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ダウンサイドリスク後退で一段と膠着感強まる
  • MRA外国為替レポート

2019年4月22日号

◆先週の市場総括


先週は株式市場が好決算や米中通商交渉の進展期待に支えられ堅調に推移するなか、為替市場は動意を欠いて小動き。

週末にイースター休暇を控え売買が手控えられ、きわめて狭いレンジで方向感なく推移した。ドル円相場は112円を挟み上下20銭程度の範囲で横ばい。

ユーロドル相場は1.13を中心に上下した後、1.1250割れ。ユーロ円相場は126円50銭近辺でもみ合いののち、125円90銭近辺に下落してもみ合い引けた。

米国や中国の経済指標がまずまずのなか、欧州の弱い経済指標がユーロをやや下押した。全体としては景気先行き警戒感が主として中国の経済指標や景気対策などで後退。

米国経済が堅調に推移していること、米中通商交渉がさらに合意に近づいていること、が確認され市場心理は支えられた。日米貿易交渉も為替への影響が少ないのではないかとの見方から円相場に影響なし。

月曜日の市場は内外通じて小動き。ドル円相場は東京市場で112円ちょうど近辺で始まり、海外市場にかけてもそのまま小動き横ばい。ユーロドル相場も1.13ちょうど近辺、ユーロ円相場も126円60銭近辺で、それぞれ動意に欠ける展開でそのまま引けた。

日経平均は22,100円近辺で高寄りし堅調。22,200円近辺でもみ合い引けた。

週末13日土曜日に、米ムニューシン財務長官が米中通商協議は最終ラウンドに近いことを期待すると発言。協議を継続し電話および閣僚級協議を再びセットする見通しとなった。

米国株は小幅高。米長期金利は前週末と同水準。10年債利回りは2.56%。

発表されたNY連銀製造業景気指数(4月)は10.10と予想6.00、前月3.70を上回る強い数字。ただし市場は反応薄。またこの日から2日間にわたる日米貿易交渉が茂木経済財政政策担当相とライトハイザーUSTR(米国通商代表部)代表の間で始まった。

火曜日の為替市場も翌日に重要な経済指標の発表やベージュブックの公表を控えて東京市場から海外市場にかけて小動きが続いた。ドル円相場は引き続き112円ちょうど近辺でもみ合い。

ユーロドル相場は1.30中心に上下動した後、ややユーロ安に振れて1.1280~90。ユーロ円相場は126円50銭で始まりやや上値重く126円30銭~40銭に小幅下落して引けた。

日経平均は22,200円で始まりもみ合い小動きのまま引け。この日、中国人民銀行が資金供給オペを実施。中国景気懸念がやや後退し中国株は大幅上昇。

欧州時間に発表されたドイツZEW景況感指数(4月)は現況指数が5.5と予想8.0、前月11.1を下回り弱い数字となってユーロをやや下押した。

米国株は企業業績を支えに上昇。米長期金利も小幅上昇して10年債利回りは2.59%。2年債利回りは2.41%。発表された米鉱工業生産、設備稼働率(3月)は弱めだったが市場は反応薄だった。

水曜日の東京市場のドル円相場は112円ちょうどで始まり朝方やや円安に振れて112円15銭。日米貿易交渉の2日目が終わり、注目の為替条項は財務相間で議論することとなったことがやや安心感をもたらした。

ただその後は112円ちょうど近辺に押し戻されて海外市場にかけて小動きとなった。ユーロは対ドル、対円で上昇、夕方にかけてじり高。ユーロドル相場は1.1280~90から1.1320へ、ユーロ円相場は126円40銭から126円80銭へ。

この日発表された中国の重要経済指標はまずまずの結果だった。3月の都市部固定資産投資は前年同月比+6.3%と前月+6.1%から伸びが加速。工業生産は同+8.5%とこちらも前月+5.3%から、小売売上高も同+8.7%と前月+8.2%から伸びが加速した。

失業率は前月の5.3%から5.2%へ小幅低下。また1-3月期GDP速報は前年同期比+6.4%と前期と同水準の伸びでわずかながら減速を見込んだ予想+6.3%を上回った。

これが市場のリスク選好をやや後押しし円とドルが軟調。中国が自動車、エレクトロニクス製品の販売促進策を検討、との報道も。

海外市場に入るとユーロはやや反落。ユーロドル相場は1.13ちょうど近辺でもみ合い引け。ユーロ円相場は126円50銭を割ったが60銭~70銭で引けた。

米国株指数は小幅安。決算は良好だったがヘルスケアが下落して全体を押し下げた。米長期金利は横ばい。発表された米貿易収支(2月)は赤字が2018年6月以来の低水準。中国からの輸入が急減した。

公表されたベージュブック(米地区連銀経済報告)では、労働市場は引き続き全国的に引き締まり、経済活動はわずかないし緩やかなペースで拡大、いくつかの地区では成長が幾分強まった、とされた。

一方、製造業では多くの地区で通商交渉をめぐる不透明感が重しとなった、と記された。

木曜日の東京市場のドル円相場は112円ちょうど~10銭で始まり112円割れ。その後海外市場にかけては111円90銭近辺でもみ合い小動き、横ばい。NYの引けは112円ちょうど近辺。

日経平均は22,200円台後半で寄り付き後場にかけて一貫して軟調。引けは22,100円近辺。

ユーロは東京市場では対ドルで1.13近辺、対円は126円台半ばでやや軟調ながら小動きだったが、海外市場に入ると大きく下落した。

発表された欧州のPMI景況感指数(4月)は製造業が前月よりやや持ち直したものの、ユーロ圏は47.8、ドイツは44.5、と景況感の分かれ目である50を割り込む低調さを示した。

これを受けてユーロドル相場は1.1250~60へ、ユーロ円相場は125円80銭近辺へ、急落した。ユーロはその後も上値の重い展開となりユーロドル相場は1.1230近辺でもみ合い引け。

ユーロ円相場は一時126円近辺に戻したものの125円70銭~80銭に押し戻されて引けた。

米国株は上昇。ただし終盤にかけては金曜日の祝日を前に利食い売りに押され伸び悩んだ。

発表された米・小売売上高(3月)は全体が前月比+1.6%と予想+0.9%、前月▲0.2%を大きく上回る高い伸び。

フィラデルフィア連銀製造業指数(4月)は8.5と予想10.3に届かなかったが、PMI景況感指数は製造業が52.4と前月と同水準を維持した。米長期金利は小幅低下。10年債利回りは2.56%。

金曜日の東京市場は欧米市場休場を前に小動き。ドル円相場は111円90銭~112円ちょうど、ユーロドル相場は1.1240~50、ユーロ円相場は125円80銭中心に上下した後、125円90銭中心にもみ合い引けた。

日経平均は前日の米国株上昇を好感して22,250円近辺で高寄り。ただその後は伸び悩み22,150円~200円で推移し、引けは22,200円近辺。海外市場はイースターの祝日で休場。

◆今週の3つの注目ポイント


月曜日は欧州市場が休場。今週は欧米で決算発表が本格化する。

1.米国の経済指標

中国の経済指標が景気悪化に歯止めがかかりつつある可能性を示すなか、米国の指標が良好さを示しさらに市場に安心感をもたらすか。

月曜日 シカゴ連銀景気指数(3月)、中古住宅販売(同)火曜日 リッチモンド連銀製造業指数(4月)、新築住宅販売(3月)、木曜日に耐久財受注(3月)金曜日 1-3月期GDP速報(前期比年率、予想+2.0%、前期+2.2%)

2.日米首脳会談

先週、2日間にわたる日米貿易交渉の第1回を終えた。協議する範囲について合意することが主眼だったが、物品貿易を中心に、かつTPPの範囲内に限度を定めたとみられることは成果だろう。

とくに為替条項について、為替相場は財務相の間で議論する、として貿易交渉と切り離したことも安心材料だ。

今週は安部首相が欧米を訪問。26日には日米首脳会談を行う。5月下旬にはトランプ大統領が国賓として来日し、新天皇と会見することも決定した。さらに良好な関係構築によって通商交渉の円滑な進展、かつ日本にとって安心できる結果につながるか。

3.日銀金融政策決定会合、展望レポート

米欧の金融政策が緩和的なニュアンスを醸し出すなか、手詰まりとされる日銀のスタンスに変化はあるのか。

黒田総裁は柔軟な対応を示唆しているものの、再び緩和策を繰り出すことは難しいとみられるがどうか。さらに景気配慮という意味ではにわかに消費増税延期が俎上に載ってきた。

景気悪化の程度がポイントだが、展望レポートでの景気認識、先行き見通しはどうか。具体的には1-3月のGDPや7月の日銀短観がギリギリの判断タイミングとなる。

◆今週のMRA's Eye


ダウンサイドリスク後退で一段と膠着感強まる

先週の為替市場はイースター休暇もあり極めて小動き、横ばい、動意に欠ける展開。ダウンサイドリスクがさらに後退したことも、さらに膠着感が強まる要因となった。リスクバランスはややリスク選好サイドに傾いている。

ダインサイドリスク、リスク回避に傾くリスクは、景気悪化、通商交渉などの政策ミスが主要因。景気に関しては中国と欧州がとくに懸念されるエリア。

政策ミスは、米中通商交渉とイギリスのEU離脱問題、さらには金融政策のミス(金融を引き締め過ぎて景気悪化を招いてしまうリスク)など。

このうち金融政策については早々に景気悪化をもたらす政策ミスの回避に動いた。米FRBは利上げを休止し9月にはバランスシート縮小を終了する。

ECBは利上げ、マイナス金利の終了を見送り、逆に長期資金供給オペレーションの9月再開を決定した。

日銀は量的緩和を継続しているが、イールドカーブコントロールのもとでの長期金利上昇容認水準を引き上げる気配はない。

欧米の金融政策変化により日本の長期金利への上昇圧力は後退している。長期的に金融緩和長期化による悪影響・弊害が蓄積するリスクは再び高まった可能性はあるが、短期的ないし景気循環的な側面では金融政策ミスによる景気悪化のリスクは後退した。

イギリスのEU離脱をめぐる政策ミスは、結果として合意なき離脱による市場の混乱とその波及。

この点、離脱期限を10月末まで延期したことで、当面は混乱に陥るリスクは回避された。

また一連の過程を通じて、イギリス国内、さらに対立するEUおよび加盟各国とイギリス政府の間においても、合意なき離脱だけは回避しようとのコンセンサスは確認された。

結果として離脱するのであればイギリス経済にはダメージとなるが、秩序をもって離脱し市場の混乱が回避されれば局所的な景気悪化でリスク回避は限定的となる。

米中通商交渉による政策ミスは交渉決裂だが、それは回避されそうだ。

一連の報道をみれば次第に交渉は煮詰まり、5月中にも一定の合意には至りそうだ。4月29日の週に米国のライトハイザーUSTR代表が北京を訪問し、次の週、5月に入って早々には中国の劉鶴副首相がワシントンを訪問する。

日本の10連休ないしそれが明けたタイミングで何らかの結論に至るのか。

5月下旬にはトランプ大統領が国賓として日本を訪れ新天皇と会見する。当初は6月下旬の大阪サミットが、米中両首脳が両国以外で会談する良い機会と考えた。

しかし仮にそのタイミングで習主席も訪日すれば、想定よりも早いタイミングで米中首脳による最終的な「手打ち」が実現する可能性がある。市場は合意を織り込んでいると考えられるが、ダウンサイドリスクの回避が確定したとなれば、リスク選好に傾きやすい。

そして景気悪化については中国において明確な景気対策が打たれ、直近の経済指標が持ち直しの兆しをみせつつあることで、政策効果によって歯止めがかかってきた可能性がある。

中国政府は景気刺激策を実施しているが、経済全体が刺激策によってバブル化することを避けるため、財政バラマキや全般的な金融緩和ではなく、問題点にピンポイントで効く政策を実施するスタンスのようだ。

最も影響が大きく懸念されていた中国経済のダウサイドリスクが政策によって、また経済指標によって確認されつつあることは朗報だ。欧州経済はなお低迷しているが、中国経済の持ち直しがさらに明確となれば、安定が見込まれる。

ただ中国の政策スタンスがリーマンショック後のようないわば「何でもあり」の景気刺激策ではなく、慎重な景気刺激策にとどまっていることは、好況が再来する可能性が小さいことを意味する。

FRBも利上げを休止したにとどまり、これが景気を押し上げるものではない。

結果としてリスクバランスの変化は、リスク選好の強まり、というよりは、リスク回避の後退・緩和、という消極的な表現がしっくりくる。

ドル円相場は110円割れのリスクは後退したが、112円からの上値も重い。米長期金利が下げ止まり反発したものの、利上げが展望できない間は上昇に限度がある。

ドル金利先高感が高まる状況には当面なく、金利面でのドル高は見込みにくい。一方、このところドル円相場を左右しているリスクバランスの変化による円相場の上下動は、上記のようにバランスが均衡化してきたことで膠着感が強まったままの状況が続こう。

目先はさらなるリスクバランスの改善の可能性がありながらも、112円を大きく超えていく展開は想定が難しい。

年末にむけてさらに景気展開がポジティブなイメージとなり、FRBの次の一手が利上げとの見方が強まるようでなければ113円、114円と上値を追うのは難しいのではないか。

一方、円高リスクは引き続き突発的な想定外のリスクイベント。シカゴ通貨先物における投機的な円売りポジションは、このところのリスク選好の回復によって増加傾向にある。

先週火曜日の時点で87千枚とピークの7割程度まで積み上がった。結果、リスク選好の回復やリスク回避の後退とは裏腹に、あるいはだからこそ、ポジション面からの短期的な円高リスクはむしろ増加している。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :111.92(▲0.05)
ユーロ :125.82(+0.08)
英ポンド :145.485(+0.04)
豪ドル :80.041(▲0.01)
カナダドル :83.576(▲0.14)
スイスフラン :110.322(+0.07)
ブラジルレアル :28.4974(▲0.01)
中国人民元 :16.695(+0.01)
韓国ウォン(日本円=100) :9.845(▲0.00)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1245(+0.002)
英ポンド :1.2993(+0.000)
豪ドル :0.7152(+0.000)
カナダドル :1.3391(+0.002)
スイスフラン :1.0146(▲0.001)
ブラジルレアル :休場( - )
中国人民元 :6.7042(▲0.005)
韓国ウォン :1136.85(▲0.15)

【主要国政策金利】
米国 :2.50
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :2.56(±0.0)
米2年債 :2.38(±0.0)
日本10年債利回り :▲0.03(▲0.00)
日本2年債利回り :▲0.03(+0.00)
独10年債利回り :0.03(±0.0)
独2年債利回り :▲0.57(±0.0)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :休場( - )
NASDAQ  :休場( - )
S&P500 :休場( - )
日経平均株価 :22,200.56(+110.44)
ドイツ DAX :休場( - )
インド センセックス :休場( - )
中国上海総合 :3,270.80(+20.60)
ブラジル ボベスパ :休場( - )
英国FT250 :休場( - )
ビットコイン :5269.97(▲38.60)

【主要商品価格】
WTI :休場( - )
Brent :休場( - )
米ガソリン :休場( - )
米灯油 :休場( - )

金 :1275.52(▲0.30)
銀 :15.03(+0.02)
プラチナ :903.04(+0.03)
パラジウム :1425.15(+2.41)
銅 :休場( - )
アルミニウム :休場( - )
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :休場( - )
シカゴ とうもろこし :休場( - )
シカゴ小麦 :休場( - )

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。

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