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景気循環系商品売られる
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年4月16日 第1518号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「景気循環系商品売られる」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は非景気循環系、非金利系商品が物色され、景気循環系商品が売られる流れとなった。目立った手がかり材料に乏しい中、ゴールドマン・サックスの決算を受けた株価の下落が、市場参加者のリスクテイク意欲を後退させたことが背景。

【本日の価格見通し総括】

足元の米中経済統計に改善傾向がみられることや、世界的な金融緩和の動きが価格を押し上げているが、継続すると予想されていたOPECプラスの減産継続に不透明感が強まってきたことが価格を押し下げるため、引き続き現状水準でのもみ合いを予想。

本日も主要企業の決算が予定されているため、決算動向を受けた株価動向にも注目したい。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

市場は目立った材料が出てきていない。英国のEU離脱問題が一旦先送りされ、米中貿易交渉も目立った進捗は聞かれておらず、景気が減速する中での経済対策や金融緩和策を受けて、景気自体も一旦踊り場入りしているためだ。

しかし、原油をめぐる市場環境にはやや変化の兆しがみられる。盤石と、特に投資家の観点で市場が一方的に期待していたOPECプラスの協調減産が継続しない可能性が出てきたためだ。

ロシアのシルアノフ財務相は、7月以降の増産の可能性について言及している。以前、このコラムでも指摘したがロシアの想定原油価格は45ドル程度であり、現在の水準はこれを上回っており、増産のメリットがある。

また、同時にイランとベネズエラに対する制裁や、リビア、スーダンの供給減少観測といったプラスアルファの材料が出始めているためロシアが減産したとしても下落余地は限定されるだろう、との読みもあるものと考えられる

秋口以降は米国の減税効果の剥落や、英国の再度の無秩序離脱のリスクが意識され、リスク回避姿勢が強まるといったような景気の減速感が強まる可能性が高い。

その中でいったん、原油を含む景気循環系商品は軟調な推移になると予想される。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】
(マクロ要因)

・各国の金融緩和・経済対策を受けたPMI・ISMなどのマインド系指標の改善(価格上昇要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.5%→+3.3%)ており、先行きの見通しのリスクも下向きとしている。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因。

・FRBの利上げ打ち止め~利下げ観測の強まりは、ドル安を通じてドル建て資産価格の上昇要因。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の上昇要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・欧州の政治混乱(伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化、トルコの景気後退など)によるリスク回避の動きの強まり。

・英国のEU離脱が無秩序なものになるリスク(とりあえず10月末まで先送り)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は下落した。ロシア シルアノフ財務相が7月以降の減産に否定的な見方を示したことで、景気減速下での減産が終了ないしはその規模が縮小されるとの見方が強まったことが、価格を下押しした。

ただし、イラン・ベネズエラ、リビア、スーダンの情勢悪化による供給不安、ニューヨーク連銀景況観指数の改善が価格を下支えした。

【原油価格見通し】

原油価格は現状の高値水準でもみ合う展開を予想。

足元の景気先行きへの懸念後退に加え、供給面での不安材料が多数噴出していることが背景。

米国の制裁によるイラン・ベネズエラからの供給不安、リビアの内戦激化に伴う供給不安、ネタニヤフ5選による周辺産油国との武力衝突への懸念、スーダンでのクーデター発生などの供給不安が高まるが、ロシアが減産継続に否定的な見方を示したことが供給面の材料を中立にしている。

その一方で、景気減速を回避するべく経済対策や金融緩和が世界的に行われていることで、景況感も中立に保たれているため。

【石炭市場動向総括】

石炭価格は続伸。中国政府による豪州炭輸入規制の影響はあるものの、中国の景気先行き懸念が若干後退したこともあり、不需要期ではあるが価格には緩やかな上昇圧力が掛かっている。

【石炭価格見通し】

石炭価格は4月以降の下落幅が大きかったことから一旦買戻しが入ると見るが、本格的な上昇は季節性的にも5月以降になるだろう。

その後、8月にかけて高値を試し11月にかけて水準を切り下げる展開を予想。米中貿易協議が難航する見通しであることも価格を押し下げ。下値の目処は80ドル。

ただし、米国の北朝鮮制裁は容易に緩和せず、環境規制強化による供給の伸び鈍化が価格を下支えの見込み。また、中国による豪州炭の輸入規制(華為問題の影響)の影響でインドネシア炭にシフトしていることは逆に、上値を抑えると考えられる。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・OPECプラスの協調減産は9月末で終了する可能性が高まっており、足元の協調減産は価格の上昇要因だが、年後半は下落要因に。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラ・リビアの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。

・米国のイスラエルへの過剰な肩入れと、イスラエルネタニヤフ首相の5選達成による、周辺産油国への武力行使の可能性が高まることは原油価格の上昇要因に。

・スーダンでのクーデター発生、アルジェリアでのデモ発生など、北アフリカ情勢が不安定化しており、周辺諸国に拡大するリスク。

・米国の制裁緩和による北朝鮮炭の輸出再開による需給緩和(石炭)。

・北朝鮮が新たにICBMの発射実験を検討していると伝えられ、韓国が北朝鮮に対して石油製品の瀬取りを行っていたことが判明、制裁が厳格になるとの見方は、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限(石炭)。

・米中情報戦争をめぐる華為排除の決定を受けて中国政府は豪州からの石炭輸入を規制、インドネシア炭にシフトしていることはNEWC価格の下落要因に(石炭CIF価格に対する影響は中立)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが621,766枚(前週比 +31,454枚)、ショートが105,104枚(▲3,847枚)、ネットロングは516,662枚(+35,301枚)、Brentが396,440枚(前週比+1,230枚)、ショートが38,299枚(▲8,251枚)、ネットロングは358,141枚(+9,481枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は下落。目立った新規材料に乏しい中、ゴールドマン・サックスの決算を受けた株価の下落を受け、リスク回避的にドル高が進行したことが価格を下押しした。

ただし、ニューヨーク連銀指数の改善を受けて引けにかけては下げ幅を削った。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は足元、米中の経済統計が改善していることや、世界的に金融緩和や経済対策(特に最大消費国である中国の経済対策)が打たれていることが価格を下支えするため、堅調な推移になると考える。

LME指定倉庫在庫の減少が継続し、記録的な低水準となっていることや(統計上はタイトであるが、LME倉庫運営ルールの変更によるものである可能性もあり、単純に需給がタイト化しているとは言えない)、2020年から次の需要のけん引役として期待されるインドの需要増加観測が価格を下支え。

なお、米中貿易交渉の行方などは政治的な決断に左右されるため予見し難いが、着地するまでは基本的には積極的な買い材料にも、売り材料にもし難い。しかし、妥決するまでは懸念材料となるため、価格上昇を抑制。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・亜鉛の精錬キャパシティ不足に伴う需給のタイト化。一方鉱山生産は再開しており、亜鉛精鉱需給は緩和、TCも大幅に上昇。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、露天掘りから地下生産に変更するインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

・LME指定倉庫在庫の減少が、LMEの倉庫運営ルール変更に伴う保管場所変更の取引の影響である場合、ルールが見直された際に再度、LME指定倉庫在庫が急増する可能性(下落要因)。

(投機・投資要因)

・4月5日付のLMEポジションはまちまち。銅は一転、ロング・ショートともに減少したが先週増加したロングの手仕舞いが顕著で、ネットロングは減少。亜鉛も同様。

アルミは一転、ロング・ショートとも増加したが、ショートの増加が顕著でショートは減少。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は155.1億ドル(前週162.0億ドル)と減少。上昇率は▲4.2%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで4,027千トン(前週4,181千トン)と減少、増加率は▲3.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は高安まちまち、原料炭スワップ先物は上昇、中国鉄鋼製品価格は中心限月価格が上昇した。

中国政府による経済対策の実施を受けて、鉄鋼製品価格の上昇が続いていることが鉄鉱石価格を押し上げている。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏での推移になると考える。ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響や豪州の供給減少懸念、足元の中国関連統計が改善していること、過去5年の水準をはるかに上回る鉄鋼製品価格を背景とする鉄鋼生産者のマージン改善が、鉄鉱石需要を押し上げるため。一時的に100ドルを目指す動きになると予想。

しかし、米中協議の先行きがはっきりせず、欧州に対する制裁が再開される可能性があること、最大消費国である中国が昨年と同レベルの生産を継続できる可能性は低いこと、鉄鋼製品在庫の取り崩し時期にあり、季節的に価格が下押しされるため上値も重くなると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲87.0万トンの1,479.3万トン(過去5年平均1,425.5万トン)と例年を大きく上回る。

・中国の鉄鉱石在庫水準の高さは価格を下押し。鉄鉱石在庫は前週比+13万トンの1億4,890万トン(過去5年平均1億1,902万トン)、在庫日数は▲0.9日の37.5日(過去5年平均 29.9日)と例年の水準を上回る。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

・長期的には2020年に人口ボーナス期入りするインドの需要が鉄鋼製品・鉄鉱石価格を押し上げ。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大、現在稼働停止命令が出ている3鉱山の合計8,280万トン以上の供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因に。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金・銀価格は軟調な推移となった。原油価格の下落を受けた期待インフレ率の低下で実質金利が上昇したことが背景。また、ドル高がじりじりと進行したことも価格を下押しした。

PGMは金銀価格の下落と株価の下落を受けて水準を切下げた。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は2,980ドル(前日比変わらず)と低下基調にある。

【貴金属価格見通し】

金価格は現状水準でもみ合いになると予想。英国のEU離脱問題が先送りされたことで、とりあえず安全資産需要が減少すると予想されることが価格を下押しするが、世界的な金融緩和観測と原油価格の上昇を受け、実質金利に低下圧力がかかると考えられるため。

ただし、原油価格はロシアが減産に協力しなくなる可能性がでてきており、現在の高値圏から若干調整する可能性が出てきた。そうでなくとも景気の減速で年後半に一旦下落する見通しであり、ベース価格の上昇余地は限定。

銀価格は金銀在庫レシオ(銀在庫÷金在庫)の上昇が金銀レシオを押し上げているため対金で割安に推移。

一方、欧州の政情不安、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イスラエル・イランを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が現状水準でもみ合うが、終盤のPGMの価格上昇はやや投機的な側面が強いため、対金銀では割安に推移。

プラチナは割安感からETFに強烈な買いが入っており、この5年の最高水準まで残高が積み上がっている。当面はこのトレンドが続こうが、先々の売り圧力となる可能性があることは留意。

パラジウムはリースレートが10%を割り込み、実際の需給面は緩和に向かいつつある。ロジウム価格の調整もあって、暫くは下値余地を探りやすい。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利上げ打ち止め、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、金銀価格の上昇要因に(逆に欧州の政情混乱や景況感の悪化でユーロ安・ドル高となった場合には金銀価格の下落要因)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

・割安感からプラチナのETFに買いが入っており、短期的には上昇要因、中期的には手仕舞い圧力で売り要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の下落要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州の政治混乱(英国のEU離脱、伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化など)による安全資産需要の増加。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが199,507枚(前週比 +5,723枚)、ショートが94,143枚(▲5,085枚)、ネットロングは105,364枚(+10,808枚)、銀が76,410枚(▲2,583枚)、ショートが59,992枚(▲2,218枚)、ネットロングは16,418枚(▲365枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが47,148枚(前週比 +5,684枚)、ショートが15,304枚(▲2,805枚)、ネットロングは31,844枚(+8,489枚)、パラジウムが13,021枚(▲899枚)、ショートが3,530枚(▲311枚)、ネットロングは9,491枚(▲588枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格はトウモロコシ・大豆が上昇、小麦が下落した。トウモロコシ・大豆は播種の遅れが買い材料に、小麦は逆に降雨が収穫量の増加期待を高め、下落要因となった。

【穀物価格見通し】

穀物価格はレンジワークを継続すると考える。米中貿易摩擦でシカゴの需給が緩和している可能性が高いが、エルニーニョの影響による供給懸念(洪水懸念)がショートの買戻しを誘うことが価格を押し上げると考えられるため。

ただし、各国の経済対策の影響から景気循環銘柄に一時的な買戻しが入る可能性はあり、非景気循環銘柄が売られる可能性があること、ブレグジットを意識したリスク回避のドル高進行が価格の上昇を阻害しよう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米穀物生産増産見通しを受けた需給緩和観測。

トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)

大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・4月の米需給報告の在庫見通し

トウモロコシ 20億3,500万Bu(市場予想19億8,771万Bu、前回18億3,500万Bu)、大豆 8億9,500万Bu(9億1,182万Bu、9億Bu)小麦 10億8,700万Bu(10億7,500万Bu、10億5,500万Bu)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の上昇要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下落要因)。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが403,322枚(前週比 +3,343枚)、ショートが532,560枚(+27,470枚)、ネットロングは▲129,238枚(▲24,127枚)、大豆はロングが145,108枚(+344枚)、ショートが183,751枚(▲5,053枚)、ネットロングは▲38,643枚(+5,397枚)、小麦はロングが133,695枚(▲1,946枚)、ショートが159,961枚(▲3,084枚)、ネットロングは▲26,266枚(+1,138枚)

◆本日のMRA's Eye


「豚肉価格は急騰」

昨年夏から始まった中国の豚コレラ禍が終息していない。この結果、シカゴの豚肉先物価格はこのコラムで指摘した通り高騰し、農畜産品セクターの中では2019年、最も上昇している商品で原稿執筆時点では+47.7%の上昇率となっている。

中国の豚肉価格は昨年夏以降、水準を切り下げて今年3月には18.59元/キログラムの安値を付けていたがここにきて急速に上昇し、足元の価格は21.03元/キログラムとなっている。

価格下落はコレラの被害拡大の前に屠畜を行うため豚肉の供給量が増加することによるものだが、価格の上昇は逆に豚の屠畜が一巡すると豚肉供給が減少するため、供給面で需給がひっ迫することによるもの。

中国において豚肉は非常に重要な肉類であり、この価格の上昇や不安定化は消費者物価の上昇に伴う金融政策への影響や、人民の共産党への不満を高めることになるため、中国にとっては無視できないリスクである。

しかし、豚コレラが終息していない以上、国内生産を増加させることは難しい。豚が生まれてから出荷まで6ヵ月程度かかることを考えると、海外からの輸入を増加させる必要があることは必定であり、現在貿易交渉を行っている米国からの輸入が増加することは確実だろう。

中国は米国から豚の輸入量増加と大豆の輸入量増加を提案したようだが、豚肉は上述の通り豚コレラの影響で不足していることから中国側の事情で輸入増加が必要だ。

また、大豆に関しては豚コレラ発生から輸入が大幅に減少しているため、季節性の影響もあるが大豆在庫水準は497万トンと同じ時期の過去最低となっている。

そのため、輸入の必要性が高まったためと考えられ、こちらも中国側の事情によるものといえる。

米国は当然このことを理解しているため、恒久的な輸入の増加に繋がらなければ、安直に貿易交渉に合意をすることはないのではないか。

話を戻そう。このように中国の情勢が豚肉市場に大きな影響を及ぼしているのは事実である。先日発表された米農務省の家畜レポートでは、世界の豚肉生産は前年比▲458万7,000トンとなる1億849万4,000トンと減少見込みが示された。

主に、最大生産国である中国の生産が▲554万トンの4,850万トンとなる見通しであることによる。

ただし、世界全体で見た場合でも中国の減産を相殺しきれないものの、消費量も供給減少に伴う他の肉類へのシフトから、前年比▲423万6,000トンの1億823万6,000トンとなる見込みであり、計算上の需給はまだバランス(やや供給過剰)すると見られる。

結果、上述の供給不安があったとしてもまだ極端な上昇にはならないと予想される。

国内への輸入価格の上昇リスクは、今のところ顕在化しないのではないかとみている。それは、日本では差額関税制度が適用されているため、輸入豚肉価格が安定しているためだ。

差額関税制度とは、輸入豚肉の価格と政策で設定された一定水準の価格との差額を税額とする制度で、基準価格は546.53円/キログラム、分岐点価格が524円/キログラムに設定されており、分岐点価格を下回ったものに関しては輸入価格と基準価格の差が関税として徴収され、分岐点価格を超えたものに関しては4.3%の関税が適用される。

輸入業者は安い肉と高い肉を組み合わせで購入するため、1971年以降から50年近くが経過しているが、結果的に輸入豚肉の輸入申告価格は、分岐点価格の524円/キログラムからほとんど変動していない。

豚コレラの被害はあるものの、今後も輸入価格は損益分岐点価格程度での推移が続くことが予想される。

しかし、トランプ大統領が日本の牛肉の輸入に加えて、豚肉の輸入制度に関しても不満を表明しているため、近々始まる日米貿易協議でこの問題が取り上げられ、関税撤廃を要求される可能性も否定できない。

関税が撤廃されれば海外の安価な豚肉が流入するため、国内畜産農家にとっては非常に厳しい交渉になるのではないだろうか。

一方、国内生産は輸入品と異なり価格が生産コストを反映して可変であるため、足元、国内でも豚コレラの被害が確認されていることを考えると、国産豚肉には上昇圧力が掛かる展開が予想される。

なお、中国で拡大しているアフリカ豚コレラと、国内で確認されている豚コレラは別物であり、農林水産省消費・安全局動物衛生課の報告では4月15日時点でまだアフリカ豚コレラは日本では確認されていない。

◆主要ニュース


・3月インド卸売物価指数 前年比+3.18%(前月+2.93%)

・4月ニューヨーク連銀製造業景況感指数 10.1 (前月3.7)
 新規受注 7.5(3.0)
 受注残 ▲0.7(2.2)
 在庫水準 8.4(0.0)
 雇用者数 11.9(13.8)
 6ヵ月先景況指数 12.4(29.6)

・3月インド貿易収支 ▲108億9,000万ドルの赤字(前月▲95億9,540万ドルの赤字)
 輸出 前年比+11.0%(+2.4%)、輸入 +1.4%(▲5.4%)

・米トランプ大統領、「金融政策が適切なら、GDP伸び率は4%を優に超えていた。量的引き締めは破壊的。逆のことをするべきだ。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・リビア内戦で約150名が死亡。

・ロシア シルアノフ財務相、「シェア争いで米国に対抗するため、原油の増産を決定する可能性がある。その場合原油価格は40ドルに下落する可能性がある。」

【メタル】
・グレンコア コンゴユニット、コバルトの出荷再開。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME豚赤身肉 ( 畜産品 )/ +13.59%/ +47.72%
2.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ +3.04%/ +4.79%
3.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +2.95%/ ▲12.23%
4.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ +1.66%/ ▲6.37%
5.日経平均 ( 株式 )/ +1.37%/ +10.76%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲6.31%/ ▲40.90%
67.SHF 銀 ( 貴金属 )/ ▲3.64%/ ▲3.54%
66.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.63%/ ▲11.90%
65.NYB綿花 ( その他農産品 )/ ▲2.07%/ +5.94%
64.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲1.24%/ +51.98%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,384.77(▲27.53)
S&P500 :2,905.58(▲1.83)
日経平均株価 :22,169.11(+298.55)
ドル円 :112.04(+0.02)
ユーロ円 :126.64(+0.07)
米10年債利回り :2.55(▲0.01)
独10年債利回り :0.06(+0.00)
日10年債利回り :▲0.03(+0.03)
中国10年債利回り :3.37(+0.02)
ビットコイン :5,019.35(▲23.19)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :20.39(+0.65)
エネルギー :27.01(▲0.03)
ベースメタル :15.36(▲0.05)
貴金属 :20.82(▲0.21)
穀物 :14.57(+0.16)
その他農畜産品 :22.09(+1.71)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :19.30(+0.2)
Brent :13.88(+0.18)
米天然ガス :21.53(▲0.97)
米ガソリン :22.02(+0.5)
ICEガスオイル :15.94(▲0.05)
LME銅 :13.79(▲0.6)
LMEアルミニウム :15.59(▲0.19)
金 :10.36(+0.06)
プラチナ :21.64(+0.13)
トウモロコシ :20.15(+0.09)
大豆 :10.36(+0.06)

【エネルギー】
WTI :63.40(▲0.49)
Brent :71.30(▲0.25)
Oman :70.36(▲0.26)
米ガソリン :201.18(▲2.52)
米灯油 :206.10(▲0.97)
ICEガスオイル :632.00(▲1.00)
米天然ガス :2.59(▲0.07)
英天然ガス :36.09(▲2.43)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :71.30(▲0.25)
SPO380cst :418.63(▲6.58)
SPOケロシン :82.93(▲0.34)
SPOガスオイル :83.18(▲0.42)
ICE ガスオイル :84.83(▲0.13)
NYMEX灯油 :206.54(▲0.18)

【貴金属】
金 :1287.89(▲2.54)
銀 :15.00(+0.03)
プラチナ :887.90(▲3.37)
パラジウム :1364.51(▲9.87)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,475(▲40:19C)
亜鉛 :2,900(▲10:100.5B)
鉛 :1,949(+23:17C)
アルミニウム :1,860(▲5:16.5C)
ニッケル :12,945(▲85:90C)
錫 :20,655(▲70:100B)
コバルト :35,000(+500)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6490.00(▲15.50)
亜鉛 :2897.00(▲28.50)
鉛 :1951.00(+19.00)
アルミニウム :1863.00(▲1.00)
ニッケル :13000.00(▲20.00)
錫 :20620.00(▲85.00)
バルチック海運指数 :726.00(▲2.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :94.65(▲0.01)
NYMEX鉄鉱石 :93.97(+0.18)
NYMEX原料炭スワップ先物 :203(+1.00)
上海鉄筋直近限月 :4,120(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,821(+44)
米鉄スクラップ :345(▲2.00)

【農産物】
大豆 :898.75(+3.50)
シカゴ大豆ミール :311.00(+3.10)
シカゴ大豆油 :28.81(▲0.14)
マレーシア パーム油 :2100.00(+62.00)
シカゴ とうもろこし :362.75(+1.75)
シカゴ小麦 :459.50(▲5.00)
シンガポールゴム :173.30(▲0.90)
上海ゴム :11280.00(±0.0)
砂糖 :12.66(▲0.11)
アラビカ :91.40(+1.00)
ロブスタ :1410.00(+23.00)
綿花 :76.49(▲1.62)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :90.08(+10.78)
シカゴ生牛 :126.30(▲0.25)
シカゴ飼育牛 :145.68(+0.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。