルコが望めばスホイ35の供給を検討する用意がある。」

・サウジアラビア、米軍の駐留を決定。

・中国耿爽副報道局長、「(イランのウラン濃縮活動用アルミニウム製品供給を理由に中国企業などを米政府が制裁対象に指定したことに対し)米国が国内法を援用して他国に単独制裁を行うことに、中国は一貫して断固反対している」

【メタル】
・Q219 MMG 銅カソード生産 前年比▲20%の16,463トン(前期▲37%の12,539トン)
 銅生産(含有量ベース)▲15%の84,695トン(+16%の101,830トン)
 亜鉛生産 ▲2%の56,929トン(+21%の57,151トン)
 鉛生産 ▲9%の11,749トン(+19%の10,986トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME木材 ( その他農産品 )/ +5.68%/ +6.38%
2.欧州排出権 ( 排出権 )/ +4.00%/ +16.66%
3.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +3.58%/ ▲16.82%
4.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +3.48%/ +33.50%
5.NYB綿花 ( その他農産品 )/ +2.42%/ ▲13.78%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TCMガソリン ( エネルギー )/ ▲2.13%/ +15.39%
69.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ ▲1.97%/ +37.62%
68.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲1.57%/ ▲23.44%
67.インド・センセックス ( 株式 )/ ▲1.44%/ +6.29%
66.金 ( 貴金属 )/ ▲1.43%/ +11.14%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :27,154.20(▲68.77)
S&P500 :2,976.61(▲18.50)
日経平均株価 :21,466.99(+420.75)
ドル円 :107.71(+0.41)
ユーロ円 :120.86(▲0.14)
米10年債利回り :2.06(+0.03)
独10年債利回り :▲0.32(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.13(▲0.00)
中国10年債利回り :3.16(+0.00)
ビットコイン :10,529.52(▲87.36)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :26.80(▲0.09)
エネルギー :31.97(▲1.22)
ベースメタル :19.82(+0.18)
貴金属 :18.85(+0.45)
穀物 :22.98(+0.13)
その他農畜産品 :31.48(+0.02)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :33.10(▲5)
Brent :31.43(▲0.15)
米天然ガス :42.88(▲0.67)
米ガソリン :35.40(▲1.31)
ICEガスオイル :23.95(▲0.05)
LME銅 :15.35(+1.6)
LMEアルミニウム :12.49(▲2.25)
金 :18.18(+1.34)
プラチナ :18.80(+0.42)
トウモロコシ :32.37(▲0.44)
大豆 :18.18(+1.34)

【エネルギー】
WTI :55.63(+0.33)
Brent :62.47(+0.54)
Oman :62.04(+0.92)
米ガソリン :184.05(+0.63)
米灯油 :188.96(+2.71)
ICEガスオイル :576.00(+7.00)
米天然ガス :2.25(▲0.04)
英天然ガス :29.09(+0.01)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :62.47(+0.54)
SPO380cst :387.70(▲0.16)
SPOケロシン :77.34(+0.43)
SPOガスオイル :77.02(+0.31)
ICE ガスオイル :77.32(+0.94)
NYMEX灯油 :190.29(+1.39)

【貴金属】
金 :1425.37(▲20.73)
銀 :16.20(▲0.15)
プラチナ :845.48(▲7.18)
パラジウム :1508.56(▲20.31)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,078(+122:12C)
亜鉛 :2,438(▲41:10.5C)
鉛 :2,077(+57:5.5C)
アルミニウム :1,856(+10:23C)
ニッケル :14,440(▲290:15C)
錫 :17,810(▲25:30C)
コバルト :27,721(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6077.00(+110.50)
亜鉛 :2424.00(▲33.00)
鉛 :2047.00(+10.00)
アルミニウム :1847.00(▲4.00)
ニッケル :14650.00(▲295.00)
錫 :17770.00(▲60.00)
バルチック海運指数 :2,170.00(+40.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :120.87(+0.33)
NYMEX鉄鉱石 :120.99(+0.12)
NYMEX原料炭スワップ先物 :183(▲0.50)
上海鉄筋直近限月 :4,060(▲29)
上海鉄筋中心限月 :3,970(▲44)
米鉄スクラップ :288(±0.0)

【農産物】
大豆 :901.50(+20.25)
シカゴ大豆ミール :311.20(+4.20)
シカゴ大豆油 :28.10(+0.46)
マレーシア パーム油 :1905.00(▲11.00)
シカゴ とうもろこし :430.75(+6.25)
シカゴ小麦 :502.50(+9.00)
シンガポールゴム :173.80(▲1.60)
上海ゴム :10625.00(+190.00)
砂糖 :11.59(+0.04)
アラビカ :105.85(▲1.30)
ロブスタ :1380.00(▲13.00)
綿花 :62.25(+1.47)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :83.88(+1.10)
シカゴ生牛 :107.60(+0.20)
シカゴ飼育牛 :139.98(+0.55)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。