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貿易戦争緩和期待で引けにかけて上昇
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年6月7日 第1547号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「貿易戦争緩和期待で引けにかけて上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格はコーヒーや砂糖などのブラジルが主要生産・輸出国である農産品が物色される流れとなったが、米国がメキシコに対する関税引き上げを先送りする、との報道で過剰なリスク回避姿勢が後退、米国時間の引けにかけてリスク資産は広く値を戻した。

ブラジル産農産品価格の情報は、生産地の霜害などの影響が低下し、大幅に下落した前営業日の反動とみられる。

【本日の価格見通し総括】

本日は、米雇用統計に注目が集まる。雇用統計の先行指標であるADP雇用統計が市場予想を大きく下回る前月比+2.7万人(前月+27.1万人)となったが、本日の雇用統計は+17.5万人(前月+26.3万人)と高い水準を維持する見込みであり、予想通りであれば景気循環銘柄に買戻しが入る展開になると予想される。

ただ、朝方ペンス副大統領がメキシコへの関税は予定通り行われる、と発言したことで米メキシコの通商交渉が難航する、との見方が再度台頭していることが上値を抑えよう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

米経済統計は強弱まちまちで、中国の経済統計もさえないものが目立っている。しかし、世界1位・2位の経済国である米中の対立は深まりこそすれ、緩和する感じは見られない。

そもそも覇権を争うために米国から仕掛けた闘いであり、米国が果実、具体的には交易条件の改善や、知的財産権の保護や、技術強制移転の停止などを得るまではこの戦いを止める意味はない。

経済規模や現在の米中が置かれている状況を考えると米国側に分があるように見える。しかし、中国側も長期戦を覚悟しており、習近平は「新長征」を宣言した。

ただ「長征」は歴史的には紅軍と国民党軍の対立での戦略の1つであるが、今回の米国との対立とは違う話であるため同列に議論してはいけない。しかし、「長期戦を辞さない」という意思を示し、挙国一致で米国に対応しようと宣言した、と整理するべきだろう。

この戦いが続く以上、米国と中国の財政状態は悪化し、結果的に中央銀行に金融緩和を行うことを政権側から要求する日本型のオペレーションに米中とも移行していく可能性が高い。

つまり、景気が悪くなるにも関わらず、株をはじめとするリスク資産価格が金融面を材料に上昇する可能性があるということだ。

しかし、米政権がこうした金融緩和を選挙のためだけのものと判断し、先々金融政策が再び正常化された場合、膨らんだバブルが弾けてしまう可能性は低くはないだろう。

目先は6月のG20で米中が何らかの合意(おそらく話し合いを継続することを確認する程度を想定)があり、緩和期待と相まって一旦買戻しが入る展開になると予想されるが、問題解決にはまだまだ時間がかかりそうだ。

仮にトランプ大統領が来年の選挙に敗れたとしても、次の大統領も議会の後をしで同様の対中政策を継続すると考えられるため、米中問題はやはり長期化するとみておくべきである。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中の対立激化や、米国のメキシコに対する追加関税などの米保護主義政策の拡大により世界経済が減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格はもみ合っていたが、米国がメキシコに対する関税引き上げを先送りする、との報道を受けて引けにかけて急速に水準を切り上げる形となった。

【原油価格見通し】

原油価格は一旦買戻しされるとみるが、上昇余地は限定されると考える。

価格に対する説明力が高い米政策金利の引き下げ観測が強まっていることや、メキシコ問題への懸念の緩和、米統計の改善、規定路線と思われていたOPECプラスの実質増産が見送られる可能性があることが価格を押し上げると考えられるため。

しかし、米中通商協議での米中対立激化など、保護主義政策が景気を下押しするとの見方が強まっていること、世界の経済統計に減速感が強まっていることが価格を下押し。

イランに対する米国の対応は、場合によると本当に戦争を想定しているものである可能性が否定できない(可能性はゼロではなくなったということ)。

トランプ大統領はむしろイランと対話を望んでいるようだが、ペンス副大統領や、ボルトンなどの共和党議会側が強硬姿勢であるため。

【石炭市場動向総括】石炭先物市場は下落した。米国とメキシコの貿易問題の対立や、景気の先行き懸念で。石炭価格は全ゾーンコンタンゴ化しており、一時の供給懸

念は解消している。

【石炭価格見通し】

石炭価格は夏場に向けて上昇するとみているものの、期間構造が全ゾーンコンタンゴとなったことに象徴されるように、足元の需給は緩和しており、当面下値余地を探る動きになると考える。

中国の石炭の輸入量は過去5年平均を下回って低迷、生産に関しても減少傾向を維持、その一方で港湾在庫は増加するなど中国の石炭需要が弱いことを示唆、ファンダメンタルズは強くない。

ただし過去5年基準で見た場合、現在の価格水準はその下限であることや上述の季節性、などから下落余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は7月以降も継続(場合によると減産枠拡大)の見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭生産鈍化(4月2億9,429万トン)、輸入減少(1,564万7,172トン)にもかかわらず、港湾在庫が増加していることは国内需要の弱さを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、イスラエルネタニヤフ首相の5選達成による、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に(ただしイスラエルは再選挙の予定であり、ネタニヤフ首相が再選されるかどうかは不透明に)。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングの減少が顕著で、同時にショートが増加している。景気への懸念と生産増加観測を意識したポジション取りに。Brentもほぼ同様。

・逆に、景気刺激策や貿易協定の妥決、生産調整の進捗、といった価格面でのプラス材料が出た場合、このポジションに急速に巻き戻しが入る可能性があることはリスク。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、この数日の下落で雲を下抜けした。

雲のねじれがあるのが6月末頃であり、仮に中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産を見送ったり、ということがあれば、上記のポジション動向を考えても6月~7月にかけての急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが564,433枚(前週比 ▲21,546枚)、ショートが125,495枚(+17,914枚)、ネットロングは438,938枚(▲39,460枚)、Brentが402,320枚(前週比▲23,635枚)、ショートが49,584枚(+17,244枚)、ネットロングは352,736枚(▲40,879枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は総じて堅調な推移となった。売られすぎからの買戻しに加え、米国がメキシコに対する関税引き上げを先送りする、との報道を受けて株が上昇したことが買戻しを誘ったため。

なお、オランダ亜鉛生産大手、ニルスター社がポート・ピリー鉛精錬所でフォースマジュールを宣言したことで、鉛は比較的まとまった上昇となった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は米FRBの利下げ期待の高まりと、米統計の改善で、投機筋の買戻しが一旦入ると考えるが、同時にドル高が進行しやすいこと、基本的に景気への懸念が払しょくされたわけではないため、上値も重いと考える。

投機の売りがかさみ、ネット売り越しとなっているため今回のような金融緩和期待の高まりや、中国の経済対策期待、LME指定倉庫在庫の減少継続、(希望的観測であるが)米中の合意期待を材料に買戻しが入りやすい地合いにある。

しかし、米中通商協議は難航、最大消費国である中国の期待需要が減少していることに加え、米墨問題も加わり期待需要の見通しは明るくない。

なお、中国政府の経済対策の効果は年後半に顕在化する、との見方が多く価格に対するプラス効果は年末にかけてとみられる。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・ブラジルの裁判所、ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の再稼働を許可。アルミナ価格の下落を通じてアルミ価格の下落要因に(アルミ)。

・オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月24日付のLMEポジションは再びすべての商品でショートが積み上がり始めた。中でも銅とニッケルはロングも減少しており、明確に弱気なポジション状況となっている。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲45.8億ドル(前週▲37.7億ドル)と売り越し幅を拡大。売り越し額の増加は+21.4%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,321千トン(▲1,106千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は+19.4%。

今後、総じてこれらのポジションの買戻し圧力が強まる可能性があり、テクニカルに非鉄金属価格が上昇する余地があることは留意。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は小幅安、原料炭スワップ先物は変わらず、中国鉄鋼製品価格は大幅に下落した。

中国の鉄鋼製品需要の弱さが価格を押し下げており、鉄鉱石価格の下押し要因となっている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米中通商戦争やメキシコ問題を受け、より需要面が意識されて始めていることから、鉄鋼製品価格の下落を通じて下値余地を探ると考える。

しかし、根本的な供給懸念が解消されていないため、下値余地は限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の鉄鋼業PMIは50.0(前月52.1)と減速。生産の回復(54.5→56.0)はあったが、新規受注の落ち込みが顕著(51.7→46.7)であり、輸出向け新規受注も大きく落ち込み(48.9→45.9)。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲11.7万トンの1,141.6万トン(過去5年平均1,137.9万トン)と例年を上回った。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比▲29.0万トンの1億2,490万トン(過去5年平均1億1,379万トン)、在庫日数は▲0.6日の27.1日(過去5年平均 29.6日)と例年の水準を下回った。

粗鋼生産の回復で原材料在庫が減少した形。これは鉄鋼業PMIとほぼ平仄が取れている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は上昇後、下落した。米国の保護主義政策の拡張がリスク回避姿勢を強める中、金銀が物色されていたが、米国がメキシコに対する関税引き上げを先送りする、との報道を受けて引けにかけて売られた。

PGMは基本的に金銀価格と似た動きとなったが、パラジウムは株価が戻したことでより水準を切り上げた。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,900ドル(前日比+30ドル)と上昇。価格の調整が進んでいたが、現物需給は再びタイト化か。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中通商交渉のが難航していること、中東情勢や欧州の情勢不安を材料に安全資産需要は堅調とみられること、景気悪化を懸念した長期金利の低下が確認される中、中東情勢不安でまだ原油が高止まりしていることが実質金利を押し下げることから総じて底堅い推移になると考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、イタリアの財政問題、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イラン・サウジアラビア・イスラエルを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、同時に米中通商交渉が難航、対立が激化する中で株価が下押しされやすく、対金銀では割安に推移することになると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利下げ期待が市場で再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロング・ショートとも減少しているが、足元はロングの解消圧力のほうが強い状況。銀はロングが減少、ショートが増加で弱気のポジション取り。

ただしショートの増加を鑑みると、相場が反転上昇する中では銀の上げ圧力のほうが強まる可能性。

・プラチナはロング・ショートとも増加しているがショートの増加圧力が顕著(今後の上昇要因に)逆に、パラジウムはロングの増加とショートの減少が確認されている(今後の下落要因に)。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが194,463枚(前週比 ▲9,165枚)、ショートが107,775枚(▲7,048枚)、ネットロングは86,688枚(▲2,117枚)、銀が73,663枚(▲1,819枚)、ショートが96,072枚(+5,928枚)、ネットロングは▲22,409枚(▲7,747枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが47,601枚(前週比 +1,427枚)、ショートが39,710枚(+9,026枚)、ネットロングは7,891枚(▲7,599枚)、パラジウムが12,036枚(+480枚)、ショートが3,014枚(▲493枚)、ネットロングは9,022枚(+973枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は総じて上昇。米メキシコの貿易問題や、米中対立の長期化を受けて価格が下落していたが、記録的な米国の不作見通しが材料となった。

メキシコは米国の制裁を受けてブラジルからトウモロコシ3万5,000トンを購入。米国以外からもトウモロコシを輸入できるとのメッセージとみられる。

【穀物価格見通し】

穀物価格は高値圏にあることから、米国のメキシコに対する制裁発動で一旦売られるものと考える。

しかし、トウモロコシ・大豆・小麦とも生産地の作付けが天候の影響で遅れが深刻な状況となっており、豪州では小麦が不作となるなど、異常気象に伴う生産の下振れが強く意識されているため、記録的な水準にある投機の売り解消も進行すると予想されることから、価格の下値も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産増加観測による需給緩和観測。

・米国の作付けの遅れに伴う需給タイト化観測。トウモロコシ、大豆とも過去5年の最低水準。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・5月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ24億8,500万ブッシェル(前穀物年度20億3,500万Bu)大豆 9億7,000万Bu(8億9,500万Bu)小麦 11億4,100万Bu(10億8,700万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米国がメキシコに対して制裁を発動したことで、米国のトウモロコシ・小麦の最大輸出国であるメキシコ向けのへの輸出が減少するとの見方が価格を下押し。

・米中貿易交渉は相互報復まで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・主要穀物のショートポジションは、作付けの遅れなどからトウモロコシ・大豆・小麦とも解消圧力が強まっており、価格の押し上げ要因となっている。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが438,646枚(前週比 +23,095枚)、ショートが328,652枚(▲83,654枚)、ネットロングは109,994枚(+106,749枚)、大豆はロングが144,604枚(▲5,342枚)、ショートが221,587枚(▲28,300枚)、ネットロングは▲76,983枚(+22,958枚)、小麦はロングが131,334枚(▲4,497枚)、ショートが136,705枚(▲15,257枚)、ネットロングは▲5,371枚(+10,760枚)

◆主要ニュース


・5月東京都心オフィス空室率 1.64%(前月 1.70%)

・4月独製造業受注 前月比+0.3%(前月+0.8%)、前年比▲5.3%(▲5.9%)

・5月独建設業PMI 51.4(前月53.0)

・Q119ユーロ圏雇用 前期比+0.3%(速報比変わらず、前期+0.3%)、前年比+1.3%(±0.0%、+1.3%)

・Q119ユーロ圏実質GDP改定 前期比+0.4%(速報比変わらず、前期確定+0.2%)、前年比+1.2 %(±0.0%、+1.2%)
 総固定資本 前期比+1.1%(+1.4%)
 政府支出 +0.1%(+0.6%)
 家計消費 +0.5%(+0.3%)

・5月米チャレンジャー社解雇者数 前年比 +85.9%(前月+10.9%)

・Q119米非農業部門労働生産性改定 前期比年率+3.4%(速報比▲0.2%、前期確定+1.3%)。単位当たり労働コスト▲1.6%(▲0.7%、+2.5%)

・米週間新規失業保険申請件数 218件(前週218千件)、失業保険継続受給者数 1,682千人(1,662千人)

・Q119米家計純資産変化 4兆6,910億ドル(前期 ▲3兆9,600億ドル)

・5月ブラジル自動車生産 275,747台(前月267,546台)

・5月ブラジル自動車販売 245,440台(前月231,936台)

・インド中銀、レポレートを▲25bp引き下げ5.75%に 、リバースレポレートを▲25bp引き下げ5.50%に、預金準備率を4.00%に据え置き

・米政府、メキシコへの関税賦課を先送りする方向で検討。

・米ペンス副大統領、「メキシコへの関税を10日から引き上げるという立場に変更はない。」

・ECB 2019年GDP成長率予想 1.2%(前回調査時 1.1%)、2020年 1.4%(1.6%)。2019年インフレ率 1.3%(1.2%)、2020年 1.4%
(1.5%)

・ECBドラギ総裁、「超低金利政策の維持を2020年半ばまで延長。政策委員の一部は利下げを、量的緩和などを定期した。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 1,985BCF(前週比+119BCF)
 東部 414BCF(+31BCF)
 中西部 436BCF(+37BCF)
 山間部 101BCF(+8BCF)
 太平洋地区213BCF(+15BCF)
 南中央 821BCF(+28BCF)

・OPECバル襟度事務局長、「OPECは経済の変調を綱領しつつ、市場均衡維持に努力。」

・ロシアプーチン大統領、「60~65ドルの原油価格は困らない。」

・ロシア ノバクエネルギー相、「サウジアラビアのファリハ資源相とOPECプラスの協力に関して話し合った。」

・米インターナショナル・オイル・デイリー、「5月のイラン原油輸出は23万バレル/となった見込み。」

【メタル】
・Codelco、Chuquicamata鉱山労働者の一時払い賃金を43%引き上げへ。

・ベルギー亜鉛大手ニルスター、豪Port Pirie精錬所でフォースマジュールを宣言、顧客への出荷を停止。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CBT小麦 ( 穀物 )/ +3.92%/ +1.34%
2.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +3.42%/ ▲14.26%
3.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ +3.24%/ +30.84%
4.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +2.98%/ +0.20%
5.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.70%/ +30.52%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲4.30%/ ▲55.17%
67.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.27%/ ▲20.95%
66.TCM灯油 ( エネルギー )/ ▲2.01%/ ▲0.52%
65.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲1.78%/ ▲0.59%
64.CBTエタノール ( エネルギー )/ ▲1.65%/ +17.72%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,720.66(+181.09)
S&P500 :2,843.49(+17.34)
日経平均株価 :20,774.04(▲2.06)
ドル円 :108.40(▲0.06)
ユーロ円 :122.23(+0.53)
米10年債利回り :2.12(▲0.02)
独10年債利回り :▲0.24(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.12(+0.00)
中国10年債利回り :3.24(+0.01)
ビットコイン :7,690.61(▲42.27)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :26.18(+0.32)
エネルギー :33.22(+1.13)
ベースメタル :18.38(+0.4)
貴金属 :17.36(▲0.17)
穀物 :27.35(+0.37)
その他農畜産品 :28.52(+0.05)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :37.04(+1.76)
Brent :35.58(+2.05)
米天然ガス :27.86(+0.29)
米ガソリン :31.98(+0.66)
ICEガスオイル :31.74(+1.93)
LME銅 :13.52(▲0.36)
LMEアルミニウム :14.73(+0.75)
金 :25.22(▲0.1)
プラチナ :21.26(▲0.38)
トウモロコシ :34.34(▲0.4)
大豆 :25.22(▲0.1)

【エネルギー】
WTI :52.59(+0.91)
Brent :61.67(+1.04)
Oman :60.17(+0.87)
米ガソリン :170.76(+1.48)
米灯油 :178.83(+0.83)
ICEガスオイル :542.00(▲0.25)
米天然ガス :2.32(▲0.05)
英天然ガス :27.38(▲1.23)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :61.67(+1.04)
SPO380cst :369.94(+11.80)
SPOケロシン :73.10(+1.15)
SPOガスオイル :73.01(+1.16)
ICE ガスオイル :72.75(▲0.03)
NYMEX灯油 :179.48(+0.40)

【貴金属】
金 :1335.33(+5.01)
銀 :14.89(+0.09)
プラチナ :804.76(±0.0)
パラジウム :1353.40(+19.21)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,823(▲37:18C)
亜鉛 :2,511(+49:126B)
鉛 :1,904(+39:41B)
アルミニウム :1,774(▲20:31.5C)
ニッケル :11,780(▲20:70C)
錫 :19,050(▲55:60B)
コバルト :31,000(▲1,000)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5839.00(+49.00)
亜鉛 :2512.00(+52.00)
鉛 :1885.50(+28.50)
アルミニウム :1774.00(+7.50)
ニッケル :11675.00(▲40.00)
錫 :19250.00(+245.00)
バルチック海運指数 :1,141.00(+19.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :97.5(▲0.71)
NYMEX鉄鉱石 :97.76(▲0.56)
NYMEX原料炭スワップ先物 :199(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,648(▲117)
上海鉄筋中心限月 :3,713(▲30)
米鉄スクラップ :284(▲4.00)

【農産物】
大豆 :868.75(▲1.00)
シカゴ大豆ミール :315.90(▲1.80)
シカゴ大豆油 :27.76(+0.54)
マレーシア パーム油 :休場( - )
シカゴ とうもろこし :420.50(+5.75)
シカゴ小麦 :510.00(+19.25)
シンガポールゴム :194.30(+6.10)
上海ゴム :11785.00(±0.0)
砂糖 :12.51(+0.30)
アラビカ :102.05(+2.95)
ロブスタ :1431.00(+18.00)
綿花 :68.59(▲0.15)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :79.38(▲0.48)
シカゴ生牛 :107.60(▲0.25)
シカゴ飼育牛 :139.28(▲0.18)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。