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欧米利上げ打ち止め・利下げ期待で堅調
  • MRA商品市場レポート

2023年11月30日 第2598号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「欧米利上げ打ち止め・利下げ期待で堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、その他農産品や自国通貨建て商品が下落したが、その他の商品は総じて堅調な推移となった。

米国のGDPが上振れしたことが景気の先行きヘの楽観、というよりもソフトランディングへの期待を高める一方、インフレ率の緩やかな鈍化を受けて利上げは終了、当面金利が維持されるが、市場の関心が利下げに移る中でファイナンシャルな面でリスク資産価格の下支え要因となっている。

今後、世界景気は減速して、メインシナリオ通りであれば来年の夏~秋頃に掛けて底入れが期待されるため、多くの景気循環系商品価格が下落すると予想される。

しかし同時に金融緩和によるファイナンシャル要因が多くのドル建て資産価格を下支えするため、下落余地も限定されるというのがメインシナリオだ。

しかし、こうした「緩やかな調整」がいつも上手くいくとは限らず、景気が減速する局面ではリスクも顕在化しやすいことも事実であり、まだ大幅な下振れのリスクは残っていると考えられる。

特に、期待インフレ全体ヘの影響が大きい原油価格が、本日はOPECプラスの結果が不透明であり、上にも下にも振れそうな状況にあることも事実だ。

【本日の見通し】

本日は、OPECプラスや米国の重要統計の発表を控えて、現状水準でもみ合うものと考える。基本、景気の減速が価格を下押しするが、それを金融面(長期金利の低下など)が支える構図になると考える。

本日の注目材料はなんと言ってもOPECプラス(詳しくは石油・石油製品のコラムを御参照ください)。その他の注目材料は以下の通り。

なお、先ほど発表された中国のPMIは同国の景気が減速していることを確認する内容であり、広く工業金属には下押し圧力が掛かることになろう。

週明け月曜日は、11月末の大手ファンド決算を控えた売りで軟調に推移すると予想される。しかし、足下ユーロ高・ドル安となっているため、ファイナンシャルな面でドル建て資産価格は下支えされるため、下げ余地も限定と考える。

注目材料は以下の通り。

・11月中国製造業PMI 実績 49.4(市場予想 49.8、前月 49.5) 非製造業PMI 50.2(50.9、50.6)

・11月欧州消費者物価指数 市場予想 前月比▲0.2%(前月+0.1%) 前年比 +3.9%(+4.2%)

・Q323インドGDP 前年比+6.8%(前期+7.8%)

・米週間新規失業保険申請件数 218千件(前週 209千件)

・10月米個人所得 前月比+0.2%(前月+0.3%) 個人支出 +0.2%(+0.7%) 実質個人支出 +0.1%(+0.4%) PCEデフレータ 前月比+0.1%(+0.4%)、前年比+3.0%(+3.4%) PCEコアデフレータ 前月比+0.2%(+0.3%)、前年比+3.5%(+3.7%)

・11月シカゴPMI 46.0(44.0)

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油・石油製品

昨日の原油価格は下落後、上昇した。米GDPが上方修正されたことでドル高が進行したため売られたが、その後、コアPCE価格指数の低下などを材料に長期金利が低下、ドルが売り戻される中で買い戻しが入った。

なお、発表された米石油統計は明確にベアな内容であり、回復していたガソリン出荷やディスティレート出荷も減速しており、需要面のファンダメンタルズは減速している。

ただし、OPECプラスの減産期待が価格を押し上げ、昨日は重要な200日移動平均線のレジスタンスを上抜けした。

OPECプラスが追加減産で合意すれば、テクニカルポイントを上抜けしているため、更なる上昇が見込まれる。

追加減産がなく、サウジアラビア・ロシアの自主減産をQ124まで延長であれば現状維持、決裂であればBrentで75ドル程度までの下落はあるだろう。

リスクシナリオとしては、かつてサウジアラビアがコロナショック時、減産を渋るロシアに減産を認めさせるために、逆に増産して原油が大幅に下落した時と同様のことが起きれば、Brentで60ドル割れも有り得る(その後は恐らく減産で合意して価格は上昇に)。

ガザ紛争は、停戦で合意して人質の解放が続いているが、これが終了すれば再び苛烈な攻撃が始まる見込み。

戦闘の長期化は「反イスラエル・親イスラエル」の構図を強めることになり、親イスラエル国への原油供給が滞る、ないしは高い価格での販売になる可能性がある。

また、戦後統治に関してもネタニヤフ首相はガザ地区をイスラエルが管理する、と発言している。実際に管理する能力はイスラエルの方があると考えられる為、それは現実解であるとも言えるが、そうなればアラブ諸国の反発を買うことになるのではないか。

基本は多くの国が「穏当に」終らせたいと考えていると思うが、ガザ侵攻作戦終了後の絵姿が見えてこないため、アラブ諸国がイスラエルに対して反発して供給不安が意識される可能性はあると考える。

7月以降、投機筋の売買動向が原油価格を左右しているが、想定外のISM製造業指数の改善と、7月以降もサウジ・ロシアが自主減産を続けることを材料に、新規ロングとショートの手仕舞いが見られ、その後も中東情勢不安が原油価格を押し上げてきたことによる

しかし、11月のISM製造業指数の突如の悪化や、中東情勢不安による原油供給途絶のリスクが懸念ほどではなかったこと、11月末のファンドの年度決算を睨んだ手仕舞いの動きが強まった。

この間、ロングは手仕舞われたが、新規でショートが積み上がったため恐らくそのポジションの解消が価格を押し上げていると考えられる。

ロシア情勢・中東情勢を踏まえた原油供給状況は大きく変化していないため、原油価格の「想定されるレンジ」は以下の通り。

現在は 3.の状態。今のところこの問題がイランにまで波及する展開は、確度の低いリスクシナリオの位置づけになりつつある。

こうなると市場の注目は再び減速した米ISM製造業・非製造業指数を受けた米景気の減速動向に集まることになろう。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. 中東問題がイランにまで波及し、OPEC諸国も対立国ヘの供給を絞る(オイルショック状態)、イランに対する制裁強化など
Brent 120-150ドル

2.中東問題がイランにまで波及するが、OPEC諸国が増産する
Brent 90-120ドル

3.中東問題がイランに波及せず、OPEC諸国が増産しない
Brent 75-95ドル

4.中東問題がイランに波及せず、OPEC諸国が増産する
Brent 55-75ドル

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

5. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

6. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次微修正している。

Q423 需要の伸び横這い・中東情勢不安による供給制限懸念(→高値維持)グローバル・リセッション、危機顕在化の場合(↓↓)OPECプラスの結束崩壊・増産合戦開始(↓↓↓)
Q124 欧米の景気後退局面入りによる需要鈍化・生産調整継続(↓高値維持も下落開始)
Q224~Q324 実質金利プラス維持による景気幻想継続 製造業の循環的な回復が下支え(↓)OPECプラス減産維持の場合(→)
Q324以降 景気の循環的な回復・中国の正常化(↑)OPECプラス減産維持の場合(↑↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

11月21日時点のWTIの投機筋ポジションは、ロングが▲13,594枚、ショートが▲5,184枚と決算期末を意識したポジション解消が進む。この場合、ロングの比率の方が大きいため、価格を下押しすることになる。

Brentはロングが▲11,491枚、ショートが+4,389枚と、こちらは明確に弱気ポジションを維持している。逆にOPECプラスの減産があれば、ショートの買い戻しを誘発して価格を押し上げることに。

本日は、OPECプラス動向を睨み、方向感の出難い展開。基本、200日移動平均線を挟んでもみ合いと見る。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は下落した。ガス調達が十分であることは明らかであり、中東情勢も落着いていることから水準を切下げている。

これにより、イスラエル・ハマスの対立後の上昇を消し、200日移動平均線のサポートラインまで水準を切下げた。

欧州の在庫水準の高さを考えると、今冬に関しては数量ベースで調達が不充分、というリスクはかなり低下したと見ている。

しかし、弊社のシミュレーションの結果では、来年夏以降にガス調達が不足するリスクはまだ残存しているため、むしろ来年以降が重要になろう。結局のところ需要動向が需給を左右すると考えられる(詳細は有料のマンスリーレポート12月号で解説)。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続

2.LNGターミナル・ガス田・船舶の不慮の停止

3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)

4.景気減速(価格下落要因)

5.季節要因・気象状況

1.はロシアのLNGカーゴはまだ取引されており、スポットカーゴ価格の上昇要因にはならなくなってきた。ロジカルには西側諸国が脱ロシアを完全に完了するまでは、気温の変化や政治的なイベントによって季節的に価格が高騰するリスクは残る。

弊社のシミュレーションでは、今冬の欧州のガス調達は問題なさそうだが、翌年以降の調達は需要動向次第の状況であり、脱ロシアの完了までは上昇リスクは無視できない。

弊社の試算では欧州が完全にロシア産ガスを排除(第三国経由でもロシア産のLNGを購入しない状態になる)できるのは2027年頃。ロシア産のLNGの輸出が阻害されなければ2025年頃。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

今のところロシア産ガスの供給は実質的に制限されておらず、LNGの形で欧州諸国も購入を続けている。ガスがLNGに置き換わっただけとも言える。

しかし、脱ロシアが完了した場合、ロシアがこれまで供給してきた西側諸国向けのガスが「浮く」ことになる。2022年、欧州向けにロシアが削減したパイプライン輸出量は708億立方メートルで、総輸出量9,685億立方メートルの7.3%に及ぶ。

これを他地域の需要増加で補うことは恐らく不可能であり、FID済みのプロジェクトも見直しせざるを得なくなる可能性がある。

2.は、異常気象の影響による干ばつでパナマ運河の水位が低下しており、LNG輸送に障害が発生、米国産のLNGは喜望峰周りでの輸送にシフトしており、スポット価格の上昇要因に。

3.は既にロシアからの供給削減は現時点でできうる限界まで行われているため、目先は材料になり難い。

4.は顕在化しているが、足下、欧州の統計が改善しており来年以降の需要回復が価格の押し上げ要因となる可能性が出てきた。

5.は2.とも関係するが、今年の冬はエルニーニョ現象の継続が見込まれ、通常であれば暖冬となりやすいため、価格上昇方向のバイアスは強まらないと予想される。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは、日本向け・欧州向けとも低下している。

11月20-26日の週のLNGトレードは、761万トン(前週883万トン)と減少、主に日中台韓の調達が一巡して減少、欧州向けのデリバリーも総じて減少したことが影響した。

輸送中のLNG在庫は前月比前年比▲1%の420万トン。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は小幅に下落。北米の気温上昇予報が材料。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物市場は下落。欧州ガス価格の下落が影響した。

9月のJLCの水準は11.51ドルであり、現在のスポット価格はこの水準を上回っている。

その他のアジアの国の長期契約ベースの価格は恐らくJLCと大差がないと考えられ、今年の冬場の需要期の価格はほぼJLCの水準で推移している。

今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

また、サハリン2の生産能力の低下、供給の減少はかなり前から指摘されているが、今のところ顕在化していない。多くの必要な部材は中国などを経由してロシアにもたらされている可能性があり、実は長期の供給リスクは懸念ほどではないかもしれない。

10月の中国の天然ガス生産は+4.3%の1,411万8,000トン(前月+11.6%の1,345万6,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準を上回っている。

10月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+15.5%の879万トン(前月±0.0%の1,015万トン)と前年比ベースでは回復したが、昨年9月の輸入水準が高かったことによる前年比ベースでの上昇であり、総じて減少基調にある。季節的な需要減少。

10月のパイプラインベースの輸入は前年比+1.1%の362万トン(前月+4.9%の446万トン)と過去5年の最高水準(358万トン)を上回っているが、増加幅は急速に縮小した。

10月のLNG輸入は前年比+28.2%の516万9,000トン(前月▲3.5%の568万7,000トン)と減少し、過去5年平均に近接。

国内生産の増加と、固定インフラであるパイプラインからの供給が優先される中で、調整弁的に用いられるLNG調達需要が低下している。

ただし合計の「ガス顕在需要」は前年比+8.4%の2,290万5,000トン、年初来累計は+7.3%の2億3,632万4,000トン(前月+6.3%の2,360万3,000トン、年初来累計+7.2%の2億1,341万7,000トン)と着実に増加している。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

11月26日時点の日本の大手発電業者のLNG在庫は233万トン(過去5年平均264万6,300トン、大手発電業者在庫の過去5年平均は212万トン)と、先週から増加している。

夏場の在庫減少に対応するための調達や、冬入が例年よりも遅いことが在庫の積み上がりに寄与していると言える。

ただ、まだ在庫の水準は低く、仮に冬場が寒くなった場合、再びガスや石炭不足となり価格が上昇する可能性はある。通常過不足はスポット(JKMベース)で行い、電力のスポット価格はJKMの影響を受けるため、再び冬場の電力価格が上昇するリスクは無視できない。

本日は、ピークシーズンでも有るためこの数日の下落による割安感から買い戻しが入ると考える。ただし、急速にガス供給ヘの懸念が後退しているため、上昇余地も限定か。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップは下落。中東情勢不安後退や気温の上昇でガス価格が下落したことが影響した。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は178ドル、±1標準偏差で100~250ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。

期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が120~130ドル程度まで再び上昇しているため、120~250ドルが説明可能なレンジであり、現在のスポット価格は価格想定レンジの下限。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年、現実的には2026年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

10月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+23.3%の3,599万2,000トン(前月+27.5%の4,214万トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準を維持した。

国別では9月は米国・モンゴル以外の地域では輸入量が概ね減少しているが引き続きロシアのシェアが35.7%(前月35.8%)と高い。次いでインドネシアが27.6%(25.5%)、豪州24.7%(30.3%)となっている。

10月の中国の石炭生産は、前年比+4.7%の3億8,707万トン、1,248万トン/日(前月+1.3%の3億9,131万トン、1,304万トン/日)と伸びが鈍化したが、生産量は過去最高水準を上回っている。

10月の中国の電力消費量は前年比+8.6%の7,419億kwh(前月+10.1%の7,811億kwh)と伸びが鈍化した。構造的な需要増加継続と、季節性による需要減少による。

本日は、気温動向に左右されやすいが、気温低下見通しが和らいでいることもあり軟調推移か。ただしピークシーズンであるため一定の需要はあり、下げ余地は限定される。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場はニッケルや錫に割安感からの買い戻しが入ったが、その他の金属は総じて200日移動平均線のレジスタンス・サポートラインを意識して方向感に欠ける展開となった。

昨日は、パナマ政府が世界生産の1%を占めるCobre Panama銅山の閉鎖を命じたことで供給懸念が意識されたことが銅価格を下支えしている。

需給ファンダメンタルズは、銅の現物プレミアムが中国で100ドルを超えるなど、中国の電線やEV向けの需要が回復している可能性があるが、それ以外は総じて需要が堅調、という状態ではない。

中国の不動産問題は解決していないことが需要の下押し要因となっているが、中国政府が1兆元の予算を前倒ししてインフラ投資を行うなどの対策を行っていること、脱炭素の動きにともなう投資はペースが減速するものの継続が予想されること、脱中国に伴う他地区での設備投資は継続が予想されることから、期待需要も含めて、需給ファンダメンタルズはやや供給過剰~中立と見ている

そのため、中国とは直接関係ないところでのドル安進行で、非鉄金属価格は当面、現状水準で横這い推移が予想される。

中国が不動産危機を乗り切ることに失敗し、中国政府が想定以上にこれまで積み上がった余剰生産能力の解消に手間取った場合、景気は長期低迷、いわゆる「日本化」が10年単位で起きる可能性が高い。

さらに労働人口がピークアウトし、かつ、西側諸国の制裁によって先端分野の発展が阻害され生産性が低下、将来的にはインフレをもたらしソ連型の国家崩壊、というシナリオも長期的には有り得る話。

就任以降の習近平国家主席の政策は、決して成功しているとは言えない。

10月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比+23.7%の50万168トン(前月▲5.8%の48万426トン)と過去5年平均を回復した。

中国の精錬銅輸入は年末にかけて増加する傾向があるが、昨年は10月に輸入が減少していたが、今年は3月頃からの輸入量の回復トレンドが継続している。

10月の銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+23.5%の230万9,738トン(前月▲1.3%の224万1,135トン)と過去5年の最高水準を再び上回った。

10月の中国の精錬銅生産は+23.8%の114万3,000トン(前月+20.7%の114万1,000トン)と過去5年の最高水準を大きく上回っている。

10月の銅スクラップの輸入は前年比+37.7%の15万5,359トン(前月+2.0%の17万283トン)と過去5年平均を維持しているが水準は低下。国慶節の季節性の影響もある。

精錬銅輸入の増加と銅鉱石輸入の増加は、製造業PMIの悪化、10月中は上海取引所在庫が減少していることを合わせて考えると、統計に反映されない企業在庫として取得された可能性があると見ている。

本日は、直近で発表された中国のPMIが悪化しているため軟調推移を予想。ただし、為替動向の影響も大きく、米国の統計が減速しており、本日の個人消費も減速が見込まれる中、ドル安が進行するため底堅い推移になるとみる。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に上昇、大連は上昇、豪州原料炭スワップ先物は横這い、大連原料炭価格は下落、上海鉄筋先物はまちまちだった。

中国の鉄鋼製品最終需要は弱いが、鉄鋼原料価格の水準が高く、鉄鋼生産者が厳しい状態に置かれていることを示唆している。早晩、鉄鋼製品価格が上昇するか、調達圧力の低下で原料価格が低下するかいずれかになる。

足下、中国政府のインフラ投資などヘの期待から在庫を積み増す必要があるものの、民間セクター部門の需要が弱いため鉄鋼製品価格が上昇しておらず、鉄鋼生産者は非常に厳しい状況に置かれている。

10月の中国粗鋼生産は前年比▲5.6%の8,211万トン(前月+3.0%の8,641万トン)と減速し、過去5年平均を下回った。

一方、10月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲13.3%の66万7,750トン(前月▲28.1%の64万トン)と低迷が続き、同じ時期の過去5年の最低水準を下回る状態が続いている。

10月の中国の鉄鋼製品の輸出は前年比+53.3%の793万8,700トン(前月+61.8%の806万トン)と過去5年の最高水準を大きく上回る状態が続いている。同時に鉄鋼製品輸出額は前年比▲7.1%の62.9億ドル(前月▲6.0%の65.6億ドル)と金額・伸び率とも前月から減速した。

輸出額を数量で割ったトン当り単価は792ドル(前月814ドル)と、9月は前月から回復していたが、再び減速、価格は今年最低水準に低下しており、中国国内の鉄鋼製品在庫の処理や需給が緩和、貿易統計の輸出総額の減少をみるに、海外の景況感も悪化している可能性が高いことを示唆している。

中国不動産問題は先送りし、それがいつどのタイミングで噴出するかは分らないうえ、最悪期を循環的に脱したとみられた鉄鋼製品市場の状況は再び減速している可能性が出てきた。

先月、単月の回復で判断するのは早計と指摘したが、まだ中国の在庫調整には時間が掛かる可能性があると考えるべきだろう。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は▲43万8,000トンの987万8,000トン(過去5年平均 996万トン)と過去5年平均を下回っている状態が続いている。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比+90万トンの1億850万トン(過去5年平均 1億3,754万トン)、在庫日数は24.5日(+0.2日、過去5年平均 30.4日)。

鉄鉱石は在庫は日数ベースでも、数量ベースでも過去5年平均を下回っており、鉄鉱石の需給はタイトで一定の在庫積み増し需要が存在する。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は+8万トンの233万トン(過去5年平均 175万8,000トン)、在庫日数は+0.3日の10.7日(過去5年平均 7.4日)と、原料炭の需給は緩和している。

本日は、中国当局の不動産開発セクター支援を受けて鉄鋼製品需要増加ヘの期待が高まることから、原料価格も高値維持の公算。

◆貴金属

昨日の金は上昇、銀は小幅安、PGMは下落した。

昨日の上昇は長期金利低下と原油価格上昇に伴う実質金利の低下によるものであり、利上げ打ち止め観測が影響したと考えられる。これと反対に、利上げ打ち止めに伴うリスク・プレミアムの低下が上昇を抑制している。

銀は基本的に金と同様の値動き、PGMは景気ヘの懸念から調整している。

足下、金価格の構成要素のうち、リスク・プレミアムの占める比率が高止まりしている。

金リスク・プレミアムの上昇要因の主なところは、

1.米利上げによる信用不安の高まり(低格付企業・新興国)

2.ロシアに対するドル決済禁止制裁を受けた、準備金におけるドルから金ヘのシフト

3.ロシアのウクライナ侵攻

4.イスラエルとパレスチナの戦争開始による中東情勢不安並びに、テロ組織の大規模攻撃であるため、各地にテロが拡散するリスク

あたりだろう。これらと同じ事象は、ニクソン・ショック~プラザ合意~アジア危機収束まで30年近く続き、金価格に占めるリスク・プレミアムのシェアが高止まりした。

2019年基準で算出した現在のリスク・プレミアムのシェアは55%と、ほぼ上記の期間と同様の状況になっており金利水準以上にその他の要因が金価格の形成に影響を与えていることが確認できる。

現状を理解する手助けとなるため、あえて実質金利・信用リスク・その他、に分離した場合、実質金利部分が45%、信用リスク要因が20%、その他の要因が35%となった(2019年データを元にした分析結果に変更)。

直近1年間の説明力を相関係数で確認すると、最も金価格に対する説明力が高いのがFF金利で0.68、次いでドル指数で▲0.64、リスク・プレミアムが0.59程度、期待インフレ率(▲0.30)、実質金利(▲0.01)と、実質金利は現在の価格形成に大きな影響を与えていない。

この5年間のデータを元にした分析では、FF金利±1%の変化で、実質金利は±0.5%変化、金価格は±20ドル変化し、リスク・プレミアムは±150ドル変化する。

市場予想では2024年は▲0.5%程度のFF金利引下げが見込まれているため、金の基準価格は+10ドル程度の押し上げ要因となり、リスク・プレミアムは、▲75ドルの低下要因となるため、仕上がりで▲65ドルの価格低下となる。

現在の金価格は1,950ドル近辺であるが、1,885程度までの下落余地があることになる。しかし中東情勢次第だろう。

銀価格は、投機的な動きに価格が左右されやすくテクニカル分析が比較的有効に機能する。

月次のボリンジャーバンドの分析は有効に機能しているが、仮にボリンジャーバンドの下限だと75倍、上限ならば90倍程度が目処になるが、金を1,900ドル程度とすると21.1~25.33ドルが現在取り得る範囲といえる。

また、中国の鉱工業生産を元にすると、現在の金銀レシオは90倍程度が上限とみられる。

本日は、米国の利上げ打ち止め期待が実質金利を押し下げており、基準価格は上昇、リスク・プレミアムは低下して金は横這いと見る。株価動向に左右されやすいPGM、銀は軟調推移か。

◆穀物

シカゴ穀物市場はトウモロコシが小幅に下落、大豆、小麦は上昇下。昨日はOPECプラスを控えた原油価格の上昇に連れる形となった。

長期的な話だが、今年地中海を襲ったハリケーン(ストーム・ダニエルと命名)の影響で中東北アフリカ地域に降雨がもたらされたことは、先々の穀物供給に影響を及ぼす、サバクトビバッタの越冬を可能にし、来年以降の供給減少のリスクを高めることが懸念される。

尚、Locust Watchでは中東・北アフリカ地域でのバッタの大量発生は確認されていない。

本日は、原油価格動向が価格を左右しやすい地合にあり、OPECプラス会合を控えて神経質な推移が予想される。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

◆信用リスク・マクロ経済のリスク

・米国債の格下げリスク(残るMoody'sもネガティブウォッチに)、米国債格下げの動きが連鎖して、金融機関の格下げが加速、信用不安に繋がる場合。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは顕在化している可能性)

新興国の財政破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに(米銀格下げ検討は始まっている)。

・中国の構造的成長が終了、過剰債務や不動産問題を抱え、中国が「日本化」するリスク(この場合長期低迷で工業金属やエネルギーなどの景気循環系商品価格の下押し要因となる可能性)

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023年後半~2024年頃。

◆地政学的リスク

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

・中東情勢不安が拡大し、先進国でテロが発生(景気の下振れリスク)、産油国でテロが発生して原油価格が高騰(インフレ発生で景気下振れリスク)するリスク。

中東問題が、「反イスラエル・親イスラエル」の対立となり、世界に拡散する場合(可能性の低い顕著な景気下振れリスク)

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(極めて可能性の低いリスク)。

・西アフリカ・北アフリカで、フランスが旧宗主国である国の反仏感情が高まり、武力衝突が発生して域内治安が悪化する場合。

欧州に難民が流入するほか、地域によっては(リビア、アルジェリア、ナイジェリアなど)原油・ガス供給に影響が及ぶ恐れ。

◆その他のリスク

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

また、再生可能エネルギーのコスト上昇で化石燃料回帰が起きる場合。

◆本日のMRA's Eye


「2024年ニッケル価格見通し」

2023年のニッケル価格は年初に中国のゼロコロナ解除のペントアップ需要期待で上昇したものの、その後一貫して水準を切下げている。需給ファンダメンタルズ要因と金融要因、両面によるものと考えられる。

MB社の推定では、ニッケル生産が前年比+19万5,000トンの328万1,000トン。需要は+12万5,000トンの308万1,000トンとなることから、2023年のニッケル需給は+20万トンの供給過剰(前年+12万9,000トンの供給過剰)と供給過剰幅を縮小の見込みだ。

2024年は生産が+24万2,000トンの352万3,000トン、需要が+28万トンの336万2,000トンとなることから、+16万2,000トンの供給過剰幅を縮小する見込みとなっている。

INSGの予想では、2023年の需給バランスは+22万3,000トンの供給過剰、2024年は+23.9万トンの供給過剰が見込まれている。MBは生産者が顧客であるケースが多く、必然、見通しは価格上昇バイアスが掛かりやすくなる傾向があるため、恐らく現状はINSGの予想に近いのではないか。

ただ、いずれも2024年後半に掛けては供給過剰幅を減らす見通しであり、その他の金属と同様、年後半に掛けて価格には上昇圧力が掛りやすい。

ニッケルの取引所在庫はLME・上海とも減少しており、中国経済が勃興して投機的な現物買いの動きもみられた2000年代前半の水準ほどではないが、少なくともリーマンショック後の最低水準まで低下している。

2016年頃から長期的な目線では、取引所在庫の減少と共にLMEニッケル価格は上昇を続けていたが、足下、低在庫水準であるにもかかわらずニッケル価格は水準を切下げている。

背景に、1.最大消費国である中国の不動産市況悪化に代表される需要減少観測、2.インドネシアのNPI供給増加、3.中国生産者によってNPIからのクラス1ニッケル製造が可能になったこと、がある。

1,に関して中国政府は現在の不動産問題をこれ以上放置できないとして、習近平国家主席の意向を受けて金融機関が不動産開発業者に対して無担保融資を初めて認めるなど、事態の改善に向けて動き始めている。

ニッケル需給の緩和は、最大需要であるステンレス向けの需要が低迷していることによるため、この対策は不動産開発業者の経営状態安定に帰するものであることから徐々に不動産セクターは価格のマイナス要因にならなくなると予想される。ただ、解決には時間が掛かるだろう。

2.は文字通りだが、3.のNPIからのコンバージョンによるニッケルマットの増加も見込まれているため、より直接的にニッケル価格を下押しする可能性は否定できない。

2024年のニッケル価格は、中国不動産セクターの問題解決に時間が掛かる(中国政府は恐らく同問題を長期的な課題に位置づけ)中、最大用途であるステンレス向け需要の回復が遅れること、インドネシアのNPI供給の増加がニッケル需給を緩和させる見通し。

EV普及も最大消費国である中国の景気低迷で大幅な増加が難しいことも価格を押し下げるだろう。一方で中国政府の景気てこ入れ策のためのインフラ投資が価格を下支え、世界的な景気の底入れがQ324頃であると考えられることから年後半に掛けて上昇する展開を想定。

2024年の平均価格は20,500ドル/トン(10月予想比 ▲625ドル/トン)と従来見通しから引き下げた。

上記見通しのリスクは、上昇リスクが米国を初めとする各国の金融引締めのペースが鈍化した場合、中東情勢不安を背景にエネルギー供給に制限(ガス・石炭)が発生して生産に影響が及ぶ場合、ロシアが意図的にニッケルの供給を削減する場合(報復制裁)。

脱炭素の流れに乗って資源国で資源ナショナリズムの動きが加速する場合(インドネシアやフィリピン)、脱ロシアの流れを受けて電化や再生可能エネルギーインフラ投資が加速した場合、反ロシアの流れで同国ブランドの非鉄金属が取引禁止になった場合など。

下落リスクは、各国金融引締めペースが早すぎて経済がオーバーキルになってしまう場合、米金融引締めの影響で需要の牽引役である新興国も金融引締めを余儀なくされ、新興国の需要減少・デフォルトが発生した場合。

中国の不動産セクターの回復に目処が立たず、中国政府が取り組んでいる秩序ある不動産セクターの調整が上手くいかなかった場合、脱炭素の流れ一服、石炭・LNG価格の急落、インドネシアのNPI生産がさらに上振れる、NPIからのコンバージョンが進んだ場合など。


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