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米利下げ期待後退と統計改善により高安まちまち
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年7月8日 第1567号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米利下げ期待後退と統計改善により高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品などの非景気循環系・非インフレ系資産、米国が最大消費国であるエネルギーなどが上昇し、非鉄金属や貴金属などのインフレ系資産が下落、株も軟調な推移となった。結果、高安まちまち。

注目の米雇用統計は市場予想に反して非常に強い内容。非農業部門の雇用者数は前月比+22.4万人(市場予想+16万人、前月+7.2万人)と回復、確実と思われていた利下げ観測が後退したことが背景。

天然ガス価格も上昇したが、欧州の気温上昇の影響が大きい。

【本日の価格見通し総括】

週明け月曜日は目立った材料の発表が予定されていない。ただし週末の雇用統計を受けて米景気への懸念が後退することから、総じて景気循環銘柄価格が上昇圧力を受けるが、同時にドル高が進行するため、結局影響が相殺されることになり、レンジワークを継続することになると考える。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

金曜日に発表された米雇用統計は、上述の通り市場予想を上回る改善となった。米国の雇用市場がまだ良好であることを示唆するものであり、景気循環系商品価格にはプラスに作用する。

しかしこれにより、7月末のFOMCでFRBは「利下げ、様子見」の2つのカードを持つことになった。これは利下げ確実と見られていた状態から、一歩緩和から後退したことになる。

この結果、実質金利の上昇、ドル高が進行するため、貴金属や非鉄金属などのインフレ系ドル建て資産価格は下押しされることになるだろう。

その一方で、米国が最大消費国である原油などは実需の減速観測の後退が緩和期待の後退を上回り、堅調な推移なると予想される。

しかし、結局のところ景気が減速していることは間違いがなく、このような展開になったとしても一時的だろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2018年からインドが人口ボーナス期入りしており、構造的な需要の増加が見込めることは中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が再開で決定したが、通商協議そのものが合意をしたわけではなく、制裁は継続しており世界経済がさらに減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相の後任が強硬派のジョンソン前外相である可能性が高く、ハードブレグジットの可能性が高まっている(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場は上昇した。米雇用統計が市場予想を上回る内容になったことを受けて、米国の需要鈍化観測が後退したことが背景。予想通りドル高が進行したが、実需減速観測後退の影響がこれを上回った。

【原油価格見通し】

原油価格は現状水準でもみ合うものと考える。米国の雇用統計を受けて、最大消費国である米国経済の減速観測が後退したものの、同時に確実と見られていた7月の利下げの可能性も後退したため、金融面がマイナスに作用すると考えられることから。

イランと米国に関して、両国の国力を削る開戦はない、というのがメインシナリオではあるものの、イランの低濃縮ウランの貯蔵量は上限を超えており、この状態で米イラン首脳会談が開催されるとは考え難く、その選択肢を排除できない状況。

トランプ大統領はイランに対して攻撃したくない、というのが本音と見られるが、ボルトンを筆頭とする共和党保守強硬派はあまりそう考えていないようだ。引き続き両国動向は、ニュースに一喜一憂とならざるを得ない。

これ以上、中東を材料に価格が上昇するとすれば、さらに具体的に米国とイランが軍事的に衝突すること、ないしはクシュナーの提案などをきっかけにイスラエルとパレスチナの対立が深まり、軍事衝突が起きることであるが、現時点では希望的観測も含めて「ない」と信じたい。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に下落。港湾在庫の減少が継続していることや夏場を目前に控えて上昇していたが、前日の上昇幅が大きかったため調整売りに押された。

【石炭価格見通し】

石炭価格は夏場を控えて上昇するとみているものの、欧州市場の需給緩和(よりクリーンなエネルギーへのシフト、景気減速による電力需要の後退)、中国の景況感の悪化を受け、上昇余地も限定されると考える。

中国の石炭の輸入量は回復しており、過去5年のレンジを上抜けした。しかし生産調整や夏場に向けた需要回復で、港湾在庫は減少傾向を強めており、需給はタイト感が強まっている。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は2020年3月まで継続される見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭港湾在庫が減少傾向を強めていることは国内需要が季節的に増加していることを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国がイランを攻撃する準備を整えていたことが発覚、両国の緊張はこれまでにないほど高まっていることは、開戦を通じた供給懸念を通じて価格の上昇要因に。

・米朝首脳会談が電撃的に開催されたが、制裁は継続する見込みであり北朝鮮炭の供給制限も継続されることは、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングの減少が顕著だが、WTIのショートには買戻し、Brentはショートが増加した。中東情勢を巡り市場参加者のスタンスはまちまちだが、とにかく積み上がったロングから解消する動きが強まっているようだ。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、「雲のねじれ」がある7月初に、例えば中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産幅を拡大したり、ということがあれば、7月意向、ポジションの巻き戻しで急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが496,941枚(前週比 ▲5,808枚)、ショートが118,138枚(▲21,524枚)、ネットロングは378,803枚(+15,716枚)、Brentが320,816枚(前週比▲5,664枚)、ショートが72,810枚(+1,084枚)、ネットロングは248,006枚(▲6,748枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格はニッケルが上昇したが、それ以外の商品は下落した。米雇用統計が発表され雇用環境の悪化懸念が後退したものの、同時に利下げ観測が後退したため、金融面が価格を下押しした。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は下値余地を探る動きになると考える。米国経済の悪化懸念が後退したものの、最大消費国である中国の景気減速は継続しており、かつ、利下げ観測の後退でドル高が進行する可能性が高まっているため。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・最大消費国である中国の製造業PMIは低調で、新規受注/完成品在庫レシオ、新規受注/原材料在庫レシオとも低下、需給環境が緩和していることを示唆。

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

ハイドロのアルノルテ アルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・6月28日付のLMEポジションは動きがまちまち。

亜鉛・錫を除くすべての金属で金融緩和期待を受けた、価格の上昇観測から積み上がっていたショートの解消が進んでいる。また、緩和期待に加え、中国の経済対策期待などによる需要増加観測もあり、ロングも増加している。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲52.7奥ドル(前週▲57.0億ドル)と売り越し幅を縮小。売り越し額の減少幅は▲7.5%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,282千トン(前週▲1,411千トン)と売り越し幅を縮小。ただし、亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの減少率は▲9.1%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は下落、原料炭スワップ先物は横ばい、中国鉄鋼製品市場は下落した。

中国鉄鋼協会が、先物市場での鉄鉱石価格の高騰について東京に対して調査を要請したと報じられたことなどが売り材料視された。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の公共投資促進策と豪州からの供給不安、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産見通しといった供給面が意識されて高止まりすると考える。

ただし、米中通商協議継続観測を受けた買戻しの影響は一巡したとみられ、今後は協議の進展度合いに焦点が移る。ただし、相互制裁は継続したままであることから、現時点では売り材料と整理するべき。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の中国鉄鋼業PMIは48.2(前月50.0)と減速。新規受注が国内外とも低迷しており(新規受注 47.9(46.7)、輸出新規受注 40.7(45.9))、生産も49.1(56.0)閾値の50を下回った。

ただし、在庫は完成品が39.3(38.3)、原材料在庫が43.5(45.1)と低水準であることは事実であり、需要顕在化時(中国の公共投資など)に鉄鋼製品価格が急騰する可能性も。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+29万トンの1,207万トン(過去5年平均1,068.1万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比+35万トンの1億1,560万トン(過去5年平均1億1,869.6万トン)、在庫日数は+0.8日の23.9日(過去5年平均 30.0日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は下落した。米雇用統計の改善を受けて利下げ観測が急速に後退、実質金利が上昇したことが材料となった。

PGMもより投機性が強まっているプラチナが大幅な下落となったが、パラジウムは実需系統計の改善を受けて上昇した。

【貴金属価格見通し】

金価格は一旦下値余地を探る動きになると考える。米雇用統計が予想外に良い水準だったため、7月利下げ、ないしは年内の複数回の利下げ観測が後退、実質金利に上昇圧力がかかると考えられるため。

ただし、それでもFRBは緩和方向に舵を切っていること、中東情勢の悪化やイタリアなどの情勢不安を材料に底堅い推移となる見込み。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

PGM価格は金銀価格が軟調に推移するため連れ安になると予想されるが、経済統計の改善は株価などにプラスに作用するため、需給がタイトなパラジウムへの影響は限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が高まっており、7月のFOMCでの25bpの利下げは織り込んだ(金ベースで25ドル程度の上昇要因)。

しかし、逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、各国の金融緩和などを背景とする景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は一旦追加関税引き上げなどが先送りになったが、基本的に難航している。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスクが高まっている。共和党議会側はイランに対する戦闘の準備を終えており、それをトランプ大統領が止めた、という状況。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少しているが、利下げ期待の後退でこれらのポジションの巻き戻しが起きる可能性があり、下落リスクは高まっている。

・プラチナのポジションは大きく変わらず、パラジウムはロング・ショートとも増加しているが、ロングの増加のほうが大きい。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが298,108枚(前週比 +23,475枚)、ショートが61,554枚(▲8,756枚)、ネットロングは236,554枚(+32,231枚)、銀が97,573枚(+4,298枚)、ショートが67,008枚(▲11,751枚)、ネットロングは30,565枚(+16,049枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが48,631枚(前週比 +1,834枚)、ショートが46,645枚(+1,818枚)、ネットロングは1,986枚(+16枚)、パラジウムが15,181枚(+1,638枚)、ショートが4,332枚(+994枚)、ネットロングは10,849枚(+644枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物市場は高安まちまち。米雇用統計を受けたドル高進行が基本的に価格を下押ししたが、トウモロコシは作況の悪化が引き続き材料となり、大豆は生産地の天候状況の改善が売り材料視された。

春冬小麦は作柄が良好であることが売り材料となっている。

【穀物価格見通し】

穀物価格は当面、天候状況が価格を左右する展開となり、神経質な推移が続くと考える。

しかし、基本的には北米の作付け状況が不良であることや、欧州の気温上昇もあって、ショートの買戻しが入り上昇すると考える。

また、需要面では米中首脳会談で、米中交渉再開が確認されたことや(明らかにはなっていないが)中国が農産品の購入量を増加させることで合意した、と伝えられたことも価格にプラスに。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・最終確定作付け面積動向(トウモロコシは増加、大豆は減少、小麦は横ばい)トウモロコシ 9,170万エーカー(市場予想8,703万エーカー、前年8,913万エーカー)大豆 8,004万エーカー(8,468万エーカー、8,920万エーカー)小麦 4,561万エーカー(4,561万エーカー、4,780万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ136億8,000万ブッシェル(前月150億3,000万Bu)大豆 41億5,000万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億300万Bu(18億9,700万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ16億7,500万ブッシェル(前月24億8,500万Bu)大豆 10億4,500万Bu(9億7,000万Bu)小麦 10億7,200万Bu(11億4,100万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉は交渉再開で合意したが、覇権争いであり長期化の可能性は高い(価格の下落要因)。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・すべての穀物で、ロング・ショートとも減少。ただしショートの買戻し圧力が強く、総じてネットロングが増加している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが462,115枚(前週比 ▲11,528枚)、ショートが154,914枚(▲48,383枚)、ネットロングは307,201枚(+36,855枚)、大豆はロングが127,643枚(▲29,590枚)、ショートが129,511枚(▲30,456枚)、ネットロングは▲1,868枚(+866枚)、小麦はロングが129,662枚(▲9,684枚)、ショートが99,458枚(▲10,585枚)、ネットロングは30,204枚(+901枚)

◆本日のMRA's Eye


「スポットLNG価格の低迷」

2019年のスポット天然ガス価格は低迷し、ヒストリカルに見ても非常に引くい水準での推移となっている。LNGプロジェクトの立ち上がりに伴う供給の増加と、循環的な景気の減速に米中通商戦争が加わり、需要の伸びが減速していることから、グローバルに需給が緩和していることが影響しているようだ。

足元、極東のLNG価格(JMKなど)は低迷しており、過去5年の最低水準での推移となっている。急速にLNGの輸入が増加している中国は、年初来累計での輸入数量が前年比+20.8%と増加しているが、日中韓の主要3ヵ国の合計は、韓国の景気減速や、日本の原発再稼働などによる輸入減少で日本の輸入量が昨年程度に低迷していることなどから、3月までの年初来累計で▲4.0%に沈んでいる。

かねてから言われているように足元のLNG市場は供給過剰感が強く、余剰LNGが流入する欧州市場でのガス在庫も大きく積み上がっており、過去5年の最高水準を上回っている。結果、欧州のガス需給が緩和しており、NBP価格も低迷している。

なお、在庫積み上がりは輸入の増加もあるが、そもそも欧州域内の景気が減速していることが主因であり、当面供給過剰感が強い展開になると予想される。

日本勢も輸入先として期待している北米の天然ガス価格も低迷している。

米天然ガス在庫の水準は低く、在庫を需要で割った在庫日数ベースでも過去5年平均を下回っており、在庫の絶対水準も同様で、通常であればもっと価格が上昇してもおかしくない。

輸出も堅調だがスポットLNG市場の緩和から北米価格(含む輸出LNG価格)も低迷を余儀なくされている。

米国の天然ガス生産と需要の推移を季節性を排除した12ヵ月移動平均ベースで見てみると、供給過剰時に天然ガス価格が下落し、供給不足時に天然ガス価格が上昇するという需給の関係性が比較的明確に出ている。

DOEデータを基にしたこの分析だと、2019年~2020年にかけてフローベースの需給は供給過剰(在庫は増加)に傾く可能性が高く、在庫水準の低さを背景とする価格の上昇を抑制する展開になると考える。

今後、夏場に向けて需要が増加し、価格低迷に伴う生産調整と相まって価格は上昇すると見ているが、気温の著しい変化(猛暑・厳冬)や、中東情勢不安でカタールなどからの供給が途絶する、といったイベントリスクの顕在化がなければ、スポットLNG価格は低水準での推移を余儀なくされると考える。

特殊要因としていたエルニーニョ現象が継続しており、その後のラニーニャ現象の発生の可能性もあることから、価格見通しのリスクは上向きだ。

◆主要ニュース


・6月日本外貨準備 1兆3,223億ドル(前月1兆3,080億ドル)

・5月日本景気動向指数速報 先行指数 95.2(前月改定 95.9)、景気一致指数 103.2(102.1)

・5月独製造業受注 前月比▲2.2%(前月+0.4%)、前年比▲8.6%(▲5.3%)

・6月米雇用統計 非農業部門雇用者数 前月比+224千人
(前月改定+72千人(速報比▲3千人))
 民間部門雇用者数 +191千人(+83千人)
 製造業雇用者数 +17千人(+3千人)

・6月米失業率 3.7%(前月 3.6%)
 不完全雇用率 7.2%(7.1%)
 労働参加率 62.9%(62.8%)
 時間当たり平均賃金 前月比+0.2%(+0.2%)、前年比+3.1%(+3.1%)
 週平均労働時間 34.4時間(34.4時間)

・ナバロ米国家通商会議委員長、「米中交渉、合意には時間がかかるだろう。」

・ロシア リャブコフ外務次官、「我々はベネズエラ軍を強化する。」

・インド シタラマン財務相、「インド経済は2014年の1兆8,500億ドルから2兆7,000億ドルに増加した。我々は労することなく、次の数年で5兆ドルを達成することができる。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数788(前週比▲5)、 ガスリグ 174(前週比+1)。

・ハリファ ハフタール司令官、「NOCだけがリビアの原油を売る権利がある。」

・Shell、日本の電力小売りに参入。

・ロシア リャブコフ外務次官、「我々はベネズエラ軍を強化する。」

・イラン革命防衛隊、モフセン・レザイ元司令官、「英国がイランの石油タンカーを解放しない場合、イランの当局者には報復して英国の石油タンカーを拿捕する義務がある。」

・ロイター、「6月のOPEC14ヵ国の産油量は2,960万バレル(前月▲17万バレル)。OPEC11ヵ国の減産順守率は156%。」

【メタル】
・中国鉄鋼協会、「鉄鉱石市場の正常な秩序を維持するため、調査と監督を求める。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +9.51%/ ▲51.55%
2.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +5.59%/ ▲17.76%
3.CBTエタノール ( エネルギー )/ +3.24%/ +21.12%
4.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +1.65%/ ▲6.73%
5.CME生牛 ( 畜産品 )/ +1.47%/ ▲14.26%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.ビットコイン ( その他 )/ ▲5.87%/ +200.31%
69.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ ▲4.37%/ +62.80%
68.プラチナ ( 貴金属 )/ ▲2.94%/ +1.84%
67.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲2.49%/ +7.46%
66.CBT大豆油 ( 穀物 )/ ▲2.07%/ ▲0.40%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,922.12(▲43.88)
S&P500 :2,990.41(▲5.41)
日経平均株価 :21,746.38(+43.93)
ドル円 :108.47(+0.65)
ユーロ円 :121.76(+0.08)
米10年債利回り :2.03(+0.08)
独10年債利回り :▲0.36(+0.04)
日10年債利回り :▲0.16(±0.0)
中国10年債利回り :3.17(+0.02)
ビットコイン :11,034.(▲687.74)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.04(▲0.23)
エネルギー :31.40(▲0.41)
ベースメタル :21.04(▲1.84)
貴金属 :16.98(+1.54)
穀物 :22.55(▲0.33)
その他農畜産品 :27.41(+0.08)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :38.26(▲0.27)
Brent :33.45(▲0.85)
米天然ガス :31.93(+0.54)
米ガソリン :35.60(▲0.01)
ICEガスオイル :19.83(▲2.27)
LME銅 :15.15(+0.08)
LMEアルミニウム :17.79(▲0.12)
金 :19.40(+0.81)
プラチナ :18.16(+3.88)
トウモロコシ :33.39(▲0.28)
大豆 :19.40(+0.81)

【エネルギー】
WTI :57.51(+0.17)
Brent :64.23(+0.93)
Oman :63.15(+0.60)
米ガソリン :192.95(+1.28)
米灯油 :190.50(+0.63)
ICEガスオイル :576.75(+2.00)
米天然ガス :2.42(+0.13)
英天然ガス :29.59(+2.57)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :64.23(+0.93)
SPO380cst :397.11(+9.37)
SPOケロシン :76.95(+0.89)
SPOガスオイル :76.83(+0.90)
ICE ガスオイル :77.42(+0.27)
NYMEX灯油 :191.61(+0.82)

【貴金属】
金 :1399.45(▲16.63)
銀 :15.00(▲0.29)
プラチナ :810.32(▲24.53)
パラジウム :1571.15(+6.15)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,870(▲45:13C)
亜鉛 :2,399(▲29:5B)
鉛 :1,871(▲19:8C)
アルミニウム :1,802(+8:22.5C)
ニッケル :12,370(▲15:70C)
錫 :18,375(▲125:25C)
コバルト :28,625(▲5)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5898.00(▲18.00)
亜鉛 :2409.50(▲17.50)
鉛 :1877.00(▲5.00)
アルミニウム :1804.50(▲5.00)
ニッケル :12465.00(+85.00)
錫 :18280.00(▲130.00)
バルチック海運指数 :1,740.00(+40.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :114.45(▲1.53)
SGX鉄鉱石 :115.78(▲5.29)
NYMEX鉄鉱石 :117.1(▲6.06)
NYMEX原料炭スワップ先物 :186(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,849(▲1)
上海鉄筋中心限月 :4,014(▲19)
米鉄スクラップ :271(+1.00)

【農産物】
大豆 :872.25(▲13.00)
シカゴ大豆ミール :303.80(▲2.20)
シカゴ大豆油 :27.44(▲0.58)
マレーシア パーム油 :1909.00(+19.00)
シカゴ とうもろこし :434.00(+1.00)
シカゴ小麦 :519.25(+1.25)
シンガポールゴム :183.70(▲3.30)
上海ゴム :11155.00(+105.00)
砂糖 :12.36(▲0.18)
アラビカ :109.45(▲2.80)
ロブスタ :1414.00(▲29.00)
綿花 :63.44(▲0.31)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :72.13(▲1.43)
シカゴ生牛 :107.00(+1.55)
シカゴ飼育牛 :138.83(+2.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。