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続くリスクオン・オフ相場~鈍る金利への反応
  • MRA外国為替レポート

2019年4月1日号

◆先週の市場総括


先週のドル円相場は110円中心に推移したが底固く、その後は米国株の動向、リスク選好の強弱につれて110円台で上下。週央は英国議会の投票でEU離脱の先行きが混沌としたことや一部新興国の信用不安などでリスク回避・株価が軟調となるなか一時110円ちょうどに迫った。

一方、週末にかけては再開された米中通商交渉への期待感から米国株がしっかり。米長期金利低下も一服し、ドル円相場は110円台後半に上昇した。週末NYの引けは110円80銭台。

ユーロは週後半にかけて軟調。対ドルでは1.1320近辺から1.12台前半に下落して週末は1.1220近辺で引け。

対円では124円で始まったのち一時125円ちょうどに上昇したが、リスク回避に押されて一時123円70銭近辺に下落。その後は124円台に戻して週末は124円30銭~40銭で引けた。

米長期金利は週央にかけて低下し、2年債利回りは一時2.2%割れ、10年債利回りは2.35%をつけた。ただその後はリスク選好が回復するにつれて反発し、10年債利回りは2.41%にやや戻して取引を終えた。

米国株は前週末に大きく下落したが先週は上下動しつつも持ち直し。景気後退懸念は行き過ぎとの見方が広がった。ただ週末にかけては米中通商交渉への期待感から大きく上昇した。

日経平均は、週初は前週末の米国株の大幅安を受けて21,000円割れに下落したが、3月期末決算の配当取りの動きから週央にかけて反発。その後は反落したものの米国株が堅調に推移するなか持ち直し、21,200円近辺で取引を終えた。

月曜日の東京市場の為替相場は朝方109円70銭に下落したがその後は前週末の海外市場の値動き同様に110円を挟んで推移。日経平均は前週末の米国株が大幅安となったのを受けて全面安となり21,000円割れ。ただ下げも続かず21,000円近辺で引け。

夕刻から海外市場にかけて110円20銭に上昇したがリスク選好が弱いなか反発も続かず、109円80銭に下落するなど110円を挟んだ展開が続いた。

一方、ユーロ円相場は124円ちょうど近辺から夕刻にかけて124円80銭まで上昇した。

FRB当局者からは景気に対して強弱双方の発言が出るなか、市場参加者の景気不安は解消せず米長期金利の低下が続いた。10年債利回りは2.40%に低下。米国株は下げ止まったものの小幅安。

火曜日の東京市場のドル円相場は110円ちょうど~20銭で上下動。ユーロも対ドルで1.1310~20、対円で124円台半ばを中心に方向感なくもみ合いで推移した。

日経平均は大幅反発。年度内受け渡し最終日となり配当取りの動きから自律反発。引けは21,400円台前半。海外市場に入るとリスク選好が持ち直し円安ドル高の動き。米国株は高寄り後に下落したものの底固い値動き。

前日にイエレン元議長が逆イールドは必ずしも景気後退を示すものではない、と発言したこともあり、過剰な警戒感は行き過ぎとの見方が株価を支えた。米長期金利は小反発して10年債利回りは2.42%。

ドル円相場は110円70銭に上昇した後60銭を中心に上下動。ユーロ円相場は125円ちょうどに上昇。ただユーロ安ドル高の動きに押されて124円60銭台で引け。ユーロドル相場は1.1270。

水曜日の東京市場のドル円相場は110円60銭台で始まり50銭割れ、ユーロ円相場も124円60銭から20銭に下落、とやや円高に振れた。

日経平均は配当落ちで21,200円台に下落スタートもその後はしっかり。じり高に推移して21,300円台後半で引けた。

夕刻にかけては円安に揺り戻し。ドル円相場は110円60銭を中心に推移、ユーロ円相場は124円70銭に。海外市場に入るとユーロが軟調。

ECBドラギ総裁は、今後も物価見通しに応じて政策方針を調整する、として利上げ時期のさらなる先送りを示唆。また政策を総動員する、と述べた。

ユーロ円相場は124円10銭へ下落、つれてドル円相場も110円30銭に。ユーロドル相場は1.12台半ばで推移した。

米長期金利10年債利回りは2.38%に低下。当局のハト派スタンスから景気警戒が強まり米国株はやや下落した。ただ円高の動きは続かずドル円相場は110円50銭近辺に戻してもみ合い引け。ユーロ円相場は124円30銭近辺。

木曜日の東京市場では、未明から早朝にかけて実施された英国議会のEU離脱を巡る投票の結果を受けてポンドが下落した。

メイ首相は合意案が議会で可決されれば辞任すると表明。自らの進退をかけて賛成を促した。一方、議会は離脱に関する様々な選択肢を探るため8つの議案を採決にかけたがいずれも否決された。

結果として4月12日までに政府案を可決して5月22日に合意のもと離脱するか、否決となり長期延期ないし合意なき離脱となるかの二択に。

また一部新興国で債務懸念が強まってリスク回避が強まり夕刻にかけて円高に振れた。ドル円相場は110円50銭から10銭台に下落してもみ合い。ユーロ円相場は124円30銭から123円70銭に下落。

日経平均は21,000円に大幅安でスタートし、そのままもみ合い引けた。

海外市場に入るとリスク選好が回復して円安方向にゆり戻した。この日から米中通商交渉が再開。早くも進展期待で米国株が上昇。米長期金利は小幅反発して10年債利回りは2.41%。ドルは全般にしっかりとなった。ドル円相場は110円80銭に反発し、その後は60銭近辺でもみ合い引け。

ユーロ円相場は124円20銭中心にもみ合い。ユーロドル相場は1.1230にややユーロ安ドル高に振れ上下動して引けた。

NY連銀のウィリアムズ総裁は、世界経済鈍化の兆しはあるが米経済は非常に良い環境にある、今年または来年にリセッションに陥る可能性は高まっていない、イールドカーブは現時点でリセッションを暗示はしていない、と述べた。

金曜日の東京市場のドル円相場は110円60銭~90銭で上下。ユーロ円相場も124円台前半で上下。日経平均は21,200円台に上昇して寄り付いた後、21,200円を挟んでもみ合い引けた。

海外市場では米国株が大幅高。引き続き米中交渉継続を好感。

発表されたシカゴ購買部協会景気指数(3月)は58.7と前月64.7から低下して予想より弱かったが、ミシガン大学消費者マインド指数(3月)は98.4と予想および前月より強め。

新築住宅販売(2月)も季節調整済み年率換算で667千戸と前月607千戸より強く予想を上回った。

ただ米長期金利は小動きで前日とほぼ同水準。ドル円相場は110円80銭中心にもみ合いそのまま引け。ユーロ円相場は124円中心に上下して30銭~40銭でもみ合い引けた。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

今週は米国で重要な指標の発表が続く。景気後退懸念をさらに払しょくしてリスク選好を維持あるいは強めることとなるか。このところ円相場を左右する株価を支えるか。

月曜日 小売売上高(2月)、ISM製造業景気指数(3月、予想54.5、前月54.2)

火曜日 耐久財受注(2月)

水曜日 ADP雇用報告(3月、前月比雇用者数増減、予想+165千人、前月+183千人)、ISM非製造業景気指数(3月、予想58.7、前月59.7)

金曜日 雇用統計(3月、非農業部門雇用者数・前月比、予想+175千人、前月+20千人、平均時給・前年同月比、予想+3.4%、前月+3.4%)

2.米中閣僚級通商協議

先週に続いて米中閣僚級通商協議が行われる。先週は北京で行われたが、今秋は劉鶴副首相が訪米。すでに合意案の詳細について詰めが行われているとの報道もあるが、何らかの前向きな動きが伝えられるか。市場の期待を保つことができるか。

3.日銀短観月曜日に日銀短観(3月調査)が発表される。今回は前回調査に比べ景況感の悪化が予想されている。グローバルに景気悪化が懸念されるなかでどの程度の悪化となるか。株価に与える影響はどうか。日経平均の下落がリスク選好の後退、リスク回避的な市場のムードを生じ、円高圧力となるか。

一方、米欧で金融政策が慎重さを増し、あるいは緩和サイドに舵切りされるなか、日銀が明確に緩和方針をあらたにするきっかけとなるか、市場の思惑を誘うか。多少の円安につながるか。

◆今週のMRA's Eye


続くリスクオン・オフ相場~鈍る金利への反応

米長期金利の低下にもかかわらずドル円相場は底固い値動きを続けている。年初からの値動きを振り返っても、ドル円相場は年初の急落、一瞬の105円割れを底に、米長期金利が大きく低下するなか、ドル高円安基調を続けてきた。

さすがに、ここにきてFRBが年内利上げ見送りスタンスを明確にするなか上値は重くなったが、米10年債利回りが2.4%を割り込むなかでも110円割れでは底固い。

米10年債利回りとドル円相場の相関は弱まり、米国株の動向、リスクオン・オフ(リスク選好・リスク回避)に応じて上下する展開が続いている。

米長期金利が低下する状況でも、米国株が堅調であればドル円相場は底固い。

米国株が下落しリスク選好が後退、ないしリスク回避が高まる局面では、ドル円相場は下落する。と同時に、ユーロ円相場も同様に上昇・下落する。

米金利主導、ドル主導で上下するのではなく、株価動向、円主導で、ドル円相場およびクロス円相場(ドル以外の通貨の対円相場)が同一方向に上下する展開が続いている。こうした状況はなお続きそうだ。

米長期金利への反応が鈍いのは当然な面がある。3月のFOMCでは、市場の想定以上のハト派スタンスが示された。委員の予想では年内の利上げは12月の2回から年内利上げなしに大きく下方修正された。

ただ来年の利上げが1回残されたことがポイントだ。

市場は早くも利下げを織り込み、米長期金利は低下しているが、年内利上げがなしでも来年の利上げ1回を残したことで、次の一手が利下げと確信させない効果がある。

仮に来年も利上げなしとしていた場合には、利上げは完全に打ち止めとみられ、市場は次の一手が利下げと確信することになっていただろう。米長期金利はさらに低下していた可能性がある。

FRBの次の一手は現時点で利上げでもなく利下げでもなく、まさに様子見。しかもかなりの期間、利上げも利下げも実施しないとみられる。

足元の景気減速、景気下振れリスクに留意しつつ、インフレ率上昇リスクが高まらない限り利上げは見送るとみられる。

すでにバランスシート縮小(市場からの資金吸収)を9月で終了することも決定しており、万一景気がさらに悪化した場合には緩和サイドに舵を切る準備も備えつつある。

市場が先回りして利下げを織り込むのも無理はないが、当局としては、今後は、それは織り込みすぎだ、というシグナルを送り続けるだろう。

短期金利と長期金利の逆転、逆イールドが景気後退を示唆するのではないか、との不安が市場で広がる場面もあった。

この点に関して、FRB当局者からは否定的な発言が続いている。

慎重な「忍耐強い」スタンスへの変更でドル金利先高感が後退したことは、本来景気や金融市場の安定に資する。

しかし市場はむしろその背景にある景気認識の悪化に反応する動きもみられた。そうなるとFRBの意図とは逆の効果が生じてしまう。

当局は、今後も行き過ぎた市場の景気警戒感、リスク回避を抑制するように市場とコミュニケーションしていくことになりそうだ。

FRBの金融政策が様子見となれば金利動向も本来は鈍くなる。

足元では米10年債利回りは低下したが、かといって低下が続くとはみられない。現時点では利上げが打ち止めとなった可能性が高まったまでで、利下げまで織り込む状況にはない。

この間の利上げペースが鈍かったこと、現状の金利水準が過去に比べて低いことからすれば、金利により景気が悪化する可能性は抑制される。

もっぱら外部要因による米国景気の悪化に備えるというスタンスが続きそうだ。

ドル金利の方向感は定まらず、米長期金利は上下しつつも大きく水準を変えることなく、方向感なく上下することになる。結果、米債券利回り、ドル金利動向に対するドル相場の反応は鈍い状況が続きそうだ。

そうしたなかでも、市場はリスク選好・リスク回避どちらのスタンスで臨めばよいのかを探り続けることになる。

金融当局が景気への警戒感を強める状況、実際に景気動向が鈍い状況ではリスク選好が強まるのは難しい。

一方、金融政策が緩和的に舵切りされたこと、財政政策など景気対策が打ち出される方向となりうること、通商面での対立が解消の方向に向かう可能性、など、期待主導でリスク選好が維持される。

ただ政策効果が景気にプラスとして顕在化するのには時間がかかる。とくに中国景気の持ち直しが確認されることがポイントだがまだ先となりそうだ。

米中通商交渉への期待は高まるが、米国は決着を急ぐことはなく時間をかけてでも内容・成果を求めるスタンスのようだ。イギリスのEU離脱問題も選択肢が絞られてきたが、なお不透明であることには変わらない。

リスク選好が不安定な期待感に維持されるだけで、景気実体からは強まる状況にない。

一方でリスク回避も政策効果や政策期待で抑制され、またとくに米国経済がなおも堅調に推移し、金融市場の安定も維持されている。

リスクオン・オフ、リスク選好・リスク回避が強弱し、様々な市場動向を左右するなか、為替市場でもリスクオン・オフに反応しやすい円相場主導で動く状況が続きそうだ。

またいずれのサイドにも大きく振れる可能性が当面は小さいことから、ドル円相場は109円~112円を大きく外れず推移するというのがメインシナリオだ。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :110.86(+0.23)
ユーロ :124.35(+0.19)
英ポンド :144.441(+0.11)
豪ドル :78.667(+0.39)
カナダドル :83.043(+0.70)
スイスフラン :111.398(+0.28)
ブラジルレアル :28.267(▲0.08)
中国人民元 :16.515(+0.11)
韓国ウォン(日本円=100) :9.746(+0.01)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1218(▲0.000)
英ポンド :1.3035(▲0.001)
豪ドル :0.7096(+0.002)
カナダドル :1.3349(▲0.009)
スイスフラン :0.9952(▲0.000)
ブラジルレアル :3.921(+0.019)
中国人民元 :6.7121(▲0.027)
韓国ウォン :1135.18(▲1.61)

【主要国政策金利】
米国 :2.50
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :2.41(+0.01)
米2年債 :2.26(+0.02)
日本10年債利回り :▲0.08(+0.01)
日本2年債利回り :▲0.08(+0.01)
独10年債利回り :▲0.07(▲0.00)
独2年債利回り :▲0.60(▲0.01)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :25,928.68(+211.22)
NASDAQ  :7,729.32(+60.16)
S&P500 :2,834.40(+18.96)
日経平均株価 :21,205.81(+172.05)
ドイツ DAX :11,526.04(+97.88)
インド センセックス :38,672.91(+127.19)
中国上海総合 :3,090.76(+95.82)
ブラジル ボベスパ :95,414.55(+1,025.61)
英国FT250 :19,117.49(+208.90)
ビットコイン :4072.16(+61.40)

【主要商品価格】
WTI :60.14(+0.84)
Brent :68.39(+0.57)
米ガソリン :189.56(+1.57)
米灯油 :197.34(+0.14)

金 :1292.38(+1.96)
銀 :15.12(+0.10)
プラチナ :849.46(+9.96)
パラジウム :1385.20(+38.17)
銅 :6478.00(+106:7B)
アルミニウム :1914.00(+2:14C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :884.25(▲5.25)
シカゴ とうもろこし :356.50(▲17.50)
シカゴ小麦 :457.75(▲6.75)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。

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