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米中緊張緩和期待とFOMCを受けて景気循環銘柄上昇
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年6月20日 第1555号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中緊張緩和期待とFOMCを受けて景気循環銘柄上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は景気循環系商品が続伸し、これまで上昇してきた非景気循環銘柄である農産品などが売られる流れとなった。

注目のFOMCでは利下げ方向が示され、市場の見通しとの乖離が解消、実質金利の低下とドル安が進行したことが背景。

昨日発表された日本の貿易統計では▲9,671億円と4ヵ月振りの赤字となった。10連休に伴う輸出前倒しの可能性はあるものの、自動車部品並びに半導体製造装置の輸出が低迷した。

地域的な内訳をみると、対アジア(含む中国)の輸出と輸入の落ち込みが顕著だ。製品的には半導体製造装置の輸出入がともに減少しており、中国に対する米国の制裁の影響が出始めているためと考えられる。明らかにアジア地区の景気に減速感が出始めていることが伺える。

【本日の価格見通し総括】

本日は昨日のFOMCの結果を受けた実質金利の低下、ドル安の進行で景気循環銘柄、貴金属などが物色される流れになると考える。また、米中首脳会談の開催期待も価格を押し上げよう。

本日の注目材料としては、米フィラデルフィア連銀景況指数。市場予想は10.4(前月16.6)と大きく減速することが予想されており、通常であれば景気循環銘柄価格の下落要因となるが、緩和観測が強まっているため影響は相殺されて限定的だろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

注目のFOMCは利下げ方向に舵が切られたことを確認する内容だった。しかし、FOMCメンバーの政策金利見通しを示す「ドット・チャート」を見るに、今回のFOMCが紛糾したことをうかがわせる内容だったことも事実。

明らかに、「足元の失業率も低く、緩和の必要はない」とする勢力と、「予防的に利下げを行うべき」とする勢力が二分されている。

景気が減速局面入りするため、年内に1回程度の利下げがあってもおかしくないと考えるが、景気見通しは上方修正され、失業率見通しも低下見通しに修正されるなど整合性が取れていない。

この中で利下げをする根拠としては、物価見通しが下方修正されていること一点である。

現時点での利下げ(まだ米国の景気は後退していない)は、特に株などの価格を押し上げ、先々の金融正常化時の下落リスクを高めることになる。

しかし、このタイミングでの利下げ実施は、来年の大統領選挙の時に訪れる可能性がある、「本当の景気後退」時の「カード」を減らすことになる。まだゆとりはあるが、今の日本と同じ状況に米国も陥る可能性があるということだ。

今回のFOMCは、パウエル議長派は政治的に踏み絵を踏まされ、リスクを取りに行ったとの印象が拭い切れない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が難航しており、世界経済が減速する場合(下落要因)。

足元、米中首脳会談が開催される見通しが示されたが、話し合いを継続することは決められても合意に至るかどうかは極めて不透明。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は小幅上昇した。米中貿易交渉進捗期待を受けた需要見通しの楽観と、米石油統計での原油在庫減少、FRBが利下げ姿勢を強めたことが背景。

ただし、OPECプラス総会が7月に先送りされ、合意できないのではないかとの見方が強まっていることが上値を抑えている。

【原油価格見通し】

原油価格は実施の可能性が大きく低下していた米中首脳会談実施の可能性が高まったことで、需要面への過剰な懸念が後退すること、FRBが利下げ方向に舵を切ったこと、イランを巡る緊張は高まっていることから、いったん買戻しが入り、上昇余地を試す展開になると考える。

実際にさらに大きく上昇するには、具体的に同と国の軍事衝突が起きる必要があると考えるが、今のところそこまでの対立にはならないとの見方が大勢。

この状況でのOPECプラス会合は非常に難しい選択を迫られると考えられる。今のところ、現状の減産水準を維持(▲180万~200万バレル程度の減産を維持)がメインシナリオであるが、1.数量を明示せず判断を11月に先送り、2.米国の要請を受けて▲120万バレルの減産順守を決定、といったシナリオもあり得る。

2.は先月上旬頃のメインシナリオで現在はその可能性が後退したが、ホルムズ海峡を巡る緊張が高まって価格が上昇すれば、2.に戻る可能性はある。

なお、安倍首相とハメネイ師の会談は日本では「イランは核を作らない、持たない、使わない」の言質を得た時点で成功と報じられているが、現地メディアは否定的に報じられており、温度差がある。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は続落した。中国の弱めの経済統計の発表がが相次ぎ、環境規制強化の中で石炭価格が急落している欧州市場の影響を受けたもの。

【石炭価格見通し】

石炭価格は夏場に向けて上昇するとみているものの、期間構造が全ゾーンコンタンゴとなったことに象徴されるように、足元の需要動向が弱まっている可能性が高く、当面下値余地を探る動きになると考える。

中国の石炭の輸入量は回復しており、過去5年のレンジを上抜けした。生産に関しては減少傾向となっているが、港湾在庫は増加するなど、需要面の弱さから総じて中国の石炭需給は緩和傾向にある可能性が高く、ファンダメンタルズは強くない。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は7月以降も継続(場合によると減産枠拡大)の見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭生産鈍化(4月2億9,429万トン)、輸入減少(1,564万7,172トン)にもかかわらず、港湾在庫が増加していることは国内需要の弱さを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・ホルムズ海峡でのタンカー攻撃が定常化し始めており、武力衝突の可能性がじりじりと高まっていることは供給懸念を通じて価格の上昇要因。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングの減少が顕著で、同時にショートが増加している。景気への懸念と生産増加観測を意識したポジション取りに。

・逆に、景気刺激策や貿易協定の妥決、生産調整の進捗、といった価格面でのプラス材料が出た場合、このショートポジションに急速に巻き戻しが入る可能性があることはリスク。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、「雲のねじれ」がある7月初に、例えば中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産幅を拡大したり、ということがあれば、7月意向、ポジションの巻き戻しで急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが515,457枚(前週比 ▲23,490枚)、ショートが163,802枚(+25,023枚)、ネットロングは351,655枚(▲48,513枚)、Brentが346,066枚(前週比▲5,391枚)、ショートが54,040枚(+6,910枚)、ネットロングは292,026枚(▲12,301枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。大幅な上昇となった前日の反動で利益確定の動きがあったためと考えられる。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、米中首脳会談実施の可能性が高まったこと、FOMCが利下げに舵を切ったことで、投機の買戻しが入り上昇余地を探る動きになると考える。

ただし、米中会談が行われるものの合意するわけではないこと、景気は循環的に減速していることから上値も重いと考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア、コデルコのストライキ)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・ブラジルの裁判所、ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の再稼働を許可。アルミナ価格の下落を通じてアルミ価格の下落要因に(アルミ)。

・オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・6月7日付のLMEポジションは動きがまちまちだったが、中国の経済政策期待はそれほど大きくなく総じてロングは減少か、増加していても小幅な増加にとどまった。一方、ショートは亜鉛とニッケルを除き減少しており、徐々に下値は堅くなってきている印象。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲60.8億ドル(前週▲54.1億ドル)と売り越し幅を拡大。売り越し額の増加は+60.8%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,532千トン(前週▲1,444千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は+6.1%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は上昇、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品市場は上昇した。

米中首脳会談開催の見通しを受けた景気への過剰な懸念後退から、鉄鋼製品価格が上昇したことが材料となった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の公共投資促進策と、サイクロン・ヴェロニカの影響による豪州からの供給不安、ヴァーレの生産が回復していないこと、米中首脳会談実施期待を受けた鉄鋼製品の投機的な買戻しを背景に、高値圏での推移になると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の鉄鋼業PMIは50.0(前月52.1)と減速。生産の回復(54.5→56.0)はあったが、新規受注の落ち込みが顕著(51.7→46.7)であり、輸出向け新規受注も大きく落ち込み(48.9→45.9)。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+27.2万トンの1,156万トン(過去5年平均1,095.3万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比▲290万トンの1億1,870万トン(過去5年平均1億1,851.6万トン)、在庫日数は▲0.6日の24.9日(過去5年平均 28.6日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

粗鋼生産の回復で原材料在庫が減少した形。これは鉄鋼業PMIとほぼ平仄が取れている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は上昇した。米FOMCはハト派的な内容となり、利下げ期待を織り込む中で水準を切り上げる流れとなった。中東の緊張の高まりも買い材料となった。

PGMは長期金利低下の見通しを受けて金銀価格が上昇したこと、株価の上昇を受けて水準を大きく切り上げた。

ただし、同じ排ガス触媒であるロジウム価格は前日比▲50ドルの3,415ドルと続落しており、昨日のPGMの上昇は投機的な買いによるものと考えられる。

【貴金属価格見通し】

金価格は、FRBが緩和方向に舵を切ったこと、中東情勢の悪化やイタリアなどの情勢不安を材料に堅調な推移になると考える。

また、中東情勢、英国のEU離脱、欧州問題などの悪化を受けて安全資産需要が継続していることも価格を下支えするとみる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調で、目先、米中協議が実施される見通しとなったことが株を押し上げるため、金銀以上に上昇すると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が市場で再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に(逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少し、明確に強気のポジション取りとなっている。FRBの利下げ期待が織り込まれている形。

・プラチナはロング・ショートとも減少しているがロングの解消圧力のほうが顕著。パラジウムはロングが増加、ショートが減少しており、強気のポジション取りを継続。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが250,114枚(前週比 +9,637枚)、ショートが65,876枚(▲18,486枚)、ネットロングは184,238枚(+28,123枚)、銀が85,225枚(+8,572枚)、ショートが82,565枚(▲2,531枚)、ネットロングは2,660枚(+11,103枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが47,336枚(前週比 ▲781枚)、ショートが40,384枚(▲664枚)、ネットロングは6,952枚(▲117枚)、パラジウムが12,361枚(+239枚)、ショートが2,826枚(▲113枚)、ネットロングは9,535枚(+352枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は軟調な推移となった。米国の供給不安はあるものの世界供給は十分との見方に加え、米利下げ期待や米中貿易協議の進展期待でより、景気循環系商品価格が物色されたことが背景。

【穀物価格見通し】

穀物価格は再び買戻しが入り、上昇すると考える。米中首脳会談が実施される見通しが示されたこと、米農務省の需給報告でトウモロコシの生産見通しが引き下げられたことが、作付けの遅れで大豆価格を、競合飼料である小麦価格を押し上げることから。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ136億8,000万ブッシェル(前月150億3,000万Bu)大豆 41億5,000万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億300万Bu(18億9,700万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ16億7,500万ブッシェル(前月24億8,500万Bu)大豆 10億4,500万Bu(9億7,000万Bu)小麦 10億7,200万Bu(11億4,100万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉はほぼ戦争にまで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロング・ショートとも減少。ロング減少はメキシコとの通商懸念、ショートは悪天候の影響。小麦は競合飼料のトウモロコシ価格の上昇を受けて、ロング増加・ショート減少。

大豆はロング・ショートとも増加しており方向感が出難い。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが447,556枚(前週比 ▲1,963枚)、ショートが208,181枚(▲17,323枚)、ネットロングは239,375枚(+15,360枚)、大豆はロングが140,432枚(+677枚)、ショートが188,101枚(+453枚)、ネットロングは▲47,669枚(+224枚)、小麦はロングが125,812枚(+6,539枚)、ショートが116,102枚(▲6,856枚)、ネットロングは9,710枚(+13,395枚)

◆本日のMRA's Eye


「OPECプラスは減産で合意できるのか~シナリオ別価格予想」

6月のOPEC総会並びにOPECプラス会合が、7月1日・2日延期された。直近の報道ベースでは7月8日~12日が候補となっている。恐らくG20での米中協議の行方や、米国のイランに対する対応を睨みながらにならざるを得ないため、このような日程になったと考えられる。

では今回の総会を受けた原油価格見通しはどうなるだろうか。米中首脳会談で意義ある前進がない、という前提の見通しを示す。仮に米中で何らかの合意がみられた場合、下記見通しから2~3ドル程度見通し水準は上振れすることが予想される。

繰り返しこのコラムで主張しているように、原油価格はまず第一に需要動向の影響が大きく、それを受けた価格の推移、それに伴う生産動向、結果的に得られる需給バランスが価格を決めるためである。

現在の需要の落ち着きどころを探る上では製造業PMIなどの、工業向けの統計との原油価格に対する説明力が高いが、これを元にすると、現在の原油価格が、減産やFRBの利下げ観測によって支えられていることが分かる。

ロシアとサウジが主張するように、仮に減産が行われなければ原油価格はBrentベースで40ドル台に落ち込んでもおかしくない状況にある。しかし、減産を行ったからといって必ずしも原油価格が支持されるわけではない。

2019年6月10日付MRA's Eye「中東有事による原油価格上昇リスク~過去のケースを整理」のところでも解説しているように、景気が減速局面、すなわちISM指数や製造業PMIが閾値の50を上回っている場合、減産してもその効果は限定されるということである。

しかしまだ、世界の製造業PMIは辛うじて50近辺で踏みとどまっているため、恐らく減産があればそれなりに効果は出るだろう。今のところ弊社が想定しているメインシナリオは、「現在の」減産幅を維持するケース。即ち、▲180万~200万バレルの減産を行うという場合だ。この場合、原油価格はBrentベースで60ドルオーバーを当面維持するだろう。

次に、当初のメインシナリオだったOPECプラスが2018年10月基準比で▲120万バレルの減産を遵守した場合。この場合は、50ドル台半ばに下落することになるだろう。これは実質増産となるためだ。

次にあまり想定できないが、OPECとロシアが減産で合意できなかった場合。この場合には上述の分析の通り、原油価格はサウジとロシアが言う通り、40ドル台まで下落する可能性があると見ている。

なお、この価格は中東有事発生を織り込んでいない。仮に、現在市場で非常に懸念されているイラン問題だが、今のところメインシナリオは、日本や欧州のどこかの国(フランスか)の仲介によって、イランに対する制裁が一時的に停止され、話し合いがもたれるケースを想定している。ただ、これは希望的観測を大いに含んでいる。 タンカーに対する攻撃は、正確なところよく分からない。しかし、米国との交渉窓口役を買って出ている日本の首相と対談中にイラン側が日本の船舶を攻撃する意味がないため、イランの体制転換を狙うその他の武装組織の犯行、ないしは革命防衛隊の末端まで統制が取れてない、といった偶発事故の可能性が高いと考える。

もしそうではなく、イランないしは米国が仕掛けたものだとするならば、これは高い確率で「国対国」の戦闘となる。その場合、ホルムズ海峡は完全ではないにせよ封鎖され、航行が相当困難になることから、過去の例を見るに前年比40~50%程度の上昇になってもおかしくない。80ドルや90ドルといった水準を見ることになるだろう。

しかしこの場合、1.戦略備蓄の放出が見込まれること、2.原油価格の高騰や中東有事が需要を冷やすこと、から景気減速局面の現時点において、長期に渡る上昇にはならないと考えている。

◆主要ニュース


・5月日本貿易収支季節調整前 ▲9,671億円の赤字(前月568億円の黒字)
 輸出 前年比▲7.8%の5兆8,351億円(▲2.4%の6兆6,589億円)
 輸入 ▲1.5%の6兆8,022億円(+6.4%の6兆6,021億円)

 米国向け
  輸出 +3.3%の1兆1,878億円(+9.6%の1兆4,101億円)
  輸入 ▲1.6%の7,928億円(+2.3%の6,869億円)

 欧州向け
  輸出 ▲7.1%の6,475億円(▲2.6%の7,980億円)
  輸入 +8.7%の8,990億円(+10.6%の7,945億円)

 アジア向け
  輸出▲12.1%の3兆1,207億円(▲3.3%の3兆5,333億円)
  輸入▲3.3%の3兆1,003億円(+4.8%の3兆829億円)

 中国向け
  輸出 ▲9.7%の1兆1,485億円(▲6.3%の1兆2,330億円)
  輸入 ▲0.9%の1兆5,402億円(+5.9%の1兆5,513億円)

・5月独生産者物価指数 前月比▲0.1%(前月+0.5%)、前年比+1.9%(+2.5%)

・4月ユーロ圏経常収支季節調整済 209億ユーロの黒字(前月改定247億ユーロの黒字)

・4月ユーロ圏建設業生産高 前月比▲0.8%(前月改定▲0.4%)、前年比+3.9%(+5.8%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲3.4%(前週+26.8%)、購入指数▲3.5%(+10.0%)、借換指数▲3.5%(+46.5%)、固定金利30年 4.14%(4.12%)、15年 3.50%(3.53%)

・米トランプ大統領、「習近平国家主席は偉大な指導者だ。ただし米中合意は公平な合意か、全く合意しないかどちらかだ。」

・FOMC、政策金利であるFFレートの誘導目標を2.25%~2.50%で据え置き。セントルイス連銀ブラード総裁、25bpの利下げを主張。

・FOMC経済予測、2019年(前回予想)/2020年(前回予想)/2021年(前回予想)
 実質GDP予測中央値 2.0-2.2%(1.9-2.2%)/1.8-2.2%(1.8-2.0%)/1.8-2.0%(1.7-2.0%)
 失業率中央値 3.6-3.7%(3.5-3.8%)/3.5-3.9%(3.6-3.9%)/3.6-4.0%(3.7-4.1%
 PCE価格指数 1.5-1.6%(1.8-1.9%)/1.9-2.0%(2.0-2.1%)/2.0-2.1%(2.0-2.1%)
 PCEコア指数 1.7-1.8%(1.9-2.0%)/1.9-2.0%(2.0-2.1%)/2.0-2.1%(2.0-2.1%)
 政策金利予想中央値  2.375%(2.375%)/2.125%(2.625%)/2.375%(2.625%)

・FOMC声明要旨、「目標近辺でのインフレ率推移と力強い労働市場が、今後最も可能性の高い結果。しかし見通しを巡る不確実性は高まっており、これとインフレ圧力を考慮すると、FOMCで経済見通しに関する情報を注視し、適切に行動する。」と、政策金利の変更において「辛抱強くなれる」の文言を削除。

・パウエルFRB議長(投票権あり・中間派)、「多くのメンバーは利下げが適切だと考えている。法律は明白であり4年の任期を全うする。」

・中国人民銀行、大手行に流動性供給支援を要請。

・米トランプ大統領、来年の大統領選立候補を表明。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計
 原油▲3.1MB(クッシング+0.6MB)
 ガソリン▲1.7MB
 ディスティレート▲0.6MB
 稼働率+0.7%

 原油・石油製品輸出 8,398KBD(前週比+191KBD)
 原油輸出 3,290KBD(+125KBD)
 ガソリン輸出 639KBD(+53KBD)
 ディスティレート輸出 1,369KBD(+36KBD)
 レジデュアル輸出 259KBD(▲39KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,139KBD(▲14KBD)
 その他石油製品輸出 1,524KBD(+35KBD)

・イラク南部でロケット砲攻撃。エクソンの油田に影響なし。

・OPECプラス、7月1日~2日に会合実施で合意。

・イラン シャムニ最高安全保障委員会、「戦争をする理由はなく、イランと米国の間で軍事対立は発生しないだろう。他国に圧力をかけようとするなかで、他国を非難することは米当局者の一般的な慣行となっている。」

・イラン ロウハニ大統領、「米国はタンカー攻撃に対するイランの人道的な支援に対して感謝を擦るどころか、政治ゲームとしてのプロパガンダに活用している。」と米国、英国、サウジアラビアの対応を批判。

・カショギ氏暗殺の独立調査にあたった国連の特別報告書、「カショギ氏殺害にムハンマド皇太子が関係している信じるに足る証拠がある。」

【メタル】
・米輸入関税引き上げの影響で、USスチールは米国内の2基の高炉の稼働停止を発表。欧州でも1基を稼働停止に。

・China Hanking Industrial Group、「仮にインドネシア政府が「2022年からの輸出規制を境した場合、ニッケル鉱山の稼働を引き下げる必要がある。生産量は現在の3~5百万トンから7百万トンに増加させる計画。」

・UACJ、鋼管事業を売却しアルミ事業に集中。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGE小豆 ( 穀物 )/ +3.52%/ +45.17%
2.TCMガソリン ( エネルギー )/ +2.18%/ +14.54%
3.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +2.07%/ ▲5.50%
4.日経平均 ( 株式 )/ +1.72%/ +6.59%
5.TCM灯油 ( エネルギー )/ +1.51%/ +1.64%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲4.63%/ +17.59%
67.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲4.56%/ ▲56.53%
66.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ ▲2.85%/ ▲21.05%
65.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.23%/ ▲22.59%
64.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲2.01%/ +0.37%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,504.00(+38.46)
S&P500 :2,926.46(+8.71)
日経平均株価 :21,333.87(+361.16)
ドル円 :108.10(▲0.35)
ユーロ円 :121.35(▲0.05)
米10年債利回り :2.02(▲0.04)
独10年債利回り :▲0.29(+0.03)
日10年債利回り :▲0.14(▲0.01)
中国10年債利回り :3.25(+0.01)
ビットコイン :9,167.27(+41.93)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.25(+0.06)
エネルギー :35.50(▲0.02)
ベースメタル :20.16(+0.08)
貴金属 :15.46(+0.02)
穀物 :25.35(+0.55)
その他農畜産品 :25.80(▲0.12)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :43.03(+0.21)
Brent :39.76(▲0.02)
米天然ガス :27.77(▲0.76)
米ガソリン :35.40(+0.6)
ICEガスオイル :29.52(▲0.25)
LME銅 :15.73(+0.27)
LMEアルミニウム :13.87(▲0.13)
金 :20.56(▲0.05)
プラチナ :18.69(▲0.39)
トウモロコシ :33.02(+1.29)
大豆 :20.56(▲0.05)

【エネルギー】
WTI :53.76(▲0.14)
Brent :62.22(+0.08)
Oman :60.95(▲0.28)
米ガソリン :173.55(+1.41)
米灯油 :182.94(+0.16)
ICEガスオイル :563.50(+1.00)
米天然ガス :2.28(▲0.05)
英天然ガス :26.55(▲1.27)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :62.22(+0.08)
SPO380cst :360.48(▲2.24)
SPOケロシン :74.24(▲0.04)
SPOガスオイル :74.14(+0.16)
ICE ガスオイル :75.64(+0.13)
NYMEX灯油 :184.38(+0.39)

【貴金属】
金 :1360.38(+13.77)
銀 :15.16(+0.15)
プラチナ :812.19(+8.04)
パラジウム :1504.18(+22.16)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,920(+44:25C)
亜鉛 :2,482(+6:126B)
鉛 :1,898(+6:1C)
アルミニウム :1,777(+14:30C)
ニッケル :11,955(+180:90C)
錫 :18,950(+75:50B)
コバルト :28,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5895.00(▲61.00)
亜鉛 :2463.00(▲50.50)
鉛 :1902.00(▲14.50)
アルミニウム :1779.00(+1.00)
ニッケル :12120.00(+170.00)
錫 :18995.00(▲210.00)
バルチック海運指数 :1,135.00(+42.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :107.92(+1.05)
NYMEX鉄鉱石 :106.2(+0.41)
NYMEX原料炭スワップ先物 :195(▲1.00)
上海鉄筋直近限月 :3,727(+24)
上海鉄筋中心限月 :3,762(+52)
米鉄スクラップ :264(±0.0)

【農産物】
大豆 :903.25(▲10.25)
シカゴ大豆ミール :316.90(▲5.10)
シカゴ大豆油 :28.37(+0.04)
マレーシア パーム油 :2026.00(+21.00)
シカゴ とうもろこし :441.00(▲8.75)
シカゴ小麦 :522.25(▲9.25)
シンガポールゴム :199.50(+0.10)
上海ゴム :11645.00(▲25.00)
砂糖 :12.50(▲0.11)
アラビカ :96.25(+1.95)
ロブスタ :1340.00(±0.0)
綿花 :65.38(+0.06)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :81.63(+0.15)
シカゴ生牛 :108.50(▲0.95)
シカゴ飼育牛 :136.53(▲0.73)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。