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米中対立激化で引き続き景気循環系商品売られる
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年5月23日 第1536号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中対立激化で引き続き景気循環系商品売られる」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格はソフトコモディティの一角が引き続き上昇したが、リスク回避のドル高進行がドル建て資産である商品価格に広く下押し圧力をかける中、米中対立の激化で景気循環銘柄が特に売られる流れとなった。

【本日の価格見通し総括】

米中の対立は明確に激化しており、6月のG20でも「話し合いを継続」程度の安心感は得られるものの、根本的な合意に至らないとみられ始めていることは景気循環銘柄価格の下落要因に。

また、本日から欧州議会選が始まる。今回の議会選挙は英国のEU離脱も重なり、「反EU・親EU」の争いになる。仮に反EU勢力が伸張することになれば再びEUの存続にも黄色信号がともる可能性が出るため、景気の下押し要因となり得るため注目。

本日予定されている経済統計では、独製造業PMI(市場予想44.8、前月44.4)、ユーロ圏製造業PMI(48.1、47.9)、米製造業PMI(52.7、52.6)に注目だが、総じて減速基調にあると考えられ、景気循環銘柄価格を下押しへ。

また、米新築住宅販売(前月比▲2.5%の67.5万戸、+4.5%の69.2万戸)にも注目したい。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

昨日発表された日本の貿易統計では、輸出金額が前年比▲2.4%の6兆6,588億円と5ヵ月連続の減少となり、数量ベースは▲4.3%の106.8と6ヵ月連続の減速となった。

輸出は引き続き、半導体製造装置(▲15.1%)や半導体等電子部品(▲5.7%)が減速する一方、輸入品は原油粗油(+13.8%)が増加した。

輸出は米国向けの輸出寄与が大きいがその中でも乗用車の輸出が前年比+8.3%と大きかった。しかし、米国の自動車販売は他国と同様減速を始めており、今後これが加速するとは考え難い。

弊社としてより注目しているのが原油粗油の輸入が増加している点である。輸入数量は1,576万キロリットル(前年1,536万キロリットル)と前年から+2.6%と増加しているのに対して、金額ベースでは+13.8%となっている点だ。

即ち、数量ベースの変化を大きく上回る価格の上昇があったことになる。今月のキロリットル当たりの価格は前年比+8.6%の48,078円/キロリットルだが、昨年は44,267円/キロリットル(確報値)だった。即ち、貿易統計での黒字幅縮小の要因の大きなポーションを原油価格動向が決定していることになる。

今のところ原油価格は中東情勢不安があるものの比較的落ち着いているが、今後原油価格の高騰があれば貿易収支の赤字幅が拡大する可能性は高い。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、先行きの見通しのリスクも下向き。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中貿易戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

・景気減速下での原油価格高騰は、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米政権は対中関税引き上げを表明、中国もこれに対する報復を決定。華為技術との取引を禁じるなど、企業レベルまで制裁が拡大していること(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気後退など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず5月末、10月末を期限として問題先送り(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は下落した。米国石油統計を受けて下落した。また、米国が中国企業に対して追加制裁を検討していると伝えられ、株価が調整したことも価格を下押しした。

なお、OPECと非OPECは週末の会合で、7月以降の減産継続を確認したが、米国からの要請や減産を終了したいロシアの意向も踏まえ、7月以降の減産幅の縮小が協議される方針。

【原油価格見通し】

原油価格は高値圏を維持する展開を予想。

米国が中東に打撃・空爆戦力派遣を決定、イランも核開発の一部再開を通知するなど、域内情勢が不安定化するとの見方が強まっていることが価格の上昇要因。

一方、イランに対する制裁があっても輸入国とも国内の製油所の能力などから直ちに禁輸を行えるわけではないこと、仮に完全に減産が行われても、数字の上では供給は足りること、OPECプラスは減産幅の縮小を検討し始めていることといった供給面での下落要因も存在。

需要面は米中の対立が激化・長期化する可能性が強まっているため、それを受けた景況感の悪化は下落要因に。

イランに対する米国の対応は、場合によると本当に戦争を想定しているものである可能性が出ている。トランプ大統領はむしろイランと対話を望んでいるが、ペンス・ボルトンなどの共和党議会側が強硬姿勢であるため。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅上昇。特段目立った材料はなかったが、季節的な需要の増加観測や下落が続いていたこともあり、割安感が出ているためと考えられる。

【石炭価格見通し】

石炭価格は現状水準でもみ合うものと考えるが、北朝鮮への制裁継続や夏場にかけて季節的な需要増加観測から、7~8月頃にかけて上昇すると予想。その後季節的な調整の後、11月にかけて水準を切り下げる展開に。

また、中国による豪州炭の輸入規制(華為技研問題に対する報復措置)の影響でインドネシア炭にシフトしていることは逆に、上値を抑えると考えられる(日本が輸入する石炭価格CIFへの影響は中立)。米国の中国制裁強化も価格の上値を抑える公算。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・OPECプラスの協調減産は7月以降も継続見込みであるが、米国の意向や増産したいロシアの意向も踏まえると、減産幅が縮小する可能性が高まっており原油価格の下落要因に。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、イスラエルネタニヤフ首相の5選達成による、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為技術排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが607,979枚(前週比 ▲8,810枚)、ショートが120,171枚(▲2,282枚)、ネットロングは487,808枚(▲6,528枚)、Brentが424,646枚(前週比▲9,436枚)、ショートが27,335枚(▲572枚)、ネットロングは397,311枚(▲8,864枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落。ドル指数が総じて堅調に推移する中で、米中の対立が激化していることに伴う中国の景気減速懸念が意識されていることが材料。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は軟調地合いを維持すると考えられる。米中通商協議は難航、場合によると決裂する可能性が出てきている中、特に最大消費国である中国の期待需要が減少していることが背景。またリスク回避のドル高圧力の高まりも価格を下押し。

ただし、非鉄金属全体の投機の売り(新しいショートの積み上がり)が高水準となっており、テクニカルに買戻しが入りやすい地合いであること、中国の経済対策期待、供給面の不安やLME在庫の減少継続が価格を下支え。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・ブラジルの裁判所、ハイドロのAlunorteアルミナ精錬所の再稼働を許可。アルミナ価格の下落を通じてアルミ価格の下落要因に(アルミ)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月17日付のLMEポジションは、銅と鉛を除き、ショートの買戻しが入り始めたが、先週はむしろ景気の先行きを懸念したロングの売り圧力のほうが強まる形となっている。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲37.7億ドル(前週▲32.2億ドル)と売り越し幅を拡大。上昇率は▲16.9%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,106千トン(▲1,043千トン)と減少。亜鉛と錫以外はトン数ベースでネット売り越しのまま。ネット売り越しの増加率は6.1%。

今後、総じてこれらのポジションの買戻し圧力が強まる可能性があり、テクニカルに非鉄金属価格が上昇する余地があることは留意。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は上昇、原料炭スワップ先物は下落、中国鉄鋼製品価格は上昇した。

米中の対立激化が景気への懸念を強めているが、ヴァーレの減産に加え、中国北部の黒竜江省の洪水による生産停止(年産100万トン)が懸念される中、中国の粗鋼生産が8,033万トンと堅調に推移していること、鉄鋼製品価格も過去5年の同じ時期の最高水準を上回っていることが、価格を押し上げている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏でもみ合うものと考える。ヴァーレのブルクツ鉱山が再び稼働停止になったことや、中国生産者の洪水事故など、鉄鉱石の供給懸念が強まる一方、中国の粗鋼生産の回復が需要を押し上げるものの、米中貿易交渉の難航に伴う景気への懸念が上値を抑えるため。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲35.8万トンの1,194.2万トン(過去5年平均1,195.8万トン)と例年をやや下回った。

・中国の鉄鉱石在庫水準の高さは価格を下押し。鉄鉱石在庫は前週比▲16.5万トンの1億1,700万トン(過去5年平均1億1,901.6万トン)、在庫日数は▲0.4日の34.2日(過去5年平均 30.5日)と例年の水準を上回る。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格はもみ合った結果小幅安。原油価格の下落を受けた実質金利の上昇が価格を下押しした。ただし米国の中国企業に対する追加制裁や中東情勢不安が金銀価格を支えている。

PGMは金銀価格が下落したことと株価の下落で水準を切下げた。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,875ドルと前日比変わらずだが、需給は緩和方向(需要の減速)にある模様。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中貿易交渉の進展状況をにらみつつ、神経質な展開になると予想されるが、中東情勢や欧州の情勢不安を材料に安全資産需要は堅調とみられること、ここにきて市場は再びFRBの利下げを織り込み始めていることから総じて底堅い推移になると考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、欧州の政情不安、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イラン・サウジアラビア・イスラエルを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、同時に米中通商協議が難航、対立が激化する中で株価が下押しされやすく、対金銀では割安に推移することになると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利下げ期待が再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州の政治混乱(英国のEU離脱、伊仏の対立、イタリアの財政不安再燃、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化など)による安全資産需要の増加。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが226,361枚(前週比 +40,560枚)、ショートが101,825枚(▲8,565枚)、ネットロングは124,536枚(+49,125枚)、銀が77,542枚(+196枚)、ショートが79,751枚(+1,448枚)、ネットロングは▲2,209枚(▲1,252枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが44,737枚(前週比 ▲1,120枚)、ショートが18,987枚(+1,823枚)、ネットロングは25,750枚(▲2,943枚)、パラジウムが10,939枚(▲941枚)、ショートが3,318枚(▲582枚)、ネットロングは7,621枚(▲359枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格はまちまち。米国の気象状況悪化で作付けが遅れているトウモロコシと大豆は上昇、小麦も上昇していたがテクニカルに200日移動平均線が意識されて売られる流れ。

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆・小麦とも生産地の作付けが天候の影響で遅れる見通しであることが価格を押し上げるものの、米中貿易交渉の難航に伴う輸出需要の鈍化観測、米統計の改善を受けたドル高進行が重石に。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産増加観測による需給緩和観測。

・米国の作付けの遅れに伴う需給タイト化観測。トウモロコシ、大豆とも過去5年の最低水準。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・5月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ24億8,500万ブッシェル(前穀物年度20億3,500万Bu)大豆 9億7,000万Bu(8億9,500万Bu)小麦 11億4,100万Bu(10億8,700万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は相互報復まで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・米政府はブッシェル当たり大豆2ドル、トウモロコシ0.04ドル、小麦0.63ドルの補助金を供給することを検討。生産減少を食い止めるため価格の下落要因に。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・主要穀物のショートポジションは、作付けの遅れなどからトウモロコシと小麦で解消圧力が強まり、大豆は増加している。大豆は米中協議の進展次第では買戻し圧力が強まるため注意。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが373,631枚(前週比 ▲1,985枚)、ショートが557,520枚(▲9,144枚)、ネットロングは▲183,889枚(+7,159枚)、大豆はロングが139,203枚(+671枚)、ショートが262,598枚(+6,555枚)、ネットロングは▲123,395枚(▲5,884枚)、小麦はロングが142,574枚(+1,479枚)、ショートが185,979枚(▲3,813枚)、ネットロングは▲43,405枚(+5,292枚)

◆本日のMRA's Eye


「アルミ価格見通し~供給増加で価格下落」

アルミ価格もその他の非鉄金属と同様、水準を切り下げる展開が続いている。要因は大きく2つ、1つが米中貿易戦争の激化を受けて景気の先行きh絵の懸念が広がっていること、2.冬場の需要期を終えて中国のアルミ精錬業者の発電に用いられている石炭価格が水準を大きく切り下げたこと、が材料として挙げられる。

1.の米中貿易戦争であるが、このコラムでも何回か取り上げているように、米国と中国の覇権争いであるため、そう簡単には合意に至らないと見ていたが概ねその通りとなっている。結局、米国は中国からの輸入品すべてに25%の関税を掛ける見込みだ。

足元、米国の景気は先行きの減速感が強いものの足元の景気はまだ悪くなく、「25%の関税上げがあっても、米国民は負担に耐えられる」と判断していると考えられ、対中強硬姿勢が継続している。

一方、中国もこれに対して報復関税を発動、「どこまでもお付き合いする」と一歩も引かない構えである。こちらは米国に比べれば景気の減速感が強まっているため、先にギブアップするならば中国と考えられる。

しかし、共産党支配体制の維持を目指す習近平政権からすれば、米国の要求を突っ撥ね続ける必要があるため、景気減速に伴ってバブルが弾ける場合などを除けば簡単に取り下げることはないだろう。当面、この問題はアルミも含む非鉄金属価格を下押しすると考える。

2.の石炭の価格下落は、季節要因の影響が大きい。そのため例年通りであれば7月~8月にかけて再び石炭価格が上昇する可能性が高いため、時間経過とともに価格下落要因にはならなくなると予想される。

また、北朝鮮に対する制裁が今後も継続、「瀬取り」などの摘発も強化されるなど、より北朝鮮炭が国際市場に出てこなくなるため、石炭価格はこうした政策面でも押し上げられることになろう。

アルミ自体の需給に目を向けると、市場コンセンサスは強気の姿勢を崩していない。2018年は▲159万6,000トンの大幅な供給不足となっていたが、2019年も▲97万8,000トンの供給不足になると予想されており、需給見通しは今のところタイトだ。

しかし、世界の自動車販売は前年比での減速が底打ちしているが、それでも依然、中国は前年比▲12.8%、主要国全体でも▲6.7%(いずれも3ヵ月平均)と大幅なマイナスとなっており、急速に自動車販売が回復するとは考え難い。結果、需要面は比較的長い短期的にアルミ価格にはマイナスに作用すると予想される。

また、供給面も価格上昇を抑制する可能性が高い。まず、米国の制裁が解除されたルサルが増産に動く見通しであることや、アルミ価格押し上げ要因の1つだったブラジル、アルノルテのアルミナ精錬所が再稼働の見込みであることなどがその要因だ。

5月20日の報道では、ブラジルのベレンの連邦裁判所は、ハイドロに対してアルノルテ精錬所の生産禁止を解除している。

また、中国のアルミ製品輸出が加速しており、4月の中国のアルミ・アルミ製品輸出は同じ時期の過去最高水準である48万トンを大きく上回る49万8,000トンとなっており、国際需給タイト化を抑制すると見られる。

基本、銅などと同様、自動車の電化が進む中で軽量化目的のアルミ需要が中長期的に増加する見通しに変わりはないが、それが本格化するのは特にインドが人口ボーナス期入りする2020年以降になると考えられる。

当面、アルミ価格は下振れリスクを抱えながらも現在の水準をレンジ中心として、比較的狭い範囲での推移が続くことになると予想する。

◆主要ニュース


・4月日本貿易収支季節調整前 604億円の黒字(前月5,278億円の黒字)

 輸出 前年比▲2.4%の6兆6,588億円(▲2.4%の7兆2,020億円) 
 輸入+6.4%の6兆5,983億円(+1.2%の6兆6,742億円

 米国向け
 輸出 +9.6%の1兆4,102億円(+4.4%の1兆4,158億円)
 輸入+2.3%の6,870億円(▲0.2%の7,324億円)

 欧州向け
 輸出▲2.6%の7,979億円(+7.3%の8,620億円)
 輸入+10.6%の7,945億円(▲0.6%の8,182億円)

 アジア向け
 輸出▲3.3%の3兆5,331億円(▲5.5%の3兆8,103億円)
 輸入+4.8%の3兆829億円(+3.9%の3兆1,528億円)

 中国向け
 輸出▲6.3%の1兆2,329億円(▲9.4%の1兆3,048億円)
 輸入+5.9%の1兆5,512億円(+10.9%の1兆4,976億円)

・3月日本機械受注総額 前月比 ▲4.3%の2兆2,542億円
(前月+5.4%の2兆3,558億円)、前年比▲1.0%(▲3.1%)船舶電力を除く民需 前月比+3.8%の8,688億円(+1.8%の8,367億円)、前年比▲0.7%(▲5.5%)

・3月日本全国スーパー売上高 前年比 ▲1.0%の1兆643億円
(前月+0.5%の1兆815億円)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 +2.4(前週▲0.6%)
 購入指数▲2.0%(▲0.6%)
 借換指数+8.3%(▲0.5%)
 固定金利30年 4.33%(4.40%)、15年 3.78%(3.78%)

・Q119OECD GDP OECD 前年比+1.9%(前期+1.8%)
 EU +1.5%(+1.5%)
 ユーロ圏 +1.2%(+1.2%)
 G7 +2.1%(+1.8%)
 日本 +0.8%(+0.2%)
 ドイツ +0.7%(+0.6%)
 米国 +3.2%(+3.0%)

・FOMC議事録、「金利変更に対する金融当局の辛抱強いアプローチがしばらくは適切になる。このところのインフレ減速は一過性のものだというパウエル議長の見解に多くのメンバーが賛同。」

・セントルイス連銀ブラード総裁(投票権あり・ハト派)、「中国による米国債売却の脅威はそれほど大きくない。」

・ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁(投票権あり・中間派)、「FOMCは利下げを検討するべき時ではない。」

・ECBドラギ総裁、「ユーロ圏のリスク共有とリスク削減のトレードオフを誇張しないように戒め、それが金融政策の伝達を阻害している。」

・米政府、中国の監視関連企業のブラックリスト掲載を検討。杭州海康威視数字技術と浙江大華技術が対象となっているようだが、この2社は人権団体から、新疆ウイグル自治区での中国政府によるウイグル族迫害に手を貸していると批判されている。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計
 原油+4.7MB(クッシング+1.3MB)
 ガソリン+3.7MB
 ディスティレート+0.8MB
 稼働率▲0.6%

 原油・石油製品輸出 7,986KBD(前週比▲41KBD)
 原油輸出 2,801KBD(+61KBD)
 ガソリン輸出 595KBD(▲33KBD)
 ディスティレート輸出 1,275KBD(▲49KBD)
 レジデュアル輸出 278KBD(▲22KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,314KBD(▲5KBD)
 その他石油製品輸出 1,527KBD(▲15KBD)

・ブラジル当局、「ベネズエラの生産が元に戻るには何年もかかる。」

・サウジアラムコ、米センプラからLNGを購入することで合意。事業多角化へ。

【メタル】
・BHPビリトン、EV自動車向けの需要を満たすため、硫酸ニッケル事業を拡大。

・ゴールドマン、2019年の鉄鉱石価格見通しを91ドルに引き上げ(従来見通し81ドル)。ヴァーレの生産が当初目標の4億トンに達するには2~3年かかるうえ、中国の鉄鉱石需要は継続する見込みであることから。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGE小豆 ( 穀物 )/ +4.04%/ +26.99%
2.欧州排出権 ( 排出権 )/ +3.87%/ +6.35%
3.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ +1.35%/ ▲2.44%
4.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ +1.02%/ ▲2.58%
5.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +0.80%/ ▲9.00%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.68%/ ▲13.50%
67.NYM WTI ( エネルギー )/ ▲2.49%/ +35.26%
66.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲1.96%/ +7.14%
65.DME Oman ( エネルギー )/ ▲1.92%/ +31.60%
64.ICE Brent ( エネルギー )/ ▲1.81%/ +31.73%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,776.61(▲100.72)
S&P500 :2,856.27(▲8.09)
日経平均株価 :21,283.37(+10.92)
ドル円 :110.36(▲0.14)
ユーロ円 :123.05(▲0.28)
米10年債利回り :2.38(▲0.04)
独10年債利回り :▲0.09(▲0.02)
日10年債利回り :▲0.06(▲0.01)
中国10年債利回り :3.31(+0.02)
ビットコイン :7,933.75(▲152.43)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :22.84(▲0.1)
エネルギー :21.32(+0.46)
ベースメタル :17.99(▲0.2)
貴金属 :19.70(▲0.17)
穀物 :20.89(▲0.18)
その他農畜産品 :27.29(▲0.24)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :20.87(+2.04)
Brent :18.93(+1.13)
米天然ガス :22.43(▲1.84)
米ガソリン :24.62(+0.46)
ICEガスオイル :23.68(+0.98)
LME銅 :15.43(+0.45)
LMEアルミニウム :15.78(▲0.23)
金 :20.79(+0.2)
プラチナ :20.73(+0.34)
トウモロコシ :24.49(▲0.88)
大豆 :20.79(+0.2)

【エネルギー】
WTI :61.42(▲1.57)
Brent :70.87(▲1.31)
Oman :70.42(▲1.38)
米ガソリン :199.12(▲2.81)
米灯油 :204.91(▲3.03)
ICEガスオイル :633.50(▲11.50)
米天然ガス :2.54(▲0.07)
英天然ガス :30.35(+0.20)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :70.87(▲1.31)
SPO380cst :402.17(▲10.51)
SPOケロシン :82.54(▲0.91)
SPOガスオイル :83.01(▲0.79)
ICE ガスオイル :85.03(▲1.54)
NYMEX灯油 :204.49(▲1.59)

【貴金属】
金 :1273.34(▲1.34)
銀 :14.44(▲0.01)
プラチナ :804.74(▲11.94)
パラジウム :1317.43(▲3.35)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :5,957(▲78:37C)
亜鉛 :2,568(▲4:145B)
鉛 :1,804(▲9:17C)
アルミニウム :1,782(▲24:34.5C)
ニッケル :11,970(▲90:5C)
錫 :19,390(▲85:260B)
コバルト :34,250(▲250)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :5931.50(▲74.50)
亜鉛 :2546.00(▲38.50)
鉛 :1806.00(▲4.00)
アルミニウム :1781.00(▲12.50)
ニッケル :11970.00(▲120.00)
錫 :19355.00(▲95.00)
バルチック海運指数 :1,049.00(+8.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :98.57(+0.68)
NYMEX鉄鉱石 :97.04(+0.48)
NYMEX原料炭スワップ先物 :207(▲1.00)
上海鉄筋直近限月 :4,006(+49)
上海鉄筋中心限月 :3,905(+60)
米鉄スクラップ :316(▲4.00)

【農産物】
大豆 :828.50(+6.50)
シカゴ大豆ミール :298.30(+3.00)
シカゴ大豆油 :27.31(+0.17)
マレーシア パーム油 :休場( - )
シカゴ とうもろこし :394.50(+0.25)
シカゴ小麦 :472.75(▲6.00)
シンガポールゴム :180.80(+0.40)
上海ゴム :11780.00(▲235.00)
砂糖 :11.62(▲0.19)
アラビカ :91.75(▲1.15)
ロブスタ :1341.00(▲3.00)
綿花 :66.75(▲0.57)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :89.65(▲0.45)
シカゴ生牛 :110.65(▲0.20)
シカゴ飼育牛 :135.45(+1.08)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。