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雇用統計悪化と利下げ期待で高安まちまち
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年6月10日 第1548号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「雇用統計悪化と利下げ期待で高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格はエネルギーに広く買戻しが入り、貴金属なども物色された。OPECプラスの減産期間延長合意報道があったことがエネルギー価格の買戻しを誘い、米雇用統計の悪化による長期金利の低下が貴金属価格を押し上げた。

しかしその他の商品に関しては、米雇用統計の予想以上の悪化を受けて総じて水準を切下げる流れとなった。

【本日の価格見通し総括】

週明け月曜日は、米国がメキシコとの不法移民問題交渉で合意、との報道を受けてリスク回避姿勢が弱まっていること、同時に米国の雇用統計の悪化を受けた米利下げ観測の高まりを受け、投機的な買戻しが入り、多くの商品が上昇するとみる。

ただし、基本的に景気が減速していることは間違いがないため、それでも上昇余地は限定されることになろう。

その他の注目材料は中国貿易収支。市場予想は輸出が前年比▲3.8%(前月▲2.7%)、輸入が▲3.3%(+4.0%)、貿易収支は232億ドル(138.4億ドル)と、貿易戦争の影響が不可避となる見込みであり、景気循環銘柄価格の下落要因となる見込み。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

週末発表された米雇用統計は、ADP雇用統計と同様、前月比+7.5万人(市場予想+17.5万人、前月+22.4万人)と、市場予想、前月共に下回った。

ISM製造業指数などのマインド系の統計のは減速が鮮明になっていたが、景気の遅行指標である雇用統計の悪化は、米国の景気がやはり後退局面に向かっていることを示唆するものだ。

雇用者数の増加がADP・雇用統計とも10万人を下回ったのは2016年5月の統計以来である。この時は利上げの打ち止め観測が広がったが、今回は利下げ期待を高める内容。

2016年の統計減速は、ベライゾンのストライキによる特殊要因によるもので、今回の雇用者数の伸び減速とはやや状況が異なる。ただし、単月の悪化であり、これを以って米国の景気が減速したと判断するのは早計だろう。やはり7月に発表される6月統計を見極める必要がある。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、米中対立の激化があった場合には▲0.5%程度の引き下げリスクも視野に入れている。リスク資産価格に対して下向きのリスク。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中通商戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

・景気減速下での原油価格高止まりは、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中の対立激化や、米国のメキシコに対する追加関税などの米保護主義政策の拡大により世界経済が減速する場合(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気減速など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず10月末を期限として問題先送りしたが、メイ首相退陣、ハードブレグジット推進派の台頭によってよりそのリスクは高まる(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は終始水準を切り上げる展開となった。サウジアラビアとロシアが基本的に減産期間の延長で合意したと伝えられた事による供給面、注目の米雇用統計が市場予想を大きく下回り、金融緩和が実施されるのではとの期待がドル指数を押し下げたことが背景。

ただし、雇用統計が悪化したことに伴う需要面への懸念から上値も重かった。

【原油価格見通し】

原油価格はOPEC減産期間延長や、米国の金融緩和観測を受けて一旦買戻しが入って水準を切り上げると考えるが、米国やその他の国の経済統計の減速を考えると需要の伸びは緩慢であり、上値余地も限定されると考える。

しかし、米中通商協議は対立が激化した状態で継続しており、保護主義政策の拡大が景気を下押しするとの見方が強まっていること、欧州不安の再燃などの需要面のマイナスショックは多数存在するため、下向きのリスクは多い。

一方、米国がイランに対する制裁を強化、対立が激しくなっており可能性は低いが軍事的な衝突があり得ることは上向きのリスク。安倍首相とハメネイ師の対談で事態が緩和するかどうかに注目。

トランプ大統領はむしろイランと対話を望んでいるようだが、ペンス副大統領や、ボルトンなどの共和党議会側が強硬姿勢であるため、先行きは不透明。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は下落した。米中通商戦争の激化やそれを受けた景気の先行き懸念で。石炭価格は全ゾーンコンタンゴ化しており、一時の供給懸念は解消している。

【石炭価格見通し】

石炭価格は夏場に向けて上昇するとみているものの、期間構造が全ゾーンコンタンゴとなったことに象徴されるように、足元の需給は緩和しており、当面下値余地を探る動きになると考える。

中国の石炭の輸入量は過去5年平均を下回って低迷、生産に関しても減少傾向を維持、その一方で港湾在庫は増加するなど中国の石炭需要が弱いことを示唆、ファンダメンタルズは強くない。

ただし過去5年基準で見た場合、現在の価格水準はその下限であることや上述の季節性、などから下落余地も限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・景気が減速する中での減産継続は、その効果が限定されはするものの、足元の価格下落を受けてOPECプラスの協調減産は7月以降も継続(場合によると減産枠拡大)の見込みであり、一定の下支え効果をもたらす見込み。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

・中国の石炭生産鈍化(4月2億9,429万トン)、輸入減少(1,564万7,172トン)にもかかわらず、港湾在庫が増加していることは国内需要の弱さを示唆(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、イスラエルネタニヤフ首相の5選達成による、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に(ただしイスラエルは再選挙の予定であり、ネタニヤフ首相が再選されるかどうかは不透明に)。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・WTIはロングの減少が顕著で、同時にショートが増加している。景気への懸念と生産増加観測を意識したポジション取りに。Brentはロングの減少が顕著だが、OPEC増産観測(減産幅順守)を受けてショートも減少。

・逆に、景気刺激策や貿易協定の妥決、生産調整の進捗、といった価格面でのプラス材料が出た場合、このショートポジションに急速に巻き戻しが入る可能性があることはリスク。

・テクニカルには、世界の市場参加者は原油取引において「一目均衡表」を活用するようになっており、この数日の下落で雲を下抜けした。

雲のねじれがあるのが6月末頃であり、仮に中東情勢不安が顕在化したり、金融緩和が意識されるようになったり、OPECが減産を見送ったり、ということがあれば、上記のポジション動向を考えても6月~7月にかけての急騰リスクはあり得る。

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが538,947枚(前週比 ▲25,486枚)、ショートが138,779枚(+13,284枚)、ネットロングは400,168枚(▲38,770枚)、Brentが351,457枚(前週比▲50,863枚)、ショートが47,130枚(▲2,454枚)、ネットロングは304,327枚(▲48,409枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は総じて軟調な推移となった。米メキシコの対立解消報道があったが、米統計の悪化などをより意識して売りが継続した。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は米FRBの利下げ期待の高まりと、米統計の改善で、投機筋の買戻しが一旦入ると考えるが、基本的に景気への懸念が払しょくされたわけではないため、上値も重いと考える。

投機の売りがかさみ、ネット売り越しとなっているため今回のような金融緩和期待の高まりや、中国の経済対策期待、LME指定倉庫在庫の減少継続、(希望的観測であるが)米中の合意期待を材料に買戻しが入りやすい地合いにあることは事実。

しかし、米中通商協議は難航、最大消費国である中国の期待需要が減少していることに加え、米墨問題も加わり期待需要の見通しは明るくない。

なお、中国政府の経済対策の効果は年後半に顕在化する、との見方が多く価格に対するプラス効果は年末にかけてとみられる。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・ブラジルの裁判所、ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の再稼働を許可。アルミナ価格の下落を通じてアルミ価格の下落要因に(アルミ)。

・オランダ ニルスター社の豪鉛精錬所(ポート・ピリー)停止による、供給不安(鉛)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月31日付のLMEポジションは再びすべての商品でショートが積み上がり始めた。ただし、ニルスターの供給途絶などで鉛のロングは増加している。

投機筋のLME+CME銅ネット売り越し金額は▲54.1億ドル(前週▲45.8億ドル)と売り越し幅を拡大。売り越し額の増加は+18.1%に。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,444千トン(▲1,321千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は+9.3%。

今後、総じてこれらのポジションの買戻し圧力が強まる可能性があり、テクニカルに非鉄金属価格が上昇する余地があることは留意。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は小動き、原料炭スワップ先物は変わらず、中国鉄鋼製品市場は休場だった。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米中通商戦争が長期化するとの見通しを受け、より需要面が意識されて始めていることから、鉄鋼製品価格の下落を通じて下値余地を探ると考える。

しかし、根本的な供給懸念が解消されていないため、下値余地は限定されると考える。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・直近の鉄鋼業PMIは50.0(前月52.1)と減速。生産の回復(54.5→56.0)はあったが、新規受注の落ち込みが顕著(51.7→46.7)であり、輸出向け新規受注も大きく落ち込み(48.9→45.9)。

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲12.8万トンの1,128.8万トン(過去5年平均1,114万トン)と例年を上回っている。

中国の鉄鉱石在庫水準の高さは徐々に低下し、価格の下支え要因となる可能性。鉄鉱石在庫は前週比▲30.0万トンの1億2,160万トン(過去5年平均1億1,966.6万トン)、在庫日数は▲1.6日の25.5日(過去5年平均 28.9日)と例年の水準を下回った。

粗鋼生産の回復で原材料在庫が減少した形。これは鉄鋼業PMIとほぼ平仄が取れている。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

・ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響で、今後、低品位鉱石価格にも上昇圧力がかかる公算。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は上昇した。米雇用統計が市場予想を下回る結果となり、米国の利下げ期待が高まったことで実質金利が低下したことが影響した。

PGMは基本的に金銀価格と似た動きとなったが、パラジウムは株価が利下げ期待で戻したこともあり、対金でやや割高に推移。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,910ドル(前日比+10ドル)と上昇。価格の調整が進んでいたが、現物需給は再びタイト化か。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中通商交渉のが難航していること、中東情勢や欧州の情勢不安を材料に安全資産需要は堅調とみられること、景気悪化を懸念した長期金利の低下が確認される中、原油が下落したとはいえ、OPECの減産期待で高値圏を維持していることが実質金利を押し下げることから総じて底堅い推移になると考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、イタリアの財政問題、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イラン・サウジアラビア・イスラエルを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、同時に米中通商交渉が難航、対立が激化する中で株価が下押しされやすく、対金銀では割安に推移することになると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利下げ期待が市場で再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中通商交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州議会選でのポピュリズム政党の躍進。それに伴うEU懐疑論の高まりによる域内の政情不安定化。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・金銀はロングが増加、ショートが減少し、明確に強気のポジション取りとなっている。FRBの利下げ期待が織り込まれている形。

・プラチナはロング・ショートとも増加しているがショートの増加圧力が顕著(今後の上昇要因に)。パラジウムはロングが増加、ショートが減少しており、強気のポジション取りに。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが240,477枚(前週比 +46,014枚)、ショートが84,362枚(▲23,413枚)、ネットロングは156,115枚(+69,427枚)、銀が76,653枚(+2,990枚)、ショートが85,096枚(▲10,976枚)、ネットロングは▲8,443枚(+13,966枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが48,117枚(前週比 +516枚)、ショートが41,048枚(+1,338枚)、ネットロングは7,069枚(▲822枚)、パラジウムが12,122枚(+86枚)、ショートが2,939枚(▲75枚)、ネットロングは9,183枚(+161枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は下落。米メキシコの貿易問題や、米中対立の長期化を受けて売られた。

ただし今朝方トランプ大統領は、「メキシコとの交渉で合意成立」とツイート、メキシコに対する関税引き上げが見送られることになったと報じられている。

【穀物価格見通し】

穀物価格は再び買戻しが入り、上昇すると考える。米メキシコの通商問題が解消したことや、北米の作付けの遅れで。

トウモロコシ・大豆・小麦とも生産地の作付けが天候の影響で遅れが深刻な状況となっており、豪州では小麦が不作となるなど、異常気象に伴う生産の下振れが強く意識されているため、記録的な水準にある投機の売り解消も進行すると予想され、価格を押し上げへ。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産増加観測による需給緩和観測。

・米国の作付けの遅れに伴う需給タイト化観測。トウモロコシ、大豆とも過去5年の最低水準。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・5月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ24億8,500万ブッシェル(前穀物年度20億3,500万Bu)大豆 9億7,000万Bu(8億9,500万Bu)小麦 11億4,100万Bu(10億8,700万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米国がメキシコに対して制裁を発動したことで、米国のトウモロコシ・小麦の最大輸出国であるメキシコ向けのへの輸出が減少するとの見方が価格を下押し。

・米中通商交渉はほぼ戦争にまで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・主要穀物のショートポジションは、作付けの遅れなどから総じて買戻しが優勢となっている。一方、大豆・小麦は米中通商協議への懸念からロングが減少している。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが449,519枚(前週比 +10,873枚)、ショートが225,504枚(▲103,148枚)、ネットロングは224,015枚(+114,021枚)、大豆はロングが139,755枚(▲4,849枚)、ショートが187,648枚(▲33,939枚)、ネットロングは▲47,893枚(+29,090枚)、小麦はロングが119,273枚(▲12,061枚)、ショートが122,958枚(▲13,747枚)、ネットロングは▲3,685枚(+1,686枚)

◆本日のMRA's Eye


「中東有事による原油価格上昇リスク~過去のケースを整理」

このコラムでも指摘しているように、中東情勢が緊迫している。引き続き、米国がイランに対して武力行使する、というのは効果や資金負担、経済や同盟国や周辺国への悪影響を考えると発生確率の高くないリスクシナリオの位置づけだ。

しかし、ペンタゴンではなくボルトン大統領補佐官が空母エイブラハム・リンカーンの派遣を発表するなど、前回イラク戦争を主導した同氏がキャスティング・ボートを握っている可能性があることは、武力行使の可能性を意識させるものである。

6月に行われるとされるクシュナー大統領上級顧問がイスラエルとパレスチナに対して「世紀の提案」を行うと報じられているが、あまり情報がない中ではあるものの、相当イスラエル寄りの提案が行われる可能性が高い。クシュナーとイヴァンカは言わずもがなだが、ユダヤ教徒である。

これにヨルダンに多数在住しているパレスチナ難民や、レバノンのヒズボラ、ガザ地区に展開しているハマスなどが反発する可能性は高い。

また、こうした混乱に乗じて、「域内の覇権国に」と最近は国際社会の批判で鳴りを潜めているが、再びサウジアラビアのムハンマド皇太子が「その気になる」可能性は十分にあり得る。その場合、中東戦争が勃発してもおかしくない。

いずれにしても戦争が起きるか起きないかは、市井レベルまで情報が降りてくることはなく、あくまで状況証拠を揃えて推測する以外ない。誤解を恐れずに言えば下衆の勘繰りとさほどレベルは変わらない。

そのため、それが起きるか起きないかよりも、それが起きると何が起こるかを考える方が建設的である。その意味で過去の中東有事の影響を検証することはそれなりに意味がある。

グラフは過去の中東有事やOPEC関連のイベントと、Brent価格の前年比変化率、並びに世界最大の経済国である米国のGDPの先行指標であるISM製造業景況指数であるが、確かに中東有事が発生した時には、原油価格が前年比で上昇していることが分かる。

戦闘行為が起きて価格が上昇したのは、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラン戦争、リビア内戦であり、軍事衝突までは起きなかったが価格が上昇したのがイランと米国が核合意を巡って対立していた頃だ。

上昇率、ということで最も大きかったのが1998年~1999年に掛けてであるが、これはOPEC諸国の協調減産が実施されたことが大きい。

そして、その上昇が極端になった場合に、景気が減速しているケースがみられることは注意すべきだ。湾岸戦争勃発時や、ドットコムバブルが崩壊した1999年~2001年にかけての景気減速、リーマンショック前の原油価格高騰とその後の価格下落、景気悪化が主なものだ。

では、実際に開戦が起きた時にどのようなことが起きるか。展開にもよるが、恐らく「その気」になっているサウジアラビアがイラン攻撃に参加する可能性が高く、その報復としてイランがホルムズ海峡を封鎖に動くことになる。

船を沈めてペルシャ湾を封鎖する封鎖作戦の展開は難しいとされているが、機雷をバラ撒くだけでもタンカーの航行には大きな影響を及ぼし、実質的に封鎖することは不可能ではないだろう。

ただ、それが行われれば原油価格が100ドルを超える展開が予想され、各国中銀は金融緩和どころか利上げを余儀なくされる可能性がある。この場合、世界の景気が減速する展開が想定される。

また、イランとイスラエルがことを構える場合、イランやイラクの北部に展開しているクルド人が刺激を受けて(あるいはイスラエルから刺激を受けて)蜂起して難民が発生、欧州への流入を通じて欧州情勢が悪化する展開も想定される。

結果、原油価格は急騰後に急落、という展開になると予想される。目先は今月行われる安倍・ハメネイ対談。この結果によってはこの地政学的リスクが急速に後退し、秋口にかけての原油価格の下落をさらに大きくする可能性もあり得る。

◆主要ニュース


・4月日本家計支出 前年比+1.3%(前月+2.1%)

・4月日本毎月勤労統計 現金給与総額 前年比▲0.1%(前月改定▲1.3%)。実質賃金総額 ▲1.1%(▲1.9%)

・5月日本外貨準備 1兆3,080億ドル(前月1兆2,935億ドル)

・4月日本景気動向指数速報 先行指数 95.5(前月改定 95.9)、景気一致指数 101.9(99.4)

・4月独鉱工業生産 前月比▲1.9%(前月改定+0.5%)、前年比 ▲1.8%(▲0.9%)

・4月独経常収支 226億ユーロの黒字(前月309億ユーロの黒字)
 貿易収支179億ユーロの黒字(226億ユーロの黒字)
 輸出 前月比▲3.7%(+1.6%)、輸入▲1.3%(+0.7%)

・Q119独労働コスト 前期比+1.1%(前期+0.2%)、前年比+2.5%(+2.0%)

・5月米雇用統計 非農業部門雇用者数 前月比+75千人(前月改定+224千人(速報比▲39千人))
 民間部門雇用者数 +90千人(+205千人)
 製造業雇用者数 +3千人(+5千人)

・5月米失業率 3.6%(前月 3.6%)
 不完全雇用率 7.1%(7.3%)
 労働参加率 62.8%(62.8%)
 時間当たり平均賃金 前月比+0.2%(+0.2%)、前年比+3.1%(+3.2%)
 週平均労働時間 34.4時間(34.4時間)

・4月米卸売在庫 前月比+0.8%(前月±0.0%)、卸売売上高 ▲0.4%(+1.8%)

・4月米消費者信用残高 前月比+175億ドル(前月改定+110億ドル)
 回転信用+70億ドル(▲20億ドル)、非回転信用+105億ドル(+130億ドル)

・5月ブラジルIBGEインフレ率IPCA-15 前月比 +0.13%(前月+0.57%)、前年比+4.66%(+4.94%)

・米トランプ大統領、「メキシコに対する完全を永久に延期する。メキシコとの合意が成立したため。」

・ロシア プーチン大統領、「米国の中国に対する強硬な対応は、貿易戦争だけでなく最終的には戦争を引き起こす可能性がある。」

・英メイ首相、与党党首を辞任。

・国連、「ベネズエラからの出国者400万人。人口の1割以上。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数789(前週比▲11)、ガスリグ 186(前週比+2)。

・サウジアラビア ファリハ石油相、「ロシアと協調減産延長を確認。」

・IEA、「天然ガス需要は中国の支えもあり2年ほど好調だったが、向こう5年間で鈍化する可能性が高い。工業向け需要の増加を受けて2024年まで年率+1.6%で成長する見通しだが、経済成長の減速に加え、石炭からガスへの転換の可能性が低下していること、昨年夏に北半球が猛暑に見舞われた後、平均的な気温に回帰していることから、需要の伸びは鈍化する見込み。」

【メタル】
・コデルコ、Chuquicamata鉱山労働者と労使交渉合意。

・4月ペルー銅生産、サザン・カッパー、グレンコアの増産で前年比+1.3%の188,004トンに増加(前月では▲10%)

・Q319のアルミ一時金、Q219対比10~20ドル高い、115~125ドル。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +4.42%/ ▲53.18%
2.ICEガスオイル ( エネルギー )/ +2.95%/ +9.25%
3.TCM原油 ( エネルギー )/ +2.88%/ +2.27%
4.TCMガソリン ( エネルギー )/ +2.80%/ +11.82%
5.DME Oman ( エネルギー )/ +2.71%/ +15.49%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.NYB綿花 ( その他農産品 )/ ▲4.37%/ ▲9.16%
67.LME鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲2.39%/ ▲8.46%
66.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ ▲1.45%/ ▲7.79%
65.CBT大豆 ( 穀物 )/ ▲1.44%/ ▲2.97%
64.CBT大豆油 ( 穀物 )/ ▲1.37%/ ▲0.62%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,983.94(+263.28)
S&P500 :2,873.34(+29.85)
日経平均株価 :20,884.71(+110.67)
ドル円 :108.19(▲0.21)
ユーロ円 :122.62(+0.39)
米10年債利回り :2.08(▲0.04)
独10年債利回り :▲0.26(▲0.02)
日10年債利回り :▲0.12(±0.0)
中国10年債利回り :休場( - )
ビットコイン :7,898.63(+208.02)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :26.24(+0.21)
エネルギー :33.43(+1.07)
ベースメタル :19.88(+1.5)
貴金属 :15.81(▲1.55)
穀物 :26.76(▲0.59)
その他農畜産品 :28.64(+0.13)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :37.83(+2.05)
Brent :36.30(+1.75)
米天然ガス :26.16(▲1.69)
米ガソリン :32.16(+1.21)
ICEガスオイル :32.57(+2.66)
LME銅 :13.49(▲0.03)
LMEアルミニウム :14.76(+0.03)
金 :24.93(▲0.29)
プラチナ :19.77(▲1.49)
トウモロコシ :32.02(▲2.32)
大豆 :24.93(▲0.29)

【エネルギー】
WTI :53.99(+1.40)
Brent :63.29(+1.62)
Oman :61.80(+1.63)
米ガソリン :173.89(+3.13)
米灯油 :182.48(+3.65)
ICEガスオイル :558.00(+16.00)
米天然ガス :2.34(+0.01)
英天然ガス :28.59(+1.21)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :63.29(+1.62)
SPO380cst :374.74(+4.80)
SPOケロシン :73.96(+0.87)
SPOガスオイル :73.81(+0.81)
ICE ガスオイル :74.90(+2.15)
NYMEX灯油 :183.13(+1.53)

【貴金属】
金 :1340.86(+5.53)
銀 :15.02(+0.13)
プラチナ :807.05(+2.29)
パラジウム :1360.23(+6.83)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,786(▲38:15.5C)
亜鉛 :2,484(▲28:137.5B)
鉛 :1,840(▲64:3C)
アルミニウム :1,766(▲9:32.5C)
ニッケル :11,655(▲125:75C)
錫 :19,480(+430:150B)
コバルト :28,000(▲3,000)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5792.50(▲46.50)
亜鉛 :2485.00(▲27.00)
鉛 :1840.50(▲45.00)
アルミニウム :1760.50(▲13.50)
ニッケル :11620.00(▲55.00)
錫 :19250.00(±0.0)
バルチック海運指数 :1,138.00(▲3.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :97.47(▲0.03)
NYMEX鉄鉱石 :97.78(+0.02)
NYMEX原料炭スワップ先物 :199(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :休場( - )
上海鉄筋中心限月 :休場( - )
米鉄スクラップ :280(▲4.00)

【農産物】
大豆 :856.25(▲12.50)
シカゴ大豆ミール :312.30(▲3.60)
シカゴ大豆油 :27.38(▲0.38)
マレーシア パーム油 :2003.00(▲27.00)
シカゴ とうもろこし :415.75(▲4.75)
シカゴ小麦 :504.50(▲5.50)
シンガポールゴム :192.10(▲2.20)
上海ゴム :休場( - )
砂糖 :12.50(▲0.01)
アラビカ :100.95(▲1.10)
ロブスタ :1430.00(▲1.00)
綿花 :65.59(▲3.00)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :78.65(▲0.73)
シカゴ生牛 :106.93(▲0.68)
シカゴ飼育牛 :137.25(▲2.03)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。