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先物とデリバティブの違い
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第370号

価格リスクマネジメントを行う上の重要なツールとして、先物やデリバティブが存在します。ここで大切なのは、「デリバティブ・先物取引=価格リスクマネジメント」ではなく、あくまで価格リスク制御のためのツールの1つである、という点です。さらに、「デリバティブは危ないから絶対にやってはいけない」というステレオタイプな考え方はしないことが重要です(※詳しくは2019年6月10日付第366回「価格リスクマネジメントを検討する契機」をご参照ください)。

では、先物取引とデリバティブ取引とどう違うのでしょうか?「現物価格が存在する商品について、将来の価格を何らかの方法で値決めし、固定価格と時価を交換する取引」がデリバティブ取引の定義ですので、先物取引はデリバティブ取引に含まれます。ですが、広義には、「先物取引以外のデリバティブ取引」あるいは「相対取引(サプライヤーとユーザーが1対1で相談しながら取引条件を決める取引)」を「デリバティブ取引としているケースが多いようです(なお、先物取引と似たような商品として先渡し取引がありますが、先渡し取引は現物の売買を目的として、特定の期日に現物のやり取りを相対で行うものを指します)。

先物取引は取引所で集中的に取引するため、取引の条件が定型化されています。例えば原油であれば1,000バレル単位、セント単位、最終決済額は納会日の価格、といった条件で取引されます。それに対してデリバティブ取引(相対取引)の場合、1,500バレル、円建て、取引所取引の終値の月間平均で決済、といったように自由に条件を決定できます。日本のように会計基準が会計士によってまちまちの場合は、デリバティブ取引にしてできる限り原契約と同じ条件で取引した方が便利です。

また、取引条件も取引所取引の方が厳格です。例えば取引の時価評価がマイナスになる、あるいはなりそうになった時に証拠金(担保)を差し入れなければなりませんが、時差の影響があっても期日までに担保を差し入れないと、ペナルティが発生します。それに対して相対取引ですと、相手方が合意してくれれば担保の差し入れの遅れが許容されることがありますし、場合によっては担保を要求されない場合もあります。

ただ、先物取引には取引コストはかかりますが、余分な鞘を取られることはありません。しかしデリバティブ取引の場合は、一定のクレジットコスト(信用コスト)や超過鞘を取られることがありますので、先物取引よりも価格が悪くなることがあります(逆に相手方がこの取引をやりたい、と思った時には先物取引よりも有利な条件が提示されることがあります)。このように、メリット、デメリットが各々ありますので、ここを理解しながら使い分ける必要があります。ですが、取引回数が少ない、人員が整わない場合には取引ルールが厳格な先物取引よりも相対で取引を行うデリバティブ取引の方が便利かもしれません。