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欧米指標の悪化を受けた景気懸念で総じて軟調
  • MRA商品市場レポート for PRO

2019年3月25日 第1505号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「欧米指標の悪化を受けた景気懸念で総じて軟調」

昨日の商品価格は農畜産品の一角、債券などが物色され、広く景気循環系商品が下落することとなった。

前日のEU首脳会議で英国のBrexitがハードになる可能性が高まったことが市場参加者のリスク回避姿勢を強める中、欧州の製造業PMIが大きく減速したことや、米国の製造業PMIも減速したことが、景気循環系商品価格を下押しした。

特に株式市場では米1年金利と10年金利が逆転したことなどを材料に、昨年12月に起きたようなリスク回避の動きが強まったことも、リスク資産価格の売り材料となった(詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照ください)。

このような状態になると、今週の商品を含むリスク資産価格は、大きく調整する可能性があると考えている。

株価が調整していることで市場参加者のリスク選好が後退していること、そして昨日の総括のところでもコメントしているが英Brexitがハードなものとなる可能性が出てきたこと、これに加えて3月の四半期末が近づいているため、ポジション調整圧力が強まることがそのように考える要因である。

目先、大きな波乱となる可能性があるのは、やはり英国のEU離脱だろう。まず大きな問題にならないと考えていたため、ハードBrexitになった場合の影響は小さくない。

EU議会の決定を受け、英国は4月12日までに秩序ある離脱を受けるか受けないかを判断しなければならない。これを受け入れれば5月22日に合意あり離脱となる。

しかしこれを受け入れなければ、4月12日までにどうするかを決めなければならない。具体的には絶対的な最終期限である5月22日に合意なき離脱となるか、さらに長い期間離脱期限を延長するかである。

まだ、事態打開のためにメイ首相が総選挙にでてEU案を受け入れる、国民投票を行う、といった選択肢はテクニカルにはあり得るが、現実的ではないだろう。しかし、英国の国民性を考えると、このまま主張をし続け、何も決まらず、合意なき離脱になる可能性は十分にあるだろう。

このリスクが顕在化すると、欧州経済が悪化することはほぼ必定で、「大丈夫」と思われている英国で行われている市場系取引の決済が混乱する可能性も出てくる。いずれにしても景気循環系商品価格には下押し要因となる。

そして欧州は中国の最大の貿易相手経済圏であり、中国にこのリスクが波及する可能性も十分にあり得る。ポイントはいずれの国の景気も減速局面入りしていること、財政上のゆとりがないこと、特に日本は財政・金融とももうこれ以上のゆとりがないことだ。

いざ起きてみないとわからないが、残された時間で少しでもリスクに備えておく必要があるだろう。今回の結果が「即時に」世界的に信用不安を広げる材料になるかどうかは、よくわからない。しかし、株価の急落が担保価値の低下を通じて信用市場などに波及する可能性はあるだろう。

今週~4月12日までは、基本的にリスク回避の動きが強まるものと思われる。週明け月曜日はこれらの政治的な材料が引き続き重視されるが、現在のマクロ経済にどこまで影響を与えているかを把握する意味で、独IFO景況感指数(現況指数市場予想 102.9、前月103.4、期待指数市場予想 94.0、93.8)に注目している。

しかし、ユーロ圏サプラズ指数も大幅なマイナスとなっており、統計が市場予想を大きく下回る可能性が高く、やはり景気循環系商品には下押し圧力がかかることになるだろう。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

原油価格は下落した。欧米の経済統計の悪化を受けた需要の減速観測と、それを受けた株価の急落が市場参加者のリスク回避姿勢を強めたため。

原油価格はしばらくレンジ内で軟調な推移になると考える。

米中の経済統計に減速がみられ、欧州も景気見通しが下方修正されるなど、前提となるマクロ経済の先行き見通しが弱気に転じていることが価格を下押しすると予想されるものの、OPECの減産継続、ベネズエラ・イランに対する制裁強化による供給減少懸念や経済対策が価格を下支えするため。

1月発表のIMFの2019年の経済見通しは+3.5%(10月比▲0.2%)に引き下げられ、EUもユーロの成長見通しを+1.3%(▲0.6%)に引き下げており、OECDも世界景気見通しを+3.3%(前回発表時比▲0.2%)と引き下げた。さらにECBもユーロの成長見通しを+1.1%(▲0.6%)と大幅に引き下げている。広く景気循環銘柄価格の下落要因になると予想される。

米中貿易交渉は妥決に向けて調整が進んでいるように見えたが、やはり難航しているようだ。

交渉担当者は4月末までの合意を目指していると伝えられているが、中国側は「通商交渉で規定されるルールは、中国の法律に準拠する必要がある」と主張するなど、知的財産の保護や技術の強制移転の抑止にならないルールを主張しているようで、このままだと妥決は難しい。米中の覇権争いが前提にあるため、根本的に解決するまでには複数年を要する、と見ておくべきである。

Brexitは欧州議会選挙の前日となる、5月22日までの期限延長が認められた。しかし、実際の決定は4月12日までに行わねばならず、英下院がEU離脱案を受け入れれば、秩序ある離脱となるが、そうならなければ無秩序離脱か、より長い期間の期限延長のどちらかとなる(テクニカルにはほかにも選択肢はある)。

結局、ハードブレグジットとなるリスクは払しょくしきれないということである。

ただ、離脱時期が後倒しされたことで、企業や各国政府も対応する猶予が与えられたとも言え、多少なりともリスク健在化時の影響が小さくなると期待される。

米朝首脳会談は予想外の決裂となったが、「なし崩し的な制裁解除」にならなかったことは意味があるといえる。今後も米朝の協議は継続するということで一致はしているようだが、今後、どのようなパスを経て非核化が進むかは不透明だ。

結局、下りのエスカレーターに乗っている中で、イベントをどのように整理するかが今後を占う上での基本的な考え方になるだろう。

北米の増産がQ119も緩やかに増加すると予想されること、年後半にかけて米国の減税効果が剥落することから上値も重く、本格的に上昇に転じるのは2020年以降のインドの人口ボーナス期入り以降となるのではないか。

短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、3月19日付のWTIの投機筋ポジションは、ロングが前週比+34,394枚の534,563枚、ショートが▲18,087枚の119,817枚、Brentは3月19日付でロングが+10,950枚の363,349枚、ショートは▲4,984枚の54,743枚となっている。

WTI、BrentともFOMCの利上げ打ち止め以降、景気への楽観が再び強まっておりロングが増加しているが、足元の景況感の悪化を受け、これらのポジションが月末に向けて調整する可能性がある。

中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、2020年頃からはインドも人口ボーナス期に入り需要の増加が見込まれることから構造的に需要増加が見込めるため強気である。

なお、EVが普及して原油需要は2035年~2040年頃にピークを迎えるとの見方が市場のコンセンサスとなりつつあるが、財政的なサポートが必要なEVは、市場の期待するようなペースで拡大するとは見ていない。

また、EV化が進むにつれて同時に発生する、軽量化目的の樹脂利用(化学製品向け需要の増加)も期待できること、液体燃料は保存や輸送の観点からみて依然割安であり、アフリカなどの新興国では引き続き利用されると予想されることから、2035年に「需要の伸びは鈍化」するものの、減少に転じると判断するのは早計と見る。

実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃(2050年頃)になるのではないか。

この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難い。

供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。

1.ベネズエラの供給途絶

2.中東情勢の悪化

3.上流部門投資低迷の影響

1.のベネズエラ問題は顕在化しつつある。ベネズエラ国内では停電が続き、マドゥロを支持していた低所得者層も離反の動きがみられるようだ。仮に内戦に転じた場合、原油供給懸念が強まり、価格を押し上げることになる。ただ、ベネズエラの原油生産は120万バレル程度まで減少しており、OPECが減産を解除すれば一応賄えるレベルであり、影響は限定されよう。

しかしこれにイランの完全制裁が重なれば、供給能力は十分ではない。

2.の中東情勢はより混迷を極めている。年初は、「米国+イスラエル+サウジ」vs「イラン+ロシア」という構図だったが、米国の大使館移転や、サウジアラビア ムハンマド皇太子のジャーナリスト殺害疑惑などで、米国・サウジアラビアの関係がギクシャクしてきている。

OPECもカタールが脱退、反サウジアラビアの姿勢を強め、イランもOPECの継続についてやや懐疑的な見方を示すなど、「景気後退局面・需要減速局面での産油国のエゴ」がむき出しになりつつある。

通常であれば増産攻勢が強まり、価格の下落要因となりそうだが、軍事的な衝突やサウジ対する制裁やそれに対する報復としての原油輸出停止も、今のところカショギ氏殺害について世界中から非難されていることから鳴りを潜めているが、ムハンマド皇太子が今のポジションにいる以上ない話ではない。

仮に、イランやサウジが軍事的に衝突した場合や、米国のイランに対する制裁が貫徹され、本当にイランが原油輸出できなくなるような場合には、ホルムズ海峡封鎖の可能性が高まるため、原油価格が100ドルを超えても何ら不思議はない。

金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。

1.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

2.1.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

3.米中貿易戦争が終結する場合

1.は1月のFOMCでFRBはハト派的なスタンス(タカ派から中立に)に転じており、金融面で原油価格を押し上げる可能性が高まっている。

3.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。

下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材料となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.米国の中国制裁強化による中国の財政状況悪化ないしは地方政府のデフォルト

3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの強まり

5.株価の調整

6.トランプ政権の保護主義政策推進

7.新興国の財政状況悪化ないしはデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、足元は米国の制裁強化の影響でむしろこちらにブレーキを踏む動きになっている。

2.は構造的な中国の経済成長減速に、米国の制裁強化が重なっているためデフォルトまでは行かなくとも地方政府の財政状況が悪化し、地域経済に影響を与える可能性は高まっている。

3.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続、トルコの財政状況悪化や周辺諸国との対立顕在化がリスク要因だ。

イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

5.は昨年後半に顕在化した。きっかけは短期金利の急上昇で2年金利が5年金利を上回った事だ。既に2年金利と5年金利は昨年後半から再び逆転し、2年金利のほうが割高に推移しているが今回はまだ昨年の様な事は起きていない。従来から言われているように、2年・10年の金利が逆転した場合の急落を想定しておいた方が良いかもしれない。

しかし仮に長短金利が逆転した場合、再び株価が調整、商品価格に影響が出るシナリオも想定される。

6.は同盟国に対しては常識的な落としどころを探る動きになると期待しているものの、来年の選挙のことも考えると、米国が何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないと見るべきだ。

7.は米国の利上げ打ち止めでその可能性が低下した。しかし、ベネズエラなど、利上げとは関係ないところで財政状況が悪化している国は存在する。そして、そうした国のデフォルトが他国に影響する可能性は十分にあり得る。

中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、内戦で政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。

1.北米の増産加速

2.OPECの結束の揺らぎ

1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペースは鈍化している。足元の原油価格は多くの生産者の採算コストを上回っていると見られ、じりじりと生産は増加すると予想される。

2.は、OPECプラスが年末までの減産に言及するなど、出口を模索する状態にはない。

ムハンマド皇太子の強硬姿勢に嫌気が指し、財政状況も厳しくなったカタールがOPEC脱退を決定するなど、結束にはほころびが出始めている。イランの減産分をサウジが肩代わりするなど、対立国の利害関係が対立しており、イランの脱退で生産調整が機能しなくなる可能性もある

石炭価格は下落しているが、ほぼ季節性通りだ。ただ、米朝首脳会談が予想外の決裂となり、北朝鮮に対する制裁解除とそれに伴う海上輸送石炭需給緩和期待が後退しており価格は高止まりするだろう。

それよりは、米中貿易戦争の激化で中国が米国に従わない、親北傾向を強める韓国が非合法に北朝鮮に対する制裁を緩和する、という展開はあり得るだろう。2019年のびっくり予想ではないが、韓国と北朝鮮が統合し、朝鮮半島が一気に親中国に傾く、というシナリオもなくはない。

ただし、環境規制強化の世界的な流れを受けて、上流部門投資が抑制される見通しであることに伴う供給制限から下値余地も限定されると考える。この場合、石炭先物の期先の価格が目安として参考になるが、80ドル程度が下値の目途になるのではないか。

なお、2月の中国の貿易統計では、中国の石炭輸入は1,764万1,000トン(前月3,350万3,000トン)と前月から大幅な減速となった。これは昨年11月に、「2017年と同程度の石炭輸入量に抑制したい」とする中国政府の意向を受けて、石炭輸入が一時的に停止していたが1月から再開、その反動である。

なお、禁輸措置が取られていた間も、発電向けの石炭輸入が認められていたが、1月からこの規制が撤廃されたことによるもの。また、中国最大の発電所も在庫の再備蓄を開始しており、今後、中国の輸入は回復が予想される。

但し、1月の輸入増加時でも石炭価格は下落しており、やはり供給面というよりは景況感(=需要)動向の方が価格に与える影響の方が大きいといえる。

---≪LME非鉄金属≫---

LME非鉄金属価格は下落した。欧米の景況感が悪化したほか、ドル高の進行が材料となった。ただしLME指定倉庫在庫の減少が継続していることが価格を下支えした。FOMCがハト派的な内容となったことで上昇していたが、ドルが断続的に上昇したことなどを材料に引けにかけて水準を切下げた。

非鉄金属価格はマクロ経済統計の減速を受けて調整地合いの中、在庫減少などを材料に底堅い推移になると考える。結局レンジワークを継続すると考える。

米中の経済統計に減速がみられ、欧州も景気見通しが下方修正されるなど、前提となるマクロ経済の先行き見通しが不透明になってきたことが価格を下押しするものの、一部の金属で供給減少がみられること、それに象徴されるLME指定倉庫在庫の減少が継続していること、中国の経済対策や公共投資の積み増しなどの影響や、金融緩和の効果が顕在化すると予想されるため、下げ幅も限定されるだろう。

直近のIMFの2019年の経済見通しは+3.5%(10月比▲0.2%)に引き下げられ、EUもユーロの成長見通しを+1.3%(▲0.6%)に引き下げており、OECDも世界景気見通しを+3.3%(前回発表時比▲0.2%)と引き下げた。

さらにECBもユーロの成長見通しを+1.1%(▲0.6%)と大幅に引き下げている。広く景気循環銘柄価格の下落要因になると予想される。

しかし今後、需要をけん引していくと考えるインドの成長見通しはIMF見通しで引き上げられ(+7.4%→+7.5%)、中国の見通しは据え置かれた(+6.2%→+6.2%)。

先日発表された中国の製造業PMIは49.2(前月49.5)と2016年の2月以来の低水準となった。生産が減速(50.9→49.5)したことが影響したようだ。

しかし、さらに細かく見ると輸出向け新規受注は減速しているが、新規受注が回復(49.6→50.6)しており、完成品・原材料在庫とも低下している。つまり、生産減速でPMI自体の数値はさほど良くないものの、需給両面で需給がタイト化しておりLME非鉄金属価格を押し上げている、という形である。

また、後に発表された財新製造業PMIは49.9(市場予想48.5、前月48.3)と市場予想を上回る改善となった。これはシャドーバンキング規制の一部緩和などの対策が奏功したと見られ、中国の需要増加に寄与すると見る。

しかし、2月の貿易統計が主に米国向けの輸出が減速(前年比+9.1%→▲20.7%)、日本向けも減速(+5.7%→▲1.1%)した。輸入に関しても米国からの輸入が▲35.1%(前月▲41.2%)と大幅に減速、アセアン諸国からの輸入も減速(▲7.1%→▲8.2%)するなど中国の内外の景気が減速している可能性が高まっていることは、中国の工業金属を巡る状況が非常にいびつになってきていることを表している。

結局、景気の減速の可能性が高いため、今後は各国政府・中央銀行の経済対策動向と、たまたま発生している供給懸念が、「下りのエスカレーターに乗る非鉄金属価格」を下支えすることになると予想される。言葉を変えると政策次第ではさらに水準が下がる可能性がある、ということである。

非鉄金属需要の伸びは足元減速しているが、長期的には強気である。価格が上昇するのはおそらく次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020年以降になるだろう。

米中貿易交渉は妥決に向けて調整が進んでいるように見えたが、やはり難航しているようだ。交渉担当者は4月末までの合意を目指していると伝えられているが、中国側は「通商交渉で規定されるルールは、中国の法律に準拠する必要がある」と主張するなど、知的財産の保護や技術の強制移転の抑止にならないルールを主張しているようで、このままだと妥決は難しい。米中の覇権争いが前提にあるため、根本的に解決するまでには複数年を要する、と見ておくべきである。

Brexitは欧州議会選挙の前日となる、5月22日までの期限延長が認められた。しかし、実際の決定は4月12日までに行わねばならず、英下院がEU離脱案を受け入れれば、秩序ある離脱となるが、そうならなければ無秩序離脱か、より長い期間の期限延長のどちらかとなる(テクニカルにはほかにも選択肢はある)。

結局、ハードブレグジットとなるリスクは払しょくしきれないということである。

ただ、離脱時期が後倒しされたことで、企業や各国政府も対応する猶予が与えられたとも言え、多少なりともリスク健在化時の影響が小さくなると期待される。

米朝首脳会談は予想外の決裂となったが、「なし崩し的な制裁解除」にならなかったことは意味があるといえる。今後も米朝の協議は継続するということで一致はしているようだが、今後、どのようなパスを経て非核化が進むかは不透明だ。

結局、下りのエスカレーターに乗っている中で、イベントをどのように整理するかが今後を占う上での基本的な考え方になるだろう。

なお、年後半にかけて米国の減税効果が剥落することから上値も重く、本格的に上昇に転じるのは2020年以降のインドの人口ボーナス期入り以降となるのではないか。

米国の制裁の影響は顕在化しつつある。1-12月期の中国工業セクター利益は前年比+10.8%の6兆6,351億元(1-11月期+11.8%の6兆1,169億円)、12月は▲1.9%の6,808億元(前月▲1.8%の5,948億円)と、1-11月期、11月から減速している。工業セクター利益は半年後の非鉄金属価格に対する説明力が高い。

さらに中国の1-12月期の固定資産投資は前年比+5.9%の63兆5,636億元(1-11月期+5.9%の60兆9,267億元)と市場予想の+6.0%を下回った。公的セクターの投資の伸びが減速(+2.3→+1.9%)したことが影響。

工業生産も年間累計では前年比+6.2%(+6.3%)、不動産開発投資も前年比+9.5%の12兆264億元(+9.7%の11兆83億元)と伸びが減速している。

構造的な成長ペースの鈍化に、循環的な減速、米中貿易戦争の影響が顕在化し始めているとみられる。

日本の歴史を見てもわかるように、人口動態のピークアウトは住宅セクターの鎮静化につながりやすく、今後はこれまで作ってきたバブルをいかに混乱なく潰せるかどうかである。

この状況に関して習近平国家主席は「急激かつ深刻な危機に直面している」と発言、中国が置かれている状況が外から見ているよりも深刻である可能性が高いこと、同時に中国政府は国内景気維持のために、経済対策を行わざるを得ない状況にあることを示している。

李克強首相は、景気下支えを目的に大規模な経済対策の実施方針を表明した。

非鉄金属価格に影響しそうな対策としては、企業の税負担と社会保険料の負担を軽減(2兆元弱)、増値税の引き下げ(製造業:16%→13%、建設業:10%→9%)、地方政府がインフラ投資に充てる債券の発行枠を2018年比+8,000億元の2兆1,500億元に、対象を絞った預金準備率、今年は中小銀行向けに追加引き下げ、などが挙げられる。

しかし、これまで緊縮財政を進めてきた習近平と対立する政策であり、胡派・習派の対立が強まる可能性もあり得る。

短期的には投機筋の動向が重要になるが、3月15日付のLMEポジションはアルミを除く、すべての金属でショート増加に伴う、ネットロングの減少傾向維持が確認されている。

投機筋のLME+CME銅ネット買い越し金額は173.9億ドル(前週174.7億ドル)と減少。上昇率は▲0.5%。

買い越し枚数はトン数換算ベースで4,438千トン(4,354千トン)と増加、増加率は+1.9%である。価格が低いアルミのロングが増加したが、価格の高い銅の枚数減少が価格上昇率の押し下げに寄与したようだ。

中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、2020年頃からインドが人口ボーナス期に入ることから構造的な需要増加はまだ継続すると見ており、強気のスタンスを崩していない。

また主に中国の環境規制強化に伴うスクラップの自由度の低下や、世界的な脱炭素の流れは逆に抗うつ資源需要を高めるとみられることも価格を押し上げよう。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかである。

恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行することはないだろう。そんな中、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。

中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国をたたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。

この見通しの上昇リスクは需要面では、

1.中国の景気刺激策の実施

2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台が使われる)、蓄電池としての鉛、コバルトなど)

3.トランプ政権のインフラ投資計画実施

4.米中貿易戦争が終結する場合

などが考えられる。

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、全人代では減税や公共投資の一部積み増し、地方政府の債券発行上限の引き上げなどが行われ、シャドーバンキング規制も一部緩和された。

ただし逆に、地方政府財政が逼迫していることから、財政状況が懸念されており、実需以外の期待感をあまり高めていないのも事実である。

2.の環境規制強化の流れの中でのEVブームは、鎮静化している。EV普及のためには補助金負担は必須であり、景気が減速する中ではなかなか積極的にEV政策を推し進められないことが背景にある。よって、市場が期待しているほどのペースで普及するとは見ていない。

3.はそもそも大きな政府を目指している民主党の理解が得られやすいため、メキシコとの壁は作らないと思うが一部実施される可能性は高まった。

4.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。

供給面は個別性が強いが、以下が上昇リスク要因として挙げられる。

1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)

2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続

3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり

4.銅の減産

5.ヴァーレの尾鉱ダム事故による環境規制強化に伴う減産

4.については2019年にインドネシアのGrasberg鉱山が露天掘りから坑内掘り(地下オペレーション)に移行する見込み。

これに伴い生産量は大幅に減少する見込みで2018年の54万4,000トンから27万トン程度まで減少すると予想される。

2018年の世界の生産上位10社の増産は+6.8%だったがGrasbergの減産で+4.1%程度に減速する。

Cobre Panamaプロジェクトの増産で15万トン程度が見込まれているがこれでもGrasbergの減産分の半分程度しか賄えない。また、インドのVedanta、Tuticorinも稼働再開が認められていない。

5.は今後のブラジル政府の対応によるが、汚染物質の流出や人が多数死亡していることを考えると、鉱山の種類・企業に関係なく金属生産に影響が及ぶ可能性がある。3月にブラジル政府は新たな鉱山の稼働停止を指示しており、この動きが非鉄金属に影響する可能性もある。

金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。

1.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速

2.1.に限らず長期金利が日欧の低金利政策の継続で低下する場合

3.米中貿易戦争が終結する場合

1.は1月のFOMCでFRBはハト派的なスタンス(タカ派から中立に)に転じており、金融面で原油価格を押し上げる可能性が高まっている。

3.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。

下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要因の軸となる。

1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速

2.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化

3.株価の調整

4.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

5.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、足元は米国の制裁強化の影響でむしろこちらにブレーキを踏む動きになっている。

2.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

3.は昨年後半に顕在化した。きっかけは短期金利の急上昇で2年金利が5年金利を上回った事だ。既に2年金利と5年金利は昨年後半から再び逆転し、2年金利のほうが割高に推移しているが今回はまだ昨年の様な事は起きていない。従来から言われているように、2年・10年の金利が逆転した場合の急落を想定しておいた方が良いかもしれない。

しかし仮に長短金利が逆転した場合、再び株価が調整、商品価格に影響が出るシナリオも想定される。

4.は同盟国に対しては常識的な落としどころを探る動きになると期待しているものの、来年の選挙のことも考えると、米国が何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないと見るべきだ。

5.は米国の利上げ打ち止めでその可能性が低下した。しかし、ベネズエラなど、利上げとは関係ないところで財政状況が悪化している国は存在する。そして、そうした国のデフォルトが他国に影響する可能性は十分にあり得る。

中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、内戦で政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪鉄鋼原料≫---

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は上昇、原料炭スワップ先物は横這い、中国鉄鋼製品価格は下落した。

供給懸念が鉄鉱石価格を押し上げる一方、景気への懸念が製品価格を下押ししている。

鉄鉱石価格は高値圏での推移になると考える。ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響による供給減少が価格を下支えする一方、米中協議の先行きが不透明で、中国国内の景気先行き不透明感も強いことが価格を押し下げるため。

ただし、同時に中国政府は経済対策や金融緩和による景気テコ入れを行う方針であり、下値余地も限定されると考える。

鉄鋼製品・鉄鉱石価格に影響しそうな対策としては、企業の税負担と社会保険料の負担を軽減(2兆元弱)、増値税の引き下げ(製造業:16%→13%、建設業:10%→9%)、地方政府がインフラ投資に充てる債券の発行枠を2018年比+8,000億元の2兆1,500億元に。対象を絞った預金準備率、今年は中小銀行向けに追加引き下げ、などが挙げられる。

しかし、これまで緊縮財政を進めてきた習近平と対立する政策であり、胡派・習派の対立が強まる可能性もあり得る。

ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響を正確に予想することは難しいが、今のところ最大で7,000万トンの供給減少になるとの見通しを同社は示している。これにチンボペバ鉱山(1,280万トン)も稼働停止命令が出されたため、合計で8,280万トンの供給減となる。

この動きは、ヴァーレが保有する17の尾鉱ダム全てに及ぶ可能性があり、さらに、ヴァーレの経営悪化が起きればその他の金属にも波及する可能性があり、さらに環境問題にまで発展すれば、他社に対する影響も無視できなくなる。

IMFの2019年の経済見通しは+3.5%(10月比▲0.2%)に引き下げられ、EUもユーロの成長見通しを+1.3%(▲0.6%)に引き下げており、OECDも世界景気見通しを+3.3%(前回発表時比▲0.2%)と引き下げた。さらにECBもユーロの成長見通しを+1.1%(▲0.6%)と大幅に引き下げている。広く景気循環銘柄価格の下落要因になると予想される。

しかし今後、需要をけん引していくと考えるインドの成長見通しはIMF見通しで引き上げられ(+7.4%→+7.5%)、中国の見通しは据え置かれており(+6.2%→+6.2%)、需要の伸びは減速するものの底堅い推移になるだろう。

2月の中国鉄鋼業PMIは50.6(前月51.5)と再び減速した。新規受注の落ち込みが大きい(53.4→47.8)。輸出向け新規受注が回復しているため(44.1→48.7)、恐らく国内向けの需要が減速しているものと考えられる。

また原材料在庫指数は55.2(前月55.7)と高水準を維持する一方、完成品在庫は60.5(42.4)と大幅に上昇しており、在庫の積み増し需要は鈍化すると見る。

ただし、後に発表された財新製造業PMIは49.9(市場予想48.5、前月48.3)と市場予想を上回る改善となった。これはシャドーバンキング規制の一部緩和などの対策が奏功したと見られ、中国の需要増加に寄与すると見る。

米中貿易交渉は妥決に向けて調整が進んでいるように見えたが、やはり難航しているようだ。

交渉担当者は4月末までの合意を目指していると伝えられているが、中国側は「通商交渉で規定されるルールは、中国の法律に準拠する必要がある」と主張するなど、知的財産の保護や技術の強制移転の抑止にならないルールを主張しているようで、このままだと妥決は難しい。米中の覇権争いが前提にあるため、根本的に解決するまでには複数年を要する、と見ておくべきである。

Brexitは欧州議会選挙の前日となる、5月22日までの期限延長が認められた。しかし、実際の決定は4月12日までに行わねばならず、英下院がEU離脱案を受け入れれば、秩序ある離脱となるが、そうならなければ無秩序離脱か、より長い期間の期限延長のどちらかとなる(テクニカルにはほかにも選択肢はある)。

結局、ハードブレグジットとなるリスクは払しょくしきれないということである。

ただ、離脱時期が後倒しされたことで、企業や各国政府も対応する猶予が与えられたとも言え、多少なりともリスク健在化時の影響が小さくなると期待される。

鉄鋼製品在庫は前週比▲68.7万トンの1,735.1万トン(過去5年平均1,571.6万トン)と例年を大きく上回る水準を確保出来た。これから在庫取り崩しの時期を迎えるため、鉄鉱石需要は鈍化しよう。

一方、鉄鉱石在庫は前週比+40万トンの1億4,860万トン(過去5年平均1億1,906万トン)、在庫日数は+0.1日の36.6日(過去5年平均 35.4日)と例年の水準を上回っている。

しかし、ヴァーレの減産の影響が徐々に顕在化するとみられるため、鉄鉱石在庫動向にも注目したい。

米国の制裁の影響は顕在化しつつある。1-12月期の中国工業セクター利益は前年比+10.8%の6兆6,351億元(1-11月期+11.8%の6兆1,169億円)、12月は▲1.9%の6,808億元(前月▲1.8%の5,948億円)と、1-11月期、11月から減速している。工業セクター利益は半年後の非鉄金属価格に対する説明力が高い。

さらに中国の1-12月期の固定資産投資は前年比+5.9%の63兆5,636億元(1-11月期+5.9%の60兆9,267億元)と市場予想の+6.0%を下回った。公的セクターの投資の伸びが減速(+2.3→+1.9%)したことが影響。

工業生産も年間累計では前年比+6.2%(+6.3%)、不動産開発投資も前年比+9.5%の12兆264億元(+9.7%の11兆83億元)と伸びが減速している。

構造的な成長ペースの鈍化に、循環的な減速、米中貿易戦争の影響が顕在化し始めているとみられる。

日本の歴史を見てもわかるように、人口動態のピークアウトは住宅セクターの鎮静化につながりやすく、今後はこれまで作ってきたバブルをいかに混乱なく潰せるかどうかである。

この状況に関して習近平国家主席は「急激かつ深刻な危機に直面している」と発言、中国が置かれている状況が外から見ているよりも深刻である可能性が高いこと、同時に中国政府は国内景気維持のために、経済対策を行わざるを得ない状況にあることを示している。

鉄鋼製品需要の伸びは足元減速するとみられるが、長期的には強気である。価格が上昇するのはおそらく次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020年以降になるだろう。

なお、アジア開発銀行は2016年~2030年のアジアのインフラ投資規模は26兆ドル(3,000兆円、年間1兆7,000億円)に達すると試算している。

一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。

また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,069億元と大幅に積み増しされており、中国が軍事的に周辺国を支配しようとしているのは明らかである。

恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行することはないだろう。そんな中、10月の米中首脳会議で安倍首相は透明性を高めることなどを前提に、一帯一路構想への協力を約束した。

中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国をたたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。

上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。

1.中国の景気刺激策の実施

2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合

3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合

1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。

ただ、既に預金準備率の引き下げは実施されているが地方政府財政も逼迫していることから支出の拡大となる公共投資の規模拡大は限定されると予想される。

2.はそのプロジェクトの質(たち)の悪さから導入を見送る国が増えており、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリスクではない。しかし、G7の中で初めてイタリアが一帯一路に同調するなど、景気の減速感が強まっている欧州で異なる動きがみられていることは、先行きの不透明感を強めている。

3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているため、部分的な財政出動で合意する可能性はある。

下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。

1.中国の住宅バブル崩壊

2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない場合

3.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が下落する場合

4.地政学的リスクの顕在化

5.米輸入規制強化並びにそれに対する報復

6.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト

2.に関しては地方財政が悪化していることは確かなようで、財政状況を悪化させるような財政追加出動よりは金融緩和に舵が切られる可能性が高く、その顕在化の可能性も高まっている。

4.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、Brexitがハードなものになる可能性は2019年以降の重要なリスクの1つである。

中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。

5.は同盟国に対しては常識的な落としどころを探る動きになると期待しているものの、来年の選挙のことも考えると、米国が何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないと見るべきだ。

6.は米国の利上げ打ち止めでその可能性が低下した。しかし、ベネズエラなど、利上げとは関係ないところで財政状況が悪化している国は存在する。そして、そうした国のデフォルトが他国に影響する可能性は十分にあり得る。

中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,300億ドル程度と言われるベネズエラの外貨建て債務(+PDVSA債務)の5割近くに相当する。

仮にデフォルトしたり、内戦で政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、IMFや米国に泣きつく可能性はあり、この場合の中国は債権放棄を余儀なくされる可能性がある。

この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。

---≪貴金属≫---

金銀価格は金が終値ベースで上昇、銀が下落した。欧米景況感の悪化を受けた株価の調整、それに伴う長期金利の低下が実質金利を押し下げこれが価格の上昇要因となったが、欧州発(Brexitなど)のドル高進行が価格を下押しした形。

銀は多少なりとも工業金属的な色彩が強いこと、下落時・上昇時の変化は金よりも大きいことから結局前日比マイナスで引けた。

PGMは金銀価格がもみ合ったものの、株価の下落が価格を大きく下押しした。PGMの需給バランスを見る上での参考としているロジウムの価格は3,315ドルに上昇しており、週末の下落がどちらかといえば、センチメントの悪化によるものであることを示唆している。

金価格は再び上昇余地を探る動きになると考える。米欧中の統計が悪化し、世界的に金融緩和観測が広がる中長金利に低下圧力がかかりやすくなり、実質金利の低下が価格を押し上げると考えられること、米中貿易交渉がまだ解決していないこと、欧州のBrexitを巡る混乱や信用リスクの高まりが安全資産需要を増加させるため。

Brexitは欧州議会選挙の前日となる、5月22日までの期限延長が認められた。しかし、実際の決定は4月12日までに行わねばならず、英下院がEU離脱案を受け入れれば、秩序ある離脱となるが、そうならなければ無秩序離脱か、より長い期間の期限延長のどちらかとなる(テクニカルにはほかにも選択肢はある)。

結局、ハードブレグジットとなるリスクは払しょくしきれないということである。

ただ、この期限延長が起きればその時間に「企業や他国は対応する時間的なゆとりを得る」ため、ハードBrexitが顕在化した場合の影響は時間経過とともに緩和すると期待される。このことは、緩やかに金価格の押し下げ要因となるだろう。

金価格に対する実質金利の説明力が高いことは繰り返しこのコラムで解説している通りであるが、名目金利の決定要因は景気動向そのものや、株価動向などの影響を受けるが、基本的には中央銀行の金融政策動向が左右している。

(以降の分析の詳細は2019年1月17日付けMRA's Eyeを参照ください)

過去の利上げと金価格の感応度を分析すると、仮に今年の米利上げが1回、2回だった場合各々金価格を▲100ドル、▲50ドル押し下げる。仮に景気刺激のサプライズ利下げがあれば、金価格は+50ドル押し上げられる。

同様に、期待インフレ率に対する原油価格の影響は大きく、仮にWTIが現在の50ドル近辺から40ドル程度まで下落した場合には、期待インフレ率は▲0.2%低下し、逆に何かしらの供給危機が顕在化して価格が70ドル程度まで上昇した場合には+0.4%上昇することが予想される(同様の感応度分析を行うと、金価格は各々▲65ドルの押し下げ、+130ドルの押し上げ要因に)。

以上を整理すると金価格が最も上昇する場合は、「利下げ実施(1回)、中東情勢不安顕在化」の場合で現在の価格から180ドル程度上昇し、1,480ドルを付けることになる。

最も下落する場合は、「利上げ2回実施、原油価格下落」で、1,135ドル程度までの下落があることになる。

これに地政学が加わると、最も上昇する場合が、「利下げ実施(1回)、中東情勢不安顕在化、米国債リスク顕在化」であり、1,800ドルまでの上昇、次が「「利下げ実施(1回)、中東情勢不安顕在化、軽度の信用不安顕在化」で、1,510ドルまでの上昇となる。

逆に、「利上げ2回実施、原油価格下落、イベントリスクの顕在化なし」の場合は985ドルまで下落となる。

1月のFOMCを受け、「利上げなし、原油価格は緩やかな上昇、軽度のイベントリスク顕在化」で、1,300ドル程度でもみ合うことになるのではないだろうか。

銀は、Silver Instituteなどの分析では、鉱山生産が前年比▲2%となる一方、需要面は工業需要が緩やかな増加に止まる一方、世界的な再生可能エネルギーへの移行圧力が強まっていることから、太陽光発電需要が見込まれるため、需給はタイトに推移すると見られている。

しかし、価格決定要因としては、金との相対価格がより説明力が高く、引き続き80前後の金銀レシオを維持しつつ、金価格動向に振らされる展開になるだろう。

今後については金価格が、実質金利の低下を背景に堅調に推移すると考えられることから、同様に高い水準を維持すると考える。

足元、COMEXの金銀在庫レシオの金銀レシオに対する説明力が高いが、足元でも金銀在庫レシオは高い水準を維持しており、金銀レシオには低下の気配が見られない。記録的な水準まで積み上がった銀の取引所在庫の影響で、しばらくはこの80越えの水準を維持するだろう(詳しくは2018年10月19日付のMRA's Eyeをご参照ください)。

銀価格は金銀在庫レシオの高止まりを受け、中期的には76倍~83倍程度での推移になると考える。

最も上昇する場合は金価格が1,800ドルまで上昇する場合で23.7ドル、1,510ドルまで上昇した場合で19.9ドル、985ドルまで下落し、金銀レシオが83倍で推移した場合12ドル程度真での下落はある。

しかし実際には金1,300ドル、金銀レシオ80倍程度で16.25ドル程度が目安になるのではないか。

短期的な価格動向を占う上で参考になる投機筋の売買動向は、3月19日時点で金のロングが▲925枚の204,325枚、ショートが▲10,502枚の115,929枚、銀のロングが▲987枚の75,196枚、ショートが+2,785枚の51,886枚となっている。

PGM価格は金銀価格が上昇余地を探る動きになるため下値は堅いが、景気の先行きへの懸念から対金銀ではレシオを低下させる(割安に推移する)と見る。

パラジウムはリースレートが10%を割り込み、実際の需給面は緩和に向かいつつある。また、投機のネット買いポジションも歴史的に見ても決して「高い」という感じではない。

背景には歴史的な低水準にある取引所在庫の水準が影響しているとみられる。今のところ供給面での需給タイト化が意識されているため、しばらくこの状態は続くことになるだろう。

とはいえ、短期的な売られすぎ・買われすぎの指標であるRSIは明確に買われすぎを示唆しており、米朝会談や米中協議、Brexitなどのイベントを控える中では、手仕舞い売り圧力も強まることは無視できない。

中期的には、世界景気の減速に伴う自動車販売の減速、それに伴う自動車向け排ガス触媒需要の減速が価格を下押しすると考える。

中国の2月の自動車販売(工場出荷数)は前年比▲13.8%の148万1,600台となった(1月▲15.8%の236万7,300台、12月▲13.0%の266.2万台、11月▲13.9%の254.8万台、10月▲11.7%の238万台、9月▲11.6%の239万4,100台、8月▲3.8%の210万3,400台、7月▲4.0%の188万9,100台)と8ヵ月連続でマイナス成長となり、同国の耐久財需要が減少していることが伺える。

米国の2月の自動車販売は1,656万台(市場予想1,680万台、前月1,660万台)と悪化した。2019年の自動車販売は減速する、というのが市場のコンセンサスとなりつつある。

2月の米消費者信頼感は131.4と前月の121.7から大幅に改善した。FRBの利上げ打ち止めに伴う株価上昇で、消費者のマインドが改善したためとみられる。

ちなみに2月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数では、6ヵ月以内自動車購入指数は12.0(12.9)に低下しており、PGM価格には下押し要因となる。

弊社は需給面の見通しに関しWPICの見通しを参考にしているが、直近の見通しでは2019年のプラチナの需給は68万オンスの供給過剰と、前回発表の45万5,000オンスから供給過剰幅が引き上げられた。

プラチナはパラジウム需要の増加で結果的に増産となり、その一方で需要が減速しているため需給は大きく緩和している。

2019年の自動車向けの触媒需要は前年比▲75万オンスとなる一方、供給はパラジウム需要の増加に伴う増産の影響などで、南アフリカ(+18万オンス)、ジンバブエ(+4万オンス)が増産となるが、北米(▲4万オンス)、ロシア(▲1万5,000オンス)が減産の見込みだが、合計で+16万5,000オンスの供給過剰となる見込み。

この結果、地上在庫は349万5,000オンス(2018年 281万5,000オンス))に増加する見込みで、在庫日数も162.6日(137.6日)と増加見込みであり、在庫の顕著な増加が価格を低水準に抑制するだろう。

ただしパラジウム価格の高騰が、代替品・投資向け代替品としてのプラチナ需要を高めるためそれでも下値は限定されると考える。

なお、南アフリカのPGM生産指数は12月時点で107.5(季節調整前)と過去5年平均程度まで減速した。今の需要動向をみるとよりプラチナ需給が緩和し、パラジウムの供給は不十分で両者のスプレッドは、需給面からまた拡大する可能性が出ている。

3月19日現在、CFTCのプラチナポジションはロングが+649枚の43,204枚、ショートが▲584枚の25,623枚、パラジウムはロングが▲11枚の17,516枚、ショートが+474枚の4,932枚となっている。

---≪農産品≫---

シカゴ穀物価格は高安まちまち。中国向けに米国が30万トンのトウモロコシを販売したことや、米海洋気象局が米生産地の3分の2で洪水がある可能性があることなどが材料となった。大豆は米国との交渉が難航していることとドル高で売られ、小麦は競合地域の小麦輸出攻勢の前に水準を切下げている。

穀物価格は一旦買戻しが入るものと考える。シカゴの需給は緩和している可能性が高いが、景気の先行き不透明感が強い中で景気循環系商品が売られ、非景気循環銘柄に買い圧力が強まると考えられるため。

米中貿易交渉は、中国が何らかの譲歩をする可能性はあるものの、まだ正式合意に至っていないことから、4月、場合によると5月にずれ込むとみられる米中首脳会談まで予断を許さない状況が続くと予想する。

先日発表された米国の作付け意向面積では、弊社は大豆/トウモロコシレシオの水準から考えて、大豆の大豆+トウモロコシ作付け面積比率は46.8%(誤差考慮後45.4%~48.2%)と予想していたが、結果は48.0%と、その上限近辺で収まった。

予想通り、トウモロコシの作付け面積が増え、大豆の作付け面積が減る形であり、トウモロコシ価格の下押し、大豆価格の上昇要因となる(詳しい解説は、2019年1月11日付けの弊社レポート「2019年穀物価格見通し~米中貿易戦争に左右されつつも軟調推移か」をご参照ください)。

米需給報告では、トウモロコシの期末在庫が18億3,500万Bu(市場予想17億5,096万Bu、前月17億3,500万Bu)、大豆が9億Bu(9億407万Bu、9億1,000万Bu)、小麦が10億5,500万Bu(10億1,937万Bu、10億1,000万Bu)だった。

2018-2019年の米穀物生産は豊作が見込まれており、さらにエルニーニョの発生が北米生産にプラスに作用すると考えられることから、価格には下押し圧力が掛かりやすい。

3月19日付のCFTC投機筋ポジションは、トウモロコシのロングが▲1,344枚の433,114枚、ショートが▲2,966枚の533,8095枚、大豆のロングが+2,784枚の127,547枚、ショートが▲22,703枚の168,027枚、小麦のロングが▲999枚の145,012枚、ショートが▲1,688枚の187,973枚となっている。

全ての穀物でネット売り越しとなっている。今年はエルニーニョ現象が発生しており、基本的に北米は増産となりやすい。しかしエルニーニョやラニーニャは「異常気象の発生がある」と整理すべきであり、受粉期の異常気象は十分に考えられる。

そのため、一時的に積み上がったショートポジションの解消が進む可能性は否定できない。

詳しくは2019年3月7日付MRA's Eye「穀物のショート積み上がり」をご参照ください。

◆本日のMRA's Eye


「米中短金利の逆転」

週末の金融市場は大荒れとなった。欧米の製造業PMIの悪化を受けて株が調整、それを受けて長期金利が低下、一時米3ヵ月金利と、1年金利が10年金利を上回る逆転現象が発生した。

これを材料に株式市場は「景気後退局面入り」と判断して売りを入れたため、多くのリスク資産価格の下押し要因となった。一般に米国の10年・2年利回りが逆転すると、半年後に景気後退局面入りするといわれている。

そのため、仮に2年・5年のスプレッドが逆転したとしても必ずしもそれが景気後退のサイン入り、とは言えない。

しかし、過去の例を見てみると実は米2年・10年、米2年・5年のスプレッドの逆転はほぼ同じタイミングで起きている。ただし、現在と異なるのは、過去の例では両者とも長短金利が逆転している点だ。

仮に2年・5年のスプレッド並びに、2年・10年のスプレッドが逆転することが景気減速への必要条件であるとするならば、まだ景気後退入りは先になるはずだ。

しかし、短期金利と中期金利のスプレッド逆転が過剰に意識されるならば、株価の下落に伴うセンチメントの悪化で、景気後退局面入りするタイミングが早まる可能性もあり得るだろう。

昨年8月からの市場動向を見ると、2年・5年のスプレッドが逆転してから株価が下落したが、EPS(1株当たり利益)が低下しての下落ではなく、PERが低下しての下落であり市場のセンチメントが悪化したことによる下落、と整理できる。

これが反転したのがFOMCでの利上げ打ち止め決定だ。これによって市場参加者のリスク選好が回復、PERの上昇を伴って株価が回復したわけだ。

今回もFOMCで同様に利上げ打ち止めを明確に打ち出し、さらにはバランスシートの調整終了も9月末と正式に発表した。昨年から今年にかけての相場展開と同じであれば、このFOMCの決定は株価にプラスに作用するはずだった。しかし、現実はそうなっていない。

前回と今回の違いは、1.昨年と今年では景気が循環的に減速しており景況感に差がある、2.1.と関連するが米中貿易戦争の影響がさらに景気を下押ししている、3.マクロ経済が減速する中では過剰なリスクテイクの状態を維持することは難しい、といったことが挙げられるだろう。

これから先、FF金利の引き下げがなければ、景気減速やバランスシート縮小の終了を受けて長期金利がさらに低下し、長短・中短スプレッドが逆転する可能性は否定できず、その場合、それを材料に株価が調整するシナリオはあり得るだろう。

この場合、景気循環系商品価格に調整圧力がかかると予想される。昨年12月3日の2年・5年のスプレッド逆転以降の商品相場を見てみると、原油が株価に連れる形で顕著に下落しているが、非鉄金属はそれほど下落していない。

非鉄金属は、1.供給懸念が強いこと、2.最大消費国である中国の経済対策期待、3.LMEを始めとする取引所在庫の減少が継続していること、などからそれほど大きな下落にはなっておらず、むしろその後の利上げ打ち止め観測でより大きく上昇している。

株価の調整が続くならば、上記を勘案すると、年初来の騰落率はエネルギーセクターが+13.2%、LME非鉄金属が+9.7%であることを考えるとよりエネルギーに調整圧力が強まる展開が予想される。

◆主要ニュース


・2月日本全国消費者物価指数 前年比+0.2%(前月+0.2%)
 除く生鮮+0.7%(+0.8%)
 除く生鮮エネルギー+0.4%(+0.4%)

・3月日経日本製造業PMI速報 48.9(前月改定 48.9)

・2月日本全国スーパー売上高 前年比 ▲2.5%の9,524億円(前月▲3.4%の1兆879億円)

・1月日本景気動向指数改定 先行指数 96.5(速報比+0.6、前月改定 97.5)、景気一致指数 98.1(+0.2、101.8)

・2月日本全国百貨店売上高 前年比+0.4%の4,220億円(前月▲2.9%の4,927億円)、東京都区部百貨店売上高▲0.5%の1,169億円(▲2.9%の1,329億円)

・3月独製造業PMI速報 44.7(前月改定 47.6)、サービス業 52.7(52.8)、コンポジット 51.3(51.9)

・3月ユーロ圏製造業PMI速報 47.6(前月改定 49.3)、サービス業 52.7(52.8)、コンポジット 51.3(51.9)

・1月米卸売在庫 前月比+1.2%(前月+1.1%)、卸売売上高 +0.5%(▲0.9%)

・2月米中古住宅販売 前月比+11.8%の551万戸(前月▲1.4%の493万戸)

・2月米財政収支 ▲2,340億ドルの赤字(前月2,152億ドルの赤字)

・セントルイス連銀ブラード総裁(投票権あり・ハト派)、「今年の金利変更は不要。」

・ミネアポリス連銀カシュカリ総裁(投票権なし・ハト派)、「政策金利は中立に近い。」

・ECBドラギ総裁、「リセッションに陥る可能性はかなり低い。」

・北朝鮮、南北連絡事務所から当局者を引き揚げ。北朝鮮は米国に対して、グアム・ハワイからの兵器撤去を要求。

・米モラー捜査官、トランプ大統領のロシア疑惑に関する捜査報告書をバー司法長官に提出。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数824(前週比▲9)、 ガスリグ 192(前週比▲1)。

・米政府、兵器プログラムを巡って新たな対イラン制裁を発動。過去の核兵器開発で中心的な役割を担ったとされる組織「SPND」に関係する14個人と17団体が対象。対象者の米資産を凍結し、対象者と米国間の取引を禁止。

・トランプ大統領、シリアのISの支配地域の「完全制圧」を表明。

【メタル】
・キャタピラー、「関税の間接的な影響は2019年の後半に顕在化の可能性。」

・Citi、ベネズエラとの金スワップを締結。総額2億6,000万ドル。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ +3.40%/ +6.22%
2.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +1.84%/ +3.76%
3.ICEココア ( その他農産品 )/ +1.27%/ ▲10.64%
4.CBTもみ米 ( 穀物 )/ +1.13%/ +11.05%
5.CBTエタノール ( エネルギー )/ +0.78%/ +12.26%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ ▲3.10%/ +6.65%
67.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲2.84%/ +23.11%
66.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲2.67%/ +10.77%
65.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.41%/ ▲6.36%
64.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲2.32%/ ▲40.64%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :25,502.32(▲460.19)
S&P500 :2,800.71(▲54.17)
日経平均株価 :21,627.34(+18.42)
ドル円 :109.92(▲0.90)
ユーロ円 :124.23(▲1.82)
米10年債利回り :2.44(▲0.10)
独10年債利回り :▲0.02(▲0.06)
日10年債利回り :▲0.07(▲0.03)
中国10年債利回り :3.10(▲0.02)
ビットコイン :3,977.74(+4.50)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :20.71(+0.14)
エネルギー :21.51(+0.33)
ベースメタル :18.00(+0.14)
貴金属 :17.02(+0.45)
穀物 :17.86(+0.24)
その他農畜産品 :23.80(▲0.07)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :22.99(+0.91)
Brent :19.57(+0.54)
米天然ガス :25.05(▲0.73)
米ガソリン :30.34(▲0.18)
ICEガスオイル :19.22(+1.41)
LME銅 :18.91(+1)
LMEアルミニウム :15.96(▲0.5)
金 :12.07(+0.29)
プラチナ :21.68(▲0.52)
トウモロコシ :17.80(+0.09)
大豆 :12.07(+0.29)

【エネルギー】
WTI :59.04(▲0.94)
Brent :67.03(▲0.83)
Oman :66.83(▲0.72)
米ガソリン :192.59(+0.56)
米灯油 :196.59(▲2.12)
ICEガスオイル :597.25(▲13.00)
米天然ガス :2.75(▲0.07)
英天然ガス :36.25(▲0.86)

【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :67.03(▲0.83)
SPO380cst :412.38(▲2.61)
SPOケロシン :79.40(▲0.81)
SPOガスオイル :79.32(▲0.99)
ICE ガスオイル :80.17(▲1.74)
NYMEX灯油 :196.51(▲1.03)

【貴金属】
金 :1313.68(+4.32)
銀 :15.42(▲0.05)
プラチナ :847.23(▲14.37)
パラジウム :1553.43(▲45.40)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,369(▲132:6B)
亜鉛 :2,834(▲36:31.5B)
鉛 :2,040(▲15:20C)
アルミニウム :1,894(▲27:26.5C)
ニッケル :13,020(▲255:90C)
錫 :21,550(+150:50B)
コバルト :30,000(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6325.00(▲107.50)
亜鉛 :2821.00(▲14.50)
鉛 :2037.00(▲10.50)
アルミニウム :1902.50(▲1.00)
ニッケル :12975.00(▲50.00)
錫 :21465.00(+15.00)
バルチック海運指数 :690.00(▲5.00)
※C=Cash2M コンタンゴ、B=Cash2M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :85.72(+0.48)
NYMEX鉄鉱石 :85.89(+0.24)
NYMEX原料炭スワップ先物 :212.5(±0.0)
上海鉄筋直近限月 :3,778(▲34)
上海鉄筋中心限月 :3,761(▲36)
米鉄スクラップ :383(±0.0)

【農産物】
大豆 :903.75(▲6.75)
シカゴ大豆ミール :315.00(▲0.30)
シカゴ大豆油 :28.66(▲0.44)
マレーシア パーム油 :2090.00(±0.0)
シカゴ とうもろこし :378.25(+2.00)
シカゴ小麦 :466.00(▲0.50)
シンガポールゴム :171.30(▲0.90)
上海ゴム :11815.00(±0.0)
砂糖 :12.57(+0.07)
アラビカ :93.90(▲0.90)
ロブスタ :1480.00(▲9.00)
綿花 :76.58(▲0.60)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :78.33(±0.0)
シカゴ生牛 :129.73(▲0.18)
シカゴ飼育牛 :143.00(+0.23)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。