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米中貿易交渉の懸念と楽観で高安まちまち
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年5月9日 第1527号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中貿易交渉の懸念と楽観で高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は供給懸念が根強いエネルギーが上昇(気温低下で欧米天然ガス・排出権も上昇)、その他の景気循環銘柄は軟調な推移となり、非金利系・非景気循環系商品が物色された。

貴金属も物色対象になっていたが、昨日は長期金利の上昇に伴う実質金利の上昇が価格を下押しした。

【本日の価格見通し総括】

本日の商品市場は、市場の最大の懸念の1つとなった米中貿易交渉動向に左右される展開になる。

米中貿易交渉が継続されることが市場に安心感をもたらす一方、米中の関税合戦が再開する可能性が景気循環銘柄価格を下押しするため、結局レンジでの推移になると考える(米中貿易交渉に関しては本日のMRA's Eyeをご参照ください)。

また、中東情勢不安が高まっていることがエネルギー価格を押し上げるため、実質金利の低下がインフレ資産価格を押し下げるものの、景気への懸念やリスク回避のドル高を助長するため、やはり上値を抑えよう。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

上述の通り、米中、中東情勢に市場の注目が集まっているが、静かに英国のEU離脱にも変化がみられていることは注目しておく必要がある。

メイ首相の側近であるリディントン内閣府担当相は、今月の欧州議会選に英国も参加することを表明した。メイ首相は議会選までにEUとの離脱合意案に関して下院での承認を得るために最大野党労働党との協議を進めてきたが、妥決できず非合意離脱を回避するためには議会選への参加が不可避となったためだ。

また、月初に行われた統一地方選では8,000議席が対象となったが、保守党と労働党が各々、1,332議席、81議席と、ともに大幅に議席を失った。

逆に今回の地方選で議席を伸ばしたのが親EUの自由民主党で700議席。また、国民再投票を訴えた緑の党は194議席を確保した。英国の世論は国民投票を再実施を求めていると考えられる。

ただし、国民投票を行ったとしても離脱回避となるわけではなく、メイ首相も国民投票の再実施に否定的であるため、引き続きEU合意案を可決して合意離脱を目指さざるを得ないが、今回の選挙結果を受けて保守党・労働党がEU案合意に傾く可能性は若干高まったといえるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、先行きの見通しのリスクも下向き。

・FRBは利下げの可能性を否定(インフレ系資産価格の下落要因)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

・景気減速下での原油価格高騰は、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米政権は対中関税引き上げを表明(景気循環銘柄価格の下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気後退など)によるリスク回避の動きの強まり。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク(とりあえず5月末、10月末を期限として問題先送り)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は上昇した。米石油統計で原油在庫が予想外に減少したことに加え、米国の制裁強化に対してイランが反発、核開発を一部再開すると報じられたことが供給懸念を意識させたため。

【原油価格見通し】

原油価格は高値圏を維持する展開を予想。

米国が中東に打撃・空爆戦力派遣を決定、イランも核開発の一部再開を通知するなど、域内情勢が不安定化するとの見方が強まる一方、イランに対する制裁があっても輸入国とも国内の製油所の能力などから直ちに禁輸を行えるわけではないこと、仮に完全に減産が行われても、数字の上では供給は足りること、ロシアが減産を順守していないことといった供給面の不安が後退していることに加え、各国PMI、米ISM製製造業指数の減速といった、下落要因が意識されるため。

ただし、イランに対する制裁が行われる以上、イランの報復懸念に伴うホルムズ海峡封鎖の可能性や、イスラエルに対する米国の過剰な肩入れが域内の供給不安を意識させること、ベネズエラ・リビアの供給不安から、大幅な調整にはならない見込み。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に上昇。米中貿易交渉の状況は石炭価格にとってマイナスであるが、交渉が継続する見込みであることや季節性が材料となった。

【石炭価格見通し】

石炭価格は季節的な需要期に徐々に入りつつあることから、じりじりと水準を切り上げる展開になると予想する。

本格的な上昇は8月頃。その後季節的な調整の後、11月にかけて水準を切り下げる展開を予想。米中貿易協議が難航する見通しであることも価格を押し下げ。下値の目処は80ドル。

ただし、米国の北朝鮮制裁はミサイル発射の影響で容易に緩和せず、環境規制強化による供給の伸び鈍化が価格を下支えの見込み。

また、中国による豪州炭の輸入規制(華為技研問題の影響)の影響でインドネシア炭にシフトしていることは逆に、上値を抑えると考えられる(日本が輸入する石炭価格CIFへの影響は中立)。米国の中国制裁強化も価格の上値を抑える公算。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・OPECプラスの協調減産は9月末で終了する可能性が高まっており、足元の協調減産は価格の上昇要因だが、年後半は下落要因に。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、イスラエルネタニヤフ首相の5選達成による、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に。

・スーダンでのクーデター発生、アルジェリアでのデモ発生など、北アフリカ情勢が不安定化しており、周辺諸国に拡大するリスク。

・米国の制裁緩和による北朝鮮炭の輸出再開による需給緩和(石炭)。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが638,298枚(前週比 ▲6,372枚)、ショートが114,195枚(+16,884枚)、ネットロングは524,103枚(▲23,256枚)、Brentが433,588枚(前週比+5,324枚)、ショートが29,219枚(▲2,779枚)、ネットロングは404,369枚(+8,103枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇後下落した。売られすぎ感からの買戻しで上昇したが、米中の関税合戦再開懸念が価格を下押しした。

中国の貿易統計が発表されたが、指標となるベンチマークの銅輸入は405千トンと、過去5年平均を下回る水準で推移している。中国国内の在庫も積み上がっており、現物プレミアムも下押し圧力が掛かるなど、非鉄金属を巡る需給環境はさほどタイトとは言えない。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格はもみ合うものと考える。米中関税合戦再開懸念が価格を下押しするものの、交渉が継続していること自体がプラスにとらえられるため。

ただし、中国の製造業PMIが再び減速、その他の地域の製造業PMIも減速感が強まっていることが実需面で、米FRBは先々の利下の可能性を否定、金融政策がより中立になったことが金融面で価格を押し下げるため、レンジとは言ってもやや軟調とみる。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月3日付のLMEポジション動向はまちまち。おおむねロング・ショートともポジションを落としていく動きに変わりはないが、鉛と錫はロングの減少とショートの増加が確認されており弱気のポジション取りに。

その他は亜鉛のロング解消の動きが顕著だが、銅・アルミ・ニッケルはショート解消圧力が強いため、結果ネットロングを拡大している。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は5.7億ドル(前週1.2億ドル)と減少。上昇率は+360.9%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲53千トン(▲123千トン)と増加、増加率は+56.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は小幅下落、原料炭スワップ先物は横ばい、中国鉄鋼製品価格は小幅に下落した。

再稼働していたヴァーレのブルクツ鉱山が、裁判所の判断で再び稼働を停止したことで供給懸念が再燃、価格が急上昇していたが中国の貿易統計で鉄鉱石輸入が失速したことが材料となった。

中国の貿易統計が発表され、鉄鉱石の輸入は前年比▲215万トンの8,077万トンに減速した。これは過去5年平均の8,253万トンも下回っている。中国国内の鉄鋼向け需要が鈍化している可能性を示唆している。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏でもみ合うものと考える。ヴァーレのブルクツ鉱山が再び稼働停止になったことで、鉄鉱石の供給懸念が強まる一方、米中の関税合戦が再開する可能性が出てきたことが上値を抑えるため。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲74.0万トンの1,315万トン(過去5年平均1,306.2万トン)と例年をやや上回っている。

・中国の鉄鉱石在庫水準の高さは価格を下押し。鉄鉱石在庫は前週比▲400万トンの1億3,600万トン(過去5年平均1億1,887万トン)、在庫日数は▲1.0日の34.2日(過去5年平均 29.8日)と例年の水準を上回る。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は下落した。米長期金利上昇に伴い実質金利が上昇したことが材料。PGMは金銀価格が下落したことや株価の調整が価格を下押しした。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,950ドル(前日比変わらず)。

【貴金属価格見通し】

金価格は上昇余地を探る展開を予想。米国の中東への空母派遣が安全資産需要を高め、それに伴う原油価格の上昇が実質金利を押し下げるため。ただし、米金融政策がややタカ派(過剰なハト派観測が後退)よりになることが上値を抑えると予想。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、欧州の政情不安、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イスラエル・イランを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が上昇余地を探る展開が予想されることから、堅調だが、同時に米中貿易交渉の難航などを背景に景気の先行きを懸念して株価に調整圧力が高まると予想されることから、水準を切下げる展開を予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利上げ打ち止め、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを楽観した株価上昇とそれに伴う長期金利・実質金利の上昇(金銀価格の下落要因)。ただし、欧州の政情混乱や景況感の悪化で株価が調整した場合には金銀価格の上昇要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

・割安感からプラチナのETFに買いが入っており、短期的には上昇要因、中期的には手仕舞い圧力で売り要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の下落要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州の政治混乱(英国のEU離脱、伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化など)による安全資産需要の増加。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが177,275枚(前週比 +584枚)、ショートが111,056枚(▲28,240枚)、ネットロングは66,219枚(+28,824枚)、銀が77,120枚(+1,231枚)、ショートが74,984枚(▲1,015枚)、ネットロングは2,136枚(+2,246枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが48,188枚(前週比 +1,045枚)、ショートが14,866枚(▲1,197枚)、ネットロングは33,322枚(+2,242枚)、パラジウムが12,735枚(+111枚)、ショートが3,327枚(▲356枚)、ネットロングは9,408枚(+467枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格はトウモロコシ・大豆が下落、小麦が小幅上昇した。週末の米需給報告待ちでポジション調整的な取引が主体だったと考えられる。

なお、中国の貿易統計が発表され大豆の輸入は7ヵ月振りの高水準となる764万トンと増加したが、豚コレラの影響で輸入が減少、在庫水準が低下したことによる在庫積み増しとみられるが、主に収穫中の南米産の輸入増加によるものである。

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシは、需給見通しの下方修正観測から軟調推移すると考える。ただし、降雨の影響で北米の作付けに遅れがみられており、同じ時期の過去5年の最低水準であることから下落余地も限定。

大豆は米中貿易交渉の進捗がはっきりしないことや、中国の豚コレラの影響で大豆の飼料向け需要の減少が価格を下押し。

小麦は冬小麦の作柄が良好であることや、黒海周辺国の輸出増加が、シカゴ小麦価格を下押しすると予想されることから、低迷を予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産増加観測による需給緩和観測。

・米国の作付けの遅れに伴う需給タイト化観測。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・5月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ21億5,400万ブッシェル(前穀物年度20億3,500万Bu)大豆 9億4,300万Bu(8億9,500万Bu)小麦 10億5,200万Bu(10億8,700万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の上昇要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下落要因)。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・再び主要穀物のショートポジションが大きく積み上がっている。これらの巻き戻し(買戻し)圧力が播種の状況によって強まる可能性があることは留意。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが373,602枚(前週比 ▲43,925枚)、ショートが581,894枚(▲8,775枚)、ネットロングは▲208,292枚(▲35,150枚)、大豆はロングが125,622枚(▲17,301枚)、ショートが243,957枚(+14,534枚)、ネットロングは▲118,335枚(▲31,835枚)、小麦はロングが135,683枚(▲3,341枚)、ショートが190,861枚(+4,764枚)、ネットロングは▲55,178枚(▲8,105枚)

◆本日のMRA's Eye


「中国対米貿易黒字拡大のリスク」

昨日、マクロ経済動向を占う上でも重要な、中国の貿易統計が発表された。市場予想は輸入が前年比+4.0%(市場予想▲2.1%、前月▲7.9%)、輸出が▲2.7%(+3.0%、+13.8%)と、輸入は市場予想を上回ったものの、総じて低調な内容だった。

輸入は減少が見込まれていたが、対欧州での輸入が増加したことなどの影響で全体で前年比プラスとなっている。輸出は特に米国と日本に対して減速しており、規模の大きなアセアン諸国向けも伸びが鈍化している。

トランプ政権は中国に対して25%の追加関税賦課を決定したが、もしこれが実行されれば、さらに米国向けの輸出は減速する可能性が高い。

そして今回より注目するべきは、中国の対米貿易黒字が年初来累計で前年比+4.2%の837億ドルに増加していることである。これは米国向けの輸出が▲9.7%に留まる一方で、米国からの輸入が▲30.4%と大幅なマイナスになっていることによる。

米国はすでにこの数字は把握していたと考えられるが、9日から再開する予定の米中首脳会議で、中国に対して不利に働く可能性は高まったといえる。

現在、25%への関税引き上げは2,000億ドルが対象であるが、5月5日のトランプ大統領のツイッターでは「その他の3,250億ドルもちかく関税賦課の対象とする」とつぶやいており、今回追加関税範囲が拡大される可能性は高まったといえる。

また、今回の通商協議は貿易交渉というよりも、中国が反故にしてきた知的財産権や技術強制移転の法的な変更を米国が要求しており、これを認めない限り決着はないだろう。

ただ、これは法律の改正を伴うものであり、明確な内政干渉であり、長期政権を狙う習近平政権からすれば認められるものではない。しかし、中国のこれらの行為は国際的に認められるものではないため、何らかの対策を講じない限り、米政権は首を縦に振らない可能性が高い。

そしてこの交渉が長引くと、日本の交渉にも当然影響が出てくるし、制裁が長期化して米国経済も影響を受けるようであれば、パウエル議長が封印している「利下げカード」が年末に向けて切られる可能性もある。

この場合、円高が進行する可能性が高く、日本の輸出企業の業績悪化や株価の下落で、国内の個人消費やインバウンド需要も落ち込むことになるだろう。

当然、景気循環系商品価格(特に非鉄金属)にはマイナスに作用し、安全資産への逃避が進む可能性が高まったのではないだろうか。

◆主要ニュース


・4月日本マネタリーベース 前年比+3.1%の514.6兆円(前月+3.8%の506.3兆円)

・4月日経日本サービス業PMI 51.8(前月52.0)、コンポジット 50.8(50.4)

・4月中国貿易収支138.4億ドルの黒字(前月324.2億ドルの黒字)
 輸出総額 前年比▲2.7%(+13.8%)
 輸入総額+4.0%(▲7.9%)
 輸出年初来ベース
  対米国 前年比 ▲9.7%(▲8.5%)
  対欧州 +8.3%(+8.9%)
  対日本 ▲2.5%(+2.6%)
  対アセアン諸国 +7.5%(+9.8%)
 輸入
  対米国 前年比 ▲30.4%(▲31.8%)
  対欧州 +2.5%(+1.8%)
  対日本 ▲4.1%(▲6.1%)
  対アセアン諸国 ▲1.5%(▲5.3%)

・3月独鉱工業生産 前月比+0.5%(前月改定+0.4%)、前年比 ▲0.9%(+0.2%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 +2.7%(前週▲4.3%)
 購入指数+4.2%(▲3.7%)
 借換指数+0.8%(▲5.0%)
 固定金利30年 4.41%(4.42%)、15年 3.81%(3.81%)

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計
 原油▲4.0MB(クッシング+0.8MB)
 ガソリン▲0.6MB
 ディスティレート▲0.2MB
 稼働率▲0.3%

 原油・石油製品輸出 7,815KBD(前週比±0KBD)
 原油輸出 2,504KBD(▲7KBD)
 ガソリン輸出 581KBD(▲41KBD)
 ディスティレート輸出 1,440KBD(▲11KBD)
 レジデュアル輸出 346KBD(+26KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,262KBD(+60KBD)
 その他石油製品輸出 1,477KBD(▲40KBD)

・4月中国石炭輸入 2,529.9万トン(前月2,348.2万トン)
 輸出 50万トン(57万トン)

・4月中国原油輸入 4,373万トン、1,079万バレル/日(前月3,934万トン、939万バレル/日)
 輸出 NA(32万トン)
 精製石油製品輸入 351万トン(299万トン)
 輸出 617万トン(721万トン)
※原油1トン=7.4バレルとして算出。石油製品は種類の内訳が不明
のためバレル換算していない。

・イラン、2015年の核合意について一部の履行を停止し、その他の参加国が銀行及び石油セクターを中心に義務を果たすため、60日の猶予を与えると表明。ただし核合意からは離脱しない(ザリフ外相)。

・米トランプ大統領、イラン産金属の取引を禁止。核合意の履行一部停止で。

【メタル】
・ICSG
 1月鉱山キャパシティ 2,074千トン(前年 2,081千トン)
 鉱山生産 1,692千トン(1,689千トン)
 鉱山稼働率 81.6%(81.2%)
 プライマリ精錬銅生産 1,701千トン(1,649千トン)
 セカンダリ精錬銅生産 353千トン(347千トン)
 精錬所キャパシティ 2,366千トン(2,334千トン)
 精錬所稼働率 85.8%(85.5%)
 供給合計 2,054千トン(1,995千トン)
 需要 2,062千トン(1,996千トン)
 ▲8千トンの供給不足(▲1千トンの供給不足)

・鉱山生産は+2.4%。精鉱生産は±0.0%(チリの生産が鉱石の品位低下で▲4%となり、インドネシアの生産が2大鉱山の生産減少で前年比▲45%となったことを、コンゴ、ザンビア、ペルー、モンゴルなどの増産が相殺)、SX-EWは+0.4%

・精錬銅生産は前年比+3%。プライマリ生産は+3.1%、スクラップは+1.9%。中国の生産増加に加え、豪州・ブラジルの増産が寄与。

・精錬銅需要は+3.0%の増加。中国の顕在需要が+9%となったことが影響。中国外では▲2%の減少。

・4月中国銅輸入 41万トン(前月 39万トン)
 銅鉱石・精鉱 166万トン(177万トン)
 アルミ(未加工品含む) 輸出 50トン(55万トン)

・4月中国鉄鉱石輸入 8,077万トン(前月8,642万トン)

・Q119Rusal
 アルミ生産 前年比▲0.3%の928千トン(前期 943千トン)
 販売 ▲7.2%の896千トン(877千トン)

 アルミナ生産 +2.1%の1,932千トン(1,958千トン)
 ボーキサイト生産 +29.4%の3,831千トン(3,719千トン)

・Q119BHP Billiton
 鉄鉱石生産 前年比▲5%の64百万トン(前期▲6%の58百万トン)、2019年間生産目標 235~239百万トン(前回目標241~250百万トン)

 原料炭▲5%の10百万トン(+6%の10百万トン)、43~46百万トン(43~46百万トン)

 燃料炭+11%の7百万トン(▲9%の7百万トン)、28~29百万トン(28~29百万トン)

 銅 ▲8%の420千トン(▲3%の416千トン)、1,645~1,740千トン(1,645~1,740千トン)

 Escondida銅山 ▲15%の268千トン(▲10%の285千トン)、1,120~1,180千トン(1,120~1,180千トン)

 ニッケル▲9%の19.2千トン(▲22%の18.1千トン)
 亜鉛▲18%の20,848トン(▲17%の24,237トン)
 原油 ▲5%の13MMBoe(▲3%の14MMBoe)
 天然ガス +12%の93BCF(▲2%の94BCF)

・Q119 Anglo American
 銅生産 前年比+4%の161千トン(前期+23%の184千トン、前年155千トン)、生産目標630千トン~660千トン(前回630千トン~660千トン)

 ニッケル +14%の9.8千トン(±0.0%の11.4千トン、8.6千トン)、42千トン~44千トン(42千トン~44千トン)

 プラチナ▲5%の472千オンス(+3%の602千オンス、498千オンス)、2.0百万オンス~2.1百万オンス(2.0百万オンス~2.2百万オンス)

 パラジウム▲6%の327千オンス(+3%の387千オンス、349千オンス)、1.3百万オンス~1.4百万オンス(1.3百万オンス~1.4百万オンス)

 鉄鉱石(Kumba)▲12%の9.5百万トン(▲13%の10.2百万トン、10.9百万トン)、43百万トン~44百万トン(43百万トン~44百万トン)

 鉄鉱石(Brazil)+61%の4.9百万トン(▲94%の0.2百万トン、3.0百万トン)、18百万トン~20百万トン

 原料炭(豪州) ▲25%の4.2百万トン(+15%の5,6百万トン、5.5百万トン)、22百万トン~24百万トン(22百万トン~24百万トン)

 燃料炭(南アフリカ) ▲2%の6.6百万トン(▲2%の4.5百万トン、6.8百万トン)、26百万トン~28百万トン(28百万トン~30百万トン)

・Q119 Southern Copper
 銅鉱山生産(自社生産・第三者生産合計) 前年比+3.8%の229,360トン(前期+4.0%の234,991トン、前年221,015トン)

 亜鉛鉱山生産 +4.6%の18,550トン(+26.8%の17,590トン、17,736トン)

 精錬亜鉛生産▲2.0%の26,332トン(▲6.1%の28,434トン、26,877トン)

 銀鉱山生産 +4.8%の4,342千オンス(+13.9%の4,299千オンス、4,143千オンス)

 精錬銀 +▲0.5%の3,134千オンス(17.7%の3,619千オンス、3,150千オンス)

・Q119 MMG
 銅カソード生産 前年比▲37%の12,539トン(前期▲9%の18,463トン)
 銅生産(含有量ベース)+16%の101,830トン(▲8%の112,274トン)
 亜鉛生産 +21%の57,151トン(+200%の60,085トン)
 鉛生産 +19%の10,986トン(+48%の11,404トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +4.27%/ ▲23.97%
2.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +2.64%/ ▲11.43%
3.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +2.47%/ ▲45.65%
4.欧州排出権 ( 排出権 )/ +1.90%/ +8.49%
5.CME木材 ( その他農産品 )/ +1.74%/ +1.83%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ ▲2.51%/ ▲3.16%
67.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲1.93%/ +7.86%
66.日経平均 ( 株式 )/ ▲1.46%/ +7.93%
65.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲1.46%/ +19.66%
64.中国CSI300 ( 株式 )/ ▲1.43%/ +21.82%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,967.33(+2.24)
S&P500 :2,879.42(▲4.63)
日経平均株価 :21,602.59(▲321.13)
ドル円 :110.09(▲0.17)
ユーロ円 :123.21(▲0.18)
米10年債利回り :2.48(+0.03)
独10年債利回り :▲0.04(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.05(+0.00)
中国10年債利回り :3.33(▲0.02)
ビットコイン :5,897.12(+52.49)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :20.67(+0.11)
エネルギー :21.83(+0.07)
ベースメタル :15.49(+0.25)
貴金属 :18.61(▲0.11)
穀物 :14.56(▲0.22)
その他農畜産品 :25.60(+0.28)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :21.64(+0.36)
Brent :21.21(▲0.01)
米天然ガス :24.32(▲0.75)
米ガソリン :27.59(+0.33)
ICEガスオイル :19.61(▲0.11)
LME銅 :14.51(+0.38)
LMEアルミニウム :10.93(▲0.01)
金 :9.96(▲0.15)
プラチナ :18.20(▲0.44)
トウモロコシ :14.55(+0.24)
大豆 :9.96(▲0.15)

【エネルギー】
WTI :61.99(+0.59)
Brent :70.24(+0.36)
Oman :70.24(+0.29)
米ガソリン :197.38(+2.51)
米灯油 :205.77(+2.01)
ICEガスオイル :636.75(+2.50)
米天然ガス :2.60(+0.07)
英天然ガス :33.19(+0.80)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :70.24(+0.36)
SPO380cst :413.23(+4.47)
SPOケロシン :82.72(+0.64)
SPOガスオイル :82.72(+0.54)
ICE ガスオイル :85.47(+0.34)
NYMEX灯油 :205.92(+0.83)

【貴金属】
金 :1280.65(▲3.78)
銀 :14.84(▲0.07)
プラチナ :861.39(▲9.01)
パラジウム :1318.56(▲11.61)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,126(▲52:23C)
亜鉛 :2,664(▲49:100B)
鉛 :1,868(▲10:8C)
アルミニウム :1,800(+2:39C)
ニッケル :12,025(▲25:60C)
錫 :19,450(▲75:190B)
コバルト :34,500(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6133.00(▲28.50)
亜鉛 :2647.00(▲52.00)
鉛 :1880.00(+11.50)
アルミニウム :1799.00(▲19.00)
ニッケル :11935.00(▲95.00)
錫 :19440.00(+40.00)
バルチック海運指数 :936.00(▲49.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :94.1(▲0.68)
NYMEX鉄鉱石 :94.19(▲0.56)
NYMEX原料炭スワップ先物 :205(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :4,139(▲23)
上海鉄筋中心限月 :3,742(▲43)
米鉄スクラップ :休場( - )

【農産物】
大豆 :814.25(▲3.50)
シカゴ大豆ミール :288.70(+0.30)
シカゴ大豆油 :26.71(▲0.10)
マレーシア パーム油 :1922.00(▲9.00)
シカゴ とうもろこし :355.25(▲2.75)
シカゴ小麦 :431.25(+0.75)
シンガポールゴム :174.80(▲0.20)
上海ゴム :11575.00(+35.00)
砂糖 :11.65(▲0.30)
アラビカ :87.20(+0.55)
ロブスタ :1267.00(▲4.00)
綿花 :71.45(▲0.83)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :83.58(+0.53)
シカゴ生牛 :111.08(▲1.20)
シカゴ飼育牛 :135.78(▲1.53)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。