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市場心理の改善・悪化の可能性・シナリオ整理
  • MRA外国為替レポート

2019年4月15日号

◆先週の市場総括


先週は週央にEU首脳会議を控えるなか、米欧通商対立が悪化したこと、IMFの世界経済見通し下方修正、欧州を中心とした景気先行き懸念などから株価が軟調。リスク選好が後退するなか円高気味の動きとなった。

ドル円相場は週初111円台後半で始まったが一時111円割れ。しかしEU首脳会議でイギリスの合意なき離脱回避の可能性がさらに高まるとリスク選好が回復。

週末にかけては中国景気の持ち直し観測が強まったことで米国株が一段高に。米10年債利回りは週末に2.56%へ上昇した。

為替市場ではユーロ円相場が主導するなか円が全般に軟調。ユーロ円相場は週初125円ちょうど近辺から始まったが週末には126円台後半に上昇。ユーロは対ドルでも上昇して1.13台へ。ドル円相場は112円ちょうど近辺で引けた。日経平均は週末にかけて堅調な値動きとなり21,800円台後半で引け。

月曜日の東京市場のドル円相場は111円70銭近辺、ユーロ円相場は125円30銭近辺で始まり、その後は日経平均の下落とともに円高に振れる展開。

日経平均は前週末の米雇用統計がまずまずの数字だったこと、景気減速懸念が後退したこと、米国株が小幅ながらしっかりだったことから21,900円近辺で高寄り。

しかし早々に利益確定売りに押されて下落し21,700円台半ばでもみ合い。21,750円近辺で引けた。

ドル円相場は夕刻には111円40銭~50銭で推移。ユーロ円相場は125円ちょうど~10銭。海外市場に入るドル円相場は111円30銭近辺に下落。

一方、とくに材料のないなかユーロは堅調。ユーロドル相場は1.1270へ上昇。ユーロ円相場は125円60銭近辺まで上昇してもみ合い。

前週末からのリスク選好回復の流れやEU首脳会議を前にユーロ買戻しが入ったとみられる。ドル円相場も反発して111円50銭中心にもみ合い。米国株は小幅下落したが米長期金利は小幅上昇。

火曜日の東京市場のドル円相場は111円50銭から30銭~40銭へ、ユーロ円相場は125円50銭近辺で始まり40銭近辺へ、ともにやや円高に振れた。ドル円相場は上値の重い展開。日経平均は21,700円台半ばで始まり700円近辺に押されたが、引けには持ち直して21,800円で引け。

海外市場に入るとドル円相場は111円ちょうどに下落。ユーロは対ドルで1.1280、対円で125円60銭に上昇していたが反落。ユーロ円相場は125円20銭近辺。

この日、IMFは世界経済見通しを公表。2019年の成長率予想を1月時点の3.5%から3.3%へ下方修正した。

下方修正は3回連続で、水準は2009年以来の低成長。米国の成長率見通しは2.5%から2.3%へ引き下げられた。成長率は今年後半に回復した後は安定するとしたものの、リスクは下向きで、景気刺激策の余地が限られるなか政策ミスへの警戒を示した。

またこの日、米国とEUの通商対立が悪化。関税・報復の可能性が浮上して市場心理が悪化した。米国株は大幅安、続落。米長期金利は小幅低下。米10年債利回りは2.50%。ドル円相場は111円10銭~20銭でもみ合い引けた。

水曜日の東京市場の為替相場はEU首脳会議やFOMC議事録、ECB理事会を前に小動き。

ドル円相場は引き続き111円10銭~20銭で、ユーロ円相場は125円10銭~20銭で、それぞれもみ合い。ユーロドル相場も1.1260~70で推移。

日経平均は米国株安を嫌気して21,600円割れで大幅安寄り。ただその後はじり高となり21,700円近くに戻して引けた。

海外市場に入ると再びユーロが買い戻され、対ドル、対円で堅調。1.1280~90、125円40銭へと上昇した。しかしその後反落。

この日開催されたECB理事会では金融政策は据え置き。ただドラギ総裁は会見で、景気見通しは軟化しており成長減速が見込まれる、政策委員会はあらゆる政策手段を適切に調整する用意がある、と警戒感を示した。

ユーロドル相場は1.1240へ、ユーロ円相場は125円40銭から124円80銭へ下落。

一方、米国時間には発表された消費者物価コア指数(3月)が前年同月比+2.0%と前月の+2.1%から上昇率が鈍化。

米長期金利は景気警戒感、減速懸念、インフレの鎮静化を材料に低下。米10年債利回りは2.47%、2年債利回りは2.32%。ドル円相場は111円10銭~20銭のもみ合いから110円80銭台へ下落した。一方、米国株は小幅高。

ムニューシン米財務長官は、米中交渉において貿易合意を順守するための方策として執行機関の設立で合意した、と述べた。

NY引けにかけてドル円相場は111円ちょうど近辺に持ち直し。ユーロも持ち直して、ユーロ円相場は125円10銭、ユーロドル相場は1.1270~80で引けた。

FOMC議事録(3月19日・20日開催分、市場の予想以上のハト派スタンスが示された)が公表されたが市場の反応は鈍かった。

過半数が、年内様子見が正当化される公算大、としていたが、景気見通しは総じて楽観的。幾人かは金利の見解は利上げ、利下げどちらにも変わりうる、と示した。

木曜日の東京市場のドル円相場は111円ちょうど近辺で始まり底固く推移。ユーロ円相場は125円10銭近辺で始まり小幅高。30銭~40銭に上昇してもみ合い。

欧州で開催されていたEU首脳会議の結果が朝方発表となった。

イギリスは6月末までの延期を求めていたが、EUサイドの大半は条件つきでの1年延期を求めていた。しかしフランスが反対。結果として、間をとるように、10月31日まで離脱を延期することとし、6月に進捗を見直すこととなった。

いずれにしても、合意なき離脱は回避するとの基本線はみえたことで市場には安心感をもたらしたが、それ自体はある程度織り込み済み。

日経平均は21,600円台後半でもみ合い上下。21,700円近辺で引けた。

海外市場に入るとあらためて円が対ドル、対円で軟調。ドルが堅調。発表された米国の生産者物価指数(3月)が前年同月比+2.2%と前月+1.9%から上昇率が加速。

また週次の統計である新規失業保険申請件数が196千人と予想211千人を下回り200千人割れとなって良好な雇用情勢をあらためて示した。

米長期金利は上昇して10年債利回りは2.50%。ドル円相場は111円70銭に上昇して60銭~70銭でもみ合い。ユーロ円相場は125円70銭に上昇してもみ合い。ユーロドル相場はじり安で1.1250~60。

金曜日の東京市場のドル円相場は111円60銭、ユーロ円相場は125円70銭、ユーロドル相場は1.1250台で始まった。その後ユーロが上昇。ユーロ円相場が126円10銭~20銭に、ユーロドル相場は1.1290へ。ドル円相場も111円80銭台に。リスク選好回復の流れが続いた。

日経平均は21,800円台で高寄りも早々に21,700円台前半に反落。ただ後場にかけて堅調に推移して21,870円で引けた。

東証引け後に中国の貿易統計(3月)が発表された。輸出が前年同月比+14.2%と大きく伸びたことで世界経済への懸念が弱まり、海外市場にかけてもリスク選好の流れが続いた。

円が軟調。ドルも対ユーロで軟調。ユーロ円相場は126円70銭~80銭に、ドル円相場は112円台を回復。ユーロドル相場は1.1320までユーロ高ドル安が進んだ。

米国株は上昇。米10年債利回りは2.56%に上昇。ドル円相場は112円ちょうど近辺、ユーロ円相場は126円50銭~70銭で週末NYの取引を終えた。

今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標、ベージュブック

世界経済が減速基調にあるなか米国経済は堅調を持続との見方が根強い。まずはその信認が維持されるか。堅調さが確認されるか。

月曜日 NY連銀製造業景気指数(4月、予想6.00、前月3.70)

火曜日 鉱工業生産(3月、前月比、予想+0.3%、前月+0.1%)

水曜日 貿易収支(2月)、木曜日にPMI景況感指数(4月、製造業、予想52.7、前月52.4)、フィラデルフィア連銀製造業景気指数(4月、予想10.3、前月13.7)、小売売上高(3月、前月比、予想+0.7%、前月▲0.2%)、ベージュブック

金曜日 住宅着工(3月、季節調整済み年率換算、予想1,230千戸、前月1,162千戸)

2.中国の経済指標、統計局記者会見

このところ中国経済の持ち直しつつあるのではないか、との見方強まっている。今週の経済指標がそうした見方をさらに強め、リスク選好をさらに支えるか。

火曜日 住宅価格(3月)

水曜日 都市部固定資産投資、工業生産、小売売上高、失業率(いずれも3月)、GDP(1‐3月期、前年同期比、予想+6.3%、前期+6.4%)、中国統計局が記者会見

3.欧州の経済指標

中国とならび欧州の景気悪化が市場の警戒感を強めていた。先日のECB理事会、ドラギ総裁の記者会見でも景気下振れリスクが指摘されていた。リスク選好が回復するなか、欧州の弱い指標が市場心理に水を差すことはないか。

月曜日 ドイツ連銀月例報告

火曜日 ドイツZEW景況感指数(4月)

水曜日 ユーロ圏消費者物価指数(3月)、貿易収支、木曜日にPMI景況感指数(ユーロ圏、ドイツ、フランス、4月)

◆今週のMRA's Eye


市場心理の改善・悪化の可能性・シナリオ整理

先週末にかけて市場のリスク選好が強まり株価は上昇。為替市場では円が軟調となると同時に、ドルも対ユーロで軟調な展開。

ドル円相場は底固く、一時111円を割ったものの週末は112円台。クロス円相場すなわちドル以外の通貨の対円相場の上昇がより顕著となり、ユーロ円相場は週初の125円台前半から126円台後半へ。年初の急落時は一瞬118円台をつけ、3月末には124円ちょうど近辺だったが、そこから3円近い上昇となった。

市場は景気減速を織り込み、FRBの利上げ見送りから、さらには利下げを想定。景気や金利見通しは弱気になっていた。

しかし中国の景気対策やその米欧金融政策の慎重さないし緩和的なスタンスを好感し、景気悪化リスクよりも持ち直し期待に賭けて、市場はリスク選好を維持。そこにわずかながらも景気持ち直しの兆しがみえたところで、さらに強気派が勢いを増している。

米欧金融当局の景気見通しは慎重さを増しているが、中国の経済指標がやや改善の兆しをみせたことで市場は楽観サイドに傾きつつある。

ここからリスク選好、リスク回避、どちらに傾くリスクが高いのか。短期的にはなおリスク回避に傾くリスクが大きいように思われるが、年内を見通せばリスク選好が強まる可能性もある。

市場心理の改善・悪化、双方の可能性を今後のイベントや景気・政策展開を踏まえて想定してみる。

米国を中心とする通商交渉が市場心理に与える影響はまちまちだ。米中交渉については、閣僚級会合が続くとともに、このところ具体的な合意に向けて議論が進んでいるとの報道が伝えられている。

米中首脳会談の予定がなかなか決まらないが、合意のめどがついたところで予定が明らかになるはずだ。どちらかが相手国を訪問するのは面子から難しいとすれば、絶好の機会は6月下旬の大阪サミットとなろう。

となると、5月中、早ければ日本のゴールデンウィーク中に合意がなる可能性もある。これはポジティブサイドのイベントリスクだ。

ただし、市場はすでに合意を織り込んでいると思われ、リスク選好の盛り上がりは限定的ではないか。より肝心なのは、その結果として、米中双方の景気に好影響が実際に生じてくること。

ダウンサイドが限定的となり、市場の期待感がアップサイドをにらみながら次の段階に移ることとなる。

これに金融当局がどのように対応するかだが、ダウンサイドリスクが弱まったと認識したとしても、慎重な姿勢は変えないだろう。FRBの利上げ見送り、様子見は続き、市場の先走った利下げ観測が後退する程度だろう。

さらに利上げを再び織り込まなければ長期金利はさほど上昇せず。ドル円相場の下値は110円で一段と固くなるものの、レンジが1円程度ドル高円安サイドに移り、110円~113円になる程度ではないか。

通商問題に関しては、欧米間、日米間、が次のテーマとして浮上する可能性がある。6月サミット時点では、米中が手打ちとなる可能性があるが、米欧、日米、はなここれからという状態で、ドル円相場のダウンサイドリスクはなお残存する可能性がある。

短期的には日本のゴールデンウィークリスクも指摘されるところ。

為替に関してはグローバルには通常のカレンダー通り取引されているため、年初・正月休みと異なり市場全体の流動性は維持されよう。年初のような真空地帯で急激な円高となる可能性は小さい。

ただし、日本株にからんで相関取引による円高のリスクは連休前、あるいは連休中にありそうだ。3月期決算の大方の発表が連休直前の4月26日の東証引け後となる。連休明けまで現物株の売買は難しい。

結果として、それを見越して連休前に売りが生じて4月最終週に日本株が低調となり、つれて円高に振れる可能性がありうる。

また決算次第で、連休明け後の日本株下落が想定されるようなら、あらためて連休中に日本株安と連動した円買いが生じる可能性もある。

ただ、その場合の円高の深度は109円程度にとどまるのではないか。先々の景気持ち直し期待が残存するなかでは、年初のような大幅な円高は難しいだろう。

年後半まで見通した場合、足元で様々な政策対応が実施されている結果、景気減速によるリスク回避、円高が生じる可能性はやや低下している。

IMFが指摘する通り、景気刺激策が限定的ななか、主として通商問題をめぐる政策ミスがなお混乱を招く可能性は残っている。ただ金融政策がすでに景気重視に舵切りされているため、景気悪化リスクは以前より小さくなった。

半面、現在の超低金利が続く可能性は高まった。これが様々な資産価格の下落を防ぐとすれば、金融市場の混乱によるリスク回避は抑制され、結果として円高リスクも抑制される。

昨年末に比べれば、金利面での円安の可能性は後退したが、ファンダメンタルズや金融市場の混乱による年後半のリスク回避による円高リスクも後退した。

当面は、政策ミスが生じないかをにらみながら、景気減速の底打ちを確認・監視する状況が続き、警戒的なリスク選好は続きそうだ。

中国経済の行方は引き続き要注意であり、また欧州の景気動向、金融市場の動向、はリスク回避の火種となりうる。欧州金融株やクレジットスプレッドの動向は継続的にチェックが必要だ。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :112.02(+0.36)
ユーロ :126.57(+0.91)
英ポンド :146.48(+0.68)
豪ドル :80.342(+0.80)
カナダドル :84.072(+0.64)
スイスフラン :111.735(+0.40)
ブラジルレアル :28.855(▲0.07)
中国人民元 :16.704(+0.11)
韓国ウォン(日本円=100) :9.872(+0.09)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1299(+0.005)
英ポンド :1.3074(+0.002)
豪ドル :0.7173(+0.005)
カナダドル :1.3323(▲0.006)
スイスフラン :1.0024(▲0.001)
ブラジルレアル :3.8818(+0.022)
中国人民元 :6.7036(▲0.016)
韓国ウォン :1139.51(+0.36)

【主要国政策金利】
米国 :2.50
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :2.57(+0.07)
米2年債 :2.39(+0.04)
日本10年債利回り :▲0.06(▲0.00)
日本2年債利回り :▲0.06(+0.00)
独10年債利回り :0.06(+0.06)
独2年債利回り :▲0.56(+0.02)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :26,412.30(+269.25)
NASDAQ  :7,984.16(+36.81)
S&P500 :2,907.41(+19.09)
日経平均株価 :21,870.56(+159.18)
ドイツ DAX :11,999.93(+64.73)
インド センセックス :38,767.11(+160.10)
中国上海総合 :3,188.63(▲1.34)
ブラジル ボベスパ :92,875.00(▲1,879.70)
英国FT250 :19,711.71(+90.53)
ビットコイン :5042.54(▲11.49)

【主要商品価格】
WTI :63.89(+0.31)
Brent :71.55(+0.72)
米ガソリン :203.70(+0.61)
米灯油 :207.07(+0.35)

金 :1290.43(▲2.09)
銀 :14.97(+0.00)
プラチナ :891.27(▲1.94)
パラジウム :1374.38(+3.29)
銅 :6514.50(+72:24.5C)
アルミニウム :1865.00(+2:21.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :895.25(±0.0)
シカゴ とうもろこし :361.00(+1.00)
シカゴ小麦 :464.50(+4.00)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。

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