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米中協議進展期待のリスク
  • MRA外国為替レポート

2019年2月25日号

◆先週の市場総括


先週の市場は、週初はリスク選好に支えられ株価は堅調。一方為替相場は総じて小動きもみ合いとなった。

円は軟調となったが、週末にかけては弱い経済指標が一旦ブレーキに。またFRB当局者のハト派発言による米長期金利低下がドル高を抑制した。

ドル円相場は110円40銭近辺で始まった後は底固い値動き。しかし上値も重く、110円台後半の狭いレンジで上下動、概ね横ばいに終始し、週末NYの引けは110円70銭近辺。

ユーロドル相場も1.1340を中心にもみ合い横ばいとなった。週初、3連休明けの米国株は堅調に推移。引き続き米中通商交渉の進展が支えとなり、週末には合意に向けた具体的な報道に一段高となって3ヶ月ぶり高値で引けた。

日経平均は21,200円近辺で始まり、もみ合いながら小じっかり。一時21,500円台に乗せ引けは21,450円近辺。

月曜日の東京市場のドル円相場は108円40銭で始まり、その後は50銭~60銭で小動き。ユーロドルが対ドルで1.13台へ、対円で125円台へ、と小じっかりとなったが、その後はもみ合い。

この日は米国市場が休場のため動意なく、海外市場ではドル円相場、ユーロドル相場、ユーロ円相場、いずれも大きく水準を変える動きとならなかった。

日経平均は前週末に米国株が大幅上昇したことを好感して21,300円手前で高寄り、ただその後はもみ合い引けた。

火曜日の東京市場のドル円相場は引き続き110円50銭~60銭で推移したが、夕刻にかけてやや円安に。110円80銭に上昇。

ユーロドル相場は1.13近辺でもみ合い。ユーロ円相場は125円40銭~50銭に小幅高。日銀・黒田総裁が国会で、円高が進み経済物価に影響し目標達成に必要なら緩和を検討、と述べたことがやや円安を促した。

日経平均は21,200円台半ばで始まり小動きながらじり高。21,300円近辺で引けた。欧州市場に入るとユーロが下落。ドイツZEW景況感指数(2月)が弱い数字となったことに反応した。

ユーロドル相場は1.13割れ、ユーロ円相場は125円ちょうどに下落。ただその後は持ち直し、各々1.13台半ば、125円台半ばを回復した。ドル円相場は110円60銭近辺に小幅反落してもみ合い引け。米国株はじり高、小幅上昇。引き続き米中交渉の進展が下支え。

水曜日の東京市場のドル円相場は110円60銭で始まり、80銭~90銭に上昇してもみ合い。ユーロ円相場は125円40銭で始まり朝方に125円90銭へ上昇。ただその後は70銭~90銭で上下動となった。

日経平均は21,300円台後半で始まり21,400円に上昇。後場には一段高となり21,500円~21,550円でもみ合いとなった後、21,500円をやや割り込んで引けた。

この日発表された日本の1月の貿易収支は、輸出が前年同月比▲8.4%と不振。引き続き赤字となった。海外市場のドル円相場は110円80銭中心に小動き。ユーロ円相場も125円60銭~90銭で方向感なく上下動。

この日、米国ではFOMC議事録(1月29日・30日開催分)が公表された。この会合では市場の想定以上にハト派スタンスが示されていた。議事録では、大半の参加者が年内に保有資産の縮小停止を望ましい、と記された。

一方、年内の利上げについてとくに示唆はなかった。内容はほぼ想定内であらたな材料はなく為替市場は反応薄。米長期金利10年債利回りも2.65%近辺。米国株はもみ合い小幅高。

木曜日の東京市場のドル円相場は110円80銭で始まり、その後は60銭~80銭で上下。ユーロドル相場も1.1340で始まり1.1320~60で方向感なく上下動。

日経平均は21,350円~400円でもみ合い。後場に入ると小じっかり。21,400円台前半で引け。

発表された日本の製造業PMI景況感指数(2月)は48.5と予想50.4、前月50.3を下回り、景況感の分かれ目である50を割り込んだ。

海外市場に入って発表された経済指標も弱い数字が続いた。欧州の製造業PMI(2月)も、ユーロ圏が49.2、ドイツが47.6、といずれも50割れ。

米国では、耐久財受注(12月)の伸びが予想を下回った。フィラデルフィア連銀製造業指数(2月)は▲4.1と予想+14.0、前月+17.0から大きく低下してマイナスに。製造業PMIは53.7と50を上回ったものの、予想54.9、前月54.9、から悪化。

中古住宅販売(1月)も季節調整済年率換算で494万戸と予想505万戸、前月499万戸を下回った。

米国株は指標の弱さに反応して下落。ただ米10年債利回りはFRBのハト派スタンス織り込み一巡で小幅上昇し2.69%。為替市場は全般に小動き。ドル円相場は110円60銭~80銭の狭いレンジでもみ合い。ユーロドル相場も1.1330~60でもみ合い。ユーロ円相場は125円50銭近辺で推移した。

金曜日の東京市場のドル円相場は110円60銭~70銭で始まりじり高。海外市場にかけて110円90銭に上昇した。

日経平均は21,300円台後半で安寄りしたが、その後はじり高。21,400円台前半で引け。米国株は米中通商交渉の進展を好感して反発し週間でみると高値引け。3ヶ月ぶりの高値となった。

米中通商交渉を巡っては、トランプ大統領が訪米中の中国の劉鶴副首相と協議。米中貿易戦争の終結に向けた合意に至る公算が極めて高い、と述べた。

また3月1日の交渉期限を延長する意向を示し、習主席と3月に会談する公算が大、とした。習主席はトランプ大統領にあてた書簡で、交渉で大きな進展がみられた、両国が譲歩に向け一段と取り組むことを望む、と記した模様。

今回の協議では、要綱・覚書の策定に着手していることが明らかに。ムニューシン財務長官は、中国との通商協議で為替操作に関する合意が成立した、と述べた。

一方、米長期金利は小幅低下して10年債利回りは2.65%。2年債利回りは2.49%。

FRBクラリダ副議長は、FRBは今年、先入観をもたずに金融政策の枠組み見直しに着手、物価安定と完全雇用の達成に向けた調整を行う可能性がある、とハト派スタンスを示した。

為替市場では、ドル円相場は、米株高の一方で米長期金利が小幅低下したこともあり、反落して110円70銭中心に上下してそのまま引け。ユーロドル相場は1.1340中心に上下動。ユーロ円相場は125円40銭から70銭へ上昇したが、ドル円相場と同様、上値は抑制され125円50銭中心に上下してそのまま引けた。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米中通商交渉期限

先週末にかけて交渉の進展を示す発言や報道が散見された。具体的な要綱・覚書の作成に着手しているとみえ、市場のリスク選好は強まっている。

週末3月1日金曜日の交渉期限に向けて内容が固まり発表されるか。一部には交渉期限を交渉の進展を踏まえて前向きに延長するとの話もあるがどうか。さらに市場のリスク選好を強めることになるかどうか、注目される。

2.パウエル議長議会証言、FRB当局者発言

先週はクラリダ副議長のハト派発言がドル金利先高感を抑制した。今週は火曜日にパウエル議長が上院銀行委員会で半年に1度の議会証言を行う。

水曜日には下院金融委員会で証言。また木曜日には多くの連銀総裁が発言する機会がある。

すでにFRBの慎重姿勢はかなり織り込まれていることから、先週公表された1月末のFOMC議事録に対しては反応が鈍かったが、あらためて市場のハト派期待を強化することになるか。今後の利上げについて何らかの示唆があるか。

3.米国の経済指標

先週は弱い経済指標が目立った。政府機関閉鎖の影響や米中摩擦の影響もあるが、市場のリスク選好回復に水をさすことにならないか。

月曜日 ダラス連銀製造業景気っ数(2月)

火曜日 住宅着工件数(12月)、消費者信頼感(2月)、リッチモンド連銀製造業指数(2月)

水曜日 ADP雇用報告(2月)、貿易収支(12月)、中古住宅販売(1月)

木曜日 GDP(10-12月期)、シカゴ購買部協会景気指数(2月)

金曜日 個人所得・消費支出(12月)、ISM製造業景気指数(2月)

◆今週のMRA's Eye


米中協議進展期待のリスク 

先週も引き続き米中通商交渉妥結への期待で市場のリスク選好回復基調が続いた。

具体的な覚書締結に向けて協議が進展していることが明らかとなり、米国株は3ヵ月ぶりの高値に上昇して取引を終えた。

ただ、このところ公表されている経済指標は弱い数字が多い。中国の景気減速懸念は払しょくされていない。欧州では景気見通しが下方修正され、実際に経済指標も悪化している。

通商問題などの不透明感に加え、こうした米国にとっての海外景気の悪化が、FRBが利上げを当面様子見とした理由だ。

日本の経済指標をみても、グローバルな景気減速、とくに製造業部門の景況悪化が懸念される。このところ輸出は前年比でマイナスが続いている。

貿易収支はここ数ヵ月赤字が続いているが、エネルギー価格の上昇による輸入金額増加での赤字とは様相が異なり、輸出の不振が主要だ。月例経済報告でも、輸出の不振が生産の悪化につながっている、と判断されている。

こうしたグローバルな製造業不振が米中通商問題によるものであれば、交渉進展による期待感の高まり、リスク選好の回復はもっともだ。

しかし、実際に米中通商交渉が妥結したとして、生産が回復し製造業不振が解消するのか、疑わしい点もある。遠因として米中関税摩擦があるとしても、中国経済の不振が主要因であれば、米中合意で簡単に問題が解消するとは思えない。

経済指標の悪化、とくに中国の経済指標の悪化が止まってはじめて、市場の期待が現実のものとなるが、それが確認できるまで時間はかかるだろう。

その間、米中合意にもかかわらず弱い数字がなお続けば、何か別の要因で景気が悪化しているのではないか、あるいは今後も悪化が続くのではないか、と、市場の不安感が再び高まる可能性もある。

米中合意通商合意はもちろんプラス材料ではあるが、新たに景気に対してプラス材料となるのではなく、「ネガティブな影響が回避される」という話。

極端に悪化したリスク選好からの回復を促すものの、さらにプラスをもたらす材料ではない。

足元の「製造業不況」がこれで解決しないとなれば、期待が高まった後だけに、逆に失望が大きくなるリスクがある。とりあえず株価は堅調に推移しているが、こうしたリスクの解消が企業業績や経済指標で示されなければ次第に上値が重くなり、反落しかねない。

現在、グローバルに金融当局は慎重なスタンスに舵を切っている。米中通商交渉が何らかの合意に至ったとしても、そのスタンスは維持するだろう。米中合意だけで景気が好転するとは考えていないのではないか。

リスク選好の回復が壁にぶつかり、金利先高感が強まらないなかでは、円安も進まないだろう。FRBによる次回利上げが年央に実施されるのか。利上げができるまで、経済指標が持ち直すのかどうか。

足元で米10年債利回りは2.6%台で低迷しており、以前であれば3.5%が上限とみられたが、現在では3.0%が上限と水準が下がってしまった感がある。ドル金利先高感が盛り上がらないなかドル高は進まないだろう。

逆にドル安となるリスクは、欧州景気が弱く、またリスク選好が鈍いなかでは、かえって抑制される。

円高の可能性は、投機的な円売りが次第に手仕舞われ縮小していることから、年末に比べてかなり軽減されたようだ。そのため仮にドル安円高に振れた場合でも、年初のように105円を切る事態には至らないだろう。

現時点では最大で107円台が下値となり、とりあえず110円割れは底固いとみられる。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :110.69(▲0.01)
ユーロ :125.47(▲0.02)
英ポンド :144.475(+0.10)
豪ドル :78.892(+0.39)
カナダドル :84.267(+0.60)
スイスフラン :110.618(+0.02)
ブラジルレアル :29.5356(+0.16)
中国人民元 :16.488(+0.03)
韓国ウォン(日本円=100) :9.856(+0.02)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1335(▲0.000)
英ポンド :1.3053(+0.001)
豪ドル :0.7129(+0.004)
カナダドル :1.3135(▲0.010)
スイスフラン :1.0004(▲0.001)
ブラジルレアル :3.7468(▲0.016)
中国人民元 :6.7137(▲0.009)
韓国ウォン :1125.23(▲0.05)

【主要国政策金利】
米国 :2.50
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :2.65(▲0.04)
米2年債 :2.49(▲0.04)
日本10年債利回り :▲0.04(+0.00)
日本2年債利回り :▲0.04(+0.01)
独10年債利回り :0.10(▲0.03)
独2年債利回り :▲0.57(▲0.01)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :26,031.81(+181.18)
NASDAQ  :7,527.55(+67.84)
S&P500 :2,792.67(+17.79)
日経平均株価 :21,425.51(▲38.72)
ドイツ DAX :11,457.70(+34.42)
インド センセックス :35,871.48(▲26.87)
中国上海総合 :2,804.23(+52.43)
ブラジル ボベスパ :97,885.60(+953.33)
英国FT250 :19,269.59(+32.71)
ビットコイン :3941.75(+44.03)

【主要商品価格】
WTI :57.26(+0.30)
Brent :67.12(+0.05)
米ガソリン :161.12(▲0.32)
米灯油 :203.11(▲0.52)

金 :1329.40(+5.77)
銀 :15.92(+0.11)
プラチナ :842.86(+19.65)
パラジウム :1499.76(+25.99)
銅 :6458.50(+86:30.5B)
アルミニウム :1911.50(+35:21C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :910.25(▲0.75)
シカゴ とうもろこし :375.25(▲0.25)
シカゴ小麦 :486.75(+0.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。

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