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2種類のグラフの活用
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第351号

セミナーやテレビの経済解説などで価格の推移を示すグラフが出てくることがあります。商品についても株価や為替と同じように、長期の時系列グラフをもとに説明することがありますが、商品価格動向を分析する上で、少なくとも2種類のグラフの使い方する必要があることを覚えておくと分析や予想をするときに便利です。それは、1.長期の時系列グラフ、と、2.カレンダーグラフ、の2種類です。

1.は株価や為替動向の分析をする際に一般的に使われている「過去からの価格の推移」です。過去、どのようなことがあり、どのような変遷を経て現在に至るか、時代ごとの値動きの傾向を分析したり、中長期の価格同行を把握したりする上では非常に使いやすいグラフです。

2.は商品固有のグラフかもしれません。価格動向を時系列に表したものですが、「年ごとの価格の推移」を1月から12月まで表したものです。2014年~2018年の5年のデータをグラフにした場合、グラフ上には5本の線が表示されることになります。

なぜこのようなグラフが必要かというと、商品の需要や生産には季節性が存在するためです。多くの場合商品は需要動向に合わせて生産が行われます。
代表例ではガソリンは初夏から初秋にかけて、灯油は初冬から初春にかけて需要が増加します。そのためこの時期の石油製品並びに原油の価格は上昇しやすくなります。逆に初春から初夏にかけてと、初秋から初冬にかけては石油製品の不需要期となるため石油製品の価格は下がり、石油製品需要が減少するために製油所の稼働率も低下し、原油の需要も低下し価格には下押し圧力が掛かることになります。

この季節性のグラフは決算期ごとに価格が動く株価や為替にも応用が出来るものですが、時系列のグラフが選好されているようです。敢えて株価や為替でこのグラフを利用してみると今まで見えなかった季節性や周期性が見つかるかもしれません。