ほどほどに弱い米統計を受けてリスク選好・買い戻し
- MRA商品市場レポート
2023年7月19日 第2502号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ほどほどに弱い米統計を受けてリスク選好・買い戻し」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は軒並み水準を切り上げた。米小売売上高が市場予想を下回ったものの、自動車などを除くコア消費は市場予想、前月とも上回り、「ヘッドラインの個人消費は減速しているが、コア消費は堅調であり、利上げ実施を肯定しつつも、8月以降の追加利上げの可能性が後退したことが市場参加者の安心を誘ったことが背景。
結局の所、統計の良いとこ取りをしてリスク選好が高まった、と考えるのが適当だろう。
ただし、教育ローンの減免終了や貯蓄を取り崩して消費を継続することにも限界が来ていることから、米国の景気減速とともに景気の遅行指標である雇用や賃金も低下、消費も減速するというのが妥当であり、多くの景気循環商品価格には下押し圧力が掛ることになると予想される。
昨日大幅に上昇したのはエネルギーセクターだが、その中でもこれまで下落が顕著だった発電燃料に気温上昇を受けた買い戻しが入り、ガス、石炭とも高い。
やや気になるニュースではサウジアラビア ムハンマド皇太子(MBS)の振るまいにUAEのムハンマド皇太子(MBZ)が反発している点。平たく言えばUAEからサウジアラビアに外国企業は拠点を移すように促したり、UAEも生産枠を遵守しなかったり、といったことが起きているのだ。
結果、蜜月だったMBSとMBZはもう半年も口を利いていない、とされる。この場合OPEC諸国の結束が崩壊し、かつて見られた「価格下落時の増産」も有り得る可能性が出てきたことは注意しておく必要があるだろう。
一方、ドル高が緩やかに進行する中で中国が最大消費国である工業金属セクターは軟調な推移となった。工業金属セクターの回復には、やはり中国政府の特に不動産セクターの立て直しが急務だが、拙速な対応は先々の不良在庫を積み上げることになるため、中国政府も慎重になっていると考えられ、大規模な対策実施は見送られると考えられる。
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