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天候要因で天然ガスや穀物高い
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年7月12日 第1571号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「天候要因で天然ガスや穀物高い」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、欧州の天候要因を受けて天然ガスや穀物が買われ、FRBの▲50bpの利下げ期待を受けて投機の買戻しが入った非鉄金属が高かったが、その他は売られた。ただし、雇用統計以降米国の長期金利は上昇しており、政策動向と長期金利動向の整合性が取れていない状況。

【本日の価格見通し総括】

本日は中国の貿易統計に注目している。市場予想は貿易収支が450億ドルの黒字(前月 416.6億ドルの黒字)、輸出が▲1.4%(+1.1%)、輸入が▲4.6%(▲8.5%)と見込まれている。

中国国内の景況感の悪化から輸入が減少し、貿易黒字が増加するとの見方が大勢を占めている。

先日発表のPPIの数字を見るに、中国の景気が減速していることは明らかで、今後、緩和的な金融政策が強化される可能性は高く、財政出動も検討されることになると予想される。

しかし、中国のサイフも小さくなってきており、効果は限定的か。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

一昨日のニュースだが、米国がペルシャ湾周辺を通行するにあたり、融資連合で艦船を護衛する案を日本に対して打診してきた。

このタイミングで「イラン沖」と書くと、米国とイランの緊張が高まっていることに伴う「踏み絵」にも見えるが、そういった意味合いではなく、単純に軍事費の削減を図りたい、というトランプ政権の意向を示したものと考える方が妥当だろう。

正確には対象地区はホルムズ海峡とバブエルマンデブ海峡周辺であるため、この海域全体を有志同盟でカバーするということである。この点、非常にトランプ政権のメッセージはシンプル、というか一貫しており「基本、カネは払いたくないので、自分で負担しろ」ということなのだろう。

通商交渉に直面している日本は、こうした安全保障を担保に取られながらの交渉を余儀なくされる可能性が高く、特に農畜産品分野での大幅な条件緩和を求めてくることは確実である(ただし、この場合でもペルシャ湾周辺の共同作業には参加しない、という選択は許されないだろう)。

そうなった場合、日経新聞の記事にもあるように、海上自衛隊を派遣するにあたりどういった枠組みで派遣するのかが問題になってくる。日経新聞の解説を少し拝借すると、今後、以下のような法的枠組みを検討する必要が出てくる。

安全保障に基づく集団的自衛権は、「日本が存立危機事態」に陥ると横死できるが、ホルムズ海峡の封鎖(となるかどうかわからない)状況での派遣には野党が異論を唱えるだろう。国民も実際に原油の輸送が止まったり、実際に日本人が亡くなるということがない限り、賛成するとは言い難い。

放置した場合に日本に武力攻撃の恐れがある「重要影響事態」としても街頭するかどうかは微妙だ。

海上自衛隊行動は日本に関係がある船舶を保護するときに防衛大臣の判断で行えるが、外国籍の船は対象とならないため、米国の要求を満たさない。

相手が海賊だった場合(今は特殊な状態であるが、通常であれば実はほとんどがこのケースだろう)は射撃が認められている。

これらの要件に合わない場合、特別措置法の制定といったこともあり得るが、日本の友好国であるイランが「米国のためにイランを見限った」とみられる可能性もあるため、非常に難しい(この前のハメネイ師と安倍首相の面談も成功したとは言い難い)。

未だ戦闘開始は確率の低いリスクシナリオ、と位置付けているが弊社が中東情勢をウォッチし始めてから、最も開戦のリスク(米vsイラン)が高まっていると感じている。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。米中協議の不透明感を背景にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が再開で決定したが、通商協議そのものが合意をしたわけではなく、制裁は継続しており世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相の後任が強硬派のジョンソン前外相である可能性が高く、ハードブレグジットの可能性が高まっている(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場は下落した。OPEC月報が下方修正されたことや、トランプ大統領の中国との貿易交渉を巡る対応批判を受けて調整売りに押された。

しかし、正直なところ新たな手がかり材料がなく、雇用統計後に上昇を続ける長期金利を受けて実質金利が上昇、100日、200日のチャート上のテクニカルポイントが意識されたと考えるのが妥当か。

【原油価格見通し】

原油価格は堅調な推移になると考える。米利下げ観測の後退を受けて水準を切下げていたが、パウエル議長がこれを明確に否定したことによる金融面、イランと米国の対立が激化していることによる供給面が価格を押し上げるため。

イランと米国に関して、両国の国力を削る開戦はない、というのがメインシナリオではあるものの、イランのウラン濃縮は次のステージに移りつつあり、この状態で米イラン首脳会談が開催されるとは考え難く、その選択肢を排除できない状況。

トランプ大統領はイランに対して攻撃したくない、というのが本音と見られるが、ペンス・ボルトンを筆頭とする共和党保守強硬派はあまりそう考えていない。引き続き両国動向は、ニュースに一喜一憂とならざるを得ない。

これ以上、中東を材料に価格が上昇するとすれば、さらに具体的に米国とイランが軍事的に衝突すること、ないしはクシュナーの提案などをきっかけにイスラエルとパレスチナの対立が深まり、軍事衝突が起きることであるが、現時点では希望的観測も含めて「ない」と信じたい。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落した。中国港湾在庫の減少や欧州の気温上昇を受けて水準を切り上げていたため、調整売りが入ったとみられる。

【石炭価格見通し】

石炭価格は欧州の気温上昇と、北半球の夏場を控えて上昇するとみているものの、欧州市場でのよりクリーンなエネルギーへのシフト、景気減速による電力需要の後退、中国の景況感の悪化を受け、上昇余地も限定されると考える。

中国の石炭の輸入量は回復しており、過去5年のレンジを上抜けした。しかし生産調整や夏場に向けた需要回復で、港湾在庫は減少傾向を強めており、需給はタイト感が強まっている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が減少傾向を強めていることは国内需要が季節的に増加していることを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国がイランを攻撃する準備を整えていたことが発覚、両国の緊張はこれまでにないほど高まっていることは、開戦を通じた供給懸念を通じて価格の上昇要因に。

・米朝首脳会談が電撃的に開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングの減少が顕著だが、WTIのショートには買戻し、Brentはショートが増加した。中東情勢を巡り市場参加者のスタンスはまちまちだが、とにかく積み上がったロングから解消する動きが強まっているようだ。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、「雲のねじれ」がある7月初に、例えば中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産幅を拡大したり、ということがあれば、7月以降、ポジションの巻き戻しで急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが513,180枚(前週比 +16,239枚)、ショートが120,370枚(+2,232枚)、ネットロングは392,810枚(+14,007枚)、Brentが320,816枚(前週比▲5,664枚)、ショートが72,810枚(+1,084枚)、ネットロングは248,006枚(▲6,748枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は続伸した。そもそも投機が売り越しているため買い戻し圧力が強まりやすいが、FRBパウエル議長の発言を受けて「50bpの利下げがあるのではないか」との市場の期待が高まっているため、買戻しが入ったためと考えられる。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は上昇余地を探る動きになると考える。FRBパウエル議長が利下げの可能性を比較的強く市場に印象付けたため、50bpの利下げがあるのではないか、との市場の期待から投機の買戻しが入ると考えられることから。

ただし、この上昇はテクニカルな買戻しであり、景気は減速局面にあること、米雇用統計以降、長期金利が上昇して実質金利が上昇していること、米中通商協議は長期化するとの見方が大勢を占めていることから上値も限られ、秋口に下値余地を探るとの見方に変更はない。

再び上昇に転じるのは中国の公共投資が顕在化する年後半以降と見る。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは低調で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオとも低下、需給環境が緩和していることを示唆。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・6月28日付のLMEポジションは動きがまちまち。

亜鉛・錫を除くすべての金属で金融緩和期待を受けた、価格の上昇観測から積み上がっていたショートの解消が進んでいる。また、緩和期待に加え、中国の経済対策期待などによる需要増加観測もあり、ロングも増加している。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲52.7奥ドル(前週▲57.0億ドル)と売り越し幅を縮小。売り越し額の減少幅は▲7.5%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,282千トン(前週▲1,411千トン)と売り越し幅を縮小。ただし、亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの減少率は▲9.1%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は下落、原料炭スワップ先物は横ばい、中国鉄鋼製品市場は下落した。

目立った新規材料はなかったが、世界的な景気減速や中国企業の資金調達難で鉄鋼需要が減少するとの見方が強まっていることが背景。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の公共投資促進策と豪州からの供給不安、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産見通しといった供給面が意識されて高止まりすると考える。

ただし、米中通商協議継続観測を受けた買戻しの影響は一巡したとみられ、今後は協議の進展度合いに焦点が移る。ただし、相互制裁は継続したままであることから、現時点では売り材料と整理するべき。

中国の公共投資が実際に顕在化するのは今年の秋の休日以降になるだろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは48.2(前月50.0)と減速。新規受注が国内外とも低迷しており(新規受注 47.9(46.7)、輸出新規受注 40.7(45.9))、生産も49.1(56.0)閾値の50を下回った。

ただし、在庫は完成品が39.3(38.3)、原材料在庫が43.5(45.1)と低水準であることは事実であり、需要顕在化時(中国の公共投資など)に鉄鋼製品価格が急騰する可能性も。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+29万トンの1,207万トン(過去5年平均1,068.1万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比+35万トンの1億1,560万トン(過去5年平均1億1,869.6万トン)、在庫日数は+0.8日の23.9日(過去5年平均 30.0日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は下落した。FRBパウエル議長の発言を受けて▲50bp程度の利下げがあるのでは、との見方が広がっていることが買い材料となるものの、米雇用統計以降ほぼ一貫して米長期金利が上昇しており、実質金利にも上昇圧力がかかっていることがより意識されたため。

PGMは金銀価格の下落を受けて調整。パラジウムは1,600ドルの節目を維持できなかったことで、テクニカルに売られた。

【貴金属価格見通し】

金価格は高値圏での推移になると考える。パウエル議長発言を受けて利下げ期待が高まっているものの、雇用統計を受けて米長期金利が上昇を続けていることが相殺しあうため。

ただし、イランと米国の対立が激化していることや、イタリアなどの情勢不安を受けて総じて実質金利で説明可能な水準からは高いと考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。銀が通貨としての側面を持っていた頃の金銀レシオに戻る可能性は低下している。

PGM価格は金銀価格が高値圏を維持することから同様に高値圏での推移を予想するが、世界的な景気減速もあって上値は重いと考える。

ただし、供給面の影響で需給がタイトなパラジウムは引き続き堅調な推移になるのではないか。さらなる上昇があるかに関しては3月に着けた最高値を上回れるかどうかがポイントとなる。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっており、7月のFOMCでの25bpの利下げは織り込んだ(金ベースで25ドル程度の上昇要因)。

しかし、逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は一旦追加関税引き上げなどが先送りになったが、基本的に難航している。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスクが高まっている。共和党議会側はイランに対する戦闘の準備を終えており、それをトランプ大統領が止めた、という状況。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少しているが、利下げ期待の後退でこれらのポジションの巻き戻しが起きる可能性があり、下落リスクは高まっている。

・プラチナのポジションは大きく変わらず、パラジウムはロング・ショートとも増加しているが、ロングの増加のほうが大きい。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが312,702枚(前週比 +14,594枚)、ショートが53,756枚(▲7,798枚)、ネットロングは258,946枚(+22,392枚)、銀が99,739枚(+2,166枚)、ショートが69,284枚(+2,276枚)、ネットロングは30,455枚(▲110枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが47,841枚(前週比 ▲790枚)、ショートが38,544枚(▲8,101枚)、ネットロングは9,297枚(+7,311枚)、パラジウムが16,855枚(+1,674枚)、ショートが4,838枚(+506枚)、ネットロングは12,017枚(+1,168枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は上昇した。米需給報告で小麦のロシアからの供給が下方修正されたことで小麦価格が上昇したことにつれる形となった。

小麦の世界供給は▲1,050万トン下方修正された。主に主要輸出国の輸出見通しが下方修正されたことが影響した。特に気温上昇と降雨不足でロシアの供給見通しが下方修正された影響が大きい。

北米の需給見通しは仕上がりの在庫水準はトウモロコシが上昇、大豆・小麦は下方修正された。

【穀物価格見通し】

穀物価格は当面、天候状況が価格を左右する展開となり、神経質な推移が続くと予想する。

しかし、基本的には北米の作付け状況が不良であること(トウモロコシ、大豆とも、作況は過去5年の最低水準を下回っている)や、欧州の気温上昇による不作への懸念、FRBの利下げ期待の高まりがドル安を進行させることから、総じて下値は堅かろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・7月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ138億7,500万Bu(前月136億8,000万Bu)大豆 38億4,500万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億2,100万Bu(19億300万Bu)

・7月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ20億100万Bu(前月16億7,500万Bu)大豆 7億9,500万Bu(10億4,500万Bu)小麦 10億Bu(10億7,200万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉は交渉再開で合意したが、覇権争いであり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・すべての穀物で、ロング・ショートとも減少。ただしショートの買戻し圧力が強く、総じてネットロングが増加している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが465,709枚(前週比 +3,594枚)、ショートが164,910枚(+9,996枚)、ネットロングは300,799枚(▲6,402枚)、大豆はロングが132,609枚(+4,966枚)、ショートが129,457枚(▲54枚)、ネットロングは3,152枚(+5,020枚)、小麦はロングが132,144枚(+2,482枚)、ショートが90,085枚(▲9,373枚)、ネットロングは42,059枚(+11,855枚)

◆主要ニュース


・6月東京都心オフィス空室率 1.72%(前月 1.64%)

・5月日本第3次産業活動指数 前月比▲0.2%(前月改定+0.8%)

・6月独消費者物価指数改定 前月比+0.3%(速報比+0.2%、前月改定+0.3%)、前年比+1.5%(+0.2%、+1.3%)

・6月米消費者物価指数 前月比+0.1%(前月+0.1%)、前年比 +1.6%(+1.8%)
 コア 前月比+0.3%(+0.1%)、前年比+2.1%(+2.0%

・米週間新規失業保険申請件数 209件(前週222千件)、失業保険継続受給者数 1,723千人(1,696千人)

・6月米実質平均賃金 前年比+1.2%(前月+1.0%)、実質平均時給 +1.5%(+1.3%)

・6月米財政収支 ▲85億ドルの赤字(前月▲749億ドルの赤字)

・パウエルFRB議長(投票権あり・中間派)、「インフレ率と失業率の関係性が薄れてきており、当局には利下げ余地がある。」

・ECB政策委員会議事録、ユーロ圏経済に対する一段の金融緩和を準備する必要性で広く一致。

・日本を含む22ヵ国、中国に対しウイグル族の大量拘留を止めるよう国連に書簡を提出。

・韓国康京和外相、「日本が国際法を破り、輸出規制を行っていることは韓国企業だけでなく、世界的なサプライチェーンに影響を及ぼし、米企業に打撃を与える可能性がある。」と米ポンペオ国務長官に直訴。

・米トランプ大統領、「中国は我が国の偉大な農家から農産物を購入するといっていたが、まだ行動しておらず我々をがっかりさせている。すぐに始めるよう期待する。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 2,471BCF(前週比+81BCF)
 東部 544BCF(+18BCF)
 中西部 597BCF(+29BCF)
 山間部 140BCF(+6BCF)
 太平洋地区263BCF(+8BCF)
 南中央 927BCF(+20BCF)

・OPEC月報
 世界石油需要 Q119:98.8、Q219:99.2、Q319:100.6、Q419:100.8、2019:99.9
 非OPEC供給(含むNGLs) Q119:63.8、Q219:63.6、Q319:64.3、Q419:66.0、2019:64.4
 Call on OPEC Q119:35.0、Q219:35.6、Q319:36.3、Q419:34.8、2019:35.4

※供給見通し上方修正で、Call on OPECは減少。

・メキシコ湾の熱帯性低気圧「バリー」、ハリケーンに発達してルイジアナ州直撃の可能性。

・英領ジブラルタル警察、イランの大型石油タンカーの船長ら2人を、EUによる対シリア制裁に違反した疑いで逮捕。

【メタル】
・インドネシア政府、「2022年に未処理鉱石の輸出を停止する見込み。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +8.46%/ ▲42.26%
2.CBT小麦 ( 穀物 )/ +4.79%/ +6.56%
3.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ +3.11%/ +19.40%
4.CBTエタノール ( エネルギー )/ +2.92%/ +22.55%
5.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.61%/ ▲3.59%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ビットコイン ( その他 )/ ▲5.37%/ +203.36%
69.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲2.30%/ +8.72%
68.LIFFEココア ( その他農産品 )/ ▲2.00%/ ±0.00%
67.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲1.74%/ +23.85%
66.LMEアルミ 3M ( ベースメタル )/ ▲1.57%/ ▲1.73%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :27,088.08(+227.88)
S&P500 :2,999.91(+6.84)
日経平均株価 :21,643.53(+110.05)
ドル円 :108.50(+0.04)
ユーロ円 :122.11(+0.08)
米10年債利回り :2.14(+0.08)
独10年債利回り :▲0.23(+0.08)
日10年債利回り :▲0.14(▲0.02)
中国10年債利回り :3.16(▲0.01)
ビットコイン :11,146.07(▲632.73)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.76(▲0.12)
エネルギー :32.07(▲1.48)
ベースメタル :20.13(+0.09)
貴金属 :17.58(+0.26)
穀物 :22.96(+0.45)
その他農畜産品 :29.01(+0.03)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :35.41(▲4.01)
Brent :32.20(▲0.44)
米天然ガス :42.07(▲0.26)
米ガソリン :34.14(▲3.76)
ICEガスオイル :22.53(▲0.06)
LME銅 :15.19(+0.27)
LMEアルミニウム :17.10(+0.06)
金 :17.71(▲1.44)
プラチナ :19.15(+0.05)
トウモロコシ :34.02(+1.68)
大豆 :17.71(▲1.44)

【エネルギー】
WTI :60.20(▲0.23)
Brent :66.52(▲0.49)
Oman :66.43(+0.28)
米ガソリン :198.95(▲1.57)
米灯油 :197.86(▲1.24)
ICEガスオイル :594.50(±0.0)
米天然ガス :2.42(▲0.03)
英天然ガス :35.26(+2.75)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :66.52(▲0.49)
SPO380cst :426.02(▲2.95)
SPOケロシン :80.40(+0.18)
SPOガスオイル :80.15(+0.18)
ICE ガスオイル :79.80(±0.0)
NYMEX灯油 :198.55(▲0.52)

【貴金属】
金 :1403.81(▲15.21)
銀 :15.12(▲0.12)
プラチナ :823.90(▲2.72)
パラジウム :1562.70(▲27.74)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,935(+55:10C)
亜鉛 :2,396(+15:8B)
鉛 :1,954(+10:3.5C)
アルミニウム :1,828(▲4:21C)
ニッケル :13,150(+300:60C)
錫 :17,860(▲240:40B)
コバルト :26,658(▲7)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5937.50(▲27.50)
亜鉛 :2393.00(▲12.50)
鉛 :1964.50(+6.50)
アルミニウム :1821.00(▲29.00)
ニッケル :13120.00(+105.00)
錫 :18275.00(+110.00)
バルチック海運指数 :1,777.00(+18.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :119.91(▲0.47)
NYMEX鉄鉱石 :120.32(▲0.52)
NYMEX原料炭スワップ先物 :187(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,750(▲42)
上海鉄筋中心限月 :4,004(▲21)
米鉄スクラップ :289(+14.00)

【農産物】
大豆 :896.25(+3.25)
シカゴ大豆ミール :311.60(+2.50)
シカゴ大豆油 :28.07(+0.10)
マレーシア パーム油 :1888.00(+4.00)
シカゴ とうもろこし :447.75(+13.50)
シカゴ小麦 :536.25(+24.50)
シンガポールゴム :174.40(▲0.30)
上海ゴム :10600.00(+270.00)
砂糖 :12.38(▲0.12)
アラビカ :105.50(+1.15)
ロブスタ :1396.00(▲1.00)
綿花 :62.89(▲0.65)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :71.60(▲0.15)
シカゴ生牛 :107.88(+0.25)
シカゴ飼育牛 :142.63(+0.28)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。