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中国政策期待と米利下げ観測で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年6月12日 第1550号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「中国政策期待と米利下げ観測で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は総じて堅調な推移となった。10日に中国がインフラ投資に関する景気刺激策を発表したことや、FRBの利下げ観測が総じて価格を押し上げる一方、固有の供給懸念が存在する商品が顕著に上昇した。

昨日、最も上昇したのがシカゴ木材。カナダのCanforがブリティッシュ・コロンビア州のバベンビー工場を閉鎖(2億ボードフィート/年)、総生産能力が35億5,000万ボードフィート/年に低下する、との見通しが示されたことが材料となった。

【本日の価格見通し総括】

本日は中国の経済対策や、FRBの利下げ観測の高まりといった政策要因によって多くのリスク資産価格が上昇すると考える。しかし同時にイタリアの財政問題、それに伴うEUとの対立の激化、米中通商交渉の出口が見えないこと、といった別の政策的な要因が価格の上昇を抑制する見込み。

予定されている経済統計としては、来月以降のFOMCでの利下げのサポート材料となり得る、米国のCPI(前月比+0.1%、前月+0.3%。前年比+1.9%、+2.0%)、コア指数(+0.2%、+0.1%。+2.1%、+2.1%)に注目している。しかし、予想通りであれば利下げの必要がある状況にはない。

また、本日から14日まで安倍首相がイランを訪問、ロウハニ大統領とハメネイ師と対談の予定。これにより中東問題に何らかの進捗があるか同課に注目している。決して小さな会談ではない。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

本レポートを配信後の10日、中国政府は経済対策を実施する方針を示した。具体的には公共投資の柱となる、地方政府の資金調達規制を緩和し、銀行に対しては採算のよい案件への資金貸し出しを促し、実質的にシャドーバンキング規制を緩和する方針も示した。

これにより、再び国内の投資需要が回復するとみるが、すでに不動産市場がピークを迎えている中国がさらに不動産投資に傾斜する、ということはまさに日本の住宅バブル崩壊時の状況に近い。

もちろん、今回の対策で一定程度景気が下支えされ、商品需要にもプラスに働くと考えられるため、特に鉱物資源価格を押し上げると予想されるが将来需要の先食いであるうえ、地方財政のさらなる悪化が見込まれることから、先々のリスクはさらに高まったとみておくべきである。

それぐらいのことは、当然中国政府も認識していると考えられるが、今回の米国との通商戦争による景気減速の影響が小さくない、ということである。

また、国民からの習近平支持が揺らぎ、さらには共産党支配体制が崩壊するリスクを多少なりとも意識しなければならない状況にあると推察される。

しかし、世界の為政者は現在、経済合理性のみで政策判断をしていないことから、周辺環境を基にして為政者が何を考え、何をしようとしているかを推察することがきわめて困難になっていることを考えると、こうした予測もあまり意味がない。

それよりは、「確率が低くとも、発生し得る可能性があるイベントリスク」を整理し、それの顕在化時への備えをするほうが建設的だろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議がほぼ決裂状態にあることにより世界経済が減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は小幅に上昇した。米中対立の激化で需要見通しは暗いものの、FRBの利下げ観測は、米エネルギー省が供給見通しを引き下げたため、需給ひっ迫観測が強まったことが背景。

【原油価格見通し】

原油価格はOPEC減産期間延長や、米国の金融緩和観測を受けて一旦買戻しが入って水準を切り上げると考えるが、米中通商協議に進展が見られない上、OPECプラスが減産期間延長でほぼ合意したものの、減産幅については合意していないことなどから、上値余地も限定されると考える。

しかし、米中通商協議は対立が激化した状態で継続しており、保護主義政策の拡大が景気を下押しするとの見方が強まっていること、欧州不安の再燃などの需要面のマイナスショックは多数存在するため、下向きのリスクは多い。

一方、米国がイランに対する制裁を強化、対立が激しくなっており可能性は低いが軍事的な衝突があり得ることは上向きのリスク。安倍首相とハメネイ師の対談で事態が緩和するかどうかに注目。

トランプ大統領はむしろイランと対話を望んでいるようだが、ペンス副大統領や、ボルトンなどの共和党議会側が強硬姿勢であるため、先行きは不透明。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は続伸。低迷していた中国の石炭輸入が価格の下落を反映してか大幅に増加したことを受けたもの。

【石炭価格見通し】

石炭価格は夏場に向けて上昇するとみているものの、期間構造が全ゾーンコンタンゴとなったことに象徴されるように、足元の需給は緩和しており、当面下値余地を探る動きになると考える。

中国の石炭の輸入量は回復しており、過去5年のレンジを上抜けした。生産に関しては減少傾向となっているが、港湾在庫は増加するなど総じて中国の石炭需給は緩和傾向にある可能性が高く、ファンダメンタルズは強くない。

ただし過去5年基準で見た場合、現在の価格水準はその下限であることや上述の季節性、などから下落余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は7月以降も継続(場合によると減産枠拡大)の見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭生産鈍化(4月2億9,429万トン)、輸入減少(1,564万7,172トン)にもかかわらず、港湾在庫が増加していることは国内需要の弱さを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に。ただしイスラエルは再選挙の予定であり、ネタニヤフ首相が再選されるかどうかは不透明に。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングの減少が顕著で、同時にショートが増加している。景気への懸念と生産増加観測を意識したポジション取りに。Brentはロングの減少が顕著だが、OPEC増産観測(減産幅順守)を受けてショートも減少。

・逆に、景気刺激策や貿易協定の妥決、生産調整の進捗、といった価格面でのプラス材料が出た場合、このショートポジションに急速に巻き戻しが入る可能性があることはリスク。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、この数日の下落で雲を下抜けした。

雲のねじれがあるのが6月末頃であり、仮に中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産を見送ったり、ということがあれば、上記のポジション動向を考えても6月~7月にかけての急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが538,947枚(前週比 ▲25,486枚)、ショートが138,779枚(+13,284枚)、ネットロングは400,168枚(▲38,770枚)、Brentが351,457枚(前週比▲50,863枚)、ショートが47,130枚(▲2,454枚)、ネットロングは304,327枚(▲48,409枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は総じて続伸した。メキシコと米国の移民問題を含む貿易交渉が合意したとの報道や、中国政府が資金難でとん挫している国内のインフラ投資を促進する景気刺激策を発表したこと、ドル安が進行したことが材料となり、一時的に投機の買戻し圧力が強まったことが背景。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は米メキシコ問題の一定の進展と、米FRBの利下げ期待の高まり、米統計の改善で、投機筋の買戻しが一旦入ると考えるが、基本的に景気への懸念が払しょくされたわけではないため、上値も重いと考える。

投機の売りが積み上がり、ネット売り越しとなっているため今回のような通商問題の進展や、米国の金融緩和期待の高まり、LME指定倉庫在庫の減少継続、(希望的観測であるが)米中の合意期待があった場合、これらを材料に買戻しが入りやすい地合いにあることは事実。

しかし、米中通商協議は難航、G20での首脳会談も見送られる可能性が高まっており、最大消費国である中国の期待需要が減少していることから期待需要の見通しは明るくない。

なお、中国政府の経済対策の効果は年後半に顕在化する、との見方が多く価格に対するプラス効果は年末にかけてとみられる。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・ブラジルの裁判所、ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の再稼働を許可。アルミナ価格の下落を通じてアルミ価格の下落要因に(アルミ)。

・オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月31日付のLMEポジションは再びすべての商品でショートが積み上がり始めた。ただし、ニルスターの供給途絶などで鉛のロングは増加している。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲54.1億ドル(前週▲45.8億ドル)と売り越し幅を拡大。売り越し額の増加は+18.1%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,444千トン(▲1,321千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は+9.3%。

今後、総じてこれらのポジションの買戻し圧力が強まる可能性があり、テクニカルに非鉄金属価格が上昇する余地があることは留意。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は上昇して100ドルを回復、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品市場は上昇した。

中国政府が資金難でとん挫しているインフラ投資を促進する方針を示したことや、リオ・ティントの7月・8月の豪州からの出荷は、3月後半のサイクロン・ヴェロニカの影響で例年よりも少なくなるとの見通しが示されたことが材料となった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の公共投資促進策と豪州からの供給不安、ヴァーレの生産が回復していないことなどを材料に、高値圏での推移になると予想。

ただし、米中通商戦争が長期化する可能性が高いことが上値を抑える見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の鉄鋼業PMIは50.0(前月52.1)と減速。生産の回復(54.5→56.0)はあったが、新規受注の落ち込みが顕著(51.7→46.7)であり、輸出向け新規受注も大きく落ち込み(48.9→45.9)。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲12.8万トンの1,128.8万トン(過去5年平均1,114万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比▲30.0万トンの1億2,160万トン(過去5年平均1億1,966.6万トン)、在庫日数は▲1.6日の25.5日(過去5年平均 28.9日)と例年の水準を下回った。

粗鋼生産の回復で原材料在庫が減少した形。これは鉄鋼業PMIとほぼ平仄が取れている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は上昇した。市場は6月のFOMCで利下げの地ならし、7月~8月のFOMCで利下げを織り込む中、イタリアとEUの対立(EUはイタリアに対する是正勧告を指示)を受けて、安全資産需要が高まったことが背景。

PGMは金銀価格が堅調地合いとなる中、中国の経済対策の効果期待を受けた株高で堅調な推移となった。ロジウムは110ドル上昇し、3,070ドルに。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中通商交渉のが難航していること、中東情勢やイタリアなどの情勢不安を材料に安全資産需要は堅調とみられること、景気悪化を懸念した長期金利の低下が確認される中、原油が下落したとはいえ、OPECの減産期待で高値圏を維持していることが実質金利を押し下げることから総じて底堅い推移になると考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、同時に米中通商交渉が難航、対立が激化する中で株価が下押しされやすく、対金銀では割安に推移することになると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利下げ期待が市場で再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少し、明確に強気のポジション取りとなっている。FRBの利下げ期待が織り込まれている形。

・プラチナはロング・ショートとも増加しているがショートの増加圧力が顕著(今後の上昇要因に)。パラジウムはロングが増加、ショートが減少しており、強気のポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが240,477枚(前週比 +46,014枚)、ショートが84,362枚(▲23,413枚)、ネットロングは156,115枚(+69,427枚)、銀が76,653枚(+2,990枚)、ショートが85,096枚(▲10,976枚)、ネットロングは▲8,443枚(+13,966枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが48,117枚(前週比 +516枚)、ショートが41,048枚(+1,338枚)、ネットロングは7,069枚(▲822枚)、パラジウムが12,122枚(+86枚)、ショートが2,939枚(▲75枚)、ネットロングは9,183枚(+161枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は堅調な推移となった。ドル安がやや進行したこともサポートとなったが、夜間に発表された米農務省の需給報告で、トウモロコシの生産見通しが大幅に引き下げられたことが材料となり、需給タイト化観測が強まったことが背景。

【穀物価格見通し】

穀物価格は再び買戻しが入り、上昇すると考える。米農務省の需給報告でトウモロコシの生産見通しが引き下げられたこと、作付けの遅れで大豆生産にも影響が出る可能性があること、競合飼料である小麦価格の上昇も見込まれることが背景。

ただし、米中の通商交渉が難航しており、シカゴ穀物の需要を下押しすることが上値を抑制。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ136億8,000万ブッシェル(前月150億3,000万Bu)大豆 41億5,000万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億300万Bu(18億9,700万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ16億7,500万ブッシェル(前月24億8,500万Bu)大豆 10億4,500万Bu(9億7,000万Bu)小麦 10億7,200万Bu(11億4,100万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉はほぼ戦争にまで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・主要穀物のショートポジションは、作付けの遅れなどから総じて買戻しが優勢となっている。一方、大豆・小麦は米中通商協議への懸念からロングが減少している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが449,519枚(前週比 +10,873枚)、ショートが225,504枚(▲103,148枚)、ネットロングは224,015枚(+114,021枚)、大豆はロングが139,755枚(▲4,849枚)、ショートが187,648枚(▲33,939枚)、ネットロングは▲47,893枚(+29,090枚)、小麦はロングが119,273枚(▲12,061枚)、ショートが122,958枚(▲13,747枚)、ネットロングは▲3,685枚(+1,686枚)

◆主要ニュース


・5月日本工作機械受注 前年比▲27.3%の1,085(前月▲33.4%の▲28.5%の1,087億円)
 外需 ▲23.8%の426億円(▲31.1%の651億円)

・6月ユーロ圏センティックス投資家信頼感 ▲3.3(前月5.3)

・5月米NFIB中小企業楽観指数 105.0(前月 103.5)

・5月米生産者物価指数 前月比+0.1%(前月+0.2%)、前年比+1.8%(+2.2%)
 除く食品エネルギー 前月比+0.2%(+0.1%)、前年比+2.3%(+2.4%)
 除く食品エネルギー・貿易 前月比+0.4%(+0.4%)、前年比+2.3%(+2.2%)

・中国政府、インフラ投資促進のため、金融機関に対して採算性の高い案件への融資を促すほか、資金調達難でとん挫している事業にはシャドーバンキングからの資金調達を事実上容認へ。

・EU経済財政委員会、イタリアの財政規律違反に対する是正勧告を支持。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想
 原油▲713KB(前週+6,771KB)
 ガソリン+515KB(+3,205KB)
 ディスティレート+515KB(+3,205KB)
 稼働率+0.53%(+0.60%)

・API石油統計
 原油在庫+4.85MB
 クッシング+2.37MB
 ガソリン+0.83MB
 ディスティレート▲3.46MB

・国際石油帝石、豪プレリュードLNGプロジェクトでLNG出荷を開始。

・米トランプ政権、イランと欧州の取引を遮断へ、決済期間への制裁も検討。

・イランは、6月~7月のOPEC総会開催を拒否。

・DOE月報
 世界石油需要 Q119:99.8、Q219:100.3、Q319:101.3、Q419:102.0、2019:100.8

 非OPEC供給(含むNGLs) Q119:63.9、Q219:65.1、Q319:66.1、Q419:66.9、2019:65.5

 OPEC生産 Q119:35.9、Q219:35.2、Q319:35.2、Q419:35.1、2019:35.3

※需要見通し・供給見通しともに下方修正も供給減少でCall on OPEC増加。

・5月DOE2019年石油価格見通し
 WTI 59.29ドル/バレル(前月62.79ドル/バレル)
 Brent 66.69(69.64)
 ガソリン 2.64ドル/ガロン(2.74ドル/ガロン)
 ディーゼル 3.11(3.18)
 灯油 3.02(3.03)
 天然ガス 10.60ドル/千CF(10.58ドル/千CF)

【メタル】
・Q319、アルミ割増金、108ドルで一部決着。

・インドネシア スラウェシ州の洪水の影響で、ニッケル鉱石の出荷に遅れ。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME木材 ( その他農産品 )/ +5.86%/ +3.25%
2.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ +4.47%/ +45.92%
3.中国CSI300 ( 株式 )/ +3.01%/ +23.54%
4.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ +2.89%/ +14.07%
5.CBTエタノール ( エネルギー )/ +2.38%/ +19.30%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲6.26%/ ▲54.40%
67.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲1.91%/ ▲7.84%
66.CBTもみ米 ( 穀物 )/ ▲1.66%/ +14.66%
65.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲1.62%/ ▲4.76%
64.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ ▲1.22%/ ▲7.21%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,048.51(▲14.17)
S&P500 :2,885.72(▲1.01)
日経平均株価 :21,204.28(+69.86)
ドル円 :108.52(+0.07)
ユーロ円 :122.91(+0.23)
米10年債利回り :2.14(▲0.01)
独10年債利回り :▲0.23(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.11(+0.01)
中国10年債利回り :3.25(+0.01)
ビットコイン :7,926.8(▲16.66)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :26.80(+0.2)
エネルギー :33.65(+0.21)
ベースメタル :20.89(+0.9)
貴金属 :16.05(+0.07)
穀物 :26.87(+0.29)
その他農畜産品 :29.43(▲0.11)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :37.85(+0.01)
Brent :35.74(▲0.75)
米天然ガス :26.33(+0.09)
米ガソリン :32.37(+0.59)
ICEガスオイル :32.13(+0.03)
LME銅 :14.90(+1.45)
LMEアルミニウム :16.67(+1.74)
金 :24.45(▲0.33)
プラチナ :19.81(+0.42)
トウモロコシ :32.38(+0.66)
大豆 :24.45(▲0.33)

【エネルギー】
WTI :53.27(+0.01)
Brent :62.10(▲0.19)
Oman :61.27(+0.22)
米ガソリン :175.63(+2.60)
米灯油 :182.21(+1.58)
ICEガスオイル :558.00(▲1.25)
米天然ガス :2.40(+0.04)
英天然ガス :27.85(▲1.86)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :62.10(▲0.19)
SPO380cst :366.26(▲2.73)
SPOケロシン :73.61(+0.24)
SPOガスオイル :73.56(+0.25)
ICE ガスオイル :74.90(▲0.17)
NYMEX灯油 :182.63(+0.56)

【貴金属】
金 :1326.85(▲1.13)
銀 :14.75(+0.05)
プラチナ :814.88(+8.16)
パラジウム :1393.47(+12.34)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,916(+105:11C)
亜鉛 :2,520(+45:150B)
鉛 :1,906(+41:43.5B)
アルミニウム :1,784(+31:29.5C)
ニッケル :11,880(+210:55C)
錫 :19,225(+50:135B)
コバルト :28,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5891.00(+14.00)
亜鉛 :2519.00(+44.00)
鉛 :1910.50(+29.50)
アルミニウム :1778.00(+1.00)
ニッケル :11900.00(+275.00)
錫 :19215.00(+15.00)
バルチック海運指数 :1,125.00(▲13.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :103.78(+4.44)
NYMEX鉄鉱石 :102.76(+3.50)
NYMEX原料炭スワップ先物 :196.5(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,750(+70)
上海鉄筋中心限月 :3,783(+80)
米鉄スクラップ :270(▲12.00)

【農産物】
大豆 :859.25(+0.75)
シカゴ大豆ミール :314.40(+1.00)
シカゴ大豆油 :27.22(▲0.16)
マレーシア パーム油 :1986.00(+15.00)
シカゴ とうもろこし :427.75(+12.00)
シカゴ小麦 :518.00(+10.50)
シンガポールゴム :198.20(+0.70)
上海ゴム :12200.00(+140.00)
砂糖 :12.54(+0.14)
アラビカ :97.00(▲1.60)
ロブスタ :1388.00(▲27.00)
綿花 :65.65(▲0.34)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :79.08(▲0.20)
シカゴ生牛 :110.68(+0.98)
シカゴ飼育牛 :138.13(▲1.70)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。