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価格リスクマネジメントを検討する契機
  • ビジネスへのヒント
  • MRA商品市場レポート for MANAGEMENT(週末版)

【ビジネスへのヒント】第366号

多くの企業が、リスクが顕在化(例えば価格が高騰したり、急落したり)したところで、その対象となる商品に関して何らかの対策をしようと考えます。リスクが顕在化しなければ対応しようと思わないのは普通であり、いわゆる火事になってから「次の火事の時に大変なことにならないようにしよう」と考える企業が多い、ということです。

ですが、本来的には火事になる前に対応を考えておく必要がありますし、火事になったときに火消しができるような体制とはどういったものか、といった議論をしておく必要があります。もっと言うと、家を建てたりマンションを買ったりしたとき比較的当たり前のように火災保険に加入します(もちろん必ずしもそういうわけではありません)。ここでポイントポイントなのは、「必ずしも火事になった経験がある人だけが保険に入るわけではなく、まったく火事にあったことがない人も保険に入る」点です。これは、火事になったときのリスクや問題点をイメージすることができるからと考えられます。

それに対して市場価格リスクマネジメントは、火事に比べて実感し難く、実際に遭ってみないとその大きさが分かりにくいといえます。これは、実際に市場価格の変動リスクマネジメントを行っている企業の、「やっていてよかった」という事例があまり共有されていないことが影響しているのではないでしょうか。そして、それ以上に「価格リスクマネジメントは危険なもの」という誤った情報が広がっているように見受けられます。理由は先物取引やデリバティブの報道のされ方によると考えられます。

最終的に市場価格の変動リスクを回避しようとすると、サプライヤーとの固定価格での値決めや、それが難しいようであれば、先物取引やデリバティブを活用して値決めを行います。ですが、これらはあくまで価格リスク制御のための選択肢にすぎず、より大切なのは市場価格の変動リスクのフレームワークやロジックの構築です。ですが不思議なことに、「デリバティブや先物取引の失敗という事実」のみ広く企業や個人の間で共有されます。むしろ「なぜそのような使い方をしたのか」ということの方が重要なのですが、そちらが語られることはほとんどありません。新聞やメディアの報道も「デリバティブで巨額損失」という感じで報じられます。その結果、「先物取引はそれだけで危険な取引なので、絶対にやるべきではない」という主張だけが流布することになるわけです。さらに言えば「市場価格リスクマネジメント=デリバティブを使うこと=危険なもの」という誤解が広がることになります。

まず、デリバティブや先物のことは忘れ、どれだけの数量をどれだけの期間、いくらで値決めすると業績に与える影響はどうなるだろうか?ということを考えてみることをお勧めします。