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パウエル発言を受けて景気循環銘柄高い
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年7月11日 第1570号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「パウエル発言を受けて景気循環銘柄高い」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、インフレ系商品、景気循環系商品価格が、FRBパウエル議長の発言を受けて上昇、畜産品やソフトコモディティなど、景気の影響を受け難い商品が売られる流れとなった。

景気が減速する中で、各国中央銀行の緩和スタンスへの注目度が増している状況。

【本日の価格見通し総括】

本日は昨日のFRBパウエル議長発言を受けた緩和期待で、景気循環系商品と、インフレ系資産価格が上昇余地を試す動きになると考える。

また、恐らく大きな進展はないが、米中の通商交渉が再開したことも景気循環銘柄価格を押し上げよう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

FRBパウエル議長の発言は、市場の期待通りハト派的であり、今までのスタンスが雇用統計の改善があったとしても、変わらない、と明確に主張した。

これによって市場は再び力強く利下げを織り込む形になっている。しかし、せっかく「過度な期待」の調整を行っていたことが無駄になったわけで、逆に7月のFOMCでは市場への影響を緩和するためにパウエル議長は苦慮することになるのではないか。

その場合、リスク資産価格が下振れする可能性は低くないと考える。

また、昨日は注目していた中国の生産者物価指数が発表されたが、市場予想+0.2%のところ±0.0%となった。これは製造業の活動が鈍化していることを示唆しており、中国が「デフレ」に陥る可能性を意識させる内容。

内訳をみると、供給減少懸念で鉄金属(前年比+4.3%、前月+3.9%)、建設・非鉄金属素材(+4.3%、+4.4%)、豚コレラや米国の制裁の影響を受けた農業製品(+1.9%、+1.5%)はあるものの、燃料(▲0.2%、+1.4%)、非鉄金属(▲3.5%、▲2.5%)、化学品(▲4.7%、▲3.5%)と工業品の下落が顕著であり、中国の工業セクターの減速が強まっていることを示している。

循環的・構造的に中国の工業セクターの成長が鈍化する可能性は高く、工業金属価格を押し下げる可能性が高い。もちろん単月で判断すべきではない。

これを受けて中国政府は景気刺激のために財政出動を行う可能性が出てきた。しかし中国の財政状況も決して楽ではないため、その影響は限定されるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる。米中協議の不透明感を背景にFRBは利下げ方向に舵を切っている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が再開で決定したが、通商協議そのものが合意をしたわけではなく、制裁は継続しており世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相の後任が強硬派のジョンソン前外相である可能性が高く、ハードブレグジットの可能性が高まっている(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場は上昇した。米石油統計で原油在庫の大幅な減少が確認されたこと(原油輸入減少が影響)、FRBパウエル議長が明確に利下げの可能性を肯定したことでインフレ系資産が物色される流れを受けて。

【原油価格見通し】

原油価格は堅調な推移になると考える。米利下げ観測の後退を受けて水準を切下げていたが、パウエル議長がこれを明確に否定したことによる金融面、イランと米国の対立が激化していることによる供給面が価格を押し上げるため。

イランと米国に関して、両国の国力を削る開戦はない、というのがメインシナリオではあるものの、イランのウラン濃縮は次のステージに移りつつあり、この状態で米イラン首脳会談が開催されるとは考え難く、その選択肢を排除できない状況。

トランプ大統領はイランに対して攻撃したくない、というのが本音と見られるが、ペンス・ボルトンを筆頭とする共和党保守強硬派はあまりそう考えていない。引き続き両国動向は、ニュースに一喜一憂とならざるを得ない。

これ以上、中東を材料に価格が上昇するとすれば、さらに具体的に米国とイランが軍事的に衝突すること、ないしはクシュナーの提案などをきっかけにイスラエルとパレスチナの対立が深まり、軍事衝突が起きることであるが、現時点では希望的観測も含めて「ない」と信じたい。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に上昇。港湾在庫の減少が継続していることや欧州の気温上昇を受けた欧州炭価格の上昇が影響している。

【石炭価格見通し】

石炭価格は欧州の気温上昇と、北半球の夏場を控えて上昇するとみているものの、欧州市場でのよりクリーンなエネルギーへのシフト、景気減速による電力需要の後退、中国の景況感の悪化を受け、上昇余地も限定されると考える。

中国の石炭の輸入量は回復しており、過去5年のレンジを上抜けした。しかし生産調整や夏場に向けた需要回復で、港湾在庫は減少傾向を強めており、需給はタイト感が強まっている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が減少傾向を強めていることは国内需要が季節的に増加していることを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国がイランを攻撃する準備を整えていたことが発覚、両国の緊張はこれまでにないほど高まっていることは、開戦を通じた供給懸念を通じて価格の上昇要因に。

・米朝首脳会談が電撃的に開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングの減少が顕著だが、WTIのショートには買戻し、Brentはショートが増加した。中東情勢を巡り市場参加者のスタンスはまちまちだが、とにかく積み上がったロングから解消する動きが強まっているようだ。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、「雲のねじれ」がある7月初に、例えば中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産幅を拡大したり、ということがあれば、7月以降、ポジションの巻き戻しで急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが513,180枚(前週比 +16,239枚)、ショートが120,370枚(+2,232枚)、ネットロングは392,810枚(+14,007枚)、Brentが320,816枚(前週比▲5,664枚)、ショートが72,810枚(+1,084枚)、ネットロングは248,006枚(▲6,748枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇。FRBパウエル議長が明確に利下げの可能性を肯定する発言をしたことで、投機の買戻し圧力が強まったため。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は上昇余地を探る動きになると考える。FRBパウエル議長が利下げの可能性を比較的強く市場に印象付けたため、投機の買戻しが入ると考えられることから。

ただし、この上昇はテクニカルな買戻しであり、景気は減速局面にあること、米中通商協議は長期化するとの見方が大勢を占めていることから上値も限られ、秋口に下値余地を探るとの見方に変更はない。

再び上昇に転じるのは中国の公共投資が顕在化する年後半以降と見る。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは低調で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオとも低下、需給環境が緩和していることを示唆。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・6月28日付のLMEポジションは動きがまちまち。

亜鉛・錫を除くすべての金属で金融緩和期待を受けた、価格の上昇観測から積み上がっていたショートの解消が進んでいる。また、緩和期待に加え、中国の経済対策期待などによる需要増加観測もあり、ロングも増加している。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲52.7奥ドル(前週▲57.0億ドル)と売り越し幅を縮小。売り越し額の減少幅は▲7.5%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,282千トン(前週▲1,411千トン)と売り越し幅を縮小。ただし、亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの減少率は▲9.1%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は下落、原料炭スワップ先物は小幅上昇、中国鉄鋼製品市場は下落した。

業界からの陳情で中国政府が鉄鉱石先物市場に何らかの調査を行うのでは、との見方や、PPIの減速を受けた景気への懸念で鉄鋼製品価格が下落したことが背景。供給不安が解消したわけではない。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の公共投資促進策と豪州からの供給不安、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産見通しといった供給面が意識されて高止まりすると考える。

ただし、米中通商協議継続観測を受けた買戻しの影響は一巡したとみられ、今後は協議の進展度合いに焦点が移る。ただし、相互制裁は継続したままであることから、現時点では売り材料と整理するべき。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは48.2(前月50.0)と減速。新規受注が国内外とも低迷しており(新規受注 47.9(46.7)、輸出新規受注 40.7(45.9))、生産も49.1(56.0)閾値の50を下回った。

ただし、在庫は完成品が39.3(38.3)、原材料在庫が43.5(45.1)と低水準であることは事実であり、需要顕在化時(中国の公共投資など)に鉄鋼製品価格が急騰する可能性も。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+29万トンの1,207万トン(過去5年平均1,068.1万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比+35万トンの1億1,560万トン(過去5年平均1億1,869.6万トン)、在庫日数は+0.8日の23.9日(過去5年平均 30.0日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は大幅に上昇。FRBパウエル議長が議会証言で、FRBの利下げスタンスを変更していないことを表明したことが材料。

PGMは金銀価格の上昇に加え、FRBの利下げ期待の高まりで株価が上昇したことが材料となった。

【貴金属価格見通し】

金価格は再び上昇余地を探る動きになると考える。一時後退していた米利下げ期待をFRBパウエル議長が強めたことで、実質金利の低下圧力が高まることが背景。

また、イランと米国の対立が激化していることや、イタリアなどの情勢不安も価格を押し上げるとみる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。銀が通貨としての側面を持っていた頃の金銀レシオに戻る可能性は低下している。

PGM価格は金銀価格が顕著に推移するため同様に上昇すると考えるが、株価も上昇することから金銀を上回る上昇になると考える。供給面の影響で需給がタイトなパラジウムは、より上昇することになるだろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっており、7月のFOMCでの25bpの利下げは織り込んだ(金ベースで25ドル程度の上昇要因)。

しかし、逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は一旦追加関税引き上げなどが先送りになったが、基本的に難航している。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスクが高まっている。共和党議会側はイランに対する戦闘の準備を終えており、それをトランプ大統領が止めた、という状況。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少しているが、利下げ期待の後退でこれらのポジションの巻き戻しが起きる可能性があり、下落リスクは高まっている。

・プラチナのポジションは大きく変わらず、パラジウムはロング・ショートとも増加しているが、ロングの増加のほうが大きい。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが312,702枚(前週比 +14,594枚)、ショートが53,756枚(▲7,798枚)、ネットロングは258,946枚(+22,392枚)、銀が99,739枚(+2,166枚)、ショートが69,284枚(+2,276枚)、ネットロングは30,455枚(▲110枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが47,841枚(前週比 ▲790枚)、ショートが38,544枚(▲8,101枚)、ネットロングは9,297枚(+7,311枚)、パラジウムが16,855枚(+1,674枚)、ショートが4,838枚(+506枚)、ネットロングは12,017枚(+1,168枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は上昇。米中貿易交渉が再開したことや、FRBパウエル議長発言を受けたドル安の進行、北米の天候状況悪化を受けた不作への懸念から買戻しが優勢となった。

【穀物価格見通し】

穀物価格は当面、天候状況が価格を左右する展開となり、神経質な推移が続くと予想する。

しかし、基本的には北米の作付け状況が不良であること(トウモロコシ、大豆とも、作況は過去5年の最低水準を下回っている)や、欧州の気温上昇による不作への懸念、FRBの利下げ期待の高まりがドル安を進行させることから、総じて下値は堅かろう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ136億8,000万ブッシェル(前月150億3,000万Bu)大豆 41億5,000万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億300万Bu(18億9,700万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ16億7,500万ブッシェル(前月24億8,500万Bu)大豆 10億4,500万Bu(9億7,000万Bu)小麦 10億7,200万Bu(11億4,100万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉は交渉再開で合意したが、覇権争いであり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・すべての穀物で、ロング・ショートとも減少。ただしショートの買戻し圧力が強く、総じてネットロングが増加している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが465,709枚(前週比 +3,594枚)、ショートが164,910枚(+9,996枚)、ネットロングは300,799枚(▲6,402枚)、大豆はロングが132,609枚(+4,966枚)、ショートが129,457枚(▲54枚)、ネットロングは3,152枚(+5,020枚)、小麦はロングが132,144枚(+2,482枚)、ショートが90,085枚(▲9,373枚)、ネットロングは42,059枚(+11,855枚)

◆本日のMRA's Eye


「非鉄金属価格見通し~総括・銅・亜鉛」

【総括】

非鉄金属価格に対する説明力が高い「新規受注・在庫レシオ」は5・6月の統計で大幅な低下となり、それに歩調を合わせる形で非鉄金属価格も水準を切り下げている(逆にすでにこれを織り込んで、非鉄金属価格が先行して下落していた側面も否めず)。

悪化の背景には、米国の中国に対する制裁強化とそれに対する報復による景気先行き懸念、中国人民銀行による金融政策の効果が弱まっていることなど。

構造的な成長減速や、米中問題を背景とした景気への懸念から、投機筋は積極的に売りポジションを積み上げており、原稿執筆辞典で、亜鉛と錫以外はネット売り越しに転じ、その幅を拡大させている。

しかし、新規のショートの積み上がりによる下落であり、投機筋は基本的に売却するべき現物を保有していないことからこれらのポジションは解消(買戻し)される可能性が高く、米中通商問題の一時的な合意などのポジティブ材料を切っ掛けに、価格が急上昇する可能性は否定しない。

【銅】

2019年の銅需給は、最大消費国である中国の需要見通しが景気刺激のための公共投資実施などの影響で、前年比+3.4%の1,267万8,000トンとなることなどから、全体でも前年比+2.8%の2,490万6,000トンに増加する見通し。

一方、精錬銅の供給は、中国の増産による供給増(+4.1%の978万2,000トン)も、全体では+2.4%の2,468万9,000トンに留まる見込みであり、全体で▲21万7.000トンの供給不足になると予想。

2020年に関しては、需要が前年比▲2.6%の2,556万7,000トン、供給が▲2.1%の2,522万5,000トンとなるが、需給バランスは▲34万2,000トンと供給不足幅が拡大の公算であり、需給面で銅価格は上昇余地を探りやすい地合い。

ただし足元、循環的な景気減速に加えて米中通商協議がほぼ経済戦争のレベルまでエスカレートしてしまったことから、期待需要の減速が価格を押し下げている状況。

景気後退を回避するために米中通商協議が再開される見通しであること、年後半には中国政府の公共投資実施などが期待されること、供給リスクの顕在化(チュキカマタの労使交渉難航(合意済み)、グラスブルグの坑内掘りへの変更、ザンビア政府によるヴェダンタの採掘権はく奪など)から、年後半から来年にかけて緩やかに上昇に転じるものと思料。

2019年の銅平均価格は6,082ドル/トンと前回予想から▲172ドルドルと米中通商戦争の顕在化による需要減速懸念から、見通しを引き下げた。

2020年は通商問題の影響緩和とインドの需要増加などで、6,225ドル(▲175ドル)と2019前年比では上昇の見込み。中長期的にはインドが人口ボーナス期入りしていること、電化(EVなど)の進捗から需要は堅調であり引き続き、強気見通しを維持。

上記見通しのリスクは、上昇リスクが、米中通商協議が予想外に合意(根本解決)する場合、環境問題などを背景とする減産が増加する場合、米景気減速を「予防的に」回避する目的で米利下げが予想以上のペースで行われた場合。

下落リスクは米中通商協議がさらに悪化すること、欧州経済の混乱で中国の需要の減速が加速すること、中東で戦争が開戦となり、経済不安が拡大した場合など。

【亜鉛】

2019年の亜鉛需給は、中国の需要見通しが前年比+0.6%の653万1,000トンなることから、全体でも+0.4%の1,374万トンと小幅な増加になると予想される。

その一方で供給は、中国の生産が+1.9%の577万7,000トンに増加、全体でも+2.5%の1,349万7,000トンへの増加が見込まれているが、精錬設備の容量不足の影響で亜鉛鉱石がだぶつき、亜鉛在庫の水準が低い状態が続いている。結果、全体の需給は▲24万3,000トンの供給不足となる見込み。

2020年に関しては、需要が前年比▲0.8%の1,385万トン、供給が▲2.4%の1,383万3,000トンとなるが、需給バランスは▲1万8,000トンと供給不足となる見込み。ただし供給不足幅は前年比で縮小が見込まれるため、価格に下押し圧力がかかりやすい展開に。

亜鉛は引き続き、鉱山生産と精錬品生産の動きに乖離がみられるが、徐々に精錬所が稼働を始めること、米中通商戦争の影響や循環的な景気減速で製錬亜鉛の需給バランスが緩和方向に向かうことから、年後半にかけて水準を切り下げやすい。

2019年の亜鉛平均価格は2,616ドル/トンと従来予想から▲142ドル引き下げた。2020年の価格予想はインドの構造的な需要増加が見込めるものの、精錬所の再稼働が見込めることが上値を抑えると予想されるため、2,563ドル(▲13ドル)と2019前年比で小幅な低下を予想。

上記見通しのリスクは、上昇リスクが、米中通商協議が予想外に合意する場合、精錬所の再稼働が価格の下落や環境問題などを背景に遅れて精錬品の供給が予想通りとならない場合、米景気減速を「予防的に」回避する目的で米利下げが行われた場合。

下落リスクは米中通商協議がさらに悪化すること、欧州経済の混乱で中国の需要の減速が加速すること、精錬亜鉛の供給増加、中東で戦争が開戦となり、経済不安が拡大した場合など。

◆主要ニュース


・6月日本国内企業物価指数 前月比▲0.5%(前月▲0.1%)、前年比▲0.1%(+0.6%)
 輸出物価 前月比▲0.6%(+0.1%)、前年比▲2.6%(▲2.0%
 輸入物価 前月比▲0.7%(+0.8%)、前年比▲4.0%(▲1.6%

・6月中国消費者物価指数 前年比+2.7%(前月+2.7%)、生産者物価指数±0.0%(+0.6%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲2.4%(前週▲0.1%)
 購入指数+2.3%(+1.1%)
 借換指数▲6.5%(▲1.2%)
 固定金利30年 4.04%(4.07%)、15年 3.42%(3.42%)

・5月米卸売在庫 前月比+0.4%(前月+0.8%)、卸売売上高 +0.1%(▲0.4%)

・パウエルFRB議長(投票権あり・中間派)、「貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重石となっている。雇用統計が強い数字となったがFOMCはスタンスを変えていない。」

・FOMC議事録、「米経済の見通しを巡る不確実性や下振れリスクが顕著に強まり、利下げの論拠が強まった。多くの参加者が追加の金融緩和が近い将来に正当化されると判断。」

・中国政府、米国による台湾への武器売却に強烈な不満を表明。

・文在寅大統領、「韓国企業は日本との対立長期化に備えよ。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計
 原油▲9.5MB(クッシング▲0.3MB)
 ガソリン▲1.5MB
 ディスティレート+3.7MB
 稼働率+0.5%

 原油・石油製品輸出 8,618KBD(前週比+122KBD)
 原油輸出 3,308KBD(▲18KBD)
 ガソリン輸出 708KBD(+42KBD)
 ディスティレート輸出 1,533KBD(+79KBD)
 レジデュアル輸出 108KBD(▲37KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,190KBD(+63KBD)
 その他石油製品輸出 1,586KBD(+1KBD)


・米政府、「航行の自由を確保するために、融資連合を結成できるか検討している。」

・米トランプ大統領、「イラン制裁は間もなく大幅増強される。イランは密かにウラン濃縮を行ってきた。」

・米メキシコ湾で発生している熱帯低気圧、ハリケーンに発達する可能性。

【メタル】
・中国ニッケル最大手金川集団、12月にインドネシアオビ島にある精錬所を全面稼働。15%ニッケル含有のフェロニッケル26万トン/年を生産の予定。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.欧州排出権 ( 排出権 )/ +6.14%/ +13.87%
2.NYB綿花 ( その他農産品 )/ +5.50%/ ▲11.99%
3.DME Oman ( エネルギー )/ +4.54%/ +23.62%
4.NYM WTI ( エネルギー )/ +4.50%/ +33.08%
5.ICE Brent ( エネルギー )/ +4.44%/ +24.55%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ビットコイン ( その他 )/ ▲5.02%/ +220.58%
69.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲4.92%/ ▲6.05%
68.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲2.24%/ +17.64%
67.LIFFEココア ( その他農産品 )/ ▲2.07%/ +2.04%
66.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲1.46%/ +2.45%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,860.20(+76.71)
S&P500 :2,993.07(+13.44)
日経平均株価 :21,533.48(▲31.67)
ドル円 :108.46(▲0.39)
ユーロ円 :122.03(+0.03)
米10年債利回り :2.06(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.31(+0.05)
日10年債利回り :▲0.12(+0.02)
中国10年債利回り :3.17(+0.01)
ビットコイン :11,778.8(▲623.08)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.92(+0.61)
エネルギー :33.77(+1.49)
ベースメタル :20.04(+0.59)
貴金属 :17.33(+0.76)
穀物 :22.51(▲0.51)
その他農畜産品 :28.99(+0.68)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :39.10(+2.24)
Brent :31.92(▲0.97)
米天然ガス :42.33(+0.07)
米ガソリン :38.32(+2.33)
ICEガスオイル :24.53(+4.53)
LME銅 :14.92(▲0.26)
LMEアルミニウム :17.03(+0.84)
金 :19.15(+0.34)
プラチナ :19.10(+0.95)
トウモロコシ :32.34(▲1.44)
大豆 :19.15(+0.34)

【エネルギー】
WTI :60.43(+2.60)
Brent :67.01(+2.85)
Oman :66.15(+2.87)
米ガソリン :200.52(+7.83)
米灯油 :199.10(+8.04)
ICEガスオイル :594.50(+18.25)
米天然ガス :2.44(+0.02)
英天然ガス :32.51(+1.23)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :67.01(+2.85)
SPO380cst :428.97(+28.16)
SPOケロシン :80.22(+2.73)
SPOガスオイル :79.97(+2.60)
ICE ガスオイル :79.80(+2.45)
NYMEX灯油 :199.78(+3.38)

【貴金属】
金 :1419.02(+21.41)
銀 :15.24(+0.13)
プラチナ :826.62(+14.50)
パラジウム :1590.44(+40.94)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,880(+58:17.5C)
亜鉛 :2,381(+11:0B)
鉛 :1,944(+36:11.5B)
アルミニウム :1,832(+29:20.5C)
ニッケル :12,850(+225:60C)
錫 :18,100(▲200:50C)
コバルト :26,665(+1)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5965.00(+142.00)
亜鉛 :2405.50(+36.00)
鉛 :1958.00(+20.00)
アルミニウム :1850.00(+29.50)
ニッケル :13015.00(+265.00)
錫 :18165.00(▲65.00)
バルチック海運指数 :1,759.00(+34.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :120.38(▲0.91)
NYMEX鉄鉱石 :120.84(▲0.51)
NYMEX原料炭スワップ先物 :187(+0.50)
上海鉄筋直近限月 :3,792(▲22)
上海鉄筋中心限月 :4,025(▲23)
米鉄スクラップ :275(+4.00)

【農産物】
大豆 :893.00(+10.25)
シカゴ大豆ミール :309.10(+1.20)
シカゴ大豆油 :27.97(+0.09)
マレーシア パーム油 :1884.00(▲6.00)
シカゴ とうもろこし :434.25(+2.50)
シカゴ小麦 :511.75(+2.00)
シンガポールゴム :174.70(▲4.00)
上海ゴム :10330.00(▲535.00)
砂糖 :12.50(+0.15)
アラビカ :104.35(▲1.55)
ロブスタ :1397.00(▲3.00)
綿花 :63.54(+3.31)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :71.75(+0.38)
シカゴ生牛 :107.63(▲0.50)
シカゴ飼育牛 :142.35(▲0.53)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。