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原油在庫減少でエネルギーセクター堅調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年6月27日 第1560号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「原油在庫減少でエネルギーセクター堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、その他の農産品や貴金属などの非景気循環系商品が売られ、需給タイト化観測でエネルギーが物色された。非鉄金属は総じて軟調も上昇した商品も散見された。

G20での米中合意期待が高まる中、「合意できなければ関税を引き上げる」との発言が価格の上値を抑えた。

最も上昇したのはビットコイン(本日よりウォッチ対象に追加)であったが、本日のMRA's Eyeで解説するように、弊社が主にウォッチしている商品とはほとんど相関がないため、明確な上昇根拠があるわけではない。

【本日の価格見通し総括】

本日も外交動向が商品価格動向を左右することに変わりはない。これは景気が減速する局面ではある意味正常である。

本日はG20に先立って日中首脳会談が開催される。日中首脳会談は昨年11月のブエノスアイレスサミット以来であり、本日は両国の協力分野の拡大や北朝鮮問題などが議論される見込み。

場合によると米国との問題について、中国から何らかの働きかけがあるかもしれないため重要である。

予定されている経済統計では、米GDP確定値に注目している。過去の指標ではあるが商品価格に対する説明力は高い。市場予想は前年比+3.2%(改定値+3.1%)と改善見込みであり、景気循環系商品価格の押し上げ要因となる。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日もトランプ大統領の発言が止まらなかった。G20では米中の会談が予定されているが、「内容が気に入らなければ3,000億ドル相当への関税引き上げを決定する可能性がある」とした。

発言内容的には変わらないが、追加的に出てきたのは、「合意が成立しない場合の関税引き上げ幅が、25%ではなく10%になるかもしれない」ということ。

一見、条件が緩和したようにも見えるが、「関税引き上げと利下げ」「10%」「25%」の2段階の引き上げを可能にした、と考えるほうが妥当だろう。ディール好きの米トランプ大統領らしい。

また、人民元安についても言及しており、今回のG20では米国ドル高について議論がなされる可能性が高まっている。

こうした一連の中国の交渉に関してムニューシン財務長官が「9割方合意できる」と発言しているが、いつもの通りの楽観論だろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

※中国は地方政府の資金調達規制を実質緩和。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中通商協議が難航しており、世界経済が減速する場合(下落要因)。

足元、米中首脳会談が開催される見通しが示されたが、話し合いを継続することは決められても合意に至るかどうかは極めて不透明。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・米利下げ観測の高まりで長短金利逆転状況が解消し、金融株を中心に株が上昇、リスクテイク再開で景気循環系商品価格にプラスの影響を与える場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油相場は下落後上昇した。米石油統計で原油在庫が予想を大きく上回る減少となったことで、需給タイト化観測が強まったことが背景。

なお、原油在庫の減少は、1.製品在庫の減少(在庫日数ベースの低下)、2.米原油生産の減少、3.輸入の減少、によるものであるが、1.はまだ米国の需要が旺盛であることを、2.は価格下落による生産調整が起きたこと、3.海外価格の上昇による採算性の低下、などが要因と考えられる。

なお、注目されていたクシュナー米大統領上級顧問の世紀の提案は、予想通りパレスチナに対して資金や経済的援助をするので、イスラエルの実効支配を認めるように、という内容でありパレスチナ側からは全く賛同が得られなかったようだ。

【原油価格見通し】

原油価格は高値圏での推移になると考える。基本、両国の国力を削る開戦はない、というのがメインシナリオではあるものの、米国がハメネイ師に対する制裁実施を決定、この状態で素直にイラン側が交渉に乗ってくるとは思えず、「窮鼠猫を噛む」可能性があり、戦争の選択肢が排除できなくなってきたため。

ただし、マクロ経済統計の減速や、米中通商交渉の先行き不透明感から上昇余地も今のところ限定されている。

トランプ大統領はイランに対して攻撃したくない、というのが本音と見られるが、ボルトンを筆頭とする共和党保守強硬派はあまりそう考えていないようだ。引き続き両国動向は、ニュースに一喜一憂とならざるを得ない。

これ以上、中東を材料に価格が上昇するとすれば、さらに具体的に米国とイランが軍事的に衝突すること、ないしはクシュナーの提案などをきっかけにイスラエルとパレスチナの対立が深まり、軍事衝突が起きることであるが、現時点では希望的観測も含めて「ない」と信じたい。

この中東有事の高まりで、OPECプラス会合での方針は急速に従来の見通し、すなわち▲120万バレルの減産水準を順守、という方向に舵が切られるとみられる。

中東情勢が緊迫しているため、OPECの決定はBrentベースで60ドル程度まで価格を押し下げると予想されるが、中東の緊張が緩和されれば、ISM製造業指数の低下もあってBrentベースで55ドル程度までの下落が見込まれる。

なお、この状況においてもOPEC諸国に対する影響を残すことができるため、イランがOPECを脱退する、というのは選択肢になっていないと考えられる。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。季節的に需要の端境期にあることや、欧州ガス価格低下に伴う欧州石炭価格の低迷などが材料となっている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は夏場に向けて上昇するとみているものの、欧州市場の需給緩和(よりクリーンなエネルギーへのシフト、景気減速による電力需要の後退)、中国の景況感の悪化を受け、当面は下値余地を探る動きになると考える。

中国の石炭の輸入量は回復しており、過去5年のレンジを上抜けした。生産に関しては減少傾向となっているが、港湾在庫は増加するなど、需要面の弱さから総じて中国の石炭需給は緩和傾向にある可能性が高く、ファンダメンタルズは強くない。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は7月以降も継続(場合によると減産枠拡大)の見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭生産鈍化(4月2億9,429万トン)、輸入減少(1,564万7,172トン)にもかかわらず、港湾在庫が増加していることは国内需要の弱さを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国がイランを攻撃する準備を整えていたことが発覚、両国の緊張はこれまでにないほど高まっていることは、開戦を通じた供給懸念を通じて価格の上昇要因に。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTI・Brentともロングの減少が顕著だが、WTIのショートには買戻し、Brentはショートが増加した。中東情勢を巡り市場参加者のスタンスはまちまちだが、とにかく積み上がったロングから解消する動きが強まっているようだ。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、「雲のねじれ」がある7月初に、例えば中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産幅を拡大したり、ということがあれば、7月意向、ポジションの巻き戻しで急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが502,749枚(前週比 ▲12,708枚)、ショートが139,662枚(▲24,140枚)、ネットロングは363,087枚(+11,432枚)、Brentが333,483枚(前週比▲12,583枚)、ショートが61,977枚(+7,937枚)、ネットロングは271,506枚(▲20,520枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は総じて軟調な推移となった。予想通り、G20を控えたポジション調整の売りが入った形。

また、米耐久財受注が予想比弱い内容だったことや、トランプ大統領の「合意できなければ制裁実施」発言が市場参加者の景気悲観論を強めた面も否めず。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、米中首脳会談実施の可能性が高まったこと、FOMCが利下げに舵を切ったことを織り込みながら買戻しが入り、上昇余地を探る動きになると考える(織り込み終わったとみていたが、朔日の値動きを見るにまだ完全に織り込めていない可能性がある)。

しかし上昇後は、景況感の悪化が意識され、イランと米国の関係悪化による景気減速への懸念などから再び下値余地を探る動きになると考える。

しかし、米中会談がどのような形になるか全く予断を許さない状況であるため、方向感が出にくいことも事実。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは、需要面で価格の上昇要因に。

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア、コデルコのストライキ)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の問題に象徴されるように、広く非鉄金属を含む鉱物セクターは、環境問題への高まりから供給が政府命令で急に停止してしまう可能性は低くない。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・6月14日付のLMEポジションは動きがまちまちだったが、銅や鉛、アルミ、錫のショートポジションに買戻しの動きが強まった。米中首脳会談が開催され、米中協議が進捗するとの期待が買戻しにつながっている。

14日以降も価格上昇が続いているが、恐らく四半期末を控えた投機の買戻しは継続しているとみられる。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲67.1億ドル(前週▲60.8億ドル)と売り越し幅を拡大。売り越し額の増加は+10.8%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,631千トン(前週▲1,532千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は+6.5%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は上昇、原料炭スワップ先物は変わらず、中国鉄鋼製品市場はまちまちとなった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国政府の公共投資促進策と豪州からの供給不安、ヴァーレの生産が完全に回復していないこと、リオの減産見通しといった供給面、米中首脳会談実施期待を受けた鉄鋼製品の投機的な買戻しを背景に、高値圏での推移になると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の鉄鋼業PMIは50.0(前月52.1)と減速。生産の回復(54.5→56.0)はあったが、新規受注の落ち込みが顕著(51.7→46.7)であり、輸出向け新規受注も大きく落ち込み(48.9→45.9)。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比+22.2万トンの1,178.1万トン(過去5年平均1,084.8万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比▲195万トンの1億1,675万トン(過去5年平均1億1,839.6万トン)、在庫日数は▲0.4日の24.5日(過去5年平均 28.6日)と例年の水準を下回った状態が続いている。

粗鋼生産の回復で原材料在庫が減少した形。これは鉄鋼業PMIとほぼ平仄が取れている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には人口ボーナス期入りしているインドが、すでにインフラ整備のための投資拡大方針を示しており、鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

・ヴァーレ、リオ・ティントの生産目標引き下げによる、供給減速。

(特殊要因)

・中国政府がシャドーバンキングを含む、違法な資金調達を認めてでも公共投資を進める方針を示したことは価格の上昇要因。

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・供給懸念などを通じて大連取引所は建玉を積み増しながら、価格を切り上げており、先々の下落リスクは高まっている状況。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は下落した。長期金利上昇に伴う実質金利の上昇や、それを受けたドル高進行が重石となった。

PGMはプラチナに買戻しが入ったが、パラジウムは株価の下落もあって売られた。

【貴金属価格見通し】

金価格は、FRBが緩和方向に舵を切ったこと、中東情勢の悪化やイタリアなどの情勢不安を材料に堅調な推移になると考える。

また、中東情勢、英国のEU離脱、欧州問題などの悪化を受けて安全資産需要が継続していることも価格を下支えするとみる。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、株価動向に左右され神経質な推移になると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRB・ECBの金融緩和期待が市場で再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に(逆に利下げ期待が高まりすぎているため、期待と金融当局の判断の乖離から、7月FOMCで下落に転じる可能性も)。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト期待(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。ただし実際にシフトが起きるには相当の時間がかかる見込み。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスクが高まっている。共和党議会側はイランに対する戦闘の準備を終えており、それをトランプ大統領が止めた、という状況。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロング・ショートとも増加しているがロングの増加が極めて多い。銀も同様にロングが増加、ショートは減少している。

・プラチナはロングが減少、ショートが増加。需要の減少とパラジウムの供給不足による生産維持観測が市場参加者を弱気にさせている。パラジウムはロングが大幅に増加。ショートも増加しているが、ロングの増加が顕著。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが274,633枚(前週比 +24,519枚)、ショートが70,310枚(+4,434枚)、ネットロングは204,323枚(+20,085枚)、銀が93,275枚(+8,050枚)、ショートが78,759枚(▲3,806枚)、ネットロングは14,516枚(+11,856枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが46,797枚(前週比 ▲539枚)、ショートが44,827枚(+4,443枚)、ネットロングは1,970枚(▲4,982枚)、パラジウムが13,543枚(+1,182枚)、ショートが3,338枚(+512枚)、ネットロングは10,205枚(+670枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は高安まちまち。トウモロコシ・大豆は生産地の気象状況の改善期待で下落、小麦はカナダの小麦作付け面積が2,460万エーカー(前年2,470万エーカー)と減少したことが買い材料となった。

【穀物価格見通し】

穀物価格は当面、天候状況が価格を左右する展開となり、神経質な推移が続くと考える。

しかし、基本的には北米の作付けの遅れから、ショートの買戻しが入り上昇すると考える。米中首脳会談が実施される見通しが示されたこと、米農務省の需給報告で、トウモロコシの生産見通しが引き下げられたこと、欧州の気温も上昇しており、収穫への懸念が強まっていることも材料。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産減少観測による需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・欧州・ロシアの気温上昇に伴う小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・6月の米需給報告の生産見通し

トウモロコシ136億8,000万ブッシェル(前月150億3,000万Bu)大豆 41億5,000万Bu(41億5,000万Bu)小麦 19億300万Bu(18億9,700万Bu)

・6月の米需給報告の在庫見通しトウモロコシ16億7,500万ブッシェル(前月24億8,500万Bu)大豆 10億4,500万Bu(9億7,000万Bu)小麦 10億7,200万Bu(11億4,100万Bu)

・米緩和観測に伴う実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中通商交渉はほぼ戦争にまで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は基本的には価格の下落要因だが、今年は洪水が発生しており、夏場の気温上昇や乾燥といった育成環境の悪化の可能性はあり、価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・トウモロコシはロングが増加、ショートが減少。ロング増加は米中貿易交渉の進捗期待、ショートの減少継続は米生産地の生育環境悪化で。

大豆はロングが増加、ショートが減少、小麦も同様。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが473,643枚(前週比 +26,087枚)、ショートが203,297枚(▲4,884枚)、ネットロングは270,346枚(+30,971枚)、大豆はロングが157,233枚(+16,801枚)、ショートが159,967枚(▲28,134枚)、ネットロングは▲2,734枚(+44,935枚)、小麦はロングが139,346枚(+13,534枚)、ショートが110,043枚(▲6,059枚)、ネットロングは29,303枚(+19,593枚)

◆本日のMRA's Eye


「ビットコイン急上昇」

市場はG20を控えて様子見気分が強い。その中で上昇を継続しているのはビットコインである。ビットコインは仮想通貨の1種であり、仮想通貨全てを指すわけではない。

市場規模は、シェアトップのビットコインはこのレポート執筆時点で2,200億ドル、2位のイーサリアムが350億ドル、XRPが190億ドルであり、総額で約3,250億ドル(日本円で約35兆円)。圧倒的にビットコインのシェアが大きいことがわかる。

なお、今年5月末の日本の取引所の時価総額が591兆円であるため、まだ投資に占めるシェアは大きくはない。
(出所:https://coinmarketcap.com/charts/、https://coin360.com/)

仮想通貨内の取り扱いシェアは最も大きく、その大半が日本円で個人を含む在日の投資家が主に売買している商品がビットコインだ。

商品市場において、本邦系の投資家の価格に対する影響力はさほど大きくないため、ビットコインの価格動向が商品相場に大きく影響を与える可能性はまだ低いと考えている。

この取り扱い状況を見るに、投資家が積極的にポートフォリオに仮想通貨を組み込んで他市場に影響を及ぼすようになるのは、まだ先のことだろう。

弊社は製造業をはじめとする、実需家の方向けの市場価格リスクに関する分析を行っているので、ビットコインなどの仮想通貨は上記の通り、商品市場に対する影響があまりないと考えているため、分析対象としていなかった。

しかし、特に日本では話題になるので、将来を見据えて今回からウォッチする対象に組み入れた。

現在市場で話題になっているのが、ビットコインと金の連動性である。しかし、上記の通りビットコインを含む仮想通貨の市場規模はさほど大きくない。

金は、先物取引の規模を含めるかという議論もあるが、単純に地上在庫=投資可能な金の量、と仮定すると8兆ドル程度の市場規模となり、ビットコインの市場規模よりも圧倒的に大きい。

すなわち、仮に両者が「安全資産」として位置づけられるならば金が「主」であり、ビットコインが「従」である。なお、安全資産は万一の場合、いくばくかのコストを支払えば換金できるというのが定義であり、「仕組み」で安全性を担保されているとするビットコインを安全資産には分類できない。

では値動きはどうか。過去の値動きを見てみると、時々金価格との連動性が高くなる時があるが、正直明確な関連性はない。

というのも、金価格を決定する構成要素は名目金利と期待インフレ率であり(安全資産を保有する場合、債券で保有するのか、金で保有するのか、といった択一が起きるため)、ほかの市場の影響を受けるのだが、ビットコインの価格形成に株やその他の指標が影響する可能性が低いためだ。

もちろん、ビットコインを「発掘」するために電気代が安いほうが...原油価格が影響するのでは...という分析も目にしたことがあるが、ほとんどこれも無関係だろう。

もちろん、さらに取引が広がり、投資家の認知度が上がってポートフォリオに積極的に組み入れられるようになれば話は別であるが、多くの商品との相関性がほぼ確認できないため、「まだ積極的にポートフォリオに組み込まれていない」と判断するのが妥当である。

ビットコインの上昇が始まったのは今年の4月以降。仮に安全資産として物色されているならば金と似た動きになるはずだが、4月、金が下落したにも関わらず、ビットコインは上昇を続けてきた。

これは、金が通常の伝統的な市場と結びついているが、ビットコインはその他の商品と明確な相関性がないため、消去法的に物色された、と考えるのが適当だろう。金の価格上昇のタイミングが遅れたのは材料が異なることによる。

しいて言うならば、これまで全く同じ動きとは言えなかったが、この数ヵ月では、リスク回避の動きが強まる中で円高が進行し、そのタイミングでビットコインが上昇を始めているように見える。円高進行局面でドル資産が物色される流れだ。

市場参加者が日本の参加者の比率が高いことを考えると、次に下落があるとすると円安トレンドになり、益出しの動きが強まるときだろう。現状、米国の金融緩和や中東情勢、中国と米国の対立などを材料に円高が進んでいるが、やはりこの商品もG20が転機になる可能性がある。

ただ、繰り返しになるが基本的にはどの商品とも明確な相関性がないため、消去法的に物色されている可能性が高い。価格上昇の根拠は不安定であり、同時に下落のリスクも大きい、ということだ。

◆主要ニュース


・7月独GfK消費者信頼感調査 9.8(前月 10.1)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 +1.3%(前週▲3.4%)
 購入指数▲0.9%(▲3.5%)
 借換指数+3.2%(▲3.5%)
 固定金利30年 4.06%(4.14%)、15年 3.40%(3.50%)

・5月米製造業耐久財受注改定 前月比▲1.3%(前月改定▲2.8%)
 除く輸送機器+0.3%(▲0.1%)
 製造業新規受注資本財非国防除く航空+0.4%(▲1.1%)

・5月米前渡商品貿易収支 ▲745億ドルの赤字(▲709億ドルの赤字)

・米トランプ大統領、「米中首脳会議で何らかの合意に達しなければ追加関税。この場合25%ではなく10%となる可能性もある。

・サンフランシスコ連銀デイリー総裁(投票権なし・中間派)、「米景気には堅調だったが、今はかなり激しい逆風が吹いている。」

・リッチモンド連銀バーキン総裁(投票権なし・タカ派)、「金融当局はより脆弱な景気への対応を準備。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油▲12.8MB(クッシング▲1.7MB)
 ガソリン▲1.0MB
 ディスティレート▲2.4MB
 稼働率+0.3%

 原油・石油製品輸出 8,601KBD(前週比+203KBD)
 原油輸出 3,403KBD(+113KBD)
 ガソリン輸出 695KBD(+56KBD)
 ディスティレート輸出 1,471KBD(+102KBD)
 レジデュアル輸出 201KBD(▲58KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,117KBD(▲22KBD)
 その他石油製品輸出 1,541KBD(+17KBD)


・米トランプ大統領。「イランとの戦争は望まないが、仮に開戦となれば短期間で米国が掌理する。」

・イラン ハメネイ師、「交渉で米国の要求に同意したら、米国はイランを悲惨な状況に追いやるだろう。一方で合意しなければ、米国は政治的に狂乱し、プロパガンダを使ってあおり、圧力を加え続けるだろう。」

【メタル】
・中国ベースメタル貿易統計(5月)、単位:千トン、錫:トン

 精錬銅輸入 249.1(前月比 ▲45.6, 前年比 ▲95.9)
 銅精鉱 1,843.0(前月比 +187.3, 前年比 +254.9)
 銅スクラップ 174.8(前月比 +0.6, 前年比 ▲34.9)。

 精錬銅輸出 30.2(前月比 ▲5.9, 前年比 +13.5)。

 精錬亜鉛輸入 66.3(前月比 ▲19.1, 前年比 ▲1.6)
 精錬亜鉛輸出 1.0(前月比 +0.2, 前年比 ▲1.5)。

 精錬鉛輸入 20.1(前月比 +5.4, 前年比 +14.6)
 精錬鉛輸出 0.2(前月比 +0.1, 前年比 ▲5.3)。

 ニッケル輸入 19.2(前月比 +0.1, 前年比 ▲0.3)
 ニッケル輸出 1.8(前月比 +1.3, 前年比 +1.2)

 錫輸入 259.0(前月比 +93.0, 前年比 ▲37.0)
 錫輸出 469.0(前月比 ▲701.0, 前年比 ▲102.0)。

・ヴァーレ、尾鉱ダム崩壊の影響を受けたBrumadinho市にさらに4億5,000万ドルを拠出。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ビットコイン ( その他 )/ +12.03%/ +246.57%
2.NYM RBOB ( エネルギー )/ +4.96%/ +48.86%
3.欧州排出権 ( 排出権 )/ +3.71%/ +10.68%
4.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +3.43%/ ▲8.75%
5.TCM灯油 ( エネルギー )/ +3.15%/ +6.00%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
70.TGE小豆 ( 穀物 )/ ▲17.95%/ +35.31%
69.TCMガソリン ( エネルギー )/ ▲6.24%/ +18.27%
68.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲2.60%/ +16.09%
67.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ ▲2.43%/ ±0.00%
66.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲1.64%/ ▲4.39%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,536.82(▲11.40)
S&P500 :2,913.78(▲3.60)
日経平均株価 :21,086.59(▲107.22)
ドル円 :107.79(+0.59)
ユーロ円 :122.55(+0.69)
米10年債利回り :2.05(+0.06)
独10年債利回り :▲0.30(+0.03)
日10年債利回り :▲0.14(+0.02)
中国10年債利回り :3.25(+0.01)
ビットコイン :12,733.71(+1367.47)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.76(+0.11)
エネルギー :37.55(+0.78)
ベースメタル :20.77(▲0.67)
貴金属 :16.40(+0.47)
穀物 :22.67(▲0.67)
その他農畜産品 :26.85(+0.39)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :43.50(+0.84)
Brent :40.03(+0.71)
米天然ガス :33.69(▲0)
米ガソリン :40.87(+3.21)
ICEガスオイル :29.17(▲0.09)
LME銅 :13.96(▲1.18)
LMEアルミニウム :17.50(+0.77)
金 :18.65(▲0.43)
プラチナ :17.93(▲0.12)
トウモロコシ :29.57(+0.26)
大豆 :18.65(▲0.43)

【エネルギー】
WTI :59.38(+1.55)
Brent :66.49(+1.44)
Oman :64.85(+1.90)
米ガソリン :197.04(+9.32)
米灯油 :197.13(+4.79)
ICEガスオイル :599.25(+10.25)
米天然ガス :2.29(▲0.02)
英天然ガス :25.11(+0.01)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :66.49(+1.44)
SPO380cst :400.75(+11.51)
SPOケロシン :79.20(+0.74)
SPOガスオイル :78.83(+0.63)
ICE ガスオイル :80.44(+1.38)
NYMEX灯油 :197.82(+1.99)

【貴金属】
金 :1409.00(▲14.44)
銀 :15.27(▲0.10)
プラチナ :816.31(+5.91)
パラジウム :1523.70(▲6.69)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,018(+13:11.5C)
亜鉛 :2,532(+8:91.5B)
鉛 :1,930(+21:10.5C)
アルミニウム :1,825(+24:22C)
ニッケル :12,440(+150:40C)
錫 :19,005(▲5:5C)
コバルト :27,885(▲115)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5997.00(▲18.50)
亜鉛 :2500.50(▲33.50)
鉛 :1922.50(▲12.50)
アルミニウム :1814.00(+1.00)
ニッケル :12505.00(+195.00)
錫 :18850.00(▲170.00)
バルチック海運指数 :1,280.00(+22.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :109.05(+0.32)
NYMEX鉄鉱石 :109.19(+1.26)
NYMEX原料炭スワップ先物 :196(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,811(▲18)
上海鉄筋中心限月 :3,985(+21)
米鉄スクラップ :262(±0.0)

【農産物】
大豆 :894.25(▲9.25)
シカゴ大豆ミール :313.40(▲2.30)
シカゴ大豆油 :27.81(▲0.19)
マレーシア パーム油 :1916.00(▲32.00)
シカゴ とうもろこし :443.25(▲4.25)
シカゴ小麦 :543.75(+8.00)
シンガポールゴム :199.70(▲1.50)
上海ゴム :11530.00(+40.00)
砂糖 :12.03(▲0.30)
アラビカ :104.90(▲1.55)
ロブスタ :1402.00(▲14.00)
綿花 :63.49(+1.29)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :73.55(▲0.85)
シカゴ生牛 :109.00(+1.25)
シカゴ飼育牛 :135.83(+4.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。