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ホルムズ海峡の緊張高まりエネルギー上昇
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年6月14日 第1552号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ホルムズ海峡の緊張高まりエネルギー上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格はホルムズ海峡でのタンカー攻撃を受けてエネルギーと貴金属が上昇、同時に景気への懸念から利下げ観測が強まって実質金利を押し下げたことが、その他のインフレ資産価格の押し上げ要因となった。

非鉄金属は実質金利の低下はあったものの、米中対立の継続や中東情勢不安に伴う景気の減速懸念から総じて軟調だった。

昨日も上昇率トップはシカゴ木材。引き続きカナダ生産者の生産能力削減決定が価格を押し上げている(詳しくは2019年6月12日の市場動向総括をご参照ください)。

【本日の価格見通し総括】

本日も、供給懸念を受けたエネルギー価格の上昇と、それ以外の商品は、中東情勢不安の高まりや米中協議の難航を背景とする景気への懸念から来る利下げ観測から、高安まちまちになると考える。

本日、予定されている経済統計では、中国の固定資産投資(1-5月期 前年比+6.1%、1-4月期+6.1%)、工業生産(前年比+5.4%、+5.4%、年初来+6.1%、1-4月期+6.2%)に特に注目している。

経済対策が実施される見通しではあるが、いずれも弱い内容になる可能性が高く、特に非鉄金属価格の下押し要因となるだろう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日、ホルムズ海峡で日本船籍を含むタンカー2隻が武装勢力の攻撃を受け、供給懸念の高まりから原油価格は高騰している。

これまで、ホルムズ海峡を航行している船が攻撃されることはあったが、頻度が今までになく多い。さらに、今回は安倍・ハメネイ師の対談日に発生した攻撃であり、仮にイランがこれを主導したのならば、米国と協議をするつもりはないことになってしまう。

実際にイラン政府が関与したかどうかを確認することはできない。ただ、経済的に困窮し、米国との橋渡しをする、と発言している友好国である日本の首相を前にして攻撃を行う、というのはどう考えてもあり得る話ではない。

タンカーの船員救助をイラン政府が行った、との報道もあり、どちらかといえばイランの反体制派(ジェイシ・アドリなど)やアルカイダなどが、イランの政権に揺さぶりをかけるために行ったと考えるのが妥当だろう。

ただ、これを「イランの仕業」とポンペオ国務長官が発言、イランを攻撃するための材料にする可能性は十分にあり得る。とはいえ派遣している軍の規模を考えると直ちに戦闘が起きる、というのは依然として確率の低いリスクシナリオの位置づけである。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議がほぼ決裂状態にあることにより世界経済が減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は大幅に上昇した。ホルムズ海峡で日本船籍を含む2隻が武装組織に攻撃を受けたとの報道を受けて、原油輸送への懸念が強まったため。

しかし、米中交渉が全く進捗していないことを背景に景気への懸念は根強く、上値も限定された。

【原油価格見通し】

原油価格はイランを含む中東情勢の悪化を受けて買戻しが入り、上昇余地を試す展開になると考える。ただし、米中交渉が難航していることや、循環的な景気減速懸念を受けて上値も重いと考える。

実際にさらに大きく上昇するには、具体的にホルムズ海峡で国同士の軍事衝突が起きる必要があると考えるが、今のところそこまでの対立にはならないとの見方が大勢だろう。

この状況でのOPECプラスミーティングは非常に難しい選択を迫られると考えられる。今のところ、現状の減産水準を維持(▲200万バレル程度の減産を維持)がメインシナリオであるが、1.数量を明示せず判断を11月に先送り、2.米国の要請を受けて▲120万バレルの減産順守を決定、といったシナリオもあり得る。2.は先月上旬頃のメインシナリオであるが、ホルムズ海峡を巡る緊張が高まれば2.に戻る可能性はある。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は続落した。中国の週間輸入量が329万トンと前週の610万トンから減少したことで、海上輸送市場の需給緩和観測が強まっていることが背景。

【石炭価格見通し】

石炭価格は夏場に向けて上昇するとみているものの、期間構造が全ゾーンコンタンゴとなったことに象徴されるように、足元の需給は緩和しており、当面下値余地を探る動きになると考える。

中国の石炭の輸入量は回復しており、過去5年のレンジを上抜けした。生産に関しては減少傾向となっているが、港湾在庫は増加するなど、需要面の弱さから総じて中国の石炭需給は緩和傾向にある可能性が高く、ファンダメンタルズは強くない。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は7月以降も継続(場合によると減産枠拡大)の見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭生産鈍化(4月2億9,429万トン)、輸入減少(1,564万7,172トン)にもかかわらず、港湾在庫が増加していることは国内需要の弱さを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・ホルムズ海峡でのタンカー攻撃が定常化し始めており、武力衝突の可能性がじりじりと高まっていることは供給懸念を通じて価格の上昇要因。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングの減少が顕著で、同時にショートが増加している。景気への懸念と生産増加観測を意識したポジション取りに。Brentはロングの減少が顕著だが、OPEC増産観測(減産幅順守)を受けてショートも減少。

・逆に、景気刺激策や貿易協定の妥決、生産調整の進捗、といった価格面でのプラス材料が出た場合、このショートポジションに急速に巻き戻しが入る可能性があることはリスク。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、この数日の下落で雲を下抜けした。

雲のねじれがあるのが6月末頃であり、仮に中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産を見送ったり、ということがあれば、上記のポジション動向を考えても6月~7月にかけての急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが538,947枚(前週比 ▲25,486枚)、ショートが138,779枚(+13,284枚)、ネットロングは400,168枚(▲38,770枚)、Brentが351,457枚(前週比▲50,863枚)、ショートが47,130枚(▲2,454枚)、ネットロングは304,327枚(▲48,409枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は総じて軟調。米新規失業保険申請件数が悪化したことや、ホルムズ海峡の緊張の高まり、米中対立の継続が売り材料視された。

銅に関してはコデルコのチュキカマタ鉱山での労使交渉が決裂、ストライキに突入することが買戻しの材料となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は中国の経済対策による需要押し上げ観測と、米FRBの利下げ期待の高まり、米統計の改善で一旦売り込んでいた投機筋の買戻しが入り上昇すると考えるが、循環的な景気の減速に加え、米中首脳会談が行われない可能性が高まっていることから、上値も重いと考える。

投機の売りが積み上がり、ネット売り越しとなっているため、仮にG20での米中首脳会談が実施されたり、米国の金融緩和、LME指定倉庫在庫の減少継続があった場合、これらを材料に買戻しが入りやすい地合いにあることは事実だが、一時的な回復に留まるだろう。

なお、中国政府の経済対策の効果は年後半に顕在化する、との見方が多く価格に対するプラス効果は年末にかけてとみられる。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア、コデルコのストライキ)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・ブラジルの裁判所、ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の再稼働を許可。アルミナ価格の下落を通じてアルミ価格の下落要因に(アルミ)。

・オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月31日付のLMEポジションは再びすべての商品でショートが積み上がり始めた。ただし、ニルスターの供給途絶などで鉛のロングは増加している。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲54.1億ドル(前週▲45.8億ドル)と売り越し幅を拡大。売り越し額の増加は+18.1%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,444千トン(▲1,321千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は+9.3%。

今後、総じてこれらのポジションの買戻し圧力が強まる可能性があり、テクニカルに非鉄金属価格が上昇する余地があることは留意。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は高値圏を維持、原料炭スワップ先物は小幅下落、中国鉄鋼製品市場は軟調な推移となった。

豪州やブラジルからの船積みの遅れが指摘されており、中国の鉄鉱石港湾在庫の減少観測が強まっていることが背景。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の公共投資促進策とサイクロン、ヴェロニカの影響による豪州からの供給不安、ヴァーレの生産が回復していないことなどを材料に、高値圏での推移になると予想。

ただし、米中通商戦争が長期化する可能性が高いことが上値を抑える見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の鉄鋼業PMIは50.0(前月52.1)と減速。生産の回復(54.5→56.0)はあったが、新規受注の落ち込みが顕著(51.7→46.7)であり、輸出向け新規受注も大きく落ち込み(48.9→45.9)。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲12.8万トンの1,128.8万トン(過去5年平均1,114万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比▲30.0万トンの1億2,160万トン(過去5年平均1億1,966.6万トン)、在庫日数は▲1.6日の25.5日(過去5年平均 28.9日)と例年の水準を下回った。

粗鋼生産の回復で原材料在庫が減少した形。これは鉄鋼業PMIとほぼ平仄が取れている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は上昇した。米雇用関連統計が若干弱い内容だったことを受けた利下げ観測の強まりで、長期金利が低下したこと、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃を受けた安全資産需要の高まりが背景。

英国のEU離脱がハードなものになる可能性が極めて高くなっていることも価格を押し上げ。

PGMは金銀価格が金利低下に伴う金銀価格の上昇と、株価が高値を維持したことで上昇。ロジウムは225ドル上昇し、3,475ドルとなっており、排ガス触媒向けの需要が回復していることをうかがわせる状況。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中通商交渉のが難航していること、中東情勢の悪化やイタリアなどの情勢不安を材料に、安全資産需要が高まるとみられること、景気悪化を懸念した長期金利の低下が確認される中、原油が下落したとはいえ、OPECの減産期待で高値圏を維持していることが実質金利を押し下げることから、総じて底堅い推移になると考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、同時に米中通商交渉が難航、対立が激化する中で株価が下押しされやすく、対金銀では割安に推移することになると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利下げ期待が市場で再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に(逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少し、明確に強気のポジション取りとなっている。FRBの利下げ期待が織り込まれている形。

・プラチナはロング・ショートとも増加しているがショートの増加圧力が顕著(今後の上昇要因に)。パラジウムはロングが増加、ショートが減少しており、強気のポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが240,477枚(前週比 +46,014枚)、ショートが84,362枚(▲23,413枚)、ネットロングは156,115枚(+69,427枚)、銀が76,653枚(+2,990枚)、ショートが85,096枚(▲10,976枚)、ネットロングは▲8,443枚(+13,966枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが48,117枚(前週比 +516枚)、ショートが41,048枚(+1,338枚)、ネットロングは7,069枚(▲822枚)、パラジウムが12,122枚(+86枚)、ショートが2,939枚(▲75枚)、ネットロングは9,183枚(+161枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は堅調な推移となった。米国の作付けの遅れが深刻な供給不足をもたらす、との見方がさらに強まり投機の買戻しが継続したと考えられる(詳しくは2019年6月13日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

【穀物価格見通し】

穀物価格は再び買戻しが入り、上昇すると考える。米農務省の需給報告でトウモロコシの生産見通しが引き下げられたこと、作付けの遅れで大豆生産にも影響が出る可能性があること、競合飼料である小麦価格の上昇も見込まれることが背景。

ただし、米中の通商交渉が難航しており、シカゴ穀物の需要を下押しすることが上値を抑制。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ136億8,000万ブッシェル(前月150億3,000万Bu)大豆 41億5,000万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億300万Bu(18億9,700万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ16億7,500万ブッシェル(前月24億8,500万Bu)大豆 10億4,500万Bu(9億7,000万Bu)小麦 10億7,200万Bu(11億4,100万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉はほぼ戦争にまで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・主要穀物のショートポジションは、作付けの遅れなどから総じて買戻しが優勢となっている。一方、大豆・小麦は米中通商協議への懸念からロングが減少している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが449,519枚(前週比 +10,873枚)、ショートが225,504枚(▲103,148枚)、ネットロングは224,015枚(+114,021枚)、大豆はロングが139,755枚(▲4,849枚)、ショートが187,648枚(▲33,939枚)、ネットロングは▲47,893枚(+29,090枚)、小麦はロングが119,273枚(▲12,061枚)、ショートが122,958枚(▲13,747枚)、ネットロングは▲3,685枚(+1,686枚)

◆主要ニュース


・日本企業景況判断BSI Q419/Q319/Q219
 大企業製造業 5.5/7.2/▲10.4
 大企業非製造業 ▲2.1/6.5/▲0.4
 中堅企業全産業 ▲1.7/5.6/▲5.3
 中小企業全産業 ▲8.1/▲5.2/▲15.0

・4月日本第3次産業活動指数 前月比+0.8%(前月改定▲0.2%)

・5月対中直接投資 前年比+8.5%の638.3億元(前月+6.3%の629.5億元)
 1-5月期+6.8%の3,690.6億元(1-4月期+6.4%の3,052.4億元)

・5月独消費者物価指数改定 前月比+0.3%(速報比変わらず、前月改定+1.0%)、前年比+1.3%(±0.0%、+2.1%)

・4月ユーロ鉱工業生産 前月比 ▲0.5%(前月改定▲0.4%)、前年比▲0.4%(▲0.7%)

・5月米輸入物価 前月比 ▲0.3%(前月+0.1%)、前年比▲1.5%(▲0.3%)
 輸出物価 前月比▲0.2%(+0.1%)、前年比▲0.7%(+0.2%

・米週間新規失業保険申請件数 222件(前週219千件)、失業保険継続受給者数 1,695千人(1,693千人)

・中国外務省耿爽・副報道局長、「中央政府は断固として香港の条例改正を支持する。」

・ホルムズ海峡でタンカー2隻が攻撃を受ける。

・安倍首相、ロウハニ大統領と対談、「イランがIAEAとの協力を維持していることを評価。中東の平和と緊張緩和のためにできる限りの役割を果たした。中東和平のためにイランが建設的な役割を果たすことが重要だ。」

・イラン ハメネイ師、安倍首相との会談で、「核兵器の製造・保有・使用の意図はない。」

・ポンペオ米国務長官、「タンカー攻撃はイランに責任がある。」

・イラン革命防衛隊キャナニモガッダム・ホセイン元司令官、「タンカー攻撃は安倍晋三首相の訪問を反イラン宣伝に利用する狙いで行われたもので、テロ組織が関与。分離主義を掲げるイラン南東部の反政府組織ジェイシ・アドリの可能性がある。」

・米政権、数100億ドル規模の武器を密輸してイランの革命防衛隊の特殊部隊「コッズ部隊」への制裁回避を支援したとして、「サウス・ウェルス・リソーシズ・カンパニー」とその幹部2人に制裁措置を発動。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 2,089BCF(前週比+104BCF)
 東部 440BCF(+26BCF)
 中西部 469BCF(+33BCF)
 山間部 111BCF(+10BCF)
 太平洋地区227BCF(+14BCF)
 南中央 842BCF(+21BCF)

・OPEC月報
 世界石油需要 Q119:98.8、Q219:99.2、Q319:100.6、Q419:100.8、2019:99.9

 非OPEC供給(含むNGLs) Q119:63.7、Q219:63.5、Q319:64.5、Q419:66.3、2019:64.5

 Call on OPEC Q119:35.1、Q219:35.7、Q319:36.1、Q419:34.5、2019:35.4

※需要見通し下方修正、貿易戦争の影響で。Call on OPECは減少。

【メタル】
環境問題で中国最大のアルミニウム製錬所の1つであるXinfa Group、山西省交口県のアルミナ精錬所(280万トン/年)で全生産ラインを閉鎖。

・中国商務省高峰報道官、「中国からのレアアース輸出に最近変動が生じているのは、市場の変化によるものであり輸出規制によるものではない。」

・コデルコ鉱山労働者、会社側の提案を拒否。ストライキに突入。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME木材 ( その他農産品 )/ +5.36%/ +12.42%
2.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ +2.89%/ +49.73%
3.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ +2.79%/ +17.87%
4.パラジウム ( 貴金属 )/ +2.61%/ +14.85%
5.CBTエタノール ( エネルギー )/ +2.45%/ +22.55%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.56%/ ▲20.92%
67.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲1.72%/ ▲4.42%
66.ICEココア ( その他農産品 )/ ▲1.60%/ +4.59%
65.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲1.33%/ +0.90%
64.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ ▲1.14%/ ▲8.48%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,106.77(+101.94)
S&P500 :2,891.64(+11.80)
日経平均株価 :21,032.00(▲97.72)
ドル円 :108.39(▲0.11)
ユーロ円 :122.23(▲0.23)
米10年債利回り :2.09(▲0.03)
独10年債利回り :▲0.24(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.11(▲0.00)
中国10年債利回り :3.27(▲0.02)
ビットコイン :8,273.46(+153.01)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.76(▲0.72)
エネルギー :34.31(+0.02)
ベースメタル :20.83(+0.21)
貴金属 :15.93(▲0.2)
穀物 :25.86(▲0.2)
その他農畜産品 :26.97(▲1.8)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :40.35(+1.29)
Brent :38.04(+1.03)
米天然ガス :26.60(▲0.56)
米ガソリン :34.97(+0.41)
ICEガスオイル :28.45(▲2.04)
LME銅 :15.46(+0.06)
LMEアルミニウム :15.50(▲0.17)
金 :22.12(▲0.78)
プラチナ :19.06(▲0.6)
トウモロコシ :31.09(+0.21)
大豆 :22.12(▲0.78)

【エネルギー】
WTI :52.28(+1.14)
Brent :61.31(+1.34)
Oman :60.35(+1.32)
米ガソリン :171.99(+3.38)
米灯油 :180.66(+2.67)
ICEガスオイル :558.00(▲1.25)
米天然ガス :2.33(▲0.06)
英天然ガス :28.51(+0.59)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :61.31(+1.34)
SPO380cst :352.23(+4.20)
SPOケロシン :73.38(+1.59)
SPOガスオイル :73.20(+1.48)
ICE ガスオイル :74.90(▲0.17)
NYMEX灯油 :181.50(+1.18)

【貴金属】
金 :1341.96(+8.38)
銀 :14.90(+0.13)
プラチナ :812.37(+1.43)
パラジウム :1449.17(+36.82)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,830(▲18:32.5C)
亜鉛 :2,492(▲21:112B)
鉛 :1,895(+11:8.5B)
アルミニウム :1,788(+2:32C)
ニッケル :11,990(+115:70C)
錫 :19,375(+275:125B)
コバルト :28,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5863.50(+11.00)
亜鉛 :2476.00(▲33.50)
鉛 :1892.50(±0.0)
アルミニウム :1786.00(▲0.50)
ニッケル :11845.00(±0.0)
錫 :19335.00(+80.00)
バルチック海運指数 :1,080.00(▲25.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :106.49(+2.99)
NYMEX鉄鉱石 :106.29(+3.30)
NYMEX原料炭スワップ先物 :196(▲0.50)
上海鉄筋直近限月 :3,760(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,774(▲31)
米鉄スクラップ :270(±0.0)

【農産物】
大豆 :888.00(+10.00)
シカゴ大豆ミール :321.70(+2.20)
シカゴ大豆油 :28.02(+0.46)
マレーシア パーム油 :1989.00(+38.00)
シカゴ とうもろこし :442.00(+12.00)
シカゴ小麦 :535.50(+9.25)
シンガポールゴム :199.90(+2.00)
上海ゴム :11865.00(±0.0)
砂糖 :12.75(+0.13)
アラビカ :97.35(▲1.70)
ロブスタ :1384.00(▲16.00)
綿花 :66.83(+0.26)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :79.23(+0.20)
シカゴ生牛 :109.05(▲0.60)
シカゴ飼育牛 :136.23(▲1.58)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。