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エネルギーは上昇
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年4月23日 第1521号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「エネルギーは上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格はエネルギー価格が上昇したが、その他の商品は地政学的リスクの高まりや、米統計の減速で下落した。原油価格の上昇は米国のイラン制裁再開が特に材料視された。

【本日の価格見通し総括】

原油価格は上昇するが、その他の商品はリスク回避の動きが強まる中でドル高が進行し、軟調な推移となり高安まちまちを予想する。

本日の予定されている材料としては、米新築住宅販売(市場予想前月比▲2.7%の64.9万戸、前月+4.9%の66.7万戸)。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

世界景気は製造業PMIなどを見るに減速を始めている。ただし、中国や利下げの余地がある米国のソフト指標(マインド指標)が期待先行でやや回復しており、株を含むリスク資産価格の押し上げ要因になっているのも事実だ。

ただ、これは急速な減速を回避する効果は期待できるものの、景気を浮揚させるほどの効果は持ち合わせていない。その中で、米国がイランに対する制裁再開を宣言、原油価格が高騰する流れとなっている。

イランに対する制裁は、ベネズエラなどに対する制裁とはレベルが違い、ホルムズ海峡の封鎖や、シーア派・スンニ派の対立、イスラエルとイランの対立、といった宗教・民族の対立を助長するものである。

減産分を補えるかどうか、といった供給量の数字合わせでは十分かもしれないが、その他の影響は小さくない。

問題は、景気が減速する局面で原油価格が高騰した場合、消費国から産油国への所得移転という形で景気にマイナスに作用する点だ。足元、騰勢を強めている株価にもマイナスに作用し、最終的にはリスク資産価格の下落要因となる。

想定されていた材料ではあるが、供給減少を材料とする原油高(好景気にけん引された原油高ではない)が景気の減速を加速させる可能性があることは意識しておきたい。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国の金融緩和・経済対策を受けたPMI・ISMなどのマインド系指標の改善(価格上昇要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、先行きの見通しのリスクも下向き。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因(Q119の中国GDPは前年比+6.4%、前期+6.4%と市場予想の+6.3%を上回りやや減速懸念が後退)。

・景気減速下での原油価格高騰は、消費国から生産国への所得移転を通じて景気の下押し要因に。また、リスク回避のドル高進行も価格上昇を抑制。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の上昇要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気後退など)によるリスク回避の動きの強まり。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク(とりあえず5月末、10月末を期限として問題先送り)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は大幅に上昇。米国がイランに対する制裁再開を宣言、5月1日からイラン産原油の供給が減少するとの見方が強まったことが材料となった。

【原油価格見通し】

原油価格は上昇余地を探る展開になると予想。

米国のイランに対する制裁が宣言通り実施される見通しとなったこと、それに対するイランの報復、ホルムズ海峡封鎖への懸念などが供給リスクを意識させるため。

また、この状況においてもOPECプラスの減産は継続する見込みであるほか、リビアやベネズエラの供給懸念も顕在化し始めていることから。

ただし、景気減速下での原油価格上昇は景気にマイナスであり、消費を減速させるほか、リスク回避のドル高進行予想されるため、上値余地も限定されると考える。

【石炭市場動向総括】

石炭先物市場は横ばい。目立った材料に乏しい中、季節的に端境期にあることから横ばい推移となった。

【石炭価格見通し】

石炭価格は4月以降の下落幅が大きかったことから一旦買戻しが入ると見るが、本格的な上昇は季節性的にも5月以降になるだろう。

その後、8月にかけて高値を試し11月にかけて水準を切り下げる展開を予想。米中貿易協議が難航する見通しであることも価格を押し下げ。下値の目処は80ドル。

ただし、米国の北朝鮮制裁は容易に緩和せず、環境規制強化による供給の伸び鈍化が価格を下支えの見込み。また、中国による豪州炭の輸入規制(華為問題の影響)の影響でインドネシア炭にシフトしていることは逆に、上値を抑えると考えられる(日本が輸入する石炭価格CIFへの影響は中立)。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・OPECプラスの協調減産は9月末で終了する可能性が高まっており、足元の協調減産は価格の上昇要因だが、年後半は下落要因に。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、イスラエルネタニヤフ首相の5選達成による、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に。

・スーダンでのクーデター発生、アルジェリアでのデモ発生など、北アフリカ情勢が不安定化しており、周辺諸国に拡大するリスク。

・米国の制裁緩和による北朝鮮炭の輸出再開による需給緩和(石炭)。

・北朝鮮が新たにICBMの発射実験を検討していると伝えられ、韓国が北朝鮮に対して石油製品の瀬取りを行っていたことが判明、制裁が厳格になるとの見方は、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが616,110枚(前週比 ▲5,656枚)、ショートが100,852枚(▲4,252枚)、ネットロングは515,258枚(▲1,404枚)、Brentが411,833枚(前週比+15,393枚)、ショートが31,968枚(▲6,331枚)、ネットロングは379,865枚(+21,724枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格はイースターのため休場。オープンしていた米国市場は米住宅関連統計の減速で軟調だった。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は下値余地を探る動きになると考える。中国の経済対策や米中統計の改善を織り込んで上昇していたが、再び足元の統計に弱さがみられることから、調整売り圧力が強まるため。

ただし、LME指定倉庫在庫の減少が継続し、記録的な低水準となっていることや(統計上はタイトであるが、LME倉庫運営ルールの変更によって、LME指定倉庫以外の倉庫に移されている可能性もあり、単純に需給がタイト化しているとは言えない)、2020年から次の需要のけん引役として期待されるインドの需要増加観測が価格を下支えすると予想する。

なお、米中貿易交渉の行方などは政治的な決断に左右されるため予見し難いが、着地するまでは基本的には積極的な買い材料にも、売り材料にもし難い。しかし、妥決するまでは懸念材料となるため、価格上昇を抑制。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも高止まり。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・4月12日付のLMEポジションは錫を除くと総じて売り買いともポジションが増加している。亜鉛とアルミはネットロングを増加させたが、それ以外の金属はショートの積み上がりが大きく、ネットロングを縮小した。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は156.4億ドル(前週155.1億ドル)と増加。上昇率は+0.8%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで4,099千トン(前週4,027千トン)と増加、増加率は+1.8%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ市場は小幅上昇、原料炭スワップ先物は横ばい、中国鉄鋼製品価格は直近限月・中心限月価格とも上昇した。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は一旦調整するものと考える。ヴァーレのブルクツ鉱山の稼働の再開が供給懸念を緩和する一方、鉄鋼製品価格が記録的な高値になっていることが価格を需要面で押し上げるため。

しかし、米中協議の先行きがはっきりせず、欧州に対する制裁が再開される可能性があること、最大消費国である中国が昨年と同レベルの生産を継続できる可能性は低いこと、原油価格高騰に伴う消費国経済への悪影響、鉄鋼製品在庫の取り崩し時期にあり、季節的に価格が下押しされるため上値も重くなると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲90.2万トンの1,389万トン(過去5年平均1,371.3万トン)と例年をやや上回っている。

・中国の鉄鉱石在庫水準の高さは価格を下押し。鉄鉱石在庫は前週比▲39万トンの1億4,000万トン(過去5年平均1億1,848万トン)、在庫日数は▲1.0日の35.2日(過去5年平均 29.7日)と例年の水準を上回る。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大し、さらに供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は軟調な推移となった。米長期金利上昇に伴い実質金利が上昇したことが材料となった。ただしドル安が進行したことが支えとなった。

PGMは金銀価格の下落を受けて軟調、さらに株価が調整したことを受けてパラジウムは大きく水準を切下げた。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,950ドル(前日比変わらず)。

【貴金属価格見通し】

金価格はじりじりと水準を切下げる展開を予想。株式市場が現状を楽観して上昇、長期金利も上昇して実質金利が上昇することから。

また、英国のEU離脱問題が先送りされたことや、米中・日米貿易協議でそれほどネガディブな情報がでてきていないことも、安全資産需要を減少させ、価格の下押し要因に。

ただし、米国が利上げを見送る可能性が高いこと、原油価格は供給懸念が意識されてしばらく上昇余地を探りやすいこと(秋口にはいったん下落)から、中期的な見通しは強気。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、欧州の政情不安、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イスラエル・イランを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が現状水準でもみ合うが、終盤のPGMの価格上昇はやや投機的な側面が強いため、対金銀では割安に推移。

プラチナは割安感からETFに買いが入っていたがこの動きが一巡、一転売り圧力が強まっている。貴金属セクターに調整圧力が強まる中ではこのポジションの増加は、先々の売り圧力となる可能性があることは留意。

パラジウムはリースレートが低下して安定、実際の需給面は緩和に向かいつつある。ロジウム価格の調整に象徴されるように、暫くは下値余地を探りやすい。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利上げ打ち止め、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・景気の先行きを楽観した株価上昇とそれに伴う長期金利・実質金利の上昇(金銀価格の下落要因)。ただし、欧州の政情混乱や景況感の悪化で株価が調整した場合には金銀価格の上昇要因。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

・割安感からプラチナのETFに買いが入っており、短期的には上昇要因、中期的には手仕舞い圧力で売り要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の下落要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州の政治混乱(英国のEU離脱、伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化など)による安全資産需要の増加。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが183,213枚(前週比 ▲16,294枚)、ショートが126,940枚(+32,797枚)、ネットロングは56,273枚(▲49,091枚)、銀が76,033枚(▲377枚)、ショートが70,148枚(+10,156枚)、ネットロングは5,885枚(▲10,533枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが46,340枚(前週比 ▲808枚)、ショートが15,229枚(▲75枚)、ネットロングは31,111枚(▲733枚)、パラジウムが12,483枚(▲538枚)、ショートが3,659枚(+129枚)、ネットロングは8,824枚(▲667枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格は軟調な推移となった。米国の作付け状況の改善見通しが材料となった。

【穀物価格見通し】

穀物価格はレンジワークを継続すると考える。米中貿易摩擦でシカゴの需給が緩和している可能性が高いが、エルニーニョの影響による供給懸念(洪水懸念)がショートの買戻しを誘うことが価格を押し上げると考えられるため。

ただし、各国の経済対策の影響から景気循環銘柄に一時的な買戻しが入る可能性はあり、非景気循環銘柄が売られる可能性があること、ブレグジットを意識したリスク回避のドル高進行が価格の上昇を阻害しよう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米穀物生産増産見通しを受けた需給緩和観測。

トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)

大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・4月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ 20億3,500万Bu(市場予想19億8,771万Bu、前回18億3,500万Bu)、大豆 8億9,500万Bu(9億1,182万Bu、9億Bu)小麦 10億8,700万Bu(10億7,500万Bu、10億5,500万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の上昇要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下落要因)。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・再び主要穀物のショートポジションが大きく積み上がっている。これらの巻き戻し(買戻し)圧力が播種の状況によって強まる可能性があることは留意。

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが412,412枚(前週比 +9,090枚)、ショートが566,903枚(+34,343枚)、ネットロングは▲154,491枚(▲25,253枚)、大豆はロングが143,284枚(▲1,824枚)、ショートが200,190枚(+16,439枚)、ネットロングは▲56,906枚(▲18,263枚)、小麦はロングが135,037枚(+1,342枚)、ショートが176,587枚(+16,626枚)、ネットロングは▲41,550枚(▲15,284枚)

◆本日のMRA's Eye


「銅価格は上昇も実態はそれほど強くない可能性」

各国中央銀行の緩和的な姿勢や、中国の5兆元近い経済対策や減税の効果で、株式市場を中心に一時的にリスクオンモードとなっている。LME非鉄金属もこの流れを受けて価格水準を切り上げてきたが、ここにきて上値が重くなってきている。これは、想定しているよりも中国の景況感の改善が遅れ、銅需要が市場の期待ほど強くないことを示唆している。

銅はDr.Copperと呼ばれるように、経済の実態を反映して価格が決まりやすい。ここまでの価格上昇は、英国のEU離脱がとりあえず5月末・10月末まで先送りされ、「目先の」景気先行きへの過剰な懸念が後退していること、米中貿易交渉進捗への期待といった需要面に加えて、Chuquicamata鉱山やGrasberg鉱山の露天掘りか坑内堀りへの移行による供給減少、インドVedantaのTuticorin精錬所の環境問題による減産が供給面で材料視されたことによるものだ。

これに加えて、中国は環境問題からスクラップ規制を強化しており、中国のスクラップ輸入は大幅に落ち込み、精錬銅需要を高めていることも需要面で価格を押し上げている。

FRBが当面金融政策を変更しない方針を示したことも、市場参加者のリスクテイク意欲を回復させ、価格を押し上げている。

中国政府も不動産市場の規制緩和や、シャドーバンキング規制の緩和による中堅中小企業の経営環境悪化に歯止めをかけようとするなど、価格が上昇する材料が非常に目立っている。

しかし、これだけの対策を打っても中国の精錬銅輸入は低迷しており、中国の国内在庫も昨年の水準を上回り、積み上がりが顕著だ。このことはこれらの一連の対策にも拘わらず在庫が積み上がっている、ということは想定よりも中国の需要は強くないことを示唆している。

実際、現物需給の指標である現物プレミアムも上海で低下基調となっており、LME本体価格の上昇に見られるほど、中国の需要は強くない可能性が高い。

今後、米中貿易交渉が妥結する、中国が想定している経済対策や公共投資が実施されれば価格が上昇することもあるだろうが、当面銅価格は現在の6,500ドル近辺でのもみ合いになる可能性が高いと予想される。

◆主要ニュース


・3月日本コンビニエンスストア売上高 前年比±0.0%(前月+2.0%)

・3月シカゴ連銀製造業活動 ▲0.15(前月 ▲0.31)

・3月米中古住宅販売仮契約 前月比▲4.9%の521万戸(前月+11.2%の548万戸)

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・イラン革命防衛隊、「海峡の利用を妨げられるなら封鎖する。」

・米トランプ政権、イラン原油禁輸の適用除外を終了。

【メタル】
・特になし。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +3.50%/ +1.31%
2.ICE Brent ( エネルギー )/ +3.21%/ +38.07%
3.TCMガソリン ( エネルギー )/ +2.95%/ +37.43%
4.NYM RBOB ( エネルギー )/ +2.78%/ +60.90%
5.DME Oman ( エネルギー )/ +2.70%/ +37.71%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲3.60%/ ▲2.68%
67.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲2.35%/ +10.29%
66.中国CSI300 ( 株式 )/ ▲2.31%/ +33.71%
65.CBT小麦 ( 穀物 )/ ▲1.91%/ ▲13.41%
64.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ ▲1.72%/ +4.24%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,511.05(▲48.49)
S&P500 :2,907.97(+2.94)
日経平均株価 :22,217.90(+17.34)
ドル円 :111.94(+0.02)
ユーロ円 :126.01(+0.16)
米10年債利回り :2.59(+0.03)
独10年債利回り :0.03(±0.0)
日10年債利回り :▲0.03(▲0.00)
中国10年債利回り :3.41(+0.04)
ビットコイン :5,365.88(+95.91)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :20.83(+0.16)
エネルギー :26.67(▲0.01)
ベースメタル :15.61(+0.35)
貴金属 :21.32(+0.37)
穀物 :14.92(▲0.35)
その他農畜産品 :22.95(+0.31)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :19.41(▲0)
Brent :12.93(▲0.69)
米天然ガス :21.45(+1.2)
米ガソリン :22.32(+0.37)
ICEガスオイル :14.42(▲0.95)
LME銅 :14.31(+0.27)
LMEアルミニウム :12.86(▲1.11)
金 :11.37(▲0.19)
プラチナ :21.43(+0.54)
トウモロコシ :19.69(▲0.7)
大豆 :11.37(▲0.19)

【エネルギー】
WTI :65.70(+1.70)
Brent :74.28(+2.31)
Oman :73.69(+1.94)
米ガソリン :212.98(+5.76)
米灯油 :210.40(+3.31)
ICEガスオイル :645.25(+9.75)
米天然ガス :2.52(+0.03)
英天然ガス :34.41(±0.0)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :74.28(+2.31)
SPO380cst :428.48(+8.81)
SPOケロシン :84.81(+1.41)
SPOガスオイル :84.53(+1.20)
ICE ガスオイル :86.61(+1.31)
NYMEX灯油 :210.82(+1.46)

【貴金属】
金 :1274.99(▲0.53)
銀 :15.01(▲0.02)
プラチナ :898.26(▲4.78)
パラジウム :1391.59(▲33.56)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :休場( - )
亜鉛 :休場( - )
鉛 :休場( - )
アルミニウム :休場( - )
ニッケル :休場( - )
錫 :休場( - )
コバルト :35,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :休場( - )
亜鉛 :休場( - )
鉛 :休場( - )
アルミニウム :休場( - )
ニッケル :休場( - )
錫 :休場( - )
バルチック海運指数 :790.00(+23.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :92.83(+0.28)
NYMEX鉄鉱石 :93.2(+0.29)
NYMEX原料炭スワップ先物 :204(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :4,156(+48)
上海鉄筋中心限月 :3,783(+70)
米鉄スクラップ :350(+8.00)

【農産物】
大豆 :877.00(▲3.50)
シカゴ大豆ミール :302.50(▲0.70)
シカゴ大豆油 :28.70(▲0.10)
マレーシア パーム油 :2090.00(▲18.00)
シカゴ とうもろこし :354.75(▲3.75)
シカゴ小麦 :435.75(▲8.50)
シンガポールゴム :172.20(+1.10)
上海ゴム :11300.00(+75.00)
砂糖 :12.54(▲0.22)
アラビカ :91.10(+0.90)
ロブスタ :1389.00(±0.0)
綿花 :77.19(▲0.12)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :89.03(▲1.18)
シカゴ生牛 :128.50(▲0.03)
シカゴ飼育牛 :150.80(+5.10)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。