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強弱材料混在で高安まちまち
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年4月4日 第1510号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「強弱材料混在で高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は昨日上昇したエネルギーセクターが米石油統計を受けて下落、一方で前日に下落した非鉄金属セクターなどに買戻しが入って上昇した。

中国の経済統計改善、米国の経済統計悪化など、材料は強弱まちまちだったが、米中貿易交渉や英国のEU離脱を巡る混乱などの政治要因が読み切れず、基本はポジション調整取引が中心だったとみられる。

【本日の価格見通し総括】

本日は米雇用統計発表前の統計の狭間で、引き続きポジション調整取引が主体になると考えられ、方向感に欠ける展開になると予想する。

市場の注目は米中貿易交渉と、期限が来週に迫っている英国のEU離脱を巡る協議だが、今日時点で何か有意義な結論が出るとは考え難い。ただ、市場はカネ余りを背景に、「協議をしていることを買い材料」にする傾向が強いため、総じて堅調な推移になるのではないか。

【昨日の世界経済・市場動向のトピックス】

英国のEU離脱を巡る交渉は混迷の度合いを深めている。ここまでの議論の状況を見るに、保守党は英国から「無秩序な離脱」を望んでいるようにしか見えない。

その中で、メイ首相は野党労働党に歩み寄る方法を選択した。労働党はEU残留ないしはソフトなEUからの離脱を標榜しているため、労働党との共闘は趣旨替えを意味し、保守党内からの反発は強かろう。

これはメイ首相が、「EUとの合意案を妥決しなければ、EU残留ないしは長期延期を支持する労働党と組みますよ」というある意味脅しともとれる。言葉を変えるともうこれしか選択肢がなくなった、ともいえる。

仮に無秩序離脱となった場合、リーマンショックのようにリスク資産価格に下落圧力がかかる展開がメインシナリオとして想定される。

しかし、リーマンショックの反省から信用緩和は行われると見られ、直後の混乱が回避され、逆に材料出尽くしとして価格が上昇する可能性もあり得る。しかしその場合でも、欧州景気減速の可能性が高いため、最終的に価格は下落に転じるだろう。

問題は、いくらリーマンショックで学んだといっても、1.あの時の中国のように世界の景気をけん引できる国が存在しない(インドはまだそんな存在ではない)、2.世界的に金融緩和余地は限られる、3.財政的なゆとりもそれほどない、ことからやはりマイナスの影響を完全に回避するのは困難だろう。

引き続き、英国のEU離脱は価格を大きく変動させることになるだろう。

【景気循環銘柄共通の価格変動要因整理】

(マクロ要因)

・各国の金融緩和・経済対策を受けたPMI・ISMなどのマインド系指標の改善(価格上昇要因)。

・世界景気の減速観測。IMFは2019年の経済見通しを引き下げ(+3.7%→+3.5%)。EUもユーロの見通しを+1.9%→+1.3%、OECDも世界景気見通しを+3.5%→+3.3%に引き下げ。需要の伸び減速で価格の下落要因。

・景気減速を受けた、各国政府・中銀の財政政策・金融緩和は価格の上昇要因。

・FRBの利上げ打ち止め~利下げ観測の強まりは、ドル安を通じてドル建て資産価格の上昇要因。

・2020年からインドが人口ボーナス期入りすることによる、構造的な需要の増加は中長期的な価格の上昇要因。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の上昇要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み。

・欧州の政治混乱(英国のEU離脱、伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化など)によるリスク回避の動きの強まり。特に英国のEU離脱が無秩序なものになる可能性は高まっている。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まる場合。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油市場動向総括】

原油価格は上昇後下落した。中国財新製造業PMIの改善や米中貿易交渉への期待、英EU離脱への楽観、ベネズエラ、イランの供給懸念で上昇していたものの、米石油統計での原油在庫増加や、米ISM非製造業指数の鈍化が売り材料となった。

この上昇でWTIはチャート上の抵抗線(200日移動平均線)を上抜けたが、昨日の下落では下値を固める動きとなった。

【原油価格見通し】

原油価格は現状の高値水準でもみ合う展開を予想。

世界的に経済統計の減速が強まっていることを受けた各国の経済対策が、一時的に需要を押し上げると考えられること、マインド系の統計の改善、OPECプラスの減産継続、イラン・ベネズエラからの供給減少懸念(一部は既に顕在化)、金融緩和などが価格を押し上げ。

一方、季節的に不需要期に突入していることや、英国のEU離脱への懸念、米中貿易交渉の難航が価格を押し下げ。

【石炭市場動向総括】

石炭価格は限月交代に伴う「窓埋め」と季節的な需要減速が材料となり、現在の限界生産コストとみられる80ドルを目指す展開となった。

【石炭価格見通し】

石炭価格は当面季節性通り下落。5月から8月にかけて再び上昇、11月にかけて水準を切り下げる展開を予想。米中貿易協議が難航する見通しであることも価格を押し下げ。下値の目処は80ドルだが、昨日の下落でこの水準を下回っている。。

ただし、米国の北朝鮮制裁は容易に緩和せず、環境規制強化による供給の伸び鈍化が価格を下支えの見込み。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・原油価格の上昇に伴う北米の増産継続は、需給緩和で価格の下落要因。

・OPECプラスの協調減産は9月末で終了する可能性が高まっており、足元の協調減産は価格の上昇要因だが、年後半は下落要因に。

・産油国の財政悪化による上流投資部門投資の減速は、インドなどの新興国需要顕在化時の価格上昇要因。

・EV普及による需要の伸び鈍化を、軽量化目的の樹脂向け需要増加が相殺(需要が減少を始めるのは2050年頃からか)。

・世界的な石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。価格上昇要因(石炭)。

(特殊要因)

・米国のイランに対する制裁強化・ベネズエラの情勢悪化に伴う供給途絶懸念は価格の上昇要因。米国のイスラエルへの過剰な肩入れは中東のパワーバランス変化を通じて供給途絶リスクを高めることに。

・米国の制裁緩和による北朝鮮炭の輸出再開による需給緩和(石炭)。

・北朝鮮が新たにICBMの発射実験を検討していると伝えられ、韓国が北朝鮮に対して石油製品の瀬取りを行っていたことが判明、制裁が厳格になるとの見方は、北朝鮮からの石炭輸出(密輸)を制限。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは、WTIはロングが560,552枚(前週比 +25,989枚)、ショートが111,933枚(▲7,884枚)、ネットロングは448,619枚(+33,873枚)、Brentが376,125枚(前週比+12,776枚)、ショートが54,090枚(▲653枚)、ネットロングは322,035枚(+13,429枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属市場動向総括】

LME非鉄金属価格は上昇。断続的にドル安が進行したことや、中国財新製造業PMIの改善、米中貿易交渉進捗への楽観、英国のEU離脱を巡る議論が進捗するのではとの期待が価格を押し上げた。

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は米欧中の経済統計の悪化がベース価格を下押しするが、それを受けた金融緩和や経済対策(特に最大消費国である中国の経済対策)期待が価格を下支えするため、レンジワークを継続すると予想。

LME指定倉庫在庫の減少が継続し、記録的な低水準となっていることや、2020年から次の需要のけん引役として期待されるインドの需要増加観測が価格を下支え。

英国のEU離脱が無秩序なものになる可能性が高まっていることは、価格の下落要因として強く意識される見込み。

固有商品になるが、足元、亜鉛の価格が高止まりしている。これは精錬所のキャパシティの問題で、亜鉛精鉱の需給は緩和している。

既にTCは270~305ドル(精錬費 亜鉛精鉱需給が緩和すると上昇する)まで上昇している。ちなみに1年前は15~35ドルだった。

すでに中国外の鉱山生産が始まっており(ガンスブルク、ドゥガルドリバー、センチュリー、ミラ・フォールズなど)

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

・中国の環境規制強化に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境規制強化・米制裁の影響による石炭価格上昇が、中国の非鉄金属製造コストを高止まりさせる場合。

(特殊要因)

・銅の生産減少観測(環境問題によるインド、生産方法変更によるインドネシア)、ヴァーレの尾鉱ダム事故の影響による供給減少(アルミやニッケルなどに波及する可能性)。

(投機・投資要因)

・3月29日付のLMEポジションはまちまち。銅は一転、ロング・ショートともに増加したがロングの増加が顕著でネットロングは増加。亜鉛も同様でネットロングは増加。

アルミは一転引き続きロング・ショートとも減少し、ネットロングを増加させた。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は162.0億ドル(前週164.6億ドル)と減少。上昇率は▲1.6%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで4,181千トン(前週4,295千トン)と減少、増加率は▲2.7%。

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料市場動向総括】

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は大幅に上昇、原料炭スワップ先物は反発、中国鉄鋼製品価格は上昇。

ヴァーレの尾鉱ダム問題で供給途絶が懸念される中、中国製造業関連統計の改善を受けて鉄鋼製品価格が上昇していることが、需要面で価格を押し上げた。

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は高値圏での推移になると考える。ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響による供給減少、足元の中国関連統計が改善していることが価格を押し上げる一方、米中協議の先行きが不透明で、最大消費国である中国の景気先行きが不透明なため。

中国政府は経済対策や金融緩和による景気テコ入れを行う方針であり、2020年からはインドの需要が構造的に増加すると見込まれることも価格を下支え。

しかし、鉄鋼製品在庫の取り崩し時期にあり、季節的に価格が下押しされるため上値も重くなると予想。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・中国の鉄鋼製品在庫水準の高さは価格の下落要因。鉄鋼製品在庫は前週比▲87.3万トンの1,648.7万トン(過去5年平均1,520.7万トン)と例年を大きく上回る。

・中国の鉄鉱石在庫水準の高さは価格を下押し。鉄鉱石在庫は前週比▲10万トンの1億4,760万トン(過去5年平均1億1,944万トン)、在庫日数は▲0.3日の38.4日(過去5年平均 34.5日)と例年の水準を上回る。

・季節的に鉄鋼製品在庫の取り崩し時期であり、価格には下押し圧力がかかりやすい。

(特殊要因)

・ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響が拡大、現在稼働停止命令が出ている3鉱山の合計8,280万トン以上の供給減少が起きた場合(自社・他社ともにあり得る)、価格の上昇要因。

(投機・投資要因)

・固有の要因は特になし。

---≪貴金属≫---

【貴金属市場動向総括】

金銀価格は高安まちまち。米中貿易協議の楽観を受けた株価の上昇が長期金利の上昇を誘発し、実質金利が上昇したことが売り材料となったものの、英国のEU離脱への懸念後退と株高がドル安を進行させたことが影響を相殺した。

PGMはプラチナが割安感から物色され、パラジウムが割高感から売られた。投機筋がパラジウム買い・プラチナ売りポジションを解消した可能性がある。

PGM現物の需給バランスを見る上での指標となるロジウムの価格は3,050ドル(前日比▲20ドル)と下落傾向を維持しており、実需面での減速が出始めている可能性。

【貴金属価格見通し】

金価格は上昇余地を探る動きになると予想。世界的な金融緩和観測と原油価格の上昇を受け、実質金利に低下圧力がかかると考えられるため。

ただし、原油価格は年後半に下落する見通しであり、ベース価格の上昇余地は限定。

一方、欧州の政情不安、米国の債務上限問題、中東情勢の混乱懸念(イスラエル・イランを中心に)が安全資産需要を高めるため、リスクプレミアムが乗る形で価格を押し上げへ。

PGM価格は金銀価格が上昇余地を探る動きになるため下値は堅いが、景気先行き懸念から対金銀では割安に推移。

パラジウムはリースレートが10%を割り込み、実際の需給面は緩和に向かいつつある。ロジウム価格の調整もあって、暫くは下値余地を探りやすい。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・FRBの利上げ打ち止め~利下げ観測の強まり、原油価格の高止まりは実質金利の低下を通じて金銀価格の上昇要因に。

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、金銀価格の上昇要因に(逆に欧州の政情混乱や景況感の悪化でユーロ安・ドル高となった場合には金銀価格の下落要因)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

・排ガス規制強化に伴うパラジウムへのシフト(パラジウムの上昇要因・プラチナの下落要因)。

・パラジウム需要増加に伴うPGMの増産により、結果的にプラチナが供給過剰となり価格の下落要因に(プラチナ)。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の下落要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下支え要因)。

・米国の債務上限問題の顕在化(8月~9月にデフォルトするリスク)。

・欧州の政治混乱(英国のEU離脱、伊仏の対立、ポピュリズムの台頭、トルコと欧州の関係悪化など)による安全資産需要の増加。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加。

(投機・投資要因)

・長期金利の低下による米長短金利の逆転が株安を誘発、リスク回避のリスク資産売り圧力が強まり、安全資産需要が高まる場合。

・銀価格は金銀在庫レシオが銀在庫の減少、ないしは金在庫の増加、あるいは両要因によって低下した場合、金銀レシオが上昇するリスク(銀価格の上昇要因)。

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが214,897枚(前週比 +10,572枚)、ショートが94,959枚(▲20,970枚)、ネットロングは119,938枚(+31,542枚)、銀が76,541枚(+1,345枚)、ショートが49,864枚(▲2,022枚)、ネットロングは26,677枚(+3,367枚)

・直近の投機筋のポジションは、プラチナはロングが43,351枚(前週比 +147枚)、ショートが19,144枚(▲6,479枚)、ネットロングは24,207枚(+6,626枚)、パラジウムが17,375枚(▲141枚)、ショートが5,207枚(+275枚)、ネットロングは12,168枚(▲416枚)

---≪農産品≫---

【穀物市場動向総括】

シカゴ穀物価格はエルニーニョの影響による増産期待と、米中貿易交渉の進捗期待などの強弱材料が混在する中、総じてドル安が進行したことが価格を下支えした。

【穀物価格見通し】

穀物価格はレンジの中、堅調な推移になると考える。米中貿易摩擦でシカゴの需給が緩和している可能性が高いが、エルニーニョの影響による供給懸念がショートの買戻しを誘うことが価格を押し上げると考えられるため。

ただし、各国の経済対策の影響から景気循環銘柄に一時的な買戻しが入る可能性はあり、非景気循環銘柄が売られる可能性があること、Brexitを意識したリスク回避のドル高進行が価格の上昇を阻害しよう。

【価格変動要因の整理】

(マクロ要因)

・米穀物生産増産見通しを受けた需給緩和観測。

トウモロコシ作付意向面積 9,279万エーカー(市場予想 9,127万エーカー、前年8,803万エーカー)

大豆 8,462万エーカー(8,620万エーカー、8,898万エーカー)小麦 4,575万エーカー(4,688万エーカー、4,734万エーカー)

・実質金利の低下に伴うドル安の進行は、シカゴ穀物の輸出競争力を改善し、需給面で価格の上昇要因に。

(特殊要因)

・米中貿易交渉は、貿易面で一部妥結の可能性(価格の上昇要因)。ただし、知的財産権や技術の強制移転などの重要なポイントで妥結できておらず、米中の覇権争いであり長期化の見込み(価格の下落要因)。

・エルニーニョ現象発生による北米の増産は価格の下落要因。ただし洪水などが発生し、災害が激甚化した場合には価格の上昇要因に。

・中国の豚コレラ被害の拡大により、飼料需要が減少した場合は価格の下落要因(逆に終息すれば上昇要因)。

(投機・投資要因)

・直近の投機筋のポジションは、トウモロコシはロングが410,239枚(前週比 ▲22,875枚)、ショートが472,087枚(▲61,722枚)、ネットロングは▲61,848枚(+38,847枚)、大豆はロングが135,161枚(+7,614枚)、ショートが162,672枚(▲5,355枚)、ネットロングは▲27,511枚(+12,969枚)、小麦はロングが136,925枚(▲8,087枚)、ショートが173,001枚(▲14,972枚)、ネットロングは▲36,076枚(+6,885枚)

◆本日のMRA's Eye


「北米の増産は下期から加速か~米石油統計レビュー」

昨日の在庫統計は予想比原油・ガソリンが弱気、ディスティレートが強気な内容だった。原油は生産が変わらず、輸入が増加(+1.1MBD)、稼働率が上昇(+0.4%)、在庫は+7.2MBの大幅な増加となった(在庫日数は+0.5日の28.0日と過去5年平均を上回っている)。

WTIの価格に対する説明力が高いクッシング在庫は+201KBD(前週+541KB)と増加基調を持続。PADD2の輸入が小幅に増加したほか稼働率の低下(▲2.2%)が影響した。

昨日の統計では原油生産の増加が確認されている。北米の生産は原油価格動向に依拠するため、年初以降の価格の上昇が影響したとみられる。

WTIと米原油増産の間には4ヵ月程度の時間差がある。つまり、採算レートまで価格が上昇しヘッジ取引なども含めて収益が確保できる水準にたっしてから増産に至るまで、4ヵ月程度かかるということだ。

現在の生産コストを占う上での目処はWTIなどの期先の価格を参考にすることが多いが、現在、期先の価格は53ドル近辺であり、この水準を月間平均ベースでWTIが上回ったのは今年の2月からだ。

ということは増産は6月以降に本格化する可能性があり、景気の循環的な減速による需要の減速が見込まれる秋口以降に、原油価格が一旦下値を試す可能性があることを示唆している。

ガソリンは生産が増加(+0.2MBD)、輸入が増加(+0.1MBD)、出荷は小幅増加、輸出は減少(▲0.1MBD)、在庫は▲1.8MBの減少となった(在庫日数は▲0.2日の25.7日、輸出需要を含む在庫日数は変わらずの23.9日)。

ガソリンの出荷は減少して過去5年平均に迫っており、在庫日数も過去5年平均近辺での推移となっている。

ガソリン・クラック・スプレッドは過去5年の最低水準近辺での推移となっているが、季節性もあり、今後徐々に上昇圧力が掛かることになるだろう。

ディスティレートの生産は減少(▲0.1MBD)、輸入は減少(▲0.1MBD)、出荷は小幅増加、製品輸出は減少(▲0.1MBD)、在庫は▲2.0MBの減少となった(在庫日数は▲0.5日の30.1日、輸出を含む在庫日数は▲0.1日の24.0日)。

ディスティレート出荷は過去5年の最高水準で推移しているが徐々に減速感が出てきた。在庫水準も過去5年平均を下回り、在庫日数も過去5年平均を下回っている。

冬が終了したものの、在庫日数の水準の低さから、ディスティレート・クラックは高止まりするだろう。

◆主要ニュース


・3月日経日本サービス業PMI 52.0(前月52.3)、コンポジット 50.4(50.7)

・3月中国財新サービス業PMI 54.4(前月 51.1)、コンポジット 52.9(50.7)

・3月ユーロ圏サービス業PMI改定 53.3(速報比+0.6、52.8)、コンポジット 51.6(+0.3、51.9)

・3月独サービス業PMI改定 55.4(速報比+0.5、55.3)、コンポジット 51.4(▲0.1、52.8)

・2月ユーロ圏小売売上高 前月比+0.4%(前月改定+0.9%)、前年比+2.8%(+2.2%)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 +18.6%(前週+8.9%)
 購入指数+3.4%(+6.4%)
 借換指数+38.5%(+12.4%)
 固定金利30年 4.36 %(4.45%)、15年 3.78%(3.87%)

・3月米ADP雇用統計 前月比+129千人(前月改定+197千人)

・3月米サービス業PMI速報 55.3(速報比+0.5、前月改定56.0)、コンポジット 53.1(+0.5、55.5)

・3月米ISM非製造業景況指数 56.1(前月 59.7)
 新規受注 59.0(65.2)
 受注残 56.5(55.5)
 在庫増減 50.0(51.0)
 在庫景況感 62.5(59.0)
 雇用 55.9(55.2)

・3月ブラジルサービス業PMI 52.7(前月 52.2)、コンポジット 53.1(54.3)

・3月ブラジル自動車販売 209,183台(前月198,648台)

・米クドロー国家経済会議委員長、「米中通商協議は順調に前進。合意はまだ先。」

・関係者、「メイ首相とコービン党首の会談は建設的。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油+7.2MB(クッシング+0.2MB)
 ガソリン▲1.8MB
 ディスティレート▲2.0MB
 稼働率▲0.2%

 原油・石油製品輸出 7,763KBD(前週比▲170KBD)
 原油輸出 2,887KBD(▲20KBD)
 ガソリン輸出 725KBD(▲74KBD)
 ディスティレート輸出 1,085KBD(▲54KBD)
 レジデュアル輸出 219KBD(▲40KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,022KBD(+75KBD)
 その他石油製品輸出 1,656KBD(▲41KBD)。

・米国務省フック イラン担当特別代表、「イラン原油、禁輸適用除外の3ヵ国の輸入がゼロに。」

【メタル】
・Teck、「亜鉛市場は精錬亜鉛が不足しているが、鉱石は余剰。精錬所のキャパシティがボトルネックになっている。」

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +5.69%/ ▲44.36%
2.欧州排出権 ( 排出権 )/ +5.24%/ ▲6.59%
3.CME牛乳 ( 畜産品 )/ +4.91%/ +14.24%
4.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +4.04%/ ▲6.38%
5.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ +3.15%/ +29.85%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ニューキャッスル炭 ( エネルギー )/ ▲2.59%/ ▲22.59%
67.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ ▲1.90%/ +3.24%
66.TGE小豆 ( 穀物 )/ ▲1.72%/ +0.42%
65.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲1.69%/ +11.68%
64.CBTエタノール ( エネルギー )/ ▲1.36%/ +3.64%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :26,218.13(+39.00)
S&P500 :2,873.40(+6.16)
日経平均株価 :21,713.21(+207.90)
ドル円 :111.49(+0.17)
ユーロ円 :125.24(+0.51)
米10年債利回り :2.52(+0.05)
独10年債利回り :0.01(+0.06)
日10年債利回り :▲0.05(+0.02)
中国10年債利回り :3.24(+0.07)
ビットコイン :5,296.(+493.53)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :21.62(+0.21)
エネルギー :25.40(▲0.11)
ベースメタル :18.20(+0.1)
貴金属 :21.36(+0.12)
穀物 :18.57(▲0.66)
その他農畜産品 :22.84(+0.8)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :17.88(▲0.28)
Brent :11.98(▲0)
米天然ガス :23.53(▲0.58)
米ガソリン :18.05(▲0.02)
ICEガスオイル :16.51(▲0.01)
LME銅 :15.96(+0.11)
LMEアルミニウム :17.11(▲0.52)
金 :13.00(▲0.83)
プラチナ :20.46(+0.6)
トウモロコシ :24.58(▲0.2)
大豆 :13.00(▲0.83)

【エネルギー】
WTI :62.46(▲0.12)
Brent :69.31(▲0.06)
Oman :69.04(▲0.13)
米ガソリン :195.12(+2.27)
米灯油 :200.68(▲0.21)
ICEガスオイル :614.00(+0.25)
米天然ガス :2.68(▲0.01)
英天然ガス :33.98(+1.83)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :69.31(▲0.06)
SPO380cst :426.24(+1.72)
SPOケロシン :81.42(▲0.10)
SPOガスオイル :81.40(▲0.12)
ICE ガスオイル :82.42(+0.03)
NYMEX灯油 :201.11(▲0.07)

【貴金属】
金 :1289.93(▲2.53)
銀 :15.14(+0.02)
プラチナ :869.42(+18.09)
パラジウム :1409.20(▲24.22)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,488(+48:5C)
亜鉛 :2,898(+21:77B)
鉛 :2,006(+7:21C)
アルミニウム :1,894(+10:29C)
ニッケル :13,285(+180:85C)
錫 :21,250(+50:225B)
コバルト :31,500(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6495.50(+63.00)
亜鉛 :2932.50(+61.50)
鉛 :2012.00(+23.00)
アルミニウム :1895.50(+12.00)
ニッケル :13355.00(+190.00)
錫 :21155.00(▲75.00)
バルチック海運指数 :674.00(▲11.00)
※C=Cash2M コンタンゴ、B=Cash2M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :86.19(+2.46)
SGX鉄鉱石 :92.35(+2.82)
NYMEX鉄鉱石 :92.15(+2.65)
NYMEX原料炭スワップ先物 :195(+1.00)
上海鉄筋直近限月 :3,869(+56)
上海鉄筋中心限月 :3,573(+43)
米鉄スクラップ :360(±0.0)

【農産物】
大豆 :898.75(▲1.25)
シカゴ大豆ミール :311.00(+0.40)
シカゴ大豆油 :28.80(▲0.16)
マレーシア パーム油 :2070.00(+33.00)
シカゴ とうもろこし :362.75(+1.25)
シカゴ小麦 :471.00(+7.00)
シンガポールゴム :167.30(+1.30)
上海ゴム :11550.00(±0.0)
砂糖 :12.42(▲0.24)
アラビカ :95.35(+3.70)
ロブスタ :1457.00(+44.00)
綿花 :77.05(▲0.22)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :79.08(+0.13)
シカゴ生牛 :125.78(▲0.50)
シカゴ飼育牛 :144.75(▲0.10)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。