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米墨問題進捗期待で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年6月11日 第1549号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米墨問題進捗期待で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は米国とメキシコの問題進展を材料にLME非鉄金属が、生産地の降雨不足などでココアなどのソフトコモディティが物色された。

一方、メキシコの問題進展を受けた株高・金利高で貴金属は売られ、OPECプラスが「減産がなければ原油は40ドルを割り込み、30ドルに下落する可能性」といった発言やドル高でエネルギーが水準を切下げた。

【本日の価格見通し総括】

本日は目立った手がかり材料に乏しく、方向感に欠ける展開になると予想される。ただ、市場は米国の年内3回の利下げを織り込み始めており、その手掛かり材料の1つとなり得る米生産者物価指数には注目したい。

ただ、市場予想は前月比+0.1%(前月+0.2%)、前年比+2.0%(+2.2%)、コア指数は前月比+0.2%(+0.1%)、前年比+2.3%(+2.4%)と大きな波乱をもたらす内容にはならないとみられている。

このほか、予定されているイベントではないが、G20での米中首脳会談の行方にも微妙に市場は敏感になっており、中国側は開催を肯定していない。

確かに両国が合意する可能性がなければ、首脳同士が合う意味はない。しかし、仮に両社の会談がなければ、市場はネガティブに反応してもおかしくない。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

米政府は、不法移民問題でメキシコと合意に至ったと発表したが、これはトランプ大統領の「思い付き」で始めたことであり、さすがに厳しいと判断した米議会の承認が得られなかったことによる、追加関税取り下げと考えられる。

思い付きとはいえ、メキシコへの関税引き上げはリスク回避姿勢を強めるのに十分な材料であり、原油価格はこの日を境に大きく水準を切下げている。

もちろん、限月交代に伴う窓を開けながらの下落ではあるが、この1週間の下げを、メキシコへの関税引き上げ見送りによる逆サプライズ(マッチポンプともいえる)がどの程度埋められるのか、がこの数日のポイントになるだろう。

下落の幅を見てみると、WTIは発表直前が57ドル、Brentは67ドル程度であったため、あと3~4ドル程度しか上昇余地がない。LME銅も5,900ドル程度だったため、あと50~60ドル程度の上昇余地はありそうだが、大きく上昇する、あるいはトレンドが転換するという感じには見えない。

結局、景気の循環的な減速に米中の通商戦争が重石になっているほうが影響が大きく、上述の通り6月のG20で何らかの合意がなければ、さらに価格が上昇するのは難しそうだ。その場合、昨日のファリハ・ノバク両エネルギー相の発言通り、仮に減産合意がなければ、原油価格が30ドルを目指す動きになってもおかしくない。

逆に言えば、6月のG20で米中が「対話を継続する」といった景気にポジティブなメッセージを送った場合には、特にここまで売りがポジションが溜まっている非鉄金属などの価格を一時的ではあるだろうが、大きく押し上げることが予想される。

この6月に安倍・ハメネイ対談、OPECやG20、クシュナーの世紀の提案など、一時的な相場の転換点となる可能性があるイベントが立て込むことは、注意せねばならない。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)・米中通商協議がほぼ決裂状態にあることにより世界経済が減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


--≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は上昇していたが、引けにかけて大きく水準を切下げた。米メキシコの問題進展を受けてリスクテイク意欲が回復したが、それに伴う長期金利の上昇によるドル高進行に加え、ファリハ・ノバク両エネルギー相が、「減産がなければ原油価格は40ドルを割り込み30ドルを目指す」といった発言を受けて、足元の需給緩和観測が強く意識され、水準を切りさげた。

【原油価格見通し】

原油価格はOPEC減産期間延長や、米国の金融緩和観測を受けて一旦買戻しが入って水準を切り上げると考えるが、米中通商協議に進展が見られない上、OPECプラスが減産期間延長でほぼ合意したものの、減産幅については合意していないことなどから、上値余地も限定されると考える。

しかし、米中通商協議は対立が激化した状態で継続しており、保護主義政策の拡大が景気を下押しするとの見方が強まっていること、欧州不安の再燃などの需要面のマイナスショックは多数存在するため、下向きのリスクは多い。

一方、米国がイランに対する制裁を強化、対立が激しくなっており可能性は低いが軍事的な衝突があり得ることは上向きのリスク。安倍首相とハメネイ師の対談で事態が緩和するかどうかに注目。

トランプ大統領はむしろイランと対話を望んでいるようだが、ペンス副大統領や、ボルトンなどの共和党議会側が強硬姿勢であるため、先行きは不透明。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は上昇した。低迷していた中国の石炭輸入が、価格の下落を反映してか大幅に増加したことを受けたもの。

【石炭価格見通し】

石炭価格は夏場に向けて上昇するとみているものの、期間構造が全ゾーンコンタンゴとなったことに象徴されるように、足元の需給は緩和しており、当面下値余地を探る動きになると考える。

中国の石炭の輸入量は回復しており、過去5年のレンジを上抜けした。生産に関しては減少傾向となっているが、港湾在庫は増加するなど総じて中国の石炭需給は緩和傾向にある可能性が高く、ファンダメンタルズは強くない。

ただし過去5年基準で見た場合、現在の価格水準はその下限であることや上述の季節性、などから下落余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は7月以降も継続(場合によると減産枠拡大)の見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭生産鈍化(4月2億9,429万トン)、輸入減少(1,564万7,172トン)にもかかわらず、港湾在庫が増加していることは国内需要の弱さを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に。ただしイスラエルは再選挙の予定であり、ネタニヤフ首相が再選されるかどうかは不透明に。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングの減少が顕著で、同時にショートが増加している。景気への懸念と生産増加観測を意識したポジション取りに。Brentはロングの減少が顕著だが、OPEC増産観測(減産幅順守)を受けてショートも減少。

・逆に、景気刺激策や貿易協定の妥決、生産調整の進捗、といった価格面でのプラス材料が出た場合、このショートポジションに急速に巻き戻しが入る可能性があることはリスク。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、この数日の下落で雲を下抜けした。

雲のねじれがあるのが6月末頃であり、仮に中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産を見送ったり、ということがあれば、上記のポジション動向を考えても6月~7月にかけての急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが538,947枚(前週比 ▲25,486枚)、ショートが138,779枚(+13,284枚)、ネットロングは400,168枚(▲38,770枚)、Brentが351,457枚(前週比▲50,863枚)、ショートが47,130枚(▲2,454枚)、ネットロングは304,327枚(▲48,409枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇した。メキシコと米国の移民問題を含む貿易交渉合意報道を受けて、これまで積極的に売ってきた投機筋が買戻しを入れたため。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は米メキシコ問題の一定の進展と、米FRBの利下げ期待の高まり、米統計の改善で、投機筋の買戻しが一旦入ると考えるが、基本的に景気への懸念が払しょくされたわけではないため、上値も重いと考える。

投機の売りがかさみ、ネット売り越しとなっているため今回のような通商問題の進展や、米国の金融緩和期待の高まり、LME指定倉庫在庫の減少継続、(希望的観測であるが)米中の合意期待があった場合、これらを材料に買戻しが入りやすい地合いにあることは事実。

しかし、米中通商協議は難航、G20での首脳会談も見送られる可能性が高く、最大消費国である中国の期待需要が減少していることから期待需要の見通しは明るくない。

なお、中国政府の経済対策の効果は年後半に顕在化する、との見方が多く価格に対するプラス効果は年末にかけてとみられる。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・ブラジルの裁判所、ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の再稼働を許可。アルミナ価格の下落を通じてアルミ価格の下落要因に(アルミ)。

・オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月31日付のLMEポジションは再びすべての商品でショートが積み上がり始めた。ただし、ニルスターの供給途絶などで鉛のロングは増加している。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲54.1億ドル(前週▲45.8億ドル)と売り越し幅を拡大。売り越し額の増加は+18.1%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,444千トン(▲1,321千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は+9.3%。

今後、総じてこれらのポジションの買戻し圧力が強まる可能性があり、テクニカルに非鉄金属価格が上昇する余地があることは留意。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は上昇、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品市場はまちまちだった。

米国とメキシコの移民問題に進展がみられたことで関税引き上げが見送られ、リスク資産に買いが入る流れとなったことが材料となった。

なお、中国の貿易統計では、鉄鉱石輸入が増加したものの同じ時期の過去5年平均程度にとどまっており、強い内容ではなかった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米中通商戦争が長期化するとの見通しを受け、より需要面が意識されて始めていることから、鉄鋼製品価格の下落を通じて下値余地を探ると考える。

しかし、根本的な供給懸念が解消されていないため、下値余地は限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の鉄鋼業PMIは50.0(前月52.1)と減速。生産の回復(54.5→56.0)はあったが、新規受注の落ち込みが顕著(51.7→46.7)であり、輸出向け新規受注も大きく落ち込み(48.9→45.9)。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲12.8万トンの1,128.8万トン(過去5年平均1,114万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比▲30.0万トンの1億2,160万トン(過去5年平均1億1,966.6万トン)、在庫日数は▲1.6日の25.5日(過去5年平均 28.9日)と例年の水準を下回った。

粗鋼生産の回復で原材料在庫が減少した形。これは鉄鋼業PMIとほぼ平仄が取れている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は下落した。米国とメキシコの問題の進展を受けた、リスク資産価格の上昇を受け、同時に長期金利も上昇したため実質金利が上昇したことが材料となった。

PGMは投機的な色彩が強まっているプラチナが前日比マイナス、リスクテイクの流れの中でパラジウムが大幅に上昇、という流れとなった。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,960ドル(前日比+50ドル)と上昇。価格の調整が進んでいたが、現物需給は再びタイト化の可能性。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中通商交渉のが難航していること、中東情勢や欧州の情勢不安を材料に安全資産需要は堅調とみられること、景気悪化を懸念した長期金利の低下が確認される中、原油が下落したとはいえ、OPECの減産期待で高値圏を維持していることが実質金利を押し下げることから総じて底堅い推移になると考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、イタリアの財政問題、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イラン・サウジアラビア・イスラエルを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、同時に米中通商交渉が難航、対立が激化する中で株価が下押しされやすく、対金銀では割安に推移することになると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利下げ期待が市場で再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少し、明確に強気のポジション取りとなっている。FRBの利下げ期待が織り込まれている形。

・プラチナはロング・ショートとも増加しているがショートの増加圧力が顕著(今後の上昇要因に)。パラジウムはロングが増加、ショートが減少しており、強気のポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが240,477枚(前週比 +46,014枚)、ショートが84,362枚(▲23,413枚)、ネットロングは156,115枚(+69,427枚)、銀が76,653枚(+2,990枚)、ショートが85,096枚(▲10,976枚)、ネットロングは▲8,443枚(+13,966枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが48,117枚(前週比 +516枚)、ショートが41,048枚(+1,338枚)、ネットロングは7,069枚(▲822枚)、パラジウムが12,122枚(+86枚)、ショートが2,939枚(▲75枚)、ネットロングは9,183枚(+161枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は堅調な推移となった。ドル高が進行したものの、米国とメキシコの貿易問題の進捗を受けた、米輸出需要への懸念が後退したことが材料となった。

【穀物価格見通し】

穀物価格は再び買戻しが入り、上昇すると考える。米メキシコの通商問題が解消したことや、北米の作付けの遅れで。

トウモロコシ・大豆・小麦とも生産地の作付けが天候の影響で遅れが深刻な状況となっており、豪州では小麦が不作となるなど、異常気象に伴う生産の下振れが強く意識されているため、記録的な水準にある投機の売り解消も進行すると予想され、価格を押し上げへ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産増加観測による需給緩和観測。

・米国の作付けの遅れに伴う需給タイト化観測。トウモロコシ、大豆とも過去5年の最低水準。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・5月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ24億8,500万ブッシェル(前穀物年度20億3,500万Bu)大豆 9億7,000万Bu(8億9,500万Bu)小麦 11億4,100万Bu(10億8,700万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米国がメキシコに対して制裁を発動したことで、米国のトウモロコシ・小麦の最大輸出国であるメキシコ向けのへの輸出が減少するとの見方が価格を下押し。

・米中通商交渉はほぼ戦争にまで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・主要穀物のショートポジションは、作付けの遅れなどから総じて買戻しが優勢となっている。一方、大豆・小麦は米中通商協議への懸念からロングが減少している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが449,519枚(前週比 +10,873枚)、ショートが225,504枚(▲103,148枚)、ネットロングは224,015枚(+114,021枚)、大豆はロングが139,755枚(▲4,849枚)、ショートが187,648枚(▲33,939枚)、ネットロングは▲47,893枚(+29,090枚)、小麦はロングが119,273枚(▲12,061枚)、ショートが122,958枚(▲13,747枚)、ネットロングは▲3,685枚(+1,686枚)

◆本日のMRA's Eye


「人民元安の影響」

昨日発表された中国の貿易統計は、輸出が前年比+1.1%(市場予想▲3.9%、前月▲2.7%)と市場予想・前月を上回ったが、その一方で輸入は▲8.5%(▲3.5%、+10.3%)と減速した。

素直に読めば、海外の需要が堅調で国内需要が減速しているように見えるが、背景には輸出促進のため、ないしは資本流出に伴う人民元安の進行の影響が大きいと考えられる。

中国の銅地金の輸入は過去5年の最低水準となる36万1,000トンに減速しており、回復感は見られない。過去の実績を見ると、中国勢はやはり価格水準に敏感であり、人民元のレートが下落すると、国内価格が上昇して輸入が減少する傾向が強いことがわかる。

その一方で、銅鉱石の輸入量は184万トンと、過去5年の最高水準を上回る輸入となっている。これに伴い、中国の精錬銅の生産は過去最低水準から徐々に回復基調にある。

これに関しては、米国による制裁が始まる前の昨年7月の価格水準と、直近の価格水準を比較すると、銅地金・製品価格が▲5.0%の6,870ドル/トンとなっているのに対し、銅鉱石・成功価格は▲7.8%の1,584ドル/トンとより下落幅が大きい。

鉄鉱石の輸入も過去5年平均を下回っていること、その時の国内情勢にもよるが、今回の輸入減速は人民元安の影響による可能性が高い。

価格に敏感、という意味では中国の石炭の輸入も増加し、同じ時期の過去5年の最高水準を上回った。これは海外炭価格の下落が、人民元安進行の影響を上回ったためと考えられる。

以上を総括すると、中国の消費者は比較的素直に人民元安の影響を受けて輸入を減少させていることがわかる。もちろん、中国に対する制裁と、循環的な需要の減速を受けて国内景気が鈍化していることによる、輸入減少であることは否定できないが、中国の消費者がより価格に敏感であることが伺える。

恐らく、中国政府の経済対策の効果が顕在化するのは例年通りであれば今年の後半。しかし、6月のG20では米中首脳会談が行われるかどうか、微妙になってきた。仮に対談が見送られれば、市場はこれを失望し、さらに人民元安が加速することになると予想される。

特に今回の中国の貿易統計では、米国からの輸入が▲26.8%と落ち込んだ一方、輸出は▲8.4%と輸入ほど落ち込んでいない。人民元安の影響のみで説明できる範囲ではないため、仮に米中首脳会談があったとしても、中国は苦しい立場に置かれることになるだろう。

◆主要ニュース


・4月日本経常収支(季節調整済) 1兆6,001億円の黒字(前月1兆2,710億円の黒字)
 (季節調整前)1兆7,074億円の黒字(2兆8,479億円の黒字)
 貿易収支 ▲982億円の赤字(7,001億円の黒字)
  輸出 6兆3,880億円(7兆586億円)
  輸入 6兆4,862億円(6兆3,585億円)
 サービス収支 ▲3,127億円の赤字(3,451億円の黒字)
 第一次所得収支 2兆1,303億円の黒字(2兆564億円の黒字)

・Q119日本実質GDP改定 前期比+0.1%(速報比+0.1%、前期確定+0.4%)、前期比年率+2.2%(+0.1%、+1.6%)
 GDPデフレータ 前年比+0.1%(▲0.1%、▲0.3%)
 民間消費支出 前期比▲0.1%(±0.0%、+0.2%)
 民間住宅+0.7%(▲0.4%、+1.4%)
 民間企業設備投資▲0.3(±0.0%、+2.5%)
 公的需要+0.4%(+0.2%、+0.7%)

・5月日本景気ウォッチャー調査 現状判断DI 44.1(前月45.3)、先行き判断DI 45.6(48.4)

・5月日本企業倒産 前年比▲9.38%(前月▲0.76%)

・5月中国貿易収支 416.5億ドルの黒字(前月137.7億ドルの黒字)
 輸出総額 前年比+1.1%(▲2.7%)、輸入総額▲8.5%(+4.0%)
 輸出年初来ベース
 対米国 前年比 ▲8.4%(▲9.7%)
 対欧州 +8.0%(+8.3%)
 対日本 ▲1.8%(▲2.5%)
 対アセアン諸国 +6.8%(+7.5%)
 輸入
 対米国 前年比 ▲29.6%(▲30.4%)
 対欧州 +2.4%(+2.5%)
 対日本 ▲6.7%(▲4.1%)
 対アセアン諸国 ▲0.4%(▲1.5%)

・5月中国外貨準備 3兆1,010億ドル(前月3兆950億ドル)

・4月米JOLT求人異動調査 7,449千人(前月改定 7,488千人)

・米トランプ大統領、「G20での会談を習近平氏が回避した場合、対中制裁を追加する。」

・日銀黒田総裁、「2%の物価目標に向けたモメンタムが失われれば、さらに大規模緩和が可能。」

・韓国文在寅大統領、「米国と北朝鮮は第3回の首脳会談に向けて調整中。」

・IEA、「2030年までに1億3,000万台以上の電気自動車が販売される見込み。」

・中国外務省報道官、「今月末のG20で米中首脳が会談する可能性に関しては、何も発表することはない。米国側は何回も会談を望んできている。中国は貿易戦争を戦いたくないが恐れてはいない。米国側が対等な協議を求めるなら、我々の扉は開かれている。米国側が貿易摩擦の激化を求めるなら、我々は断固として対応し最後まで戦う。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・5月中国石炭輸入 2,746.7万トン(前月2,529.9万トン) 輸出 32万トン(50万トン)

・5月中国原油輸入 4,023万トン、968万バレル/日(前月4,373万トン、1,079万バレル/日) 輸出 4万トン(NA)。精製石油製品輸入 256万トン(351万トン)、輸出 449万トン(617万トン)

※原油1トン=7.4バレルとして算出。石油製品は種類の内訳が不明のためバレル換算していない。

・5月中国天然ガス輸入 756万トン(前月765万トン)

・ロシア ノバクエネルギー相、「供給過剰の大きなリスクがある。原油価格は40ドルを下回る可能性。」

・サウジアラビア ファリハエネルギー相、「OPECプラスがこの夏に減産合意しなければ、原油価格は30ドルにまで下落。」

・ドイツ マース外相、「欧州はイランとの核合意を堅持。」

【メタル】
・5月中国銅輸入 36万トン(前月 41万トン)
 銅鉱石・精鉱 184万トン(166万トン)
 アルミ(未加工品含む) 輸出 54トン(50万トン)

・5月中国鉄鉱石輸入 8,375万トン(前月8,077万トン)

・5月中国レアアース輸出 3,640トン(前月4,329トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +3.92%/ ▲51.35%
2.欧州排出権 ( 排出権 )/ +2.82%/ +1.62%
3.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.81%/ +33.00%
4.CME木材 ( その他農産品 )/ +2.76%/ ▲2.41%
5.ICEココア ( その他農産品 )/ +2.66%/ +5.30%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ ▲4.19%/ ▲18.78%
67.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲2.33%/ ▲3.19%
66.銀 ( 貴金属 )/ ▲2.10%/ ▲5.10%
65.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ ▲1.60%/ ▲1.65%
64.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲1.37%/ +16.02%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,062.68(+78.74)
S&P500 :2,886.73(+13.39)
日経平均株価 :21,134.42(+249.71)
ドル円 :108.49(+0.30)
ユーロ円 :122.72(+0.10)
米10年債利回り :2.15(+0.07)
独10年債利回り :▲0.22(+0.04)
日10年債利回り :▲0.12(+0.00)
中国10年債利回り :3.24(+0.01)
ビットコイン :7,913.58(+14.95)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :26.60(+0.36)
エネルギー :33.40(▲0.03)
ベースメタル :19.99(+0.11)
貴金属 :15.99(+0.18)
穀物 :26.59(▲0.18)
その他農畜産品 :29.55(+0.91)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :37.81(▲0.03)
Brent :36.47(+0.17)
米天然ガス :26.24(+0.08)
米ガソリン :31.81(▲0.35)
ICEガスオイル :31.95(▲0.63)
LME銅 :13.44(▲0.05)
LMEアルミニウム :14.93(+0.17)
金 :24.78(▲0.15)
プラチナ :19.38(▲0.39)
トウモロコシ :31.72(▲0.3)
大豆 :24.78(▲0.15)

【エネルギー】
WTI :53.26(▲0.73)
Brent :62.42(▲0.87)
Oman :61.05(▲0.75)
米ガソリン :173.03(▲0.86)
米灯油 :180.63(▲1.85)
ICEガスオイル :556.75(▲1.25)
米天然ガス :2.36(+0.02)
英天然ガス :29.71(+1.12)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :62.42(▲0.87)
SPO380cst :368.99(▲5.75)
SPOケロシン :73.36(▲0.60)
SPOガスオイル :73.30(▲0.51)
ICE ガスオイル :74.73(▲0.17)
NYMEX灯油 :181.91(▲0.51)

【貴金属】
金 :1327.88(▲12.98)
銀 :14.70(▲0.32)
プラチナ :806.56(▲0.49)
パラジウム :1381.73(+21.50)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,811(+26:23C)
亜鉛 :2,475(▲9:145.5B)
鉛 :1,865(+25:23B)
アルミニウム :1,753(▲13:32.5C)
ニッケル :11,670(+15:70C)
錫 :19,175(▲305:105B)
コバルト :28,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5877.00(+84.50)
亜鉛 :2475.00(▲10.00)
鉛 :1881.00(+40.50)
アルミニウム :1777.00(+16.50)
ニッケル :11625.00(+5.00)
錫 :19200.00(▲50.00)
バルチック海運指数 :1,138.00(±0.0)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :99.34(+1.87)
NYMEX鉄鉱石 :99.26(+1.48)
NYMEX原料炭スワップ先物 :196.5(▲2.50)
上海鉄筋直近限月 :3,680(+32)
上海鉄筋中心限月 :3,703(▲10)
米鉄スクラップ :282(+2.00)

【農産物】
大豆 :858.50(+2.25)
シカゴ大豆ミール :313.40(+1.10)
シカゴ大豆油 :27.38(±0.0)
マレーシア パーム油 :1971.00(▲32.00)
シカゴ とうもろこし :415.75(±0.0)
シカゴ小麦 :507.50(+3.00)
シンガポールゴム :197.50(+5.40)
上海ゴム :12060.00(+275.00)
砂糖 :12.40(▲0.10)
アラビカ :98.60(▲2.35)
ロブスタ :1415.00(▲15.00)
綿花 :65.99(+0.40)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :79.28(+0.63)
シカゴ生牛 :109.70(+2.78)
シカゴ飼育牛 :139.83(+2.58)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。