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米中協議難航でリスク資産売られる
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年5月20日 第1533号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米中協議難航でリスク資産売られる」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は畜産セクターのほか、ドル高の進行を受けて自国通貨建ての商品が上昇したが、その他は総じて軟調な推移となった。

新華社通信が、「中国は米国との交渉に前向きではない」といった趣旨の報道をしたことで、米中協議が決裂するのではとの見方が広がったことが背景。

【本日の価格見通し総括】

週明け月曜日は特段目立った手がかり材料がないが、米中通商協議が難航しており、中国側もこのままの状態で協議を継続する意向がない可能性が示唆されていることは、景気循環系商品価格を押し下げることになると予想する。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

週末の商品市場は、中国新華社通信などの国営メディアの報道で、「中国は今のところ米国との交渉に興味がない」といった趣旨の報道が流れたことで、一気にリスクオフに傾いた。

これまでの交渉の経緯を簡単にまとめると以下の通り

1.オバマ政権時代に中国の軍事力のレビューを行ったところ想定を超える軍事力の拡大がみられた

2.中国は民主化する意向はなく、米国からの支援を受けて共産党の支配体制を固めているだけであり、同国に対する方針を転換しなければならない

3.中国に対する関税引き上げを決定(トランプ大統領、というよりは共和党議会の意向が強い)

4.中国は知的財産権の保護や、技術の強制移転は規制する代わりに、関税をゼロにすることを米国に要求

5.米国は関税撤廃を飲む条件として、では知的財産権の保護や技術強制移転、企業に対する補助政策禁止を確実なものにするために、法制化を要求

6.中国は内政干渉として法制化に難色を示し、協議が決裂

7.再度協議が行われるが、法制度を整えないばかりか、「信じてほしい」の一点張りで知的財産権・技術強制移転・補助金全ての分野において合意を中国側が取り下げ

8.米議会は関税25%への引き上げをすべての輸入品を対象に。同時に華為技術への大規模制裁を実施

という感じだ。米国の要求は内政干渉であり、中国の共産党支配・習近平支配体制に大きな影響が出るため、中国側とすれば飲むことはできないのは確実。

そもそも今回の交渉を通じて、「米国に関税ゼロを飲ませつつ、技術強制移転や知的財産保護、補助金問題はなし崩し的になしとして、米国から逆に果実を取ろう」と考えていた可能性が高いが、タフネゴシエーターである米国に中国はそう簡単に太刀打ちできない。

そもそも今回の関税引き上げも、トランプ大統領の思い付きではない(むしろトランプ大統領はディールをまとめたい)。共和党保守派の意向が強く反映されている可能性が高いと考える。

結局、6月のG20ではトップ同士の判断で、話し合い継続が確認されるとは思うが、本件が解決するために超えなければならないハードルは高い。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国のPMI・ISMなどのマインド系指標再びの減速(価格下落要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、先行きの見通しのリスクも下向き。

・FRBの利下げの可能性が再び高まる(トランプ大統領があからさまに要求を始めており、米中貿易戦争の行方次第ではあり得る状況に)。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

・景気減速下での原油価格高騰は、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米政権は対中関税引き上げを表明、中国もこれに対する報復を決定(下落要因)。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気後退など)によるリスク回避の動きの強まり(下落要因)。

・中東情勢の悪化を受けた域内景気の混乱と、それを受けた欧州景気への悪影響拡大(下落要因)

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク。とりあえず5月末、10月末を期限として問題先送り(下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(下落要因)。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は下落した。中東をめぐる緊張が続く一方で、米中協議が難航していることに伴う景気減速への懸念や、中国新華社通信が中国は米国との協議継続に興味がない、と伝えたことが売り材料視された。

【原油価格見通し】

原油価格は高値圏を維持する展開を予想。

米国が中東に打撃・空爆戦力派遣を決定、イランも核開発の一部再開を通知するなど、域内情勢が不安定化するとの見方が強まっていることは価格の上昇要因。

一方、イランに対する制裁があっても輸入国とも国内の製油所の能力などから直ちに禁輸を行えるわけではないこと、仮に完全に減産が行われても、数字の上では供給は足りること、ロシアが減産を順守していないことといった供給面での下落要因も存在。

ただし需要面は米中交渉の難航や、その長期化を受けた景況感の悪化で下落要因に。

イランに対する米国の対応は、場合によると本当に戦争を想定しているものである可能性が出ている。トランプ大統領はむしろイランと対話を望んでいるが、ペンス・ボルトンなどの共和党議会側が強硬姿勢であるため。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は小幅に続落。米中の報復関税合戦で両国の景気が減速するとみられていること、季節的な需要の減速が材料。

【石炭価格見通し】

石炭価格は足元、季節的な需要減速を受けて水準を切り下げる(目処は80ドル)が、北朝鮮への制裁継続や夏場にかけて季節的な需要増加観測から、7~8月頃にかけて上昇すると予想。その後季節的な調整の後、11月にかけて水準を切り下げる展開に。

また、中国による豪州炭の輸入規制(華為技研問題の影響)の影響でインドネシア炭にシフトしていることは逆に、上値を抑えると考えられる(日本が輸入する石炭価格CIFへの影響は中立)。米国の中国制裁強化も価格の上値を抑える公算。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・OPECプラスの協調減産は9月末で終了する可能性が高まっており、足元の協調減産は価格の上昇要因だが、年後半は下落要因に。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、イスラエルネタニヤフ首相の5選達成による、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に。

・北朝鮮のミサイル発射により、制裁が継続される可能性が高まっていることは、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限し、価格の上昇要因(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが607,979枚(前週比 ▲8,810枚)、ショートが120,171枚(▲2,282枚)、ネットロングは487,808枚(▲6,528枚)、Brentが424,646枚(前週比▲9,436枚)、ショートが27,335枚(▲572枚)、ネットロングは397,311枚(▲8,864枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落した。中国新華社通信が、「中国は米国との協議継続に興味がない」と報じたことで、米中交渉が決裂するのではとの見方が強まったことと、米統計改善を受けたドル高が断続的に進行したことが材料。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は軟調地合いを維持すると考えられる。米中通商協議の先行きに暗雲が垂れ込める中、期待需要が減少していることが背景。またリスク回避のドル高圧力の高まりも価格を下押し。

ただし、投機の売りが拡大しており、テクニカルに買戻しが入りやすい地合いであること、中国の経済対策期待、供給面の不安やLME在庫の減少継続が価格を下支え。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

・インドをはじめとする新興国の構造的な需要増加(中長期的な要因)。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・5月10日付のLMEポジション総じてショートポジションが積み上がり、ネットロングを縮小させた。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は▲32.3億ドル(前週5.7億ドル)と大幅に減少。上昇率は▲663.7%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで▲1,043千トン(▲53千トン)と減少。亜鉛と錫以外はMt数ベースでネット売り越しに転じた。ショートの増加率は1,857.3%。

今後、総じてこれらのポジションの買戻し圧力が強まる可能性があり、テクニカルに非鉄金属価格が上昇する余地があることは留意。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は上昇、原料炭スワップ先物は横ばい、中国鉄鋼製品価格は上昇した。

米中の協議難航が引き続き景気への懸念を強めているが、ブラジル ヴァーレの減産が続く中、中国の粗鋼生産が8,033万トンと、過去5年の最高水準かつ、過去最高水準となったことで鉄鉱石需要が増加するとみられたことが材料となっている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏でもみ合うものと考える。ヴァーレのブルクツ鉱山が再び稼働停止になったことで、鉄鉱石の供給懸念が強まる一方、中国の粗鋼生産の回復が需要を押し上げるものの、米中貿易交渉の難航に伴う景気への懸念が上値を抑えるため。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲35.8万トンの1,194.2万トン(過去5年平均1,195.8万トン)と例年をやや下回った。

・中国の鉄鉱石在庫水準の高さは価格を下押し。鉄鉱石在庫は前週比▲16.5万トンの1億1,700万トン(過去5年平均1億1,901.6万トン)、在庫日数は▲0.4日の34.2日(過去5年平均 30.5日)と例年の水準を上回る。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は下落した。米中貿易戦争激化への懸念から原油価格が下落、期待インフレ率の低下が実質金利を押し上げたことが背景。

PGMは金銀価格の下落に加えて、株価が調整したこともあり水準をさらに大きく切下げた。米経済統計の改善を受けて株価が上昇、長期金利も上昇して実質金利が上昇したことや、同時に発生したドル高進行が引けにかけて水準を押し下げた。

PGMは米政権の自動車関税引き上げ先送り報道が価格の上昇要因となったものの、金銀価格の下落によって結果、下落している。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,890ドルと前日と変わらないが、需給は緩和方向(需要の減速)にある模様。

【貴金属価格見通し】

金価格は米中貿易交渉の進展状況をにらみつつ、神経質な展開になると予想されるが、中東情勢や欧州の情勢不安を材料に安全資産需要は堅調とみられること、ここにきて市場は再びFRBの利下げを織り込み始めていることから総じて底堅い推移になると考える。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、欧州の政情不安、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イラン・サウジアラビア・イスラエルを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が底堅い推移になるため堅調だが、同時に米中貿易交渉の状況によっては株価が上下するため、軟調地合いの中、神経質な推移が続くことになると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利下げ期待が再び高まっていること、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを懸念した株価下落とそれに伴う長期金利・実質金利の低下(金銀価格の上昇要因)。ただし、欧州の政情安定化や米中貿易戦争の合意、景況感の改善で株価が上昇した場合には金銀価格の下落要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は難航しており、相互報復まで発展(価格の上昇要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国とイランの開戦リスク。トランプ大統領はその気がなさそうだが、共和党議会はイランとの開戦に前向きな可能性。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州の政治混乱(英国のEU離脱、伊仏の対立、イタリアの財政不安再燃、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化など)による安全資産需要の増加。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが226,361枚(前週比 +40,560枚)、ショートが101,825枚(▲8,565枚)、ネットロングは124,536枚(+49,125枚)、銀が77,542枚(+196枚)、ショートが79,751枚(+1,448枚)、ネットロングは▲2,209枚(▲1,252枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが44,737枚(前週比 ▲1,120枚)、ショートが18,987枚(+1,823枚)、ネットロングは25,750枚(▲2,943枚)、パラジウムが10,939枚(▲941枚)、ショートが3,318枚(▲582枚)、ネットロングは7,621枚(▲359枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格はまちまち。トウモロコシは降雨の影響に伴う作付けの遅れで上昇、大豆は米中交渉の難航で下落、小麦は大幅に上昇していたため、ドル高の進行もあって利食い売りに押された。

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆・小麦とも生産地の作付けが天候の影響で遅れる見通しであることが価格を押し上げるものの、米中貿易交渉の難航に伴う輸出需要の鈍化観測、米統計の改善を受けたドル高進行が重石に。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米国のトウモロコシ・大豆の生産増加観測による需給緩和観測。

・米国の作付けの遅れに伴う需給タイト化観測。

・豪州東部の大干ばつによる小麦生産の減少懸念。

・作付面積動向(トウモロコシは下落、大豆は上昇、小麦は上昇)トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・5月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ24億8,500万ブッシェル(前穀物年度20億3,500万Bu)大豆 9億7,000万Bu(8億9,500万Bu)小麦 11億4,100万Bu(10億8,700万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は相互報復まで発展(価格の下落要因)。知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・主要穀物のショートポジションは、作付けの遅れなどからトウモロコシと小麦で解消圧力が強まり、大豆は増加している。大豆は米中協議の進展次第では買戻し圧力が強まるため注意。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが373,631枚(前週比 ▲1,985枚)、ショートが557,520枚(▲9,144枚)、ネットロングは▲183,889枚(+7,159枚)、大豆はロングが139,203枚(+671枚)、ショートが262,598枚(+6,555枚)、ネットロングは▲123,395枚(▲5,884枚)、小麦はロングが142,574枚(+1,479枚)、ショートが185,979枚(▲3,813枚)、ネットロングは▲43,405枚(+5,292枚)

◆本日のMRA's Eye


「プラチナ価格見通し」

下落基調を維持してきたプラチナ価格はQ119に底入れし、大きく水準を切り上げた後、再び900ドルを下回り、800ドルを目指す展開となっている。トレンド的な大幅な下落は、最大用途先である自動車向けの排ガス触媒需要が、欧州の排ガス不正を切っ掛けに減速したことが背景にある。

欧州の自動車販売は最悪期を脱し、昨年比で見た場合の販売台数の減少は昨年9月で一旦底を打っており、4月時点ではようやく前年比横ばいまで回復したようだ。

しかし、欧州ではEuro 6d-TEMPの段階的導入により、Noxの制御に関してPGMを用いない、SCR技術への移行が予想されるため、この面でもプラチナ需要は減速する可能性が高い。

しかし、欧州の自動車メーカーはプラチナに対する対応を若干変化させつつある。ガソリン比較で燃費が10%~20%程度よいディーゼルを用いた方が、CO2規制に対応できる可能性があるためである。

FCA(フィアット・クライスラー)グループは2020年までに欧州自動車からディーゼルを削減するという当初の計画の撤廃をこの3月に発表している。

弊社はWPICのデータプラチナ需給見通しのベースとしているが、こうした状況を踏まえたうえでも最大用途である自動車触媒向けの需要は、前年比▲10万オンスの285万5,000オンス、自動車全体で見た時でも▲9万5,000オンスの301万オンスと減少を見込んでいる。

一方で生産は南アフリカや北米の増産で鉱山生産が+26万オンスの637万5,000オンス、リサイクル品は+6万オンスの199万5,000オンスを見込んでおり、需給バランスは37万5,000オンスの供給過剰となる見込みだ。

地上在庫は321万5,000オンス(在庫日数は144.8日)と3年連続で在庫水準を切り上げる見込みである。

この結果、プラチナ価格見通しを左右するのは投機筋の動向、ということになってしまう。プラチナの価格動向がパラジウムよりも金などと近い動きになっているのはこうした背景がある。

プラチナの投機筋の動向をETFとCFTCのポジション動向で見てみると、ロングはこの5年の平均(48,294枚)程度となる44,737枚に止まっているが、ショートポジションは18,987枚と、この5年の平均である23,572枚を大きく下回っておりポジションが軽い。

結果、ショートポジションが軽いため、何かしらのネガティブ材料の発生で新しくショートが取られる可能性はある。現物在庫は十分であるため、投機の売りもさほど難しくはないだろう。

一方、ETFについてはこちらは大きく積み上がっており、原稿執筆現在の直近の数字は289万6,389オンスと、ピーク時の298万1,078オンスからは減少したものの、過去5年の最高水準を維持している。

但し、上述の通り先物のショートポジションが軽いことからプラチナの売り圧力がさらに高まる可能性は排除できない。しばらくはプラチナの再度の下振れリスクを意識しておきたいところだ。

◆主要ニュース


・3月日本第3次産業活動指数 前月比▲0.4%(前月改定▲0.6%)

・4月欧州新車登録台数 欧州合計 前年比▲0.5%の1,344,863台(前月▲3.6%の1,770,849台)
 年初来 ▲2.5%の5,491,050台(▲3.2%の4,146,152台)

・4月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.7%(前月+1.0%)、前年比+1.7%(+1.4%)
 コア指数 +1.3%(+0.8%)

・3月ユーロ圏建設業生産高 前月比▲0.3%(前月+3.0%)、前年比+6.3%(+7.6%)

・5月米ミシガン大学消費者マインド指数速報 102.4(前月97.2)
 現況指数 112.4(112.3)
 先行指数 96.0(87.4)
 1年期待インフレ率 2.8%(2.5%)
 5年期待インフレ率 2.6%(2.3%)

・米ホワイトハウス、FRB理事候補にカン運輸次官の指名を検討。

・中国人民銀行四半期金融政策実施報告書、「貿易摩擦と世界的な政策の不透明感が、著しいリスク。これらは将来インフレを押し上げ、家計や企業の信頼感を損ない、金融市場の混乱を引き起こすことによって世界経済に打撃をもたらす。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数802(前週比▲3)、ガスリグ 185(前週比+2)。

・米政権関係者、「トランプ大統領はイランとの開戦に慎重。」

・九州電力、「玄海3号機のテロ対策、期限までに完成させたい。」

・アルゼンチン、Tango FLNGプラントからこの国初となるLNGの輸出を提案。

【メタル】
・ザンビア政府、ヴェダンタの銅事業を継承へ。

・米国、カナダとメキシコに対する安全保障を理由とした鉄鋼・アルミニウム製品への関税措置を停止することで合意。

・中国ニッケル鉱石の港湾在庫、前週比+3万トンの122万トン。

・ベネズエラ、制裁の中金準備、5億7,000万ドル分を販売。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TGE小豆 ( 穀物 )/ +4.60%/ +12.19%
2.TGEトウモロコシ ( 穀物 )/ +2.12%/ ▲6.26%
3.CBTエタノール ( エネルギー )/ +1.64%/ +7.91%
4.CBTもみ米 ( 穀物 )/ +1.51%/ +9.66%
5.インド・センセックス ( 株式 )/ +1.44%/ +5.16%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ ▲5.61%/ ▲22.69%
67.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲4.48%/ ▲51.15%
66.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲2.94%/ ▲14.24%
65.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲2.59%/ ▲14.94%
64.中国CSI300 ( 株式 )/ ▲2.54%/ +21.20%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,764.00(▲98.68)
S&P500 :2,859.53(▲16.79)
日経平均株価 :21,250.09(+187.11)
ドル円 :110.08(+0.23)
ユーロ円 :122.83(+0.08)
米10年債利回り :2.39(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.10(▲0.01)
日10年債利回り :▲0.05(+0.01)
中国10年債利回り :3.26(+0.00)
ビットコイン :7,106.31(▲570.20)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :23.18(+0.06)
エネルギー :22.16(▲0.27)
ベースメタル :18.43(▲0.1)
貴金属 :19.96(+0.41)
穀物 :21.55(+0.63)
その他農畜産品 :27.28(▲0.06)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :21.61(▲0.06)
Brent :20.81(+0.06)
米天然ガス :24.19(▲1.71)
米ガソリン :25.58(▲0.44)
ICEガスオイル :23.28(+0.54)
LME銅 :15.42(+0.17)
LMEアルミニウム :15.28(+0.89)
金 :20.27(+1.12)
プラチナ :20.34(+0.61)
トウモロコシ :26.02(+0.15)
大豆 :20.27(+1.12)

【エネルギー】
WTI :62.76(▲0.11)
Brent :72.21(▲0.41)
Oman :72.10(▲0.75)
米ガソリン :204.73(▲1.45)
米灯油 :209.55(▲2.77)
ICEガスオイル :657.00(▲8.25)
米天然ガス :2.63(▲0.01)
英天然ガス :29.83(▲1.40)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :72.21(▲0.41)
SPO380cst :415.35(▲4.32)
SPOケロシン :84.34(▲1.74)
SPOガスオイル :84.41(▲1.69)
ICE ガスオイル :88.19(▲1.11)
NYMEX灯油 :209.20(▲1.33)

【貴金属】
金 :1277.53(▲9.19)
銀 :14.40(▲0.16)
プラチナ :818.89(▲15.43)
パラジウム :1315.10(▲20.65)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,044(▲69:19C)
亜鉛 :2,607(▲25:148B)
鉛 :1,824(▲12:15C)
アルミニウム :1,835(▲27:30C)
ニッケル :12,060(▲140:35C)
錫 :19,475(±0.0:150B)
コバルト :34,500(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6057.00(▲24.50)
亜鉛 :2594.00(▲38.50)
鉛 :1820.50(▲11.00)
アルミニウム :1831.50(▲23.50)
ニッケル :12000.00(▲125.00)
錫 :19475.00(+50.00)
バルチック海運指数 :1,032.00(±0.0)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :休場( - )
NYMEX鉄鉱石 :96.34(+0.21)
NYMEX原料炭スワップ先物 :208.5(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,951(+10)
上海鉄筋中心限月 :3,772(+49)
米鉄スクラップ :320(+4.00)

【農産物】
大豆 :821.75(▲18.00)
シカゴ大豆ミール :294.30(▲7.60)
シカゴ大豆油 :27.22(▲0.50)
マレーシア パーム油 :2049.00(▲12.00)
シカゴ とうもろこし :383.25(+4.25)
シカゴ小麦 :465.00(▲2.00)
シンガポールゴム :178.10(▲0.70)
上海ゴム :11930.00(+55.00)
砂糖 :11.55(▲0.23)
アラビカ :87.35(▲2.65)
ロブスタ :1281.00(▲34.00)
綿花 :65.99(▲0.81)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :92.38(+0.15)
シカゴ生牛 :111.28(+0.80)
シカゴ飼育牛 :134.53(+0.30)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。