景気循環銘柄買戻し
- MRA商品市場レポート for PRO
2018年11月16日 第1438号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「景気循環銘柄買戻し」
昨日の商品価格は景気循環系商品が買われ、その他の農産品が売られた。
ここしばらく景気への懸念でリスク資産が売られる流れになっていたが、これを受けてG20で米中貿易戦争が若干緩和する、米国の利上げペースが鈍化するのではとの見方が広がっていることが、リスク資産の買戻しを誘っている。
確かに11月に入ってからの下落は、景気の先行きを懸念したものである可能性が高いものの、11月は実質的なファンド決算月であり、株やエネルギーに手仕舞い売りが入り、下げが加速したと整理したほうが良いかもしれない。
非鉄金属やその他のインフレ系資産が下落したのは、長期金利の上昇とそれに伴う実質金利の上昇が影響しており、原油価格もこの影響を受けたが、実質金利の上昇を原油価格の下落が助長した点も見逃せない。
しかし、ここにきて主に長期金利の低下が実質金利を押し下げており、ドル安も進行しやすくなるため徐々に下値が堅くなるものと予想される。
供給面が強く意識される穀物などの非景気循環銘柄を除けば、来年にかけて特に景気循環銘柄価格がその水準を切り下げて行く、というのが弊社の想定するメインシナリオである。
G20で米中貿易戦争が緩和する、との期待が高まってはいるが米国は中国を覇権国を争う上で敵国と位置付けているため、多少の緩和はあったとしても制裁自体が解除される可能性は低いと考えられる。
ただ、上記の通り短期的な下げ幅の大きさが、ファンドなどのテクニカルな要因によるものの可能性があること、実質金利が長期金利の低下で低下する可能性があることを考えると、やはり下げすぎが修正される形で一旦上昇する可能性は高いと考える。
本日は欧州情勢不安がドル高を助長すると考えられるため、週末ということもあり昨日上昇した商品に下押し圧力が強まる展開が予想される。
◆昨日の商品市場(個別)の総括
---≪エネルギー≫---
昨日の原油価格は上昇後下落した。減産観測の強まりを受けて上昇したが、米石油統計での原油在庫の大幅な増加や、英国のEU離脱問題が再び難航するとの懸念でドル高が進行したこと、米フィラデルフィア連銀指数が市場予想を大きく上回る減速となったことから、引けにかけて水準を切り下げた。
12月のOPEC総会では、この状態だと減産が決議される可能性が高い。ただ、価格下落もあってサウジやUAE以外の国々が減産合意を渋る可能性はあり、ロシアが協力できるかどうかがポイントになる。
この中で徐々にイランに対する制裁が進捗すると、景気拡大ペースの減速感が強まる中での原油価格上昇であり、その後の景気減速時の需要の減少を大きくさせ、下落幅が大きくなる可能性がある。
この状況で、引き続きムハンマド皇太子を取り巻く環境は悪化している。一部報道では、カショギ氏殺害後に「ボス」に連絡を取っていたことが報じられている。
米国はムハンマド皇太子と距離を近づけたことを、後悔し始めているのではないか。特に、年齢が近く、イスラエルとサウジアラビアに同盟を組ませようと考えていたクシュナーは、非常に立場が微妙になっている。
クシュナーはかつて、イスラエル人によるパレスチナ自治区への違法な入植をサポートする事業に資金を提供する運営に関わっていたことがある。そんな彼がイスラエル・パレスチナ和平を担当しているのだから噴飯ものである。
サウジにしても米大使館のエルサレムへの移転はやはり呑むわけにはいかず、米国の思惑は完全に外れた形となった。同皇太子の存在はトランプ政権の立場をより危うくすることになるだろう。
しかし、サルマン国王もこの状況を看過するわけにはさすがにいかなくなってきているとみられ、「ムハンマド皇太子を更迭する」との報道が散見されるようになってきた。
サルマン国王の実弟のアハマド王子、ムハンマド皇太子の実弟である駐米大使のハリド王子もサウジアラビアに帰国したと伝えられ、「皇位継承問題」が議論されているのではとの憶測を呼んでいる。前皇太子のナエフ王子の復帰もあり得るだろう。
サウジの今後のシナリオとしては、1.ムハンマド皇太子への王位継承を急ぎ、より独裁的な色彩が強まる、2.ムハンマド皇太子が更迭され、ほかの王子が王位を継承、従来通りの王族の合意制に体制が戻る、の大きく2つが考えられる。
1.の場合、周辺諸国との軋轢、とくにイランやトルコとの対立は深くなり中東情勢不安が原油価格を押し上げる構図がより強まると予想される。
2.の場合、ムハンマド皇太子の改革に対する期待を高めていた若年層が従来の体制に戻ることを嫌気して反発、国内が混乱する、といった展開が想定される。
結局、最も影響が小さいのが「他の人がやりました、皇子は関係ありません、皆さん納得してください」と有耶無耶にするケースだ。
サウジアラビは殺害に関わった人間を処刑することで、問題の幕引きを図っているようだが、欧米社会はそれほど甘くはないし、トルコが決定的な証拠を握っているとされる中ではこのようにすんなり行くとは思えない。
イラン以上にサウジアラビアのリスクを意識しなければならない状況になってきたといえる。
しかし、需給面の材料を整理すると価格には下向きバイアスがかかりやすい。そもそも景気が循環的に減速する可能性が高い中で米国の利上げが持続する見通しである上、米国発の中国制裁、同盟国への保護主義政策の拡大が景気を下押しすることになる。
中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続することになるだろう。
先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよりも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。
米国が中国と貿易で合意するとの報道があったが、選挙前のリップサービスであり、実際に合意するのは容易ではない。というのも一連の制裁で米国は中国から、まだ何も得ていないからだ。
ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめる、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった明確な成果があるまで継続するのではないか。
ただし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満が高まる可能性がある2019年末頃が、翌年に大統領選挙を控える「トランプ政権のリミット」と考えられ、制裁は継続しつつも来年春頃までに一部制裁が緩和されるのがメインシナリオだ。
なお、過去の可処分所得とエネルギー消費額の関係を分析してみると、WTIは107ドル程度までの上昇が許容できるため、まだ米政府には「ゆとり」があるともいえる(詳しくは2018年6月4日付MRA's Eye「米国の石油製品購買力」を参照ください)。
トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そして、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。
イラン問題の今後の展開は複数考えられるが、今のところ180日は制裁の100%履行が延期された。
イランに対する制裁が解除されるのは、イランが明確に核放棄する場合に限られるとみられる。上下院を民主党が確保できなかったためだ。
仮に予定通り禁輸措置が行われるとすれば、サウジやUEAがこれを代替することになるだろう。しかしその場合、OPECスペアキャパシティは「ゼロ」の状態になり、微小な有事が発生しただけでも原油が100ドルを超える上昇になってもおかしくない。
仮に70ドル~80ドルの原油価格が続けば、景気の循環的な減速局面での原油価格高騰であるため、米国の増産とOPECの減産幅縮小と相まって、その後、大幅な価格下落がもたらされると予想する。
ただし、需要の減速が明確ではない上に上流部門投資が十分ではないことから、下落したとしてもWTIで50ドル、Brentで60ドルを割り込むのは難しくなったと考える。
北朝鮮問題はトランプ大統領からすればある意味「終わった材料(支持率上昇につながらない材料)」だった。
しかし、選挙の結果議会がねじれたため、大統領選に向けたアピール目的で北朝鮮と和平条約を結ぶ可能性はあり得る。この場合、地政学的リスクは後退するが、日本の防衛負担が増えると考えられるため、日本は国防を巡って議論が紛糾することが予想される。
ロシアとの距離を縮めているのは、イスラエルと敵対するイランを擁護しているロシアを懐柔することで、シリアからのイラン軍撤退を促す、という意図があるためと考えられる。
よってロシアとの関係改善は、ある程度中東情勢の緊張緩和に寄与すると期待される。原油の価格面では下押し材料となるだろう。
欧州はかつての最も親密な同盟地域だったが、民主主義の傾向が強く、リベラルな雰囲気が強いこの地区とトランプ大統領は反りが合わない。この地区との対立は貿易問題での対立を激化させ、需要面で価格にマイナスに作用すると予想される。
短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、11月6日付のWTIの投機筋ポジションは、ロングが前週比▲11,109枚の554,562枚、ショートが+17,746枚の150,779枚、Brentはロングが▲41,336枚の337,219枚、ショートは+5,728枚の77,171枚となっている。
かねてから指摘されてきた、高水準に積み上がったロングの解消とショートの増加の動きが強まっている。
中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、2020年頃からはインドも人口ボーナス期に入り需要の増加が見込まれることから強気である。
なお、EVが普及して原油需要は2035年~2040年頃にピークを迎えるとの見方が市場のコンセンサスとなりつつあるが、リチウムやコバルトの供給問題や、EV普及のための財政負担を考えると、補助金のサポート無しでは成立しないEV化が、市場の期待通りに進むとは考え難い。
同様に、補助金のサポートが必要なバイオ燃料が化石燃料に取って代わるシナリオも想定し難い。
これに加えて、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加)なども期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると見られることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、減少に転じると判断するのは早計ではないだろうか。
実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃(2050年頃か)になると見る。
この見通しの上昇・下落の両リスクとなり得る材料として、ジャーナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太子が原油の輸出を停止して原油供給が途絶、価格も高騰する場合が考えられる(それは本当に最終手段なので発生の可能性は極めて低いが)。
原油供給が途絶すれば、まず原油価格が上昇するほか、モノの輸送ができなくなるため各地で商品価格が高騰することになる。そしてその価格高騰が需要を減少させ、最終的には景気後退に陥るというシナリオだ。
しかし、もしそこまでいきそうになったら、さすがにサルマン国王はムハンマド皇太子を更迭するだろう。
今まで、サウジアラビアはそのようなことをする国ではなかったはずだが、実務のトップが代われば方針も変わってしまうということなのだろう。そのリスクは意識しなければならない。
この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難い。
供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。
1.中東情勢不安の顕在化
2.PDVSA(ベネズエラ)の生産停止
3.上流部門投資の低迷(徐々に再開)
この中で顕在化の可能性が高まっているのが1.と2.だ。
1.については米国・サウジ・イスラエルvsロシア・イランの構図で考えると理解しやすい。トランプ政権がイランに対して強硬な態度を取っているのは、ユダヤ人ロビーとキリスト教福音派に配慮してのことであり、議会としてもロシアとの対決姿勢を強める構図となる。
そして、イラン産原油を一滴も買うな、という相当強硬な政策が採用されている。それが実際に可能とは思えないが、この結果、イランは核合意離脱並びにホルムズ海峡封鎖オプションを誇示せざるを得ず、それだけで価格は上昇している。
また、イランからすればこれは従来からこの地域に存在する、シーア派とスンニ派の争いである。今までと違うのが、サウジアラビアがイスラエルと一時的に連携する可能性があることだ。ただ、米国のイスラエルへの大使館移転で、連携する可能性は低下している。
これにクルド人vsトルコ・イラン・シリア・イラク、といった対立軸も入ってくると本当に理解が困難になる。基本、目の前の敵の敵は見方の構図がその時発生している問題を理解する上での手助けとなる。
さらに、東西分裂状態が続くリビアで原油生産が安定して増加する可能性が低いことも、供給不安を高めるだろう。
2.については5月の選挙でマドゥロ大統領が再選を果たし、国内の状況はさらに悪化している。
PDVSAの生産が完全に停止すれば恐らく原油価格は10ドル単位で上昇するとみるが、これが現在じわじわと顕在化している形。これはもはやメインシナリオとなっている(その後OPECの減産解除で大幅に下落する展開を予想)。
1.と2.の違いは、1.はホルムズ海峡の封鎖が意識されるため、供給途絶が長期にわたる可能性がある一方、2.が顕在化した場合湾岸諸国の増産が予想されるため、影響が一時的なものに止まる点である。
1.の場合、実際に封鎖が起きれば原油価格が100ドルを超えても何ら不思議はない。
金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。
1.米金融規制緩和
2.米国の金利上昇があまりに急であることを受け、FOMCが長期金利の上昇にブレーキをかける政策を採用する場合
3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合
2.はトランプ大統領が金融政策に介入を始めたため、俄かにその可能性が意識されている。そうでなくとも来年の春ごろまで利上げが継続されれば、そこから先は打ち止め(一旦様子見)となる可能性が高い。
下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材料となる。
1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速
2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速
3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化
4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの強まり
5.株価の調整
6.トランプ政権の保護主義政策推進
7.価格上昇に因る需要の減少(レーショニング)
8.トルコ問題の新興国への拡大による、新興国需要の減少
9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト
1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさせるほどのものにはなっていない。
2.については原油高の進行に伴うインフレ懸念の高まりが顕在化していたが今のところ後退している。しかし、トランプ政権の関税強化が国内の物価を押し上げる可能性もあるため、このリスクが顕在化する可能性は以前よりも高い。
ただ、潜在成長率の低下もあってこれ以上長期金利は急騰しない、との見方もあり引き続き先行きはグレーだ。
4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下した。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。
中東についてはイランと米国は挑発の応酬となっている。しかし、石油製品価格の上昇が米国民からの支持率を押し下げる可能性があるため、ここにきてイランに対する米国のトーンは若干後退している。
しかし、イランは(国民向けのポーズもあってか)強気の姿勢を崩していないため、しばらく緊張状態は続くだろう。
イランと米国が欧州やロシアのとりなしで交渉のテーブルに着く、というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、中間選挙を受けて対外的なポイントを稼ぎたいトランプ政権が、イランに対して弱腰になると考え難いため、このシナリオの可能性は後退した。
5.は株価は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が高まれば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手仕舞い売りが加速する可能性がある。原油価格の上昇に伴う長期金利の上昇が、そのきっかけになる可能性はある。
6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないだろう。
7.は保護主義政策の拡大で世界的に景気の拡大ペースの鈍化が懸念されている中で原油価格が高騰していることは、消費者がこの価格高騰に耐えられない可能性が高まることを示唆している。顕在化の可能性が高いリスク要因となってきた。
9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。
仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。
1.北米の増産加速
2.OPECの出口戦略が意識される
3.イスラエルを中心とした中東情勢絵不安でサウジアラビアやイランなどの足並みが揃わず、OPECの結束が崩壊する場合
1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペースは鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まるまでの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、再び増産ペースが加速するのはQ418になってからだろう。
2.は、サウジとロシアがむしろ減産に舵を切る可能性が出てきたため、顕在化の可能性が後退した。
3.はイランに対する制裁の度合いによるが、今のところは崩壊までには至らないとみられる。
石炭価格はじりじりと水準を切り下げながら、高値圏での推移を続けている。中国の国内の生産が減少しているうえに北朝鮮の制裁が続いていることが影響している。価格の減速は、価格に対する説明力が高い、「中国の景況感の鈍化」が影響していると見る。
北朝鮮への制裁解除は当面ない見込みだが、中国が米国にゆさぶりをかける目的で解除する可能性もなくはない(この場合、さらに米国が中国に制裁を科す可能性がある上、米国と関税関連で共闘できると考えていた欧州や日本の協力が得られなくなるため、その可能性は低いが)。
また、12月にCOP24(第24回気候変動枠組条約締結国会議)が開催される。米国はこの枠組みから脱退を表明しており欧州諸国は米国の引き留めに必死だ。
この状況で中国は脱退しない方針を打ち出しており、「対米協調」を目的として積極的に石炭使用や鉱山向け融資を絞る可能性もあり得る。このリスクは小さくなく石炭供給懸念を通じて石炭価格を高止まりさせるとみている。
---≪LME非鉄金属≫---
LME非鉄金属価格は上昇した。中国の住宅販売価格で上昇している都市数が増加したことで、住宅セクターが再加熱するのではとの期待が高まったこと、G20での制裁緩和期待が材料となった。
しかし、昨日発表された住宅販売の伸び率は、前年比+6.2%と前月の+6.7%から減速しており、中国の構造的な減速は続いているようである。
非鉄金属の最大消費国である中国の構造的な景気減速、米国の利上げ継続を受けた実質金利上昇、並びに新興国からの資金流出観測が強まっていること、米国の中国に対する追加制裁発動が外需を減速させ、非鉄金属価格を下押しすると予想される。
しかし、中国政府は景気を軟着陸させるために預金準備率を引き下げたり、公共投資などの財政政策に傾斜せざるを得なくなってきていることが需要を押し上げること、LME指定倉庫在庫の減少は継続しており、足元の需給はまだタイトと考えられることが価格を下支えすると考えられる。
以上から、非鉄金属価格は軟調ながらもしばらくは底堅い推移になると考えている。
中国に対する米国の制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続することになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難い状況にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、工業金属価格にマイナスに作用すると見る。
足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米国がG20で中国に対する制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっているが、何かしらの緩和はあるかもしれないが、制裁自体は継続するだろう。
先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよりも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。
ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめる、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった明確な成果があるまで継続するのではないか。
しかし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満が高まる可能性があり、場合によると11月に開催されるG20での米中首脳会談で何らかの緩和措置が取られる可能性はある(あったとしても限定的で、制裁は継続すると考えられるが)。
そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益は、年初来ベースで前年比+14.7%の4兆9,713億元(1-8月期+16.2%の4兆4,249億元)、9月は+4.1%の5,455億元(+9.2%の5,197億元)と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加え、米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。
結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども継続する見込みであるため、非鉄金属需要にとってマイナスに作用することは避けえない。
また、中国の構造的な景気の減速、循環的な減速、保護主義政策に対抗するための人民元安誘導が資本流出を招き、その他の新興国にも影響が出ること、なども価格を下押ししよう。
トランプ大統領弾劾裁判の可能性が高まっていたが、共和党が上院で過半数を維持しているため、弾劾は実質的に不可能だろう。そして、単体で人気が採れる大統領候補はほかにはおらず、トランプ政権は二期目に突入する可能性が高いと見ている。
なお、構造的に工業金属需要が増加し、価格が上昇するのはおそらく次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020年頃からになるとみているため、長期的には強気の見通しである。
短期的には投機筋の動向が重要になるが、11月9日付のLMEポジションを見るとニッケルと錫以外の金属はロング・ショートとも総じて減少、全ての金属のネットロングは減少しており、センチメントは弱気だ。
ただ、ショートの増加でロングが減少しているニッケルと錫、銅、鉛は先々の上昇圧力が高まっていることは意識しておきたい。
投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は148.6億ドル(前週180.6億ドル)と買い越し額が再び減少した。買い越し枚数もトン数換算ベースで4,570千トン(5,270千トン)と同様に減少している。
中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2020年頃からインドが人口ボーナス期に入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気のスタンスを崩していない。
なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算している。
一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。
現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になったことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略の意味を理解しているということだ。
また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかだ。
しかし、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。
一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえる。
この見通しの上昇・下落の両リスクとなり得る材料として、ジャーナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太子が原油の輸出を停止して原油供給が途絶、価格も高騰する場合が考えられる(それは本当に最終手段なので発生の可能性は極めて低いが)。
原油供給が途絶すれば、まず原油価格が上昇するほか、モノの輸送ができなくなるため各地で商品価格が高騰することになる。そしてその価格高騰が需要を減少させ、最終的には景気後退に陥るというシナリオだ。
しかし、もしそこまでいきそうになったら、さすがにサルマン国王はムハンマド皇太子を更迭するだろう。
今まで、サウジアラビアはそのようなことをする国ではなかったはずだが、実務のトップが代われば方針も変わってしまうということなのだろう。そのリスクは意識しなければならない。
この見通しの上昇リスクは需要面では、
1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認
2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台が使われる)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)
3.トランプ政権のインフラ投資計画実施
などが考えられる。
1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。
市場はEVブームに沸いているが、コバルトの壁に加え、EV普及のための補助金負担は好景気時しか難しいこと、道路財源問題などを考えると市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていない。
ここまでのニッケル価格の上昇はEVブームというよりは中国の住宅セクターの減速が明確でない事や、EVブームを材料にした投機買いの側面が強く、実際の需要に影響を及ぼすのは順調に行ったとして2020年頃以降になるのではないか。
供給面は個別性が強いが、以下が上昇リスク要因として挙げられる。
1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)
2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続
3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり
4.労使交渉動向
5.Rusalに対する制裁が長期化し供給懸念が強まる場合
5.はすでに顕在化してしまったリスクだが、特にアルミ・ニッケル・パラジウムへの影響が大きい。Rusalに対する制裁は米財務省が一部緩和する趣旨のコメントをしており、事前予想ほどの影響が出ない可能性が出てきた。
金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。
1.米金融規制緩和
2.米国の金利上昇があまりに急であることを受け、FOMCが長期金利の上昇にブレーキをかける政策を採用する場合
3.2.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合
2.はトランプ大統領が金融政策に介入を始めたため、俄かにその可能性が意識されているが、日銀の政策変更によってむしろ米長期金利に上昇圧力がかかっており、その影響は限定されている。
下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要因の軸となる。
1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速
2.米国内インフレ発生による利上げペースの加速
3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化
4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けた、リスク回避の動きの強まり
5.長期金利の上昇
6.5.に付随するが株価の調整
7.米輸入規制強化並びにそれに対する報復
8.トルコ危機や米利上げの影響を受けた新興国需要の減少
9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト
1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、景気をクラッシュさせるほどのものにはなっていない。
2.については原油高の進行に伴うインフレ懸念の高まりが顕在化していたが今のところ後退している。しかし、トランプ政権の関税強化が国内の物価を押し上げる可能性もあるため、このリスクが顕在化する可能性は以前よりも高い。
ただ、潜在成長率の低下もあってこれ以上長期金利は急騰しない、との見方もあり引き続き先行きはグレーだ。
4.はリスクシナリオであるが、恐らくその可能性は大きく低下した。米朝の交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。
中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。欧州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、というのが希望的観測を含めたメインシナリオだったが、選挙結果を受けて、トランプ政権はイランに対してより強硬な姿勢を取ると予想されるため、この可能性は低下している。
6.は株式市場は投機の動きを示す指標であり、ここに調整圧力が高まれば高値圏にあり記録的な水準まで積み上がっている投機の手仕舞い売りが加速する可能性がある。
7.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないだろう。
8.はトルコ危機を発端に新興国通貨安となり、米利上げ継続観測や中国に対する制裁による中国景気減速懸念を受け、新興国通貨安が加速していることはこれらの国の財政状況を悪化させ、インフラ投資などの減速を誘発するが、このリスクは顕在化しつつある状況。
9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。
仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
---≪鉄鋼原料≫---
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は高安まちまち、原料炭スワップ先物は変わらず、鉄鋼製品価格は小動きだった。
鉄鉱石価格は一旦調整するが、高値圏を維持するものと考える。そもそも季節的に中国の生産が減少、輸入が増加する時期に当たること、米国の制裁はあるものの国内需要の刺激や冬場の鉄鋼生産抑制継続による鉄鋼製品価格の高止まりが、投機的な観点での鉄鉱石買いを誘うと考えられることが背景(詳しくは2018年10月31日付のMRA's Eyeをご参照ください)。
ただし、インフラ投資バブルを誘発するほどの公共投資を中国が継続することは、国内の評価的にも、資金繰り的にも困難と考えられること、米国は選挙の結果に関わらず中国に対する制裁をさらに強化する方針であること、構造的な需要の減速の可能性の高さから、中期的に鉄鋼製品・鉄鉱石価格に下押し圧力がかかる、との見方に変更はない。
しかし、減産は冬の間続くため、政治的なイベントリスクの顕在化(Brexitなど)がなければ、下落は春になってからになるのではないか。
中国に対する制裁は、超党派で決定していると考えられるため、今回の中間選挙で議会にねじれが発生しているが、恐らく継続することになるだろう。そして、内政面で新たな政策を打ち出し難い状況にあるためより中国に対する対応は苛烈になると予想され、工業金属価格にマイナスに作用すると見る。
足元の株価の調整や経済統計の鈍化を受けて、米国がG20で中国に対する制裁を一部緩和するのでは、との期待が高まっているが、何かしらの緩和はあるかもしれないが、制裁自体は継続するだろう。
先日のペンス副大統領の講演でのスピーチは、明確に経済面で中国に宣戦布告しているのと同じである。これはトランプ政権というよりも、議会共和党の意向と考えたほうが良い。
ではいつまで制裁が続くかといえば、具体的には、中国の景気拡大が失速して米国と覇権を争えるような状態になくなる、中国が世界シェアを取りに行こうとしているハイテク分野の内製化をあきらめる、人民元高を許容する(バブル崩壊時の日本と同じ)、といった明確な成果があるまで継続するのではないか。
しかし、利上げを継続する中で米国景気が失速し、国民からの不満が高まる可能性があり、場合によると11月に開催されるG20での米中首脳会談で何らかの緩和措置が取られる可能性はある(あったとしても限定的で、制裁は継続すると考えられるが)。
そしてこうした制裁の影響は顕在化しつつある。中国工業部門利益は、年初来ベースで前年比+14.7%の4兆9,713億元(1-8月期+16.2%の4兆4,249億元)、9月は+4.1%の5,455億元(+9.2%の5,197億元)と大幅に伸びが減速している。構造的・循環的な景気減速に加え、米国の制裁の影響が徐々に顕在化していることの証左であろう。
結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども継続する見込みであるため、工業金属需要にとってマイナスに作用することは避けえない。
今年の鉄鉱石価格の上昇は、鉄鋼製品価格の上昇によるものであり、さらに製鉄所の稼働率の上昇が実需を押し上げたことも影響している。
実際、中国最大の鉄鋼生産地区である河北省の高炉稼働率は昨年後半から急速に落ち込み60%まで低下、その後85%まで上昇したが直近の稼働率は73.5%と上昇している。ただしこの稼働率は過去5年平均が89.6%であることを考えると著しく低い。
鉄鋼製品価格の上昇が鉄鉱石価格を押し上げる構図が続いていたが、足元の両者の関係を見ると鉄鋼製品価格の変動と、鉄鉱石価格の関係性はほぼ無相関となっている。
鉄鋼製品価格の変動と、鉄鉱石の変動が連動しておらず各々の需給が価格を決定している可能性が高い。となれば、冬場に向けた国内生産の減速時期に突入していることから、季節的に鉄鉱石価格は高止まりするだろう。
直近の統計では、鉄鉱石在庫が前週比▲100万トンの1億4,065万トン、(過去5年平均1億389万トン)、在庫日数前週比▲0.2日の31.1日(過去5年平均27.0日)と、例年よりも高い水準を維持している。
鉄鋼製品価格につられて水準を切り上げていたが、やはり徐々に下押し圧力が掛かるのではないか。
鉄鋼製品価格の動向は国内の経済対策動向次第であるが、冬場で建設需要が減速すること、冬場の高炉の稼働低下から大きく値を動かさないものと予想される。
ただ、鉄鋼製品在庫が前週比▲58.3万トンの896.9万トン(過去5年平均1,024.4万トン)であり鉄鋼製品価格は例年よりも高い水準を維持しそうだ。
結果、鉄鋼製品・鉄鉱石スプレッドは鉄鉱石価格が下落する形で、拡大すると予想される。
長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2021年からインドが人口ボーナス期に入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気である。
なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算している。
一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。
現実は、貧困国に資金を貸し出し、返済がなければ担保としてその土地や港湾を召し上げる、というバブルのころに日本で問題になったことを国家として行っている。老練なマハティールは中国の戦略の意味を理解しているということだ。
また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかだ。
しかし、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。
一帯一路構想が、中国の軍事的支配権拡大に用いられないよう、日本が監視できるかどうか。非常に重要な決断だったといえる。
この見通しの上昇・下落の両リスクとなり得る材料として、ジャーナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太子が原油の輸出を停止して原油供給が途絶、価格も高騰する場合が考えられる(それは本当に最終手段なので発生の可能性は極めて低いが)。
原油供給が途絶すれば、まず原油価格が上昇するほか、モノの輸送ができなくなるため各地で商品価格が高騰することになる。そしてその価格高騰が需要を減少させ、最終的には景気後退に陥るというシナリオだ。
しかし、もしそこまでいきそうになったら、さすがにサルマン国王はムハンマド皇太子を更迭するだろう。
今まで、サウジアラビアはそのようなことをする国ではなかったはずだが、実務のトップが代われば方針も変わってしまうということなのだろう。そのリスクは意識しなければならない。
上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。
1.中国の財政出動並びに住宅価格上昇容認
2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合
3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合
1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。
2.はそのプロジェクトの質の悪さから導入を見送る国が増えており、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリスクではなくなってきた。
3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているため、部分的に実施される可能性はある。
下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。
1.中国の住宅バブル崩壊
2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない場合
3.米利上げぺースの加速によるドル高で新興国からの資金流出が加速した場合
4.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が下落する場合
5.北朝鮮、中東情勢不安が世界的にリスク回避姿勢を強め、金融市場の混乱が実態経済に悪影響を及ぼす場合
6.世界的な株価の調整によるリスク回避の動きの強まり
7.米国の進める保護主義政策の拡大
8.トルコの政情不安が新興国通貨安(資本流出)を通じて、新興国需要の減速につながる場合
9.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト
10.ジャーナリスト殺害に対する批判に反発して、ムハンマド皇太子が原油の輸出を停止して原油調達ができなくなる、原油価格が高騰する場合
4.の可能性は出てきたが、核放棄を行わない限り制裁は継続の方針である。しかし、米国が体制保証を認めた以上、今後は北朝鮮が国際社会に復帰する方向性に進む可能性が高い。
選挙結果を受けて対外的な政策成功をアピールしたいトランプ大統領が、電撃的に制裁を解除する可能性は以前よりも高まった。
ただし、首脳会談のスケジュールを見るに、年明け以降の解除の可能性が高いと考える(逆に言えば年内は解除はなしか)。
5.はリスクシナリオであるが、米朝首脳会談の結果を受け、目先の開戦リスクは後退した。しかし、交渉は今後も継続する見込みであり、どのように転ぶかはわからない。1つ確実なのは、同問題の解決に向けて日本の負担は相当重くなるということだ。
中東については今のところ落ち着いているが、イランが米制裁に対してどのように反応するかに今後の動向は依拠することになる。欧州やロシアのとりなしでイランと米国が交渉のテーブルに着く、というのが希望的観測を含めたメインシナリオだが、この通りになるかどうかは正直五分五分だろう。
7.は常識的な落としどころを探る動きになる、とみていたが結局、米中の貿易戦争は開戦となった(その他の地域に対する関税引き上げはこれとは別に存在)。
関税引き上げは消費税引き上げのような緊縮財政と同様の経済効果をもたらすため、景気には明らかにマイナスだ。今のところ、中間選挙を睨んだ対策であるため、目に見える効果が上がらない限りは解除はしないだろう。
結果、中国国内の鉄鋼製品価格を押し下げ鉄鉱石価格の押し下げ要因となるだろう。
9.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。
仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
10.は鉄鉱石・鉄鋼原料に限った話ではない。原油供給が途絶すれば世界経済に与える影響は当然小さくない。そして、サウジアラビアはそのようなことをする国ではなかったはずだが、実務のトップが代われば方針も変わってしまうということなのだろう。そのリスクは意識しなければならない。
---≪貴金属≫---
金銀価格は上昇した。英国のEU離脱担当相が突如辞任、Brexitへの懸念が強まったことや実質金利の低下が価格を押し上げた。
PGMも基本、金銀価格をトレースする動きとなったがパラジウムが暴騰した。多くの商品について言えることだが、景気の転換点、とくに後退局面入りする直前は価格が高騰しやすい。
金価格は再び上昇余地を探る動きになると考える。サウジアラビアのジャーナリスト殺害問題やイタリアの財政問題などのリスク、北朝鮮問題などに再び焦点が当たっていること、リスク回避で株に調整圧力が掛かり続けているため、「株安→債券高・金高」の流れになりやすいことも、価格を押し上げると考える。
また、米中間選挙の結果議会がねじれたため、国内でポイントを稼ぐことができないトランプ大統領が海外政策をより強硬なものにする可能性があることも、安全資産需要を高めると考える。
英国とEUが離脱条件で合意したと伝えられたが、EU離脱担当相が辞任するなど、英政権内が混乱してきた。今後、英議会、EU議会が承認する必要があるためまだ解決したわけではない。
なお、金価格は、地政学がフルに影響すれば1,400ドル程度までの上昇はあると考えていたが、現在の実質金利水準や、過去の実質金利からの乖離(いわゆるリスクプレミアム)が2018年2月15日時点で過去最大となる284ドル(回帰分析の結果、妥当と考えられる価格と実際の価格の差)となったが、足元は230ドル程度まで上昇していることを考えると、足元からのリスクプレミアムが加わることによって上昇する余地は50ドル程度ではないだろうか(詳しくは2018年10月18日付のMRA's Eyeをご参照ください)。
ただし、米国の利上げが来年の春に終了し、原油価格も高止まりを続けるようであれば実質金利が低下し、ベース価格が上昇することになるため米金融政策、原油価格動向に価格が左右される環境にあることは変わりない。
なお、地政学的リスクの影響がないとすれば、実質金利で説明可能な水準である1,050ドル程度までの下落はあると考える。
銀は、Silver Instituteなどの分析では供給の減少と電気製品向けの需要増加で供給不足になっていると指摘されているが、それよりは金価格動向や貿易戦争の影響が強く意識され、対金で軟調な推移となっている。
今後についても金価格が軟調に推移することから水準を切り下げる動きになると考える。現在の金銀レシオは80に大きなチャートポイントが重なり、底堅い推移となりつつ過去最高水準を維持している。
足元、COMEXの金銀在庫レシオの金銀レシオに対する説明力が高く、記録的な水準まで積み上がった銀の取引所在庫の影響で、しばらくはこの80越えの水準を維持するだろう(詳しくは2018年10月19日付のMRA's Eyeをご参照ください)。
しかし、相関性の高い中国鉱工業生産との回帰分析結果は、現在のレシオが75程度であることを示唆しており、投機筋のショート積み上がりによって下落してきたことから、むしろここからは銀が買い戻される可能性のほうが高いとみる。
仮にその水準までの低下があるとするとチャート的にはさらにレシオの下げが予想されるため、この場合銀価格には対金で上昇圧力が強まることになる。
金銀レシオが80である前提であれば、地政学的リスクがフルに影響して1,300ドルになった場合、リスクプレミアムがはげ落ちて1,150ドルまで下落した場合に対応する銀価格は、16.25ドル、14.4ドルとなる。
金銀レシオが74であれば、17.6ドル、15.5ドルとなる。
短期的な価格動向を占う上で参考になる投機筋の売買動向は、11月6日時点で金のロングが+387枚の169,141枚、ショートが▲5,445枚の150,115枚、銀のロングが▲2,936枚の73,117枚、ショートが▲8,936枚の75,587枚となっている。
PGM価格は金銀価格が上昇余地を試す中、同様に上昇余地を試すと考えるが、足元、景気の先行きに焦点が当たっており、株価が調整しやすい地合いにあるため対金銀では水準を切り下げる動きになると考える。
また、ディーゼル自動車比率の高い欧州景気の減速(プラチナ需要減速)、ガソリン自動車比率の高い米国景気の拡大継続(パラジウム需要加速)で、プラチナ・パラジウムレシオはしばらく低下を続けると予想される。
ただ、需給がタイトなパラジウムは投機商品的な色彩が強いプラチナに比べると割高に推移するだろう。
米国の自動車販売は、9月が米自動車販売は1,740万台(市場予想 1,683万台、前月1,660万台)と急に回復した。
8月の米消費者信頼感は回復、6ヵ月以内に自動車を購入すると答えた人の比率も12.3と前月の+11.1からはさらに改善したが、依然として水準は低い。
FRBの利上げも継続する見込みであり、自動車メーカーのディーラー向けのインセンティブ負担も重くなることが予想され、自動車関税引き上げが宣言通り実施されるのであれば、自動車販売は減速する可能性が高く、PGM価格を下押しすると予想される。
中国の9月の自動車販売(工場出荷台数)は前年比▲11.55%の239万4,100台(前月▲3.75%の210万3,400台、前々月▲4.02%の188万9,100台)と3ヵ月連続でマイナス成長となった。
弊社は需給面の見通しに関しWPICの見通しを参考にしているが、直近の見通しでは2018年のプラチナの需給は29万5,000オンスの供給過剰と、2017年の29万5,000オンスの供給過剰水準から横ばいの見通しとなっている。
自動車向けの触媒需要が前年比▲21万オンスとなるものの、南アフリカ(▲5万オンス)、ジンバブエ(▲2万オンス)、ロシア(▲4万オンス)などの影響で鉱山生産が▲15万5,000オンスとなることが相殺した。
この結果、地上在庫は249万5,000オンスに増加する見込みで、在庫日数は118.0日(+16.0日)と増加見込みであり、在庫の顕著な増加が価格上昇を抑制することになろう。
なお、南アフリカのPGM生産指数は8月時点で91.2(季節調整前)と過去5年平均を下回っている。価格の下落や同国の景気後退入りで生産コスト割れの鉱山生産の調整が進んでいるためとみられる。
11月6日現在、CFTCのプラチナポジションはロングが+2,528枚の46,037枚、ショートが▲6,673枚の22,113枚、パラジウムはロングが+329枚の17,616枚、ショート▲777枚4,367枚となっている。
プラチナのロングポジションはリーマンショック後の金価格上昇を受けて積み上がってきたが、欧州のディーゼル不正を切っ掛けに需要観測が減速、さらに米保護主義政策の推進を受けた需要減少観測で減少し、低迷している。
プラチナのネットロングは、過去5年で初めてマイナス圏に沈んでいたが買戻しが進みプラス圏に復帰している。
パラジウムのロングポジションは減少を続け、この5年の最低水準まで低下していたが、足元買いが積み上がっている。ショートポジションも積み上がっており、過去5年平均を回復した。今後は景気自体や主な用途である自動車の販売動向にポジション動向が左右されると予想されるが、米利上げや米国・中国の自動車販売減速から見通しはそれ程強気ではない。
---≪農産品≫---
シカゴ穀物市場は上昇した。トランプ政権が中国との貿易交渉で、緩和対象品に大豆を含めたいとの意向を示した、との報道が価格を押し上げた。トウモロコシや大豆もこれに連れる形となった。
穀物価格は引き続き政治動向に振らされる形となるが、トランプ政権がエタノールの規制緩和に動く方針であるため、トウモロコシのエタノール向け需要が増加すると見られていることが他穀物価格をけん引し、上昇余地を探る動きになると考える。
ただし、中間選挙の結果、トランプ政権の米国内での政策の自由度が低下するため、より対外政策を強硬にすると考えられることから中国に対しても同様であり、特に大豆価格の重石となるだろう。
またこれに加えて北米が総じて豊作であること、ハーベストプレッシャー、リスク回避のドル高進行から頭重い推移になると考える。
トウモロコシの収穫率は76%(前週63%)とほぼ5年平均程度、大豆の収穫率は83%(72%)と減速、同じ時期の過去5年の最低水準の進捗率である。
なお、冬小麦の作況は51%(53%)と過去5年平均を下回っている。収穫量は春小麦よりも冬小麦のほうが圧倒的に大きく、2018-2019穀物年度への影響が意識される。
ただ、「小麦は雑草」の格言通り世界のどこかで生産がされるため、最終的に供給は足りることになると考えるが、供給が足りて価格が下落するまでに価格が高騰するリスクは存在する。
11月の米需給報告では、トウモロコシの生産見通しが146億2,600万ブッシェル(市場予想147億2,907万ブッシェル、前月147億7,800万ブッシェル)、大豆が46億ブッシェル(46億7,643万ブッシェル、46億9,000万ブッシェル)、小麦が18億8,400万ブッシェル(前月18億8,400万ブッシェル)と、総じて「期待ほどの生産」にはならない見通しが示された。
一方で輸出見通しは、トウモロコシが24億5,000万ブッシェル(前月24億7,500万ブッシェル)、大豆が19億ブッシェル(20億6,000万ブッシェル)と減速が見込まれている。
11月6日付のCFTC投機筋ポジションは、トウモロコシのロングが▲2,454枚の418,451枚、ショートが▲10,330枚の288,111枚、大豆のロングが+261枚の135,508枚、ショートが▲29,941枚の169,521枚、小麦のロングが▲1,553枚の159,350枚、ショートが▲3,643枚の149,491枚となっている。
◆本日のMRA's Eye
「OPECは価格防衛を継続できるのか」
サウジアラビアは今年の6月のOPEC総会で、合意(▲120万バレルの減産)を上回る減産(▲180万バレルの減産)となっていた減産幅を2018年7月から▲120万バレルに引き下げた。価格高騰とイラン制裁への懸念から上昇している原油価格の高騰を抑制するためである。
しかし、ここにきて原油価格は下落を始めている。要因は11月の米中間選挙の終了と、株価の下落、ファンドの実質決算月である11月
入りを受けて「唯一年初来上昇率がプラスのセクター」である原油に売りが出たためである。
そもそも、このコラムで繰り返し主張しているように景気の循環的な減速で原油価格は下落に転じると見ていたが、上記のイベントを切っ掛けに見通し通りの動きとなった。
これを受け、サウジアラビアとロシアは、2018年末で終了予定だった減産を2019年も継続、2019年1月から▲100万バレル程度の減産の検討を開始した。
では、この価格防衛は成功するのだろうか。
まず、OPEC諸国の中でこの減産に喜んで従う国がどれだけあるか、という点は問題になる。構造的な減産が続いているベネズエラ、内戦が続くリビア、制裁の行方がどうなるかよくわからないイランは
今回の議論から一旦除外するとして、減産する余力、ある程度の減産であれば容認できると考えているのは、ここまで実質的に増産をしてきたサウジアラビアと、生産量の多いロシア程度である。
結局、ロシアがこの提案に合意するかどうかがまず一つ重要なポイントになるだろう。仮に減産で合意できなければ、現在の需給バランス変化のトレンド的に、原油価格は来年の夏ごろにかけて下落する展開になると予想される。
しかし、もし100万バレル程度の減産が行われるならば、Q118に100万バレル程度に達するとみられる「前年と比較した時の供給過剰幅の拡大(ないしは供給不足幅の縮小)」が期待されるため原油価格は再び上昇することが予想される。
過去、OPECが減産を決定したタイミングは1993年以降全部で全部で14回あるが、減産実施から2ヵ月後、実施時よりも価格が上昇していたケースは9回ある。逆に価格を維持できなかったケースは5回だ。
1回目はアジア危機の時、2回目・3回目はドットコムバブル崩壊時、4回目はリーマンショック、5回目は昨年1月からの「OPECショック後の価格維持策実施時」である。
特徴として、いずれも何かしらのショックを伴った場合に価格を維持することが困難になることが挙げられる。供給面というよりは信用リスクの高まりに伴う需要面が意識されて価格が下落していることが多い。
その意味で、2014年のOPECショック後で需給が大きく崩れた後の、2017年の減産はその効果が出るまで1年程度の時間を要した。
しかし、これについても価格下落に伴う需要増加により、時間経過を伴って価格が上昇したと整理するほうが妥当だろう。
このようなショックを伴わない場合、多くの場合、原油価格はOPECの減産オペで維持される可能性が高いことを示している。予定通り1月に減産が行われれば、過去の例を見ればOPEC・非OPECは「価格防衛に成功」することになる。
ただし1~2月は価格が高止まりし、その後イランの制裁が徐々に進み、5月に実行されるならば、本来であれば価格が下落するタイミングになってもおかしくないところだが、夏場から冬場にかけて原油価格が上昇するリスクが高まることを意味する。
この場合、景気の減速局面での原油価格高騰となるため、ドットコムバブル崩壊時や、サブプライム・リーマンショックの時と同様、景気減速ではなく不況入りする可能性が出てくるため、十分な注意が必要である。
そしてこの場合、原油需要が減少し、価格も下落するためOPECにとってはダブルパンチとなる。今回のOPEC・非OPECの判断が彼らにとって吉と出るか凶と出るか、と同時に消費国にとっても大きな問題になると予想される。
◆主要ニュース
・10月日本首都圏マンション販売 前年比+2.8%の2,895戸(前月+13.2%の3,372戸)
・10月中国新築住宅価格 前年比値上がり 67都市(前月67都市)
横ばい 0都市(1都市)
値下がり 3都市(2都市)
前月比値上がり 65都市(64都市)
横ばい 1都市(3都市)
値下がり 4都市(3都市)
・10月対中直接投資 前年比+7.2%の644.6億元億元(前月+8.0%の762.7億元)、1-10月+3.3%(1-9月+2.9%)
・10月欧州新車登録台数 欧州合計 前年比▲7.4%の1,118,859台(前月▲23.4%の1,123,184台)
・9月ユーロ圏貿易収支(季節調整済) 134億ユーロの黒字(前月 168億ユーロの黒字)
調整前 131億ユーロの黒字(117億ユーロの黒字)
・11月ニューヨーク連銀製造業景況感指数 23.3 (前月21.1)
新規受注 20.4(22.5)
受注残 ±0.0(▲8.4)
在庫水準 10.9(0.8)
雇用者数 14.1(9.0)
6ヵ月先景況指数 33.6(29.0)
・11月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 12.9(前月22.2)
新規受注 9.1(19.3)
受注残 ▲4.8(▲2.3)
在庫水準 9.5(▲0.8)
雇用者数 16.3(19.5)
6ヵ月先景況指数 27.2(33.8)
・10月米小売売上高 前月比 +0.8%(前月▲0.1%)
除く自動車+0.7%(▲0.1%)
除く自動車ガソリン+0.3%(+0.3%)
除く自動車・建材+0.5%(+0.2%)
・10月米輸入物価 前月比 +0.5%(前月+0.2%)、前年比+3.5%(+3.1%)
輸出物価 前月比+0.4%(±0.0%)、前年比+3.1%(+2.7%)
・米週間新規失業保険申請件数 216千件(前週214千件)
失業保険継続受給者数 1,676千人(1,630千人)
・9月米企業在庫 前月比+0.3%(前月+0.5%)、企業売上高+0.4%(+0.5%)、売上高在庫比率 1.34ヵ月(1.34ヵ月)
製造業在庫+0.5%(+0.1%)、製造業売上高+0.9%(+0.7%)、売上高在庫率1.33ヵ月(1.34ヵ月)
小売在庫+0.1%(+0.6%)、小売売上高+0.2%(▲0.1%)、小売売上高在庫率 1.44ヵ月(1.44ヵ月)
卸売在庫+0.4%(+0.9%)、卸売売上高+0.2%(+0.7%)、在庫率 1.26ヵ月(1.26ヵ月)
・10月インド貿易収支 ▲171億1,300万ドルの赤字(前月▲139億7,800万ドルの赤字)
輸出 前年比+17.9%(▲2.1%)、輸入 +17.6%(+10.5%)
・英ラーブEU離脱担当相、マクベイ雇用・年金相が辞任。
◆エネルギー・メタル関連ニュース
【エネルギー】
・DOE米石油統計
原油+10.3MB(クッシング+1.2MB)
ガソリン▲1.4MB
ディスティレート▲3.6MB
稼働率+0.1%
原油・石油製品輸出 7,290KBD(前週比▲275KBD)
原油輸出 2,280KBD(+67KBD)
ガソリン輸出 854KBD(▲106KBD)
ディスティレート輸出 1,300KBD(▲32KBD)
レジデュアル輸出 270KBD(▲31KBD)
プロパン・プロピレン輸出 773KBD(▲78KBD)
その他石油製品輸出 1,607KBD(▲41KBD)
・サウジアラビア、殺人実行犯5人に死刑求刑。
【メタル】
・10月日本アルミ港湾在庫港湾在庫 前年比+77,600トンの317,300トン(前月 318,200トン)
・ILZSG、1-9月期 亜鉛鉱山生産9,415千トン(前年9,303千トン)
精錬亜鉛総供給量9,790千トン(9,728千トン)
精錬亜鉛需要10,095千トン(10,126千トン)
精錬亜鉛は▲305千トンの供給不足。
鉱山生産は+1.2%の増加。豪州、ペルー、米国、欧州の増産をカナダ、中国、インドの減産が相殺。
精錬鉛の生産は小幅な増加。需要は▲0.3%の減少。中国、南アフリカ、台湾の減少をベルギー、フランスなどの増加が相殺。
・ILZSG、1-9月期 鉛鉱山生産3,380千トン(前年3,412千トン)
精錬鉛総生産量8,610千トン(8,603千トン)
精錬鉛需要8,720万トン(8,769千トン)
▲110千トンの供給不足。
鉱山生産は前年比▲0.9%の増加。豪州、カザフスタン、ペルー、南アフリカ、米国の減産が欧州、インド、モロッコの増産を相殺。
精錬鉛はほぼ横ばい。豪州、インド、米国の増産をカナダ、中国、ドイツ、イタリア、ポーランドの減産を相殺。需要は▲0.6%の減少。日本、韓国、メキシコ、米国の減少を欧州の増加が相殺。
・UBS、LMEのカテゴリー2メンバーに。
・Antofagasta、銅生産キャパシティを70千トン拡大。Pelambresの拡張で。
◆主要商品騰落率
【上昇率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +3.38%/ +32.20%
2.パラジウム ( 貴金属 )/ +2.88%/ +9.12%
3.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ +2.43%/ ▲22.56%
4.CBT大豆 ( 穀物 )/ +2.10%/ ▲6.62%
5.CME木材 ( その他農産品 )/ +1.83%/ ▲26.56%
【下落率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲16.52%/ +36.74%
67.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲3.70%/ +133.13%
66.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲2.31%/ ▲12.80%
65.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲1.85%/ ▲35.49%
64.TCMガソリン ( エネルギー )/ ▲1.84%/ ▲5.28%
※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
◆主要指標
【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,289.27(+208.77)
S&P500 :2,724.69(+23.11)
日経平均株価 :21,803.62(▲42.86)
ドル円 :113.62(▲0.01)
ユーロ円 :128.75(+0.24)
米10年債利回り :3.11(▲0.01)
独10年債利回り :0.36(▲0.04)
日10年債利回り :0.11(▲0.00)
中国10年債利回り :3.40(▲0.02)
ビットコイン :5,436.05(▲115.01)
【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :22.67(+0.35)
エネルギー :32.26(+3.38)
ベースメタル :20.62(+0.64)
貴金属 :17.77(+0.54)
穀物 :16.62(▲0.58)
その他農畜産品 :23.42(▲0.73)
【主要商品ボラティリティ】
WTI :30.72(+0.36)
Brent :31.98(+0.53)
米天然ガス :61.21(+19.55)
米ガソリン :28.22(+0.02)
ICEガスオイル :26.06(+0.13)
LME銅 :19.66(▲0.23)
LMEアルミニウム :12.37(+0.09)
金 :17.22(▲0.91)
プラチナ :15.46(+0.09)
トウモロコシ :14.46(▲0.32)
大豆 :17.22(▲0.91)
【エネルギー】
WTI :56.46(+0.21)
Brent :66.62(+0.50)
Oman :66.22(+0.53)
米ガソリン :155.30(▲0.76)
米灯油 :207.43(▲2.16)
ICEガスオイル :633.75(▲10.75)
米天然ガス :4.04(▲0.80)
英天然ガス :74.60(+2.44)
【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :66.62(+0.50)
SPO380cst :427.30(+3.45)
SPOケロシン :83.74(▲0.72)
SPOガスオイル :82.34(▲0.84)
ICE ガスオイル :85.07(▲1.44)
NYMEX灯油 :206.70(▲0.85)
【貴金属】
金 :1213.12(+2.24)
銀 :14.30(+0.16)
プラチナ :842.36(+7.05)
パラジウム :1160.50(+32.48)
※ニューヨーククローズ。
【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,175(+90:13B)
亜鉛 :2,584(+104:71B)
鉛 :1,965(+17:21.5C)
アルミニウム :1,941(▲4:23.5C)
ニッケル :11,450(+170:110C)
錫 :19,425(+120:50B)
コバルト :55,000(±0.0)
(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6202.00(+102.00)
亜鉛 :2568.00(+61.00)
鉛 :1945.50(▲3.50)
アルミニウム :1938.00(▲4.00)
ニッケル :11325.00(+20.00)
錫 :19355.00(+20.00)
バルチック海運指数 :1,009.00(▲55.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック
【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :74.7(▲0.29)
NYMEX鉄鉱石 :74.95(+0.14)
NYMEX原料炭スワップ先物 :221(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :4,280(±0.0)
上海鉄筋中心限月 :3,901(+4)
米鉄スクラップ :402(▲3.00)
【農産物】
大豆 :888.75(+18.25)
シカゴ大豆ミール :305.40(▲0.30)
シカゴ大豆油 :27.69(+0.12)
マレーシア パーム油 :1759.00(±0.0)
シカゴ とうもろこし :367.50(+0.50)
シカゴ小麦 :505.50(+2.50)
シンガポールゴム :135.70(▲0.10)
上海ゴム :10060.00(+5.00)
砂糖 :12.65(±0.0)
アラビカ :110.05(▲2.60)
ロブスタ :1642.00(▲3.00)
綿花 :76.25(▲0.14)
【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :57.08(+0.08)
シカゴ生牛 :115.15(+0.55)
シカゴ飼育牛 :148.63(▲0.35)
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。