CONTENTSコンテンツ

リスクマネジメントとコスト削減
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第368号

先日大手企業の決算発表が相次ぎましたが、「原材料価格の上昇で営業利益が圧迫され~」というコメントを多数耳にしました。これまで、営業利益を拡大するには、売る価格を引き上げる、または生産にかかる費用を削減する、という手法が業績の安定化のために用いられてきました。例えば設計の見直しや、集中購買でサプライヤーに値下げを要請するなどは典型的な方法です。

これは野球に例えるとホームランのような「減らない対策」と言えます。ホームランを10本打った選手のホームラン記録が9本や8本に減ることはありません。つまり、やった分だけ効果が出るコスト削減手法と言えます。しかし、ホームランと異なるのは、値引きには限界がある、いうことです(ホームランも理屈の上では打席数上限いっぱいまで打てば、それ以上増やすことはできませんが)。

しかし供給者に対して値引きの要請をすることで供給側の経営状態が悪くなる、あるいは売ってくれないということが起きますし、逆の状態になったときに調達に支障が出ることもあります。また、仮に非常に献身的なサプライヤーで、「コストは全てゼロで」と言ってくれたとしても、そもそもの原料の購入費用(例えば銅の地金とか、原油)までゼロにすることは不可能です。

すなわち、最終的には市場で決定される価格を何らかの手法でコントロールする必要がある、ということです。これは野球に例えると打率と言えます。1回対策をしたとしても変動してしまうリスクです。弊社が出版した、「原材料の価格リスクマネジメント」ではこのような市場価格部分のコントロール手法について解説をしていますが、価格変動性が高い市場環境においては、従来型のコスト削減と、コストの変化を制御する方法の2つの手法を同時に行っていく必要があるといえます。

例えばホームランを30本打っていても、打率が1割にも満たないような野球選手は、翌年、使ってもらえないでしょう。ホームランも狙いつつ、打率を下げないために何をしなければならないかを同時に考える必要があるのです。これと全く同じとは言いませんが、購買活動のリスクマネジメントにもこうした考え方が必要ではないでしょうか。