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Xマス休暇で動意薄い 一方高まる地政学的リスク
  • MRA商品市場レポート

2023年12月26日 第2616号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「Xマス休暇で動意薄い 一方高まる地政学的リスク」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は欧米主要市場がクリスマス休暇のため休場であり、積極的な売買は控えられた。

しかし、イラン(とされる)ドローンが日本船籍のタンカーを攻撃したとされる報道や(当然イランはこれを否定)、イスラエルがイランの軍事顧問を殺害するなど、中東情勢の悪化を想起させるニュースが相次いだ他、アフリカのナイジェリアでは武装勢力が集落を襲撃、160人が殺害されている。

ナイジェリアはニジェールに展開していた仏軍の撤退のタイミングと相前後して発生しており、既にかなり前から西アフリカの地政学的リスクは高まっている。

この状態でOPECを脱退したナイジェリアで武装勢力が放棄、治安悪化で、エネルギーをパイプラインから抜き取ろうとする民間人の動きがガス、原油供給に大きな障害をもたらすリスクが高まっているといえる。

特に来年後半は不作をもたらすラニーニャ現象の発生が予想されており、さらに年後半には米大統領線挙も行われる予定で、今の情勢と変化がなければトランプ大統領が返り咲くことになる。

この場合、関係修復が進んでいた欧州との対立は決定的なものとなり、在韓米軍も引き上げる、在日米軍の駐留負担は日本が払え、となる可能性は高く、この状況を中国が見逃すとも思えず、結果的にアジア地域の地政学的リスクも高まることが懸念される。

【本日の見通し】

本日は、年末休暇で参加者も少なく、方向感に掛ける展開が予想される。しかし、米国の早期利下げ(相対的に欧州よりも早いと思われている)観測がドルを押し下げると予想されるため、総じて堅調な推移になるのではないか。

また、アラビア半島周辺、中東地域の情勢問題も、ホルムズ海峡封鎖を意識させるイランが内包されつつあるため、このことも価格押し上げ要因となるだろう。

本日の注目材料は以下の通り。

・10月フィラデルフィア連銀非製造業活動 前月 ▲11.0

・10月米FHFA住宅価格指数 市場予想 前月比+0.5%(前月+0.6%)

・10月米住宅価格指数 前月比+0.6%(+0.67%)

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は主要市場が休場。

年内は取引が極めて閑散となるため方向感が出難いが、年明け以降はまず、OPECおよび、OPECプラスの結束がどの程度担保されるかに注目が集まることになりそうだ。

前回OPEC総会で減産に抵抗していたアンゴラとナジェリアがOPEC脱退を表明、カルテルの結束の崩壊リスクが意識されている。この中で、有志連合が減産を維持できるのか、サウジアラビア、ムハンマド皇太子がまた逆上して逆に増産して価格を押し下げ、協調減産を促すのか、といったことが焦点となる。

ただ、何かしらの形で減産が担保された場合、来年後半の価格上昇は顕著なものになる恐れがある。価格上昇時にOPECとOPECプラスは結束が強まるためである。

ただ、来年の大統領選挙でトランプ候補が勝利した場合、化石燃料の生産は増加することが予想されるため、この場合、シェールオイルの増産を阻むための増産が起き、上昇余地は限定されると考えられる。

逆に、脱炭素に前向きで、化石燃料の生産増加にそれほど前向ではなく、中東諸国と折り合いが悪い民主党政権が勝利した場合、原油価格の上昇は顕著なものになるのではないか。

今のところ米国内の石油製品出荷の減速が米国の消費減速を示唆しているが、OPECプラスの減産開始が年明け以降であるため、価格が上昇する材料が売られ過ぎによる買い戻し程度に止まっていること、クリスマス休暇で市場参加者が積極的に動いていないことがより価格を下押ししている。

1.OPECプラスの減産がきちんと遵守された場合2.景気減速で想定よりも早く米国が利下げに舵を切る場合3.ガイアナ危機の顕在化、ないしはガザ紛争を受けたアラブ諸国の親イスラエル国ヘの原油(ガス)供給制限

といったことがあれば、水準は切り上がることになる。労働市場の改善があれば上昇は顕著なものになろう。

しかし、金融緩和を渋り過去に見られたような「政策金利据え置き~緩やかな利下げ局面での危機発生」の場合、ないしはOPECプラスの減産遵守を促すために逆にサウジなどが増産する、という選択をした場合、Brentで60ドル程度までの下落リスクもリスクシナリオとして棄てきれない。

上述の通り、かなり上下のリスクシナリオ顕在化時の「振れ」が大きくなる可能性が高い。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況は大きく変化していないため、原油価格の「想定されるレンジ」は以下の通り。

現在は 3.の状態。今のところこの問題がイランにまで波及する展開は、確度の低いリスクシナリオの位置づけになりつつある。

こうなると市場の注目は再び減速した米ISM製造業・非製造業指数を受けた米景気の減速動向に集まることになろう。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題が悪化し、イランやベネズエラに対する制裁、ガイアナからの供給減少、中東諸国の親イスラエル国ヘの供給制限など、オイルショック時
Brent 90-150ドル(Q324まで景気が減速する場合)

2.OPECプラスの減産が遵守される場合
Brent 75-100ドル

3.OPECプラスの減産が遵守されない場合
Brent 60-90ドル

4.OPEC諸国が逆に増産する
Brent 55-80ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

5. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

6. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次修正している。

Q423 需要の伸び横這いも供給制限は始まらず(↓調整)グローバル・リセッション、危機顕在化の場合(↓↓)
Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続 ただし、OPECプラスの自主減産開始で年初に水準を切り上げ(→その後OPECプラスの減産が下支え)Q124にOPECプラスの減産が確認されない場合(↓↓↓)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気幻想継続 製造業の循環的な回復が下支え(→)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

12月19日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが▲11,250枚、ショートが▲42,394枚とクリスマス・年間休暇を控えたポジション解消の動きが見られた。

Brentはロングが+27,419枚、ショートが▲29,835枚と、こちらは強気に転じている。

本日は、年末を控えて取引は薄いと考えるが、イラン(かどうかは分らないが)日本のタンカーが攻撃されたり、イスラエルがイランの軍事上級顧問を殺害したり、ナイジェリアで武装集団が蜂起するなど、産油国周辺の地政学的リスクが高まっていることから、上昇余地を探る動きを予想。

ただし、景気減速を背景に上値も重いと考える。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は休場。

今冬の欧州のガス調達リスクは後退している。しかし弊社のシミュレーションの結果では、来年夏以降にガス調達が不足するリスクはまだ残存しているため、むしろ来年以降が重要になろう。

結局のところ需要動向が需給を左右すると考えられる(詳細は有料のマンスリーレポート12月号で解説)。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

1.は弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃と予想される。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されていないが、仮に脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。

2022年、欧州向けにロシアが削減したパイプライン輸出量は708億立方メートルで、総輸出量9,685億立方メートルの7.3%に及ぶ。

これを他地域の需要増加で補うことは恐らく不可能であり、FID済みのプロジェクトも見直しせざるを得なくなると予想される。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

2.は、アラビア半島周辺海域の航行にやや不透明感が強まっている。

3.は既にロシアからの供給削減は現時点ででき得る限界まで行われているため、目先は材料になり難い。

4.は顕在化しているが、足下、欧州の統計が改善しており来年以降の需要回復が価格の押し上げ要因となる可能性が出てきた。

5.は2.とも関係するが、エルニーニョ現象中は暖冬になりやすく価格上昇方向のバイアスは強まらないと予想される。ただ、エルニーニョ現象発生後のラニーニャ現象発生はリスクとなる(2024年夏以降か)。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、日本向け・欧州向けとも低下している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス市場は休場。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物市場は休場。

10月のJLCの水準は11.86ドル(前月比+0.32ドル)であり、現在のスポット価格はこの水準を上回っている。

その他のアジアの国の長期契約ベースの価格は恐らくJLCと大差がないと考えられ、今年の冬場の需要期の価格はほぼJLCの水準で推移している。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

11月の中国の天然ガス生産は+5.8%の1,470万6,000トン(前月+4.3%の1,411万8,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を上回っている。

11月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+6.1%の1,095万トン(前月+15.5%の879万トン)と前年比ベースの伸びは減速したが、過去5年の最高水準を上回った。

11月のパイプラインベースの輸入は前年比+6.7%の415万トン(前月+1.1%の362万トン)と過去5年の最高水準(358万トン)を上回っている。

11月のLNG輸入は前年比+5.9%の680万トン(前月+28.2%の516万9,000トン)と減少し、過去5年の最高水準(690万1,000トン)に迫った。

国内生産の増加と、固定インフラであるパイプラインからの供給が優先される中で、調整弁的に用いられるLNG調達需要が低下している。

ただし合計の「ガス顕在需要」は前年比+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン(前月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

12月17日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は265万トン(過去5年平均245万4,100トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は206万トン)と、先週から増加し、過去5年平均を上回った。

現在発生しているエルニーニョ現象は来年6月頃まで続く見通しであり、その影響もあって今年の北半球は記録的な暖冬が見込まれているため、この在庫水準であれば冬は乗りきれる可能性が高まっている。

本日は、年末を控えて動きは鈍いと考えられるが、ピークシーズンであること、アラビア半島周辺海域、イランとイスラエルの対立など、中東を巡る地政学的なリスクが高まっていることから、上昇余地を探る動きになると予想。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ市場は休場。

12月に入ってから石炭価格の上昇が顕著で、期近がバックワーデーションとなっているが、ガス価格対比での割安感、特に欧州はガスのストレージキャパシティの問題から、保管がより容易な石炭にシフトしていると見られ、輸入が増加していることが背景。中国、日本、韓国、西欧州の輸入が急増している。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は168ドル、±1標準偏差で100~240ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。

期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が130~140ドル程度まで再び上昇しているため、130~240ドルが説明可能なレンジであり、現在のスポット価格は価格想定レンジの下限。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

11月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+34.7%の4,350万6,000トン(前月+23.3%の3,599万2,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。燃料炭の輸入が10月は減少しており、恐らく原料炭の輸入が増加したと見られる。

10月の燃料炭輸入は、ほとんどの地区で前月から減少している。最も輸入シェアが大きいのがロシアで36.3%(前月35.7%)だが、輸入量は564万トン(658万トン)と減少、シェア3位のインドネシアは23.6%の366万トン(27.6%の508万トン)と減少している。

一方、シェア2位の豪州は29.7%の461万トン(前月24.7%の454万トン)と増加している。

10月の中国の石炭生産は、前年比+4.7%の3億8,707万トン、1,248万トン/日(前月+1.3%の3億9,131万トン、1,304万トン/日)と伸びが加速、過去最高水準を上回っている。

10月の中国の電力消費量は前年比+8.6%の7,419億kwh(前月+10.1%の7,811億kwh)と伸びが鈍化した。景気減速と例年よりも気温が高いことが影響していると見られる。

本日は、ガスが地政学的な問題で上昇する可能性があること、アジア北部の寒波の影響もあり、高値維持の公算。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場は休場、上海などのオープンしている市場は、小動きながら堅調、ギニアの爆発事故でボーキサイト供給への懸念が出ているアルミ、インドネシアのニッケル工場で爆発事故があったことからニッケルは上昇した。

LMEの中ではアルミが先週末に高騰した。中国向けのボーキサイト輸出の7割を占めるギニアの港湾で爆発事故が発生、輸出が停止していることが供給懸念を意識させたことが材料。

英国によるロシア産金属の取扱禁止の方針は、LMEの金属需給がひっ迫するため短期的には価格が上昇するが、時間経過後は取引量が減少し下落に転じると予想される。

そして、LME外で取引される金属が増加、ロシアに対する制裁発動国と、非発動国の価格が異なる「一物二価」の状態となることが予想される。

ロシア産のアルミやニッケルを加工して生産した製品が流通すると予想されるが、このとき西側諸国政府がどこまでこの原料のトレースを要求してくるかが次の焦点となろう。

米国のウクライナへの軍事支援が予算的に細る中、欧州は独自にロシアに対する制裁を強める必要性が出てきていると考えられ、非鉄金属以外の資源への制裁が強化されることも有り得る状況に。

現状、中国が苦境を脱するには、財政出動を伴う対策と、不動産不良債権処理の進捗が必要だが、後者は過去の日本の例を見るに時間が掛かるだろう。

財政出動に多少影響を与える可能性がある、中国の信用格付引下げ見通しは、恐らく直接的に非鉄金属価格に影響を及ぼさないが、中国当局が格下げを回避するために財政規律重視の姿勢を打ち出した場合、来年の公共投資の減少観測を強め、価格の下落要因となり得る。

しかし、恐らく中国当局は景気下支え・近代化のためのインフラ投資は予算を張って継続すると考えられるため、現時点での非鉄帰属価格への影響は限定されるだろう。

中国の不動産問題は解決していないことが需要の下押し要因となっているが、中国政府が1兆元の予算を前倒ししてインフラ投資を行うなどの対策を行っていること、脱炭素の動きにともなう投資はペースが減速するものの継続が予想されること、脱中国に伴う他地区での設備投資は継続が予想されることから、期待需要も含めて、需給ファンダメンタルズはやや供給過剰~中立と見ている

そのため、中国とは直接関係ないところでのドル指数の変動が、非鉄金属価格を左右しやすい。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

さらに労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話。

就任以降の習近平国家主席の政策は、決して成功しているとは言えない。

11月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比+2.0%の55万566トン(前月+23.7%の50万168トン)と過去5年平均を維持した。中国の精錬銅輸入は年末にかけて増加する傾向があるが、今年は3月頃からの輸入量の回復トレンドが継続している。

11月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+1.4%の244万3,318トン(前月+23.5%の231万トン)と過去5年の最高水準を上回った。

11月の中国の精錬銅生産は+0.4%の111万9,000トン(前月+23.8%の114万3,000トン)と過去5年の最高水準を大きく上回っている。

11月の銅スクラップの輸入は前年比+37.7%の15万5,359トン(前月+2.0%の17万283トン)と過去5年平均を維持している。

精錬銅輸入の増加と銅鉱石輸入の増加は、製造業PMIの悪化、海取引所在庫の水準が低迷していることを考えると、統計に反映されない企業在庫として取得されている可能性があると見ている。

本日は米国の利下げ期待を受けたドル安が価格を押し上げると考える。また、アルミやニッケルなど、個別に供給リスクが顕在化している金属は上昇余地を探る動きとなりやすい。

しかし、年末ということもあり、積極的にポジションを取りに行く動きは限定されると考えられ、上昇したとしても上値も重いと考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連は上昇、豪州原料炭スワップ先物は休場、大連原料炭価格は下落、上海鉄筋先物は小幅に下落した。

新規材料に乏しい中で、鉄鋼製品価格が小幅に下落したことを受けて、鉄鋼原料価格も水準を切下げた。

11月の中国粗鋼生産は前年比+2.1%の7,610万トン(前月▲0.8%の7,609万トン)と減速し、過去5年平均を下回った状態が続いている。

11月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲18.1%の61万3,940トン(前月▲13.0%の67万トン)と低迷が続き、同じ時期の過去5年の最低水準を下回る状態が続いている。

11月の中国の鉄鋼製品の輸出は前年比+43.2%の800万51トン(前月+53.3%の793万8,700トン)と過去5年の最高水準を大きく上回る状態が続いている。同時に鉄鋼製品輸出額は前年比▲11.7%の64.9億ドル(前月▲7.1%の62.9億ドル)と金額・伸び率とも前月から減速した。

輸出額を数量で割ったトン当り単価は811ドル(前月792ドル)と、11月はやや改善した。しかし引き続き年初来では最低水準となっている。欧米のPMIやISM指数の減速を見るに、中国の景況感は改善するには至らず、値引きで在庫を解消する動きが続いていると考えるのが妥当だろう。

単月の統計で判断するのは早計であるが、まだ中国の在庫調整には時間が掛かる可能性があると考えるべきだろう。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は▲5万5,000トンの935万トン(過去5年平均 883万9,000トン)と過去5年平均を上回っている。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+5万トンの1億1,365万トン(過去5年平均1億3,722万トン)、在庫日数は26.5日(±0.0日、過去5年平均 32.9日)。

鉄鉱石は在庫は日数ベースでも、数量ベースでも過去5年平均を下回っており、鉄鉱石の需給はタイトで一定の在庫積み増し需要が存在する。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は+3万トンの260万トン(過去5年平均 170万2,000トン)、在庫日数は+0.1日の11.3日(過去5年平均 7.3日)と、原料炭の需給は緩和している。

本日は、主要生産地の唐山市の生産調整観測が鉄鋼製品価格を押し上げること、来年の季節的な鉄鋼製品在庫積増しの時期に向け、鉄鋼原料在庫の積増し需要が期待されることから高値維持の公算。

◆貴金属

昨日の貴金属市場は主要市場が休場だった。

これまで、政策金利の引き上げと共に「諸々のリスクの高まり」から、リスク・プレミアムが上昇して金価格を押し上げてきた。金リスク・プレミアムの上昇要因の主なところは、

1.米利上げによる信用不安の高まり(低格付企業・新興国)

2.ロシアに対するドル決済禁止制裁を受けた、準備金におけるドルから金ヘのシフト

3.ロシアのウクライナ侵攻

4.イスラエルとパレスチナの戦争開始による中東情勢不安並びに、テロ組織の大規模攻撃であるため、各地にテロが拡散するリスク

あたりだろう。これらと同じ事象は、ニクソン・ショック~プラザ合意~アジア危機収束まで30年近く続き、金価格に占めるリスク・プレミアムのシェアが高止まりした。

2019年基準で算出した現在のリスク・プレミアムのシェアは50%と、ほぼ上記の期間と同様の状況になっており金利水準以上にその他の要因が金価格の形成に影響を与えていることが確認できる。

現状を理解する手助けとなるため、あえて実質金利・信用リスク・その他、に分離した場合、実質金利部分が45%、信用リスク要因が20%、その他の要因が35%となった(2019年データを元にした分析結果に変更)。

直近1年間の説明力を相関係数で確認するとほとんどの項目が金価格と無相関の状態になっている。3ヵ月間の相関関係では、最も金価格に対する説明力が高いのがドル指数で▲0.69、次いでFF金利で0.65。これまで価格に対する説明力が以前よりも低下していた実質金利は▲0.53まで上昇している。

この5年間のデータを元にした分析では、FF金利±1%の変化で、金価格は±10ドル変化し、リスク・プレミアムは±160ドル変化する。

今回のFOMCでFRBは来年▲0.75%の利下げを予想しているが、市場予想は2024年は▲1.50%程度のFF金利引下げを見込んでいるため、金の基準価格は+15ドル程度の押し上げ要因となり、リスク・プレミアムは、▲240ドルの低下要因となるため、仕上がりで▲225ドルの価格低下となる。

現在の金価格は2,050ドル近辺であるが、1,800ドル程度までの下落余地があることになる。

銀価格は、投機的な動きに価格が左右されやすくテクニカル分析が比較的有効に機能する。

月次のボリンジャーバンドの分析は有効に機能しているが、仮にボリンジャーバンドの下限だと75倍、上限ならば90倍程度が目処になるが、金が2,000ドルを固めた結果、を1,900ドル程度とすると22.20~26.65ドルが現在取り得る範囲となる。

また、中国の鉱工業生産を元にすると、現在の金銀レシオは90倍程度が上限とみられる。

本日は、米国が欧州よりも早期に利下げに動くとの期待感からドル安が進行しやすいこと、中東を巡る地政学的リスクの高まりから、金銀は上昇するとみる。PGMは株価動向次第であるが、米利下げ期待を材料に株価は堅調であり、PGMも堅調に推移すると予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場は休場。

長期的な話だが、今年地中海を襲ったハリケーン(ストーム・ダニエルと命名)の影響で中東北アフリカ地域に降雨がもたらされたことは、先々の穀物供給に影響を及ぼす、サバクトビバッタの越冬を可能にし、来年以降の供給減少のリスクを高めることが懸念される。

尚、Locust Watchでは中東・北アフリカ地域でのバッタの大量発生は確認されていない。

本日は、年末を控えて動意薄い中、米利下げ期待を受けたドル安が価格を押し上げるとみるが、余地も限定されよう。。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国債の格下げリスク、米国債格下げの動きが連鎖して、金融機関の格下げが加速、信用不安に繋がる場合。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023年後半~2024年頃。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(可能性の低い顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(極めて可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

また、再生可能エネルギーのコスト上昇で化石燃料回帰が起きる場合。

◆本日のMRA's Eye


「ガス価格は2024年夏以降に上昇か」

2023-2024年冬季の欧州ガス調達は、供給不足への懸念が大幅に後退し、様々な条件でシミュレーションしても今冬の調達への懸念はかなり後退している。

「需要が緩やかにしか変化しない」という前提に立つと、現在の過去5年平均比で▲15%需要を削減する前提だと、リスクシナリオの場合で2024年夏頃に供給不安が台頭する可能性を示唆している。

ただし、米国が予算の制約でウクライナに対する積極的な支援が難しくなる中、欧州はロシアに対する制裁を別途検討せざるを得ない状況に陥っており、「EU諸国がロシアとのLNG調達契約を解除できる法案」を可決している。

これによりロシアが物理的に欧州向けにLNGを販売できず、財政状況が悪化=軍事費の捻出が困難、となるシナリオは全く無くはない。ただしこの場合、猛暑・厳冬となると欧州の調達は厳しくなることが予想される。

ロシアからの輸入(キャパシティの20%)が完全になくなった場合、需要削減幅が▲15%程度であると来年夏頃から顕著なガス不足になる可能性がある。

以上を背景にTTFは期近の下落が顕著であり、季節性要因を除けば2026年頃までガス価格はほぼフラットになった。また、TTFのスポット価格も過去5年平均水準を下回っている。

しかし、米海洋大気庁の予測では、2023年11月から始まった「歴史的に強いエルニーニョ現象」は来年1月まで54%の確率で継続する見通し(60%の確率で4-6月期に終了)で、これは1950年以降で上位5位に入るエルニーニョ現象となる見込みだ。

ただし、7-9月は40%強の確率で「ラニーニャ現象」の発生が見込まれていることから、やはり来年夏場以降の猛暑・厳冬リスクは意識しておく必要がある。また、世界景気の回復もQ324頃が底とみられており、産業向け需要の増加が価格を一層押し上げるリスクはあるだろう。

スポットLNG価格の極東の指標であるJKM価格は、流動性が高く市場参加者も多いTTF価格を基準に価格が変化するケースが多いため、上記のTTF価格動向に価格が左右されやすい。

恐らく、ラニーニャ現象発生時にはTTFと同様に価格水準を切り上げる展開が想定される蛾、過去の傾向値を見ると、脱炭素が進んだ結果、異常気象発生時の電力供給に問題が生じた2021年、ロシアがウクライナに軍事侵攻し、それに対する制裁を行った2022年を除くと、ラニーニャ現象発生時の方がJKMがTTF対比で高くなっているケースが多い。そのため、2024年はJKM価格の上振れリスクを注意する必要があると見ている。

気温上昇や新電力のシェアが増加する中で積極的に在庫が積まれていなかった日本の大手発電事業者のLNG在庫水準も過去5年平均を回復しており、この状態であれば今冬のガス供給は足りる見通し(ただし例年気温が低下しやすい2月に寒波が襲来した場合に一時的に不足感が意識される展開は有り得るか)。

中国は1.国内生産、2.パイプライン調達、3.LNG調達というプライオリティでガス調達を行っているが、LNGが需給調整弁的な役割を担っているため、来年夏以降の価格上昇、冬場の気温低下リスク時の同国の調達動向には注視が必要である。


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