米統計上振れもドル安進行で上昇
- MRA商品市場レポート
2023年10月8日 第2560号(簡易版) 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米統計上振れもドル安進行で上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は、総じて水準を切り上げる商品が目立った。注目の米雇用統計はサプライズとなる強気の内容であり、景気の先行きを楽観する一方、金融引締め観測がやや強まったため(12月FOMCでの利上げ確率は29.8%から36.7%に上昇)金利が上昇、ドル高も進行して水準を切下げる商品が目立った。
しかし同時に、これまでの金融引締めの影響による景気減速を意識した金利の低下でドルが下落に転じたため、引けに掛けて水準を切り上げる商品が目立った。
注目の米雇用統計の雇用者数の増加は、前月比+33.6万人(市場予想+17万人、前月+22.7万人)とサプライズとなり、米雇用市場が回復基調にあることを示唆する内容となった。
先だって発表されたADP雇用統計が+8.9万人(+15万人、+18万人)と大幅な減速となったのとは全く反対の結果となった。
統計の内訳を見るともっても雇用者数が増加したのが宿泊・娯楽業で+9.6万人、ついで教育・ヘルスサービスで+7万人、専門事業サービスが+2.1万人、小売が+2.0万人と続いた。
さらに注目すべきが、製造業の雇用者数が6月の+0.4万人→▲0.2万人→+1.1万人→+1.7万人と増加している点である。
これらを踏まえると、サービス業の労働市場需給は引き続きタイトであり、これに加えて製造業もシクリカルな回復が始まっている、と考えられる。
求人÷失業者レシオも上昇の可能性が高まり、コアCPIの上昇や需要にけん引される形での原油価格上昇の可能性も出てくることになる。
恐らく、この状況をFRBが看過するとは考え難く、インフレ率上昇を抑制するためのタカ派な金融政策が続く可能性が高まることに。
過去の利上げ局面も「最終利上げを見送ってから一定期間経過後」、景気が悪化しているケースが多いため、先行きの下振れリスクを警戒する必要がより高まった、といえるのではないか。
【本日の見通し】
週明け月曜日は米国市場が休場のため積極的な売買は手控えられると考えられるが、国慶節明けの中国勢の市場復帰で、調整した商品に安値拾いの買いが入ると考えられ、堅調な推移が予想される。
しかし、週末の雇用統計で先行きは極めて不透明になってきた。通常であれば「喜んでいい(=景気がよい)」統計なのだが、物価上昇を受けてFRBがタカ派の政策を維持せざるを得なくなるからだ。
その一方で週末発表された8月の米消費者信用残高は、前月比▲156億ドル(前月+110億ドル)と大幅に減少している。内訳を見ると、クレジットカードのリボ払いなどに象徴される回転信用が+147億ドル(+96億ドル)と増加する一方で、自動車ローンなどの非回転信用は▲303億ドル(+14億ドル)と大幅に減少している。
恐らく、物価上昇に伴い日々の生活に必要な資金を、キャッシングなどで賄わざるを得なくなっているが、ローンを組んでも消費をする、という動きは金利の上昇で手控えれ始めていることを示唆している。
週明け月曜日の注目材料は以下の通り。
・FRBバー副議長講演
・ダラス連銀総裁講演
・FRBバー副議長講演
・9月中国全体のファイナンス規模・新規融資・マネーサプライ
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