米国は休暇シーズンに突入 ~高まるポジション調整圧力
- MRA外国為替レポート
2018年11月19日号
◆先週の市場総括
先週のドル円相場は113円80銭で始まり週前半は114円台を
米国株は不振が続いた。アップルの業績懸念や一部投資銀行の不正問題、原油価格の大幅下落が重石。
イギリスのEU離脱問題にはイギリス国内での政局不安定化懸念か
そうしたなか、米中通商交渉には前向きな動きが報じられ週末の米国株は上昇して引けた。
月曜日の東京市場のドル円相場は113円80銭で始まりじり高。
海外市場に入るとイタリアと欧州委員会の対立激化の可能性などから欧州通貨が下落。反面でドルが堅調。ユーロドル相場は1.
ドル円相場は114円20銭近辺まで上昇したが、
この日は米国株が大幅安。アップルの業績懸念を材料にハイテク関連株が下げを主導。また大手投資銀行のマレーシア政府系ファンド不正問題から金融株も下落。
株安のなかドルはしっかり。
この日トランプ大統領は、原油価格はもっと下落するべき、サウジアラビアとOPECは減産すべきではない、と述べ、
火曜日の東京市場のドル円相場は113円80銭で始まり60銭近
ユーロドル相場は1.1250へ上昇、
中国副首相と米財務長官が対話再開との報道で米中貿易懸念が緩和するかたちでリスク選好が回復するなか円安となった。
日経平均は米株安を受けて21,600円割れで始まり一時21,
欧州時間にはイギリスとEUが離脱協定の草案で合意したと報じら
一方、原油価格はこの日も大幅続落。
水曜日の東京市場のドル円相場は113円80銭近辺で始まりその
日経平均は21,800円台で寄り付き堅調。後場は21,
この日発表された日本の7-9月期GDPは前期比年率▲1.2%
この日発表された中国10月の小売売上高は年初来累計・
産投資は+5.7%と前月+5.4%から持ち直した。
海外市場に入るとドル円相場は大きく下落して一時113円30銭
この後は議会承認となるが、離脱強硬派はメイ首相の不信任決議を要求する構え。
米国では議会民主党の次期貿易小委員会委員長と想定される議員が
ドル円相場もこれにつれてドル安円高に振れ、その後持ち直して引けは113円60銭近辺。米10年債利回りは低下して一時3.
木曜日の東京市場のドル円相場は113円60銭で始まり、
日経平均は前日の米国株下落を嫌気して21,
海外市場に入るとドル円相場は113円台前半に押されて上下。
ただその後、米国が対中追加関税適用を留保する見通しとの報道に米中通商懸念が後退。米国株が上昇。リスク選好が回復するとドル円相場、ユーロ円相場ともにしっかり。
ドル円相場は113円70銭に上昇し50銭~60銭で引け。
この日発表された米小売売上高(10月)は前月比+0.8%
金曜日の東京市場のドル円相場は113円50銭~
リスク選好の後退、日経平均が軟調に推移するとともにやや円高の動きとなった。
21,700円割れで引け。
副議長は、政策金利を中立水準に近づけることは間違いなく理にかなう、としつつ、米金融当局は政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れなければならないだろう、とした。
これを受けてドル金利先高感が後退。米10年債利回りは3.
ドル円相場は一時112円70銭割れに下落。
米国株は堅調。トランプ大統領は中国から対応リストを受け取ったことを明らかにし、中国は貿易に関する合意を望んでいる、追加関税を課す必要がなくなる可能性がある、と発言。
株式市場は好感した。発表された米国の鉱工業生産(10月)
◆今週の3つの注目ポイント
木曜日は感謝祭の祝日で米国株式・債券市場は休場。金曜日は短縮取引。日本も金曜日は祝日で休場。
1.米国の経済指標
先週はFRB当局者の慎重な発言が続いたことでドル金利先高感が
火曜日に住宅着工件数(10月)、水曜日に耐久財受注(10月)
先般のFOMCでは設備投資の判断をやや下方修正したことから耐
2.米中通商摩擦を巡る動き
先週末にトランプ大統領は中国から貿易交渉に関して中国からの対応リストを受け取ったと述べた。
中国が何らかの合意を求めていることは間違いないが、ただそのリスクについてトランプ大統領は受け入れられないとも述べている。
週末のAPEC首脳会議に先立つ演説では、
3.イギリスのEU離脱問題の行方
イギリスの離脱問題は、
強硬派の閣僚は辞任。また不信任案を提出するとの動きもあり、合意案が国内で承認可決されるかどうか、不透明感が増している。引き続き市場全体のリスク選好を抑制する要因となるか。何らかのポジティブな動きがあるか。
◆今週のMRA's Eye
米国は休暇シーズンに突入~高まるポジション調整圧力
今週木曜日、米国は感謝祭の祝日。株式・債券市場は休場となり、翌日金曜日も半日の短縮取引。そしてここからクリスマスまで休暇シーズンとなる。
金融機関とくに投資銀行業務に携わる者には休暇を取得者が増え、結果として市場の流動性・取引高が減少していくのが通例だ。結果として値動きが荒くなるか、あるいは閑散小動きとなるか。
また新規の取引を組むよりも、1年の総決算として、利益確定やポジションの手仕舞いなどが生じやすい。
こうした状況では相場の材料に対して素直な反応とならず、そのときのポジションがどちらに傾いているかで、短期的な相場動向が左右される。材料とポジション手仕舞いの方向が一致した場合には、一時的にせよ大きな動きとなる可能性があることには留意が必要だ
まずは目先、今週末は「ロングウィークエンド」となることから、手仕舞いの第一弾が生じやすい。総じてポジションの逆方向の動きとなる可能性が高まる。為替市場における投機筋のポジションを全て把握することはできないが、シカゴ通貨先物でその傾向を推測することができる。
最新のデータは先週火曜日時点だが、それによれば円は売り越しが再び10万枚に増加しており、
ユーロは売り越し、ポンドも売り越し。イタリア財政を巡る混乱やイギリスのEU離脱を巡る不透明感からはこれらの通貨は売られや
先週末にかけて円高、あるいはユーロ高が見受けられたが、これはこうしたポジションの手仕舞いによる円買い、ユーロ買いの動きと推測される。材料にかかわらず、今週も投機筋の手仕舞いの動きには留意したい。
ドルに関しては主要通貨に対するポジション合計が大きく買い越しとなっている。昨年のこの時期は売り越しとなっており、その点が大きな違いだ。投機ポジションだけからみれば、年内は手仕舞いによるドル売り・ドル安が生じる可能性があるということになる。
ただし、その他の要因もありドル安が進む可能性は小さくなる。投資家もリスクポジションを抑制する方向に動くとすれば、リスク資産投資を抑制し手元キャッシュを積み増す動きとなる。
こうした動きはドル買いとなる。
結果としてドルは下落しにくいとみられるが、例年、年末にかけてドル高といわれるものの、投機筋のポジションを割り引くとさほどドル高とならないのではないか。
またシカゴ先物のポジションにおいて、米国債については長期金利の上昇=債券価格の下落を期待して売りポジションが過去にないほど積み上がっていた。しかし、10月後半から、
これは債券を買い戻す動きとなるが、これが債券価格を上昇させる=長期金利を低下させる方向に働くことになる。
手仕舞いが進めば長期金利への投機的な低下圧力は減少するため、ここからの長期金利低下は見込みにくいものの、あらためて長期金利上昇にかけるポジションを新規につくる時期ではない。
結果、年内の米長期金利上昇はさほど見込めないのではないか。長期金利が再び上昇するには、米中通商摩擦問題が大きく前進し、足元の景気懸念が完全に解消されることが必要だろう。
慎重な見方にやや傾いているFRB当局者の発言に自信や明るいト
先週気になったのはFRBのパウエル議長、
議長は、外需減退、財政刺激の減退、利上げの影響がタイムラグをもって効き始めること、などに言及した。地区連銀総裁のなかには12月の利上げの条件が整っていないとする意見もごく一部ではあ
来年の利上げペースダウンに向けて、FRBの選択肢、
メインシナリオとしては、
例年は年末にかけてドル高となりやすい、という一般的な見方とは逆となるため、想定外のショックとなりかねず、要注意だろう。
◆主要指標
【対円レート】
ドル :112.83(▲0.81)
ユーロ :128.82(+0.08)
英ポンド :144.794(▲0.39)
豪ドル :82.731(+0.04)
カナダドル :85.812(▲0.43)
スイスフラン :112.836(▲0.06)
ブラジルレアル :30.1693(+0.15)
中国人民元 :16.259(▲0.06)
韓国ウォン(日本円=100) :10.061(▲0.02)
【対ドルレート】
ユーロ :1.1415(+0.009)
英ポンド :1.2834(+0.006)
豪ドル :0.7332(+0.006)
カナダドル :1.3148(▲0.003)
スイスフラン :0.9999(▲0.007)
ブラジルレアル :3.7393(▲0.047)
中国人民元 :6.938(▲0.001)
韓国ウォン :1128.6(▲0.55)
【主要国政策金利】
米国 :2.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00
【主要国長期金利】
米10年債 :3.06(▲0.05)
米2年債 :2.80(▲0.05)
日本10年債利回り :0.10(▲0.01)
日本2年債利回り :0.10(+0.01)
独10年債利回り :0.37(+0.01)
独2年債利回り :▲0.59(+0.01)
【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :25,413.22(+123.95)
NASDAQ :7,247.87(▲11.16)
S&P500 :2,736.27(+6.07)
日経平均株価 :21,680.34(▲123.28)
ドイツ DAX :11,341.00(▲12.67)
インド センセックス :35,457.16(+196.62)
中国上海総合 :2,679.11(+10.94)
ブラジル ボベスパ :88,515.27(+2,542.21)
英国FT250 :18,589.09(▲73.12)
ビットコイン :5451.72(▲17.93)
【主要商品価格】
WTI :56.46(±0.0)
Brent :67.09(+0.47)
米ガソリン :157.70(+2.04)
米灯油 :207.37(▲0.04)
金 :1223.36(+10.00)
銀 :14.42(+0.13)
プラチナ :846.19(+3.99)
パラジウム :1177.05(+19.07)
銅 :6167.00(▲8:14B)
アルミニウム :1931.50(▲9:17.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セト
ル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック
シカゴ大豆 :892.25(+3.50)
シカゴ とうもろこし :364.75(▲2.75)
シカゴ小麦 :506.75(+1.25)
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。