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農産品セクター物色される
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年5月29日 第1540号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「農産品セクター物色される」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は供給懸念からエネルギーセクターが買い戻される流れが継続、異常気象の影響による生産障害発生を材料とする、農産品物色の流れも継続した。

一方、米中貿易交渉問題を背景として、中国が最大消費国である非鉄金属セクターは総じて軟調だった。

【本日の価格見通し総括】

本日は目立った手がかり材料に乏しい中、リスク回避のドル高進行が多くの商品価格に下押し圧力をかけると考える。ただし、穀物や原油など、供給面が意識されている商品は多く、価格を下支えしよう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

トランプ大統領が訪日スケジュールをこなし、帰国の途に就いた。報道では、ゴルフをしたり、相撲を観戦したり、炉端焼きに行ったりと「ツアーガイドか?」と安倍首相を揶揄するものも目に付いた。

しかし、中国の台頭とそれに伴う米中の対立の激化により、東アジアの緊張が高まる中で、今回のトランプ大統領訪日での対応が、米国と日本の関係強化に繋がった(ように見える)ことは意義があったのではないか。

いずれ持ち出されるのかもしれないが、今のところ日本の円安誘導などに対する批判は出てこず、目先の自動車関税引き上げも見送られている。

しかし、今回の会談で日本は予想をしていなかったリスクを取らされることとなった。トランプ大統領はイランとの首脳会談に意欲を示しており、安倍首相に実現に向けた仲介を要請したのである。

米共和党議会はそのように考えているかどうかは分からないが、トランプ大統領は本音ではイランと戦争をしたいとは考えていないようだ。しかし、反米を掲げて立国したイランが、米国が制裁を強める中で対米交渉を行うことは考え難い。

そのため、安倍首相に仲介役を依頼したわけである。仮にイランと米国の首脳会談が実現し、核開発の永久放棄につながることがあれば、原油価格の安定と日本のステータス向上につながることは間違いがない。

しかし、韓国文在寅大統領が、北朝鮮との仲介に失敗したことで米国は韓国に対する対応を以前よりも明らかに厳しくしている。そのことを考えると、今回の仲介を成功させることができなかった場合、米国の日本に対するスタンス(経済面・軍事面両面)が変化する可能性は低くない。

結果的に安倍首相は火中の栗を拾わされることになりそうだ。トランプ大統領と安倍首相の個人的な関係を鑑みると、仮に失敗してもそこまでの事態にはならないと期待されるものの、下期に向けて、無視できないリスクの1つであると認識し、6月のイラン往訪を見守りたい。

結果、6月はOPECやクシュナーの世紀の提案など、中東リスクが顕在化しそうな材料が集中することになりそうだ。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、先行きの見通しのリスクも下向き。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中貿易戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

・景気減速下での原油価格高騰は、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米政権は対中関税引き上げを表明、中国もこれに対する報復を決定。華為技術との取引を禁じるなど、企業レベルまで制裁が拡大していること(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気後退など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず5月末、10月末を期限として問題先送り(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格はもみ合った結果上昇した。イランと米国の対立が継続、イラン側も「米国と交渉する予定はない」と発言するなど、緊張が高まっていることや、米消費者信頼感指数が予想外の改善となったことが材料となった。しかし、株が大きく水準を切下げたため、上値も重かった。

【原油価格見通し】

原油価格は高値圏を維持する展開を予想。足元テクニカルな買戻しが価格を押し上げているが、景気への懸念から上値も重いと見る。

米国が中東に打撃・空爆戦力派遣を決定、イランも核開発の一部再開を通知するなど、域内情勢が不安定化するとの見方が強まっていることが価格の上昇要因。

一方、イランに対する制裁があっても輸入国とも国内の製油所の能力などから直ちに禁輸を行えるわけではないこと、仮に完全に減産が行われても、数字の上では供給は足りること、OPECプラスは減産幅の縮小を検討し始めていることといった供給面での下落要因も存在。

需要面は米中の対立が激化・長期化する可能性が強まっているため、それを受けた景況感の悪化は下落要因に。

イランに対する米国の対応は、場合によると本当に戦争を想定しているものである可能性が出ている(可能性はゼロではなくなったということ)。トランプ大統領はむしろイランと対話を望んでいるが、ペンス・ボルトンなどの共和党議会側が強硬姿勢であるため。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅続落。目立った新規材料に乏しい中、米中通商戦争の影響で中国の景気が悪化するとの見方と季節性が価格を下押ししている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は現状水準でもみ合うものと考えるが、北朝鮮への制裁継続や夏場にかけて季節的な需要増加観測から、7~8月頃にかけて上昇すると予想。その後季節的な調整の後、11月にかけて水準を切り下げる展開に。

また、中国による豪州炭の輸入規制(華為技研問題に対する報復措置)の影響でインドネシア炭にシフトしていることは逆に、上値を抑えると考えられる(日本が輸入する石炭価格CIFへの影響は中立)。米国の中国制裁強化も価格の上値を抑える公算。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・OPECプラスの協調減産は7月以降も継続見込みであるが、米国の意向や増産したいロシアの意向も踏まえると、減産幅が縮小する可能性が高まっており原油価格の下落要因に。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、イスラエルネタニヤフ首相の5選達成による、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTIはロング・ショートとも減少しているが、特にロングの解消売りが多い。これは米景気の先行きを懸念するもの。

・Brentはロングが増加はしているが、それ以上にショートの増加が顕著。OPECで減産幅の縮小が議論されていることが材料視されている。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが585,979枚(前週比 ▲22,000枚)、ショートが107,581枚(▲12,590枚)、ネットロングは478,398枚(▲9,410枚)、Brentが425,955枚(前週比+1,309枚)、ショートが32,340枚(+5,005枚)、ネットロングは393,615枚(▲3,696枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落。中国が米国に対してレアアースの輸出制限をするのでは、といった憶測記事が流れるなど米中協議の難航を受けた景気への懸念、イタリアの財政問題を受けたドルの断続的な上昇が価格を下押しした。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は景気への懸念から下押し圧力が強まるものの、投機の買戻しが一定程度入ると考えられることが価格を下支えすると考える。

投機の売りがかさみ、ネット売り越しとなっているため中国の経済対策期待やLME指定倉庫在庫の減少継続、(希望的観測であるが)米中の合意期待を材料に買戻しが入りやすい地合いにある。

しかし、米中通商協議は難航、場合によると決裂する可能性が出てきている中、特に最大消費国である中国の期待需要が減少していることから地合いは軟調。またリスク回避のドル高圧力の高まりも価格を下押し。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・ブラジルの裁判所、ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の再稼働を許可。アルミナ価格の下落を通じてアルミ価格の下落要因に(アルミ)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月17日付のLMEポジションは、銅と鉛を除き、ショートの買戻しが入り始めたが、先週はむしろ景気の先行きを懸念したロングの売り圧力のほうが強まる形となっている。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲37.7億ドル(前週▲32.2億ドル)と売り越し幅を拡大。上昇率は▲16.9%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,106千トン(▲1,043千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は6.1%。

今後、総じてこれらのポジションの買戻し圧力が強まる可能性があり、テクニカルに非鉄金属価格が上昇する余地があることは留意。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は上昇、原料炭スワップ先物は小幅下落、中国鉄鋼製品価格は小幅安となった。

目立った新規材料に乏しい中、ブラジルの生産減少が継続していることが鉄鉱石価格を支えている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏でもみ合うものと考える。ヴァーレのブルクツ鉱山が再び稼働停止になったことや、中国生産者の洪水事故など、鉄鉱石の供給懸念が強まる一方、中国の粗鋼生産の回復が需要を押し上げるものの、米中貿易交渉の難航に伴う景気への懸念が上値を抑えるため。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲40.9万トンの1,153.3万トン(過去5年平均1,162.1万トン)と例年をやや下回っている。

・中国の鉄鉱石在庫水準の高さは価格を下押し。鉄鉱石在庫は前週比▲39.0万トンの1億2,780万トン(過去5年平均1億1,952.6万トン)、在庫日数は▲1.0日の33.2日(過去5年平均 30.6日)と例年の水準を上回る。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は下落した。米中対立の激化、イタリアの財政問題、中東情勢などの金買い材料は多数あるものの、リスク回避のドル高が進行したことが価格を下押しした。

PGMは金銀価格が下落する中、より需要の弱いプラチナは大きく下落したが、供給面に懸念があるパラジウムは水準を切り上げた。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,840ドルと変わらず。需給は緩和方向(需要の減速)にある模様。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中貿易交渉の進展状況をにらみつつ、神経質な展開になると予想されるが、中東情勢や欧州の情勢不安を材料に安全資産需要は堅調とみられること、ここにきて市場は再びFRBの利下げを期待し始めていることから総じて底堅い推移になると考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、欧州の政情不安、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イラン・サウジアラビア・イスラエルを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、同時に米中通商協議が難航、対立が激化する中で株価が下押しされやすく、対金銀では割安に推移することになると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利下げ期待が再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)・米中貿易交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが減少、ショートが増加している。むしろ地政学的リスクが高まっているため、ショートの買戻しによる上昇リスクは警戒。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが203,628枚(前週比 ▲22,733枚)、ショートが114,823枚(+12,998枚)、ネットロングは88,805枚(▲35,731枚)、銀が75,482枚(▲2,060枚)、ショートが90,144枚(+10,393枚)、ネットロングは▲14,662枚(▲12,453枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが46,174枚(前週比 +1,437枚)、ショートが30,684枚(+11,697枚)、ネットロングは15,490枚(▲10,260枚)、パラジウムが11,556枚(+617枚)、ショートが3,507枚(+189枚)、ネットロングは8,049枚(+428枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は大幅に上昇。米中西部の洪水の影響で作付けが大幅に遅れていることが材料となっている。

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆・小麦とも生産地の作付けが天候の影響で遅れが深刻な状況となっており、豪州では小麦が不作となるなど、異常気象に伴う生産の下振れが強く意識されているため、記録的な水準にある投機の売り解消が価格を押し上げ、上昇余地を探るとみる。

ただし、米中貿易戦争の継続は上値を抑えよう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産増加観測による需給緩和観測。

・米国の作付けの遅れに伴う需給タイト化観測。トウモロコシ、大豆とも過去5年の最低水準。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・5月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ24億8,500万ブッシェル(前穀物年度20億3,500万Bu)大豆 9億7,000万Bu(8億9,500万Bu)小麦 11億4,100万Bu(10億8,700万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は相互報復まで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・主要穀物のショートポジションは、作付けの遅れなどからトウモロコシ・大豆・小麦とも解消圧力が強まっており、価格の押し上げ要因となっている。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが415,551枚(前週比 +41,920枚)、ショートが412,306枚(▲145,214枚)、ネットロングは3,245枚(+187,134枚)、大豆はロングが149,946枚(+10,743枚)、ショートが249,887枚(▲12,711枚)、ネットロングは▲99,941枚(+23,454枚)、小麦はロングが135,831枚(▲6,743枚)、ショートが151,962枚(▲34,017枚)、ネットロングは▲16,131枚(+27,274枚)

◆主要ニュース


・4月日本企業向けサービス価格指数 前年比+0.9%(前月+1.1%)

・4月独輸入物価指数 前月比+0.3%(前月±0.0%)、前年比+1.4%(+1.7%)

・5月独GfK消費者信頼感調査 10.1(前月 10.2)

・4月ユーロ圏マネーサプライM3 前年比+4.7%(前月改定+4.6%)

・4月ユーロ圏鉱工業景況感・消費者信頼感指数 105.1(103.9)
 鉱工業景況感:構成比率40% ▲2.9(▲4.3)
 サービス景況感 12.2(11.8)

・5月ユーロ圏消費者信頼感改定 ▲6.5(速報比変わらず、前月改定 ▲7.3)

・Q119米住宅価格指数 前期比+1.1%(前期改定+1.2%)

・3月米FHFA住宅価格指数 前月比+0. 1%(前月+0.4%)

・3月米S&Pコアロジック住宅主要20都市価格指数 前月比+0.09%
(前月改定+0.26%)。前年比+2.68%(+2.95%)

・5月米コンファレンスボード消費者信頼感指数 134.1(前月改定
 129.2)
 現況指数 175.2(169.0)、期待指数 106.6(102.7)
 6ヵ月以内自動車購入 14.4(13.3)、住宅 6.4(5.0)

・イタリア サルビーニ副首相、「欧州委員会が欧州連合の財政規律違反でイタリアに対して30億ユーロの制裁金を科す可能性がある。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・米中西部の洪水でクッシングからの輸送が制限される。

・リビア国民軍、「トリポリへの攻撃は継続する。」

・インドネシア、マセラ鉱区のガス田開発で国際帝石と合意の見込み(G20で)。

・イラン外務省、アッバス報道官、「米国と交渉する見込みはない。」

・イスラエル、連立政権の樹立難航で再選挙の可能性。

・パレスチナ自治政府アブルデイネ副首相、「(クシュナーの世紀の提案は)ディールではなく、イスラエルの占領を合法化するためだけのものだ。」

【メタル】
・中国、EVの充電コストを引き下げるための政策を検討。

・中国、レアアースの対米輸出を制限することを真剣に検討している(環球時報)。

・コデルコ、6月上旬までに、フル稼働に。労働組合とはストライキ回避に向けて合意できると期待。

・ILZSG、「3月の世界亜鉛生産は108万8,000トン、需要は113.2万トンと▲4.4万トンの供給不足。鉛は生産が107.4万トン、需要が106.4万トンと1万トンの供給過剰。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CBTエタノール ( エネルギー )/ +6.01%/ +17.17%
2.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ +4.09%/ +2.16%
3.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ +3.96%/ +12.07%
4.TGE小豆 ( 穀物 )/ +3.48%/ +46.72%
5.SHF錫 ( ベースメタル )/ +3.48%/ +2.34%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲5.82%/ ▲7.52%
67.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ ▲2.83%/ +37.72%
66.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ ▲1.86%/ +14.14%
65.銀 ( 貴金属 )/ ▲1.66%/ ▲7.37%
64.プラチナ ( 貴金属 )/ ▲1.25%/ +0.51%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,347.77(▲237.92)
S&P500 :2,802.39(▲23.67)
日経平均株価 :21,260.14(+77.56)
ドル円 :109.38(▲0.13)
ユーロ円 :122.07(▲0.52)
米10年債利回り :2.27(▲0.05)
独10年債利回り :▲0.16(▲0.02)
日10年債利回り :▲0.07(▲0.00)
中国10年債利回り :3.32(▲0.03)
ビットコイン :8,687.79(▲66.85)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :23.78(▲0.05)
エネルギー :24.24(+0.09)
ベースメタル :18.49(▲0.32)
貴金属 :17.25(▲1.94)
穀物 :23.38(+1.38)
その他農畜産品 :27.87(▲0.07)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :27.75(+0.18)
Brent :24.14(+1)
米天然ガス :22.07(▲2.36)
米ガソリン :28.36(+0.4)
ICEガスオイル :25.72(+1.27)
LME銅 :16.40(+0.24)
LMEアルミニウム :16.66(▲0.01)
金 :23.96(+2.8)
プラチナ :20.41(+0.46)
トウモロコシ :29.70(+2.13)
大豆 :23.96(+2.8)

【エネルギー】
WTI :59.14(+0.51)
Brent :70.11(±0.0)
Oman :68.35(+0.85)
米ガソリン :195.67(+2.22)
米灯油 :199.25(+2.12)
ICEガスオイル :618.75(▲2.50)
米天然ガス :2.58(▲0.02)
英天然ガス :30.42(+0.49)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :70.11(±0.0)
SPO380cst :397.66(▲0.41)
SPOケロシン :80.34(▲0.58)
SPOガスオイル :80.85(▲0.57)
ICE ガスオイル :83.05(▲0.34)
NYMEX灯油 :199.38(▲0.55)

【貴金属】
金 :1279.33(▲6.03)
銀 :14.35(▲0.24)
プラチナ :799.72(▲10.10)
パラジウム :1342.45(+5.51)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,980(+30:23.5C)
亜鉛 :2,575(+29:163.5B)
鉛 :1,825(▲5:16C)
アルミニウム :1,804(+9:31C)
ニッケル :12,250(+50:15C)
錫 :19,260(+15:215B)
コバルト :33,500(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5966.00(+3.50)
亜鉛 :2559.00(+4.00)
鉛 :1813.00(▲17.00)
アルミニウム :1803.50(+1.50)
ニッケル :12150.00(▲230.00)
錫 :19125.00(▲165.00)
バルチック海運指数 :1,066.00(▲2.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :99.41(▲0.09)
NYMEX鉄鉱石 :98.38(+0.24)
NYMEX原料炭スワップ先物 :206.25(▲0.25)
上海鉄筋直近限月 :3,942(▲19)
上海鉄筋中心限月 :3,844(▲32)
米鉄スクラップ :310(▲5.00)

【農産物】
大豆 :856.00(+26.25)
シカゴ大豆ミール :312.80(+12.30)
シカゴ大豆油 :27.29(+0.28)
マレーシア パーム油 :2018.00(+31.00)
シカゴ とうもろこし :420.25(+16.00)
シカゴ小麦 :504.75(+15.25)
シンガポールゴム :186.90(+1.00)
上海ゴム :11675.00(+135.00)
砂糖 :11.75(+0.09)
アラビカ :96.05(+2.75)
ロブスタ :1372.00(+20.00)
綿花 :69.47(+1.08)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :83.98(▲2.45)
シカゴ生牛 :111.55(+0.38)
シカゴ飼育牛 :142.23(▲1.00)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。